JPH11191908A - 電線引き寄せ具 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 天井裏や壁内、柱内等の狭くて小さい空間内
であっても、多大な労力を必要とすることで容易に迅速
に配線操作を行うことができ、電線配線作業の能率向上
を図ることができると共に、寸法計測用の巻き尺として
も使用できる配線用具を提供すること。 【解決手段】 基端部ａ側が帯材収納体１のハウジング
１１内に設けられた回転可能な中心軸１２の回りにスプ
ライン巻回され、中間部ｃが当該ハウジング１１の開口
部１３から自力で繰り出し且つハンドル機構１５を具備
してその巻き戻し操作によって収納し得る構造の、表面
に尺度目盛りが施された弾性硬質金属の帯材２の先端部
ｂに、電線係止部３１を具備し且つ弾性硬質帯材２の延
長方向に対し傾斜面３２を形成するように長手方向側面
がほぼ“く”字状に屈曲して移動に際して凹凸面を乗り
越えてスライドし得る形状の電線連結ガイド金具３が固
定又は着脱可能に取り付けられている。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、既設建造物の天井
裏・壁内空間・柱内空間等を通過させて電線や電話線等
の配線するときに使用すると共に、必要に応じて建造物
に係る部位の寸法計測を可能とする電線引き寄せ具に関
するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来のこの種電線引き寄せ具のうち、主
として天井裏の配線用に用いる用具は、別紙図１０に例
示したように、テレスコピック状とした伸縮棹５１の先
端に電線引っ掛け係止用のフック金具５２を固定金具５
３を介して固定させたものが知られている。又、別構造
の用具として、先端に電線引っ掛け係止用金具を取り付
けた長尺の帯材を、フープ状に巻回してリング状のケー
スに収納し、作業時には前記帯材をケースから繰り出し
て電線引っ込み口に届かせ、係止用金具に電線を結び付
けて手元に引き寄せる様にした用具（図示省略）も存在
する。

【０００３】前者の伸縮棹５１を利用する従来の配線用
具にあっては、棹５１を長く伸ばした状態では、天井裏
に通じる小さい開口から天井裏内に差し込むことはでき
ないので、通常の短尺状態で天井裏に挿入し、狭い天井
裏内において、棹５１を先端棹５１ａから順次に引き伸
ばし操作をし、棹の先端部を電線挿入口に臨ませて先端
のフック金具５２に配線しようとする電線の先端部分を
連結した後、再び天井裏内において棹５１を基端棹側か
ら順次縮小収納操作をして短くし電線を手元側に引き寄
せるという作業をしていた。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】したがって、従来の伸
縮棹５１を利用した配線用具にあっては、狭い天井裏内
での棹の伸縮操作が極めて困難で時間と手数を要し、伸
長させた棹の根元部分を持って棹の先端部を操作するに
は相当な労力を必要とし疲労が大きい。しかも、狭い天
井裏内において棹の根元部分を持って操作することが可
能な棹の重量には限度があるので、むやみに棹の長さを
長尺のものとすることができないため、この種伸縮棹を
用いて配線操作ができる範囲には限りがあるという根本
的な欠点があり、又、後者の長尺の帯材をフープ状に巻
回してリング状のケースに収納した構造の用具では、フ
ープ状の寸法が大きくて現場に於いて取扱い難く、更に
帯材をケースから出退させるのに手で操作しなければな
らず、手数を要し、且つ怪我をしないよう注意しなけれ
ばならないという課題を有するものであった。

【０００５】そこで、本発明は、このような伸縮棹等、
従来の配線用具が有していた課題を解決することを目的
とし、天井裏のような狭い場所であっても、壁内や柱内
の狭くて小さい空間内であっても、多大な労力を必要と
することなく、容易に迅速に配線操作を行うことがで
き、電線配線作業の向上を図ることができると共に、作
業現場に於いて距離、寸法計測用の巻き尺としても使用
できる配線用具を提供しようとするものである。

【０００６】

【課題を解決するための手段】該目的を達成するための
本発明にいう電線引き寄せ具の構成を、実施例において
使用した符号を用いて説明すると、本発明は、基端部ａ
側が帯材収納体１のハウジング１１内に設けられた回転
可能な中心軸１２の回りにスプライン巻回され、中間部
ｃが当該ハウジング１１の開口部１３から自力で繰り出
し且つ巻き戻し用のハンドル１５を具備してその操作に
よって収納し得ると共に、その表面に尺度目盛２１が施
されている構造の弾性硬質金属の帯材２の先端部ｂに、
電線係止部３１を具備し且つ帯材２の延長方向に対し傾
斜面３２を形成するように長手方向側面がほぼ“く”字
状に屈曲して移動に際して凹凸面を乗り越えてスライド
し得る形状の電線連結ガイド金具３が固定又は着脱可能
に取り付けられており、前記ハウジング１１の開口部１
３の内側に、前記帯材２の出退を規制するストッパー１
４が設けられている。

