JPH11196890A - 光学活性3−キヌクリジノールの製法 - Google Patents
光学活性3−キヌクリジノールの製法Info
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- JPH11196890A JPH11196890A JP192698A JP192698A JPH11196890A JP H11196890 A JPH11196890 A JP H11196890A JP 192698 A JP192698 A JP 192698A JP 192698 A JP192698 A JP 192698A JP H11196890 A JPH11196890 A JP H11196890A
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Abstract
造する方法を提供すること。 【解決手段】 以下の式: 【化1】 で表される3-キヌクリジノンと、3-キヌクリジノンを
立体選択的に還元し得る生物学的触媒とを反応させる工
程を包含する方法によって、光学活性3-キヌクリジノ
ールを製造する。
Description
される光学活性な生理活性化合物および液晶材料の合成
中間体として有用である光学活性3-キヌクリジノール
の製造に関する。より詳細には、本発明は、生物学的触
媒である微生物または微生物に由来する酵素を用いて、
3-キヌクリジノンを立体選択的に還元して、光学活性
3-キヌクリジノール、特に(R)-(-)-3-キヌクリジノー
ルを生成する方法に関する。
は、その光学異性体の混合物として使用されている。し
かし、望ましい活性は、一方の光学異性体のみに存在す
る場合が多い。さらに、所望の活性を有しない他方の光
学異性体が、生体に対して毒性を有する場合があること
も知られている。従って、有効かつ安全な医薬または生
理活性化合物を提供するためには、その原料または合成
中間体として用いられる光学純度の高い光学活性物質の
製造方法を開発することが強く要望されている。
キヌクリジノールは、スクアレンシンターゼ阻害作用を
有する動脈硬化の治療剤、またはムスカリン受容体拮抗
作用を有する気管支拡張剤、および胃腸運動抑制剤など
の合成中間体として知られる化合物である(特開平8−
134067号、EP−404737A2、EP−42
4021A1、WO92/04346、およびWO93
/06098を参照)。
ルには、光学異性体が存在する。従って、合成中間体と
して有用な光学活性3-キヌクリジノールを分離する必
要があり、現在までにいくつかの試みがなされている。
て、これまでに、例えば、1-ベンジル-3-ヒドロキシ
キヌクリジウムクロライドをD-酒石酸誘導体で光学分割
し、(S)-(+)-3-キヌクリジノールを生産する方法(Isr
ael Journal of Chemistry, 9,267-268(1971))、およ
びD-グルコースからの(S)-(+)-3-キヌクリジノールの
合成方法(Tetrahedron Letters, 27, 3057-3058(198
6))が報告されている。
ば、(R,S)-キヌクリジニルブチレートに、馬血清ブチル
コリンエステラーゼを作用させ、光学活性(S)-(+)-3-
キヌクリジニルブチレートを残存させる方法(Life Sci
ence, 21, 1293-1302 (1977))、およびBacillus属に属
する微生物由来のプロテアーゼを作用させ、高い光学純
度の光学活性(R)-(-)-3-キヌクリジノールを製造する
方法(US 5215918A)が知られている。
または合成工程の煩雑さから大量生産が容易でないなど
の問題を含む。また、いずれの方法も、ラセミ体の3-
キヌクリジノールを光学分割して目的の光学異性体を得
る手法であるため、目的としない他方の光学異性体が残
存する。そのため、これらの方法では、目的としない光
学異性体に関して、その不斉炭素の立体配置を反転させ
て目的の光学異性体へ変換させる工程、あるいは目的と
しない光学異性体をラセミ化して、再度の光学分割によ
る目的の光学異性体を得る工程を必要とし、生産コスト
が高くなる問題点がある。
物をロジウム錯化合物を触媒として不斉水素化して、光
学活性3-キヌクリジノールを製造する方法(特開平9
−194480)が報告されているが、光学純度が低
く、工業的な製造方法ではない。
リジノール、特に合成中間体として有用な(R)-(-)-3-
キヌクリジノールを極めて高い光学純度で効率よく、3
-キヌクリジノンから直接製造する方法が強く要望され
ている。
