JPH11209197A - シリコン単結晶の製造方法 - Google Patents

シリコン単結晶の製造方法

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JPH11209197A
JPH11209197A JP2671598A JP2671598A JPH11209197A JP H11209197 A JPH11209197 A JP H11209197A JP 2671598 A JP2671598 A JP 2671598A JP 2671598 A JP2671598 A JP 2671598A JP H11209197 A JPH11209197 A JP H11209197A
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single crystal
magnetic field
seeding
silicon
necking
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JP2671598A
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Masaki Kimura
雅規 木村
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Shin Etsu Handotai Co Ltd
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Shin Etsu Handotai Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 MCZ法において、種結晶をシリコン融液に
浸ける際のスリップ転位の導入密度を減らすことによ
り、その後の絞り工程において転位が消滅し易くなり、
従来よりも太い絞り直径においても高い確率でスリップ
転位を消滅させて単結晶棒を成長させ、無転位化成功率
を向上させると共に、大直径、高重量の単結晶棒の生産
性の向上を図るシリコン単結晶の製造方法を提供する。 【解決手段】 MCZ法により、種結晶の先端をシリコ
ン融液に接触させた後、ネッキングを行い単結晶棒を成
長させるシリコン単結晶の製造方法において、少なく
とも種付けの際、少なくとも種付けからネッキングま
で、少なくとも種付けからネッキングを経て引上げ操
作に入った後、単結晶コーン部の一部または全体まで
は、磁場を印加しないか、あるいは単結晶直胴部を引上
げ中の印加磁場強度よりも弱い磁場を印加して種付けを
行うシリコン単結晶の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、磁場を印加するチ
ョクラルスキー法(Magnetic-field-applied Czochrals
ki Method 、MCZ法)による種結晶を使用してネッキ
ングを行って無転位化した後シリコン単結晶棒を成長さ
せるシリコン単結晶の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、MCZ法によるシリコン単結晶の
製造においては、単結晶シリコンを種結晶として用い、
これを磁場を印加したシリコン融液に接触させた後、回
転させながらゆっくりと引上げることで単結晶棒を成長
させている。この際、シリコン融液に磁場を印加すると
シリコン融液の対流がおさえられ、対流に伴う成長界面
の振動、温度変動が小さくなり、育成されたシリコン単
結晶中の成長縞が著しく減少し、点欠陥等の結晶内への
欠陥導入が抑制される。
【0003】そして最初に種結晶をシリコン融液に接触
させる種付けにおいては、種結晶をシリコン融液に接触
させる際に、熱衝撃により種結晶に高密度で発生するス
リップ転位から伝播するスリップ転位を消滅させるため
に、直径を3mm程度に一旦細くし絞り部を形成するい
わゆる種絞り(ネッキング)を行い、次いで、所望の口
径になるまで結晶を太らせて、無転位のシリコン単結晶
を引上げている。このような、種絞りを作製する方法は
Dash Necking法として広く知られており、
CZ法やMCZ法でシリコン単結晶棒を引上げる場合の
重要な工程である。
【0004】従来用いられてきた種結晶の形状は、例え
ば直径あるいは一辺約8〜20mmの円柱状や角柱状の
