JPH11206342A - 緑豆抽出エキス - Google Patents

緑豆抽出エキス

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JPH11206342A
JPH11206342A JP10029080A JP2908098A JPH11206342A JP H11206342 A JPH11206342 A JP H11206342A JP 10029080 A JP10029080 A JP 10029080A JP 2908098 A JP2908098 A JP 2908098A JP H11206342 A JPH11206342 A JP H11206342A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 花粉症、アトピー性皮膚炎などのアルギー性
の疾患に対する治療効果が高く、かつ副作用のない食品
を提供する。 【解決手段】 熱酢酸水を用いて、緑豆エキスを抽出し
た。抽出に用いる熱酢酸水のpHを3〜5、好ましくは
4に調整するようにした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明を適用する技術分野】本発明は、緑豆の抽出エキ
スに関するものであり、特に熱酢酸水で抽出した抗アレ
ルギー効果の高い緑豆の抽出エキスに関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】緑豆はマメ科の1年生植物である「ブン
ドウ」の種子であり、古くから健康食や生薬として用い
られている。現在知られている薬理作用としては、血清
脂質低下作用、抗菌作用、解毒作用などがあり、高脂血
症、農薬中毒、耳下腺炎、鉛・砒素中毒、腰背痛、ウル
シ接触性皮膚炎、日射病・熱射病の治療に用いられてい
る。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】代表的な現代病のとし
て、花粉症、アトピー性皮膚炎などのアルギー性の疾患
が近年問題になっている。このアレルギー性疾患に対し
ては、例えばトラニラストなどの抗アレルギー薬が開発
されているがその効果のほどは十分ではなく、また副作
用の問題もある。そこで、アレルギー性疾患に対する治
療効果が高く、かつ副作用のない治療薬の開発が多くの
患者に待望されているが、現在のところ、このようなア
レルギー性の疾患に画期的な効用のある薬剤、あるいは
食品は知られていない。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者は、緑豆には様
々な薬理作用が認められていることに注目して、緑豆の
生理活性を研究した結果、緑豆、特に酢酸を用いて抽出
した緑豆エキスに高い抗アレルギー作用があることを発
見し、この製品化を試みた。
【0005】本発明の緑豆抽出エキスは、熱酢酸水を用
いて抽出したことを特徴とする。上述した通り従来から
緑豆には様々な薬効成分が認められているが、花粉症や
アトピー性皮膚炎などのアレルギー症状に対する効力は
知られていなかった。本発明の目的とする抗アレルギー
作用は、熱酢酸水を用いて緑豆を抽出した場合に認めら
れる。後述する本発明者の実験により、通常の熱湯抽出
によって生成した緑豆エキスは抗アレルギー効果が低
く、臨床実験ではむしろアレルギー症状を悪化させる場
合もあることが判明した。本発明にかかる緑豆エキスに
認められる抗アレルギー効果は、熱酢酸水によって抽出
する際に緑豆に含まれている蛋白質が変成するために生
ずると考えられる。
【0006】また、本発明の緑豆抽出エキスは、前記熱
酢酸水のpHを5〜3、特に好ましくはpH4に調整し
て抽出するのが好ましい。本発明者は、緑豆エキスを製
品化するに際して、熱酢酸水のpHを変えて実験を行っ
た結果、抽出に用いる酢酸水のpHが高いほど、抗アレ
ルギー効果が高いことがわかった。しかしながら、pH
の高い酢酸水を用いて緑豆エキスを抽出した場合、製品
に強い酢酸臭がのこるため、食品として好適に使用でき
ない。さらに、抽出にあたって、pHの高い酢酸水を用
いると抽出釜が腐食してしまうという問題もある。後に
詳述する通り、pH5より酸性度が低い酢酸水で抽出し
たエキスは抗アレルギー効果が激減してしまい、一方、
pH3より酸性度の高い酢酸水で抽出したものは、刺激
臭が強く製品として使用することができない。また、p
H3より酸性度の高い酢酸水を用いると、製造時に抽出
用の釜が腐食してしまうなどの問題も生じる。従って、
pH5〜3に調整した熱酢酸水を用いて抽出するのが好
ましく、特にpH4に調整した熱酢酸水を用いて抽出し
たエキスついては、緑豆の作用効果を大幅に失うことな
く、かつ食品としても摂取しやすい。さらに、抽出釜の
腐食の問題もカバーすることができる。
【0007】また、本発明にかかる緑豆抽出エキスは、
前記エキスを熱酢酸水で抽出した後、中和することが好
ましい。中和することによって、製品の作用効果を維持
