JPH1122499A - 内燃機関のバルブタイミング制御装置 - Google Patents

内燃機関のバルブタイミング制御装置

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JPH1122499A
JPH1122499A JP9178429A JP17842997A JPH1122499A JP H1122499 A JPH1122499 A JP H1122499A JP 9178429 A JP9178429 A JP 9178429A JP 17842997 A JP17842997 A JP 17842997A JP H1122499 A JPH1122499 A JP H1122499A
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JP
Japan
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valve
exhaust
pressure wave
negative pressure
timing
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Application number
JP9178429A
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English (en)
Inventor
Yuichi Kato
雄一 加藤
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Toyota Motor Corp
Original Assignee
Toyota Motor Corp
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Publication date
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    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02TCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES RELATED TO TRANSPORTATION
    • Y02T10/00Road transport of goods or passengers
    • Y02T10/10Internal combustion engine [ICE] based vehicles
    • Y02T10/12Improving ICE efficiencies

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  • Valve Device For Special Equipments (AREA)
  • Characterised By The Charging Evacuation (AREA)
  • Output Control And Ontrol Of Special Type Engine (AREA)
  • Valve-Gear Or Valve Arrangements (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 排気管の製作公差や経年変化による寸法の変
化にかかわらず、機関の吸気充填効率を高く維持する。 【解決手段】 機関1の各気筒からの排気管を2つの排
気通路51、52にまとめてデュアルエキゾースト系を
構成する。機関1は各気筒の吸気弁開閉タイミングを変
化させる可変バルブタイミング機構10を備える。制御
回路30は、吸気通路13に設けたエアフローメータ1
5から入力した機関吸入空気量に基づいて可変バルブタ
イミング機構を制御し、排気脈動により生じる負圧波の
排気ポート到達時期が機関吸排気弁のバルブオーバラッ
プ期間に合致するように機関のバルブタイミングを変更
する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は内燃機関のバルブタ
イミング制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】機関排気の脈動により生じる負圧波を利
用して機関の吸気充填効率を向上させる技術が知られて
いる。例えば、この種の機関の例としては、特開昭62
−243908号公報に記載されたものがある。同公報
の機関は、各気筒の排気弁を排気行程終了時に一旦閉弁
し、更に吸気行程初期に再度排気弁を所定期間開弁する
ようにしている。
【0003】排気行程で気筒排気弁が開弁すると排気ポ
ートで発生した正圧波は排気通路内を音速で進行し、開
口部や通路断面積急拡大部に到達すると反射して逆位相
の負圧波となり排気ポートに向かって進行し、排気ポー
トと通路断面積急拡大部等との間で反射を繰り返す。こ
の負圧波が排気ポートに到達する時期には吸気ポート圧
力は低下するため、この時期に合わせて吸気弁と排気弁
との両方を開弁すると筒内の既燃ガスの排気ポートへの
排出と吸気ポートからの新気の流入との両方が促進され
吸気充填効率が向上する。
【0004】上記特開昭62−243908号公報の機
関は、機関が所定の負荷条件で運転されているときに、
排気行程終了に伴って一旦閉弁した排気弁を、上記排気
通路開放端で反射した負圧波が排気ポートに到達する吸
気行程初期に再度開弁し、吸気弁と排気弁とが同時に開
弁している期間(バルブオーバラップ期間)を強制的に
生じさせ、これにより上記負圧波を利用して吸気充填効
率を向上させるようにしたものである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上記特開昭
62−243908号公報の機関では閉弁後の排気弁を
再度開弁して吸気弁と排気弁とのオーバラップ期間を生
じさせるタイミングは固定されているため、所望の吸気
充填効率の向上が得られない場合が生じる可能性があ
る。本来、排気管で負圧波の反射が生じる開口部、断面
積急拡大部等の位置は排気系が定まれば一定であり変化
