JPH11209463A - β−ブチロラクトンの単独重合体または共重合体の製造方法 - Google Patents

β−ブチロラクトンの単独重合体または共重合体の製造方法

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JPH11209463A
JPH11209463A JP10021435A JP2143598A JPH11209463A JP H11209463 A JPH11209463 A JP H11209463A JP 10021435 A JP10021435 A JP 10021435A JP 2143598 A JP2143598 A JP 2143598A JP H11209463 A JPH11209463 A JP H11209463A
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copolymer
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Yasushi Hori
容嗣 堀
Yoshiharu Gonda
嘉治 権田
Toshimitsu Hagiwara
利光 萩原
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Takasago International Corp
Takasago Perfumery Industry Co
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 生分解性、生体吸収性で機能性高分子材料と
して有用であり、しかも力学的特性にも優れる高分子量
のβ−ブチロラクトンの単独重合体又は共重合体を高収
率で生産性良く製造し得る方法の提供。 【解決手段】 混在する酸の除去と脱水処理を予め行っ
たβ−ブチロラクトンを単独で用いるか又は他のラクト
ン類と併用して、下記の式(1)で表されるスズ化合物及
び/又は式(2)で表されるスズ化合物の存在下に開環重
合する本発明の前記単独重合体又は共重合体の製造法に
より上記課題が解決される。 【化1】 (式中、R1及びR2並びにR4〜R7は炭素数1〜12の
分岐鎖を有していてもよいアルキル基又は炭素数5〜7
のシクロアルキル基 、或いは置換基を有していてもよ
いフェニル基又はナフチル基を示し、R3は置換基を有
していてもよい炭素数2〜12のアルキレン基、シクロ
ペンタン−1,2−イレン基又はシクロヘキサン−1,
2−イレン基を示し、nは1〜10の自然数を示す。)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、生分解性および生
体吸収性という特性を有していて、機能性高分子材料と
して有用なβ−ブチロラクトンの単独重合体または共重
合体の製造方法、並びにそれにより得られる重合体に関
する。より詳細には、本発明は、特定の予備処理を行っ
たβ−ブチロラクトンを用いて特定の触媒の存在下にβ
−ブチロラクトンを単独で開環重合するか、または他の
ラクトン類と開環共重合して、従来にない極めて高い分
子量を有するβ−ブチロラクトンの単独重合体または共
重合体を製造する方法、およびそれにより得られる重合
体に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、β−ブチロラクトンに由来する3
−ヒドロキシ酪酸単位、特に(R)体−3−ヒドロキシ
酪酸単位からなる重合体を産生して菌体内に蓄積する微
生物が数多く存在することが報告されている[P.A. H
olmes,Phys. Technol., Vol.16,p32(198
5);「生分解性高分子材料」、26頁、土肥義治著、
工業調査会1990年発行参照]。微生物が産生する
(R)体−3−ヒドロキシ酪酸単位からなる重合体は、
数平均分子量が10万〜100万に達する高い分子量を
有する熱可塑性樹脂であることが報告されている[Mic
robial Polyesters,p2、土肥義治著、VCH Publishe
rs(1990年)]。
【0003】3−ヒドロキシ酪酸単位からなる重合体
は、生分解性であって酵素により加水分解され、しかも
生体適合性を有しており、そのために新しいタイプの機
能性材料として注目されており、微生物または酵素反応
を用いる製造法が試みられている[「生分解性高分子材
料」19頁(土肥義治著、工業調査会1990年発
行)、特開平4−292619号公報参照]。しかしな
がら、微生物または酵素反応を利用する製造法は、特殊
な微生物の準備や、生成した重合体の微生物(菌体)か
らの分離等に繁雑な手間を要し、しかも生産量が少ない
ため、生産性が低く、コストが高くなる。
【0004】また、微生物を用いる方法とは別に、ラセ
ミ体のβ−ブチロラクトンを化学的に開環重合してポリ
(3−ヒドロキシ酪酸)を製造する方法が従来色々提案
されており、そのような従来技術としては、トリエチ
ルアルミニウムおよび水からなる触媒系を用いる方法
[R. A. Gross ら、Macromolecules, Vol. 21,
p2657−2668(1988)]、ジエチル亜鉛
および水からなる触媒系を用いる方法[Y. Zhang
ら、Macromolecules, Vol. 23,p3206−32
12(1990); N. Tanahashi ら、Macromolecul
es, Vol. 24,p5732−5733(199
1)]、アルミニウム−ポルフィリン錯体を触媒とし
て用いる方法[S.Asano ら Macromolecules, Vo
l.18, p2057−2061(1985)]、重
合開始剤としてカリウム化合物またはその溶液を用いる
方法[Z. Jedlinski ら、Macromolecules, Vol. 1
8,p2679−2683(1985)]、重合開始
剤としてマグネシウムやスズ等の金属のアルコキシドを
用いる方法[H.R.Kricheldorf ら、Macromolecul
es, Vol.21,p286−293(1988)]、
重合開始剤として6員環の環状スズ化合物またはスピロ
環状スズ化合物を用いる方法[H. R. Kricheldorf
ら、Macromolecules, Vol.28,p6718−672
5(1995);H.R.Kricheldorf ら、Macromol
ecules, Vol. 29,p8689−8695(199
6)]を挙げることができる。しかしながら、上記〜
の従来法による場合は、そこで得られるラセミ体β−
ブチロラクトンの重合体、すなわちラセミ体−ポリ(3
−ヒドロキシ酪酸)は、いずれもその重量平均分子量が
39,000以下の低分子量の重合体であるため、それ
を用いてフィルムやその他の製品を円滑に製造すること
ができず、たとえフィルムなどが得られてもその力学的
特性に劣っており、実用価値が低い。
【0005】
【発明の内容】上記のような状況下に、本発明者らは、
分子量が高くて実用に耐え得る力学的特性を有し、各種
の成形品やその他の他の用途に有効に用いることのでき
るβ−ブチロラクトンの重合体を、微生物を用いずに化
学的方法で生産性良く製造すべく研究を行ってきた。そ
の結果、β−ブチロラクトンを単独で、またはβ−ブチ
ロラクトンと他のラクトン類を、特定の触媒、すなわち
ハロゲン原子および/またはイソチオシアネート基を有
する特定のジスタノキサン誘導体、カルボン酸スズ化合
物およびジ低級アルキルスズオキサシドから選ばれるス
ズ化合物の1種以上を用いて開環重合すると、上記した
従来法の合成法で得られるよりも大幅に高い分子量(約
100,000〜860,000の重量平均分子量)を
有するβ−ブチロラクトンの単独重合体[ポリ(3−ヒ
ドロキシ酪酸)]、および約100,000〜400,
000の重量平均分子量を有するβ−ブチロラクトンと
他のラクトン類との共重合体が得られることを見出して
先に出願した(特開平6−256482号公報、特開平
6−329768号公報、特開平8−53540号公報
参照)。
【0006】そして、本発明者らは、上記の出願を踏ま
えてさらに検討を重ねてきた。その結果、β−ブチロラ
クトンを単独で重合するか、または他のラクトン類と共
重合するに当たって、β−ブチロラクトン中に含まれる
酸および水を予め除去しておき、さらに触媒として下記
の一般式(1)で表されるスズ化合物および下記の一般
式(2)で表されるスズ化合物のうちの少なくとも1種
を用いると、本発明者らによる上記した特開平6−25
6482号公報、特開平6−329768号公報、特開
平8−53540号公報に記載した方法によるよりも一
層高い分子量を有するβ−ブチロラクトンの単独重合体
また共重合体が、高収率で、生産性良く得られることを
見出して、本発明を完成した。今回得られたβ−ブチロ
ラクトンの単独重合体および共重合体は、いずれも50
0,000以上、場合によっては1,000,000以
上の高い重量平均分子量を有しており、特にβ−ブチロ
ラクトンの単独重合体では重量平均分子量が860,0
00を超えるものが容易に得られる。
【0007】したがって、本発明は、β−ブチロラクト
ンを単独で用いるか又はβ−ブチロラクトンと他のラク
トン類を用いて開環重合を行って、β−ブチロラクトン
の単独重合体または共重合体を製造する方法であって、
β−ブチロラクトンとしてそれに含まれる酸の除去およ
び脱水処理を予め行ったものを使用して、且つ下記の一
般式(1);
【0008】
【化3】 (式中、R1 およびR2はそれぞれ独立して炭素数1〜
12の分岐鎖を有していてもよいアルキル基または炭素
数5〜7のシクロアルキル基 、或いは置換基を有して
いてもよいフェニル基またはナフチル基を示し、R3
置換基を有していてもよい炭素数2〜12のアルキレン
基、シクロペンタン−1,2−イレン基またはシクロヘ
キサン−1,2−イレン基を示し、そしてnは1〜10
の自然数を示す。)で表されるスズ化合物[以下「スズ
化合物(1)」という]、および下記の一般式(2);
【0009】
【化4】 (式中、R4〜R7はそれぞれ独立して炭素数1〜12の