したままで、製品に残留する酢酸臭を消失させることが
できるからである。なお、中和剤としては苛性ソーダを
好適に用いることができる。
【0008】本発明にかかる緑豆抽出エキスは、ラット
を用いて行った実験に基づいて算定したヒスタミン遊離
抑制率が、12〜70%であることを特徴とする。
【0009】本発明者は、ラットの腹腔肥満細胞を用い
て緑豆のヒスタミン遊離作用を確認した。肥満細胞とは
名の通り巨大な細胞であり、花粉や薬物など何らかの刺
激が加わると破裂して、「ヒスタミン」等を遊離する。
この遊離されたヒスタミンが皮膚や気管支に到達する
と、発赤、かゆみ、喘息等を引き起こす、すなわち、ア
レルギー症状が現れることになる。
【0010】ここでは、ラットの腹腔肥満細胞を取り出
して、本発明にかかる緑豆エキスを共存させた試料と、
共存させていない試料とを作製し、遊離剤を加えて肥満
細胞からヒスタミンを強制的に遊離させるよう試み、所
定の算出方法に従って、緑豆エキスを共存させた試料に
付いてヒスタミンの遊離抑制率を求めて、緑豆エキスの
ヒスタミン遊離抑制作用を確認した。この結果、本発明
にかかる緑豆抽出エキスには強いヒスタミン遊離抑制作
用が認められた。
【0011】さらに、本発明にかかる緑豆抽出エキス
は、ラットを用いて行った実験に基づいて算定したとき
のアレルギー抑制率が、5〜45%であることを特徴と
する。
【0012】本発明者は、ラットを用いて本発明にかか
る緑豆エキスの抗原−抗体反応の抑制率をしらべた。抗
アレルギー作用とは、抗原−抗体反応を制限する作用を
いう。花粉や薬物は、抗原とよばれ、アレルギーを引き
起こす基となるものである。抗原が一旦体内に入ると、
生体内でその抗原に特有の抗体が作られる。しばらくし
て、再度侵入した抗原に対して抗体が破壊活動を行い、
生体に悪影響を及ぼさないようにするのが「免疫」機構
である。この抗原に対する抗体の反応(抗原-抗体反
応)が制限されることなく過剰に働き、その結果ヒスタ
ミンが多量に遊離された状態がアレルギーである。
【0013】本発明者は、ラットに本発明にかかる緑豆
エキスを事前に投与しておいて、このラットに人為的に
抗原-抗体反応を起こさせて、抗原−抗体反応の抑制の
度合い(アレルギー抑制率)を調べたところ、本発明に
かかる緑豆エキスはアレルギー抑制率が非常に高いこと
が判明した。
【0014】
【実施例】第1実施例 酢酸水4重量部に対して緑豆1重量部を合わせ、酢酸水
を約80°Cに熱して、2時間かけて緑豆エキスを抽出
した。酢酸水のpHは3になるように調整した。第2実施例 酢酸水4重量部に対して緑豆1重量部を合わせ、酢酸水
を約80°Cに熱して、2時間かけて緑豆エキスを抽出
した。酢酸水のpHは4になるように調整した。第3実施例 酢酸水4重量部に対して緑豆1重量部を合わせ、酢酸水
を約80°Cに熱して、2時間かけて緑豆エキスを抽出
した。酢酸水のpHは5になるように調整した。第4実施例 酢酸水4重量部に対して緑豆1重量部を合わせ、酢酸水
を約80°Cに熱して、2時間かけて緑豆エキスを抽出
し、その後このエキスを苛性ソーダで中和した。酢酸水
のpHは3になるように調整した。第5実施例 酢酸水4重量部に対して緑豆1重量部を合わせ、酢酸水
を約80°Cに熱して、2時間かけて緑豆エキスを抽出
し、その後このエキスを苛性ソーダで中和した。酢酸水
のpHは4になるように調整した。第6実施例 酢酸水4重量部に対して緑豆1重量部を合わせ、酢酸水
を約80°Cに熱して、2時間かけて緑豆エキスを抽出
し、その後このエキスを苛性ソーダで中和した。酢酸水
のpHは5になるように調整した。比較例1 酢酸水4重量部に対して緑豆1重量部を合わせ、酢酸水
を約80°Cに熱して、2時間かけて緑豆エキスを抽出
した。酢酸水のpHは64になるように調整した。比較例2 酢酸水4重量部に対して緑豆1重量部を合わせ、酢酸水
を約80°Cに熱して、2時間かけて緑豆エキスを抽出
し、その後このエキスを苛性ソーダで中和した。酢酸水
のpHは6になるように調整した。比較例3 水4重量部に対して緑豆1重量部を合わせ、水を約80
°Cに熱して、2時間かけて緑豆エキスを抽出した。
【0015】上述した実施例にかかる緑豆抽出エキス
は、ヒスタミン遊離抑制率が非常に高いこと、抗原
−抗体反応を抑制する作用があること、抗ヒスタミン
作用は認められないことが以下の実験で証明されてい
る。
【0016】実験1 ラットの腹腔肥満細胞を取り出して、上述した本発明の
実施例にかかる緑豆抽出エキスを共存させた試料を作製
し、これに遊離剤を加えて肥満細胞からヒスタミンを強
制的に遊離させるよう試みた。この試料について所定の
方法でヒスタミンの遊離抑制率を求めて、本発明にかか
る緑豆エキスのヒスタミン遊離作用を確認した。
【0017】 抗アレルギー物質(緑豆エキス)を共
存させた試料を以下のようにして用意した。 0.01〜0.003%の濃度に調整した緑豆エキスの
PSS溶液1.75mLを37°Cの温度で5分間プレ
インキュベートした後、ラット腹腔肥満細胞浮遊液0.