することはないので、排気弁開弁から負圧波が反射して
排気ポートに戻ってくるまでの時間は略一定になる。こ
のため、予め吸排気弁のオーバラップ期間が上記負圧波
の排気ポート到達時期に一致するように機関運転条件に
応じてバルブタイミングを設定しておけば常に負圧波を
有効に利用して吸気充填効率を向上させることができる
はずである。
【0006】ところが、実際の排気系では負圧波の反射
位置が設計とは異なって来る場合がある。例えば、排気
通路に接続部を有する場合等では製造公差などにより接
続部にクリアランスを生じてしまう場合がある。このよ
うなクリアランスが生じるとクリアランスの大きさによ
っては接続部が開放端として機能してしまい接続部で負
圧波が発生、反射する場合が生じる。この場合、負圧波
が設計した反射位置より排気ポートに近い位置で発生及
び反射するようになり負圧波の排気ポート到達タイミン
グが設計タイミングからずれてしまうことになる。この
ように負圧波の到達タイミングが設計タイミングからず
れてしまうと、上記公報の機関では吸排気弁のバルブオ
ーバラップ期間と負圧波の到達時期とが正確に一致しな
くなり負圧波を有効に利用することができなくなる。
【0007】特に、各気筒の排気を2つの排気通路に分
けて流すデュアルエキゾーストシステムにおいて、1本
の排気管内に隔壁を設けて上記2つの排気通路として使
用するいわゆるθパイプシステムを採用する場合には排
気マニホルドとθパイプとの接合部にクリアランスが生
じると、クリアランスを介して2つの排気通路が連通し
流路急拡大部として機能しやすくなり上記のような負圧
波到達タイミングのずれが生じやすい。また、このよう
な接続部のクリアランスは製品毎の公差により異なる
他、同一の機関であっても使用時の熱膨張(機関負
荷)、使用による経年変化等により変化する。このた
め、負圧波の到達タイミングもクリアランスの有無、そ
の大きさ等により変化する場合があり予め負圧波の到達
タイミングの変化を予測することは困難である。
【0008】本発明は上記問題に鑑み、個々の排気管の
製品公差によるばらつきや経年変化などにより、上述の
負圧波の排気ポート到達タイミングが設計値からずれた
ような場合でも負圧波を有効に利用して機関の吸気充填
効率を向上させることが可能な内燃機関のバルブタイミ
ング制御装置を提供することを目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の発明に
よれば、内燃機関の吸気弁と排気弁との少なくとも一方
のバルブタイミングを変更するバルブタイミング調節手
段と、排気通路内の排気脈動により生じる負圧波が排気
ポートに到達する時期を検出する負圧波到達時期検出手
段と、前記バルブタイミング調節手段を制御して、前記
負圧波到達時期検出手段の検出した負圧波の排気ポート
到達時期に応じて前記バルブタイミングを変更する制御
手段と、を備えた内燃機関のバルブタイミング制御装置
が提供される。
【0010】すなわち、請求項1の発明では負圧波到達
時期検出手段は負圧波が実際に排気ポートに到達する時
期を直接的または間接的に検出する。また、制御手段は
上記負圧波到達時期に応じてバルブタイミングを変更す
る。このため、負圧波到達時期が設計値からずれたよう
な場合でもバルブタイミングが実際の負圧波到達時期に
合わせて調節される。
【0011】請求項2に記載の発明によれば、前記制御
手段は、吸気弁と排気弁とのバルブオーバラップ期間内
に前記負圧波が排気ポートに到達するようにバルブタイ
ミング調節手段を制御してバルブタイミングを変更する
請求項1に記載のバルブタイミング制御装置が提供され
る。すなわち、請求項2の発明では、機関バルブタイミ
ングは負圧波が排気ポートに到達する時期が吸排気弁の
バルブオーバラップ期間内になるようにバルブタイミン
グが変更されるため、負圧波到達時期が設計値からずれ
たような場合でも負圧波を利用して機関吸気充填効率を
向上させることが可能となる。
【0012】請求項3に記載の発明によれば、前記負圧
波到達時期検出手段は、機関吸入空気量を検出する吸入
空気量検出手段を備え、機関が所定の条件で運転されて
いる時の機関吸入空気量に基づいて前記負圧波の排気ポ
ート到達時期を検出する請求項1に記載のバルブタイミ
ング制御装置が提供される。すなわち、請求項3の発明
では、負圧波到達時期検出手段は機関の所定運転条件下
での吸入空気量に基づいて負圧波の排気ポート到達時期
を間接的に検出する。負圧波の排気ポート到達時期と現
在のバルブオーバラップ期間とのずれが大きいほど機関
吸気充填効率は低下し、機関吸入空気量は設計値より低
下する。このため、所定の運転条件下での吸入空気量の
設計値と絶対値とを比較することにより負圧波の排気ポ
ート到達時期(すなわち、設計到達タイミングからのず
れ)を算定することができる。
【0013】請求項4に記載の発明によれば、前記負圧
波到達時期検出手段は、排気通路に配置した圧力検出手
段を備え、該圧力検出手段により検出した排気圧力の変
動に基づいて前記負圧波の排気ポート到達時期を検出す
る請求項1に記載のバルブタイミング制御装置が提供さ
れる。すなわち、請求項4の発明では、排気通路に配置
した圧力検出手段により直接的に負圧波の排気ポート到
達時期を検出する。圧力検出手段で検出した圧力変動か
ら圧力検出手段を配置した排気通路部分を負圧波が通過
するタイミングが検出できるため、圧力検出手段と排気
ポートとの距離と上記タイミングとから負圧波の排気ポ
ート到達時期が算出される。
【0014】請求項5に記載の発明によれば、接続部を
有する排気通路を備えた内燃機関のバルブタイミング制
御装置であって、内燃機関の吸気弁と排気弁との少なく
とも一方のバルブタイミングを変更するバルブタイミン
グ調節手段と、排気脈動により生じる負圧波の排気ポー
ト到達時期が、前記排気通路接続部にクリアランスが生
じたために変化したことを検出する負圧波到達時期検出
手段と、前記負圧波到達時期検出手段により前記負圧波
の排気ポート到達時期の変化が検出されたときに、前記
バルブタイミング調節手段を制御して、吸気弁と排気弁
とのバルブオーバラップ期間中に前記負圧波が排気ポー
トに到達するように前記バルブタイミングを変更する制