【０００７】

【発明の実施の形態】この配線用具の実施に当たって
は、前記帯材２を、収納時にはその基端部ａとこれに続
く中間部ｃを帯材収納体１のハウジング１１に設けた回
転可能とした中心軸１２の回りにスプライン巻回させ、
使用時にはこのスプライン巻回させた中間部ｃをハウジ
ング１１の開口部１３から出退させるようにし、ハウジ
ング１１から外部に出た前記中間部ｃを棒状とし、前記
電線連結ガイド金具３を推進させることにより実施する
ことができる。

【０００８】ハウジング１１は通常の巻き尺と類似した
構造とすればよく、組み立ての都合上合成樹脂で対称的
な容器形状とした部材を２個一組とし、中心軸１２の回
りにスプライン巻回させた帯材２を両側から挟むように
して収納し、リベット、小ネジ等の結合部材で一体とな
った帯材収納体１とする。当該帯材収納体１には使用上
便利とするために、自力で繰り出した帯材２を巻き戻す
ためにハンドル機構１５が中心軸１２に装備され、又、
帯材２の出退時に帯材２を自由に移動させ、且つ電線連
結作業時には延長状態を保持するために押しボタン構造
のストッパー１４をハウジング１の前記開口部１３の内
側に取り付けられる。更に又、帯材２の収納時に不用意
にストッパー１４を解放して、帯材２を突き出させると
危険を伴う場合もあり得るので、前記ストッパー１４の
端部を帯材２の一部分に係止させるような構造としても
よい。

【０００９】帯材２は、鋼板・ステンレス鋼板等の硬質
金属で形成した、比較的細幅の１０〜３０ｍｍ程度の幅
の弾発性に富んだ０．１〜０．５ｍｍ程度の薄い金属帯
板が自己反発力に優れている点で好ましい。又、帯材２
が延長されたときにその中間部ｃが棒状となるために、
帯材２の長手方向垂直面内の断面が円弧状、く字状等帯
材２が平面的でない形状であることが望ましい。帯材２
が中心軸１２の回りにスプライン巻回されるときは自己
反発力に逆らって断面は直線状となり、容易に巻回され
るが、この自己反発力によって直線化しようという潜在
力を有し、前記ストッパー１４の拘束が解除されれば自
力で繰り出すことになる。ハウジング１１から外部に出
て帯材２が一直線状となった時は本来の断面形状に戻っ
て棒状となり、延長するための推進力を忠実に伝える。
更に、帯材２の表面に尺度目盛２１を施すことにより巻
尺として使用することができ、工事現場などで手軽に寸
法計測ができる点で便利である。

【００１０】前記電線連結ガイド金具３は、金属製でも
合成樹脂製でもよいが耐久性と価格の立場から鉄板のプ
レス製が適当で、電線係止部３１を具備し且つ帯材２の
延長方向に対し傾斜面３２を形成するように長手方向側
面がほぼ“く”字状に屈曲させて、移動に際して天井裏
等の凹凸面上を乗り越えてスライドし得る形状とする。
従って、当該電線連結ガイド金具３の先端部は前記凹凸
面の高さより高く持ち上がっているように設計する。電
線係止部３１は、電線連結ガイド金具３の先端部に単に
電線を括り付けるための単なる穴３１を穿設しただけで
もよいが、穴に切り欠き部を設けた解放穴３１ｂとして
もよい。又、この電線連結ガイド金具３には前記帯材２
の尺度目盛りの基点、即ちメジャー先端を表す目印３３
ａを設ける。或いは前記傾斜面３２と帯材２の取り付け
部との境界に目印として通常の巻き尺のごとく垂直とな
った屈曲部３３ｂを設けてもよい。この電線連結ガイド
金具３は前記帯材２の先端部にリベット３４等で帯材２
の先端部ｂに取り付けられるが、本発明の実施例ではこ
のリベット３４の一部分３４ａを突出させて、前記スト
ッパー１４の端部１４ａと係止させるようにしている。

【００１１】本発明は、このような構成としたものであ
るから、天井などに設けられた作業用開口部４０に於い
て帯材収納体１を手元に置いて固定し、或いは手に持っ
て保持し、（ストッパー１４を操作して）電線連結ガイ
ド金具３を先頭にして帯材２の中間部ｃを自力で順次前
方に向けて繰り出すことによって、電線連結ガイド金具
３を天井裏４１等の凹凸面４２を乗り越えてスライドさ
せながら前方の電線挿入口４３に向けて移動させ、電線
挿入口４３において当該ガイド金具３の穴３１ａに配線
しようとする電線４４の先端部を係止または結び付けて
連結した後、帯材２の繰り出し側を順次引き寄せること
によって電線連結ガイド金具３を引き寄せて電線４４の
引き寄せ配線を行う。また、手元位置において電線連結
ガイド金具３に配線しようとする電線４４を連結し、前
記のように帯材２を押し出して電線連結ガイド金具３を
前進させることによって、電線４４を所定の位置まで搬
送配線させることもできる。

