JPH11209416A - プラズマ重合による高分子薄膜の製造方法 - Google Patents

プラズマ重合による高分子薄膜の製造方法

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JPH11209416A
JPH11209416A JP1019398A JP1019398A JPH11209416A JP H11209416 A JPH11209416 A JP H11209416A JP 1019398 A JP1019398 A JP 1019398A JP 1019398 A JP1019398 A JP 1019398A JP H11209416 A JPH11209416 A JP H11209416A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 これまで、プラズマ重合に用いられていた有
機化合物はもちろん、通常のプラズマ重合法では実質上
重合しない有機化合物についてもプラズマ重合させるこ
とができ、高分子薄膜を効率よく製造する方法を提供す
る。 【解決手段】 ガス状有機化合物をプラズマ重合させ
て、高分子薄膜を製造するに際し、反応系に触媒量のヨ
ウ素ガスを添加する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はプラズマ重合による
高分子薄膜の製造方法の改良に関するものである。さら
に詳しくは、本発明は、ガス状有機化合物をプラズマ放
電により重合させるに際し、重合を促進させて高分子薄
膜を効率よく製造する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】グロー放電を使用したプラズマ重合は、
極く一部の化合物を除いて、ほとんどすべての化合物に
対して適用が可能である。そして、この重合は、原料の
重合用モノマーについて、連鎖重合におけるビニル基や
縮合重合における酸などの重合性活性基を必ずしも必要
としないという特徴を有し、一般の鎖状ポリマーと異な
り、分岐性の高い架橋構造の高分子薄膜を形成すること
ができるという長所がある。
【0003】このようなプラズマ重合方法は、機能性薄
膜の形成方法として広く知られており、実用化も進めら
れている。このプラズマ重合によって形成される薄膜に
所望の機能をもたせるには、その機能を発揮する官能基
を膜中に導入する必要があるが、官能基を有する原料モ
ノマーは、すべてが効率的に重合できるわけではなく、
分子設計的に膜形成を行うのは困難であった。
【0004】すなわち、原料化合物の重合活性について
は、化合物の構造や組成に応じて重合しやすさに違いが
あり、一部の化合物は機能性官能基をもち、機能性高分
子薄膜を作製する上から、利用価値があると期待される
にもかかわらず、プラズマ重合に供しえないものがあっ
た。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような
事情のもとで、これまでプラズマ重合に用いられていた
有機化合物はもちろん、通常のプラズマ重合法では実質
上重合しない有機化合物についてもプラズマ重合させる
ことができ、高分子薄膜を効率よく製造する方法を提供
することを目的としてなされたものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者は、プラズマ重
合による高分子薄膜の製造について鋭意研究を重ねた結
果、反応系に触媒量のヨウ素ガスを添加することによ
り、これまでのプラズマ重合を著しく促進することがで
き、しかもこれまでプラズマ重合することができなかっ
た有機化合物もプラズマ重合させうることを見出し、こ
の知見に基づいて本発明を完成するに至った。
【0007】すなわち、本発明は、ガス状有機化合物を
プラズマ重合させて、高分子薄膜を製造するに当り、反
応系に触媒量のヨウ素ガスを添加することを特徴とする
高分子薄膜の製造方法を提供するものである。この際、
反応系に添加するヨウ素ガスの分圧は0.1〜0.6P
