JPH11190345A - 複層摺動部材ならびにその製造方法 - Google Patents

複層摺動部材ならびにその製造方法

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JPH11190345A
JPH11190345A JP36629197A JP36629197A JPH11190345A JP H11190345 A JPH11190345 A JP H11190345A JP 36629197 A JP36629197 A JP 36629197A JP 36629197 A JP36629197 A JP 36629197A JP H11190345 A JPH11190345 A JP H11190345A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 裏金との間に充分な接合力を得ることがで
き、過酷な摩擦条件下の使用においても樹脂すべり層が
溶融流動したり裏金から剥離することがなく、優れた摩
擦摩耗特性を発揮する複層摺動部材ならびにその製造方
法を提供すること。 【解決手段】 鋼管から成る裏金と、該裏金の内周面に
一体に接合された銅合金から成るエキスパンドメタル
と、該エキスパンドメタルとともに裏金の内表面を覆う
潤滑性樹脂組成物のすべり層とから成る複層摺動部材で
あって、該潤滑性樹脂組成物はポリヘキサメチレンアジ
パミド樹脂5〜20重量%、四ふっ化エチレン樹脂5〜
20重量%、チタン酸カリウムウイスカ3〜10重量
%、リン酸塩3〜10重量%、残部ポリテトラメチレン
アジパミド樹脂から成る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は複層摺動部材ならび
にその製造方法に関するものであり、表面に潤滑性樹脂
組成物のすべり層を具備し、とくに高荷重用途であっ
て、かつ乾燥摩擦条件下での使用に適した複層摺動部材
ならびにその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、とくに耐摩耗性および耐荷重性を
向上させることを目的とした熱可塑性樹脂摺動部材とし
ては、金属裏金に熱可塑性樹脂を薄層として被着させた
複層構成の摺動部材が知られており、例えば、鋼板上に
多孔質金属焼結層を形成し、当該多孔質金属焼結層に熱
可塑性樹脂を含浸被覆させた摺動部材(特公昭31−2
452号公報)、金属金網に熱可塑性樹脂を充填被覆
し、これを軸受台片に結合させた摺動部材(実公昭48
−4411号公報)、さらには、鋼板上に接着剤層を形
成し、該接着剤層に熱可塑性樹脂を被着させた摺動部材
などが挙げられる。
【0003】上記の複層構成の摺動部材においては、熱
可塑性樹脂が比較的軟質であっても、それが鋼などの裏
金上に薄層として被着されていると、樹脂自体の撓みや
ヘタリを生ずることがないから、結果として摺動部材と
しての耐摩耗性、耐荷重性が向上する。また、摺動面に
おいて生じた摩擦熱が薄い樹脂層を介して裏金に容易に
伝わり、そして摺動部材から放熱されるため、温度上昇
を低く抑えることができ、上述した性能が一層助長され
る。さらに、樹脂の膨張、収縮あるいは経年変化も受け
難いから、摺動部材としての寸法安定性が著しく向上す
る。
【0004】そして、特公昭31−2452号公報に開
示された摺動部材、および鋼板上に接着剤層を介して合
成樹脂が被着された摺動部材においては、一般に平板状
の複層構造体を作製したのち、樹脂層を内側にして捲回
し、所謂巻きブッシュとして使用される。また、実公昭
48−4411号公報に開示された摺動部材において
は、金属金網に合成樹脂を充填被覆したライナーを円筒
状裏金の内周面に結合することによって円筒状摺動部材
として使用される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
た巻きブッシュにおいては、円筒状に捲回するのに曲げ
加工を必要とするため、裏金を構成する鋼板の厚さが制
限されるという問題がある。従って、厚い裏金が必要と
される場合には、前記巻きブッシュを別途肉厚の厚い円
筒状ハウジングに圧入しなければならないという製造上
の煩雑さがある。また他方、前記実公昭48−4411
号公報の構造を使用して円筒状摺動部材とした場合に
は、合成樹脂を充填被覆した金属金網を接着剤等により
ハウジング内周面に結合させるため、摩擦条件によって
は結合力が不充分となり、使用条件が制約されるという
問題がある。
【0006】また、前記巻きブッシュにおいては、製造
上、突き合わせ部が生じるため、この部分に荷重点が作
用すると、そこからすべり層にヘタリ等の損傷を生ずる
恐れがある。さらに、苛酷な摩擦条件下では樹脂層が溶
融流動したり、裏金から剥離するという問題を生じる。
【0007】本発明は、上記問題点に鑑みなされたもの
で、その目的は裏金との間に充分な接合力を得ることが
でき、苛酷な摩擦条件下の使用においても樹脂すべり層