分岐鎖を有していてもよいアルキル基または炭素数5〜
7のシクロアルキル基 、或いは置換基を有していても
よいフェニル基またはナフチル基を示す。)で表される
スズ化合物[以下「スズ化合物(2)」という]よりな
る群から選ばれる1種または2種以上の化合物の存在下
に、前記開環重合を行うことを特徴とするβ−ブチロラ
クトンの単独重合体または共重合体の製造方法である。
【0010】
【発明の実施の形態】以下に本発明について詳細に説明
する。本発明では、β−ブチロラクトンとして、得られ
る重合体の用途などに応じて、ラセミ体、(R)体、
(S)体、それらの2種以上の混合物などを用いること
ができる。β−ブチロラクトンの製法は特に制限され
ず、従来既知のいずれの方法によって製造したものであ
ってもよい。何ら限定されるものではないが、本発明で
用いるβ−ブチロラクトンは、例えば、本出願人による
特開平6−128245公報、特開平7−188201
号公報または特開平7−206885号公報に開示され
ている方法、すなわち、ジケテンをルテニウム−光学活
性ホスフィン錯体を触媒として不斉水素化を行って
(R)体または(S)体のβ−ブチロラクトンを製造す
る方法により容易に得ることが出来る。また、ラセミ体
のβ−ブチロラクトンは市販品を使用してもよい。ま
た、β−ブチロラクトンは光学純度の高いものから低い
ものまで使用することができる。
【0011】本発明では、β−ブチロラクトンとして、
β−ブチロラクトン中に含まれている酸を除去し且つ脱
水処理を予め行ったものを用いることが必要である。酸
の除去および脱水処理の両方を予め行ってないβ−ブチ
ロラクトン、または脱水処理のみを予め行ったβ−ブチ
ロラクトンを用いる場合は、本発明におけるのと同じス
ズ化合物(1)および/またはスズ化合物(2)を用い
ても、分子量の高い重合体を得ることができず、得られ
るβ−ブチロラクトンの単独重合度および共重合体の数
平均分子量はいずれも通常60,000以下である。
【0012】本発明で用いる上記の予備処理を行ったβ
−ブチロラクトンでは、酸の除去と脱水処理の順序は特
に制限されず、酸を除去した後に脱水処理したものであ
っても、脱水処理した後に酸の除去を行ったものであっ
ても、または酸の除去と脱水処理を同時に行ったもので
あってもよく、そのうちでも、酸の除去を行った後に脱
水処理を行ったものが、β−ブチロラクトンから酸およ
び水が完全に除去されているので好ましく用いるられ
る。
【0013】β−ブチロラクトンに含まれる酸の除去に
当たっては、β−ブチロラクトンにアルカリ化合物の1
種または2種以上をそのまま直接、また場合によっては
少量の非水溶媒に分散させて添加して、β−ブチロラク
トン中に含まれる酸(主として酪酸)とアルカリ化合物
を反応させて塩を形成させ、前記で生成した塩をβ−ブ
チロラクトンから除去する方法が一般に好ましく採用さ
れる。酸の除去に用いるアルカリ化合物としては、無機
アルカリ性化合物、有機アルカリ性化合物、両者の混合
物のいずれも使用可能である。そのうちでも、本発明で
は、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の炭酸塩、重
炭酸塩、酸化物などの無機アルカリ性化合物の1種また
は2種以上が好ましく用いられ、具体例としては、炭酸
ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグ
ネシウム、炭酸バリウム、重炭酸ナトリウム、重炭酸カ
リウム、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化バリ
ウムなどを挙げることができる。前記したうちでも、炭
酸ナトリウム、炭酸カリウムなどが安価で容易に入手で
きる点から好ましく用いられる。前記した無機アルカリ
性化合物を用いる場合は、β−ブチロラクトン中に含ま
れる酸と無機アルカリ性化合物とから一般にβ−ブチロ
ラクトンに不溶性の塩が固形物の形態で形成されるの
で、それを液状を呈するβ−ブチロラクトンから濾過な
どによって除去することによって、β−ブチロラクトン
中に混在する酸を容易に除去することができる。
【0014】β−ブチロラクトンへのアルカリ性化合物
の添加量は、β−ブチロラクトン中に含まれる酸の量に
応じて調節すればよく、一般に、β−ブチロラクトン中
に含まれる酸の約1〜2モル倍のアルカリ性化合物を添
加して酸を除去することが好ましい。酸の除去操作は、
β−ブチロラクトン中に含まれる酸が完全に除去でき、
且つβ−ブチロラクトンの変質や減量を伴わない方法で
あればいずれの方法で行ってもよく、一般には、β−ブ
チロラクトンにアルカリ性化合物を上述のように直接そ
のまま添加するか、または場合によっては非水溶媒に分
散させて添加し、0〜30℃の温度下に、好ましくは撹
拌しながら2〜24時間保って酸とアルカリ性化合物を
反応させて塩を形成させ、次いで前記で生成した塩を濾
過やその他の方法によりβ−ブチロラクトンから分離除
去する方法が好ましく採用される。酸の除去は、不活性
ガス(例えばアルゴンガス、窒素ガスなど)の雰囲気下
で行うことが好ましい。
【0015】上記したようにして混在する酸を除去した
β−ブチロラクトンを脱水処理して、β−ブチロラクト
ン中に含まれる水分を除去する。β−ブチロラクトンの
脱水処理方法としては、β−ブチロラクトン中に含まれ
る水分を円滑に除去し得る方法であればいずれの方法を
用いてよい。そのうちでも、β−ブチロラクトン中に乾
燥剤を添加して水分を除去する方法が好ましく採用さ
れ、乾燥剤の具体例としては、水素化カルシウム、酸化
マグネシウム、酸化バリウムなどを挙げることができ、
これらの1種または2種以上を用いることができる。β
−ブチロラクトンへの乾燥剤の添加量は、β−ブチロラ
クトン中に含まれる水分の量に応じて調節すればよい。
脱水処理は、不活性ガス(例えばアルゴンガス、窒素ガ
スなど)の雰囲気下で行うことが好ましい。
【0016】次いで、上記で脱水処理を行ったβ−ブチ
ロラクトンを、β−ブチロラクトン中に乾燥剤を含有さ
せたままの状態でまたは乾燥剤を除去した後に、蒸留す
ることによって、本発明の方法で用いるβ−ブチロラク
トンが得られる。蒸留操作は、減圧下に行うことが好ま
しく、具体的には、10〜100Torrの減圧下にお
いて50〜100℃の範囲の温度で行うことが好まし
く、10〜25Torrの減圧下において50〜70℃
の範囲の温度で行うことがより好ましい。これにより得
られるβ−ブチロラクトンは、重合体の製造時まで不活
性ガス(例えばアルゴンガス、窒素ガスなど)の雰囲気
下に貯蔵しておくことが好ましい。
【0017】本発明では、上記によって酸を除去し且つ
脱水処理したβ−ブチロラクトンを単独で用いて、また
は該β−ブチロラクトンと他のラクトン類を併用して、
β−ブチロラクトンの単独重合体または共重合体、すな
わち3−ヒドロキシ酪酸単位を有するラクトン由来のポ
リエステルを製造する。
【0018】β−ブチロラクトンの共重合体を製造する
場合は、他のラクトン類として、β−ブチロラクトン以
外の4〜17員環までのラクトン類のいずれもが使用で
き、具体例としては、4員環のβ−プロピオラクトン、
α−メチル−β−プロピオラクトン、α,α−ジメチル
−β−プロピオラクトン、α,β-ジメチル−β−プロ
ピオラクトン、β−エチル−β−プロピオラクトン、β
−プロピル−β−プロピオラクトン、β−ブチル−β−
プロピオラクトン、β−ペンチル−β−プロピオラクト
ン、β−ペンタデシル−β−プロピオラクトン;5員環
のγ−ブチロラクトン、α−メチル−γ−ブチロラクト
ン、β−メチル−γ−ブチロラクトン、γ−メチル−γ
−ブチロラクトン;6員環のδ−バレロラクトン、β−
メチル−δ−バレロラクトン;7員環のε−カプロラク
トン、7−メチル−1,4−ジオキセパン−5−オン;
12員環の11−ウンデカノリド;16員環の15−ペ
ンタデカノリド;17員環の16−ヘキサデカノリド、
9−ヘキサデセン−16−オリド、12−オキサ−16
−ヘキサデカノリド、11−オキサ−16−ヘキサデカ
ノリド及び10−オキサ−16−ヘキサデカノリド等を
挙げることができる。本発明では、前記した他のラクト
ン類の1種または2種以上を用いることができる。
【0019】他のラクトン類は、市販品を用いても、ま
たは本発明のために合成して用いてもよいが、いずれの
場合も精製したものを用いることが好ましく、例えば、
水素化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化バリウムな
どの乾燥剤を加えて蒸留する操作を1度または2度以上
繰り返して精製し、使用前まで不活性ガス中で保存した
ものを使用することが好ましい。また、他のラクトン類
として、前記した脱水・蒸留処理の前に、該他のラクト
ン類中に含まれる酸を、β−ブチロラクトンの場合と同
様にして除去したものを用いることがより好ましい。β
−ブチロラクトンと他のラクトン類の共重合体の製造に
当たっては、β−ブチロラクトンと他のラクトン類の共
重合割合は特に制限されず、得られる共重合体の用途な
どに応じて調節することができ、一般にはβ−ブチロラ
クトン:他のラクトン類のモル比を99:1〜1:99
とすることが好ましく、99:1〜50:50とするこ
とがより好ましい。また、必要に応じて、β−ブチロラ
クトンおよび他のラクトン類と共に、他のモノマー単位
を共存させてもよい。
【0020】本発明では、β−ブチロラクトンの単独重
合、またはβ−ブチロラクトンと他のラクトン類の共重
合を、上記のスズ化合物(1)およびスズ化合物(2)
からなる群から選ばれる1種または2種以上の存在下に
行う。本発明で用いるスズ化合物(1)および/または
スズ化合物(2)の製法は特に制限されず、いずれの方
法で製造したものであってもよい。何ら限定されるもの
ではないが、本発明で用いるスズ化合物(1)および/
またはスズ化合物(2)は、例えば、公知の方法に従い
ジ置換スズオキサイドとジオール類を不活性溶媒中で共
沸脱水させることにより容易に得ることができる[J.
