JPH11189673A - 熱可塑性樹脂組成物 - Google Patents

熱可塑性樹脂組成物

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JPH11189673A
JPH11189673A JP36846797A JP36846797A JPH11189673A JP H11189673 A JPH11189673 A JP H11189673A JP 36846797 A JP36846797 A JP 36846797A JP 36846797 A JP36846797 A JP 36846797A JP H11189673 A JPH11189673 A JP H11189673A
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JP
Japan
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ester
erythritol
acid
thermoplastic resin
dibasic
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JP36846797A
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English (en)
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Sukeyuki Tanaka
祐之 田中
Naoki Yasuda
直樹 安田
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Ajinomoto Co Inc
Original Assignee
Ajinomoto Co Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】熱可塑性樹脂を成型したときに、耐熱老化性を
改善できる優れた添加剤又は熱可塑性樹脂組成物を提供
する。 【解決手段】本発明の二塩基酸エリスリトール類エステ
ル(更に、エステル化度50%を超えない範囲でそのエ
リスリトール部分の水酸基の一部はエステル化されてい
てもよい。)及び充填剤を、更に必要により酸化防止
剤、特に常温条圧下で固体状酸化防止剤を、それぞれ本
発明で使用する特定の熱可塑性樹脂に配合して(熱可塑
性樹脂100重量部に対して当該二塩基酸エリスリトー
ル類エステル1重量部未満を配合)得られた熱可塑性樹
脂組成物により、これから成型して得られる樹脂成型物
の強度物性及び耐熱老化性が著しく改善される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、新規熱可塑性樹脂
組成物、詳しくはそれを成型したときに熱可塑性樹脂の
耐熱老化性を著しく改善することができる熱可塑性樹脂
組成物、それより成型して得られる樹脂成型物及び当該
成型物を含む末端製品(樹脂成型品)に関する。
【0002】
【従来の技術】熱可塑性樹脂を使用して、例えば混練成
型して得られる樹脂成型物は樹脂成型品、例えばバンパ
ー製品やインストルメンタルパネルのような自動車部
品、コンピュータハウジングのような電気部品、断熱材
のような建築用品等として多くの分野で使用されてい
る。
【0003】従来、これらの樹脂成型物や成型品を製造
する場合、加熱をしながら混練することが行われている
がこの際生ずる着色の発生や樹脂強度の低下等の点で耐
熱老化性に問題があった。そこで、これを防止すべく酸
化防止剤を添加することが行われていた(酸化防止剤ハ
ンドブック、大成社、昭和51年10月25日初版発行
参照)。
【0004】この様な場合に使用される酸化防止剤とし
て、フェノール系、リン系、アミン系、硫黄系等の酸化
防止剤を添加、使用することにより着色、樹脂強度の低
下を防止しているが、酸化防止剤の分散性が悪く、又、
多量に添加しても着色防止能等を十分に発揮することが
できないし、多量に添加すると、樹脂強度の低下や経済
性の点で障害ともなる。
【0005】他の方法として、脂肪酸、脂肪酸Ca塩等
の脂肪酸金属石鹸、脂肪酸アミド等の通常滑剤として使
用される添加剤を使用する方法もあるが、これ等の方法
では十分な分散効果が得られず、樹脂成型物からブリー
ドアウトし(浸み出し)易い。耐熱老化性改善を目的と
してポリグリセリンと、ヒドロキシカルボン酸の縮重合
物:ポリエステルとの縮合物を用いることが知られてい
る(特開平08−302065号公報参照)が、耐熱老
化性の面で必ずしも満足が得られない。又、熱可塑性樹
脂に、ポリグリセリン脂肪酸エステルを無機フィラーと
共に配合した組成物により耐衝撃性、耐候性を向上でき
ることが報告されている(特開平4−202429号公
報参照)が、同様に上記耐熱老化性については十分な改
善が得られない。
【0006】更に、ポリオレフィン、無機充填剤、ヒン
ダードフェノール系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤及び
ネオペンチル型多価アルコールの脂肪酸(ラウリン酸、
パルミチン酸、ステアリン酸等)エステルからなる熱安
定性ポリオレフィン組成物(特公昭61−46015号
公報参照)、ポリオレフィン系樹脂、充填剤及びジペン
タエリスリトールのエステル化物を含有する組成物を溶
融成形して得られるシートを延伸して多孔性シートを製
造する方法(特公平7−5781号公報参照)、多価ア
ルコールの脂肪酸エステルで無機化合物粉体を被覆して
なる合成樹脂用無機充填剤(特開昭52−49254号
公報参照)、担体と脂肪酸ポリオール型エステルとを合
成樹脂に含むプラスチック組成物(特開昭52−144
048号公報参照)、ポリオレフィン樹脂、無機粉体及
び3価乃至4価の脂肪族アルコールと脂肪酸及び脂肪族
2塩基酸とをほぼ当量で反応させて得られるエステルを
含有するポリオレフィン樹脂組成物(特開昭64−90
234号公報参照)等が提案されているが、同様に上記
耐熱老化性については必ずしも充分に改善されていな
い。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】上記に問題点や課題を
含めて説明した従来の技術から明らかな如く、熱可塑性
樹脂を成型したときに、耐熱老化性を改善できる添加剤
或いは熱可塑性樹脂組成物を提供することが課題となっ
ている。
【0008】本発明の目的は、上記課題の解決、即ち、
特に少量の添加物で成型された熱可塑性樹脂成型物の耐
熱老化性を改善できる熱可塑性樹脂組成物、更にはそれ
より成型して得られる樹脂成型物やそれを含む末端製品
(成型品)を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、上記課題
を解決するために、特に熱可塑性樹脂の耐熱老化性を改
善すべく加工助剤としてエリスリトール類と、二塩基酸
及びモノカルボン酸とのエステル体について鋭意研究を
重ねた結果、二塩基酸エリスリトール類エステルと充填
剤とを熱可塑性樹脂に併用配合して得られた熱可塑性樹
脂組成物において、当該エステル体のエステル化度を5
0%を超えないエステル体を、含有、使用することによ
り当該エステル体の含有量を著しく減少せしめることが
でき、この結果この組成に基づき成型して得られる樹脂
成型物の強度物性及び耐熱老化性が極めて優れているこ
とを見出し、本発明を完成するに到った。本発明で使用