aであるのが好ましい。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明方法において原料として用
いられる有機化合物としては、従来プラズマ重合用原料
として用いられていたもののほか、ヨウ素存在下でのプ
ラズマ重合が可能であって、高真空下にて室温から50
℃程度の温度で蒸発し、気体になるものであればよく、
特に制限されない。本発明方法においては、この原料の
有機化合物として、通常の条件でプラズマ重合可能なも
のを用いた場合には、プラズマ重合が著しく促進され、
また、通常のプラズマ重合条件では、これまで実質上重
合不可能であった有機化合物、例えばエタノールやアセ
トンなどを用いても、プラズマ重合が可能となる。
【0009】本発明方法におけるプラズマ重合は、従来
公知のプラズマ重合装置を用いて行うことができる。プ
ラズマ重合の条件については特に制限はないが、原料の
有機化合物ガスは、分圧が、好ましくは1〜10Paの
範囲になるように導入されるとともに、ヨウ素ガスは、
上記有機化合物に対し、触媒量添加されるが、例えば容
量基準で1/10以下になるように、また分圧が0.1
〜0.6Paの範囲になるような量で反応系に添加する
のが好ましい。
【0010】このようなガスの高真空条件下において、
通常13.56MHz(ラジオ波)の高周波を印加して
プラズマ放電させ、プラズマ重合反応が行われるが、高
周波として、上記ラジオ波よりも低いキロヘルツオーダ
ーのオーディオ波を用いることもできる。また、反応系
にヘリウムガスを存在させ、常圧でプラズマ放電させ
て、プラズマ重合反応を行っても差しつかえない。
【0011】さらに、放電出力は、重合装置により異な
るが、一般には2〜200Wの範囲で放電が発生し、プ
ラズマ重合が可能となる。重合時間は特に制限はなく、
形成される高分子薄膜の所望膜厚に応じて、適宜選定す
ればよい。
【0012】本発明方法におけるプラズマ重合反応は、
プラズマで活性化されたラジカル種が成長種となって反
応が開始される。すなわち、放電のもとで発生した電子
が有機化合物に衝突し、これが炭素−水素結合などの化
学結合を解離してラジカルを生成させ、この生成した気
相ラジカルが再結合することによって、架橋構造の重合
体が形成される。
【0013】
【発明の効果】本発明方法によれば、有機化合物のプラ
ズマ重合反応を促進させるとともに、通常のプラズマ重
合条件下では、これまで実質上重合が不可能であった有
機化合物のプラズマ重合を可能とし、高分子薄膜をプラ
ズマ重合により、効率よく製造することができる。
【0014】
【実施例】次に、本発明を実施例によりさらに詳細に説
明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定さ
れるものではない。
【0015】実施例1 13.56MHzのラジオ波を用いる誘導結合方式のプ
ラズマ処理装置を使用して、内径4.4cm、長さ40
cmの反応管内に精密バルブを通してエタノール蒸気を
6.0Paの分圧になるように導入し、さらに別のバル
ブを通してヨウ素ガスを0.3Paの分圧になるように
供給した。次に、この混合系に50Wのパワーにてプラ
ズマ放電を発生させて反応を行った。その結果、20分
後には0.05mg/cm2、40分後には0.113
mg/cm2、60分後には0.165mg/cm2の重
合堆積物からなるフィルム状高分子生成物が得られた。
【0016】比較例1 ヨウ素ガスを供給せずに、実施例1を繰り返した。その
結果、60分間反応後の重合堆積物は0.02mg/c
2以下で、フィルム状生成物は得られなかった。
【0017】実施例2 実施例1において、エタノール蒸気の代わりにアセトン
蒸気を用いた以外は、実施例1と同様の方法を行った。
その結果、20分後には0.05mg/cm、40分
後には0.123mg/cm、60分後には0.20
6mg/cm2の重合堆積物からなるフィルム状高分子
生成物が得られた。
【0018】比較例2 ヨウ素ガスを供給せずに、実施例2を繰り返した。その
結果、60分間反応後の重合堆積物は0.03mg/c
2以下で、フィルム状生成物は得られなかった。
【0019】実施例3 実施例1において、エタノール蒸気の代わりにn‐ヘキ