Organomet.Chem.5 p263(1966);Macro
molecules,Vol.28,p6718−6725(19
95);Macromolecules,Vol.29,p8689−
8695(1996)参照]。
【0021】スズ化合物(1)において、R1およびR2
は、それぞれ独立して炭素数1〜12の分岐鎖を有して
いてもよいアルキル基または炭素数5〜7のシクロアル
キル基、或いは置換基を有していてもよいフェニル基ま
たはナフチル基である。また、R3は置換基を有してい
てもよい炭素数2〜12のアルキレン基、シクロペンタ
ン−1,2−イレン基またはシクロヘキサン−1,2−
イレン基である。R3が置換基を有する炭素数2〜12
のアルキレン基である場合は、置換基が、水酸基を有し
ていてもよい炭素数1または2の低級アルキル基、メト
キシメチル基、シクロヘキシル基、水酸基を有していて
もよいフェニル基またはナフチル基であることが好まし
い。そしてnは、1〜10の自然数である。
【0022】スズ化合物(1)におけるR1およびR2
具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル
基、i−プロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、鎖
状または分岐したペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル
基、オクチル基、デシル基などの分岐鎖を有していても
よい炭素数1〜12のアルキル基、シクロヘキシル基、
フェニル基、p−ブロモフェニル基、p−メトキシフェ
ニル基などの置換基を有するフェニル基、ナフチル基な
どを挙げることができる。そのうちでも、R1およびR2
がn−ブチル基であることが好ましい。
【0023】スズ化合物におけるR3の具体例として
は、エチレン基、メチルエチレン基、1,2−ジメチル
エチレン基、1,1,2,2−テトラメチルエチレン
基、トリメチレン基、2,2−ジメチルトリメチレン
基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチ
レン基などのアルキレン基;トランス−シクロペンタン
−1,2−イレン基、シス−シクロペンタン−1,2−
イレン基などのシクロペンタン−1,2−イレン基;ト
ランス−シクロヘキサン−1,2−イレン基、シス−シ
クロヘキサン−1,2−イレン基などのシクロヘキサン
−1,2−イレン基を挙げることができる。
【0024】スズ化合物(1)の好ましい具体例として
は、1,1−ジメチルスタナ−2,5−ジオキサシクロ
ペンタン、1,1−ジエチルスタナ−2,5−ジオキサ
シクロペンタン、1,1−ジブチルスタナ−2,5−ジ
オキサシクロペンタン、1,1−ジオクチルスタナ−
2,5−ジオキサシクロペンタン、1,1−ジドデシル
スタナ−2,5−ジオキサシクロペンタン、1,1−ジ
フェニルスタナ−2,5−ジオキサシクロペンタン、
1,1−ジブチルスタナ−3−メチル−2,5−ジオキ
サシクロペンタン、1,1−ジオクチルスタナ−3−メ
チル−2,5−ジオキサシクロペンタン、1,1−ジブ
チルスタナ−3,4−ジメチル−2,5−ジオキサシク
ロペンタン、1,1−ジオクチルスタナ−3,4−ジメ
チル−2,5−ジオキサシクロペンタン、1,1−ジブ
チルスタナ−3,3,4,4−テトラメチル−2,5−
ジオキサシクロペンタン、1,1−ジオクチルスタナ−
3,3,4,4−テトラメチル−2,5−ジオキサシク
ロペンタン、トランス−ジブチルスズ−1,2−ジオキ
シシクロペンタン、トランス−ジオクチルスズ−1,2
−ジオキシシクロペンタン、シス−ジブチルスズ−1,
2−ジオキシシクロペンタン、シス−ジオクチルスズ−
1,2−ジオキシシクロペンタン、トランス−ジブチル
スズ−1,2−ジオキシシクロヘキサン、トランス−ジ
オクチルスズ−1,2−ジオキシシクロヘキサン、シス
−ジブチルスズ−1,2−ジオキシシクロヘキサン、シ
ス−ジオクチルスズ−1,2−ジオキシシクロヘキサ
ン、1,1−ジメチルスタナ−2,6−ジオキサシクロ
ヘキサン、1,1−ジブチルスタナ−2,6−ジオキサ
シクロヘキサン、1,1−ジオクチルスタナ−2,6−
ジオキサシクロヘキサン、1,1−ジフェニルスタナ−
2,6−ジオキサシクロヘキサン、1,1−ジブチルス
タナ−4,4−ジメチル−2,6−ジオキサシクロヘキ
サン、1,1−ジオクチルスタナ−4,4−ジメチル−
2,6−ジオキサシクロヘキサン、1,1−ジフェニル
スタナ−4,4−ジメチル−2,6−ジオキサシクロヘ
キサン、1,1−ジメチルスタナ−2,7−ジオキサシ
クロヘプタン、1,1−ジブチルスタナ−2,7−ジオ
キサシクロヘプタン、1,1−ジオクチルスタナ−2,
7−ジオキサシクロヘプタン、1,1−ジフェニルスタ
ナ−2,7−ジオキサシクロヘプタン、1,1−ジメチ
ルスタナ−2,8−ジオキサオクタンオリゴマー、1,
1−ジブチルスタナ−2,8−ジオキサオクタンオリゴ
マー、1,1−ジオクチルスタナ−2,8−ジオキサオ
クタンオリゴマー、1,1−ジフェニルスタナ−2,8
−ジオキサオクタンオリゴマー、1,1−ジメチルスタ
ナ−2,9−ジオキサノナンオリゴマー、1,1−ジブ
チルスタナ−2,9−ジオキサノナンオリゴマー、1,
1−ジオクチルスタナ−2,9−ジオキサノナンオリゴ
マー、1,1−ジフェニルスタナ−2,9−ジオキサノ
ナンオリゴマーなどが挙げられる。そのうちでも、スズ
化合物の入手が容易である点から、1,1−ジブチルス
タナ−2,5−ジオキサシクロペンタン、1,1−ジブ
チルスタナ−2,9−ジオキサノナンオリゴマー、1,
1−ジオクチルスタナ−2,5−ジオキサシクロペンタ
ンなどが好ましく用いられる。
【0025】また、スズ化合物(2)において、R4
5、R6およびR7は、それぞれ独立して、炭素数1〜
12の分岐鎖を有していてもよいアルキル基または炭素
数5〜7のシクロアルキル基 、或いは置換基を有して
いてもよいフェニル基またはナフチル基である。R4
5、R6およびR7の具体例としてはメチル基、エチル
基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、
t−ブチル基、鎖状または分岐したペンチル基、ヘキシ
ル基、ヘプチル基、オクチル基、デシル基などの分岐鎖
を有していてもよい炭素数1〜12のアルキル基、シク
ロヘキシル基、フェニル基、p−ブロモフェニル基、p
−メトキシフェニル基などの置換基を有するフェニル
基、ナフチル基などを挙げることができる。そのうちで
も、R4、R5、R6およびR7がブチル基、オクチル基で
あることが好ましい。
【0026】スズ化合物(2)の好ましい具体例として
は、4,4’−スピロビ[1,1−ジメチルスタナ−
2,6−ジオキサシクロヘキサン]、4,4’−スピロ
ビ[1,1−ジエチルスタナ−2,6−ジオキサシクロ
ヘキサン]、4,4’−スピロビ[1,1−ジブチルス
タナ−2,6−ジオキサシクロヘキサン]、4,4’−
スピロビ[1,1−ジオクチルスタナ−2,6−ジオキ
サシクロヘキサン]、4,4’−スピロビ[1,1−ジ
ドデシルスタナ−2,6−ジオキサシクロヘキサン]な
どが挙げられる。
【0027】本発明では、スズ化合物(1)およびスズ
化合物(2)のうちの1種または2種以上を触媒として
用いて、β−ブチロラクトンの単独重合またはβ−ブチ
ロラクトンと他のラクトン類の共重合を行う。スズ化合
物(1)および/またはスズ化合物(2)の使用量(2
種以上を併用する場合はその合計量)は、原料モノマー
1モルに対して1/2000〜1/40000モルの量
で使用することが好ましく、1/4000〜1/200
00モルの量で使用することがより好ましい。
【0028】β−ブチロラクトンの単独重合またはβ−
ブチロラクトンと他のラクトン類の共重合を行うに当た
っては、前記の酸除去および脱水処理を予め行なったβ
−ブチロラクトン中にスズ化合物(1)および/または
スズ化合物(2)を添加して、溶媒の不存在下に開環重
合を行っても、または有機溶媒を用いて開環重合を行っ
てもよく、そのうちでも有機溶媒を用いる後者の方法
が、重合反応の制御の点から好ましく採用される。その
際の有機溶媒としては、通常の開環重合に使用される溶
媒であれば特に限定されず、いずれも使用でき、具体例
としては、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラ
ン、1,4−ジオキサンなどのエーテル類、臭化メチレ
ン、ジクロロエタンなどのハロゲン化炭化水素類、トル
エン、ベンゼン、キシレンなどの芳香族炭化水素類等を
挙げることができる。これらの溶媒は1種または2種以
上を用いてもよい。有機溶媒は、精製したものを用いる
ことが好ましく、例えば、エーテル類および芳香族炭化
水素類の場合は金属ナトリウムおよびベンゾフェノンを