解決するものであり、その目的とするところは、立体選
択性の高い生物学的触媒を利用し、高い光学純度を有す
る光学活性3-キヌクリジノールを効率良く製造する方
法を提供することにある。
キヌクリジノールを製造する方法であって、以下の式:
クリジノンを立体選択的に還元し得る生物学的触媒とを
反応させる工程を包含する。
は、生成した光学活性3-キヌクリジノールを3-キヌク
リジノンと分離する工程をさらに包含する。
的触媒は、ロドトルラ(Rhodotorula)属、キャンディ
ダ(Candida)属、スポリディオボルス(Sporidiobolu
s)属、ロドスポリディウム(Rhodosporidium)属、シ
ゾサッカロマイセス(Schizosaccharomyces)属、クリ
プトコッカス(Cryptococcus)属、トリコスポロン(Tr
ichosporon)属、ゴルドナ(Gordona)属、ピキア(Pic
hia)属、およびノカルディア(Nocardia)属に属する
微生物からなる群から選択される微生物に由来する。
性3-キヌクリジノールは(R)-(-)-3-キヌクリジノール
である。
的触媒は、微生物菌体、微生物培養液、微生物菌体の処
理物、および精製酵素からなる群から選択される。より
好ましい実施態様においては、前記生物学的触媒は微生
物菌体のアセトン処理物である。
は、Rhodotorula rubra、Rhodotorulaglutinis、Rhodot
orula graminis、Rhodotorula minuta、Candida albica
ns、Candida parapsilosis、Candida intermedia、Cand
ida antarctica、Sporidiobolus salmonicolor、Rhodos
poridium toruloides、Schizosaccharomyces octosporu
s、Cryptococcus laurentii、Cryptococcus terreus、T
richosporon cutaneum、Gordona terrae、Pichia anoma
la、およびNocardia asteroidesからなる群から選択さ
れる微生物である。より好ましい実施態様において、前
記微生物は、Rhodotorula rubra JCM3782、Rhodotorula
rubra JCM3785、Rhodotorula rubra JCM8113、Rhodoto
rula rubra JCM8117、Rhodotorula glutinis IFO389、R
hodotorula graminis IFO0190、Rhodotorula minuta IF
O0879、Candida albicans JCM1542、Candida albicans
JCM2909、Candida parapsilosis JCM1618、Candida par
apsilosis JCM1785、Candida intermedia IFO0761、Can
dida antarctica JCM3941、Sporidiobolus salmonicolo
r IFO1035、Sporidiobolus salmonicolor IFO1845、Spo
ridiobolus salmonicolor AKU4429、Rhodosporidium to
ruloides IFO8766、Cryptococcus laurentii IFO0609、
Cryptococcus terreus IFO0727、Trichosporon cutaneu
m IFO1198、Gordona terrae JCM3206、Pichia anomala
IFO10213、およびNocardia asteroides IFO3384からな
る群から選択される微生物である。
物学的触媒を作用させて、3-キヌクリジノンを立体選
択的に還元することにより、光学活性3-キヌクリジノ
ールに変換する。
基質は、式:
る。本発明の方法に用いられる基質は、塩酸塩などの無
機酸塩、および酢酸塩などの有機酸塩を含む。
-キヌクリジノンのカルボニル基を立体選択的に還元し
得る。詳細には、本発明に用いられ得る生物学的触媒
は、3-キヌクリジノンのカルボニル基を立体選択的に
還元して、光学活性3-キヌクリジノールに変換するカ
ルボニル還元酵素を含有(産生)する任意の微生物(例
えば、酵母、糸状菌および細菌)に由来する。このよう
な酵素を含有(産生)する微生物は、例えば、実施例1
に記載の方法を用いて、3-キヌクリジノンから生成さ
れる(R)-(-)-3-キヌクリジノールまたはその光学異性