シリコン単結晶に種ホルダーにセットするための切り欠
き部を設けたもので、最初にシリコン融液に接触する種
結晶下方の先端形状は、平坦面となっている。そして、
高重量の単結晶棒の重量に耐えて安全に引上げるために
は、種結晶の太さは、素材の強度からして上記以下に細
くすることは難しい。
【0005】このような形状の種結晶では、シリコン融
液と接触する先端の熱容量が大きいために、種結晶がシ
リコン融液に接触した瞬間に種結晶内に急激な温度差を
生じ、スリップ転位を高密度に発生させる。従って、こ
のスリップ転位を消去してシリコン単結晶を育成するた
めに前記ネッキングが必要になるのである。
【0006】しかし、このような状態ではネッキング条
件を種々に選択しても、無転位化するためには、最小直
径を3〜5mm程度までは絞り込む必要があり、更に無
転位化成功率を上げるためには、最小直径を4mm以下
にすることが望ましく、近年のシリコン単結晶径の大口
径化に伴い、高重量化した単結晶棒を支持するには強度
が不充分であり、単結晶棒引上げ中に、この細い絞り部
が破断して単結晶棒が落下する等の重大な事故を生じる
恐れがあった。
【0007】特に、MCZ法では、磁場を印加すること
により融液の粘度が上がるので、細く絞るネッキングが
やりにくく、そこでシリコン融液温度を通常のCZ法よ
り高めに設定してネッキングをし易いようにしている。
しかしシリコン融液の温度を上げると、種付け時に種結
晶がシリコン融液に接触する時に生じるスリップ転位が
入り易くなり、通常のCZ法と比べてスリップ転位密度
が高いという問題があった。
【0008】しかも、今後の直径12インチ以上という
ような大口径のシリコン単結晶を大口径のルツボから引
上げようとすると、シリコン融液が多量となり対流制御
が困難となるので、磁場を印加してより一層対流を抑制
し、温度の変動を防止する必要があり、今後の磁場を印
加した大口径シリコン単結晶の引上げの場合には、一層
シリコン融液の高温化に伴って絞り工程でスリップ転位
が抜けにくいという問題が生ずる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】このスリップ転位が抜
けにくい原因として、種結晶がシリコン融液に接触した
際に発生するスリップ転位密度の多さが考えられる。す
なわち、発生したスリップ転位の密度が高い程、そのス
リップ転位を全て消滅させるためには、細く絞る必要が
あり、直径約5mmの太さの絞りでは、スリップ転位を
側面に移動させる力が弱いために、最終的に無転位化す
るかどうかは、スリップ転位の密度による確率の問題と
なる。これは、すなわち、種付けで導入されるスリップ
転位の密度が無転位化のし易さを左右していると云え
る。
【0010】そこで、本発明はこのような従来の問題点
に鑑みてなされたもので、MCZ法において、種結晶を
シリコン融液に浸ける際のスリップ転位の導入密度を減
らすことにより、その後の絞り工程においてスリップ転
位が消滅し易くなり、従来よりも太い絞り直径において
も高い確率でスリップ転位を消滅させ、無転位化させて
単結晶棒を成長させ、無転位化成功率を向上させると共
に、大直径、高重量の単結晶棒の生産性の向上を図るシ
リコン単結晶の製造方法を提供することを主たる目的と
する。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
本発明の請求項1に記載した発明は、磁場を印加するチ
ョクラルスキー法により、種結晶の先端をシリコン融液
に接触させた後、ネッキングを行い単結晶棒を成長させ
るシリコン単結晶の製造方法において、少なくとも種付
けの際は磁場を印加しないか、あるいは単結晶直胴部を
引上げ中の印加磁場強度よりも弱い磁場を印加して種付
けを行うことを特徴とするシリコン単結晶の製造方法で
ある。
【0012】このように、磁場を印加するMCZ法によ
り、ネッキングを行なって単結晶成長を行うシリコン単
結晶の製造方法において、少なくとも種付けの際は磁場
を印加しないか、あるいは単結晶直胴部を引上げ中の印
加磁場強度よりも弱い磁場を印加して種付けを行えば、
種付けから単結晶直胴部の引上げに至る全工程を磁場環
境下におく通常のMCZ法と比較して種付け時のシリコ
ン融液の低温化が可能となり、スリップ転位の発生密度
を抑制することができる。従って、比較的太い絞り直径
でもスリップ転位の消去が可能となり、無転位化成功率
を向上させることができる。