【００１２】このように、本発明にいう電線引き寄せ具
は、伸縮可能な帯材２の先端に取り付けられた電線連結
ガイド金具３を前後進させることによって電線先端部を
前後進させ、所要電線の引き寄せまたは搬送を行うよう
にしたものであるから、狭い天井裏等の配線作業であっ
ても極めて容易に操作することができ、配線作業の迅速
化及び容易化を図ることができ、帯材２そのものは軽量
で体積の小さいものであるから小型の帯材収納体１であ
っても長尺の帯材２を巻き込むことができるため、携帯
に便利でありながら棹では届かない長い範囲の配線も容
易に行うことができ、非常に使い勝手がよいと言う特徴
を有する。更に本来の作業以外にもメジャーとして使用
することができると言う利点をも有する。

【００１３】

【実施例】以下本発明の実施例について図面に基づいて
説明する。図中、図１、図２は本発明の第１実施例の外
観の斜視図及び断面図であって、図３〜図５は変形例と
しての帯材２の別の断面構造３種を示し、図６は使用例
を示している。

【００１４】該第１実施例は、図１乃至図２に見られる
ように、帯材収納体１を形成するハウジング１１は合成
樹脂で対称的な容器形状とした部材を２個一組とし、中
心軸１２の回りにスプライン巻回させた帯材２を両側か
ら挟むようにして収納し、リベット、小ネジ等の結合部
材で一体としている。帯材２は巻回状態の自己反発力に
より自力で繰り出すことができるが、巻き戻し操作のた
めにハンドル機構１５を中心軸１２に装備している。

【００１５】又、帯材２の出退時に帯材２を自由に移動
させ、且つ電線連結作業時には延長状態を保持すると共
に、帯材２の収納時には不用意な突出を防止するため
に、ハウジング１１の前記開口部１３の内側に押しボタ
ン構造のストッパー１４を取り付けている。当該ストッ
パー１４は、帯材２の収納時にはその中間位置に於いて
下端部１４ａが後述する電線連結ガイド金具３の固定用
のリベット３４と係合して帯材２の不用意な突出を防止
し、ストッパー１４を手前に引けば、下端部１４ａはリ
ベット３４ａを解放して帯材２は自力で繰り出される。
帯材２が所望の長さまで延長されたときは、ストッパー
１４を手前と反対方向に移動することにより、前記下端
部１４ａで帯材２を押圧してその延長状態を保持する。

【００１６】帯材２は、幅約２５ｍｍの鋼板を使用し、
断面を円弧状に仕上げている。帯材２の表面に尺度目盛
２１を施すことにより巻尺として使用することができ
る。帯材２は断面形状が平面的であることも含めていか
なる形状のものでも使用できるが、延長されたときにそ
の中間部ｃが棒状となって、電線連結ガイド金具３を強
力に推進させるためには、帯材２の長手方向垂直面内の
断面形状が平面的でない形状であることが望ましい。参
考までに図３乃至図５に断面形状の変形例を提示する。
図３のものは波形状となるもの、図４のものは山形状と
なるもの、図５のものはＣ字形にカールするものであ
る。これらの形状を帯材２に予め賦与することにより自
己反発力により自力で繰り出し、かつ延長時には賦与さ
れた本来の断面形状に復元し、帯材２を一直線状に保持
して作業に必要な操作力を忠実に伝える。

【００１７】前記電線連結ガイド金具３は、金属製で耐
久性と価格の立場から鉄板のプレス製が適当で、先端部
に電線係止部３１として穴３１ａが穿設され、帯材２の
延長方向に対し傾斜面３２を形成するように、長手方向
側面がほぼ“く”字状となるように屈曲させている。傾
斜面３２と反対側の後端部には前記帯材２との係合部が
形成され、当該結合部に於いて帯材２とリベット３４で
締結される。このリベット３４は前述したストッパー１
４と係合し得るように僅かに突出した状態となってい
る。又、当該電線連結ガイド金具３の表面に、帯材２の
尺度目盛り２１の０目盛りを示すメジャー先端表示用の
目印３３ａが刻印されている。