体である(S)-(+)-3-キヌクリジノールについて分析す
ることによりスクリーニングされ得る。
は産生)する微生物として、好ましくは、ロドトルラ
(Rhodotorula)属、キャンディダ(Candida)属、スポ
リディオボルス(Sporidiobolus)属、ロドスポリディ
ウム(Rhodosporidium)属、シゾサッカロマイセス(Sc
hizosaccharomyces)属、クリプトコッカス(Cryptococ
cus)属、トリコスポロン(Trichosporon)属、ゴルド
ナ(Gordona)属、ピキア(Pichia)属、およびノカル
ディア(Nocardia)属に属する微生物が挙げられる。よ
り好ましくは、Rhodotorula rubra JCM3782、Rhodotoru
la rubra JCM3785、Rhodotorula rubra JCM8113、Rhodo
torula rubra JCM8117、Rhodotorula glutinis IFO38
9、Rhodotorula graminis IFO0190、Rhodotorula minut
a IFO0879、Candida albicans JCM1542、Candida albic
ans JCM2909、Candida parapsilosis JCM1618、Candida
parapsilosis JCM1785、Candida intermedia IFO076
1、Candidaintermedia AKU4429、Candida antarctica J
CM3941、Sporidiobolus salmonicolor IFO1035、Sporid
iobolus salmonicolor IFO1845、Sporidiobolus salmon
icolor AKU4429、Rhodosporidium toruloides IFO876
6、Cryptococcus laurentii IFO0609、Cryptococcus te
rreus IFO0727、Trichosporon cutaneum IFO1198、Gord
ona terrae JCM3206、Pichia anomala IFO10213、およ
びNocardia asteroidesIFO3384などである。これらの微
生物株は、理化学研究所微生物系統保存施設(JC
M)、(財)発酵研究所(IFO)、または京都大学農
学部(AKU)などの微生物保存機関から入手できる。
て用いられる微生物は、野性株、変異株(例えば、紫外
線照射などにより誘導される)、あるいは細胞融合もし
くは遺伝子組換え法などの遺伝子工学的手法により誘導
される組換え体などのいずれの株であってもよい。組換
え体などの操作された微生物は、例えば、MolecularClo
ning A Laboratory Manual第2版(Sambrook, J.ら編、
Cold Spring Harborlaboratory Press, 1989)に記載さ
れるような、当業者に公知な技術を用いて容易に作成さ
れ得る。
る、当業者に周知な固体培地または液体培地のどちらを
用いてもよい。好ましくは、上記微生物の培養は液体培
地を用いて行われる。微生物の培養に使用される培地の
成分は、炭素源および窒素源として、培養される微生物
が利用できる任意の炭素源および窒素源を用いることが
できる。このような炭素源として、好ましくは、デンプ
ン、スクロースまたはグルコースなどの糖、グリセロー
ルなどのアルコール類、および有機酸(例えば、酢酸お
よびクエン酸)またはその塩(例えば、ナトリウム塩)
である。窒素源として、好ましくは、酵母エキス、カゼ
イン、コーンスチープリカー、ペプトン、肉エキスなど
の天然窒素源および硫安、塩安、尿素等の無機窒素化合
物を用いることができる。炭素源の濃度は1〜20%、
好ましくは1〜5%の範囲である。窒素源の濃度は1〜
20%、好ましくは1〜5%の範囲である。培養温度
は、上記の酵素が安定であり、そして培養される微生物
が十分に生育できる限り、任意の温度が可能であるが、
好ましくは20〜30℃である。培養時間は、上記の酵
素が十分に産生される限り、任意の時間であるが、好ま
しくは16〜48時間程度である。培養は、好ましく
は、好気的な条件下で、例えば、通気攪拌または振とう
を用いて行うことができる。
は、上記の微生物培養から得られる任意の調製物を包含
し得る。このような調製物として、例えば、上記の微生
物培養から得られる微生物菌体、微生物培養液、微生物
菌体の処理物、および種々の程度に精製された酵素など
を含む。微生物培養液は、微生物菌体を含む培養液、お
