JPH11182616A - 制振装置 - Google Patents

制振装置

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JPH11182616A
JPH11182616A JP36594197A JP36594197A JPH11182616A JP H11182616 A JPH11182616 A JP H11182616A JP 36594197 A JP36594197 A JP 36594197A JP 36594197 A JP36594197 A JP 36594197A JP H11182616 A JPH11182616 A JP H11182616A
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JP
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vibration
hydraulic
damping force
circuit
hydraulic cylinder
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JP36594197A
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English (en)
Inventor
Nobuo Masaki
信男 正木
Hiromitsu Kawachi
宏充 河内
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Shimadzu Corp
Bridgestone Corp
Original Assignee
Shimadzu Corp
Bridgestone Corp
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  • Buildings Adapted To Withstand Abnormal External Influences (AREA)
  • Vibration Prevention Devices (AREA)
  • Apparatuses For Generation Of Mechanical Vibrations (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】小さなエネルギーで構造物の風や地震による振
動に応答して所望の減衰力を発生させ、広い周波数域の
振動を低減させ、質量やばね定数等の変化に伴って固有
周期が変動する場合でも建物等の構造物の制振効果を常
に維持する。 【構成】積層弾性体11を介して取り付けた質量体5に
オイルダンパー6を連結し、オイルダンパー6をサーボ
弁27を有する減衰力制御用の油圧回路25に組込むと
ともに、構造物2の振動を低減するようにサーボ弁27
によってオイルダンパー6の減衰力を制御する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は高層ビルやタワー等
の柔構造建物の風や地震による揺れを低減するための制
振装置に関する。
【0002】
【従来の技術】高層ビルや各種タワー等の高い構築物で
は、地震による揺れ(震動エネルギー)を吸収して耐震
性を向上させるため、柔構造方式が採用されている。し
かし、この柔構造方式では、強風時や地震時に揺れるだ
けでなく、常風時においても揺れが大きくなって居住性
が害される場合がある。そこで、常風時の震動振幅を減
少させて居住性を向上させるとともに、強風時や地震時
においても建物の全体変形を減少させる手段として、建
物にばねを介して質量体(付加質量)を取り付けて副ば
ね系を連成させ、建物から成る主ばね系と前記副ばね系
とで固有振動数(振動周期)が略同じになるように設定
することにより、建物の揺れを打ち消す振動を発生させ
て振動抑制効果を実現する動吸振装置(ダイナミックダ
ンパー)を設けることが行なわれている。
【0003】さらに、前記動吸振装置にあっては、単に
副ばね系を連成させるだけのパッシブ方式の他に、更に
制振効果を高めるための各種の方式、例えば、副ばね系
の質量体に建物の振動を打ち消す方向の振動を積極的に
加えるようにしたアクティブ方式、振幅に応じてパッシ
ブとアクティブを切り換えるようにしたセミアクティブ
方式などが提案されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】高層建物の風や地震に