される熱可塑性樹脂はポリオレフィン系樹脂、ポリスチ
レン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂及
びエンジニアリングプラスチックから成る群より選択さ
れる少なくとも1種を含む熱可塑性樹脂であり、当該熱
可塑性樹脂100重量部に対して当該二塩基酸エリスリ
トール類エステル1重量部未満を含有する。
【0010】更に、必要により酸化防止剤、特に常温常
圧下で固体状酸化防止剤を添加、配合すると相乗作用的
に一段と効果が高まることも見出した。
【0011】即ち、本発明は、ポリオレフィン系樹脂、
ポリスチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド
系樹脂及びエンジニアリングプラスチックから成る群よ
り選択される少なくとも1種を含む熱可塑性樹脂、二塩
基酸エリスリトール類エステル及び充填剤の3種、更に
必要により酸化防止剤の4種を、それぞれ含有し、当該
エステルが、当該熱可塑性樹脂100重量部に対して当
該二塩基酸エリスリトール類エステル1重量部未満とな
るように含有するとともにエステル体のエステル化度が
50%を超えない(但し、10%程度の誤差を含めるの
でエステル化度55%までは本発明に含まれる。)エス
テル体を含有する、好ましくは当該エステル体のエステ
ル化度が50%を超えない(但し、10%程度の誤差を
含めるのでエステル化度55%までは本発明に含まれ
る。)ことを特徴とする熱可塑性樹脂組成物、これより
成型して得られる樹脂成型物や成型品、及び当該組成物
に適した当該二塩基酸エリスリトール類エステルと充填
剤の2種又はこれに更に酸化防止剤を加えた3種を、少
なくとも混合又は組み合わせて含有する当該熱可塑性樹
脂の耐熱老化性改善剤、並びに当該対象の熱可塑性樹脂
である。
【0012】当該エステル体は上記エステル化度50%
を超えないエステル体を含んでおればよいが、当該エス
テル体全体でエステル化度の平均値が55%を超えない
エステル体であることが望ましい。
【0013】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態を説明する。
本発明で使用する二塩基酸エリスリトール類エステルに
は、二塩基酸とエリスリトール類とのエステル、好まし
くは二塩基酸の2つのカルボキシル基がそれぞれエリス
リトール類でエステル化されたエステル体及び、当該エ
ステル体においてエリスリトール類部分に存在する当該
エステル結合に関与しない水酸基の一部がエステル化さ
れている、例えばモノカルボン酸のアシル基部分により
エステル化されている誘導体を含み、本明細書中当該両
者を併せて「二塩基酸エリスリトール類エステル」と称
する。
【0014】即ち、当該エステル体は、その水酸基の一
部がエステル化されてもよいエリスリトール類と二塩基
酸のカルボキシル基部分とでエステル化された形のエス
テル体であり、例えば当該エステル体は、エリスリトー
ル類と二塩基酸(又はそのエステル)、又はエリスリト
ール類と二塩基酸(又はそのエステル)及びモノカルボ
ン酸(又はそのエステル)とのエステル化反応(エステ
ル交換反応も含まれる。)により得られることができ
る。
【0015】当該本発明のエステル体としては、1分子
の二塩基酸の2つのカルボキシル基が同種又は異種のエ
リスリトール類2分子でエステル化されたエステル体、
及び当該エステル体を構成するエリスリトール類の当該
エステル結合に関与しない遊離の水酸基の一部がモノカ
ルボン酸のアシル基部分によりエステル化されている誘
導体が好ましいが、その場合のエステル化度は50%を
超えない程度、誤差範囲を含めるので55%までをその
限界とする。エステル化度が50%を超えると、樹脂の
弾性率を低下させ曲げ強度の低下を招く。更に、耐熱老
化性の改善効果が低くなるため好ましくない。
【0016】尚、エステル化度とは、本発明の二塩基酸
エリスルトール類エステルにおいて当該エステル体を構
成するエリスリトール類の全水酸基を100%としたと
きの値に対する、二塩基酸、又は二塩基酸及びモノカル
ボン酸により当該エリスリトール類の水酸基がエステル
化されている水酸基の百分率である。
【0017】本発明の二塩基酸エリスリトール類エステ
ルにおいては、上記したように1分子の二塩基酸の残基
の2つのカルボキシル基部分に対してエステル結合する
場合のエリスリトー類は同一でも異なってもよく、当該
エステル体のエリスリトール類の水酸基部分に関して複
数の水酸基がモノカルボン酸のアシル基によりエステル
化されている場合、当該複数のアシル基は同一種類でも
異種でもよいが、製造し易い点で同一アシル基によるエ
ステル化が簡便である。更に、異種の二塩基酸の残基に
よるこれらエステル体混合物であっても、本発明の二塩
基酸エリスリトール類エステルとして使用可能である。
【0018】本発明の含有成分である二塩基酸エリスリ
トール類エステルを構成するエリスリトール類として
は、分岐した多価アルコールであればよく、下記一般式
(I)で示される化合物が好ましい。但し、式中、R1
メチル基(CH3)、エチル基(C25)及びメチロー
ル基(CH2OH)の何れかを、nは0〜5の整数を、
それぞれ表す。その例としては、ペンタエリスリトー
ル、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、
ジペンタエリスリトール及びトリペンタエリスリトール
等が挙げられる。
【0019】
【化2】
【0020】本発明の含有成分である二塩基酸エリスリ
トール類エステルを構成する二塩基酸としては、1分子
内にカルボキシル基を2個有する炭化水素化合物であれ
ばよく、例えばアジピン酸、セバシン酸、アゼライン
酸、コハク酸等の脂肪族二塩基酸、フタル酸、マレイン
酸等の不飽和二塩基酸等の残基等が挙げられる。
【0021】前記モノカルボン酸としては、炭化水素系
モノカルボン酸が好ましく、その場合カルボキシル基を
1個有する以外は水酸基、アミノ基、メルカプト基等の
カルボキシル基と反応する官能基を有しない1個のカル
ボキシル基のみを官能基として有する有機化合物(炭化
水素)が特に好ましい。更に好ましくは、1個のカルボ
キシル基以外では分子内に酸素原子、窒素原子、硫黄原
子等のヘテロ原子を有しないモノカルボン酸であり、例
えば炭素数2〜30の直鎖若しくは分岐鎖の、飽和又は
不飽和アルキル基(炭化水素残基)を有するモノカルボ
ン酸がより好ましく、更に好ましくは6〜30のモノカ
ルボン酸である。
【0022】上記不飽和アルキル基は、飽和炭化水素基
ではなく、その中に1個又は複数の二重結合及び/又は
三重結合を有する炭化水素残基を意味する。芳香族環や
脂環式環は含まれない方が好ましい。
【0023】前記モノカルボン酸としては、例えば酢
酸、プロピオン酸、カプロン酸、エナンチル酸、カプリ
ル酸、ノナン酸、カプリン酸、オクチル酸、ラウリン
酸、ミリスチン酸、ベヘニン酸、パルミチン酸、イソス
テアリン酸、ステアリン酸、オレイン酸、イソノナン
酸、アラキン酸、トリデシル酸、ペンタデシル酸及びヘ
プタデシル酸等が挙げられる。
【0024】本発明の含有成分である二塩基酸エリスリ
トール類エステルを製造する場合には、常法のエステル
化法を採用することができる。例えば、それを構成する
エリスリトール類と二塩基酸の2成分を使用して常法の
エステル化工程に付すればよい。必要により、このよう
にして得られたエステル体と前記モノカルボン酸を更に
常法のエステル化工程に付すか又は、上記2成分と前記