05mLを加えて37°Cの温度で15分間インキュベ
ートした。次いで、コンカナバリンAのPSS溶液(4
×10-4g/p)0.2mLを加えて、37°Cの温度
で10分間反応させた。コカバナリンA(4×10
-5M)は、肥満細胞から強制的にヒスタミンを遊離させ
る遊離剤である。
【0018】 抗アレルギー物質を共存させていない
対照試料を用意した。 PSS溶液1.75mLにラット腹腔肥満細胞浮遊液
0.05mLを加えて、さらにコンカナバリンAのPS
S溶液(4×10-4g/p)0.2mLを加えて、37
°Cの温度で10分間反応させた。
【0019】 それぞれの試料を氷で冷やして反応を
停止させた後、300×g、4°Cで遠心分離し、上清
液と沈渣部のそれぞれのヒスタミン量をショアら(Shor
e, et.al.)の方法にしたがって測定してヒスタミンの遊
離率を算定し、更に、このヒスタミン遊離率を用いてヒ
スタミンの遊離を抑制するヒスタミン遊離抑制率を算出
した。
【0020】上記の方法に基づいて、上述の第1〜第6
の実施例の緑豆エキスおよび比較例1〜3についてヒス
タミン遊離抑制率を求めた。その結果を表1に示す。
【表1】
【0021】実験1において、ヒスタミンの遊離率は以
下の式に基づいて算定した。 ヒスタミンの遊離率 = PS/PS+PR × 10
0 なお、PS=上清のヒスタミン量 PR=細胞中に残存しているヒスタミン量
【0022】ヒスタミン遊離抑制率は以下の式に基づい
て算定した。 遊離抑制率(%)=100−(S−B)/(C−B)×
100 S=試料の遊離率 C=対照試料の遊離率 B=ブランク試料の遊離率 なお、ブランク試料は、上述の緑豆エキスを共存させた
試料を得るために行った操作と同じ操作をラットの血清
に行って得た。
【0023】ヒスタミンは以下の操作を行って抽出した
一連の試料は、試料自体に蛍光物質あるいは蛍光吸収物
質が含まれているため、n−ブタノールで反応液よりヒ
スタミンを抽出して補正した。すなわち、上清部および
沈渣部のそれぞれ、NaCl 0.5g、5N NaO
H 0.25mL、n−ブタノール2.5mLを加えて
10分間撹拌し、次いで、780×g、4°Cで10分
間遠心分離した。n−ブタノール層2.0pを取除い
て、NaCl飽和0.1N NaOH2.0mLを加え
て10分間撹拌した後、780×g、4°Cで10分間
遠心分離した。更に、n−ブタノール層1.4mLを取
除いて、0.1N HCl2.5mLを加えて10分間
撹拌した後、780×g、4°Cで10分間遠心分離し
た。n−ブタノール層を除去して、水層を測定試料とし
た。
【0024】ラット腹腔肥満細胞浮遊液は以下のように
して調整した体重300〜500gのSD系雄性ラット
を断頭放血致死せしめ、腹腔にPSSを15mL注入し
た。腹部を約90秒間穏やかにマッサージした後、開腹
し、腹腔液を採取した。更に、PSS15mLで腹腔内
を洗浄した後、腹腔液を採取し先に採取した腹腔液と混
合した。この混合した腹腔液を55×g、4°Cで8分
間遠心分離した後、上清を除去し、沈渣としてラット腹
腔細胞を得た。この細胞は大部分がマクロファージであ
るため、エナバックら(Enerback et al)の方法によっ
て、肥満細胞を単離精製した。このようにして得た腹腔
細胞にPSSを1mL加えて懸濁させ、更に88%のパ
ーコル溶液(Percoll solution)を3
mL加えて再度懸濁させ、その上にPSS1mLを重層
した。これを265×g、4°Cで8分間遠心分離し、
上清をアスピレータで静かに除去し、更にPSS3mL
で細胞を洗浄し、55×g、4°Cで8分間遠心分離
し、沈渣として肥満細胞を得た。このようにして得た肥
満細胞をPSSで希釈し肥満細胞が1×105個/mL
となるように調整した。
【0025】PSS(Physiological Salt Solution)は
以下のとおり調整した。NaCl(145mM)、KC
l(2.7mM),HEPES(5mM),グルコース
(5.6mM)、CaCl2(1mM)を含有する水溶
液を作り、NaOHにてpH7.4に調整して緩衝液と
して用いた。
【0026】88%パーコール溶液は次のようにして調
整した。Percoll88容量をとり、1.5mMの
NaCl、5mMのHEPES溶液を加えて、pH7.