御手段を備えた内燃機関のバルブタイミング制御装置が
提供される。
【0015】すなわち、請求項5に記載の発明では排気
通路接続部のクリアランスのために生じた負圧波の排気
ポート到達タイミングのずれを負圧波到達手段により検
出し、制御手段はこのタイミングのずれ量に基づいて機
関バルブタイミングをバルブオーバラップ期間中に負圧
波が排気ポートに到達するように変更する。このため、
排気通路接続部にクリアランスが生じたような場合で
も、排気脈動による負圧波を有効に利用して機関吸気充
填効率を向上させることができる。
【0016】
【発明の実施の形態】以下添付図面を参照して本発明の
実施形態について説明する。図1は本発明のバルブタイ
ミング制御装置を自動車用4気筒機関に適用した場合の
実施形態の概略構成を示す図である。図1において、参
照符号1は自動車用内燃機関を示す。本実施形態では機
関1は#1から#4の4つの気筒を有するDOHC(ダ
ブルオーバーヘッドカムシャフト)型4気筒機関とされ
ている。本実施形態では機関1の排気系は、それぞれ互
いに排気の干渉を生じない点火順序の2つの気筒がそれ
ぞれ1つの排気通路に接続されたいわゆるデュアルエキ
ゾーストシステムとされており、本実施形態では図1に
示すように#1と#4気筒が吸気枝管41と44とを介
して排気集合管51に接続され、#2と#3気筒は、そ
れぞれ吸気枝管42と43とを介して排気集合管52に
接続されている。また、図2に示すように排気集合管5
1と52とは実際には個別の配管ではなく、1つの管5
10内に軸線方向に隔壁511を設けて、管510内に
個別の排気集合管として機能する流路51、52を設け
た断面θ形状の管(いわゆるθパイプ構造)とされてい
る。
【0017】排気管510は、接続部520で排気流路
531、532を有する同様なθパイプ構造の排気管5
30に接続されている。また、排気管530は下流側の
接続部540で通常の排気管550に接続され、排気管
530内の2つの排気流路531、532は1つの排気
流路に合流する。図1において、131は気筒#1から
#4を共通の吸気通路13に接続する吸気マニホルド、
17は吸気通路13に配置されたスロットル弁である。
また、吸気通路13には機関吸入空気量(重量流量)を
検出可能な、例えば熱線式等のエアフローメータ15が
配置されている。
【0018】更に、図1に70で示したのは排気系の排
気枝管の一つ(図1では排気枝管41)に必要に応じて
設けられる圧力センサである。圧力センサ70は、後述
するように負圧波の排気ポート到達タイミングを排気枝
管内の排気圧力変動に基づいて検出する場合にのみ必要
とされる。また、本実施形態では機関1には可変バルブ
タイミング機構10が設けられている。
【0019】以下、図3を参照して図1の可変バルブタ
イミング機構の構成について簡単に説明する。図3にお
いて、11は機関1の各気筒の吸気弁(図示せず)を開
閉駆動する吸気カムシャフト、その全体を10で示すの
は吸気カムシャフト端部に設けられた可変バルブタイミ
ング機構である。
【0020】可変バルブタイミング機構10は、円筒状
スリーブ13を有するタイミングプーリ12と、カムシ
ャフト1の端部を覆うカバー14とを備えており、タイ
ミングプーリ12は円筒状スリーブ13を介して吸気カ
ムシャフト11の周囲にカムシャフト11に対して回転
可能に装着されている。また、カバー14はタイミング
プーリ12にボルト15とピン1bにより固定され、プ
ーリ12と一体に回転するようになっている。
【0021】カバー14内部にはピストン部材17が設
けられている。ピストン部材17は、円環状のピストン
部19と、ピストン部19から延びる円筒部21とを備
えており、ピストン部19の外周面と内周面とは、カバ
ー14の内周面とプーリ12のスリーブ13の外周面と
にそれぞれ摺接している。また、ピストン部材17の円
筒部21の外周面と内周面とには、それぞれ所定の捩じ
れ角を有するアウターヘリカルギヤ21aとインナーヘ
リカルギヤ21bとが刻設されており、アウターヘリカ
ルギヤ21aはカバー14内周面に形成された内歯ヘリ
カルギヤ22aと、またインナーヘリカルギヤ21bは
カムシャフト11の端面にボルト1a、ピン1bにより
一体に装着されたリング状の外歯ヘリカルギヤ22bと
それぞれ噛合している。
【0022】本実施形態の可変バルブタイミング機構1
0では、機関のクランク軸(図示せず)の回転は、タイ
ミングベルト12aを介してタイミングプーリ12に伝
えられる。プーリ12が回転すると、カバー14がプー
リ12と一体に回転し、ヘリカルギヤ22a、21aを
介してカバー14に連結されたピストン部材17がカバ
ー14と一体に回転する。ピストン部材17は、ヘリカ
ルギヤ21b、22bを介して同時にカムシャフト11
にも連結されているため、これによりカムシャフト11
がプーリ12と一体に回転する。
【0023】すなわち、本実施形態の可変バルブタイミ
ング機構10では、カムシャフト11の回転駆動力は、
クランク軸からタイミングベルト12aを介してタイミ
ングプーリ12に伝達され、プーリ12からカバー1
4、ヘリカルギヤ22a、21a、ピストン部材17及
びヘリカルギヤ21b、22bを経てカムシャフト11
に伝達される。
【0024】本実施形態の可変バルブタイミング機構1
0は、ピストン部材17をカムシャフト11軸線方向に
移動させることにより吸気弁のバルブタイミングの変更
を行う。すなわち、ピストン部材17は、互いに噛合す
るそれぞれ所定の捩じれ角のヘリカルギヤ22a、21
aと21b、22bとによってカバー14およびカムシ
ャフト11に連結されている。このため、ピストン部材
17がカムシャフト軸線方向に移動すると、ヘリカルギ
ヤ22aと21a及び21b、22bの噛合位置はそれ
ぞれの歯筋に沿って軸線方向に移動する。ところが、そ
れぞれのギヤの歯面は、カムシャフト軸線方向に対して
捩じれ角を有するため、噛合位置が軸線方向に移動する
と、カバー14とピストン部材17、及びピストン部材
17とカムシャフト11とはそれぞれヘリカルギヤの歯
筋に沿って円周方向に相対移動する。このため、ピスト
ン部材17の軸線方向移動にともなってカバー14とピ