が溶融流動したり、裏金から剥離することがなく、優れ
た摩擦摩耗特性を発揮する複層摺動部材ならびにその製
造方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明によれば上記目的
は、鋼管から成る裏金と、該裏金の内周面に一体に接合
された銅合金から成るエキスパンドメタルと、該エキス
パンドメタルとともに裏金の内表面を覆う潤滑性樹脂組
成物のすべり層とから成る複層摺動部材であって、該潤
滑性樹脂組成物はポリヘキサメチレンアジパミド樹脂5
〜20重量%、四ふっ化エチレン樹脂5〜20重量%、
チタン酸カリウムウイスカ3〜10重量%、リン酸塩3
〜10重量%、残部ポリテトラメチレンアジパミド樹脂
から成る複層摺動部材によって達成される。
【0009】また、本発明によれば上記目的は、鋼管か
ら成る裏金と、該裏金の内周面に一体に接合された銅合
金から成るエキスパンドメタルと、該エキスパンドメタ
ルとともに裏金の内表面を覆う潤滑性樹脂組成物のすべ
り層とから成る複層摺動部材の製造方法であって、
(イ)エキスパンドメタルをその肉厚方向に加圧するこ
とにより、該エキスパンドメタルの各結合部の表面側お
よび裏面側を平坦面に形成する工程と、(ロ)裏金の内
周面に沿って前記エキスパンドメタルを挿入し、該エキ
スパンドメタルのスプリングバック力により該裏金の内
周面に前記各結合部の平坦面を圧接保持する工程と、
(ハ)内周面にエキスパンドメタルを圧接保持した裏金
を不活性ガス雰囲気、還元性ガス雰囲気または真空雰囲
気に調整された加熱炉内に800〜1000℃の温度で
20〜60分間置き、該エキスパンドメタルの各結合部
を裏金の内周面に拡散接合せしめ、該各結合部と裏金内
周面との間にクサビ状の係合部を形成するとともにエキ
スパンドメタルの網の各辺と裏金内周面との間に微小隙
間を介して該エキスパンドメタルの網目が連続した摺動
部材基体を得る工程と、(ニ)前記摺動部材基体の内側
に中子を挿入し、これを射出成形機の金型内にセットし
たのち、該摺動部材基体の内面と中子との隙間に、ポリ
ヘキサメチレンアジパミド樹脂5〜20重量%、四ふっ
化エチレン樹脂5〜20重量%、チタン酸カリウムウイ
スカ3〜10重量%、リン酸塩3〜10重量%、残部ポ
リテトラメチレンアジパミド樹脂から成る潤滑性樹脂組
成物を射出成形する工程と、(ホ)該潤滑性樹脂組成物
の射出成形により、該樹脂組成物はエキスパンドメタル
の網目、前記クサビ状の係合部および前記微小隙間を充
填するとともに該エキスパンドメタルの表面を覆ってそ
こにすべり層を形成する工程と、以上(イ)乃至(ホ)
の工程から成る複層摺動部材の製造方法によっても達成
される。
【0010】さらに、上記の製造方法では、(ロ)の工
程において、挿入されたエキスパンドメタルの内周側に
微小隙間を介在させてステンレス鋼から成るパイプを挿
入し、(ハ)の工程において、前記パイプと裏金を熱膨
張させつつエキスパンドメタルの各結合部を裏金の内周
面に拡散接合した後、該パイプを除去するようにしても
よい。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明に係る複層摺動部材および
その製造方法の実施形態を図面に基づいて説明する。図
1は本発明に係る複層摺動部材を示す外観斜視図であ
り、図2は図1に示す複層摺動部材を展開した状態を示
す一部破断の平面図であり、図3は図2のI−I矢視断
面図である。
【0012】本発明の複層摺動部材は、図1および図2
に示すように、鋼管から成る裏金1と、該裏金1の内周
面11に一体に接合された銅合金からなるエキスパンド
メタル2と、該エキスパンドメタル2とともに裏金1の
内周面11を被覆する潤滑性樹脂組成物から成るすべり
層3とから構成されている。エキスパンドメタル2は図
3に示すように、その網の結合部21が裏金1の内周面
11に対して拡散接合されてクサビ状の係合部22を形
成し、該エキスパンドメタル2の網目23は該網目23
の各辺24と裏金1の内周面11との間には微小隙間4
が形成されており、該エキスパンドメタル2の網目23
は微小隙間4を介して連続している。そして、潤滑性樹
脂組成物のすべり層3はエキスパンドメタル2の網目2
3、クサビ状の係合部22および微小隙間4を充填し、
該エキスパンドメタル2の表面を覆って形成されてい
る。
【0013】本発明において裏金1を構成する鋼管と
は、いわゆる丸または角断面の素材を用いて継目無く製
造された鋼管に加え、鋼板または鋼帯を管状に成形し、
その継目を電気抵抗溶接、鍛接、アーク溶接等により接
合して製造された鋼管を含む。
【0014】エキスパンドメタル2は、金属薄板に対し
所定のピッチで直線的に連続させ、かつ各列毎に位相差
を設けて一定の長さの切り込み加工を行うとともに該切
り込みを拡開することにより、略矩形等の規則正しい網
目列を形成した金網状の金属薄板である。このエキスパ
ンドメタル2は潤滑性樹脂組成物から成るすべり層3を
補強し、摺動部材の荷重支持部としての役割を果たすも