【００１８】図７乃至図９に電線連結ガイド金具３の変
形例を示す。第１実施例では電線係止部３１は単なる丸
穴であったが、図７に示すものは電線係止部３１が穴の
一部が切り欠かれた解放穴３１ｂとなっているものであ
る。又、図８に示すものは穴の一部が切り欠かれた解放
穴３１ｂの切り欠き部が狭く、穴部の内懐が広がってい
るものである。図９は電線連結ガイド金具３の形状が異
なるもので、帯材２のメジャー先端部に於いて帯材２の
背面側に直角に屈曲した垂直部３３ｂを形成し、当該垂
直部３３ｂの端部から帯材２の延長方向に対し傾斜面３
２を形成すると共に、先端部に電線係止部３１が設けら
れている構造としたものである。この変形例は垂直部３
３ｂの端面を従来のメジャーと同じ様な先端表示用の目
印として利用する事ができる。

【００１９】尚、実施例に対する変形例として、図示省
略するが帯材２を引き戻す中心軸１２を駆動するハンド
ル機構１５を中心軸１２に対してフリー構造とし、帯材
Ｂを繰り出す時に中心軸１２が回転してもハンドルは回
転しない構造とすれば作業実施に際し極めて便利であ
る。又、同じく図示省略するが電線連結ガイド金具３の
変形例として電線連結ガイド金具３を長くし、帯材２と
の取り付け部と傾斜面３２との間を中空として、電池、
電球及びスイッチ等光源となるものを収納しておけば、
電球を点灯させることにより暗い天井裏等における配線
作業時にも電線引き寄せ具の先端位置を確認しながら作
業を進めることができるようにしたものである。更に
又、図１には仮想線で示されているが一方のハウジング
１１に携帯用のクリップ１６が取り付けられている。更
に又、帯材収納体１の一隅に吊り下げ用杆１７が形成さ
れている。共に携帯に便利な構造である。

【００２０】以上本発明の代表的と思われる実施例、変
形例について説明したが、本発明は必ずしもこれらの実
施例構造のみに限定されるものではなく、本発明にいう
前記の構成要件を備え、かつ、本発明にいう目的を達成
し、以下にいう効果を有する範囲内において適宜改変し
て実施することができるものである。

【００２１】

【発明の効果】以上の説明から既に明らかなように、本
発明にいう電線引き寄せ具は、伸縮可能な帯材の先端に
取り付けられた電線連結ガイド金具を前後進させること
によって電線先端部を前後進させ、電線連結ガイド金具
に結合した電線の引き寄せまたは搬送を行うようにした
ものであるから、狭い天井裏等の配線作業であっても極
めて容易に操作することができ、配線作業の迅速化及び
容易化をはかることができるという顕著な効果を有す
る。

【００２２】又、帯材そのものは軽量で体積の小さいも
のであるから小型の帯材収納体であっても長尺の帯材を
巻き込むことができるため、携帯に便利でありながら従
来例の棹では届かない長い範囲の配線も容易に行うこと
ができ、非常に使い勝手がよいと言う特徴を有する。更
に本来の作業以外にもメジャーとして使用することがで
きると言う効果をも併せて期待することが出来るに至っ
たのである。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の第１実施例を示した斜視図。

【図２】図１における全体の中央縦断側面図。

【図３】帯材の変形例１の断面図。

【図４】帯材の変形例２の断面図。

【図５】帯材の変形例３の断面図。

【図６】使用状態を示す一部中断側面図。

【図７】電線連結ガイド金具の変形例１の平面図。

【図８】電線連結ガイド金具の変形例２の平面図。

【図９】電線連結ガイド金具の変形例３の斜視図。

【図１０】従来例を示す一部中断側面図。

【符号の説明】

１ 帯材収納体 １１ ハウジング １２ 中心軸 １３ 開口部 １４ ストッパー １５ ハンドル機構 １６ クリップ １７ 吊り下げ用杆 ２ 帯材 ２１ 尺度目盛 ３ 電線連結ガイド金具３ ３１ 電線係止部 ３２ 傾斜面 ３３ 目印 ３４ リベット

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 基端部(a)側が帯材収納体(1)のハウジン
   グ(11)内に設けられた回転可能な中心軸(12)の回りにス
   プライン巻回され、中間部(c)が当該ハウジング(11)の
   開口部(13)から自力で繰り出し且つ巻き戻し用のハンド
   ル(15)を具備してその操作によって収納し得ると共に、
   その表面に尺度目盛(21)が施されている構造の弾性硬質
   金属の帯材(2)の先端部(b)に、電線係止部(31)を具備し
   且つ帯材(2)の延長方向に対し傾斜面(32)を形成するよ
   うに長手方向側面がほぼ“く”字状に屈曲して移動に際
   して凹凸面を乗り越えてスライドし得る形状の電線連結
   ガイド金具(3)が固定又は着脱可能に取り付けられてお
   り、前記ハウジング(11)の開口部(13)の内側に、前記帯
   材(2)の出退を規制するストッパー(14)が設けられてい
   る電線引き寄せ具。