ストン部材17、及びピストン部材17とカムシャフト
11とは相対的に回転することになる。従って、機関の
運転中にピストン部材17をカムシャフト11軸線方向
に移動させることにより、タイミングプーリ12の回転
位相、すなわちクランク軸の回転位相に対するカムシャ
フト11の回転位相を進める(或いは遅らせる)ことが
可能となり、カムシャフト11に駆動される吸気弁の開
閉タイミングを進角(或いは遅角)させることができ
る。
【0025】上述のように、本実施形態の可変バルブタ
イミング機構10は吸気カムシャフト11の回転位相の
みを変化させるものであるため、バルブタイミング変更
の際には吸気弁の開弁時期と閉弁時期とは常に同じ量だ
け変化し、吸気弁の開弁期間自体は一定に維持される。
本実施形態では、機関運転中に、油圧を用いてピストン
部材17を移動させることによって吸気弁のバルブタイ
ミング変更操作を行う。図3に示すように、カムシャフ
ト11内には2つの油通路2及び3が軸線方向に沿って
穿設されている。油通路2はカムシャフト11の中心に
設けられ、油通路2の軸端側はボルト1aに穿設された
ポート2aを介してカバー14内面とピストン17の軸
端側端面との間に形成される油圧室5に連通している。
また、油通路2のもう一方の端部はカムシャフト11に
半径方向に穿設されたポート2bを介して後述するリニ
アソレノイドバルブ25に接続されている。一方、油通
路3の軸端側端部は前述のリング状外歯ヘリカルギヤ2
2bにより閉塞されている。また、油通路3は半径方向
に穿設されたポート3aを介して、ピストン17端面と
タイミングプーリ12及びカバー14とで形成される油
圧室8に連通するとともに、別のポート3bを介してリ
ニアソレノイドバルブ25に連通している。
【0026】リニアソレノイドバルブ25は、スプール
26を有するスプール弁であり、前述の油通路2のポー
ト2bに配管を介して接続された油圧ポート26aと、
油通路3のポート3bに配管を介して接続された油圧ポ
ート26b、機関潤滑油ポンプ等の圧力油供給源28に
接続されたポート26c及び2つのドレーンポート26
d、26eを備えている。バルブ25のスプール26は
ポート26aと26bのうちのいずれかをポート26c
に連通し、他方をドレーンポートに接続するように動作
する。
【0027】すなわち、図3においてスプール26が左
方向に移動すると、油圧通路2のポート2bに連通する
ポート26aはポート26cを介して油圧供給源28に
接続され、ドレーンポート26dは閉鎖される。また、
この時同時に油圧通路3のポート3bに接続されたポー
ト26bはドレーンポート26eに連通する。このた
め、可変バルブタイミング機構10の油圧室5には、機
関の潤滑油ポンプ等の油圧供給源28から油圧通路2、
ポート2aを介して潤滑油が流入し、ピストン19を図
3右方向に押動する。また、この時油圧室8内の潤滑油
はポート3aから油通路3、ポート3b、リニアソレノ
イドバルブ25のポート26b等を通りドレーンポート
26eから排出される。このため、ピストン部材17は
図3右方向に移動する。
【0028】また、図3において逆にスプール26が右
方向に移動すると、ポート26bはポート26cに接続
され、ポート26aはドレーンポート26dに接続され
る。これにより、油圧室8には油通路3を通って潤滑油
が流入し、油圧室5からは油通路2を通ってドレーンポ
ート26dに潤滑油が排出されるため、ピストン部材1
7は図3左方向に移動する。
【0029】なお、本実施形態では、油圧室5に潤滑油
が供給されてピストン部材17が図3右方向に移動する
と吸気弁バルブタイミングは進角側に変更され、油圧室
8に潤滑油が供給されてピストン部材17が図3左方向
に移動すると吸気弁バルブタイミングは遅角側に変更さ
れるようにヘリカルギヤ21a、21b及び22a、2
2bの捩じり角が設定されている。
【0030】また、図3に25bで示すのは、スプール
26を駆動するリニアソレノイドアクチュエータであ
る。リニアソレノイドアクチュエータ25bは後述する
制御回路30からの制御信号を入力し、この制御信号の
大きさに比例する量だけスプール26を移動させること
により、ピストン部材17の位置、すなわち吸気弁のバ
ルブタイミングを変更する。
【0031】図3に30で示すのは、リニアソレノイド
バルブ25の動作を制御する制御回路である。本実施形
態では、制御回路30はリードオンリメモリ(ROM)
32、ランダムアクセスメモリ(RAM)33、マイク
ロプロセッサ(CPU)34、入力ポート35、出力ポ
ート36を相互に双方向性バス31で接続した公知の構
成のディジタルコンピュータとして構成される。また、
制御回路30は、バッテリ等の電源に直結され機関が停
止されても記憶保持が可能なバックアップRAM37を
備えている。本実施形態の制御回路30は、機関運転条
件に応じてリニアソレノイドバルブ25の動作を制御し
て吸気弁のバルブタイミングを調節し、吸排気弁のバル
ブオーバラップ量を制御する。この制御のため、制御回
路30の入力ポート35には、機関の吸気通路13に設
けられたエアフローメータ15(例えば熱線式エアフロ
ーメータ)から機関吸入空気量(重量流量)Gに比例す
る電圧信号と、設置されている場合には排気枝管41の
圧力センサ70から排気圧力PEに比例する電圧信号と
が、それぞれAD変換器43を介して入力されているほ
か、機関クランク軸に設けられたクランク軸回転角セン
サ44からクランク軸回転角を表すパルス信号と、カム
シャフトに設けられたカム回転角センサ45からカムシ
ャフト11の回転角を表すパルス信号とが入力されてい
る。
【0032】エアフローメータ15で検出した機関吸入
空気量Gからは、更に機関回転数NEを用いて機関1回
転当たりの吸気重量流量GN(=G/NE)が一定時間
毎に算出され、制御回路30のRAM33に格納され
る。クランク軸回転角センサ44からのパルス信号は、
クランク軸回転720度毎に発生するクランク軸の基準
位置を示すN1信号と、クランク軸回転30度毎に発生
するNE信号とからなり、カム回転角センサ45からは
カムシャフト回転360度毎に、カムシャフトが基準位
置に到達したことを示すCN1パルス信号が発生する。