のである。
【0015】エキスパンドメタル2の材料としては、リ
ン青銅、黄銅、ベリリウム銅、洋白、アルミニウム青銅
等の合金が使用される。エキスパンドメタル2の厚さ
(エキスパンド加工前の原板の厚さ)は0.1〜1.5
mm程度、その刻み幅は0.5〜1.2mm程度、網目
23の長手の対角線長さは1.0〜12.0mm程度、
網目23の短手の対角線長さは1.0〜10.0mm程
度である。斯かる具体的な寸法および網目23における
形状のバリエーションは種々採用し得るが、本発明にお
いては、1つの網目23の開口面積が1〜60mm2
あり、かつ全網目23の開口率が30〜70%のエキス
パンドメタルを例示することができる。
【0016】エキスパンドメタル2は、その各結合部2
1において裏金1の内周面11に拡散接合されて裏金1
の内周面11との間にクサビ状の係合部22を形成し、
エキスパンドメタル2の網目23は網の各辺24と裏金
1の内周面11との間に形成された微小隙間4を介して
連続しているため、裏金1の内周面11に対する剥離強
度が高められ、後述する潤滑性樹脂組成物から成るすべ
り層3との結合力が高められる。
【0017】裏金1の内周面11に拡散接合されたエキ
スパンドメタル2の各結合部21はその先端部が平坦面
25とされているのが好ましい。エキスパンドメタル2
の結合部21に平坦面25を形成した場合には、結合部
が尖鋭な通常のエキスパンドメタルを使用した場合に比
べ、相手材との摺動において結合部21の平坦面25全
面で均等に荷重を支持するため、潤滑性樹脂組成物から
成るすべり層3を破壊することがない。また、万一、す
べり層3が摩耗し、エキスパンドメタル2が直接相手材
と摺動状態となった場合でも、平坦面25に形成された
エキスパンドメタル2の結合部21によって相手材の表
面を損傷させることがない。
【0018】すべり層3を形成する潤滑性樹脂組成物
は、ポリテトラメチレンアジパミド樹脂を主成分とし、
これに所定量のポリヘキサメチレンアジパミド樹脂、四
ふっ化エチレン樹脂、チタン酸カリウムウイスカおよび
リン酸塩を配合したものからなる。
【0019】潤滑性樹脂組成物の主成分をなすポリテト
ラメチレンアジパミド樹脂(以下「ナイロン46」とい
う)は、引張強度、曲げ強度、衝撃強度等の機械的強度
に優れ、また耐熱性、摺動特性にも優れているため、と
くに苛酷な摩擦条件下での使用に適している。
【0020】ナイロン4,6は上述した利点を有する反
面、融点が約290℃と高く、かつ約320℃で熱分解
が起こることから成形に適した温度範囲が狭いという欠
点を有している。一般に合成樹脂の評価において、成形
性は重要であり、たとえそのものが本質的に優れた性質
を有していても成形条件範囲が狭いと製品を経済的に製
造することができないばかりでなく、その優れた性質が
製品において十分に発揮されない。例えば、軟化温度や
融点が高く溶融粘度が高い樹脂を用いて、射出成形法に
より製品を製造するとき、高い可塑化温度、高い射出圧
力、高い金型温度等が必要であり、それはコスト高の原
因となるばかりでなく、高い可塑化温度は樹脂の熱分解
を誘発し、高い射出圧力は製品中における歪の原因とな
り、また斯かる厳しい条件に違背するとき、ヒケ、フロ
ーマーク等の外観上の致命的な欠点を生じ、機械的強度
も著しく低下する原因となる。
【0021】本発明ではナイロン46に対し所定量のポ
リヘキサメチレンアジパミド樹脂(以下「ナイロン6
6」という)を配合することにより、上述したナイロン
46の具有する欠点を解決することができることを見出
した。すなわち、ナイロン66の配合により、ナイロン
46単独の射出成形時の可塑化温度を低下させることが
でき、樹脂の熱分解を起こすことなく巾広い成形温度範
囲での成形を可能とし、機械的性質においては特に伸び
を大幅に向上させるという効果をもたらす。そして、ナ
イロン66の配合量は5〜20重量%、就中10〜15
重量%が適当である。配合量が5重量%未満であると成
形性の改良に効果が現れず、また配合量が20重量%を
超えると上述したナイロン46の具有する耐熱性、機械
的強度を損なうことになる。
【0022】四ふっ化エチレン樹脂(以下「PTFE」
という)は樹脂組成物から成るすべり層に潤滑性を付与
するもので、摺動部材の乾燥摩擦条件下での使用を可能
とさせるものである。そして、その配合量は7〜25重
量%、就中10〜20重量%が適当である。配合量が7
重量%未満であると、潤滑性の付与に効果が現れず摺動
部材の乾燥摩擦条件下での使用に供し得ず、また配合量
が25重量%を超えると機械的強度の低下を引き起こす
結果となる。
【0023】チタン酸カリウムウイスカは樹脂組成物か
ら成るすべり層の機械的強度と耐熱性を向上させるとと
もにすべり層中に一様に分散されることにより該すべり
層の耐摩耗性を向上させる効果を発揮する。チタン酸カ
リウムウイスカとしては、平均繊維径2μm以下、平均
繊維長さ5〜100μmで、アスペクト比が10以上の