4に調整し、水を加えて100とした。
【0027】結論 実験1において、酢酸のpHを3、または4に調整して
抽出した緑豆エキス(第1及び第2の実施例)について
は、エキスの濃度が3mg/mLのときに約60%とい
う高い抑制率をしめした。また、濃度を0.1mg/m
Lに下げても、25%以上の抑制率を示し、0.1μg
/mLといった低濃度のエキスを用いた場合でも2%の
抑制率が認められた。
【0028】酢酸のpHを5に調整して抽出した緑豆エ
キス(第3の実施例)については、全体的に抑制率が低
下したものの、エキスの濃度が3mg/mLとある程度
高い場合には、36%という高い抑制率が認められた。
この例では、エキスの濃度を0.1mg/mLとした場
合の抑制率は13%であり、濃度0.1μg/mLのと
きは、抑制率は認められなかった。
【0029】尚、酢酸のpHを6に調整して抽出した緑
豆エキス(比較例1)では、エキスの濃度を3mg/m
Lと高くした場合でも抑制率は6%にすぎず、エキスの
濃度を0.1mg/mL以下にした場合は顕著な効果が
認められなかった。
【0030】また、酢酸のpHを3、または4に調整し
て緑豆エキスを抽出した後、苛性ソーダで中和したエキ
ス(第4及び第5の実施例)については、濃度が0.3
g/mLと高いときに、43%以上の抑制率が認められ
ており、濃度を0.1mg/mLにした場合でも19%
以上の抑制率が認められた。更に、0.1μg/mLと
いった低濃度のエキスを用いた場合でも1%の抑制率が
認められている。
【0031】更に、酢酸のpHを5に調整した実施例
(実施例6)については、濃度が0.3g/mLと高い
ときには21%の抑制率が認められ、濃度を0.1mg
/mLにした場合は8%の抑制率を示した。
【0032】これに対して、pH6に調整して緑豆エキ
スを抽出した後、苛性ソーダで中和したエキス(比較例
2)については濃度が3mg/mLと高くても10%の
抑制率しか示さず、濃度が低い場合には、抑制率はほと
んど認められなかった。
【0033】なお、同様の実験を、熱水で抽出した緑豆
エキス(比較例9)についておこなったところ、エキス
の濃度が3mg/mLと高い場合でも、ヒスタミン遊離
抑制率は10%と非常に低い値となり、それ以下の濃度
では、抑制効果を示さなかった。
【0034】実験2 この実験では、抗アレルギー作用のある薬物として上述
の第1の実施例にかかる緑豆エキスを事前に投与したラ
ットと、代表的な抗アレルギー剤であるトラニストを事
前に投与したラットを用意して、このラットに人為的に
抗原-抗体反応を起こさせて、抗原−抗体反応の抑制の
度合い(抑制率)を調べた。
【0035】 体重200g前後のWistar系雄
性ラットに、代表的な抗アレルギー剤であるトラニスト
と、本発明にかかる緑豆エキスを投与しておき、エーテ
ル麻酔下で背部を剪毛して、抗体としてDNP−IgE
を0.1mL皮内注射した。同時に同量の生理食塩水を
投与してブランクとしたラットを用意して、同じく抗体
としてのDNP−IgEを0.1mL皮内注射した。4
8時間後、DNP−BSA1mg、0.5%のエバンス
ブルー(Evans Blue)を含む生理食塩液1m
Lを尾静脈より注入して、人為的に抗原−抗体反応を起
こさせた。30分後にラットを断頭放血至死せしめ、感
作部位を中心に約1cmの円状に皮膚を切り取って、そ
れぞれの試料についてこの皮膚中に漏出している色素量
を比色法を用いて測定した。
【0036】 色素漏出量は、片山ら(Katay
ama,et al)の方法により測定した。すなわ
ち、切り取った皮膚を試験管に入れて、1N KOH
1mLを加えて、37°Cで一夜振盪させインキュベー
トした。ついで、0.6N−H3PO4:アセトンの混液
を9mL加えて振盪撹拌した。3000rpmで15分
間遠心分離し、上澄みの吸光度を620nmの波長の光
を用いて測定した。
【0037】 抑制率は予め色素量の検量線を作成し
て、上記方法に基づいて得た吸色度を代入して漏出色素
量とし、これを下記の式に代入して求めた。 抑制率(%)=(C−S)/C × 100 ここで、Cはコントロール色素量、Sは試料の色素量で
ある。
【0038】 以下の表2に、算定結果を示す。 表2 薬物 投与量(経口) 抑制率 トラニスト 100mg/kg 23% 実施例1の緑豆エキス 100mg/kg 39% 実施例2の緑豆エキス 100mg/kg 38% 実施例3の緑豆エキス 100mg/kg 13% 実施例4の緑豆エキス 100mg/kg 25% 実施例5の緑豆エキス 100mg/kg 23% 実施例6の緑豆エキス 100mg/kg 11% 比較例1の緑豆エキス 100mg/kg 8% 比較例2の緑豆エキス 100mg/kg 4% 比較例3の緑豆エキス 100mg/kg 3%
【0039】実験2において、抗アレルギー剤(トラニ
ストおよび緑豆エキス)は以下の通りに投与した。上記