サン蒸気を用いた以外は、実施例1と同様の方法を行っ
た。その結果、20分後には0.123mg/cm2
40分後には0.237mg/cm2、60分後には
0.370mg/cm2の重合堆積物からなるフィルム
状高分子生成物が得られた。
【0020】比較例3 ヨウ素ガスを供給せずに、実施例3を繰り返した。その
結果、20分後には0.02mg/cm2、40分後に
は0.04mg/cm2、60分後には0.072mg
/cm2の重合堆積物からなるフィルム状高分子生成物
の形成が認められたが、これらは、ヨウ素ガスを加えた
混合系の重合に比べてかなり少量であった。
【0021】実施例4 実施例1において、エタノール蒸気の代わりにシクロヘ
キサンガスを用いた以外は、実施例1と同様の方法を行
った。その結果、20分後には0.185mg/c
2、40分後には0.381mg/cm2、60分後に
は0.566mg/cm2の重合堆積物からなるフィル
ム状高分子生成物が得られた。
【0022】比較例4 ヨウ素ガスを供給せずに、実施例4を繰り返した。その
結果、20分後には0.061mg/cm2、40分後
には0.134mg/cm2、60分後には0.236
mg/cm2の重合堆積物からなるフィルム状高分子生
成物の形成が認められたが、これらは、ヨウ素ガスを加
えた混合系の重合に比べてかなり少量であった。
【0023】実施例5 実施例1において、エタノール蒸気の代わりにトルエン
ガスを用いた以外は、実施例1と同様の方法を行った。
その結果、20分後には0.319mg/cm2、40
分後には0.628mg/cm2、60分後には0.9
16mg/cm2の重合堆積物からなるフィルム状高分
子生成物が得られた。
【0024】比較例5 ヨウ素ガスを供給せずに、実施例5を繰り返した。その
結果、20分後には0.267mg/cm2、40分後
には0.535mg/cm2、60分後には0.813
mg/cm2の重合堆積物からなるフィルム状高分子生
成物の形成が認められたが、これらは、ヨウ素ガスを加
えた混合系の重合に比べてかなり少量であった。
【0025】実施例6 実施例1において、エタノール蒸気の代わりにピロール
ガスを用いた以外は、実施例1と同様の方法を行った。
その結果、20分後には0.257mg/cm2、40
分後には0.566mg/cm2、60分後には0.8
74mg/cm2の重合堆積物からなるフィルム状高分
子生成物が得られた。
【0026】比較例6 ヨウ素ガスを供給せずに、実施例6を繰り返した。その
結果、20分後には0.175mg/cm2、40分後
には0.329mg/cm2、60分後には0.528
mg/cm2の重合堆積物からなるフィルム状高分子生
成物の形成が認められたが、これらは、ヨウ素ガスを加
えた混合系の重合に比べてかなり少量であった。
【0027】実施例7 実施例1において、エタノール蒸気の代わりにピリジン
ガスを用いた以外は、実施例1と同様の方法を行った。
その結果、20分後には0.278mg/cm2、40
分後には0.586mg/cm2、60分後には0.8
64mg/cm2の重合堆積物からなるフィルム状高分
子生成物が得られた。
【0028】比較例7 ヨウ素ガスを供給せずに、実施例7を繰り返した。その
結果、20分後には0.144mg/cm2、40分後
には0.278mg/cm2、60分後には0.422
mg/cm2の重合堆積物からなるフィルム状高分子生
成物の形成が認められたが、これらは、ヨウ素ガスを加
えた混合系の重合に比べてかなり少量であった。
【0029】実施例8 実施例1において、エタノール蒸気の代わりにヘキサメ
チルジシロキサンガスを3.0Paで用いた以外は、実
施例1と同様の方法を行った。その結果、20分後には
0.174mg/cm2、40分後には0.309mg
/cm2、60分後には0.432mg/cm2の重合堆
積物からなるフィルム状高分子生成物が得られた。
【0030】比較例8 ヨウ素ガスを供給せずに、実施例8を繰り返した。その
結果、20分後には0.113mg/cm2、40分後
には0.216mg/cm2、60分後には0.34m
g/cm2の重合堆積物からなるフィルム状高分子生成