加えて不活性ガス雰囲気下に蒸留して精製し使用前まで
不活性ガス中で保存したものを使用することが好まし
く、また有機ハロゲン化炭化水素類の場合は水素化カル
シウムを加えて不活性ガス雰囲気下に蒸留して精製して
使用前まで不活性ガス中で保存したものを使用すること
が好ましい。
【0029】有機溶媒の使用量は特に制限されないが、
一般に、重合原料である上記したラクトンモノマーの重
量の約1〜2倍の量で用いることが好ましい。また、有
機溶媒は重合反応の最初から反応系に加えても、または
反応の途中に加えてもよい。そのうちでも、有機溶媒の
不存在下にモノマーに上記したスズ化合物(1)および
/またはスズ化合物(2)を添加して約2〜6時間程度
開環重合を行った後に、有機溶媒を加えて開環重合を最
後まで継続して行う方法が好ましく採用され、その場合
には、目的とする高分子量のβ−ブチロラクトンの単独
重合体または共重合体を高収率で得ることができる。
【0030】β−ブチロラクトンの単独重合体または共
重合体を製造するための開環重合時の圧力および温度
は、目的とする重合体を円滑に製造し得る圧力および温
度であればいずれの条件を採用してもよい。一般には、
常圧下に40〜100℃の温度で開環重合を行うこと
が、工程面、装置面、製造コスト面で有利であり、前記
の条件下に一般に1時間〜7日間をかけて開環重合を行
うことによって、目的とする高分子量のβ−ブチロラク
トンの単独重合体または共重合体を円滑に得ることがで
きる。また、β−ブチロラクトンの単独重合、またはβ
−ブチロラクトンと他のラクトン類の共重合は、アルゴ
ンガス、窒素ガスなどの不活性ガス雰囲気中で行うこと
が好ましい。
【0031】上記した本発明の方法により得られるβ−
ブチロラクトンの単独重合体および共重合体は、いずれ
も重量平均分子量が500,000以上であって高い分
子量を有しており、場合によって重量平均分子量が1,
000,000を超えるような極めて高い分子量を有す
る重合体を得ることができる。特に、本発明により得ら
れるβ−ブチロラクトンの単独重合体は、殆どの場合に
その重量平均分子量が860,000を超えている。か
かる高い分子量を有するβ−ブチロラクトンの単独重合
体または共重合体は、上記したような従来技術では得ら
れていない。
【0032】本発明で得られるβ−ブチロラクトンの単
独重合体および共重合体は、通常のラクトン系のポリエ
ステルと同様に熱可塑性を示し、それと併せて上記した
高い分子量を有していることによって、汎用の熱可塑性
ポリエステルと同様に、加熱溶融成形、加熱溶融紡糸、
その加熱加工などが可能であり、それによって各種成形
品や繊維、その他の製品の製造に有効に用いることがで
きる。本発明によるβ−ブチロラクトンの単独重合体ま
たは共重合体を用いて得られる成形品、繊維、その他の
製品は、それらを構成している重合体の分子量が高く
て、力学的特性に優れ、融点が高く、しかも生分解性で
あるために、その使用時には十分な実用性を保ち、使用
後は微生物によって分解されることができ、環境汚染の
問題を低減することができる。また、本発明により得ら
れるβ−ブチロラクトンの単独重合体および共重合体
は、生体適合性であるので、各種の医療用品にも有効に
使用できる。さらに、本発明のβ−ブチロラクトンの単
独重合体および共重合体は、これまで汎用されてきたポ
リエステルが用いられていたのと同様の用途にも有効に
使用することができる。何ら限定されないが、本発明で
得られるβ−ブチロラクトンの単独重合体および共重合
体の用途の例としては、各種用途に用いるフィルムやシ
ート(例えば包装用、農業用、医療用のフィルムやシー
ト)、繊維や糸(例えば手術用縫合糸、釣り糸、手術衣
など)、各種成形品(食品用トレーや容器等)を挙げる
ことができる。
【0033】
【実施例】以下に、実施例などにより本発明について具
体的に説明するが、本発明はそれらの例によって何ら限
定されるものではない。 《参考例1》[1,1−ジブチルスタナ−2,5−ジオ
キサシクロペンタンの合成] (1) Dean−Stark装置を付けた500mlの反応
容器に、ジブチルスズオキサイド24.98g(0.1
mol)、エチレングリコール6.21g(0.1mo
l)を入れ、装置内をアルゴン置換した。ベンゼン25
0mlを加え、93℃で共沸脱水し、均一溶液となるま
で4時間攪拌した後、溶液を熱時濾過した。ベンゼンを
減圧留去し、得られた白色固体を60℃で3時間真空乾
燥して、1,1−ジブチルスタナ−2,5−ジオキサシ
クロペンタンを27.6g(収率94.2%)得た。 (2) 上記(1)で得られた1,1−ジブチルスタナ
−2,5−ジオキサシクロペンタンの融点を示差走査熱
量計(DSC)(使用機器;株式会社島津製作所製「D
SC50」)にて測定したところ235℃であり、また
分子量を日立製作所(株)製「M−2000A型装置」
を用いて、SIMS法にて測定したところ、M-=23
9に分子イオンピークがあった。 (3) さらに、上記(1)で得られた1,1−ジブチ
ルスタナ−2,5−ジオキサシクロペンタンの核磁気共
鳴スペクトル(NMR)[使用機器;ブルカー社製「A
M−400型装置」(400MHz)]は、次のとおり
であった。 ・1H−NMR(400MHz,CDCl3)δppm:0.
92(6H,t)、1.25〜1.5(8H,m)、1.5〜1.8(4H,m)、3.62(4
H,br) ・13C−NMR(100MHz,CDCl3)δppm:1
3.6(CH3)、22.3(CH2)、27.0(CH2)、27.5(CH2)、63.1(OC
H2)
【0034】《参考例2》[1,1−ジブチルスタナ−
2,9−ジオキサノナンオリゴマーの合成] (1) Dean−Stark装置を付けた100mlの反応
容器に、ジブチルスズオキサイド1g(4.02mmo
l)、1,6−ヘキサンジオール 0.4747g
(4.02mmol)を入れ、装置内をアルゴン置換し
た。トルエン70mlを加え、135℃で共沸脱水し、
均一溶液となるまで6.5時間攪拌した。室温で一晩静
置し、析出した白色固体を濾過した。白色固体を50℃
で5時間真空乾燥して、1,1−ジブチルスタナ−2,
9−ジオキサノナンオリゴマーを1.22g(収率8
7.0%)得た。 (2) 上記(1)で得られた1,1−ジブチルスタナ
−2,9−ジオキサノナンオリゴマーの融点を参考例1
と同様にして測定したところ40.1℃であった。 (3) また、上記(1)で得られた1,1−ジブチル
スタナ−2,9−ジオキサノナンオリゴマーの分子量を
ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)(使用機器;日
立製作所(株)製「D−2520GPC Integrato
r」:測定条件;ポリスチレンスタンダード)にて測定
したところ、その重量平均分子量(MW)=1987〜
2017、および数平均分子量(Mn)=5〜6であっ
た。
【0035】《参考例3》[1,1−ジオクチルスタナ
−2,5−ジオキサシクロペンタンの合成] (1) Dean−Stark装置を付けた100mlの反応
容器に、ジオクチルスズオキサイド2.0005g
(5.54mmol)、エチレングリコール0.344
g(5.54mmol)を入れ、装置内をアルゴン置換
した。トルエン70mlを加え、135℃で共沸脱水
し、均一溶液となるまで25.5時間攪拌した。60℃
まで放冷後、トルエンを減圧留去した。得られた白色固
体を60℃で5時間真空乾燥して、1,1−ジオクチル
スタナ−2,5−ジオキサシクロペンタン2.19g
(収率97.6%)を得た。 (2) 上記(1)で得られた1,1−ジブチルスタナ
−2,5−ジオキサシクロペンタンの融点を参考例1と
同様にして測定したところ148.4℃であった。 (3) 上記(1)で得られた1,1−ジオクチルスタ
ナ−2,5−ジオキサシクロペンタンの分子量を参考例
1と同様にして測定したところ、M+=405に分子イ
オンピークが検出された。 (4) また、上記(1)で得られた1,1−ジオクチ
ルスタナ−2,5−ジオキサシクロペンタンのNMRを
参考例1と同様にして測定したところ、次のとおりであ
った。 ・1H−NMR(400MHz,CDCl3)δppm:0.
88(6H,t)、1.1〜1.42(24H,m)、1.5〜1.8(4H,m)、3.62(4
H,br) ・13C−NMR(100MHz,CDCl3)δppm:1
4.07(CH3)、22.51(CH2)、22.67(CH2)、25.38(CH2)、29.
24(CH2)、29.3(CH2)、31.9(CH2)、34.16(CH2)、63.2(OC
H2)
【0036】《参考例4》[4,4’−スピロビ[1,
1−ジブチルスタナ−2,6−ジオキサシクロヘキサ
ン]の合成 (1) Dean−Stark装置を付けた1000mlの反
応容器に、ジブチルスズオキサイド49.78g(0.