【0013】従って、磁場を印加しなければ成長させる
ことが困難な大口径ルツボからの大直径、高重量単結晶
の引上げに際しても、従来の絞り技術が生かされ、無転
位化成功率はほぼ100%を達成し、その再現性もよ
く、長期安定化させることができる。従って、今後の単
結晶棒の大直径化、長尺化、高重量化にも十分適応させ
ることが可能であり、生産性、歩留りならびにコストを
著しく改善することができる。
【0014】そしてこの場合、請求項2に記載したよう
に、前記磁場の印加を、少なくとも種付けからネッキン
グまでは無磁場とするかあるいは単結晶直胴部を引上げ
中の印加磁場強度よりも弱い磁場を印加してネッキング
を行うことが望ましい。このような磁場環境を、少なく
とも種付けから絞り工程まで続ければ、種付け後絞りに
入る時のメニスカス角度の大きさにより絞りの周辺部か
らスリップ転位がより逃げ易い界面形状となり、結晶に
スリップ転位が残る確率は減少し、無転位化成功率のよ
り一層の向上に寄与することになる。
【0015】本発明の請求項3に記載した発明は、磁場
を印加するチョクラルスキー法により、種結晶の先端を
シリコン融液に接触させた後、ネッキングを行い単結晶
棒を成長させるシリコン単結晶の製造方法において、少
なくとも種付けからネッキングを経て引上げ操作に入っ
た後、単結晶コーン部の一部またはコーン部全体までを
無磁場として育成するか、あるいは単結晶直胴部を引上
げ中の印加磁場強度よりも弱い磁場を印加してコーン部
を育成することを特徴とするシリコン単結晶の製造方法
である。
【0016】このような磁場環境を種付け、種絞りを経
て単結晶コーン部の途中あるいはコーン部全体まで継続
すると、コーン育成中にもスリップ転位が発生しにくく
なるので、安定したコーン育成が行なえるし、引き続き
単結晶本体を無転位で引上げることができ、高い無転位
化成功率が得られる。
【0017】そして、請求項4に記載したように、種結
晶の先端部の形状が、尖った形状であるものとすれば、
上述した本発明の磁場環境は先端の尖った種結晶を使用
して種付けする場合にも有効に作用する。すなわち、種
結晶先端部の断面積が小さいので種付けの際の熱衝撃が
小さく、種付けの際に発生するスリップ転位をより一層
抑制することができ、無転位化成功率を向上させること
ができる。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を説明
するが、本発明はこれらに限定されるものではない。本
発明者らは、MCZ法によるシリコン単結晶の成長に際
し、ネッキングを行う種付け法において、その無転位化
成功率が満足し得る水準に達しない場合があり、その原
因を調査、究明した所、このスリップ転位の発生要因と
して、種付けの際の磁場の強度が深く関係していること
を見出し、詳細に条件を詰めて本発明を完成させた。
【0019】先ず、種結晶として、図4の(B)に示し
たような角柱状の15mm角のシリコン単結晶(先端は
平坦面)の表面を混酸で約400μmエッチングしたも
のを使用して、種付け工程〜単結晶直胴部引上げ工程ま
での全工程に磁場を印加して直径150mmの単結晶棒
を成長させて無転位化成功率を調査した(試験No. 1〜
4)。
【0020】上記種結晶を用いて、原料多結晶シリコン
の溶融後、4000gaussの水平磁場を印加した。
ここで、磁場強度とは融液の中心位置での強度を示す。
そして、磁場強度をこのまま保持しつつ種付け−絞り
(ネッキング)−単結晶コーン−単結晶直径150mm
の直胴部を10cm引上げて丸めを作製し、その後冷却
して炉内から取り出した。取り出した結晶をセコエッチ
ング処理してスリップ転位の消滅状況を調査し、無転位
化成功率とし、その結果を表1に示した。
【0021】ここで、セコ(Secco)エッチングと
は、先ず、表面の歪み層を弗酸と硝酸の混合液でエッチ
ングして除去した後、K2 Cr27 と弗酸と水との混合
液でエッチングするもので、結晶表面のスリップ転位発
生の有無の確認に使用される。また、無転位化成功率
(%)[DF化率ともいう]とは、シリコン単結晶引上
げ本数に対するスリップ転位発生がなかったシリコン単
結晶引上げ本数の割合を百分率で表した値である。
【0022】
【表1】
【0023】表1から明らかなように、磁場を印加した
状態で種付けすると溶着部側面のピット密度は7〜8×
104 (/cm2 )と高く、DF化率100%を維持で