よる揺れを効果的に吸収する方式として、前述のような
アクティブな制振装置が開発されてきた。しかし、これ
らのアクティブな制振装置では、制振性能を向上させる
ために、アクチュエータの容量を大きくしなければなら
ず、特に、油圧アクチュエータを用いた場合、油圧源、
アキュムレータ、配管及びサーボ弁などに大容量のもの
を用いる必要があり、制振装置の規模が大きくなった
り、必要とする電力量が大きくなってしまうことがあ
る。また、アクティブな制振装置では、センサの状態が
不良になった場合やフィードバックゲインを大きくした
場合に発振を起こす可能性がある。さらに、前記TMD
方式の制振装置では、減衰力が一定であり、建物の固有
周期が変動する場合には制振効果が低下してしまうとい
う課題がある。
【0005】本発明はこのような技術的課題に鑑みてな
されたものであり、本発明の目的は、広い周波数帯域の
全域において建物の振動を低減させることができ、必要
とするエネルギーを大幅に減少させるとともにアクティ
ブな制振装置並みの制振効果を得ることができ、建物の
固有周期が変動したり、制振装置に使用される積層ゴム
のばね定数が変化することで制振装置の固有周期が変動
したりする場合でも制振効果を維持することができる制
振装置を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】請求項1の発明は、上記
目的を達成するため、エラストマー層と補強板とを交互
に積層した積層弾性体を介して質量体を取り付けるとと
もに、前記質量体をオイルダンパーに連結した建物や構
造物の制振装置であって、前記オイルダンパーの減衰力
を変化させ得る油圧回路と前記建物や構造物の振動を低
減できるように前記オイルダンパーの減衰力を制御する
減衰力制御手段とを備えたことを特徴とする。請求項2
の発明は、上記請求項1の構成に加えて、前記オイルダ
ンパーの減衰力を、風の加振力に応答するための比較的
低い値と地震の加振力に応答するための比較的高い値と
に切り換え可能にした構成とすることにより、一層効率
よく上記目的を達成するものである。
【0007】
【発明の実施の形態】以下図面を参照して本発明の実施
の形態を説明する。なお、各図面を通して、同一符号は
同一又は対応部分を示すものである。図1は本発明によ
る制振装置を備えた構造物としての建物を例示する模式
的立面図である。図1において、地盤1上にタワー状の
建物2が構築されており、該建物2の最上階に本発明に
よる制振装置100が設置されている。建物2として
は、例えば一辺が10m〜30m程度の正方形、長方形
又は菱形などの断面を有し、高さが60m〜180mに
達する鉄骨構造で作られ、風圧を受けて例えば2秒〜4
秒程度の振動周期及び数mの振幅で揺れる建物を典型例
として挙げることができる。
【0008】前記制振装置100は、建物2に水平ばね
手段4を介して質量体(付加質量)5を取り付け、この
質量体5に作用する水平方向の慣性力により建物2に対
して該質量体5が相対的に移動することに応じて前記水
平ばね手段4が水平方向に弾性変位することにより、建
物の揺れを低減させる動吸振装置(ダイナミックダンパ
ー)として機能するものである。すなわち、防振支持さ
れた建物2を主ばね系とすれば、前記質量体5及び前記
水平ばね手段4は動吸振装置3としての副ばね系を構成
している。本発明が適用される制振装置100において
は、前記質量体5と建物2との間に、該質量体5の振動
を減衰させるためのオイルダンパーとしての油圧シリン
ダ6が連結されている。そして、本発明においては、オ
イルダンパー(油圧シリンダ6)は減衰力制御用の油圧
回路25(図7)から成る制御装置に組み込まれ、該制
御装置25によって前記オイルダンパーの減衰力を瞬時
に変化させ得るように構成されている。
【0009】前記水平ばね手段4は質量体5を建物2に
対して水平方向に弾性変位可能に弾性(ばね)支持する
ものである。図2は前記動吸振装置の正面図であり、図
3は図2中の線3−3に沿った横断面図である。図2及
び図3において、動吸振装置3は積層弾性体11の横弾
性を利用したばね手段4と該ばね手段上に取り付けられ
た質量体5とを備えている。図示の例では、複数個(4
個)の積層弾性体11の上下端を連結する安定板12に
より複数段(4段)に積み重ねた多段式の積層弾性体
(積層ゴム)により前記水平ばね手段4が構成されてい
る。各安定板12はそれぞれ剛体の連結板であり、風や
地震で横荷重を受けた場合に座屈を生じることなく弾性
変位することで水平方向の変位能力(振動吸収能力)を