2mol)、ペンタエリスリトール 13.615g
(0.1mol)を入れ、装置内をアルゴン置換した。
トルエン500mlを加え、130℃で共沸脱水し、均
一溶液となるまで26.5時間攪拌した。室温まで放冷
後、析出した白色固体を濾過した。この白色固体を30
0mlのトルエンに加熱溶解し、室温まで放冷、析出し
た白色固体を濾過した。得られた白色固体を60℃で5
時間真空乾燥し、4,4’−スピロビ[1,1−ジブチ
ルスタナ−2,6−ジオキサシクロヘキサン52.3g
(収率87.5%)を得た。 (2) 上記(1)で得られた4,4’−スピロビ
[1,1−ジブチルスタナ−2,6−ジオキサシクロヘ
キサンの融点を参考例1と同様にして測定したところ1
01℃であった。 (3) 上記(1)で得られた4,4’−スピロビ
[1,1−ジブチルスタナ−2,6−ジオキサシクロヘ
キサンの分子量を参考例1と同様にして測定したとこ
ろ、M+=598に分子イオンピークが検出された。 (4) また、上記(1)で得られた4,4’−スピロ
ビ[1,1−ジブチルスタナ−2,6−ジオキサシクロ
ヘキサンのNMRを参考例1と同様にして測定したとこ
ろ、次のとおりであった。 ・1H−NMR(400MHz,CDCl3)δppm:0.
94(12H,m)、1.2〜1.5(16H,br)、1.5〜1.9(8H,br)、3.5
〜4.0(8H,br) ・13C−NMR(100MHz,CDCl3)δppm:13.
72(CH3)、27.0〜28.1(CH2,C)、63.2(OCH2)
【0037】《参考例5》[(R)体−β−ブチロラクト
ンの精製(酸除去及び脱水)方法] (1) 3重量%の酪酸を不純物として含む粗(R)体
−β−ブチロラクトン1,000gに炭酸ナトリウム8
0g[(R)体−β−ブチロラクトンに対して8重量
%]を加え、水浴で25℃に保ちながら24時間撹拌し
た。この懸濁液を瀘過し、瀘紙上の固体(酪酸塩等)を
ジエチルエーテル500mlで洗浄して固体に付着して
いる(R)体−β−ブチロラクトンを回収し、この洗浄
液と瀘液を合わせて酪酸を含まない粗(R体)−β−ブ
チロラクトン含有液を得た。 (2) 上記(1)で得られた得られた粗(R)体−β
−ブチロラクトン含有液に、アルゴン雰囲気下で、水素
化カルシウム10gを加え、室温で5時間撹拌した。そ
の後、アルゴン雰囲気下に、ジエチルエーテルを常圧留
去し、次いで減圧下(25Torr)で蒸留して、酸除
去し且つ脱水処理した精製(R)体−β−ブチロラクト
ン729gを得た(収率73%)。この精製(R体)−
β−ブチロラクトンの沸点は70℃(25Torr)で
あった。
【0038】《参考例6》[(R)体−β−ブチロラク
トンの精製(脱水処理)方法] 参考例5で用いたのと同じ、3重量%の酪酸を不純物と
して含む粗(R)体−β−ブチロラクトン100gに、
アルゴン雰囲気下で、水素化カルシウム5gを加えて室
温で5時間撹拌した。その後、アルゴン雰囲気下に、減
圧下(25Torr)で蒸留して、脱水処理した(R)
体−β−ブチロラクトン97.8gを得た(収率98
%)。これにより得られた(R)体−β−ブチロラクト
ンの沸点は70℃(25Torr)であった。
【0039】《実施例1》[(R)体−β−ブチロラク
トンの単独重合体の製造] (1) 250mlの反応容器に、参考例5で得られた
酸除去及び脱水処理後の精製(R)体−β−ブチロラク
トン34.4g(0.40mol)および参考例1で得
られた1,1−ジブチルスタナ−2,5−ジオキサシク
ロペンタン19.5mg(0.0666mmol)を入
れて、アルゴン雰囲気下に90℃で撹拌下に3時間加熱
して重合した後、乾燥トルエン3mlを加えて同温度で
更に1.5時間加熱重合した。次いで、乾燥トルエン7
mlを加えて同温度で更に2日間重合した。それにより
得られた固体生成物をトルエンから分離回収した後、塩
化メチレンに溶解し、それをヘキサン中に投入して再沈
殿させ、沈殿物を回収することによって(R)体−β−
ブチロラクトンの単独重合体32.19g(収率93.
6%)を得た。 (2)(i) 上記(1)で得られた(R)体−β−ブ
チロラクトンの単独重合体の重量平均分子量(Mw)お
よび数平均分子量(Mn)を、参考例2におけるのと同
様にしてGPCにより測定したところ、下記の表1に示
すとおりであった。 (ii) また、上記(1)で得られた(R)体−β−ブ
チロラクトンの単独重合体の融点およびガラス転移点を
参考例1におけるのと同様にしてDSCにて測定したと
ころ、下記の表1に示すとおりであった。 (iii) さらに、上記(1)で得られた(R)体−β
−ブチロラクトンの単独重合体を用いて下記の方法で試
験片を作製し、その引張強度および伸び率を測定したと
ころ[使用機器;島津製作所(株)製「AGF−500
B型装置」]、下記の表1に示すとおりであった。
【0040】[引張強度および伸び率の測定用の試験片
の作製法]上記(1)で得られた(R)体−β−ブチロ
ラクトンの単独重合体を所定量計り取り、クロロホルム
に溶解後、キャスト法によりフィルムを作製した。この
フィルムをペレットにした後、射出成形機(使用機器;
Custom Scientific Instrum
ents,Inc.製 「MODEL CS−183M
MX MINIMAX MOLDER」)を用いて、図
1に示す形状および寸法を有するダンベルを作製した。
このダンベルを用いて上記により引張強度および伸び率
の測定を行った。
【0041】《比較例1》[(R)体−β−ブチロラク
トンの単独重合体の製造] (1) 100mlの反応容器に、参考例6で得られた
脱水処理後の(R)体−β−ブチロラクトン4.2g
(50mmol)および参考例1で得られた1,1−ジ
ブチルスタナ−2,5−ジオキサシクロペンタン1.8
mg(0.00625mmol)を入れて、アルゴン雰
囲気下に90℃で撹拌下に2.5時間加熱して重合した
後、乾燥トルエン7mlを加えて同温度で更に2日間加
熱重合した。その結果得られた固体生成物をトルエンか
ら分離回収した後、塩化メチレンに溶解させ、それをヘ
キサン中に投入して再沈殿させ、沈殿物を回収すること
によって(R)体−β−ブチロラクトンの単独重合体
3.61g(収率86%)を得た。 (2) 上記(1)で得られた(R)体−β−ブチロラ
クトンの単独重合体の重量平均分子量、数平均分子量、
融点およびガラス転移点、並びに該単独重合体より得ら
れた試験片の引張強度および伸び率を実施例1と同様に
して測定したところ、下記の表1に示すとおりであっ
た。
【0042】《対照例1》[(R)体−β−ブチロラク
トンの単独重合体の製造] (1) 150mlの反応容器に、参考例5で得た酸除
去及び脱水処理後の精製(R)体−β−ブチロラクトン
10.56g(0.123mol)と、1−エトキシ−
3−クロロテトラブチルジスタノキサン17.2mg
(0.015mmol)を入れて、アルゴン雰囲気下に
90℃で撹拌下に3時間加熱して重合した後、乾燥トル
エン2mlを加えて同温度で更に18時間加熱重合し
た。その結果得られた固体生成物をトルエンから分離回
収した後、塩化メチレンに溶解させ、それをヘキサン中
に投入して再沈殿させ、沈殿物を回収することによって
(R)体−β−ブチロラクトンの単独重合体9.82g
(収率 93.0%)を得た。 (2) 上記(1)で得られた(R)体−β−ブチロラ
クトンの単独重合体の重量平均分子量、数平均分子量、
融点およびガラス転移点、並びに該単独重合体より得ら
れた試験片の引張強度および伸び率を実施例1と同様に
して測定したところ、下記の表1に示すとおりであっ
た。
【0043】
【表1】 [(R)体−β−ブチロラクトンの単独重合体の物性] wn 融 点 Tg 引張強度 伸び率 (℃) (℃) (kgf/cm2) (%) 実施例1 1,050,000 567,000 158 5.1 257 9 比較例1 99,000 26,000 140 4.1 82 992 対照例1 546,000 281,000 160 3 258 8
【0044】上記の表1の結果から、β−ブチロラクト
ン中に含まれる酸の除去および脱水処理を行った精製
(R)体−β−ブチロラクトンを用いて、スズ化合物
(1)の存在下に開環重合を行った実施例1の場合は、
重量平均分子量(Mw)が1,000,000を超える
極めて高い分子量のβ−ブチロラクトンの単独重合体が
得られること、そしてその重合体は高い融点を有してい
ること、さらに引張強度が大きくて力学的特性に優れて
いることがわかる。それに対して、酸を除去せずに脱水
処理のみを行った(R)体−β−ブチロラクトンを用い
てスズ化合物(1)の存在下に開環重合を行った比較例
1の場合は、得られるβ−ブチロラクトンの単独重合体
の重量平均分子量(Mw)が99,000であって実施
例1で得られた(R)体−β−ブチロラクトンの単独重
合体に比べて、分子量が大幅に低く、融点が低く、引張
強度においても実施例1で得られた重合体に比べて大き
く劣っていることがわかる。また、酸の除去および脱水
処理を行った精製(R)体−β−ブチロラクトンを用い
て、スズ化合物(1)およびスズ化合物(2)とは異な
るスズ化合物の存在下に開環重合を行った対照例1で得
られた(R)体−β−ブチロラクトンの単独重合体の重
量平均分子量(Mw)は546,000であって、比較
例1に比べると分子量が大幅に高い値であるが、実施例
1と比べると分子量が低いことがわかる。
【0045】《実施例2》[(R)体−β−ブチロラク
トンとε-カプロラクトンの共重合体の製造] (1) 250mlの反応容器に、参考例5で得られた
酸除去と脱水処理を行った精製(R)体−β−ブチロラ
クトン31.0g(0.36mol)、ε−カプロラク