制御回路30は一定時間毎にNE信号のパルス間隔から
機関回転数NEを計算するとともに、この機関回転数N
Eを用いてN1信号とCN1信号との時間間隔からカム
シャフト11の実際の回転位相(吸気弁のバルブタイミ
ング)VTを演算する。この演算結果はRAM33に格
納される。また、排気圧力PEは一定時間毎にAD変換
され同様にRAM33に格納される。つまり、RAM3
3に格納されるNE、VT、GN、PE等の値は一定時
間毎に更新され、常時最新の値がRAM33に格納され
ている。
【0033】後述するように、機関回転数NEと機関吸
入空気量GNとは機関の負荷条件を表すパラメータとし
て使用される。一方制御回路30の出力ポート36は、
駆動回路48を介してリニアソレノイドバルブ25のア
クチュエータ25bに接続され、制御信号をアクチュエ
ータ25bに供給している。
【0034】図4は吸気弁と排気弁との一般的な開閉時
期を模式的に示す図である。図4において、TDCはピ
ストン行程上死点、BDCは下死点を示し、IO、IC
はそれぞれ吸気弁の開弁時期と閉弁時期、EO、ECは
それぞれ排気弁の開弁時期と閉弁時期とを表している。
図4に示すように、吸気弁は排気行程上死点(TDC)
前から開弁し、吸気行程下死点(BDC)後に閉弁す
る。また、排気弁は爆発行程下死点(BDC)前から開
弁し、排気行程上死点(TDC)後に閉弁する。図4で
は、排気行程では排気弁が閉じる(EC)前に吸気弁が
開く(IO)ようにバルブタイミングが設定されている
ため、吸気弁と排気弁との両方が開弁している状態(図
4にOL)が存在する。本実施形態ではOLの長さ(角
度)をバルブオーバラップ期間と称する。また、本実施
形態では吸気弁のバルブタイミングを最も遅角した状態
(図4、IO0 )からのバルブタイミング進角量をバル
ブタイミングVTと定義している。図4から判るよう
に、本実施形態では排気弁の閉弁時期は固定されている
ため、バルブタイミングVTとバルブオーバラップ量O
Lとは一対一に対応する。すなわち、バルブタイミング
VTを変化させることによりバルブオーバラップ期間を
変化させることができる。
【0035】本実施形態では、機関1のバルブタイミン
グは各運転条件下で排気脈動により生じる負圧波が排気
ポートに到達する時期がバルブオーバラップ期間内に含
まれるように機関運転条件に応じて設定される。図5は
実線気筒の各行程における気筒排気ポートの圧力の変動
を模式的に示した図である。図5実線に示すように、排
気行程が開始され排気弁が開弁すると気筒内の高圧のガ
スが排気ポートに流出しブローダウンが生じて排気ポー
トの圧力は上昇する。このブローダウンにより発生した
正圧波は音速で各気筒の排気枝管から排気マニホルド5
1、52を通って排気管530内から排気管550との
接続部540に向けて進行する。ところが、接続部54
0では2つの排気通路が流路断面積の大きい排気管55
0に合流するため流路が急拡大しており、ブローダウン
の正圧波はこの流路急拡大部で反射し、位相が逆転して
負圧波となって排気ポートに向けて逆方向に音速で進行
する。このため、図5にIで示すようにブローダウンの
直後には反射した負圧波が排気ポートに到達すると排気
ポートの圧力が低下する。また、この負圧波は排気ポー
トと接続部540との間で反射を繰り返すため、排気ポ
ートには図5にIで示した1次反射の負圧波に続き2次
反射による正圧波(同、II)、3次反射による負圧波
(同III)、4次反射による正圧波(同IV)、5次
反射による負圧波(同V)、と各次数の反射波が順に徐
々に減衰しながら到達し排気ポートの圧力が正圧と負圧
とに交互に変動する。
【0036】本実施形態では、図5実線に示すように3
次反射による負圧波が排気ポートに到達して排気ポート
圧力が低下したときに吸排気弁のバルブオーバラップ期
間(図5OL)が生じるように各運転条件のバルブタイ
ミングが設定されている。このように排気ポート圧力が
低下したときに吸排気弁の両方を開弁させることによ
り、筒内の既燃ガスの排気ポートへの排出に加えて吸気
ポートからの新気の導入が促進され、機関の吸気充填効
率が向上する。
【0037】ところが、排気管の上記接続部540以外
の部分で圧力波の反射が生じると反射部位と排気ポート
との距離が変化するため排気ポートへの3次負圧波の到
達タイミングが変化する場合がある。本実施形態のよう
に排気系にθパイプ530を用いた場合には接続部54
0以外に例えば上流側の接続部520でこのような反射
が生じてしまう場合がある。
【0038】図6は、接続部520の構造の一例を示す
断面図である。図6に示すように接続部520は、排気
マニホルド510と排気管530とをガスケット513
を介して突き合わせ、それぞれのフランジ515、51
7を圧縮スプリング519を介してボルト518で締結
した構成とされている。このため、排気マニホルド51
0内の隔壁511端部と排気管530内の隔壁512端
部との間に隙間(クリアランス)Cが生じる場合があ
る。このような隙間Cは、排気マニホルド510と排気
管530の製品公差により工場出荷時から生じている場
合もあり、また工場出荷時には生じていなくともその後
の例えばガスケット513のへたり(経年変化)により
生じる場合がある。隙間Cの大きさがある程度大きいと
この部分で排気通路531と532とが連通し、流路の
急拡大部が生じてしまい、この部分で圧力波が反射する
ようになる。
【0039】接続部520で圧力波の反射が生じるよう
になると、排気ポートと反射部位との距離が設計値(す
なわち、接続部540と排気ポートとの距離)より短縮
されるため、図5に点線で示すように各次数の反射波の
到達タイミングが早まり、しかも各次数の反射波の到達
周期が短くなる。これにより、図5点線に示したように
3次の負圧波の排気ポート到達タイミングとバルブオー
バラップ期間とが一致しなくなり、バルブオーバラップ
期間中に4次の正圧波が排気ポートに到達するようにな
る。また、接続部520の隙間Cが大きくなるほど圧力
波の振幅は大きくなり、4次の正圧波による排気ポート
の圧力上昇も大きくなる。
【0040】この場合、4次の正圧波の到達により排気
ポート圧力が上昇した状態でバルブオーバラップが生じ
