JPH11221272A - 消臭剤及び消臭剤組成物 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 （修正有） 【課題】硫黄系、窒素系、アルデヒド系及び有機酸系悪
臭に分類されるあらゆる悪臭に対して優れた消臭効果を
発揮する消臭剤の提供。 【解決手段】ユズ精油及び／又は合成ユズ油からなる消
臭剤。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、日常生活で発生す
る様々な悪臭を消臭することができる消臭剤及び該消臭
剤を含有する消臭剤組成物に関するものである。

【０００２】

【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】一般家
庭においては、トイレ、リビングルーム、冷蔵庫、エア
コン、靴、靴箱、自動車などから発生する様々な悪臭が
あり、更に生ゴミ、***物、タバコ、口臭、体臭、魚・
肉類、ペット、カビなども悪臭の発生源となっている。
これらの悪臭の種類としては、硫化水素、メルカプタン
等に代表される硫黄系悪臭、トリメチルアミン等に代表
される窒素系悪臭、アルデヒド系悪臭及び有機酸系悪臭
が挙げられる。これらの各種悪臭に対する消臭方法は、
感覚的消臭、化学的消臭、物理的消臭及び生物的消臭に
よる消臭に大別され、従来より上記各種悪臭をこれらの
方法を利用して消臭する消臭剤組成物が多数開発されて
おり、最近は植物精油を消臭剤として用いた商品も増加
してきている。

【０００３】ところで、従来の植物精油を用いた消臭剤
組成物は、感覚的消臭によるものが主であり、このよう
な消臭剤組成物に用いられる植物精油としては、リモネ
ン、或いはリモネン含有植物の花、葉、幹、根、実、果
皮などから得られるリモネンを含む植物精油が用いられ
ている。リモネンを含む植物精油として、具体的にはオ
レンジ油、レモン油、ライム油等の植物精油が知られて
おり、これらの植物精油は、エアゾール、ゲル、ビーズ
等の様々な剤型で消臭剤組成物として商品化されてい
る。

【０００４】しかし、これらの消臭剤組成物の消臭力
は、植物精油の香気による悪臭のマスキングに頼るとこ
ろが大きく、悪臭を充分に消臭するものではなかった。
そのため、充分に悪臭をマスキングするためには植物精
油を多量に用いねばならず、この場合、植物精油の香り
自体が強すぎて不快となることがあった。一方、マスキ
ング以外の消臭方法としては、感覚的中和消臭が利用さ
れているが、感覚的中和消臭は臭気強度の弱い悪臭に対
しては効果があるが、強い悪臭に対しては効果がなく、
また、感覚的中和消臭の効果がある植物精油の場合、す
べての種類の悪臭に効果のあるものはない。例えばオレ
ンジ油、レモン油、ライム油は硫化水素等の硫黄系悪臭
には比較的効果があることは知られているが、窒素系悪
臭、アルデヒド系悪臭、有機酸系悪臭に対しては消臭効
果が弱く、ハッカ油等の他の植物精油は窒素系悪臭、ア
ルデヒド系悪臭、有機酸系悪臭に対しては比較的効果が
あるが、硫黄系悪臭に対しては効果が弱いというよう
に、従来の植物精油を消臭剤として用いた消臭剤組成物
ですべての悪臭に対して満足できる消臭効果が得られる
ものはなかった。

【０００５】本発明は、上記事情に鑑みなされたもの
で、硫化水素、メルカプタンに代表される硫黄系悪臭、
トリメチルアミンに代表される窒素系悪臭、アルデヒド
系悪臭及び有機酸系悪臭に分類される全て種類の悪臭に
対して有効に消臭することができる消臭剤及び該消臭剤
を含有する消臭剤組成物を提供することを目的とする。

【０００６】

【課題を解決するための手段及び発明の実施の形態】本
発明者らは、上記目的を達成するために鋭意研究した結
果、ユズ精油及び／又は合成ユズ油を消臭有効成分とし
て用いることによって、硫黄系、窒素系、アルデヒド系
及び有機酸系悪臭に分類されるあらゆる悪臭に対して優
れた消臭効果を発揮することを見い出し、本発明をなす
に至った。