ものが使用されて好適である。このチタン酸カリウムウ
イスカは単独で使用することもできるが、前述したナイ
ロン66にあらかじめ含有させて使用してもよく、すべ
り層への均一な分散性の観点からは後者の方が好まし
い。そして、チタン酸カリウムウイスカの配合量は3〜
15重量%、就中5〜10重量%が適当である。配合量
が3重量%未満であると、上記効果が発揮されず、また
配合量が15重量%を超えるとすべり層に露出する割合
が多くなり、相手材を損傷させる欠点が現れる。
【0024】リン酸塩はそのもの自体、例えば黒鉛のよ
うな自己潤滑性を示す物質ではないが、組成物中に配合
される前記PTFEとともに配合されることにより、P
TFEと相俟ってすべり層の摩擦摩耗特性の向上に効果
を発揮する。このリン酸塩とPTFEとの配合により、
すべり層の摩擦摩耗特性が向上する理由は詳らかではな
いが、摺動摩擦試験後の相手材表面にナイロンとPTF
Eとリン酸塩とが複合された潤滑被膜が形成されていた
ことから考察して、このリン酸塩の摩擦摩耗特性の向上
に対する効果は潤滑被膜の優れた造膜性にあるものと推
察される。
【0025】本発明において使用されるリン酸塩として
は、第三リン酸、第二リン酸、ピロリン酸、亜リン酸、
メタリン酸等の金属塩およびこれらの混合物を挙げるこ
とができる。この中でも、第三リン酸、第二リン酸およ
びピロリン酸の金属塩が好ましい。金属としては、アル
カリ金属およびアルカリ土類金属が好ましく、とくにリ
チウム(Li)、カルシウム(Ca)、マグネシウム
(Mg)およびバリウム(Ba)が好ましい。
【0026】具体的にはリン酸リチウム(Li3
4 )、リン酸水素リチウム(Li2 HPO4 )、ピロ
リン酸リチウム(Li4 2 7 )、リン酸三カルシウ
ム(Ca3 (PO4 2 )、ピロリン酸カルシウム(C
2 2 7 )、リン酸水素カルシウム(CaHP
4 )が本発明で使用するリン酸塩としては最も好まし
い。そして、リン酸塩の配合量は3〜10重量%、就中
5〜7重量%が適当である。配合量が3重量%未満であ
ると前記PTFEとの相乗効果が発揮されず、また配合
量が10重量%を超えると潤滑被膜の相手材への造膜量
が多くなりすぎ却って耐摩耗性を低下させる結果とな
る。
【0027】本発明における潤滑性樹脂組成物の配合方
法はとくに制限されず、例えばヘンシェルミキサー、タ
ンブラー等で混合し、さらに単軸または二軸スクリュー
押出機で溶融混合する方法を挙げることができる。
【0028】上述した潤滑性樹脂組成物は、エキスパン
ドメタル2の各結合部21を覆っており、さらにエキス
パンドメタル2の網目23、クサビ状の係合部22およ
び網の各辺24と裏金1の内周面11との間の微小隙間
4に充填されている。その結果、潤滑性樹脂組成物はエ
キスパンドメタル2に強固に一体化されたすべり層3を
形成している。このように、クサビ状の係合部22とと
もに微小隙間4を充填して形成されたすべり層3は、エ
キスパンドメタル2に強固に一体化されるため、すべり
層3が摩耗してエキスパンドメタル2が露出した場合で
も、エキスパンドメタル2の網目23に充填された潤滑
性樹脂組成物によって良好な摩擦摩耗特性を維持するこ
とができる。
【0029】本発明の複層摺動部材は、つぎのようにし
て製造される。第一の製造方法は、内径が比較的小さ
い、具体的には内径が約40mm未満の場合の複層摺動
部材の製造方法である。まず、裏金1として所定寸法の
鋼管を用意する。ついで、銅合金から成るエキスパンド
メタル2を用意し、これを肉厚方向に加圧して該エキス
パンドメタル2の各結合部21の先端先鋭部を潰し、各
結合部21の表面側および裏面側を平坦面25に形成す
る。エキスパンドメタル2の加圧方法としては、例えば
圧延ロールによって圧延する方法が挙げられる。
【0030】続いて、各結合部21に平坦面25を形成
したエキスパンドメタル2を裏金1の内周面11に沿っ
て挿入し、該エキスパンドメタル2のスプリングバック
力により、裏金1の内周面11に対して各結合部21の
平坦面25を圧接してエキスパンドメタル2を保持させ
る。
【0031】次いで、エキスパンドメタル2を圧接保持
した裏金1を不活性ガス雰囲気、還元性ガス雰囲気また
は真空雰囲気に調整された加熱炉に装入して800〜1
000℃の温度で20〜60分間加熱し、エキスパンド
メタル2の各結合部21を裏金1の内周面11に拡散接
合する。これにより、裏金1の内周面11にエキスパン
ドメタル2を接合一体化させた摺動部材基体が得られ
る。
【0032】上記の工程によって得られた摺動部材基体
においては、各結合部21と裏金1の内周面11との間
にクサビ状の係合部22が形成されており、しかも、エ
キスパンドメタル2の網の各辺24と裏金1の内周面1
1との間の微小隙間4を介してエキスパンドメタル2の
網目23が連続している。
【0033】上記摺動部材基体の内側に中子を挿入し、
これを射出成形機の金型内にセットした後、摺動部材基
体の内面と中子との隙間に潤滑性樹脂組成物を射出成形