きる絞り直径は約4mmが限度で、直径が約5mmまで
太くなると無転位化成功率が落ち始め、それ以上の太絞
りでは結晶にスリップ転位が発生しDF化率は急減する
ことが判る。
【0024】次に磁場の影響を調査するため、先ず原料
多結晶の溶融後磁場を印加しないで種付け−絞り−単結
晶コーン−単結晶直胴部の引上げを行った。磁場以外の
条件は上記と同様である(試験No. 5〜8)。その結果
を表2に示した。
【0025】
【表2】
【0026】表2から明らかなように、全工程無磁場で
種付けすると溶着部側面のピット密度は2〜3×104
(/cm2 )と低くなるが、DF化率100%を維持で
きる絞り直径は約5mmが限度で、それ以上の太絞りで
は結晶にスリップ転位が発生しDF化率は低減すること
が判る。しかし、このDF化率の低減傾向は全工程磁場
印加時よりもかなり緩やかである。
【0027】次いで、磁場強度を変動させた場合の影響
を調査した(試験No. 9〜12)。種結晶として、15
mm角のシリコン単結晶(先端は平坦面)の表面を混酸
で約400μmエッチングしたものを使用して、直径1
50mmの単結晶棒を成長させて無転位化成功率を調査
した。
【0028】上記種結晶を用いて、原料多結晶シリコン
の溶融後、磁場を印加しないで種付けを行い、絞り−単
結晶コーン間で0から4000gaussまで徐々に水
平磁場強度を増加させた。そして、4000gauss
に到達した後、単結晶直径150mm直胴部を10cm
まで成長させた後丸めた。その後冷却して炉内から取り
出し、取り出した結晶をセコエッチング処理してスリッ
プ転位の消滅状況を調査し、無転位化成功率としてその
結果を表3に示した。
【0029】
【表3】
【0030】表3を見ると、種付け時には無磁場とし、
磁場強度を絞りからコーン部まで徐々に増強した場合に
は、溶着部側面のピット密度は2〜3×104 (/cm
2 )と全工程無磁場の場合と同程度に低くなり、絞り直
径は6mmまでの太絞りが可能と成った。それ以上の太
絞りでは結晶にスリップ転位が発生しDF化率は低減す
ることが判る。このDF化率の低減傾向も全工程無磁場
の場合と同様に、全工程磁場印加時よりも緩やかであ
る。
【0031】続いて、磁場強度の絶対値を変え、印加す
る工程を変えて調査した(試験No.13〜16)。種結
晶として、15mm角のシリコン単結晶(先端は平坦
面)の表面を混酸で約400μmエッチングしたものを
使用して、直径150mmの単結晶棒を成長させて無転
位化成功率を調査した。上記種結晶を用いて、原料多結
晶シリコンの溶融後、1000gaussの磁場を印加
して種付け−絞り工程を行い、絞り終了後−単結晶コー
ン間で1000から4000gaussまで徐々に水平
磁場強度を増加させた。そして、4000gaussに
到達した後、単結晶直径150mm直胴部を10cmま
で成長させて丸めた。その後冷却して炉内から取り出
し、取り出した結晶をセコエッチング処理してスリップ
転位の消滅状況を調査し、無転位化成功率としてその結
果を表4に示した。
【0032】
【表4】
【0033】表4から明らかなように、種付け−絞り工
程を弱い磁場強度とし、絞り後から単結晶コーン工程ま
で徐々に増強して所定の磁場強度にした場合は、溶着部
側面のピット密度は3〜3.5×104 (/cm2 )と
全工程無磁場の場合よりやや高くなるが、絞り直径はD
F化率を70%まで許容すると6mmの太絞りが可能と
なった。それ以上の太絞りでは結晶にスリップ転位が発
生しDF化率は低減することが判る。このDF化率の低
減傾向も全工程無磁場の場合と同様に、全工程磁場印加
時よりも緩やかである。
【0034】このように、本発明のMCZ法によるネッ
キングを行なう無転位種付け法では、上記表3および表
4で説明したように、無転位化成功率を向上させる因子
として種付け−絞り−単結晶コーン工程における磁場の
印加方法が深く関わっていることが明らかになった。
【0035】すなわち、本発明の特徴は、(1)少なく
とも種付けの際は磁場を印加しないか、あるいは単結晶
直胴部を引上げ中の印加磁場強度よりも弱い磁場を印加
して種付けを行う、シリコン単結晶の製造方法にある。
そして、(2)少なくとも種付けからネッキングまでは
無磁場とするかあるいは単結晶直胴部を引上げ中の印加
磁場強度よりも弱い磁場を印加してネッキングを行う、
シリコン単結晶の製造方法にある。さらに、(3)少な