よび遠心分離などにより微生物菌体を除いた培養液の両
方を意味する。微生物菌体の処理物として、例えば、ア
セトン処理物、超音波処理などによる細胞破砕物、固定
化菌体などが含まれる。これらは、当業者に周知の方法
により調製され得る。例えば、アセトン処理物は、培養
により得られた微生物菌体またはその懸濁液を、冷却し
た(例えば、−20℃)アセトン中に攪拌し、その後例
えば濾過により得られる、上記の酵素活性を保持した粉
体状の菌体処理物である。微生物菌体の固定化は、例え
ば、微生物菌体の存在下で、カラギーナンまたはアクリ
ルアミドなどのゲル化剤をゲル化することによって行わ
れる。酵素の精製は、例えば、アセトン処理物および細
胞破砕物を用いて、硫安沈澱、イオン交換クロマトグラ
フィー、疎水相互作用クロマトグラフィーなどの、当業
者に周知の方法を用いて行われ、種々の精製度の酵素
(ほぼ均一までに精製された酵素を含む)が得られ得
る。
有する適切な反応液中で、例えば、3-キヌクリジノン
を立体選択的に還元し、生成物として光学活性3-キヌ
クリジノール、特に(R)-(-)-3-キヌクリジノールを得
る。
光学活性3-キヌクリジノール、例えば(R)-(-)-3-キヌ
クリジノールは、3-キヌクリジノンの存在下、前記の
微生物を培養することによって得ることができる。培養
液に添加する3-キヌクリジノンの量は、0.1〜10wt
/vol%、好ましくは0.1〜5wt/vol%である。添加さ
れた3-キヌクリジノンは必ずしも完全に溶解しなくて
もよい。添加された3-キヌクリジノンが完全に溶解し
ない場合、例えば、塩(例えば、塩酸塩)として溶解性
を向上させても良く、あるいはエタノールのような有機
溶媒を、還元反応を実質的に阻害しない程度(例えば、
5%)に添加してもよい。
学活性3-キヌクリジノール、例えば(R)-(-)-3-キヌク
リジノールは、適切な反応液(水または緩衝液)中で、
培養された微生物の菌体またはその処理物(例えば、ア
セトン処理物)を3-キヌクリジノンと接触させ、反応
することにより得ることができる。反応液に添加する3
-キヌクリジノンの量は、0.1〜20wt/vol%、好まし
くは0.1〜10wt/vol%である。添加された3-キヌク
リジノンは必ずしも完全に溶解しなくてもよい。添加さ
れた3-キヌクリジノンが完全に溶解しない場合、例え
ば、塩(例えば、塩酸塩)として溶解性を向上させても
良く、あるいはエタノールのような溶媒を、生物学的触
媒による還元反応を実質的に阻害しない濃度(例えば、
5%まで)に添加してもよい。特に菌体処理物を使用す
る場合、上記のカルボニル還元酵素の補酵素のNADP
Hを添加することが好ましい。その添加量は、2〜40
0g/l、より好ましくは2〜200g/lである。
て、反応に用いる生物学的触媒を適切に選択することに
より、上記と同じ反応条件下で、立体配置が(S)配置の
光学活性3-キヌクリジノールを得ることができる。
る。反応のための至適なpHを保持するために、例えば
リン酸緩衝液などの緩衝液が使用される。反応液のpH
は、5〜9、好ましくは6〜8である。あるいは、反応
の進行に伴って変化するpHをモニターしながら、酸
(例えば、硫酸)およびアルカリ(例えば、水酸化ナト
リウム)を添加することによって反応液のpHを至適な
pHに維持および調節し得る。
は、特に限定されないが、その基質である3-キヌクリ
ジノンに対して、約0.1〜10g/基質mol、好ましく
は約1〜5g/基質molである。
5℃〜35℃である。反応時間は、用いる生物学的触媒
の量、反応温度、反応pHなどに依存して変動するが、
通常1〜72時間程度である。
キヌクリジノールは、必要に応じて、基質の3-キヌク
リジノンおよび生成した光学活性3-キヌクリジノール
の化学的特性または物理的特性の差異を利用して分離さ
れ得る。本発明の方法では、表1に示すように、適切な
生物学的触媒を選択することによって、光学純度が10
0%の光学活性3-キヌクリジノール、すなわち(R)-(-)
-3-キヌクリジノールまたは(S)-(+)-3-キヌクリジノ
ールが生成するため、光学活性3-キヌクリジノールの
一方の光学異性体のみを得ることができる。
は、反応終了後、その性質(例えば、溶解度、疎水性)
に依存して、例えば、溶媒抽出法、結晶析出法、カラム
クロマトグラフ法などの当該分野で通常用いられる分離
操作を用いて、未反応の3-キヌクリジノンと分離され
る。例えば、溶媒抽出法では、塩基性条件下、トルエン
で反応液から未反応の3-キヌクリジノンを抽出した
後、クロロホルム、ジクロロメタン等の溶媒を用い、生