ることになるため吸気充填効率は設計値より低下してし
まい、各運転条件下で設計出力が得られなくなる問題が
生じる。本実施形態では、上記のように負圧波の到達タ
イミングがずれて設計バルブタイミングではバルブオー
バラップ期間OLと3次の負圧波到達タイミングとが一
致しなくなった場合には、バルブタイミングVTを遅角
して図5にOL′で示す位置にバルブオーバラップ期間
を変化させる。すなわち、3次の負圧波の代わりに5次
の負圧波の到達タイミングとバルブオーバラップ期間と
が一致するようにバルブタイミングを変更するようにす
る。これにより、負圧波の到達タイミングが変化した場
合でも吸気充填効率をほぼ設計値に維持することが可能
となる。
【0041】上記のように、負圧波到達タイミングに合
わせてバルブオーバラップ期間を変更するためには、3
次の負圧波の排気ポート到達タイミングが設計値から変
化したことと5次の負圧波の排気ポート到達タイミング
とを検出し、更に5次の負圧波の到達タイミングに一致
するようにバルブオーバラップ期間を変更する必要があ
る。本実施形態では、以下に説明する2つの方法のいず
れか1つを用いて上記負圧波到達タイミングの検出とバ
ルブオーバラップ期間の変更とを行っている。
【0042】まず負圧波到達タイミング検出とバルブオ
ーバラップ期間変更の第1の方法について説明する。本
方法では、負圧波到達タイミングの検出とバルブオーバ
ラップ期間変更とをエアフローメータ15で検出した機
関吸入空気重量流量に基づいて行う。前述したように、
3次の負圧波の排気ポート到達タイミングが変化してバ
ルブオーバラップ期間に一致しなくなった状態では機関
の吸気充填効率が低下するため、機関の吸入空気重量流
量が設計値より低下する。また、負圧波の到達タイミン
グの変化が大きいほど吸入空気量の低下も大きくなる。
そこで、本実施形態ではエアフローメータ15で検出し
た実際の吸入空気重量流量と設計値との差が所定値以上
になった場合には3次の負圧波到達タイミングが変化し
たと判断し、吸入空気重量流量の設計値と実測値との差
に応じて、バルブオーバラップ期間が5次の負圧波到達
タイミングに一致するようにバルブタイミングVTを遅
角させる。これにより、バルブオーバラップ期間は図5
のOL′で示した位置に変化し、略設計値に等しい吸気
充填効率が得られるようになる。
【0043】図7は、上記負圧波到達タイミングの検出
とバルブタイミング変更操作の詳細を示すフローチャー
トである。本操作は、制御回路30により一定時間毎に
実行されるルーチンとして行われる。図7において、ス
テップ701では、機関回転数NE、吸入空気重量流量
G及び機関負荷のパラメータとしての機関1回転当たり
の吸入空気重量流量GNがそれぞれ読み込まれる。そし
て、ステップ703では負圧波到達タイミング検出条件
が成立しているか否かが判定される。上述したように本
実施形態では負圧波到達タイミングを機関吸入空気重量
流量Gに基づいて検出しているため、機関吸入空気量G
が十分に大きくしかも安定した状態で検出を行うことが
好ましい。そこで、ステップ703では、機関負荷がW
OT(全負荷)に近い大きな値であり、かつ機関回転数
が安定した状態であるときに負圧波到達タイミング検出
条件が成立したと判断するようにしている。
【0044】ステップ703で検出条件が成立していた
場合には、次にステップ705ではステップ701で読
み込んだ機関回転数NEと負荷GNとの条件における吸
入空気重量流量の設計値G0 が算出される。G0 の値は
予め機関をNEとGNとの条件を変えて実際に運転して
計測し、この計測結果をNEとGNとを用いた数値テー
ブルの形で制御回路30のROM32に格納してあり、
ステップ705ではこのマップに基づいてG0 の値を決
定する。
【0045】次いでステップ707では、ステップ70
1で読み込んだ実際の吸入空気量Gが上記により算出し
た設計吸入空気量G0 より所定値α以上低下しているか
否かを判断する。ステップ707で、G<G0 −αであ
った場合には実際の吸入空気量Gが設計値G0 より低下
しているため、負圧波の到達タイミングが設計値から変
化したと判断される、ステップ709以下のバルブタイ
ミング変更操作を行う。ここで、αは正の値であり外乱
等により誤ってステップ709以下のバルブタイミング
変更操作を行わないようにするために判定値(設計吸入
空気量G0 )に対して付加した適宜な大きさの不感帯で
ある。従って、ステップ707でG≧G 0 −αであった
場合にはステップ709、ステップ711のバルブタイ
ミング変更操作をスキップしてステップ713に進む。
ステップ709、ステップ711のバルブタイミング変
更操作では、まず設計吸入空気量G0 と実際の吸入空気
量Gとの差ΔGを算出し(ステップ709)、次いでこ
のΔGに基づいてバルブタイミング遅角量ΔVTを算出
する(ステップ711)。ΔVTはバルブオーバラップ
期間を図5にOL′で示したように5次の負圧波到達タ
イミングに合致させるために必要とされる遅角量であ
る。図8は、吸入空気量の低下量ΔGとバルブタイミン
グ遅角量ΔVTとの関係を示す図である。前述のよう
に、負圧波到達タイミングの変化が大きい場合には、そ
れに応じて吸入空気量の低下量ΔGも大きくなる。実際
にはΔGとΔVTとの関係は実験等により求めることが
好ましいが、本実施形態では図8に示すようにΔVTの
値はほぼΔGに対して直線的に変化するように設定され
ている。
【0046】上記によりバルブタイミング遅角量ΔVT
算出後、ステップ713ではステップ701で読み込ん
だNEとGNとの値に基づいてバルブタイミングVTの
目標値(バルブタイミング設計値)tVTが決定され
る。図9は目標バルブタイミングtVTと機関回転数N
E、負荷GNとの関係を示す図である。本実施形態で
は、図9に示すようにバルブタイミングVTは中負荷中
回転領域で最も大きくなるように設定されている。
【0047】そして、ステップ715では、ステップ7
15で決定した目標バルブタイミングtVTの値をステ
ップ713で算出した遅角量ΔVTだけ遅角補正し、ス
テップ717では実際のバルブタイミングVTが補正後
の目標バルブタイミングtVTになるように前述のリニ