モノカルボン酸の3成分を使用して、常法のエステル化
工程に付して、所望の二塩基酸エリスリトール類エステ
ルを製造することができる。
【0025】本発明で使用される二塩基酸エリスリトー
ル類エステルを構成するエリスリトール類は、工業的に
製造されている市販の化合物を購入、入手することがで
き、例えばペンタエリスリトール、ジペンタエリスリト
ールについては広栄化学製の製品を購入、使用すること
ができる。
【0026】本発明で使用される上記エステル体を構成
する二塩基酸(又はそのエステル)は、工業的に製造さ
れている市販の化合物を購入、入手することができ、例
えばアジピン酸は関東電化製の製品、アゼライン酸につ
いてはエメリー社製の製品を購入、使用することができ
る。
【0027】上記エステル化の反応を行う場合は脱水し
ながら行われる。通常反応温度は90〜250℃で行う
のが好ましい。260℃以上であると、反応生成物に着
色を来たし、90℃以下であると反応時間が長くなり、
何れも好ましくない。又、反応は窒素気流下で行う方が
着色の少いものが得られる点で好ましい。反応時間とし
ては0.5〜24時間行うのが一般的である。反応に際
して、反応溶剤や触媒を使用することができる。
【0028】上記エステル化反応工程において溶剤を使
用する場合、用いられる反応溶剤としては、トルエン、
キシレン、n−ヘキサン、石油エーテル等の炭化水素系
溶剤、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノ
ン等のケトン系溶剤が好ましい。
【0029】上記の如く、エステル化反応に触媒を使用
することができるが、その場合の触媒としては、この種
の反応に通常使用される、例えばテトラメチルアンモニ
ウムクロリド、テトラブチルアンモニウムクロリド、テ
トラメチルアンモニウムブロミド、テトラブチルアンモ
ニウムブロミド、テトラメチルアンモニウムヨウ化物、
テトラブチルアンモニウムヨウ化物、ベンジルトリメチ
ルアンモニウムクロリド、ベンジルトリメチルアンモニ
ウムブロミド、ベンジルトリメチルアンモニウムヨウ化
物等の四級アンモニウム塩、テトラメチルホスホニウム
クロリド、テトラブチルホスホニウムクロリド、テトラ
メチルホスホニウムブロミド、テトラブチルホスホニウ
ムブロミド、テトラメチルホスホニウムヨウ化物、テト
ラブチルホスホニウムヨウ化物、ベンジルトリメチルホ
スホニウムクロリド、ベンジルトリメチルホスホニウム
ブロミド、ベンジルトリメチルホスホニウムヨウ化物、
テトラフェニルホスホニウムクロリド、テトラフェニル
ホスホニウムブロミド、テトラフェニルホスホニウムヨ
ウ化物等の四級ホスホニウム塩の他、トリフェニルホス
フィン等のリン化合物、酢酸カリウム、酢酸ナトリウ
ム、安息香酸カリウム、安息香酸ナトリウム等の有機カ
ルボン酸塩、ナトリウムアルコラート、カリウムアルコ
ラート等のアルカリ金属アルコラートの他、三級アミン
類、有機錫化合物、有機アルミニウム化合物、有機チタ
ネート化合物、及び塩化亜鉛等の亜鉛化合物等が挙げら
れる。
【0030】本発明の含有成分である二塩基酸エリスリ
トール類エステルを製造する場合には、常法のエステル
化法の他に、エステル交換法を採用することもできる。
その場合、エリスリトール類と二塩基酸エステルの2種
又は当該エリスリトール類、二塩基酸エステル及びモノ
カルボン酸エステルの3種を使用して常法のエステル交
換反応に付して所望の二塩基酸エリスリトール類エステ
ルを製造すればよい。ここで使用されるエリスリトール
類については前記説明の通りである。
【0031】上記エステル交換反応において使用される
二塩基酸エステル及びモノカルボン酸エステルとして
は、アルコールと、例えば前記二塩基酸又は、例えば前
記モノカルボン酸とのエステル化で容易に得られる二塩
基酸モノ及び/又はジアルコールエステル、又はモノカ
ルボン酸アルコールエステルを使用すればよい。
【0032】尚、本発明においては、二塩基酸及びモノ
カルボン酸には、遊離体のみならず上記エステル体の形
態にあるものも含まれる。
【0033】又、上記二塩基酸エステル及びモノカルボ
ン酸エステルとしては、例えばアルコールと二塩基酸又
はモノカルボン酸とをエステル化反応に付して得られる
当該酸のアルコールエステルを使用すればよい。ここで
使用される二塩基酸又はモノカルボン酸については、前
記説明の二塩基酸又はモノカルボン酸を使用することが
できる。
【0034】上記二塩基酸又はモノカルボン酸のアルコ
ールエステルを構成するアルコールには、例えば炭素数
1〜5の直鎖若しくは分岐鎖の、飽和又は不飽和の炭化
水素基を有するアルコールを用いるとよい。例えば、メ
チルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアル
コール、n-プロピルアルコール、n-ブチルアルコール、
n−ペンチルアルコール等が挙げられる。
【0035】上記二塩基酸のアルコールエステルの具体
的な例としては、アジピン酸のモノ−又はジ−メチル、
エチル、イソプロピル、n−プロピル、n−ブチルアル
コール等のアルコールエステルや、セバシン酸、アゼラ
イン酸、フタル酸等の二塩基酸のジ−メチルエステル等
が挙げられる。
【0036】上記モノカルボン酸のアルコールエステル
の具体的な例としては、ステアリン酸のメチル、エチ
ル、イソプロピル、n−プロピル、n−ブチル等のアル
コールエステルや、カプロン酸、エナンチル酸、オクチ
ル酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、オレ
イン酸等のモノカルボン酸のメチルエステル等が挙げら
れる。
【0037】上記エステル交換反応により二塩基酸エリ
スリトール類エステルを製造する場合の反応について
は、常法により脱アルコールしながら行うとよい。反応
条件については、通常のエステル化反応条件(反応時間
等)を適宜選択利用することができる。反応物質の反応
比率についても、所望の二塩基酸エリスリトール類エス
テル取得に向けて必要な反応比率を適宜選択使用すれば
よい。
【0038】このようにして得られる二塩基酸エリスリ
トール類エステルにおいてエステル化されていない水酸
基が存在する場合、この水酸基は更に何ら修飾されてい
ない誘導体が好ましいが、本発明の耐熱老化性改善効果
を有する限り、一部修飾されたり、保護された誘導体で
あっても本発明における二塩基酸エリスリトール類エス
テルに含まれる。しかしながら、前記した通り、本発明
のエステル体を構成するエリスリトール類部分の全水酸
基の半分程度を超えてエステル化、その他修飾すること
は耐熱老化性改善の効果が減じるので好ましくない。
【0039】本発明で使用できる熱可塑性樹脂として
は、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、エチレン
−プロピレン共重合体等のポリオレフィン系樹脂、ポリ
カーボネート樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリ
ブチレンテレフタレート、ポリブチレンナフタレート等
のポリエステル系樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン
−スチレン共重合体、ポリスチレン等のポリスチレン系
樹脂、6ナイロン、66ナイロン等のポリアミド系樹
脂、ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンサルファ
イド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリイミド等のエ
ンジニアリングプラスチック、その他複合材料の分野で
使用される熱可塑性樹脂の1種又はそれら複数の樹脂を
併用することもできる。
【0040】これらの中で、上記二塩基酸エリスリトー
ル類エステルとの相溶性、耐熱老化性改善の点でポリオ
レフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂及びポリエステル
系樹脂等が好適であり、ポリプロピレン樹脂やエチレン
−プロピレン共重合体樹脂が最も適している。
【0041】本発明で使用する充填剤としては、通常複
合材料の分野で用いられるものであれば特に限定されな
い。具体的には、ガラス繊維、炭素繊維、ボロン繊維、
セラミック繊維(炭化珪素繊維、アルミナ繊維等)、金
属繊維等の繊維類や、ケイ砂、ケイ石、砂利、川砂、海
砂、砕石、カーボンブラック、アセチレンブラック、松
煙、黒鉛、アイボリーブラック、ボーンブラック、パイ
ンブラック、酸化チタン、酸化鉄黒、マンガン黒、イル
メナイト黒、黄鉛、カドミウム黄、亜鉛黄、シアナミド
鉛、ネープルス黄、ウルトラマリン黄、雄黄、朱、カド
ミウム赤、アンチモン赤、ベンガラ、ウルトラマリンレ
ッド、ウルトラマリンバイオレット、コバルトバイオレ
ット、マンガンバイオレット、プルシアンブルー、コバ
ルト青、酸化クロム緑、ギネー緑、クロム緑、亜鉛緑、
緑土、緑青、花緑青、酸化鉄黄、オーカー、シーンナ、
アンバー、ホワイトカーボン、合成ケイ酸塩、無定形シ
リカ、白亜、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、水酸化
カルシウム、ごふん、バライト粉、硫酸バリウム、クレ
イ、との粉、地の粉、タルク、シリカ、ガラス粉、けい
石粉、けいそう土、アスベスト、ワラストナイト、ケイ
酸カルシウム、アルミナ、石膏、アルミニウム粉、ブロ
ンズ粉、鉛丹、シアナミド鉛、クロム酸鉛、硫酸鉛、亜
鉛末、亜酸化鉛、MO・Fe23(MはBa、Sr、C
a、Mg、Zn、Pbの一種又2種以上)より成るフェ
ライト磁性粉末、サマリウム、コバルト、ネオジウム鉄
コバルト、ジルコニウムコバルト、アルミニウム、鉄、
亜鉛、銅、銀、ニッケル、タングステン、モリブデン、
レニウム、ニオブ、タンタル、鉛等を挙げることがで
き、これ等の単独又は複数を使用することができる。
【0042】特に、充填剤としてタルクを使用すると熱
可塑性樹脂成型物はタルク等の充填剤を添加しない場合
と比較して耐熱老化性及び加工性の改善効果が著しく大
きいことが分かった。
【0043】タルク以外では、加工性改善の効果(例え
ば、成型速度の促進)の点でガラス繊維等の繊維類や、
マイカ、クレイ、アスベスト、ワラストナイト、ケイ酸
カルシウム、ホウ酸アルミニウム、ゾノトライト、セピ
オライト、モスハイジ等が好ましく、粉体の取り扱い易
さ、加工性や経済性の点でより好ましくはガラス繊維、
マイカ、クレイ等が挙げられるが、耐熱老化性の点で更
に固体状酸化防止剤を併用するとその効果が特に著しい
点でタルクが最適である。タルクは、特にポリエチレン
樹脂やエチレン−プロピレン共重合体樹脂等のポリオレ
フィン系樹脂に対する効果が著しい。
【0044】本発明で使用する二塩基酸エリスリトール
類エステルで処理された充填剤を使用すると二塩基酸エ
リスリトール類エステルの添加量をより少なくすること
ができる点で好ましく、その調製方法としては、(1)
充填剤に二塩基酸エリスリトール類エステルをそのまま
添加し、ヘンシェルミキサー、ボールミル、アトマイザ
ーコロイドミル、バンバリミキサーの攪拌機を用いて表
面処理をする乾式法、や(2)溶剤に本発明の二塩基酸
エリスリトール類エステルと充填剤を加え、攪拌、混合
後、溶剤を除去する湿式法等を採用して実施すればよ
い。
【0045】又、上記表面処理方法の中で湿式法(2)
で用いられる溶剤としては、フタル酸ジイソブチル、フ
タル酸ジオクチル、フタル酸ジヘプチル、フタル酸ジブ
チル等のフタル酸エステル類、トルエン、キシレン、高
沸点石油炭化水素、n−ヘキサン、シクロヘキサン、n
−ヘプタン等の炭化水素系溶剤、塩化メチレン、クロロ
ホルム、ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素系溶
剤、ジオキサン、テトラヒドロフラン、ブチルエーテ
ル、ブチルエチルエーテル、ジグライム等のエーテル系
溶剤、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、イ
ソホロン等のケトン系溶剤、酢酸エチル、酢酸ブチル、
エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、2
−メトキシプロピルアセテート等のエステル溶剤、メチ
ルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコ
ール、イソプロパノール、ブタノール等のアルコール溶
剤、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレ
ングリコールモノメチルエーテル等のアルキレングリコ
ールのモノエーテル系溶剤の他、ジメチルアセトアミ
ド、ジメチルホルムアミド等のアミド系溶剤、水等が挙
げられ、又これ等は単独又は2種以上を混合して適宜使
用することができる。二塩基酸エリスリトール類エステ
ルの溶解性が低い場合には、溶剤を加熱して用いても構
わない。
【0046】本発明で酸化防止剤を併用使用すると相乗
的に効果が改善されるが、その場合の酸化防止剤として
は、それ自体常温常圧で固体状が好ましく、通常複合材
料の分野で使用されるものであれば特に限定されない
が、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、2,
2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェ
ノール)、テトラキス{メチレン−3(3,5−ジ−t
−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート}
メタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス
(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)
ベンゼン、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒド
ロキシ−5−t−ブチルフェノール)ブタン等のフェノ
ール系酸化防止剤、トリイソデシルホスファイト、ジフ
ェニルイソデシルホスファイト、トリフェニルホスファ
イト、トリノニルフェニルホスファイト等のリン系酸化
防止剤、ジラウリルチオジプロピオネート、ジステアリ
ルチオジプロピオネート、ラウリルステアリルチオジプ
ロピオネート等の硫黄系酸化防止剤、フェニル−β−ナ
フチルアミン、N,N’−ジフェニル−p−フェニレン
ジアミン等のアミン系酸化防止剤等が挙げられるが、こ
れらを2種類以上併用することもできる。
【0047】酸化防止剤が常温常圧で液体状の場合、樹
脂や粉体等と混合する際不均一になり易く、一方固体状
の場合、それ自体の分散性が悪いために本発明で使用さ
れる二塩基酸エリスリトール類エステルがその分散剤と
しての作用を示し、耐熱老化防止に大きく寄与する。