する。この工程により、エキスパンドメタル2の表面が
潤滑性樹脂組成物によって覆われ、かつ潤滑性樹脂組成
物がエキスパンドメタル2の網目23、クサビ状の係合
部22および微小隙間4に充填されたすべり層3を形成
し、そして複層摺動部材を得る。
【0034】次に、本発明の第二の製造方法を説明す
る。第二の製造方法は内径が比較的大きい場合、具体的
には内径が約40mm以上の場合の複層摺動部材の製造
方法である。先ず、前記第一の製造方法と同様に、裏金
1としての鋼管および銅合金から成るエキスパンドメタ
ル2を用意し、エキスパンドメタル2を加圧してその各
結合部21の表面側および裏面側を平坦面25にする。
【0035】次いで、各結合部21に平坦面25を形成
したエキスパンドメタル2を円筒状に捲回し、これを裏
金1の内周面11に沿って挿入する。その際、結合部2
1で画定されるエキスパンドメタル2の外径面が裏金1
の内周面11に接触するように挿入すると、第一の製造
方法と同様に、エキスパンドメタル2はそのスプリング
バック力により裏金1の内周面11に保持することがで
きる。そして、裏金1の内周面11に保持されたエキス
パンドメタル2の内周側に微小隙間を介在させてステン
レス鋼から成るパイプを挿入する。
【0036】続いて、エキスパンドメタル2およびパイ
プが挿入された裏金1を第一の製造方法と同様の条件下
で加熱する。この工程においては、ステンレス鋼から成
るパイプと裏金1の双方を熱膨張させ、同時に、パイプ
と裏金1との間に介在するエキスパンドメタル2の裏金
1の内周面11側に対する接触圧力を一層高めることに
より、エキスパンドメタル2の各結合部21を裏金1の
内周面11に拡散接合し、裏金1の内周面11に各結合
部21を接合一体化させる。そして、エキスパンドメタ
ル2を接合した後、パイプを取り除き、摺動部材基体を
得る。
【0037】上記の工程によって得られた摺動部材基体
においては、前記第一の製造方法によって得られた摺動
部材基体と同様に、各結合部21と裏金1の内周面11
との間にクサビ状の係合部22が形成されており、かつ
エキスパンドメタル2の網の各辺24と裏金1の内周面
11との間の微小隙間4を介してエキスパンドメタル2
の網目23が連続している。しかも、エキスパンドメタ
ル2を裏金1に接合する際に、パイプの膨張力を該エキ
スパンドメタル2を保持した裏金1の内周面側に作用さ
せるため、エキスパンドメタル2と裏金1とが一層強固
に接合されている。
【0038】次いで、前記第一の製造方法と同様に、摺
動部材基体の内側に中子を挿入し、これを射出成形機の
金型内にセットした後、摺動部材基体の内面と中子との
隙間に潤滑性樹脂組成物を射出成形する。この工程によ
り、エキスパンドメタル2の表面が潤滑性樹脂組成物に
よって覆われ、かつ潤滑性樹脂組成物がエキスパンドメ
タル2の網目23、クサビ状の係合部22および微小隙
間4に充填されたすべり層3を形成し、そして複層摺動
部材を得る。
【0039】上記の第二の製造方法は、ステンレス鋼か
ら成るパイプの膨張力を利用することにより、エキスパ
ンドメタル2と裏金1との接合力を一層高めたものであ
り、エキスパンドメタル2を裏金1の内周面11へ強固
に拡散接合させるための寸法関係は次のとおりである。
【0040】上述の接合工程では、不活性ガス雰囲気、
還元性ガス雰囲気あるいは真空雰囲気中において、温度
T℃に加熱した際、鋼管から成る裏金1に挿入保持され
たエキスパンドメタル2とステンレス鋼から成るパイプ
とが接触し、両者の間の隙間が0(ゼロ)の場合に以下
の式が成り立つ。
【0041】
【数1】裏金内径×〔1+1.2×10-5×(T−室
温)〕−エキスパンドメタル厚×2=ステンレス鋼製パ
イプ外径×〔1+1.78×10-5×(T−室温)〕
【0042】上式中、1.2×10-5は裏金の熱膨張係
数、1.78×10-5はステンレス鋼製パイプの熱膨張
係数である。なお、エキスパンドメタルは熱応力が分散
しやすいため、エキスパンドメタル自体の熱膨張量は無
視できる。
【0043】一例を示すと、裏金の内径を61.5m
m、エキスパンドメタルの厚さを0.75mm、加熱温
度を900℃、室温を20℃としたとき、上式から6
0.65=1.016×ステンレス鋼製パイプ外径とな
り、ステンレス鋼製パイプ外径は59.69mmとな
る。内径が60mmのエキスパンドメタル2に対し、外
径が59.69mmのステンレス鋼製パイプを使用した
場合、エキスパンドメタル2とステンレス鋼製パイプは
接触するが、両者の間には接触圧力は発生していない。
したがって、外径が59.69mmを超え、60mm未
満の寸法のステンレス鋼製パイプを使用することによ
り、両者の間に高い接触圧力を発生させることができ
る。
【0044】
【実施例】以下、本発明を実施例により詳細に説明す
る。 実施例1 裏金として、内径が32.2mm、外径が50mm、長
さが40mmの継目無鋼管(機械構造用炭素鋼鋼管ST
KM13C)を使用した。エキスパンドメタルは、0.