成した光学活性3-キヌクリジノールを回収することが
できる。
手段を用いて、さらに精製され得る。この場合、第2の
手段は、第1の手段と異なる方が好ましい(例えば、第
1の手段として溶媒抽出を用いた場合、第2の手段とし
て、例えばカラムクロマトグラフィが挙げられる)。
明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるもので
はない。
に光学純度の測定は、以下の分析条件を用いて、ガスク
ロマトグラフィーにより行った。
D;スペルコ社製) カラム初期温度:140℃(10分) インジェクター温度:220℃ 検出器温度:220℃ キャリアーガス:ヘリウム(200kPa) 検出器:FID <実施例1>500ml容三角フラスコに、100mlのY
M培地(ポリペプトン(日本製薬製)5g/l、酵母エキ
ス(日本製薬製)3g/l、麦芽エキス(Difco社
製)3g/l、グルコース10g/l、pH5.5)を入れ、
121℃、15分間オートクレーブ滅菌した後、あらか
じめ同培地で前培養しておいたロドトルラ・ルブラ(Rh
odotorula rubra)JCM3782の培養液を接種し、25℃で
2日間、ロータリーシェーカーで回転培養(160rp
m)を行った。
808mg(50mM)を添加し、さらに5日間回転培養を
続けた。培養終了後、培養液に100gの炭酸カリウム
を加え塩基性条件下にした後、未反応の3-キヌクリジ
ノンを50mlのトルエンで2回抽出除去した。その後、
生成物を反応液から、50mlのクロロホルムで2回抽出
した。
た結果、210mg(収率33%)の(R)-(-)-3-キヌク
リジノールが、光学純度100%e.e.(エナンチオマー
過剰率)で得られた。
例1に記載のように、反応を行い、そして生成物を抽出
した。抽出液の分析結果を表1に示す。
0%e.e.で光学活性3-キヌクリジノール(すなわち、
一方の光学異性体のみ)が得られたことを示す。
に、実施例1に記載のYM培地2Lを入れ、121℃、
15分間オートクレーブ滅菌した後、あらかじめ同培地
で前培養しておいたロドトルラ・ルブラ(Rhodotorula
rubra)JCM3782の培養液を接種し、25℃で2日間、通
気攪拌培養(通気量:1vvm、攪拌速度:500rpm)を
行った。得られた培養液を遠心分離(18000rpm、
20分)し、61gのロドトルラ・ルブラ(Rhodotorul
a rubra)JCM3782の湿菌体を得た。
0)に、得られた菌体61gを懸濁した後、3-キヌク
リジノン塩酸塩12.9g(200mM)とスクロース4
0gを添加し、25℃で、4日間攪拌した。反応終了
後、400gの炭酸カリウムを加え塩基性条件下にした
後、未反応の3-キヌクリジノンを200mlのトルエン
で2回抽出除去した。その後、生成物を200mlのクロ
ロホルムで2回抽出した。
た結果、(R)-(-)-3-キヌクリジノールが6.6g(収率
65%)で得られ、その光学純度は100%e.e.(エナ
ンチオマー過剰率)であった。
衝液(pH7.0)に、実施例3に記載されるように培
養を行って得られた菌体61gを懸濁した後、3-キヌ
クリジノン塩酸塩6.5g(100mM)とスクロース4
0gを添加し、25℃で、4日間攪拌した。反応終了
後、400gの炭酸カリウムを加え塩基性条件下にした
後、生成物を200mlのクロロホルムで2回抽出した。
た結果、(R)-(-)-3-キヌクリジノールが5.0g(収率
99%)で得られ、その光学純度は100%e.e.(エナ
ンチオマー過剰率)であった。
たロドトルラ・ルブラ(Rhodotorula rubra)JCM3782の
菌体12gを200mlの冷アセトン(−20℃)に分散
し、約5分攪拌した後、ろ過により菌体を回収した。同
様の処理をさらに3回行った後、真空乾燥によりアセト
ンを除去し、粉末状のアセトン処理菌体2.4gを得
た。
0)に、得られたアセトン処理菌体2.4gを分散した
後、3-キヌクリジノン塩酸塩648mg(200mM)と
NADPH 1.8gとを添加し、25℃で、48時間攪
拌した。反応終了後、20gの炭酸カリウムを加え塩基
性条件下にした後、未反応の3-キヌクリジノンを10m
lのトルエンで2回抽出除去した。その後、生成物を1
0mlのクロロホルムで2回抽出した。
た結果、364mg(収率71%)の(R)-(-)-3-キヌク
リジノールが光学純度100%e.e.(エナンチオマー過
剰率)で得られた。
例5に記載のように、培養菌体をアセトン処理し、反応
を行い、そして生成物を抽出した。抽出液の分析結果を
表2に示す。
い光学純度で生成物が得られることを示す。さらに、培