物の形成が認められたが、これらは、ヨウ素ガスを加え
た混合系の重合に比べてかなり少量であった。
【0031】実施例9 実施例1において、エタノール蒸気の代わりにヘキサメ
チルジシラザンガスを3.0Paで用いた以外は、実施
例1と同様の方法を行った。その結果、20分後には
0.165mg/cm2、40分後には0.36mg/
cm2、60分後には0.535mg/cm2の重合堆積
物からなるフィルム状高分子生成物が得られた。
【0032】比較例9 ヨウ素ガスを供給せずに、実施例9を繰り返した。その
結果、20分後には0.123mg/cm2、40分後
には0.247mg/cm2、60分後には0.34m
g/cm2の重合堆積物からなるフィルム状高分子生成
物の形成が認められたが、これらは、ヨウ素ガスを加え
た混合系の重合に比べてかなり少量であった。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成11年1月19日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正内容】
【書類名】 明細書
【発明の名称】 プラズマ重合による高分子薄膜の製造
方法
【特許請求の範囲】
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はプラズマ重合による
高分子薄膜の製造方法の改良に関するものである。さら
に詳しくは、本発明は、ガス状有機化合物をプラズマ放
電により重合させるに際し、重合を促進させて高分子薄
膜を効率よく製造する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】グロー放電を使用したプラズマ重合は、
極く一部の化合物を除いて、ほとんどすべての化合物に
対して適用が可能である。そして、この重合は、原料の
重合用モノマーについて、連鎖重合におけるビニル基や
縮合重合における酸などの重合性活性基を必ずしも必要
としないという特徴を有し、一般の鎖状ポリマーと異な
り、分岐性の高い架橋構造の高分子薄膜を形成すること
ができるという長所がある。
【0003】このようなプラズマ重合方法は、機能性薄
膜の形成方法として広く知られており、実用化も進めら
れている。このプラズマ重合によって形成される薄膜に
所望の機能をもたせるには、その機能を発揮する官能基
を膜中に導入する必要があるが、官能基を有する原料モ
ノマーは、すべてが効率的に重合できるわけではなく、
分子設計的に膜形成を行うのは困難であった。
【0004】すなわち、原料化合物の重合活性について
は、化合物の構造や組成に応じて重合しやすさに違いが
あり、一部の化合物は機能性官能基をもち、機能性高分
子薄膜を作製する上から、利用価値があると期待される
にもかかわらず、プラズマ重合に供しえないものがあっ
た。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような
事情のもとで、これまでプラズマ重合に用いられていた
有機化合物はもちろん、通常のプラズマ重合法では実質
上重合しない有機化合物についてもプラズマ重合させる
ことができ、高分子薄膜を効率よく製造する方法を提供
することを目的としてなされたものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者は、プラズマ重
合による高分子薄膜の製造について鋭意研究を重ねた結
果、反応系に触媒量のヨウ素ガスを添加することによ
り、これまでのプラズマ重合を著しく促進することがで
き、しかもこれまでプラズマ重合することができなかっ
た有機化合物もプラズマ重合させうることを見出し、こ
の知見に基づいて本発明を完成するに至った。
【0007】すなわち、本発明は、ガス状有機化合物を
プラズマ重合させて、高分子薄膜を製造するに当り、反
応系に触媒として有機化合物に対して1/10容量以下
のヨウ素ガスを添加することを特徴とする高分子薄膜の
製造方法を提供するものである。この際、反応系に添加
するヨウ素ガスの分圧は0.1〜0.6Paであるのが