64mmの板厚のリン青銅板にエキスパンド加工を施し
て作製し、その網目は短手方向長さが3.0mm、長手
方向長さが4.4mmのダイヤ形状の網目とした。そし
て、斯かるエキスパンドメタルを圧延ロールにて押圧
し、エキスパンドメタルの各結合部に平坦面を形成し
た。加工後のエキスパンドメタルは、厚さが0.75m
m、幅が39.5mm、長さが101.2mmである。
【0045】次いで、裏金の内周面に沿ってエキスパン
ドメタルを挿入し、エキスパンドメタルのスプリングバ
ック力により、裏金の内周面にエキスパンドメタルの各
結合部を圧接させて保持させた。このときのエキスパン
ドメタルの内径は30.7mmである。
【0046】エキスパンドメタルを保持した裏金を不活
性ガス雰囲気に調整した加熱炉内に装入し、900℃の
温度で60分間加熱して裏金の内周面にエキスパンドメ
タルを拡散接合させて摺動部材基体を作製した。斯かる
摺動部材基体においては、エキスパンドメタルの各結合
部と裏金の内周面との間にクサビ状の係合部が形成さ
れ、かつエキスパンドメタルの網の各辺と裏金内周面と
の間に微小隙間が形成され、そして、斯かる微小隙間を
介してエキスパンドメタルの網目が連続していることを
確認した。
【0047】続いて、摺動部材基体のエキスパンドメタ
ルの内周面に直径29.1mmの中子を挿入し、これを
スクリュー型射出成形機の金型内にセットした。
【0048】潤滑性樹脂組成物として、チタン酸カリウ
ムウイスカを30重量%含有したナイロン66(大塚化
学社製「ティスモポチコンONN−30:商品名」)1
5〜25重量%(ナイロン66:10.5〜17.5重
量%、チタン酸カリウムウイスカ:4.5〜7.5重量
%)、四ふっ化エチレン樹脂(三井デュポンフロロケミ
カル社製「テフロン7J:商品名」)10〜20重量
%、リン酸水素カルシウム5〜7重量%、残部ナイロン
4,6(日本合成ゴム社製)をヘンシェルミキサーに投
入し、混合して潤滑性樹脂組成物を得た。
【0049】上記潤滑性樹脂組成物を前記金型内のエキ
スパンドメタルの内面と中子との隙間に射出成形した。
成形後、内周面に機械加工を施してエキスパンドメタル
の表面に0.3mmの厚さのすべり層を有する複層摺動
部材を得た。得られた複層摺動部材において、潤滑性樹
脂組成物は、エキスパンドメタルの表面を覆っており、
しかもエキスパンドメタルの網目、エキスパンドメタル
の各結合部と裏金の内周面との間のクサビ状の係合部お
よびエキスパンドメタルの各辺と裏金内周面との間の微
小隙間に流動状態で充填され、エキスパンドメタルに強
固に一体化されたすべり層を形成していた。このように
して得た複層摺動部材におけるすべり層の成分組成を表
1に示す。
【0050】実施例2 裏金として、内径が62.25mm、外径が75mm、
長さが40mmの継目無鋼管(前記実施例1と同じ)を
使用し、またエキスパンドメタルとして、前記実施例1
と同様のものを使用した。実施例1と同様に圧延加工
し、厚さが0.75mm、幅が39.5mm、長さが1
95.6mmのエキスパンドメタルを得た。そして、斯
かるエキスパンドメタルを円筒状に捲回し、該エキスパ
ンドメタルの外面を裏金の内周面に接触させて挿入し
た。なお、挿入されたエキスパンドメタルの内径は6
0.75mmであった。
【0051】次いで、裏金に挿入した円筒状エキスパン
ドメタルの内周側にオーステナイト系のステンレス鋼製
パイプを挿入した。ステンレス鋼製パイプとしては、内
径が54.9mm、外径が60.5mm、長さが40m
mのパイプを使用した。また、その際、エキスパンドメ
タルの内周面とステンレス鋼製パイプの外周面との隙間
は0.125mmであった。
【0052】エキスパンドメタルおよびステンレス鋼製
パイプを挿入した裏金を実施例1と同条件で加熱し、裏
金の内周面にエキスパンドメタルを拡散接合させた。そ
して、ステンレス鋼製パイプを取り除き、摺動部材基体
を作製した。斯かる摺動部材基体においては、実施例1
と同様に、クサビ状の係合部および微小隙間が形成さ
れ、そして微小隙間を介してエキスパンドメタルの網目
が連続していることを確認した。
【0053】続いて、摺動部材基体のエキスパンドメタ
ルの内面に直径が59.15mmの中子を挿入し、これ
をスクリュー型射出成形機の金型内にセットした。
【0054】潤滑性樹脂組成物として、チタン酸カリウ
ムウイスカを30重量%含有したナイロン66(大塚化
学社製「ティスモポチコンONN−30:商品名」)1
5〜25重量%(ナイロン66:10.5〜17.5重
量%、チタン酸カリウムウイスカ:4.5〜7.5重量
%)、四ふっ化エチレン樹脂(三井デュポンフロロケミ
カル社製「テフロン7J:商品名」)10〜20重量
%、リン酸リチウム5〜7重量%、残部ナイロン4,6