アソレノイドアクチュエータ25の作動量をフィードバ
ック制御する。これにより、バルブオーバラップ期間は
5次の負圧波の到達時期に合致して吸気充填効率の低下
が防止される。
【0048】なお、ステップ703で前述の検出条件が
成立しなかった場合、及びステップ707でG≧G0
αであった場合には、前回までのルーチン実行により算
出された遅角量ΔVTの値を用いてステップ715が実
行される。本実施形態では、ΔVTの初期値は0に設定
されている。これにより、負圧波到達タイミングが一度
も変化していない場合にはΔVTの値は0に保持される
ためステップ717では実質的に遅角補正は行われな
い。また、負圧波到達タイミングが変化して遅角補正に
より吸気充填効率が回復した場合(ステップ707で再
度G≧G0 −αになった場合)には、ステップ711で
設定した遅角量ΔVTがその後も使用されるため、吸気
充填効率は高いままに維持される。
【0049】次に、負圧波到達タイミング検出とバルブ
オーバラップ期間変更の第2の方法について説明する。
本方法では、機関1の第1気筒の排気枝管41に設けた
圧力センサ70により枝管41内の排気圧力変動を検出
することにより、直接的に負圧波到達タイミングを検出
し、負圧波到達タイミングが所定値以上変化している場
合には、5次の負圧波到達タイミングにバルブオーバラ
ップ期間が合致するようにバルブタイミングを変更す
る。
【0050】図10は、本方法によるバルブタイミング
変更の原理を説明する図5と同様なタイミング図であ
る。図10実線は正常な場合(負圧波到達タイミングが
変化していない状態)における圧力センサ70で検出し
た排気圧力変動を示している。図10においてA点は3
次の負圧波が圧力センサ70の位置に到達したタイミン
グ、すなわち二次の正圧波が圧力センサ70を通過した
ことにより、センサ70で検出した排気管圧力が正圧か
ら負圧に変化した瞬間を示す。また、図10にCA30
で示したのはこのときのクランク角である。図10に示
すように、負圧波到達タイミングCA30 は#1気筒の
排気TDC(排気行程上死点)までのクランク軸回転角
で表している。
【0051】本実施形態では、この状態から負圧波到達
タイミングが変化して、図10点線で示すように3次の
負圧波の到達タイミングが正常な状態に較べてクランク
角β以上早くなった場合にバルブタイミング変更操作を
行う。すなわち、圧力センサで検出した排気圧力の位相
逆転タイミングCA3が、CA3≧CA30 +βとなっ
たときにバルブタイミング変更操作が実行される。バル
ブタイミング変更操作では、タイミング変化後の5次の
負圧波が圧力センサ70に到達した瞬間(図10、B
点)のタイミングCA5を検出し、正常状態における3
次の負圧波到達タイミングCA30 と、変化後の5次の
負圧波到達タイミングCA5との差ΔVT(ΔVT=C
A30 −CA5)だけバルブタイミングを遅角させる。
負圧波が圧力センサを通過してから排気ポートに到達す
るまでの時間は圧力センサ70から排気ポートまでの距
離と音速とによってのみ決まるため、バルブタイミング
変化の有無にかかわらずほぼ一定となる。一方、正常時
のバルブタイミングは、CA30 のタイミングで圧力セ
ンサに到達した3次の負圧波が排気ポートに到達する時
期に合わせてバルブオーバラップが開始されるように設
定されている。従って、正常時のバルブタイミングをΔ
VT(=CA30 −CA5)だけ遅角させれば、変化後
の5次の負圧波が排気ポートに到達する時期にバルブオ
ーバラップが開始されるようになり、バルブオーバラッ
プ期間を5次の負圧波の排気ポート到達時期に合致させ
ることができる。このため、負圧波到達タイミングが変
化した場合にはバルブタイミングをΔVT(=CA30
−CA5)だけ遅角させることにより5次の負圧波を有
効に利用して吸気充填効率をほぼ設計値通りに維持する
ことが可能となる。
【0052】図11は3次負圧波と5次負圧波の圧力セ
ンサ70到達タイミングを検出するための操作を示すフ
ローチャートである。本操作は、制御回路30により一
定時間毎に実行されるルーチンとして行われる。図11
において、ステップ1101では、クランク軸回転角セ
ンサ44で検出された現在のクランク軸回転位置CAと
圧力センサ70で検出した排気圧力PEとが読み込ま
れ、ステップ1103では、CAから第1気筒排気行程
上死点までのクランク軸回転角CA1 が算出される。そ
して、ステップ1105では現在の排気圧力PEが負の
値か否か、またステップ1107では前回ルーチン実行
時の排気圧力PEi-1 が正の値か否かが判定される。P
E≦0かつPEi-1 ≧0であった場合には前回ルーチン
実行時から今回ルーチン実行時までの間に排気圧力が正
から負に変化したのであるから現在負圧波が圧力センサ
に到達していると判断できる。このため、ステップ11
09とステップ1113ではこの負圧波が排気弁開弁後
2回目に到達した負圧波(3次の負圧波)か否か、及び
3回目に到達した負圧波(5次の負圧波)か否かを判定
し、3次の負圧波であった場合にはステップ1103で
算出したクランク軸回転角CA1 を3次の負圧波到達タ
イミングCA3として、また5次の負圧波であった場合
にはCA1 を5次の負圧波到達タイミングCA5として
それぞれ記憶する(ステップ1111、ステップ111
5)。ステップ1105、1107のいずれか一つ以
上、またはステップ1109とステップ1113との両
方が成立しない場合には現在のクランク軸回転角CA 1
は3次負圧波と5次負圧波のいずれの到達タイミングで
もないためそのままルーチンを終了する。これにより、
3次と5次の負圧波の圧力センサ70到達タイミングC
A3、CA5が検出される。
【0053】図12は、図11の操作で検出した3次と
5次の負圧波到達タイミングCA3とCA5とに基づく
バルブタイミング変更操作を示すフローチャートであ
る。本操作も制御回路30により一定時間毎に実行され
る。図12、ステップ1201では機関回転数NEと機
関負荷GNとが読み込まれ、ステップ1203では図1
1の操作で検出した現在の3次の負圧波の到達タイミン
グCA3が正常時のタイミング(設計タイミング)CA
0 よりβ以上早くなっているか、すなわちCA3>C