好ましい。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明方法において原料として用
いられる有機化合物としては、従来プラズマ重合用原料
として用いられていたもののほか、ヨウ素存在下でのプ
ラズマ重合が可能であって、高真空下にて室温から50
℃程度の温度で蒸発し、気体になるものであればよく、
特に制限されない。本発明方法においては、この原料の
有機化合物として、通常の条件でプラズマ重合可能なも
のを用いた場合には、プラズマ重合が著しく促進され、
また、通常のプラズマ重合条件では、これまで実質上重
合不可能であった有機化合物、例えばエタノールやアセ
トンなどを用いても、プラズマ重合が可能となる。
【0009】本発明方法におけるプラズマ重合は、従来
公知のプラズマ重合装置を用いて行うことができる。プ
ラズマ重合の条件については特に制限はないが、原料の
有機化合物ガスは、分圧が、好ましくは1〜10Paの
範囲になるように導入されるとともに、ヨウ素ガスは、
触媒的な作用をなす物質として上記有機化合物に対し、
容量基準で1/10以下になるように添加する。また、
反応系に添加するヨウ素ガスの分圧が0.1〜0.6P
aの範囲になるような量で反応系に添加するのが好まし
い。
【0010】このようなガスの高真空条件下において、
通常13.56MHz(ラジオ波)の高周波を印加して
プラズマ放電させ、プラズマ重合反応が行われるが、高
周波として、上記ラジオ波よりも低いキロヘルツオーダ
ーのオーディオ波を用いることもできる。また、反応系
にヘリウムガスを存在させ、その常圧雰囲気下にプラズ
マ放電を発生させて、プラズマ重合反応を行っても差し
つかえない。
【0011】さらに、放電出力は、重合装置により異な
るが、一般には2〜200Wの範囲で放電が発生し、プ
ラズマ重合が可能となる。重合時間は特に制限はなく、
形成される高分子薄膜の所望膜厚に応じて、適宜選定す
ればよい。
【0012】本発明方法におけるプラズマ重合反応は、
プラズマで活性化されたラジカル種が成長種となって反
応が開始される。すなわち、放電のもとで発生した電子
が有機化合物に衝突し、これが炭素−水素結合などの化
学結合を解離してラジカルを生成させ、この生成した気
相ラジカルが再結合することによって、架橋構造の重合
体が形成される。
【0013】
【発明の効果】本発明方法によれば、有機化合物のプラ
ズマ重合反応を促進させるとともに、通常のプラズマ重
合条件下では、これまで実質上重合が不可能であった有
機化合物のプラズマ重合を可能とし、高分子薄膜をプラ
ズマ重合により、効率よく製造することができる。
【0014】
【実施例】次に、本発明を実施例によりさらに詳細に説
明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定さ
れるものではない。
【0015】実施例1 13.56MHzのラジオ波を用いる誘導結合方式のプ
ラズマ処理装置を使用して、内径4.4cm、長さ40
cmの反応管内に精密バルブを通してエタノール蒸気を
6.0Paの分圧になるように導入し、さらに別のバル
ブを通してヨウ素ガスを0.3Paの分圧になるように
供給した。次に、この混合系に50Wのパワーにてプラ
ズマ放電を発生させて反応を行った。その結果、20分
後には0.05mg/cm、40分後には0.113
mg/cm、60分後には0.165mg/cm
重合堆積物からなるフィルム状高分子生成物が得られ
た。
【0016】比較例1 ヨウ素ガスを供給せずに、実施例1を繰り返した。その
結果、60分間反応後の重合堆積物は0.02mg/c
以下で、フィルム状生成物は得られなかった。
【0017】実施例2 実施例1において、エタノール蒸気の代わりにアセトン
蒸気を用いた以外は、実施例1と同様の方法を行った。
その結果、20分後には0.05mg/cm、40分
後には0.123mg/cm、60分後には0.20
6mg/cmの重合堆積物からなるフィルム状高分子
生成物が得られた。
【0018】比較例2 ヨウ素ガスを供給せずに、実施例2を繰り返した。その
結果、60分間反応後の重合堆積物は0.03mg/c
以下で、フィルム状生成物は得られなかった。