(日本合成ゴム社製)をヘンシェルミキサーに投入し、
混合して潤滑性樹脂組成物を得た。
【0055】上記潤滑性樹脂組成物を前記金型内のエキ
スパンドメタルの内面と中子との隙間に射出成形した。
成形後、内周面に機械加工を施してエキスパンドメタル
の表面に0.3mmの厚さのすべり層を有する複層摺動
部材を得た。得られた複層摺動部材において、潤滑性樹
脂組成物は、エキスパンドメタルの表面を覆っており、
しかもエキスパンドメタルの網目、エキスパンドメタル
の各結合部と裏金の内周面との間のクサビ状の係合部お
よびエキスパンドメタルの各辺と裏金内周面との間の微
小隙間に流動状態で充填され、エキスパンドメタルに強
固に一体化されたすべり層を形成していた。このように
して得た複層摺動部材におけるすべり層の成分組成を表
2に示す。
【0056】比較例 金属裏金として、厚さ1.6mmの冷間圧延鋼板を用意
し、この鋼板上に平均粒度が50メッシュの銅合金(C
u90−Sn10)粉末を散布した後、還元性ガス雰囲
気中820〜830℃の温度で40分間焼結し、鋼板上
に厚さ0.4mmの多孔質焼結層を形成した。次いで、
多孔質焼結層にポリアミド樹脂(ダイセイ社製ナイロン
12、商品名「ダイアミド」)粉末に固体潤滑剤として
二硫化モリブデンを3重量%配合した樹脂組成物を散布
し、厚さを一定に、かつその表面を平にした後、215
〜230℃の温度の電気炉内で90秒間加熱した。そし
て、ロール圧延した後、冷却し、多孔質焼結層の表面に
0.3mmの厚さのすべり層を有する複層摺動部材を作
製した。
【0057】次いで、すべり層を内側にして複層摺動部
材に曲げ加工を施し、内径が60.15mm、外径が6
4.75mm、長さが40mmの円筒状に捲回した後、
これを内径が64.75mm、外径が75mm、長さが
40mmの継目無鋼管(前記実施例1と同じ)に圧入
し、円筒状複層摺動部材を得た。
【0058】次に、上述した実施例および比較例で得た
複層摺動部材の摺動特性について行った試験およびその
結果について述べる。摺動特性については、下記の試験
条件でジャーナル試験によって耐久性を評価した。
【0059】 ジャーナル揺動試験(耐久性) 試験条件 面 圧 30MPa(306kgf/cm2 ) 速 度 1.2m/min 試験時間 50hr 相手材 機械構造用炭素鋼(S45C) 潤 滑 無潤滑
【0060】上記試験条件により行った試験結果は表1
および表2のとおりである。 (以下余白)
【0061】
【表1】 (以下余白)
【0062】
【表2】
【0063】以上のジャーナル揺動試験においては、実
施例1および実施例2の複層摺動部材は、面圧30MP
a(306kgf/cm2 )、速度1.2m/minの
低速高荷重条件で、かつ乾燥摩擦(無潤滑)条件下にお
いても低い摩擦係数で安定した性能を発揮し、摩耗量に
おいても40μm以下という優れた性能を示した。これ
に対し、比較例の複層摺動部材においては、試験時間の
経過とともに摩擦係数が上昇し、摩耗量も大きな値を示
した。
【0064】以上述べたように、本発明の複層摺動部材
によれば、エキスパンドメタルの各結合部が裏金に対し
て拡散接合されて裏金の内周面との間にクサビ状の係合
部を形成し、かつエキスパンドメタルの網目は、網の各
辺と裏金内周面との間の微小隙間を介して連続してお
り、しかもエキスパンドメタルの表面を覆って形成され
るすべり層はポリヘキサメチレンアジパミド樹脂、四ふ
っ化エチレン樹脂、チタン酸カリウムウイスカ、リン酸
塩、残部ポリテトラメチレンアジパミド樹脂から成る潤
滑性樹脂組成物で形成されており、該樹脂組成物はエキ
スパンドメタルの網目、エキスパンドメタルの各結合部
と裏金内周面との間のクサビ状の係合部および網の各辺
と裏金内周面との間の微小隙間に充填されているので、
すべり層の裏金に対する剥離強度が高められ、苛酷な摩
擦条件、とりわけ乾燥摩擦条件において優れた摺動特性
を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る複層摺動部材を示す外観斜視図で
ある。
【図2】本発明に係る複層摺動部材を展開した状態を示
す一部破断平面図である。
【図3】図2におけるI−I矢視断面図である。
【符合の説明】
1 裏金 11 内周面 2 エキスパンドメタル 21 結合部 22 クサビ状の係合部 23 網目 24 辺 3 すべり層 4 微小隙間

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 鋼管から成る裏金と、該裏金の内周面に
    一体に接合された銅合金から成るエキスパンドメタル
    と、該エキスパンドメタルとともに裏金の内表面を覆う
    潤滑性樹脂組成物のすべり層とから成る複層摺動部材で
    あって、該潤滑性樹脂組成物はポリヘキサメチレンアジ