増大させるためのものである。なお、場合によっては、
前記ばね手段(弾性支持手段)4は、1個の積層弾性体
11で構成することもできる。また、前記多段式の積層
弾性体を複数組使用して前記質量体5を支持してもよ
い。
【0010】図4は積層弾性体11の縦断面を示し、図
5は図4中の線5−5に沿った断面を示す。図4及び図
5において、積層弾性体11は、ゴムその他のエラスト
マー材の層14と金属板や硬質プラスチック板などの補
強板15とを交互に一体的に積層した構造をしており、
通常その上下端に取り付け孔16を有するフランジプレ
ート17、17が焼き付けや接着等で一体に固着されて
いる。このような積層弾性体11は、縦方向には高いば
ね定数を有し、水平方向には比較的小さいばね定数を有
している。図2に戻って、本発明を適用した制振装置1
00にあっては、前記ばね手段4で弾性支持された前記
質量体5に、該質量体の振動を抑える減衰力を発生する
ための前記油圧シリンダ6(図1)が連結されており、
この油圧シリンダ(オイルダンパー)6の減衰力は図7
に示すような油圧回路から成る制振装置100によって
制御される。
【0011】図6は本発明を適用した動吸振装置の概略
構成を示す模式図である。図6において、Mは建物2等
の制振対象物の質量、Kは建物2等の質量M自体を弾性
支持(免震支持)するばね定数、Nは建物等の質量Mに
連結された減衰手段の減衰係数、Yは制振対象物2の変
位、mは質量体5の質量、kは質量体5を弾性支持する
ためのばね手段4のばね定数、n1 は質量体5に連結さ
れた油圧シリンダ6から作用する可変減衰力の減衰係数
(可変減衰係数)、n2 は油圧シリンダ6に接続された
油圧回路(制御装置)に固有の減衰係数、yは質量体5
の変位、Fは建物2に作用する風や地震の加振力、uは
油圧シリンダ6から質量体5に作用する力である。
【0012】図6において、建物2と質量体5の相対変
位y−Yの変化速度は式(1)で与えられ、質量体5に
作用する制振力uは式(2)で表すことができる。そし
て、主ばね系(建物2)及び副ばね系(質量体5)から
成る2自由度系の減衰付き動吸振装置3の振動方程式は
式(3)及び(4)のようになる。
【0013】図7は本発明を適用した制振装置の一実施
例の構成を示す油圧回路図である。図7において、建物
2等の制振対象物に水平ばね手段4を介して弾性支持さ
れたマスダンパーの質量体5には、オイルダンパーとし
ての油圧シリンダ6のピストンロッド21が接続(連
結)されている。油圧シリンダ6の内部は摺動可能なピ
ストン22によって2つ油圧室6a、6bに仕切られて
おり、このピストン22は封止状態で出入りする前記ピ
ストンロッド21に固定されている。油圧シリンダ6の
左右の油圧室6a、6bにはそれらの圧力(油圧)を検
出するための圧力検出手段23a、23bが接続されて
おり、質量体5の振動により油圧シリンダ6が受けてい
る力を検出することができる。さらに、油圧シリンダ6
にはピストンロッド21の変位を検出するための変位検
出手段24が設けられている。これらの圧力検出手段2
3a、23b及び変位検出手段24により、質量体5の
振動を状態をリアルタイムで検出することができる。
【0014】図7の油圧回路中の矢印は作動油の流れ方
向を示し、実線矢印はピストン22が図中左方向へ移動
する時の流れを、点線矢印はピストン22が図中右方向
へ移動する時の流れを示す。前記油圧シリンダ6は質量
体5が揺動する力により変位するが、この時の力によ
り、油圧シリンダ6(具体的には左右の圧力室6a、6
b)と油圧回路(減衰力制御装置)25との間を作動油
が出入りする。符号26は、4個のチェック弁を図示の
ようなダイヤモンド配置に接続して構成したダイヤモン
ドチェックから成る整流回路である。前記油圧シリンダ
6の左右のポートA、Bは、前記整流回路26の両端の
ポートA、Bに接続されている。整流回路26のポート
A、Bでは油圧シリンダ6との間で作動油が出入りす
る。ただし、各チェック弁の作用により、ポートA又は
Bから流入した作動油は必ず上方向に(ポートCから)
から流出し、また、流出した作動油は後述する油圧回路
(減衰力制御回路)を一巡した後下方から(ポートDか
ら)流入する作動油になる。こうして、質量体5の振動
に伴って油圧シリンダ6により加圧された作動油は、整
流回路26のポートCからサーボ弁27へ向かって流れ
る。
【0015】前記サーボ弁27と並列の関係で電磁切換
弁28が設けられている。この電磁切換弁28は、前記
サーボ弁27をバイパスするために設けられており、開
弁作動されることにより油圧回路(減衰力制御回路)2