抗アレルギー剤は、0.2%CMC−Na液に懸濁させ
て、抗原注入2時間前にゾンデを用いて強制的に経口投
与した。また、抗原投与24時間前から絶食させた。た
だし、飲用は自由とした。
【0040】DNP−BSA(DNP−牛血清アルブミ
ン)は以下の通りに作製した抗原として用いたDNP−
牛血清アルブミンはエイザンら(Eisan eta
l)の方法にしたがって作製した。蛋白の含有量はマイ
クロビューレット法により決定した。
【0041】DNP−IgE(DNP−免疫グロブリン
E)は以下の通りに作製した抗体として用いたDNP−
免疫グロブリンEは多田ら(Tada et al)の
方法にしたがって作製した。感作をかける前に同種のラ
ットを用いて予備試験を行い、最適濃度になるように希
釈した。
【0042】結論 上記表2から明らかな通り、代表的な抗ヒスタミン剤で
あるトラニストに比して、酢酸のpHを3または4に調
整して抽出を行った緑豆エキス(実施例1および2)に
ついては、はるかに強力な活性を示し、抑制率が大幅に
改善されていることがわかる。また、酢酸のpHを3ま
たは4に調整して抽出を行った後苛性ソーダで中和した
緑豆エキス(実施例4および5)についても、トラニス
トと同程度の抑制率が認められている。
【0043】一方、酢酸のpHを5に調整して抽出を行
った緑豆エキス(実施例3)、および、酢酸のpHを5
に調整して抽出を行った後苛性ソーダで中和した緑豆エ
キス(実施例6)ついても、10%以上の抑制率が認め
られている。また、酢酸のpHを6に調整して抽出を行
った緑豆エキス(比較例1)、および、酢酸のpHを6
に調整して抽出を行った後苛性ソーダで中和した緑豆エ
キス(比較例2)については、多少の抑制率が認められ
ているものの、その値は低かった。
【0044】なお、同じ実験を、熱水で抽出した緑豆エ
キス(比較例3)について行ったところ、抗原−抗体反
応の抑制率は、3%と非常に低かった。
【0045】また、本発明にかかる緑豆抽出エキスに
は、抗ヒスタミン作用は見出せないことが以下の実験3
からわかった。この実験ではモルモットから摘出した腸
管を用いて、上述した本発明の実施例にかかる緑豆エキ
スのヒスタミンによる収縮に対する作用を調べた。抗ヒ
スタミン作用とは、ヒスタミンが臓器に欠乏して作用を
発現する部位(受容体)への到着を阻害することを言
う。すなわち、ヒスタミン受容体に抗ヒスタミン薬を先
に作用させておき、到達したヒスタミンを結合できなく
することによって、発赤やかゆみを押さえる作用であ
る。
【0046】実験3では、モルモットから摘出した回腸
を栄養液の中につるしてその中にヒスタミンを入れて収
縮させ、その収縮した長さを器械を用いて測定し、ヒス
タミンに対する感受性をみるようにした。栄養液のなか
にあらかじめ抗ヒスタミン作用のある緑豆エキスを入れ
ておくと、ヒスタミンを加えても収縮が抑制される。こ
の抑制率を求めて抗ヒスタミン作用の強さとした。
【0047】実験3 マグナス(Magnus)法にしたがって実験を
行った。容量10mLのマグナス装置の液槽中にモルモ
ットの回腸片(2〜3cm)を吊るし、一端を槽の底
に、他端をアイソトニックトランスデユーサにつない
だ。液槽の温度を37°Cに調節して、腸管を吊るして
から30分間放置した。槽中には絶えずガス(5%CO
2,95%O2)を通じておくようにした。
【0048】 安定した後、1×10-6〜1×10-5
の濃度のヒスタミンを順次槽内に注入して、腸管をトレ
ーニングした。トレーニング終了後1×10-5〜1×1
-4濃度のヒスタミンを累積的に投与した。これを数回
繰り返し、一定の反応が得られたところで容量反応曲線
データを得た。洗浄後10分間休止時間を置いて、回腸
に被検薬物(緑豆エキス)を注入して、5分間放置した
後ヒスタミンを累積的に投与して、同様に容量反応曲線
データを得た。このようにして得たデータを統計学的処
理をして薬物の効果を判定した。
【0049】 この実験の結果を以下に示す。 表3 薬物 作用量 抑制率 緑豆エキス 1mg/mL − 緑豆エキス 10mg/mL − すなわち、本発明の緑豆エキスには抗ヒスタミン作用は
全く見られない。すなわち、ヒスタミン受容体に対する
直接作用はないものと思われる。なお、ここでは実施例
2の緑豆エキスを用いて実験を行った。
【0050】実験3において、モルモットの回腸片は以
下の通り調整した。24時間以上絶食させたハートレイ
系雄性モルモットを撲殺し、直ちに腹壁を切り開いて回
盲部で回腸を切断し、約30cmの長さで摘出した。こ
れを予めシャーレに用意しておいた加温タイロード液の
中に移した。これを2〜3cmの長さに切って実験に用
いた。
【0051】タイロード液は、NaCl 8.0g、K
Cl 0.2g、MgCl2 0.1g、NaH2PO4
0.05g、NaHCO3 1.0g、グルコース
1.0gを蒸留水に溶解させ、1000mL(pH7.