くとも種付けからネッキングを経て引上げ操作に入った
後、単結晶コーン部の一部またはコーン部全体までを無
磁場とするか、あるいは単結晶直胴部を引上げ中の印加
磁場強度よりも弱い磁場を印加してネッキングを行う、
シリコン単結晶の製造方法にある。
【0036】以上三種類の磁場の印加方法によるシリコ
ン単結晶の製造方法によれば、MCZ法のネッキングに
おいて、ほぼ従来の2倍の直径約5〜6mmの太絞りが
可能となり、しかも無転位化成功率はほぼ100%を達
成することができると共に、さらには直径7mmの太絞
りも不可能ではなくなり、今後の大直径化、高重量化に
対してMCZ法で充分対応することが可能となり、生産
性、歩留りおよびコストダウンの向上を図ることができ
る。
【0037】以上述べた磁場の印加方法が無転位化に有
効な理由を図面に基づいて説明する。図1は無磁場にお
ける(a)種付け、(b)空引き、(c)メニスカス
を、図2は、4000gaussの水平磁場中の(a)
種付け、(b)空引き、(c)メニスカスを、図3は、
4000gaussの水平磁場中の種付け−空引き時に
おけるメニスカスを示している。
【0038】一般に、種結晶1をシリコン融液2の表面
に接触させて種付け(図1(a))を行なうと、種結晶
1の周りにフュージョンリング5が発生するが、その
後、種絞り(ネッキング)を開始する直前までにシリコ
ン融液2の温度を適温に調整する必要がある。この時、
例えば種結晶1が角棒の場合、角を取るために少しの長
さ一定の直径で引上げて丸くするが、これを空引きと呼
んでいる(図1(b))。そしてこの時、無磁場のCZ
法においては、種結晶1の先端があまりメルトバック3
(再溶融)しない程度の温度で種付けをすれば、空引き
操作が順調に進むことが経験的に判っている。
【0039】一方、磁場を印加した場合には、種結晶1
の先端のメルトバック3を、CZ法の場合よりも大きく
なる位(図2(a))、シリコン融液2の温度をより高
温にしておく必要があることが経験的に判っている。こ
の理由は、磁場印加によりシリコン融液2の粘度が高く
なるのでCZ法の場合と同じ温度から空引きするとメニ
スカス角度4が小さく、いきなり種結晶とシリコン融液
との融接部が拡がってしまうからである(図3)。これ
は換言すれば、磁場による粘性の増加を、シリコン融液
2の高温化によって補正していると云える。しかし、こ
のままだと種付け時の温度が高いために、熱衝撃の度合
いもCZ法に較べて高くなり、発生するスリップ転位密
度が高くなる。従って、本発明では、少なくとも種付け
の際は磁場を印加しないか、あるいは単結晶直胴部を引
上げ中の印加磁場強度よりも弱い磁場を印加して種付け
を行うことにした。
【0040】そして、前述したような磁場環境を、少な
くとも絞り工程まで続ければ、メニスカス角度の大きさ
により絞りの周辺部からスリップ転位がより逃げ易い界
面形状となり、さらに好ましい。さらに、この磁場環境
を単結晶コーン部の途中あるいはコーン部全体まで継続
すると、コーン育成中にもスリップ転位が発生しにくく
なるので、安定したコーン育成が行なえる。
【0041】また、この磁場環境は、図4の(C)およ
び(D)に示したような先端の尖った種結晶を使用して
種付けする場合にも有効に作用する。すなわち、スリッ
プ転位が発生し易いといった特性が、粘性によるメニス
カス角度の違いに影響される状況は、先端の尖った種結
晶を使用して無転位で種付けする場合も同じだからであ
る。従って、本発明によってこのような先端の尖った種
結晶を使用する場合にも有効であり、これによってスリ
ップ転位の発生は殆どなくなり、無転位化成功率を一層
向上させることができる。
【0042】なお、本発明は、上記実施形態に限定され
るものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明
の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同
一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いか
なるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
【0043】例えば、本発明の実施形態では、直径15
0mm(6インチ)のシリコン単結晶棒を成長させてい
るが、近年の200mm(8インチ)〜400mm(1