【0019】実施例3 実施例1において、エタノール蒸気の代わりにn‐ヘキ
サン蒸気を用いた以外は、実施例1と同様の方法を行っ
た。その結果、20分後には0.123mg/cm
40分後には0.237mg/cm、60分後には
0.370mg/cmの重合堆積物からなるフィルム
状高分子生成物が得られた。
【0020】比較例3 ヨウ素ガスを供給せずに、実施例3を繰り返した。その
結果、20分後には0.02mg/cm、40分後に
は0.04mg/cm、60分後には0.072mg
/cmの重合堆積物からなるフィルム状高分子生成物
の形成が認められ たが、これらは、ヨウ素ガスを加え
た混合系の重合に比べてかなり少量であった。
【0021】実施例4 実施例1において、エタノール蒸気の代わりにシクロヘ
キサンガスを用いた以外は、実施例1と同様の方法を行
った。その結果、20分後には0.185mg/c
、40分後には0.381mg/cm、60分後
には0.566mg/cmの重合堆積物からなるフィ
ルム状高分子生成物が得られた。
【0022】比較例4 ヨウ素ガスを供給せずに、実施例4を繰り返した。その
結果、20分後には0.061mg/cm、40分後
には0.134mg/cm、60分後には0.236
mg/cmの重合堆積物からなるフィルム状高分子生
成物の形成が認め られたが、これらは、ヨウ素ガスを
加えた混合系の重合に比べてかなり少量であった。
【0023】実施例5 実施例1において、エタノール蒸気の代わりにトルエン
ガスを用いた以外は、実施例1と同様の方法を行った。
その結果、20分後には0.319mg/cm、40
分後には0.628mg/cm、60分後には0.9
16mg/cmの重合堆積物からなるフィルム状高分
子生成物が得られた。
【0024】比較例5 ヨウ素ガスを供給せずに、実施例5を繰り返した。その
結果、20分後には0.267mg/cm、40分後
には0.535mg/cm、60分後には0.813
mg/cmの重合堆積物からなるフィルム状高分子生
成物の形成が認め られたが、これらは、ヨウ素ガスを
加えた混合系の重合に比べてかなり少量であった。
【0025】実施例 実施例1において、エタノール蒸気の代わりにヘキサメ
チルジシロキサンガスを3.0Paで用いた以外は、実
施例1と同様の方法を行った。その結果、20分後には
0.174mg/cm、40分後には0.309mg
/cm、60分後には0.432mg/cmの重合
堆積物からなるフィルム状高分子生成物が得られた。
【0026】比較例 ヨウ素ガスを供給せずに、実施例6を繰り返した。その
結果、20分後には0.113mg/cm、40分後
には0.216mg/cm、60分後には0.34m
g/cmの重合堆積物からなるフィルム状高分子生成
物の形成が認めら れたが、これらは、ヨウ素ガスを加
えた混合系の重合に比べてかなり少量であった。
【0027】実施例 実施例1において、エタノール蒸気の代わりにヘキサメ
チルジシラザンガスを3.0Paで用いた以外は、実施
例1と同様の方法を行った。その結果、20分後には
0.165mg/cm、40分後には0.36mg/
cm、60分後には0.535mg/cmの重合堆
積物からなるフィルム状高分子生成物が得られた。
【0028】比較例 ヨウ素ガスを供給せずに、実施例7を繰り返した。その
結果、20分後には0.123mg/cm、40分後
には0.247mg/cm、60分後には0.34m
g/cmの重合堆積物からなるフィルム状高分子生成
物の形成が認めら れたが、これらは、ヨウ素ガスを加
えた混合系の重合に比べてかなり少量であった。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ガス状有機化合物をプラズマ重合させ
    て、高分子薄膜を製造するに当り、反応系に触媒量のヨ
    ウ素ガスを添加することを特徴とする高分子薄膜の製造
    方法。
  2. 【請求項2】 反応系に添加するヨウ素ガスの分圧が
    0.1〜0.6Paである請求項1記載の製造方法。
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