8)として用いた。
【0052】以上の実験1〜3から、本発明にかかる緑
豆エキスは抗ヒスタミン作用は有していないものの、ヒ
スタミンの遊離そのものを抑制する抗アレルギー効果、
および過剰な抗原−抗体反応を抑制する効果は非常に高
いことがわかった。
【0053】臨床試験 上記実験によって熱酢酸水にて抽出した緑豆エキスに抗
アレルギー作用(ヒスタミン遊離抑制作用、および、抗
原−抗体反応抑制作用)があることがわかった。本発明
者は、次いで、花粉症患者に本発明にかかる緑豆のエキ
スを含有する栄養補助食品を投与して臨床試験を行い、
緑豆エキスの花粉症に対する効果を確認した。本臨床試
験は、熱水抽出した緑豆エキス(以下「熱水抽出緑豆エ
キス」という)と、酢酸抽出した緑豆エキス(以下「熱
酢酸抽出緑豆エキス」という)と、酢酸抽出した緑豆エ
キスを中和させたエキス(以下「熱酢酸抽出中和緑豆エ
キス」という)を投与して行い、それぞれの効果を確認
するようにした。
【0054】それぞれのエキスは以下のようにして得
た。熱水抽出緑豆エキス 80°Cの熱水で緑豆を抽出してエキスを得た。抽出時
間は2時間とした。また、熱水と緑豆の配合比は重量比
で4:1とした。熱酢酸抽出緑豆エキス 酢酸水をpH4に調整して、80°Cに熱して、緑豆を
抽出してエキスを得た。抽出時間は2時間とした。酢酸
水と緑豆の配合比は重量比で4:1とした。熱酢酸抽出中和緑豆エキス 酢酸水をpH4に調整して、80°Cに熱して、緑豆を
抽出してエキスを得、このエキスを更に苛性ソーダで中
和した。抽出時間は2時間とした。酢酸水と緑豆の配合
比は重量比で4:1とした。
【0055】熱水抽出緑豆エキスを含有する試験剤は、
13〜52歳までの男女15名に、熱酢酸抽出緑豆エキ
スを含有する試験剤は、15〜48歳までの男女16名
に、熱酢酸抽出中和緑豆エキスを含有する試験剤は、1
2〜37歳までの男女12名に投与した。患者は、それ
ぞれアレルギー性鼻炎等の原疾患を持っており、何らか
の現代医学的治療を受けていた。
【0056】各試験剤は粉状であり、一包中に、それぞ
れ、緑豆熱水抽出エキス、緑豆熱酢酸抽出エキス、緑豆
熱酢酸抽出中和エキスを1gずつ含むものを用意した。
また、成人患者には、1日2回朝夕食後2包ずつ、計4
包を一日の投与量とし、15歳未満の患者には、1日2
回朝夕食後1包ずつ、計2包を一日の投与量とした。投
与期間は30日間であり、スギ花粉が飛散している最盛
期である平成9年3月10日から開始して平成9年4月
12日をもって終了した。なお、各患者が受けていた現
代医学的治療(内服薬、点鼻薬等)はそのまま継続させ
た。
【0057】判定方法 各症例とも、投与前の自覚症状を確認して、投与後1ヶ
月目にその自覚症状の改善、悪化、または不変を調べ
た。判定は、症状が消失したかまたはほぼ消失した場合
を「著明改善」、症状がかなり改善した場合を「中等度
改善」、症状が多少軽減した場合を「軽度改善」、症状
が変わらない場合を「不変」、症状が悪くなった場合を
「悪化」として、各試験剤についての効果を比較した。
【0058】
【表4】
【0059】
【表5】
【0060】
【表6】
【0061】表4に示すように、熱水抽出をした緑豆エ
キスは、患者に投与しても大きな改善が現れず、むしろ
症状が悪化した例も多かった。これに対して、表5及び
6に示すように、酢酸で抽出した緑豆エキスによれば、
中和したものも含めて顕著に花粉症の症状が改善されて
いることがわかる。
【0062】熱酢酸抽出緑豆エキスを投与した患者につ
いては、投与後7日目あたりから改善があらわれ、1ヶ
月経過後には、インタール等の点鼻薬の併用が全く不要
となった例も多く見られた。このように、酢酸で抽出し
た緑豆エキスには相当の花粉症改善効果があると考えら
れる。一方、熱水抽出緑豆エキスを投与した患者につい
ては、酢酸抽出緑豆エキスを投与した場合の例に比べ
て、改善効果がはるかに下回っており、悪化する症例も
多く見られた。
【0063】具体的な臨床例を示す。 (1)14歳、男性、中学生、アトピー性皮膚炎。 乳児のころからアトピー症状があり、近医の皮膚科で通
院加療していた。平成7年までは、症状がひどい時には
ステロイド軟膏を使用していた。平成7年の夏より全身
にアトピー性皮膚炎が広がり症状が悪化してきた。同年
8月16日からはステロイド軟膏の使用を中止した。同
年8月23日に診療した時には、顔面の症状がひどく、
発赤、浸出液がみられた。水治療に加えて漢方薬、抗ア