6インチ)への大直径化にも十分対応することができ
る。本発明では、結晶保持装置等を用いることなく、原
則としていかなる直径、長さ、重量の単結晶棒の引上げ
であっても当然に適用するることができる。
【0044】また、本発明の実施形態では、シリコン単
結晶の引上げ時に磁場を印加するMCZ法の内、水平磁
場を印加するHMCZ法(Horizontal Magnetic field a
pplied Czochralski crystal growth method) について
説明してきたが、カスプ磁場を印加するCusp−MC
Z法、垂直磁場を印加するVMCZ法等にも同様に適用
できることは言うまでもない。
【0045】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
MCZ法によってシリコン単結晶棒を引上げる際に、ネ
ッキングを行う種付け法において、種付け時における融
液の低温化が可能となり、接触時のスリップ転位の発生
密度を抑制できるので、比較的太い絞り直径でも高いス
リップ転位の消滅確率が得られる。従って、磁場を印加
しなければ成長させることが困難な大口径ルツボからの
大直径、高重量単結晶の引上げに際しても、従来の絞り
技術が生かされ、無転位化成功率はほぼ100%を達成
し、その再現性もよく、長期安定化させることができ
る。従って、今後の単結晶棒の大直径化、長尺化、高重
量化にも十分適応させることが可能であり、生産性、歩
留りならびにコストを著しく改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】無磁場における種付け、空引き、メニスカスを
示した説明図である。 a)種付け時の斜視図、 b)空引き
時の斜視図、 c)メニスカスを示す縦断面図。
【図2】4000ガウス水平磁場中における種付け、空
引き、メニスカスを示した説明図である。 a)種付け時の斜視図、 b)空引き
時の斜視図、 c)メニスカスを示す縦断面図。
【図3】4000ガウス水平磁場中における種付け〜空
引き時におけるメニスカスを示した縦断面図である(シ
リコン融液の温度を無磁場時と同じ値に設定した場
合)。
【図4】本発明において使用する種結晶の形状を示す斜
視図である。 (A)円柱状種結晶(先端は平坦面)、(B)角柱状種
結晶(先端は平坦面)、(C)円錐状種結晶、
(D)角錐状種結晶。
【符号の説明】
1…種結晶、 2…シリコン融液、 3…メルトバック、 4…メニスカス角度、 5…フュージョンリング。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 磁場を印加するチョクラルスキー法によ
    り、種結晶の先端をシリコン融液に接触させた後、ネッ
    キングを行い単結晶棒を成長させるシリコン単結晶の製
    造方法において、少なくとも種付けの際は磁場を印加し
    ないか、あるいは単結晶直胴部を引上げ中の印加磁場強
    度よりも弱い磁場を印加して種付けを行うことを特徴と
    するシリコン単結晶の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記磁場の印加を、少なくとも種付けか
    らネッキングまでは無磁場とするかあるいは単結晶直胴
    部を引上げ中の印加磁場強度よりも弱い磁場を印加して
    ネッキングを行うことを特徴とする請求項1に記載した
    シリコン単結晶の製造方法。
  3. 【請求項3】 磁場を印加するチョクラルスキー法によ
    り、種結晶の先端をシリコン融液に接触させた後、ネッ
    キングを行い単結晶棒を成長させるシリコン単結晶の製
    造方法において、少なくとも種付けからネッキングを経
    て引上げ操作に入った後、単結晶コーン部の一部または
    コーン部全体までを無磁場として育成するか、あるいは
    単結晶直胴部を引上げ中の印加磁場強度よりも弱い磁場
    を印加してコーン部を育成することを特徴とするシリコ
    ン単結晶の製造方法。
  4. 【請求項4】 種結晶の先端部の形状が、尖った形状で
    あることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれ
    か1項に記載のシリコン単結晶の製造方法。
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