【0048】本発明の熱可塑性樹脂組成物中の二塩基酸
エリスリトール類エステル及び充填剤、更に必要により
含有する酸化防止剤の配合量に関しては、当該熱可塑性
樹脂と当該充填剤の混合物100重量部に対して当該二
塩基酸エリスリトール類エステル1重量部未満、好まし
くは0.002〜0.8重量部を含有する。この範囲を
超えると成型物の強度低下を起こす。一方、この範囲未
満の場合には期待する効果が得られず、故に何れも好ま
しくない。
【0049】当該熱可塑性樹脂に対する添加剤の配合比
率に関して、好ましくは当該熱可塑性樹脂100重量部
に対してそれぞれ充填剤0.1〜300重量部、更に好
ましくは1〜100重量部、当該二塩基酸エリスリトー
ル類エステル0.002〜0.8重量部、更に好ましく
は0.005〜0.6重量部、酸化防止剤0.01〜1
0重量部、更に好ましくは0.1〜5重量部程度を配合
すればよい。
【0050】上記充填剤を300重量部を超えて配合す
ると混練が困難になり実用的ではない。0.1重量部未
満の場合は期待した効果が得られないので、何れも好ま
しくない。
【0051】本発明の熱可塑性樹脂組成物を具体的に製
造する方法として、例えば1)例えば必要により固体状
である酸化防止剤を予め二塩基酸エリスリトール類エス
テルで処理を行ってから熱可塑性樹脂、更に充填剤、そ
の他必要により使用する添加剤と混合、混練する方法、
2)酸化防止剤と本発明の二塩基酸エリスリトール類エ
ステル、熱可塑性樹脂、更に必要に応じて充填剤等の他
の添加剤を一度に混合、混練する方法、或いは3)タル
ク等の充填剤に予め本発明の二塩基酸エリスリトール類
エステルで処理を行い、処理を行った充填剤と酸化防止
剤及び熱可塑性樹脂を混合、混練する方法等がある。以
下に、熱可塑性樹脂組成物の具体的な製造方法を説明す
る。
【0052】本発明で酸化防止剤を併用使用することが
できることは前記の通りであるが、例えば二塩基酸エリ
スリトール類エステルで処理された酸化防止剤、例えば
固体状酸化防止剤の調製方法としては、固体状酸化防止
剤に当該エステル体をそのまま添加し、ヘンシェルミキ
サー、ボールミル、アトマイザーコロイドミル、バンバ
リミキサーの攪拌機を用いて表面処理をする乾式法等を
採用して実施すればよい。
【0053】(1)熱可塑性樹脂100重量部に対して
乾式法で前処理した固体状酸化防止剤0.01〜10重
量部をホモミキサー、らいかい機、ニーダー、バンバリ
ミキサ、アトマイザー等の攪拌機で攪拌して得る方法、
や(2)熱可塑性樹脂100重量部に対し未処理の固体
状酸化防止剤0.01〜10重量部、二塩基酸エリスリ
トール類エステル1重量部未満をホモミキサー、らいか
い機、ニーダー、バンバリミキサ、ロール、インターナ
ルミキサ等の攪拌機で攪拌して得る方法等がある。尚、
これ等の製造時において、二塩基酸エリスリトール類エ
ステルを全て同時に使用する必要はなく、一部を前処理
に用い、一部を熱可塑性樹脂組成物製造時に添加する方
法を用いてもよい。又、混練温度は熱可塑性樹脂の種類
によって異なるが、使用する熱可塑性樹脂のゲル化温度
を参考にして設定するとよい。
【0054】本発明の組成物を用いて樹脂成型物を製造
する場合、特に困難は無く、常法の樹脂成型方法を利用
することができるが、その製造方法を例示すると、上記
方法で製造した熱可塑性樹脂組成物を用いて、ロール、
プレス、押し出し成型機、トランスファー成型機、射出
成型機により成型して、樹脂成型物を容易に取得するこ
とができる。当然のことながら、得られる樹脂成型物や
成型品も本発明の範囲内にある。
【0055】更に、本発明の熱可塑性樹脂組成物には、
必要に応じて本発明の特徴を損なわない範囲で安定剤、
有機又は無機の顔料、染料、可塑剤、脂肪酸、脂肪酸
塩、脂肪酸アミド等の滑剤、整泡剤、発泡剤、リン酸エ
ステル、アンチモン、ブロム系等の難燃剤、紫外線吸収
剤、モノグリセライド、アミン化合物等の帯電防止剤、
造核剤(ポリマーの結晶化を促進し、透明な成型品を与
える。)を1種又は複数併用して含まれることができ
る。
【0056】本発明には、前記樹脂組成物は勿論、それ
より成型して得られる樹脂成型物や成型品が含まれる
が、更に、二塩基酸エリスリトール類エステル及び充填
剤の2種又は必要によりこれに更に酸化防止剤を加えた
3種を、それぞれ少なくとも含有する(これ等複数が混
合して含まれる場合や、混合されてはいないがそのため
に組み合わされた形で含まれる場合でもよい。)熱可塑
性樹脂用の耐熱老化性改善剤及びその対象となる熱可塑
性樹脂も含まれる。
【0057】
【本発明の作用】本発明により得られる効果は以下の機
構で発現するものと考えられる。本発明で使用される二
塩基酸エリスリトール類エステルは、熱可塑性樹脂等の
有機マトリクスとの濡れ性が良好なため、混練時の粘度
を低下させることができる。更に、末端に樹脂、溶剤成
分と濡れ性良好な側鎖を有しているので、混練、成型後
の樹脂成型物の剛性に影響を与えない。この他、使用さ
れる二塩基酸エリスリトール類エステルが存在すること
により樹脂成型物の耐熱老化性も向上する。耐熱老化性
の向上の原因は、当該二塩基酸エリスリトール類エステ
ルが、熱可塑性樹脂製造の際使用された触媒や充填剤に
含有する不純物、例えば鉄や銅等の金属成分とキレート
を形成することにより酸化防止効果を奏したり、必要に
より添加する酸化防止剤の添加量を減少することがで
き、樹脂組成物の耐熱老化性を向上させるものと考えら
れる。
【0058】
【実施例】次に、本発明の熱可塑性樹脂組成物及びそれ
より成型して得られる樹脂成型物について、その内容を
実施例及び比較例を挙げて詳細に説明する。尚、以下の
実施例は本発明の範囲を限定するものではなく、本発明
の内容をより明確に例示するためにのみ使用される。
又、各例における「部」および「%」はいずれも重量基
準によるものである。
【0059】(実施例1)二塩基酸エリスリトール類エ
ステルの合成1 温度計、撹拌機、窒素導入口及び還流管を備えた反応フ
ラスコ内に、アジピン酸(純正化学製)24.4部、ジ
ペンタエリスリトール(東京化成製)84.8部及びp
−トルエンスルホン酸(純正化学製)0.01部を仕込
み窒素気流下で180℃まで1時間かけて昇温し、18
0℃で2時間加熱した後、反応液の酸価が1(mgKO
H/g)程度になるまで加熱を行った。次いで、室温ま
で冷却した(誘導体Aとする、酸価;0.6、エステル
化度;16.7%)。
【0060】(実施例2)二塩基酸エリスリトール類エ
ステルの合成2 温度計、撹拌機、窒素導入口及び還流管を備えた反応フ
ラスコ内に、セバシン酸(純正化学製)40.5部、ペ
ンタエリスリトール(純正化学製)54.5部及びテト
ラブチルアンモニウムヨウ化物(純正化学製)0.01
部を仕込み窒素気流下で180℃まで1時間かけて昇温
し、180℃で2時間加熱した後、反応液の酸価が1
(mgKOH/g)程度になるまで加熱を行った。次い
で、室温まで冷却した(誘導体Bとする、酸価;0.
4、エステル化度;25.0%)。
【0061】(実施例3)二塩基酸エリスリトール類エ
ステルの合成3 温度計、撹拌機、窒素導入口及び還流管を備えた反応フ
ラスコ内に、セバシン酸(純正化学製)54.0部、ペ
ンタエリスリトール(純正化学製)36.4部及びテト
ラブチルアンモニウムヨウ化物(純正化学製)0.01
部を仕込み窒素気流下で160℃まで1時間かけて昇温
し、160℃で2時間加熱した後、反応液の酸価が1
(mgKOH/g)程度になるまで加熱を行った。次い
で、室温まで冷却した(誘導体Cとする、酸価;1.