A30 +βであるか否かが判定される。そして、CA3
≦CA30 +βであった場合には負圧波到達タイミング
の変化量は小さいと判断してステップ1207に進み、
バルブタイミング遅角量ΔVTを0にセットしてステッ
プ1209に進む。すなわち、この場合にはバルブタイ
ミングの遅角補正は行わない。ここで、βは吸気充填効
率の低下が無視できなくなるほど度の負圧波到達タイミ
ングの遅れに相当する値である。
【0054】一方、ステップ1203でCA3>CA3
0 +βであった場合には、負圧波到達タイミングの遅れ
が大きいため、3次の負圧波に代えて5次の負圧波を利
用する必要が生じていると判断し、ステップ1205で
バルブタイミングの遅角補正量ΔVTを、ΔVT=CA
0 −CA5として算出し、ステップ1209以下を実
行する。
【0055】ステップ1209では、ステップ1201
読み込んだNEとGNとに基づいて図9の関係から目標
バルブタイミングtVTを決定し、ステップ1211で
はこの目標バルブタイミングをΔVTだけ遅角補正した
値を新たな目標バルブタイミングtVTとして設定す
る。そして、ステップ1213では機関バルブタイミン
グVTが補正後の目標バルブタイミングtVTになるよ
うにリニアソレノイドアクチュエータ25をフィードバ
ック制御する。
【0056】図12の操作により、負圧波到達タイミン
グが変化した場合には3次の負圧波に代えて5次の負圧
波の到達時期に合わせて機関のバルブオーバラップ期間
が変更されるようになるため、機関の吸気充填効率は略
設計値に維持されるようになる。なお、上述の実施形態
では可変バルブタイミング機構10は吸気弁の開閉タイ
ミングのみを変更する形式のものを例にとって説明して
いるが、排気弁の開閉タイミングのみを変更する形式の
可変バルブタイミング機構、あるいは吸排気弁両方の開
閉タイミングを変更する形式の可変バルブタイミング機
構を用いた場合についても同様な操作により、負圧波到
達タイミング変化にかかわらず吸気充填効率を高く維持
することができるのは言うまでもない。
【0057】
【発明の効果】上述のように、各請求項に記載の発明に
よれば、個々の排気管の製品公差によるばらつきや経年
変化などにより、排気脈動による負圧波の排気ポート到
達タイミングが設計値から変化したような場合でも負圧
波を有効に利用して機関の吸気充填効率を向上させるこ
とが可能となる共通の効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を自動車用内燃機関に適用した実施形態
の概略構成を示す図である。
【図2】θパイプの構造を示す断面図である。
【図3】図1の実施形態に使用する可変バルブタイミン
グ機構の構成を説明する図である。
【図4】吸排気弁のバルブオーバラップ期間を説明する
図である。
【図5】機関運転中の排気ポートの圧力変動を示すタイ
ミング図である。
【図6】θパイプ接続部構成の一例を示す断面図であ
る。
【図7】図1の実施形態のバルブタイミング変更操作を
示すフローチャートである。
【図8】図7におけるバルブタイミング遅角量の設定を
説明する図である。
【図9】図7における目標バルブタイミングの設定を説
明する図である。
【図10】図1の実施形態のバルブタイミング変更操作
の別の実施形態を説明するタイミング図である。
【図11】負圧波到達タイミングの検出操作を示すフロ
ーチャートである。
【図12】図10のバルブタイミング変更操作を示すフ
ローチャートである。
【符号の説明】
1…内燃機関 10…可変バルブタイミング機構 15…エアフローメータ 70…排気圧力センサ 510…排気マニホルド 520、540…接続部 530、550…排気管

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 内燃機関の吸気弁と排気弁との少なくと
    も一方のバルブタイミングを変更するバルブタイミング
    調節手段と、 排気通路内の排気脈動により生じる負圧波が排気ポート
    に到達する時期を検出する負圧波到達時期検出手段と、 前記バルブタイミング調節手段を制御して、前記負圧波
    到達時期検出手段の検出した負圧波の排気ポート到達時
    期に応じて前記バルブタイミングを変更する制御手段
    と、 を備えた内燃機関のバルブタイミング制御装置。
  2. 【請求項2】 前記制御手段は、吸気弁と排気弁とのバ
    ルブオーバラップ期間内に前記負圧波が排気ポートに到
    達するようにバルブタイミング調節手段を制御してバル
    ブタイミングを変更する請求項1に記載のバルブタイミ
    ング制御装置。
  3. 【請求項3】 前記負圧波到達時期検出手段は、機関吸
    入空気量を検出する吸入空気量検出手段を備え、機関が
    所定の条件で運転されている時の機関吸入空気量に基づ
    いて前記負圧波の排気ポート到達時期を検出する請求項
    1に記載のバルブタイミング制御装置。
  4. 【請求項4】 前記負圧波到達時期検出手段は、排気通
    路に配置した圧力検出手段を備え、該圧力検出手段によ
    り検出した排気圧力の変動に基づいて前記負圧波の排気
    ポート到達時期を検出する請求項1に記載のバルブタイ
    ミング制御装置。
  5. 【請求項5】 接続部を有する排気通路を備えた内燃機
    関のバルブタイミング制御装置であって、 内燃機関の吸気弁と排気弁との少なくとも一方のバルブ
    タイミングを変更するバルブタイミング調節手段と、 排気脈動により生じる負圧波の排気ポート到達時期が、
    前記排気通路接続部にクリアランスが生じたために変化
    したことを検出する負圧波到達時期検出手段と、 前記負圧波到達時期検出手段により前記負圧波の排気ポ
    ート到達時期の変化が検出されたときに、前記バルブタ
    イミング調節手段を制御して、吸気弁と排気弁とのバル
    ブオーバラップ期間中に前記負圧波が排気ポートに到達
    するように前記バルブタイミングを変更する制御手段を
    備えた内燃機関のバルブタイミング制御装置。
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