養菌体をアセトン処理することにより、収率が増大して
いることを示す。
ジノール、特に(R)-(-)-3-キヌクリジノールを高い光
学純度で効率よく製造することができる。微生物菌体の
アセトン処理物は、培養菌体よりも高い収率で(R)-(-)-
3-キヌクリジノールを生成し得る。得られる光学活性
3-キヌクリジノールは、動脈硬化、気管支喘息、また
は胃腸運動抑制などの治療剤を製造するための合成中間
体として有用である。
Claims (7)
- 【請求項1】 光学活性3-キヌクリジノールの製造方
法であって、以下の式: 【化1】 で表される3-キヌクリジノンと、3-キヌクリジノンを
立体選択的に還元し得る生物学的触媒とを反応させる工
程を包含する、方法。 - 【請求項2】 生成した光学活性3-キヌクリジノール
を3-キヌクリジノンと分離する工程をさらに包含す
る、請求項1に記載の方法。 - 【請求項3】 前記生物学的触媒が、ロドトルラ(Rhod
otorula)属、キャンディダ(Candida)属、スポリディ
オボルス(Sporidiobolus)属、ロドスポリディウム(R
hodosporidium)属、シゾサッカロマイセス(Schizosac
charomyces)属、クリプトコッカス(Cryptococcus)
属、トリコスポロン(Trichosporon)属、ゴルドナ(Go
rdona)属、ピキア(Pichia)属、およびノカルディア
(Nocardia)属に属する微生物からなる群から選択され
る微生物に由来する、請求項1または2に記載の方法。 - 【請求項4】 前記光学活性3-キヌクリジノールが(R)
-(-)-3-キヌクリジノールである、請求項1から3のい
ずれかに記載の方法。 - 【請求項5】 前記生物学的触媒が、微生物菌体、微生
物培養液、微生物菌体の処理物、および精製酵素からな
る群から選択される、請求項1から4のいずれかに記載
の方法。 - 【請求項6】前記生物学的触媒が微生物菌体のアセトン
処理物である、請求項1から5のいずれかに記載の方
法。 - 【請求項7】 前記微生物が、Rhodotorula rubra、Rho
dotorula glutinis、Rhodotorula graminis、Rhodotoru
la minuta、Candida albicans、Candida parapsilosi
s、Candida intermedia、Candida antarctica、Sporidi
obolus salmonicolor、Rhodosporidium toruloides、Sc
hizosaccharomyces octosporus、Cryptococcus laurent
ii、Cryptococcus terreus、Trichosporon cutaneum、G
ordonaterrae、Pichia anomala、およびNocardia aster
oidesからなる群から選択される微生物である、請求項
1から6のいずれかに記載の方法。
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JP192698A JP3891522B2 (ja) | 1998-01-07 | 1998-01-07 | 光学活性3−キヌクリジノールの製法 |
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JP192698A JP3891522B2 (ja) | 1998-01-07 | 1998-01-07 | 光学活性3−キヌクリジノールの製法 |
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JPH11196890A true JPH11196890A (ja) | 1999-07-27 |
JP3891522B2 JP3891522B2 (ja) | 2007-03-14 |
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JP192698A Expired - Fee Related JP3891522B2 (ja) | 1998-01-07 | 1998-01-07 | 光学活性3−キヌクリジノールの製法 |
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JP (1) | JP3891522B2 (ja) |
Cited By (15)
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