【０００７】即ち、ユズ精油及び合成ユズ油は、リモネ
ンを含有するものであるが、同じリモネンを含むオレン
ジ油、レモン油、ライム油等では、上述したように種々
の悪臭に対して十分に作用しない。ところが、リモネン
を含む植物精油として、ユズ精油及び合成ユズ油を用い
た場合、意外にも後述する実施例、比較例に示した通
り、硫化水素、メチルメルカプタンに代表される硫黄系
悪臭に対し、オレンジ油、レモン油、ライム油等に比較
して顕著な悪臭防止効果を有する上、イソ吉草酸に代表
される有機系悪臭、その他種々の悪臭に対する防止効果
に優れていることを知見したものである。なお、ユズ精
油及び合成ユズ油における悪臭防止効果は、以上のこと
から単にリモネンによる効果ではなく、リモネン以外の
他成分との相乗的作用とも考えられるが、その優れた悪
臭防止効果を与える機序は現在不明である。

【０００８】従って、本発明は、ユズ精油及び／又は合
成ユズ油からなることを特徴とする消臭剤、及び該消臭
剤を含有してなることを特徴とする消臭剤組成物を提供
する。

【０００９】以下、本発明につき更に詳しく説明する。
本発明の消臭剤は、ユズ精油及び合成ユズ油の少なくと
も一方からなるものである。ここで、ユズ精油として
は、公知の水蒸気蒸留法によってユズの果皮又は果皮と
果肉とから得られる精油分を使用することができる。こ
のユズ精油に含有される具体的な成分としては、リモネ
ン、ノナノール、デカノール、ドデカノール、ネロー
ル、ゲラニオール、カルベオール、ペリラアルコール、
イソアミルアセテート、ブチルブチレート、エチルヘキ
サノエート、プレニールアセテート、オクタノール、メ
チルヘプチルケトン、フェンコン、ゲラニルアセトン、
シスジャスモン、エチルブチレート、エチルイソバレラ
ート、ブチルアセテート、チモール、イソアミルブチレ
ート、ヘキシールアセテート、シス−３−ヘキセニール
アセテート、ヘキシルブチレート、シス−３−ヘキセニ
ールブチレート、リナリールアセテート、ノニールアセ
テート、シトロネリールアセテート、１，８−シネオー
ル、γ−ノナラクトン、ジメチルトリスルフィド、デシ
ールアセテート、ミルテニールアセテート、ネリールア
セテート、ゲラニールアセテート、１−パラ−メンテ−
９−アール、ペリラアルデヒド、２，４−デカヂエナー
ル、メチルジャスモネート等が挙げられるが、天然物か
らの抽出物であるユズ精油は、原料のユズの産地、収穫
時期等によっては上記成分の全てが必ずしも含有される
ものではなく、また各成分の含有量も変動するが、本発
明の場合、このようなユズ精油の組成の変動の影響を受
けないので、いずれのユズ精油をも用いることができ
る。

【００１０】一方、合成ユズ油としては、公知の方法に
よってユズの香りがするように調香したものなどを使用
することができ、特にユズの香りがするように天然ユズ
油（ユズ精油）の分析された成分に基づいて成分を配合
して、必要に応じて不足する香りを分析で確認されてい
ない香料で補って合成して得られるものを好適に使用す
ることができる。この場合、具体的な組成としては、少
なくともリモネンを合成油全体の５０〜９９重量％、好
ましくは９５〜９８重量％、クミン油を０．０５〜５重
量％、好ましくは０．１〜３重量％、チモールを０．０
５〜１０重量％、好ましくは０．１〜５重量％、タイム
油を０．０５〜５重量％、好ましくは０．１〜３重量％
含むものが好適であり、その他必要に応じて上記ユズ精
油と同様の成分が適宜量含まれていることが望ましい。

【００１１】本発明の消臭剤組成物は、上記ユズ精油及
び／又は合成ユズ油を消臭有効成分として使用するが、
必要に応じて本発明の効果を妨げない範囲で、使用方
法、剤型等に合わせて水や有機溶媒で適宜濃度に希釈し
て使用することもできる。この場合、有機溶媒として
は、本発明の効果を妨げない限り特に限定されるもので
はなく、このような有機溶媒として、例えばエタノー
ル，イソプロピルアルコール等のアルコール類、アセト
ン等のケトン類などの親水性有機溶媒、ヘキサン，石油
エーテルなどの疎水性有機溶媒などが挙げられる。