0、エステル化度;49.9%)。
【0062】(実施例4)二塩基酸エリスリトール類エ
ステルの合成4 温度計、撹拌機、窒素導入口及び還流管を備えた反応フ
ラスコ内に、アジピン酸(純正化学製)24.4部、ス
テアリン酸(純正化学製)47.5部、ジペンタエリス
リトール(東京化成製)84.8部及びp−トルエンス
ルホン酸(純正化学製)0.02部を仕込み窒素気流下
で180℃まで1時間かけて昇温し、180℃で2時間
加熱した後、反応液の酸価が1(mgKOH/g)程度
になるまで加熱を行った。次いで、室温まで冷却した
(誘導体Dとする、酸価;0.8、エステル化度;2
5.0%)。
【0063】(実施例5)二塩基酸エリスリトール類エ
ステルの合成5 温度計、撹拌機、窒素導入口及び還流管を備えた反応フ
ラスコ内に、無水フタル酸(純正化学製)12.4部、
ラウリン酸(純正化学製)16.8部、ジペンタエリス
リトール(東京化成製)42.7部及びテトラブチルチ
タン(東京化成製)0.01部を仕込み窒素気流下で1
80℃まで1時間かけて昇温し、180℃で2時間加熱
した後、反応液の酸価が1(mgKOH/g)程度にな
るまで加熱を行った。次いで、室温まで冷却した(誘導
体Eとする、酸価;0.6、エステル化度;24.9
%)。
【0064】(実施例6)二塩基酸エリスリトール類エ
ステルの合成6 温度計、撹拌機、窒素導入口及び還流管を備えた反応フ
ラスコ内に、アジピン酸(純正化学製)16.1部、ス
テアリン酸(純正化学製)47.5部、ジペンタエリス
リトール(東京化成製)84.8部及びp−トルエンス
ルホン酸(純正化学製)0.02部を仕込み窒素気流下
で180℃まで1時間かけて昇温し、180℃で2時間
加熱した後、反応液の酸価が1(mgKOH/g)程度
になるまで加熱を行った。次いで、室温まで冷却した
(誘導体Fとする、酸価;0.9、エステル化度;1
9.4%)。
【0065】(実施例7)二塩基酸エリスリトール類エ
ステルの合成7 温度計、撹拌機、窒素導入口及び還流管を備えた反応フ
ラスコ内に、アジピン酸(純正化学製)24.4部及び
ペンタエリスリトール(純正化学製)84.8部を仕込
み窒素気流下で240℃まで1時間かけて昇温し、ステ
アリン酸(純正化学製)48.3部及びp−トルエンス
ルホン酸(純正化学製)0.02部を加えて、更に24
0℃で2時間加熱した後、反応液の酸価が1(mgKO
H/g)程度になるまで加熱を行った。次いで、室温ま
で冷却した(誘導体Gとする。酸価;0.2,エステル
化度;37.0%)。
【0066】(比較例1)モノカルボン酸エリスリトー
ル類エステルの合成1 温度計、撹拌機、窒素導入口及び還流管を備えた反応フ
ラスコ内に、ステアリン酸(純正化学製)75.9部、
ペンタエリスリトール(純正化学製)36.3部及びp
−トルエンスルホン酸(純正化学製)0.01部を仕込
み窒素気流下で180℃まで1時間かけて昇温し、18
0℃で2時間加熱した後、反応液の酸価が1(mgKO
H/g)程度になるまで加熱を行った。次いで、室温ま
で冷却した(誘導体Wとする、酸価;0.9、エステル
化度;25.0%)。
【0067】(比較例2)モノカルボン酸エリスリトー
ル類エステルの合成2 温度計、撹拌機、窒素導入口及び還流管を備えた反応フ
ラスコ内に、ステアリン酸(純正化学製)63.3部、
ジペンタエリスリトール(東京化成製)56.5部及び
p−トルエンスルホン酸(純正化学製)0.01部を仕
込み窒素気流下で180℃まで1時間かけて昇温し、1
80℃で2時間加熱した後、反応液の酸価が1(mgK
OH/g)程度になるまで加熱を行った。次いで、室温
まで冷却した(誘導体Xとする、酸価;0.8、エステ
ル化度;16.7%)。
【0068】(比較例3)二塩基酸エリスリトール類エ
ステルの合成8 温度計、撹拌機、窒素導入口及び還流管を備えた反応フ
ラスコ内に、アジピン酸(純正化学製)24.4部、ス
テアリン酸(純正化学製)284.5部、ジペンタエリ
スリトール(東京化成製)84.8部及びp−トルエン
スルホン酸(純正化学製)0.01部を仕込み窒素気流
下で180℃まで1時間かけて昇温し、180℃で2時
間加熱した後、反応液の酸価が1(mgKOH/g)程
度になるまで加熱を行った。次いで、室温まで冷却した
(誘導体Yとする、酸価;0.4、エステル化度;6
6.7%)。
【0069】(比較例4)二塩基酸エリスリトール類エ
ステルの合成9 温度計、撹拌機、窒素導入口及び還流管を備えた反応フ
ラスコ内に、セバシン酸(純正化学製)54.0部、ラ
ウリン酸(純正化学製)54.0部、ペンタエリスリト
ール(純正化学製)36.4部及びp−トルエンスルホ
ン酸(純正化学製)0.01部を仕込み窒素気流下で1
80℃まで1時間かけて昇温し、180℃で2時間加熱
した後、反応液の酸価が1(mgKOH/g)程度にな
るまで加熱を行った。次いで、室温まで冷却した(誘導
体Zとする、酸価;0.6、エステル化度;75.1
%)。
【0070】(実施例8)熱可塑性樹脂組成物及び樹脂
成型物の製造1 実施例1で得られた二塩基酸エリスリトール類エステル
(誘導体A)0.02kg、タルク(松村産業製、ハイ
・フィラー#5000PJ、平均粒径1.4〜1.8μ
m)2kg、及び110℃、5時間にて予備乾燥した高
結晶性エチレン−プロピレン共重合樹脂(市販無安定化
樹脂使用)10kgを混合し(1720rpm、5
分)、2軸混練機(池貝製、PCM30/30型)で混
練後(シリンダー温度;C1=100、C2=220、
C3=210、C4=210、C5=20、AD(アダ
プター温度)=220、スクリュー回転数=250rp
m、吐出量=8kg/時間)、ペレット化を行った。得
られたペレットを用いて、JIS K7210に従い流
れ性試験(メルトフロー)を実施した。更に、得られた
ペレットから射出成型機(日本製鋼所製、クロックナー
F85、シリンダー温度;ノズル=220℃、前部=2
20℃、中央部=210℃、後部=200℃、射出圧力
=360kg/cm2、射出スピード=20%、金型温
度=45℃)を用い、JIS K7152に準拠して射
出成型を行い、JIS K7139の多目的試験片を調
製した。得られた試験片の外観を目視にて評価するとと
もに、曲げ強度(降伏値)をそれぞれJIS K720
3に準じて測定を行った。次に、JIS K7212に
従い熱老化性試験を行い外観の変化を観察し、評価の結
果を表1に示す。
【0071】流れ性試験条件;230℃、2.16kg
f、A法。 熱老化性試験;表面のひび割れ、外観により評価を実施
(状態の良いものから順番に5〜1の5段階で評価)。
【0072】
【表1】
【0073】(実施例9〜14)実施例8において二塩
基酸エリスリトール類エステル:誘導体A 0.02k
g使用する代わりに実施例2〜6で得られた誘導体B、
誘導体C、誘導体D、誘導体E、誘導体F又は誘導体G
を各0.02kg使用すること以外何ら変更することな