レルギー剤を処方したところ、顔の症状はやや軽快し
た。同年10月に入って症状が悪化したため、18日か
ら本発明にかかる熱湯抽出緑豆エキスを1日に6g投与
しはじめた。約2週間で症状がかなり軽快し、かゆみも
落ち着いてきた。
【0064】(2)28歳、男性、会社員、アトピー性
皮膚炎 幼少のころからアトピーがあり、近医で通院加療してい
た。中学生の時に皮膚科でステロイドの外用薬をもらう
ようになった。成人後、住居を移転してから症状が悪化
してきた。平成9年1月11日に診療した時には、上半
身を中心に軽度の色素沈着を伴う発赤を認め、かゆみが
強く夜眠れないとの症状を訴えていた。抗アレルギー剤
と本発明にかかる熱湯抽出緑豆エキスを1日あたり6g
を投与したところ、約1ヶ月でかゆみが軽快し、夜も眠
れるようになった。
【0065】(3)26歳、男性、会社員 アルコール性肝障害のため、平成7年5月より当院で加
療していたが、平成9年2月に花粉症を併発した。抗ア
レルギー剤の投与は肝臓の負担が増加するため、インタ
ール点鼻薬のみで経過を観察していたが、症状に改善が
みられなかった。本発明にかかる熱酢酸抽出緑豆エキス
を1日あたり6g投与すると、1週間程度で鼻閉、鼻水
等の症状が改善された。晴天強風時でも症状の増悪はみ
られない。
【0066】(4)16歳、女性、学生 小学2年生ころからアトピーがあり、冬季になると症状
が増悪していた。特に上半身のかゆみが強かった。症状
が悪化している時にはステロイド軟膏を投与してきた
が、副作用を考慮してステロイド軟膏の投与を中止し、
平成9年12月より本発明にかかる熱酢酸水抽出緑豆エ
キスのみを投与するようにしたところ、約1週間でかゆ
みが激減して、1ヶ月で軽快した。
【0067】上述した通り、酢酸を用いて抽出した緑豆
エキスは、強い抗アレルギー作用があるが、酢酸で抽出
しているため、製品に強い酢酸臭が残留する。抽出に用
いる酢酸水のpHが強いほど、高い抗アレルギー作用が
あると考えられるが、pHを強くすればするほど、残留
する酢酸臭が強くなるため、使用に限界がある。そこ
で、どの程度の刺激臭であれば食品として使用に耐えら
れるかを調べる調査を行った。
【0068】調査の概要 緑豆エキスの抽出に用いる酢酸水のpHを変えて、下記
の4種類の熱酢酸水抽出緑豆エキス〜を用意した。
また、これらの4種類の熱酢酸水抽出緑豆エキスを更に
苛性ソーダで中和して下記の熱酢酸水抽出中和緑豆エキ
ス〜を用意した。これらのエキスの抽出方法は、前
記臨床試験に用いた方法と同じようにした。10〜58
歳までの男女20名に、これらの緑豆エキス〜を摂
取させて、各緑豆エキス中の残留酢酸臭の強さを比較し
た。
【0069】試料 緑豆熱酢酸水抽出エキス(pH3) 緑豆熱酢酸水抽出エキス(pH4) 緑豆熱酢酸水抽出エキス(pH5) 緑豆熱酢酸水抽出エキス(pH6) 緑豆熱酢酸水抽出中和エキス(pH3) 緑豆熱酢酸水抽出中和エキス(pH4) 緑豆熱酢酸水抽出中和エキス(pH5) 緑豆熱酢酸水抽出中和エキス(pH6)
【0070】判定方法 判定の基準は、酢酸臭があまりに強く、かぐことができ
ないほどであるものを不良、酢酸臭はあるがなんとかか
ぐことができるものを普通、酢酸臭が弱く問題なくかぐ
ことができるものを良、酢酸臭がしないものを最良とし
た。
【0071】
【表7】 表7に示すように、試料ととの間の刺激臭の差が大
きく、pH3に調整した熱酢酸水で抽出した緑豆エキス
(試料)は、残留酢酸臭が強すぎて、食品として摂取
するのが困難であるといえる。一方、試料ととの間
には刺激臭の強さに大きな差異はなく、なんとかかぐこ
とのできる「普通」との判定を出すものが多かった。試
料では、「普通」あるいは「問題なくかげる」と判定
したもので占められている。一方、試料とは、pH
は強いものの、なんとかかげると答えた者が多かった。
【0072】この調査の結果から、緑豆熱酢酸水抽出エ
キス(試料〜)の中では、pH4〜6のものが食品
として適しており、特にpH6の試料は何の問題もな
く摂取することができる。また、緑豆熱酢酸水抽出中和
エキス(試料〜)はpH3〜6のすべてについて食
品として摂取するのに適している。
【0073】上述した通り、緑豆を酢酸で抽出したエキ
スには強い抗アレルギー作用があることが判明した。ま
た、上述した調査結果から、酢酸抽出緑豆エキスの中で
も抗アレルギー作用を失うことなく、かつ食品として好