トン4.57g(0.04mol)、および参考例1で
得られた1,1−ジブチルスタナ−2,5−ジオキサシ
クロペンタン19.5mg(0.0666mmol)を
入れて、アルゴン雰囲気下で90℃で撹拌下に3時間加
熱して重合させた後、乾燥トルエン3mlを加えて同温
度でさらに1.5時間加熱重合させた。次いで、乾燥ト
ルエン7mlを加えて同温度で更に2日間重合させた。
その結果得られた固体生成物をトルエンから分離回収し
た後、塩化メチレンに溶解し、それをヘキサン中に投入
して再沈殿することにより、(R)体−β−ブチロラク
トンとε-カプロラクトンの共重合体33.93g(収
率95.4%)を得た。 (2) 上記(1)で得られた(R)体−β−ブチロラ
クトンとε-カプロラクトンの共重合体の重量平均分子
量、数平均分子量、融点およびガラス転移点、並びに該
共重合体より得られた試験片の引張強度および伸び率を
実施例1と同様にして測定したところ、下記の表2に示
すとおりであった。また、上記(1)で得られた(R)
体−β−ブチロラクトンとε-カプロラクトンの共重合
体における(R)体−β−ブチロラクトン由来の構造単
位とε-カプロラクトン由来の構造単位の割合(モル
比)を、核磁気共鳴スペクトル(NMR)[使用機器;
ブルカー社製「AM−400型装置」(400MH
z)]によって調べたところ、下記の表2に示すとおり
であった。
【0046】《実施例3》[(R)体−β−ブチロラク
トンとε−カプロラクトンの共重合体の製造] (1) 250mlの反応容器に、参考例5で得られた
酸除去と脱水処理を行った精製(R)体−β−ブチロラ
クトン31.0g(0.36mol)、ε−カプロラク
トン4.57g(0.04mol)、および参考例2で
得られた1,1−ジブチルスタナ−2,9−ジオキサシ
クロノナン17.5mg(0.05mmol)を入れ
て、アルゴン雰囲気下で90℃で撹拌下に3時間加熱し
て重合させた後、乾燥トルエン5mlを加えて同温度で
さらに2時間重合させた。次いで、乾燥トルエン5ml
を加えて同温度で更に3日間重合させた。その結果得ら
れた固体生成物をトルエンから分離回収した後、塩化メ
チレンに溶解し、それをヘキサン中に投入して再沈殿す
ることにより、(R)体−β−ブチロラクトンとε-カ
プロラクトンの共重合体33.06g(収率93.0
%)を得た。 (2) 上記(1)で得られた(R)体−β−ブチロラ
クトンとε-カプロラクトンの共重合体の重量平均分子
量、数平均分子量、融点、ガラス転移点および各モノマ
ー由来の構造単位のモル比、並びに該共重合体より得ら
れた試験片の引張強度および伸び率を実施例1と同様に
して測定したところ、下記の表2に示すとおりであっ
た。
【0047】《実施例4》[(R)体−β−ブチロラク
トンとε−カプロラクトンの共重合体の製造] (1) 250mlの反応容器に、参考例5で得られた
酸除去と脱水処理を行った精製(R)体−β−ブチロラ
クトン31.0g(0.36mol)、ε−カプロラク
トン4.57g(0.04mol)、および参考例3で
得られた1,1−ジオクチルスタナ−2,5−ジオキサ
シクロペンタン20.3mg(0.05mmol)を入
れて、アルゴン雰囲気下で撹拌下に90℃で5時間加熱
して重合させた後、乾燥トルエン2mlを加えて同温度
でさらに3時間重合させた。次いで、乾燥トルエン5m
lを加えて同温度でさらに3日間重合させた。その結果
得られた固体生成物をトルエンから分離回収した後、塩
化メチレンに溶解し、それをヘキサン中に投入して再沈
殿することにより、(R)体−β−ブチロラクトンとε
-カプロラクトンの共重合体2.61g(収率91.7
%)を得た。 (2) 上記(1)で得られた(R)体−β−ブチロラ
クトンとε-カプロラクトンの共重合体の重量平均分子
量、数平均分子量、融点、ガラス転移点および各モノマ
ー由来の構造単位のモル比、並びに該共重合体より得ら
れた試験片の引張強度および伸び率を実施例1と同様に
して測定したところ、下記の表2に示すとおりであっ
た。
【0048】《実施例5》[(R)体−β−ブチロラク
トンとε−カプロラクトンの共重合体の製造] (1) 250mlの反応容器に、参考例5で得られた
酸除去と脱水処理を行った精製(R)体−β−ブチロラ
クトン31.0g(0.36mol)、ε−カプロラク
トン4.57g(0.04mol)および参考例4で得
られた4,4’−スピロビ[1,1−ジブチルスタナ−
2,6−ジオキサシクロヘキサン]14.9mg(0.
025mmol)を入れて、アルゴン雰囲気下で撹拌下
に90℃で2.5時間加熱して重合させた後、乾燥トル
エンを10mlを加えて同温度でさらに4時間重合させ
た。次いで、乾燥トルエン10mlを加えて同温度で更
に2時間重合させた後、乾燥トルエン10mlを加えて
同温度で更に4日間重合させた。その結果得られた固体
生成物をトルエンから分離回収した後、塩化メチレンに
溶解し、それをヘキサン中に投入して再沈殿することに
より、(R)体−β−ブチロラクトンとε-カプロラク
トンの共重合体29.65g(収率83.4%)を得
た。 (2) 上記(1)で得られた(R)体−β−ブチロラ
クトンとε-カプロラクトンの共重合体の重量平均分子
量、数平均分子量、融点、ガラス転移点および各モノマ
ー由来の構造単位のモル比、並びに該共重合体より得ら
れた試験片の引張強度および伸び率を実施例1と同様に
して測定したところ、下記の表2に示すとおりであっ
た。
【0049】《比較例2》[(R)体−β−ブチロラク
トンとε−カプロラクトンの共重合体の製造] (1) 250mlの反応容器に、参考例6で得られた
脱水処理のみを行った(R)体−β−ブチロラクトン3
1.0g(0.36mol)、ε−カプロラクトン4.
57g(0.04mol)および参考例1で得られた
1,1−ジブチルスタナ−2,5−ジオキサシクロペン
タン7.3mg(0.025mmol)を入れて、アル
ゴン雰囲気下で撹拌下に90℃で2.5時間加熱して重
合させた後、乾燥トルエン10mlを加えて同温度でさ
らに4時間加熱して重合させた。次いで、乾燥トルエン
10mlを加えて同温度でさらに2時間重合させた後、
乾燥トルエン10mlを加えて同温度でさらに4日間重
合させた。その結果得られた固体生成物をトルエンから
分離回収した後、塩化メチレンに溶解し、それをヘキサ
ン中に投入して再沈殿させることにより、(R)体−β
−ブチロラクトンとε-カプロラクトンの共重合体3
0.29g(収率85.2%)を得た。 (2) 上記(1)で得られた(R)体−β−ブチロラ
クトンとε-カプロラクトンの共重合体の重量平均分子
量、数平均分子量、融点、ガラス転移点および各モノマ
ー由来の構造単位のモル比、並びに該共重合体より得ら
れた試験片の引張強度および伸び率を実施例1と同様に
して測定したところ、下記の表2に示すとおりであっ
た。
【0050】《対照例2》[(R)体−β−ブチロラク
トンとε−カプロラクトンの共重合体の製造] (1) 250mlの反応容器に、参考例5で得られた
酸除去及び脱水処理した精製(R)体−β−ブチロラク
トン15.50g(0.18mol)、ε−カプロラク
トン2.28g(0.02mol)および1−エトキシ
−3−クロロテトラブチルジスタノキサン28.1mg
(0.025mmol)を入れて、アルゴン雰囲気下で
撹拌下に90℃で2時間加熱重合させた後、乾燥トルエ
ン3mlを加えて同温度でさらに3時間重合させた。次
いで、乾燥トルエン10mlを加えて同温度でさらに2
4時間重合させた。その結果得られた固体生成物をトル
エンから分離回収した後、塩化メチレンに溶解し、それ
をヘキサン中に投入して再沈殿させることにより、
(R)体−β−ブチロラクトンとε-カプロラクトンの
共重合体15.78g(収率 88.8%)を得た。 (2) 上記(1)で得られた(R)体−β−ブチロラ
クトンとε-カプロラクトンの共重合体の重量平均分子
量、数平均分子量、融点、ガラス転移点および各モノマ
ー由来の構造単位のモル比、並びに該共重合体より得ら
れた試験片の引張強度および伸び率を実施例1と同様に
して測定したところ、下記の表2に示すとおりであっ
た。
【0051】
【表2】
【0052】上記の表2の結果から、(R)体−β−ブ
チロラクトン中に含まれる酸の除去および脱水処理を行
った精製(R)体−β−ブチロラクトンを用いて、他の
ラクトン類(ε-カプロラクトン)と、スズ化合物
(1)またはスズ化合物(2)の存在下に開環重合を行
った実施例2〜5の場合は、いずれも、重量平均分子量
(Mw)が500,000を超えていて、分子量の高い
(R)体−β−ブチロラクトンとε-カプロラクトンの
共重合体が得られること、そしてその共重合体は高い融
点を有していること、さらに引張強度が大きくて力学的
特性に優れていることがわかる。
【0053】それに対して、酸を除去せずに脱水処理の
みを行った(R)体−β−ブチロラクトンをε-カプロ
ラクトンと共に用いてスズ化合物(1)の存在下に開環
重合を行った比較例2の場合は、得られる(R)体−β
−ブチロラクトンとε-カプロラクトンの共重合体の重
量平均分子量(Mw)が55,000であって実施例2
〜5で得られた(R)体−β−ブチロラクトンとε-カ
プロラクトンの共重合体に比べて分子量が大幅に低いこ
と、また共重合体の融点も低く、しかも引張強度が実施
例2〜5で得られた共重合体に比べて大幅に小さいこと
がわかる。
【0054】また、酸の除去および脱水処理を行った精
製(R)体−β−ブチロラクトンをε-カプロラクトン
と共に用いて、本発明で使用しているスズ化合物(1)
およびスズ化合物(2)とは異なるスズ化合物の存在下
に開環重合を行った対照例2で得られた(R)体−β−
ブチロラクトンとε-カプロラクトンの共重合体の重量