く実施例8を繰り返し、同様に熱可塑性樹脂組成物及び
樹脂成型物を製造した(表1参照)。
【0074】(実施例15)実施例8において二塩基酸
エリスリトール類エステル:誘導体A 0.02kg使
用する代わりに二塩基酸エリスリトール類エステル:誘
導体D 0.005kg使用すること以外何ら変更する
ことなく実施例8を繰り返し、同様に熱可塑性樹脂組成
物及び樹脂成型物を製造した(表1参照)。
【0075】(実施例16)実施例8において二塩基酸
エリスリトール類エステル:誘導体A 0.02kg使
用する代わりに二塩基酸エリスリトール類エステル:誘
導体D 0.08kg使用すること以外何ら変更するこ
となく実施例8を繰り返し、同様に熱可塑性樹脂組成物
及び樹脂成型物を製造した(表1参照)。
【0076】(比較例5)実施例8において二塩基酸エ
リスリトール類エステル:誘導体Aを使用しないこと以
外は何ら変更することなく実施例8を繰り返し、同様に
熱可塑性樹脂組成物及び樹脂成型物を製造した(表1参
照)。
【0077】(比較例6)実施例8において二塩基酸エ
リスリトール類エステル:誘導体A 0.02kg使用
する代わりに二塩基酸エリスリトール類エステル:誘導
体D 0.3kg使用すること以外何ら変更することな
く実施例8を繰り返し、同様に熱可塑性樹脂組成物及び
樹脂成型物を製造した(表1参照)。
【0078】(比較例7)実施例8において二塩基酸エ
リスリトール類エステル誘導体:A 0.02kg使用
する代わりに二塩基酸エリスリトール類エステル:誘導
体D 1kg使用すること以外何ら変更することなく実
施例8を繰り返し、同様に熱可塑性樹脂組成物及び樹脂
成型物を製造した(表1参照)。
【0079】(比較例8)実施例8において二塩基酸エ
リスリトール類エステル:誘導体A 0.02kg使用
する代わりに比較例1で得られた誘導体W 0.02k
g使用すること以外何ら変更することなく実施例8を繰
り返し、同様に熱可塑性樹脂組成物及び樹脂成型物を製
造した(表1参照)。
【0080】(比較例9)実施例8において二塩基酸エ
リスリトール類エステル:誘導体A 0.02kg使用
する代わりに比較例2で得られた誘導体X 0.02k
g使用すること以外何ら変更することなく実施例8を繰
り返し、同様に熱可塑性樹脂組成物及び樹脂成型物を製
造した(表1参照)。
【0081】(比較例10)実施例8において二塩基酸
エリスリトール類エステル:誘導体A 0.02kg使
用する代わりに比較例3で得られた誘導体Y 0.02
kg使用すること以外何ら変更することなく実施例8を
繰り返し、同様に熱可塑性樹脂組成物及び樹脂成型物を
製造した(表1参照)。
【0082】(比較例11)実施例8において二塩基酸
エリスリトール類エステル:誘導体A 0.02kg使
用する代わりに比較例4で得られた誘導体Z 0.02
kg使用すること以外何ら変更することなく実施例8を
繰り返し、同様に熱可塑性樹脂組成物及び樹脂成型物を
製造した(表1参照)。
【0083】(比較例12〜15)実施例8において二
塩基酸エリスリトール類エステル誘導体Aを使用する代
わりにジペンタエリスリトール(東京化成製)、グリセ
リンモノステアリン酸エステル(東京化成製)、ステア
リン酸カルシウム塩(東京化成製)又はエチレンビスス
テアリン酸アミド(東京化成製)をそれぞれ使用するこ
と以外は何ら変更することなく実施例8を繰り返し、同
様に熱可塑性樹脂組成物及び樹脂成型物を製造した(表
1参照)。
【0084】(実施例17)熱可塑性樹脂組成物及び樹
脂成型物の製造2 実施例1で得られた二塩基酸エリスリトール類エステル
(誘導体A)0.02kg、酸化防止剤として固体状酸
化防止剤:テトラキス{メチレン−3(3,5−ジ−t
−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート}
メタン(チバガイギー製、IRGANOX1010)
0.005kg、タルク(松村産業製、ハイ・フィラー
#5000PJ、平均粒径1.4〜1.8μm)2k
g、及び110℃、5時間にて予備乾燥した高結晶性エ
チレン−プロピレン共重合樹脂(市販無安定化樹脂使
用)10kgを混合し(1720rpm、5分)、2軸
混練機(池貝製、PCM30/30型)で混練後(シリ
ンダー温度;C1=100、C2=220、C3=21
0、C4=210、C5=20、AD(アダプター温
度)=220、スクリュー回転数=250rpm、吐出
量=8kg/時間)、ペレット化を行った。得られたペ
レットを用いて、JIS K7210に従い流れ性試験
(メルトフロー)を実施した。更に、得られたペレット
から射出成型機(日本製鋼所、クロックナーF85、シ
リンダー温度;ノズル=220℃、前部=220℃、中
央部=210℃、後部=200℃、射出圧力=360k
g/cm2、射出スピード=20%、金型温度=45
℃)を用い、JIS K7152に準拠して射出成型を
行い、JIS K7139の多目的試験片を調製した。
得られた試験片の外観を目視にて評価するとともに、曲
げ強度(降伏値)をそれぞれJISK7203に準じて
測定を行った。次に、JIS K7212に従い熱老化
性試験を行い外観の変化を観察し、評価の結果を表2に
示す。
【0085】流れ性試験条件;230℃、2.16kg
f、A法。 熱老化性試験;表面のひび割れ、外観により評価を実施
(状態の良いものから順番に5〜1の5段階で評価)。
【0086】
【表2】
【0087】(実施例18〜23)実施例17において
二塩基酸エリスリトール類エステル:誘導体A 0.0
2kgを使用する代わりに実施例2〜6で得られた誘導
体B、誘導体C、誘導体D、誘導体E、誘導体F又は誘
導体Gを各0.02kg使用すること以外何ら変更する
ことなく実施例17を繰り返し、同様に熱可塑性樹脂組
成物及び樹脂成型物を製造した(表2参照)。
【0088】(実施例24)実施例17において二塩基
酸エリスリトール類エステル誘導体A 0.02kg使
用する代わりに同化合物0.005kg使用すること以
外何ら変更することなく実施例17を繰り返し、同様に
熱可塑性樹脂組成物及び樹脂成型物を製造した(表2参
照)。
【0089】(実施例25)実施例17において酸化防
止剤として固体状酸化防止剤:2,6−ジ−t−ブチル
−p−クレゾール(川口化学製、アンテージBHT)を
使用すること以外何ら変更することなく実施例17を繰
り返し、同様に熱可塑性樹脂組成物及び樹脂成型物を製
造した(表2参照)。
【0090】(実施例26)実施例17において固体状
酸化防止剤としてテトラキス{メチレン−3(3,5−
ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネ
ート}メタン(チバガイギー製、IRGANOX101
0)0.0025kgとトリス(2,4−ジ−t−ブチ
ル)ホスファイト(旭電化製、MARK2112)0.