適に利用できるのはpH4〜6に調整した熱酢酸水で抽
出したエキス、特にpH4に調整した熱酢酸水で抽出し
たエキスが最適であることがわかった。pH4の熱酢酸
水で抽出した緑豆エキスはpH3の熱酢酸水で抽出した
緑豆エキスに比べて、抗アレルギー作用はなんら劣るこ
とがなく、残留酢酸臭が比較的少ないからである。更
に、使用する酢酸の量が少ないので経済的である。pH
5〜6に調整した熱酢酸水で抽出した場合は、更に経済
的であり、残留酢酸臭も少ないが、pH4の熱酢酸水で
抽出したエキスに比べて作用効果の面で多少劣る。
【0074】なお、上述の臨床試験の結果から、緑豆を
熱酢酸水で抽出した後、苛性ソーダで中和したものも相
当の抗アレルギー作用があることが判明している。熱酢
酸水抽出中和緑豆エキス(試料〜)のうち、pH3
〜4に調整した熱酢酸水でエキス抽出して苛性ソーダで
中和したもの(試料及び)が栄養補助食品として最
適である。十分な作用効果が確保されており、残留酢酸
臭が少ないからである。
【0075】したがって、消費者が成人であって、食品
に多少の酢酸の刺激臭が残っていてもそれを摂取するこ
とができ、高い抗アレルギー効果が期待されている場合
は、pH4に調整した熱酢酸水で抽出した緑豆エキス
(試料)を投与することが望ましい。一方、子供や、
あるいは成人でも酢酸の刺激臭に過敏な者には、pH3
〜4に調整した熱酢酸水で抽出した後、苛性ソーダで中
和した緑豆エキスを投与することが好ましい。いずれの
場合も、I型アレルギーと呼ばれる花粉症(アレルギー
性鼻炎)、アトピーの患者には高い効果を示す。なお、
本発明にかかる緑豆エキスは、このほかにもアレルギー
性喘息にも適用できると考えられる。アレルギー性喘息
も,I型アレルギーであり、発症のメカニズムは花粉症
と同様であるからである。
【0076】なお、本発明の緑豆エキスの抽出方法にお
ける酢酸水と緑豆の混合比、抽出温度、抽出時間はごく
一般的な抽出方法にしたがったものであり、特に、上述
の実施例、実施例にて述べた値に限定されるものではな
い。すなわち、混合比は、酢酸水:緑豆の重量比4:1
に限らず、エキスが抽出できる限り、3:1あるいは
5:1といった値でも良い。また、抽出温度も80°C
に限らず、約90〜70°C程度の間で抽出ができる温
度であれば良い。さらに抽出時間も、抽出ができれば2
時間よりも短時間であってもかまわない。
【0077】
【発明の効果】上述した通り、本発明にかかる熱酢酸水
を用いて抽出した緑豆エキスには、高い抗アレルギー作
用がある事が判明し、このエキスを適当量摂取すること
によって、花粉症やアトピー性皮膚炎などのアレルギー
症状を抑えることが可能である。また、抽出に際して、
酢酸のpHを適当な値に調整することによって、あるい
はエキスを抽出した後に中和することによって抗アレル
ギー効果を失うことなく患者が容易にエキスを摂取でき
る。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 熱酢酸水を用いて抽出したことを特徴と
    する緑豆抽出エキス。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の緑豆抽出エキスにおい
    て、前記熱酢酸水のpHを3〜5、特に好ましくは4に
    調整して抽出したことを特徴とする緑豆抽出エキス。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2に記載の緑豆抽出エキス
    において、前記エキスを熱酢酸水を用いて抽出した後、
    中和したことを特徴とする緑豆抽出エキス。
  4. 【請求項4】 請求項3に記載の緑豆抽出エキスにおい
    て、前記緑豆エキスを苛性ソーダを用いて中和したこと
    を特徴とする緑豆抽出エキス。
  5. 【請求項5】 請求項1ないし4に記載の緑豆抽出エキ
    スにおいて、ラットを用いて行った実験に基づいて算定
    したヒスタミン遊離抑制率が、12〜70%であること
    を特徴とする緑豆抽出エキス。
  6. 【請求項6】 請求項1ないし4に記載の緑豆抽出エキ
    スであって、ラットを用いて行った実験に基づいて算定
    したときのアレルギー抑制率が、5〜45%であること
    を特徴とする緑豆抽出エキス。
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