平均分子量(Mw)は285,000であって、比較例
2に比べると分子量が大幅に高い値であるが、実施例2
〜5に比べると分子量が低いことがわかる。
【0055】
【発明の効果】本発明の方法による場合は、重量平均分
子量(Mw)が500,000以上である、高分子量の
β−ブチロラクトンの単独重合体および共重合体を、化
学合成によって高収率で生産性良く製造することがで
き、場合によっては重量平均分子量が1,000,00
0を超えるような極めて高い分子量を有するβ−ブチロ
ラクトンの単独重合体および共重合体を得ることができ
る。特に、β−ブチロラクトンの単独重合体では、その
殆どの場合に重量平均分子量が860,000を超える
ものを容易に得ることができる。
【0056】本発明で得られるβ−ブチロラクトンの単
独重合体および共重合体は、熱可塑性を示し、しかも上
記した高い分子量を有していることによって、汎用の熱
可塑性ポリエステルと同様に、加熱溶融成形、加熱溶融
紡糸、その加熱加工などが可能であり、それによって実
用可能な高い力学的特性を備える各種成形品や繊維、そ
の他の製品の製造に有効に用いることができる。さら
に、本発明で得られるβ−ブチロラクトンの単独重合体
および共重合体は、生分解性であり、それによって、使
用時には十分な強度を保ち、使用後は微生物によって分
解されることができ、環境汚染の問題を低減することが
できる。そして、本発明により得られるβ−ブチロラク
トンの単独重合体および共重合体は生体適合性であり、
それによって各種の医療用品にも有効に使用することが
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例および比較例において、引張強度および
伸び率の測定に用いたダンベル(試験片)の形状および
寸法を示す図である。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成10年12月15日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0039
【補正方法】変更
【補正内容】
【0039】《実施例1》[(R)体−β−ブチロラク
トンの単独重合体の製造] (1) 250mlの反応容器に、参考例5で得られた
酸除去及び脱水処理後の精製(R)体−β−ブチロラク
トン34.4g(0.40mol)および参考例1で得
られた1,1−ジブチルスタナ−2,5−ジオキサシク
ロペンタン19.5mg(0.0666mmol)を入
れて、アルゴン雰囲気下に90℃で撹拌下に3時間加熱
して重合した後、乾燥トルエン3mlを加えて同温度で
更に1.5時間加熱重合した。次いで、乾燥トルエン7
mlを加えて同温度で更に2日間重合した。それにより
得られた固体生成物をトルエンから分離回収した後、塩
化メチレンに溶解し、それをヘキサン中に投入して再沈
殿させ、沈殿物を回収することによって(R)体−β−
ブチロラクトンの単独重合体32.19g(収率93.
6%)を得た。 (2)(i) 上記(1)で得られた(R)体−β−ブ
チロラクトンの単独重合体の重量平均分子量(Mw)お
よび数平均分子量(Mn)を、参考例2におけるのと同
様にしてGPCにより測定したところ、下記の表1に示
すとおりであった。 (ii) また、上記(1)で得られた(R)体−β−ブ
チロラクトンの単独重合体の融点およびガラス転移点を
参考例1におけるのと同様にしてDSCにて測定したと
ころ、下記の表1に示すとおりであった。 (iii) さらに、上記(1)で得られた(R)体−β
−ブチロラクトンの単独重合体を用いて下記の方法で試
験片を作製し、その引張強度を測定したところ[使用機
器;島津製作所(株)製「AGF−500B型装
置」]、下記の表1に示すとおりであった。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0040
【補正方法】変更
【補正内容】
【0040】[引張強度の測定用の試験片の作製法]上
記(1)で得られた(R)体−β−ブチロラクトンの単
独重合体を所定量計り取り、クロロホルムに溶解後、キ
ャスト法によりフィルムを作製した。このフィルムをペ
レットにした後、射出成形機(使用機器;Custom
Scientific Instruments,I
nc.製 「MODEL CS−183MMX MIN
IMAX MOLDER」)を用いて、図1に示す形状
および寸法を有するダンベルを作製した。このダンベル
を用いて上記により引張強度の測定を行った。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0041
【補正方法】変更
【補正内容】
【0041】《比較例1》[(R)体−β−ブチロラク
トンの単独重合体の製造] (1) 100mlの反応容器に、参考例6で得られた
脱水処理後の(R)体−β−ブチロラクトン4.2g
(50mmol)および参考例1で得られた1,1−ジ
ブチルスタナ−2,5−ジオキサシクロペンタン1.8
mg(0.00625mmol)を入れて、アルゴン雰
囲気下に90℃で撹拌下に2.5時間加熱して重合した
後、乾燥トルエン7mlを加えて同温度で更に2日間加
熱重合した。その結果得られた固体生成物をトルエンか
ら分離回収した後、塩化メチレンに溶解させ、それをヘ
キサン中に投入して再沈殿させ、沈殿物を回収すること
によって(R)体−β−ブチロラクトンの単独重合体
3.61g(収率86%)を得た。 (2) 上記(1)で得られた(R)体−β−ブチロラ
クトンの単独重合体の重量平均分子量、数平均分子量、
融点およびガラス転移点、並びに該単独重合体より得ら
れた試験片の引張強度を実施例1と同様にして測定した
ところ、下記の表1に示すとおりであった。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0042
【補正方法】変更
【補正内容】
【0042】《対照例1》[(R)体−β−ブチロラク
トンの単独重合体の製造] (1) 150mlの反応容器に、参考例5で得た酸除
去及び脱水処理後の精製(R)体−β−ブチロラクトン
10.56g(0.123mol)と、1−エトキシ−
3−クロロテトラブチルジスタノキサン17.2mg
(0.015mmol)を入れて、アルゴン雰囲気下に
90℃で撹拌下に3時間加熱して重合した後、乾燥トル
エン2mlを加えて同温度で更に18時間加熱重合し
た。その結果得られた固体生成物をトルエンから分離回
収した後、塩化メチレンに溶解させ、それをヘキサン中
に投入して再沈殿させ、沈殿物を回収することによって
(R)体−β−ブチロラクトンの単独重合体9.82g
(収率 93.0%)を得た。 (2) 上記(1)で得られた(R)体−β−ブチロラ
クトンの単独重合体の重量平均分子量、数平均分子量、
融点およびガラス転移点、並びに該単独重合体より得ら
れた試験片の引張強度を実施例1と同様にして測定した
ところ、下記の表1に示すとおりであった。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0043
【補正方法】変更
【補正内容】
【0043】
【表1】
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0045
【補正方法】変更
【補正内容】
【0045】《実施例2》[(R)体−β−ブチロラク
トンとε-カプロラクトンの共重合体の製造] (1) 250mlの反応容器に、参考例5で得られた
酸除去と脱水処理を行った精製(R)体−β−ブチロラ
クトン31.0g(0.36mol)、ε−カプロラク
トン4.57g(0.04mol)、および参考例1で
得られた1,1−ジブチルスタナ−2,5−ジオキサシ
クロペンタン19.5mg(0.0666mmol)を
入れて、アルゴン雰囲気下で90℃で撹拌下に3時間加
熱して重合させた後、乾燥トルエン3mlを加えて同温
度でさらに1.5時間加熱重合させた。次いで、乾燥ト
ルエン7mlを加えて同温度で更に2日間重合させた。
その結果得られた固体生成物をトルエンから分離回収し
た後、塩化メチレンに溶解し、それをヘキサン中に投入
して再沈殿することにより、(R)体−β−ブチロラク
トンとε-カプロラクトンの共重合体33.93g(収率
95.4%)を得た。 (2) 上記(1)で得られた(R)体−β−ブチロラ
クトンとε-カプロラクトンの共重合体の重量平均分子
量、数平均分子量、融点およびガラス転移点、並びに該
共重合体より得られた試験片の引張強度を実施例1と同
様にして測定したところ、下記の表2に示すとおりであ
った。また、上記(1)で得られた(R)体−β−ブチ
ロラクトンとε-カプロラクトンの共重合体における
(R)体−β−ブチロラクトン由来の構造単位とε-カ
プロラクトン由来の構造単位の割合(モル比)を、核磁
気共鳴スペクトル(NMR)[使用機器;ブルカー社製
「AM−400型装置」(400MHz)]によって調
べたところ、下記の表2に示すとおりであった。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0046
【補正方法】変更
【補正内容】
【0046】《実施例3》[(R)体−β−ブチロラク
トンとε−カプロラクトンの共重合体の製造] (1) 250mlの反応容器に、参考例5で得られた
酸除去と脱水処理を行った精製(R)体−β−ブチロラ
クトン31.0g(0.36mol)、ε−カプロラク
トン4.57g(0.04mol)、および参考例2で
得られた1,1−ジブチルスタナ−2,9−ジオキサシ
クロノナン17.5mg(0.05mmol)を入れ
て、アルゴン雰囲気下で90℃で撹拌下に3時間加熱し