    パミド樹脂5〜20重量%、四ふっ化エチレン樹脂5〜
    20重量%、チタン酸カリウムウイスカ3〜10重量
    %、リン酸塩3〜10重量%、残部ポリテトラメチレン
    アジパミド樹脂から成る複層摺動部材。
  2. 【請求項2】 リン酸塩は、リン酸リチウム、リン酸水
    素リチウム、ピロリン酸リチウム、リン酸三カルシウ
    ム、ピロリン酸カルシウム、リン酸水素カルシウムから
    選択される請求項1に記載の複層摺動部材。
  3. 【請求項3】 エキスパンドメタルはその網の各結合部
    が裏金の内周面に対して拡散接合されてクサビ状の係合
    部を形成し、該エキスパンドメタルの網目は該網目の各
    辺と裏金の内周面との間に形成された微小隙間を介して
    連続している請求項1に記載の複層摺動部材。
  4. 【請求項4】 潤滑性樹脂組成物のすべり層はエキスパ
    ンドメタルの網目、クサビ状の係合部および微小隙間に
    充填されて形成されている請求項2に記載の複層摺動部
    材。
  5. 【請求項5】 エキスパンドメタルの各結合部の表面側
    および裏面側は平坦面に形成されている請求項1から3
    のいずれか一項に記載の複層摺動部材。
  6. 【請求項6】 エキスパンドメタルの1つの網目の開口
    面積は1〜60mm2 であり、エキスパンドメタルの全
    網目の開口率は30〜70%である請求項1から4のい
    ずれか一項に記載の複層摺動部材。
  7. 【請求項7】 鋼管から成る裏金と、該裏金の内周面に
    一体に接合された銅合金から成るエキスパンドメタル
    と、該エキスパンドメタルとともに裏金の内表面を覆う
    潤滑性樹脂組成物のすべり層とから成る複層摺動部材の
    製造方法であって、 1(イ)エキスパンドメタルをその肉厚方向に加圧する
    ことにより、該エキスパンドメタルの各結合部の表面側
    および裏面側を平坦面に形成する工程と、 (ロ)裏金の内周面に沿って前記エキスパンドメタルを
    挿入し、該エキスパンドメタルのスプリングバック力に
    より該裏金の内周面に前記各結合部の平坦面を圧接保持
    する工程と、 (ハ)内周面にエキスパンドメタルを圧接保持した裏金
    を不活性ガス雰囲気、還元性ガス雰囲気または真空雰囲
    気に調整された加熱炉内に800〜1000℃の温度で
    20〜60分間置き、該エキスパンドメタルの各結合部
    を裏金の内周面に拡散接合せしめ、該各結合部と裏金内
    周面との間にクサビ状の係合部を形成するとともにエキ
    スパンドメタルの網の各辺と裏金内周面との間に微小隙
    間を介して該エキスパンドメタルの網目が連続した摺動
    部材基体を得る工程と、 (ニ)前記摺動部材基体の内側に中子を挿入し、これを
    射出成形機の金型内にセットしたのち、該摺動部材基体
    の内面と中子との隙間に、ポリヘキサメチレンアジパミ
    ド樹脂5〜20重量%、四ふっ化エチレン樹脂5〜20
    重量%、チタン酸カリウムウイスカ3〜10重量%、リ
    ン酸塩3〜10重量%、残部ポリテトラメチレンアジパ
    ミド樹脂から成る潤滑性樹脂組成物を射出成形する工程
    と、 (ホ)該潤滑性樹脂組成物の射出成形により、該樹脂組
    成物はエキスパンドメタルの網目、前記クサビ状の係合
    部および前記微小隙間を充填するとともに該エキスパン
    ドメタルの表面を覆ってそこにすべり層を形成する工程
    と、 以上(イ)乃至(ホ)の工程から成る複層摺動部材の製
    造方法。
  8. 【請求項8】 (ロ)の工程において、挿入されたエキ
    スパンドメタルの内周側に微小隙間を介在させてステン
    レス鋼から成るパイプを挿入し、(ハ)の工程におい
    て、前記パイプと裏金を熱膨張させつつ前記エキスパン
    ドメタルの各結合部を裏金の内周面に拡散接合させた
    後、前記パイプを除去する請求項7に記載の複層摺動部
    材の製造方法。
  9. 【請求項9】 リン酸塩は、リン酸リチウム、リン酸水
    素リチウム、ピロリン酸リチウム、リン酸三カルシウ
    ム、ピロリン酸カルシウム、リン酸水素カルシウムから
    選択される請求項7又は8に記載の複層摺動部材の製造
    方法。
  10. 【請求項10】 エキスパンドメタルの1つの網目の開
    口面積は1〜60mm2 であり、エキスパンドメタルの
    全網目の開口率は30〜70%である請求項7から9の
    いずれか一項に記載の複層摺動部材の製造方法。
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