0025kgを使用すること以外何ら変更することなく
実施例17を繰り返し、同様に熱可塑性樹脂組成物及び
樹脂成型物を製造した(表2参照)。
【0091】(比較例16)実施例17において二塩基
酸エリスリトール類エステル:誘導体Aを使用しないこ
と以外は何ら変更することなく実施例17を繰り返し、
同様に熱可塑性樹脂組成物及び樹脂成型物を製造した
(表2参照)。
【0092】(比較例17)実施例17において二塩基
酸エリスリトール類エステル:誘導体A 0.02kg
使用する代わりに二塩基酸エリスリトール類エステル:
誘導体D 0.3kg使用すること以外何ら変更するこ
となく実施例17を繰り返し、同様に熱可塑性樹脂組成
物及び樹脂成型物を製造した(表2参照)。
【0093】(比較例18)実施例17において二塩基
酸エリスリトール類エステル:誘導体A 0.02kg
使用する代わりに比較例1で得られた誘導体W 0.0
2kg使用すること以外何ら変更することなく実施例1
7を繰り返し、同様に熱可塑性樹脂組成物及び樹脂成型
物を製造した(表2参照)。
【0094】(比較例19)実施例17において二塩基
酸エリスリトール類エステル:誘導体A 0.02kg
使用する代わりに比較例2で得られた誘導体X 0.0
2kg使用すること以外何ら変更することなく実施例1
7を繰り返し、同様に熱可塑性樹脂組成物及び樹脂成型
物を製造した(表2参照)。
【0095】(比較例20)実施例17において二塩基
酸エリスリトール類エステル:誘導体A 0.02kg
使用する代わりに比較例3で得られた誘導体Y 0.0
2kg使用すること以外何ら変更することなく実施例1
7を繰り返し、同様に熱可塑性樹脂組成物及び樹脂成型
物を製造した(表2参照)。
【0096】(比較例21)実施例17において二塩基
酸エリスリトール類エステル:誘導体A 0.02kg
使用する代わりに比較例4で得られた誘導体Z 0.0
2kg使用すること以外何ら変更することなく実施例1
7を繰り返し、同様に熱可塑性樹脂組成物及び樹脂成型
物を製造した(表2参照)。
【0097】(比較例22)実施例17において固体状
酸化防止剤としてテトラキス{メチレン−3(3,5−
ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネ
ート}メタン(チバガイギー製、IRGANOX101
0)0.0025kgとジミリスチルチオプロピオネー
ト(吉富製薬製、DMTP)0.0075kgを使用す
ること以外何ら変更することなく実施例17を繰り返
し、同様に熱可塑性樹脂組成物及び樹脂成型物を製造し
た(表2参照)。
【0098】(比較例23〜26)実施例17において
二塩基酸エリスリトール類エステル誘導体Aを使用する
代わりにジペンタエリスリトール(東京化成製)、グリ
セリンモノステアリン酸エステル(東京化成製)、ステ
アリン酸カルシウム塩(東京化成製)又はエチレンビス
ステアリン酸アミド(東京化成製)をそれぞれ使用する
こと以外は何ら変更することなく実施例17を繰り返
し、同様に熱可塑性樹脂組成物及び樹脂成型物を製造し
た(表2参照)。
【0099】(実施例27)熱可塑性樹脂組成物及び樹
脂成型物の製造3 実施例1で得られた二塩基酸エリスリトール類エステル
(誘導体A)0.02kg、タルク(松村産業製、ハイ
・フィラー#5000PJ、平均粒径1.4〜1.8μ
m)2kg、及び110℃、5時間にて予備乾燥したポ
リアミド樹脂(市販無安定化樹脂使用)10kgを混合
し(1720rpm、5分)、2軸混練機(KCK80
×2−35VEX(6))で混練後(フィード温度;6
0℃、混練1温度=220℃、混練2温度=220℃、
ベント温度=235℃、ネータリング温度=235℃、
ダイス温度=235℃、スクリュー回転数=70rp
m、吐出量=10.3kg/時間)、ペレット化を行っ
た。得られたペレットを用いて、JIS K7210に
従い流れ性試験を実施した。更に、得られたペレットか
ら射出成型機(日本製鋼所、N40−BII、シリンダ
ー温度;ノズル=280℃、前部=280℃、中央部=
275℃、後部=270℃、射出圧力=800kg/c
2、金型温度=60〜70℃)を用い、JIS K7
152に準拠して射出成型を行い、JIS K7139
の多目的試験片を調製した。得られた試験片の外観を目
視にて評価するとともに、曲げ強度(降伏値)をそれぞ
れJISK7203に準じて測定を行った。次に、JI
S K7212に従い熱老化性試験を行い外観の変化を
観察し、評価の結果を表3に示す。
【0100】流れ性試験条件;230℃、2.16kg
f、A法。 熱老化性試験;表面のひび割れ、外観により評価を実施
(状態の良いものから順番に5〜1の5段階で評価)。
【0101】
【表3】
【0102】(比較例27)実施例27において二塩基
酸エリスリトール類エステル(誘導体A)を使用しない
こと以外は何ら変更することなく実施例27を繰り返
し、同様に熱可塑性樹脂組成物及び樹脂成型物を製造し
た(表3参照)。
【0103】(比較例28〜31)実施例27において
二塩基酸エリスリトール類エステル(誘導体A)を使用
する代わりにジペンタエリスリトール(東京化成製)、
グリセリンモノステアリン酸エステル(東京化成製)、
ステアリン酸カルシウム塩(東京化成製)又はエチレン
ビスステアリン酸アミド(東京化成製)をそれぞれ使用
すること以外は何ら変更することなく実施例27を繰り
返し、同様に熱可塑性樹脂組成物及び樹脂成型物を製造
した(表3参照)。
【0104】表1〜表3の結果から明らかなように、本
発明で使用する所定のエステル化度を有する二塩基酸エ
リスリトール類エステルと充填剤を使用し、又特に酸化
防止剤、特に固体状の酸化防止剤を併用使用することに
より、当該エステル体の含量を低減でき、耐熱老化性に
おいて相乗効果が見られる。又、通常使用される滑剤
(グリセリンモノステアリン酸エステル、ステアリン酸
カルシウム、エチレンビスステアリン酸アミド)は各種
物性、特に強度物性を低下させるが、耐熱老化性の改善
には殆ど効果が無いことも分かった。
【0105】
【発明の効果】本発明の所定のエステル化度を有する二
塩基酸エリスリトール類エステル、充填剤及び本発明で
使用する特定の熱可塑性樹脂を、必要によりこれに更に
酸化防止剤を加えて、含有する熱可塑性樹脂組成物は、
当該エステル体の含量を減少でき、これより成型して樹
脂成型物としたときに耐熱老化性の点で著しく改善され
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C08L 77/00 C08L 77/00 101/00 101/00

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹
    脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂及びエンジ
    ニアリングプラスチックから成る群より選択される少な
    くとも1種を含む熱可塑性樹脂、充填剤及び二塩基酸エ
    リスリトール類エステルを含有し、当該エステルが、当
    該熱可塑性樹脂100重量部に対して当該二塩基酸エリ
    スリトール類エステル1重量部未満となるよう含有する
    とともにエステル体のエステル化度が50%を超えない
    エステル体を含有することを特徴とする熱可塑性樹脂組
    成物。
  2. 【請求項2】二塩基酸エリスリトール類エステルを構成
    するエリスリトール類が下記一般式(I)で示される化
    合物である請求項1記載の組成物。但し、式中、R1
    メチル基、エチル基及びメチロール基の何れかを、nは
    0〜5の整数を、それぞれ表す。 【化1】
  3. 【請求項3】二塩基酸エリスリトール類エステルが二塩
    基酸のエリスリトール類エステルであり、又は当該二塩
    基酸のエリスリトール類エステルにおいてエリスリトー
    ル類部分の水酸基の一部がエステル化されているエステ
    ル誘導体である請求項1記載の組成物。
  4. 【請求項4】ポリオレフィン系樹脂がポリプロピレン樹
    脂及び/又はエチレン−プロピレン共重合体樹脂であ
    り、充填剤がタルクである請求項1記載の組成物。
  5. 【請求項5】更に、酸化防止剤を含有する請求項1記載
    の組成物。
  6. 【請求項6】熱可塑性樹脂100重量部に対して、それ
    ぞれ、二塩基酸エリスリトール類エステル0.002〜
    0.8重量部及び充填剤0.1〜300重量部を含有す
    る請求項1記載の組成物。
  7. 【請求項7】前記請求項の何れかに記載の組成物を使用
    して得られたことを特徴とする樹脂成形物及び当該成型
    物を含む製品。
  8. 【請求項8】前記請求項の何れか一つの成分として、そ
    れぞれ規定される二塩基酸エリスリトール類エステル及
    び充填剤の2種又はこれに更に酸化防止剤を加えた3種
    を、それぞれ少なくとも含有することを特徴とするポリ
    オレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリエステル
    系樹脂、ポリアミド系樹脂及びエンジニアリングプラス
    チックから成る群より選択される少なくとも1種を含む
    熱可塑性樹脂の耐熱老化性改善剤及びその対象となる当
    該熱可塑性樹脂。
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