【００１２】本発明の消臭剤組成物全体に対する上記消
臭剤の配合量は、適宜選定することができるが、０．０
０１重量％以上、好ましくは０．０１〜３０重量％、よ
り好ましくは０．０５〜１０重量％とすると好適であ
る。濃度が薄くなりすぎると十分な消臭効果が得られな
い場合がある。

【００１３】また、本発明の消臭剤組成物は、本発明の
効果を妨げない限り、使用するときの剤型などに応じて
リモネン、α−ピネン、ジエチルフタレート、ポリエチ
レングリコール、グリセリン、ベンジルベンゾエート、
セスキテルペン（商品名「ハーコリン」）、ジオクチル
アジペート、イソパラフィン、エタノール、イソプロピ
ルアルコール、アセトン、ヘキサン、石油エーテル等を
常用量配合することができる。

【００１４】本発明の消臭剤組成物は、使用態様が特に
限定されるものではなく、例えば家具用，室内用等のリ
ビング用消臭剤、歯磨剤，口中清涼剤，口臭消臭剤，口
臭消臭ガム，口臭消臭アメ等の口臭用消臭剤、腋下，足
等の体臭用消臭剤などの各種用途に使用することがで
き、その剤型も液剤，エアゾール等のスプレー剤，担体
への含浸，粉末，錠剤，顆粒剤等の各種剤型を用途に応
じて多岐にわたって選択することができ、その製造方法
も各用途及び剤型に応じて常用される成分を用いて製造
することができる。

【００１５】

【実施例】以下、実施例及び比較例によって本発明をよ
り具体的に説明する。なお、本発明は下記実施例に限定
されるものではない。

【００１６】［実施例１〜２、比較例１〜４］消臭剤と
してユズ精油５重量％、エタノール２０重量％、ＬＰＧ
７５重量％の組成となるように常法によりエアゾール剤
を調製し、実施例１の消臭剤組成物を得た。次に消臭剤
としてリモネン９８重量％を主成分とし、クミン油０．
１重量％，チモール０．１重量％，タイム０．１重量％
等を含む合成ユズ油５重量％、エタノール２０重量％、
ＬＰＧ７５重量％の組成となるように常法によりエアゾ
ール剤を調製し、実施例２の消臭剤組成物を得た。ま
た、消臭剤として和種ハッカ精油、レモン精油、ライム
精油、オレンジ精油をそれぞれ５重量％、エタノール２
０重量％、ＬＰＧ７５重量％の組成となるように常法に
よりそれぞれエアゾール剤を調製し、比較例１〜４の消
臭剤組成物を得た。

【００１７】各消臭剤組成物について以下の試験を行っ
て消臭効果を評価した。 ［試験例１］一般的な悪臭である硫化水素、メチルメル
カプタン、イソ吉草酸の臭気強度をそれぞれ表１に示し
た臭気強度の段階３に設定した臭気評価ボックスを用意
し、これらの悪臭に対する上記実施例及び比較例の各消
臭剤組成物の消臭効果を下記評価方法に従って専門パネ
ラーにより官能試験した。結果を表２に示す。

【００１８】

【表１】 ＜評価方法＞２０００リットル容の上記臭気評価ボック
スに上記消臭剤組成物をスプレーし（１回の噴霧量は
０．２ｇ）、１分間放置した後、悪臭に対する消臭効果
を１０名のパネラーが下記評価基準に基づいて官能評価
して、各パネラーの評価値の平均値を求めた。評価基準 評価値：評価基準 ５ ：悪臭をかなり強く感知できる臭い ４ ：悪臭を強く感知できる臭い ３ ：悪臭を容易に感知できる臭い ２ ：悪臭を弱く感知できる臭い １ ：悪臭を殆ど感知できない臭い ０ ：無臭

【００１９】

【表２】 表２の結果によれば、ユズ精油又は合成ユズ油を消臭有
効成分（消臭剤）として含有する本発明の消臭剤組成物
（実施例１、２）は、これら以外の植物精油を消臭有効
成分とする消臭剤組成物（比較例１〜４）に比べて、一
般的な各種悪臭に対して良好な消臭効果が得られること
が認められる。