て重合させた後、乾燥トルエン5mlを加えて同温度で
さらに2時間重合させた。次いで、乾燥トルエン5ml
を加えて同温度で更に3日間重合させた。その結果得ら
れた固体生成物をトルエンから分離回収した後、塩化メ
チレンに溶解し、それをヘキサン中に投入して再沈殿す
ることにより、(R)体−β−ブチロラクトンとε-カ
プロラクトンの共重合体33.06g(収率93.0
%)を得た。 (2) 上記(1)で得られた(R)体−β−ブチロラク
トンとε-カプロラクトンの共重合体の重量平均分子
量、数平均分子量、融点、ガラス転移点および各モノマ
ー由来の構造単位のモル比、並びに該共重合体より得ら
れた試験片の引張強度を実施例1と同様にして測定した
ところ、下記の表2に示すとおりであった。
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0047
【補正方法】変更
【補正内容】
【0047】《実施例4》[(R)体−β−ブチロラク
トンとε−カプロラクトンの共重合体の製造] (1) 250mlの反応容器に、参考例5で得られた
酸除去と脱水処理を行った精製(R)体−β−ブチロラ
クトン31.0g(0.36mol)、ε−カプロラク
トン4.57g(0.04mol)、および参考例3で
得られた1,1−ジオクチルスタナ−2,5−ジオキサ
シクロペンタン20.3mg(0.05mmol)を入
れて、アルゴン雰囲気下で撹拌下に90℃で5時間加熱
して重合させた後、乾燥トルエン2mlを加えて同温度
でさらに3時間重合させた。次いで、乾燥トルエン5m
lを加えて同温度でさらに3日間重合させた。その結果
得られた固体生成物をトルエンから分離回収した後、塩
化メチレンに溶解し、それをヘキサン中に投入して再沈
殿することにより、(R)体−β−ブチロラクトンとε
-カプロラクトンの共重合体2.61g(収率91.7
%)を得た。 (2) 上記(1)で得られた(R)体−β−ブチロラク
トンとε-カプロラクトンの共重合体の重量平均分子
量、数平均分子量、融点、ガラス転移点および各モノマ
ー由来の構造単位のモル比、並びに該共重合体より得ら
れた試験片の引張強度を実施例1と同様にして測定した
ところ、下記の表2に示すとおりであった。
【手続補正9】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0048
【補正方法】変更
【補正内容】
【0048】《実施例5》[(R)体−β−ブチロラク
トンとε−カプロラクトンの共重合体の製造] (1) 250mlの反応容器に、参考例5で得られた
酸除去と脱水処理を行った精製(R)体−β−ブチロラ
クトン31.0g(0.36mol)、ε−カプロラク
トン4.57g(0.04mol)および参考例4で得
られた4,4’−スピロビ[1,1−ジブチルスタナ−
2,6−ジオキサシクロヘキサン]14.9mg(0.
025mmol)を入れて、アルゴン雰囲気下で撹拌下
に90℃で2.5時間加熱して重合させた後、乾燥トル
エンを10mlを加えて同温度でさらに4時間重合させ
た。次いで、乾燥トルエン10mlを加えて同温度で更
に2時間重合させた後、乾燥トルエン10mlを加えて
同温度で更に4日間重合させた。その結果得られた固体
生成物をトルエンから分離回収した後、塩化メチレンに
溶解し、それをヘキサン中に投入して再沈殿することに
より、(R)体−β−ブチロラクトンとε-カプロラク
トンの共重合体29.65g(収率83.4%)を得
た。 (2) 上記(1)で得られた(R)体−β−ブチロラク
トンとε-カプロラクトンの共重合体の重量平均分子
量、数平均分子量、融点、ガラス転移点および各モノマ
ー由来の構造単位のモル比、並びに該共重合体より得ら
れた試験片の引張強度を実施例1と同様にして測定した
ところ、下記の表2に示すとおりであった。
【手続補正10】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0049
【補正方法】変更
【補正内容】
【0049】《比較例2》[(R)体−β−ブチロラク
トンとε−カプロラクトンの共重合体の製造] (1) 250mlの反応容器に、参考例6で得られた
脱水処理のみを行った(R)体−β−ブチロラクトン3
1.0g(0.36mol)、ε−カプロラクトン4.
57g(0.04mol)および参考例1で得られた
1,1−ジブチルスタナ−2,5−ジオキサシクロペン
タン7.3mg(0.025mmol)を入れて、アル
ゴン雰囲気下で撹拌下に90℃で2.5時間加熱して重
合させた後、乾燥トルエン10mlを加えて同温度でさ
らに4時間加熱して重合させた。次いで、乾燥トルエン
10mlを加えて同温度でさらに2時間重合させた後、
乾燥トルエン10mlを加えて同温度でさらに4日間重
合させた。その結果得られた固体生成物をトルエンから
分離回収した後、塩化メチレンに溶解し、それをヘキサ
ン中に投入して再沈殿させることにより、(R)体−β
−ブチロラクトンとε-カプロラクトンの共重合体3
0.29g(収率85.2%)を得た。 (2) 上記(1)で得られた(R)体−β−ブチロラク
トンとε-カプロラクトンの共重合体の重量平均分子
量、数平均分子量、融点、ガラス転移点および各モノマ
ー由来の構造単位のモル比、並びに該共重合体より得ら
れた試験片の引張強度を実施例1と同様にして測定した
ところ、下記の表2に示すとおりであった。
【手続補正11】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0050
【補正方法】変更
【補正内容】
【0050】《対照例2》[(R)体−β−ブチロラク
トンとε−カプロラクトンの共重合体の製造] (1) 250mlの反応容器に、参考例5で得られた
酸除去及び脱水処理した精製(R)体−β−ブチロラク
トン15.50g(0.18mol)、ε−カプロラク
トン2.28g(0.02mol)および1−エトキシ
−3−クロロテトラブチルジスタノキサン28.1mg
(0.025mmol)を入れて、アルゴン雰囲気下で
撹拌下に90℃で2時間加熱重合させた後、乾燥トルエ
ン3mlを加えて同温度でさらに3時間重合させた。次
いで、乾燥トルエン10mlを加えて同温度でさらに2
4時間重合させた。その結果得られた固体生成物をトル
エンから分離回収した後、塩化メチレンに溶解し、それ
をヘキサン中に投入して再沈殿させることにより、
(R)体−β−ブチロラクトンとε-カプロラクトンの
共重合体15.78g(収率 88.8%)を得た。 (2) 上記(1)で得られた(R)体−β−ブチロラク
トンとε-カプロラクトンの共重合体の重量平均分子
量、数平均分子量、融点、ガラス転移点および各モノマ
ー由来の構造単位のモル比、並びに該共重合体より得ら
れた試験片の引張強度を実施例1と同様にして測定した
ところ、下記の表2に示すとおりであった。
【手続補正12】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0051
【補正方法】変更
【補正内容】
【0051】
【表2】
【手続補正13】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】図面の簡単な説明
【補正方法】変更
【補正内容】
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例および比較例において、引張強度の測定
に用いたダンベル(試験片)の形状および寸法を示す図
である。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 β−ブチロラクトンを単独で用いるか又
    はβ−ブチロラクトンと他のラクトン類を用いて開環重
    合を行って、β−ブチロラクトンの単独重合体または共
    重合体を製造する方法であって、β−ブチロラクトンと
    してそれに含まれる酸の除去および脱水処理を予め行っ
    たものを使用して、且つ下記の一般式(1); 【化1】 (式中、R1 およびR2はそれぞれ独立して炭素数1〜
    12の分岐鎖を有していてもよいアルキル基または炭素
    数5〜7のシクロアルキル基 、或いは置換基を有して
    いてもよいフェニル基またはナフチル基を示し、R3
    置換基を有していてもよい炭素数2〜12のアルキレン
    基、シクロペンタン−1,2−イレン基またはシクロヘ
    キサン−1,2−イレン基を示し、そしてnは1〜10
    の自然数を示す。)で表されるスズ化合物、および下記
    の一般式(2); 【化2】 (式中、R4〜R7はそれぞれ独立して炭素数1〜12の
    分岐鎖を有していてもよいアルキル基または炭素数5〜
    7のシクロアルキル基 、或いは置換基を有していても
    よいフェニル基またはナフチル基を示す。)で表される
    スズ化合物よりなる群から選ばれる1種または2種以上
    の化合物の存在下に、前記開環重合を行うことを特徴と
    するβ−ブチロラクトンの単独重合体または共重合体の
    製造方法。
  2. 【請求項2】 β−ブチロラクトンの単独重合体の重量
    平均分子量が860,000を超える請求項1の製造方
    法。
  3. 【請求項3】 β−ブチロラクトンの共重合体の重量平
    均分子量が500,000以上である請求項1の製造方
    法。
  4. 【請求項4】 重量平均分子量が860,000を超え
    るβ−ブチロラクトンの単独重合体、または重量平均分
    子量が500,000以上であるβ−ブチロラクトンの
    共重合体。
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