【００２０】［試験例２］上記実施例及び比較例の消臭
剤組成物のトイレ悪臭に対する消臭効果を下記試験方法
によって官能評価した。結果を表３に示す。 ＜試験方法＞約２０００リットル容の家庭用トイレに排
便後（表１に示した臭気強度の段階３）、上記各消臭剤
組成物をスプレーして（１回の噴霧量は０．１ｇ）、１
０分間放置した後、排便臭の消臭効果を１０名のパネラ
ーにより上記評価基準に従って官能評価し、各パネラー
の評価点を平均した値を求めた。

【００２１】

【表３】 表３の結果によれば、本発明の消臭剤組成物（実施例
１、２）は、比較例１〜４の消臭剤組成物に比べて、排
便後の悪臭に対しても良好な消臭効果を発揮することが
認められる。

【００２２】［試験例３］上記実施例及び比較例の消臭
剤組成物の生ゴミ悪臭に対する消臭効果を下記試験方法
によって官能評価した。結果を表４に示す。 ＜試験方法＞１０リットル容のふた付き家庭用ゴミバケ
ツにキャベツ、タマネギ、イワシ、豚の挽肉を各５ｇず
つ入れて３日間放置した後（表１に示した臭気強度の段
階５）、各消臭剤組成物をスプレーし（１回の噴霧量は
０．１ｇ）、１分間放置した後、生ゴミ臭に対する消臭
効果を１０名のパネラーにより上記評価基準に従って官
能評価し、各パネラーの評価点を平均した値を求めた。

【００２３】

【表４】 表４の結果によれば、本発明の消臭剤組成物（実施例
１、２）は、比較例１〜４の消臭剤組成物に比べて、生
ゴミ臭に対しても良好な消臭効果を発揮することが認め
られる。

【００２４】［試験例４］上記実施例及び比較例の消臭
剤組成物の靴箱特有の悪臭に対する消臭効果を下記試験
方法によって官能評価した。結果を表５に示す。 ＜試験方法＞家庭用靴箱（表１に示した臭気強度の段階
３）に各消臭剤組成物をスプレーし（１回の噴霧量は
０．３ｇ）、３分間放置した後、靴箱悪臭に対する消臭
効果を１０名のパネラーにより上記評価基準に従って官
能評価し、各パネラーの評価点を平均した値を求めた。

【００２５】

【表５】 表５の結果によれば、本発明の消臭剤組成物（実施例
１、２）は、比較例１〜４の消臭剤組成物に比べて、靴
箱特有の悪臭に対しても良好な消臭効果を発揮すること
が認められる。

【００２６】

【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
ユズ精油及び／又は合成ユズ油を消臭有効成分として用
いることによって、硫黄系悪臭、窒素系悪臭、アルデヒ
ド系悪臭及び有機系悪臭の全ての系統の悪臭に対して優
れた消臭効果を得ることができる。従って、ユズ精油及
び／又は合成ユズ油からなる消臭剤を含有する本発明の
消臭剤組成物は、家具用，室内用等の家庭用消臭、歯磨
剤等の口臭用消臭、腋下用，足用等の体臭用消臭のよう
に各種用途の消臭剤組成物として有用である。

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【手続補正書】

【提出日】平成１０年３月３日

【手続補正１】

【補正対象書類名】明細書

【補正対象項目名】０００７

【補正方法】変更

【補正内容】

【０００７】即ち、ユズ精油及び合成ユズ油は、リモネ
ンを含有するものであるが、同じリモネンを含むオレン
ジ油、レモン油、ライム油等では、上述したように種々
の悪臭に対して十分に作用しない。ところが、リモネン
を含む植物精油として、ユズ精油及び合成ユズ油を用い
た場合、意外にも後述する実施例、比較例に示した通
り、硫化水素、メチルメルカプタンに代表される硫黄系
悪臭に対し、オレンジ油、レモン油、ライム油等に比較
して顕著な悪臭防止効果を有する上、イソ吉草酸に代表
される有機酸系悪臭、その他種々の悪臭に対する防止効
果に優れていることを知見したものである。なお、ユズ
精油及び合成ユズ油における悪臭防止効果は、以上のこ
とから単にリモネンによる効果ではなく、リモネン以外
の他成分との相乗的作用とも考えられるが、その優れた
悪臭防止効果を与える機序は現在不明である。

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 ユズ精油及び／又は合成ユズ油からなる
   ことを特徴とする消臭剤。
2. 【請求項２】 上記消臭剤を含有してなることを特徴と
   する消臭剤組成物。