5を瞬間的に極めて小さい抵抗の状態にすることができ
る。つまり、減衰力が極めて小さい状態にすることがで
きる。前記サーボ弁27は、油圧シリンダ6の速度に比
例して抵抗を発生させるものであり、油圧シリンダ6の
ストロークセンサ(変位検出手段)24の位置信号及び
微分回路と該シリンダ6の両油圧室6a、6bの圧力信
号及び差分回路とによって制御される。この前記サーボ
弁27はプログラムで制御することが可能であり、従っ
て図7の油圧回路25によって発生させる減衰力もプロ
グラムで制御することができる。
【0016】前記電磁切換弁28は、油圧シリンダ6の
抵抗をゼロにするためのものであり、建物2から質量体
5へエネルギーが流入するモードでの抵抗を無くして動
吸振装置(マスダンパー)3の性能を向上させるべく、
積極的に低抵抗の回路に切り換えるためのものである。
この電磁切換弁28による動作の応答時間は0.1秒程
度であるが、周期が3秒程度の動吸振装置3においては
該電磁切換弁28を有効に機能させることができる。
【0017】油圧シリンダ6の両ポートA、Bの圧力か
ら換算される負荷抵抗力と該油圧シリンダ6の変位から
換算される流量とに基づいて、ダンパーとしての特性を
決めるための状態、すなわち質量体5の振動状態及び振
動を的確に減衰させるための条件を把握することができ
る。一方、前記サーボ弁27は、作動油の流れを絞るこ
とにより圧力のエネルギーを熱に変えることで、減衰力
を発生するものである。そして、前記サーボ弁27は、
制御機器で任意に制御することで自由に絞ることができ
るので、質量体5の振動に対して作用する油圧シリンダ
6の減衰力の特性を任意に設定することができる。ま
た、前記電磁切換弁28を開弁作動させることにより、
油圧シリンダ6を出入りする作動油の抵抗を極めて小さ
く(油圧回路25の固有の流れ抵抗の程度)することが
でき、それによって質量体5に実質上の振動減衰力が作
用しないパッシブ方式の動吸振装置と同じ状態を作り出
すことができる。
【0018】図7において、サーボ弁27及び電磁切換
弁28の両方が全閉の状態では油圧シリンダ6に作用す
る圧力が際限なく上昇するが、このような油圧上昇に起
因する油圧回路25の破損を防止するために、これらの
弁27、28の手前にリリーフ弁29が設けられてい
る。また、このリリーフ弁29は、作動時には負荷の大
きなブレーキ弁として作用する性質を持っている。サー
ボ弁27から流出した作動油、つまり絞りによる減衰力
を発揮した後の作動油は温度が上昇しており、この作動
油はクーラー30を通る間に冷却される。前記クーラー
30を通過した作動油は加圧式タンク31内を通され
る。油圧回路25の配管内では作動油の温度分布がまち
まちであるが、この作動油の温度は一旦前記加圧式タン
ク31内を通すことにより平均化(均等化)される。
【0019】前記加圧式タンク31から流出した作動油
は、前記整流回路26の下方のポートDから該整流回路
26内へ流入し、前記質量体5の振動に応じて前記油圧
シリンダ6から該整流回路26内へ流入される作動油
(ポートA及びBから交互に流入する加圧作動油)によ
って加圧される。こうして整流回路26内で加圧された
作動油は、上方のポートCから再びサーボ弁27へ流れ
る。なお、油圧シリンダ6の油圧室6a、6bのうち容
積が増大して減圧される方の油圧室に対しては、整流回
路26の両側のポートA、Bのいずれかを通して作動油
が充填される。
【0020】図7において、減衰力制御用の前記油圧回
路25の加圧式タンク31と整流回路26との間には、
該油圧回路25の低圧になっている側の回路(整流回路
26の上流側の回路)を一定圧力に維持(加圧)するた
めの加圧用ポンプ32が設けられている。このように低
圧になっている側の回路を一定圧力に加圧することによ
り、チェック弁(4個のチェック弁)を用いた整流回路
26の作動を円滑化することができる。また、低圧にな
っている側の回路には、加圧用ポンプ32による加圧圧
力を安定化させるためのリリーフ弁33が設けられてい
る。このリリーフ弁33の他端は前記加圧用ポンプ32
のリザーバー34に接続されている。なお、前記油圧シ
リンダ6の両端のポートA、Bのそれぞれから前記整流
回路のポートA、Bに通じる2本の流路の間には、通常
では閉弁されたバイパス弁35が設けられている。この
バイパス弁35を作動(開弁)させると、油圧シリンダ
6の両側の室6a、6bが連通され、質量体5の振動に
よる油圧シリンダ6内の圧力上昇が生じない状態にな
る。つまり、前述のパッシブ方式の動吸振動装置と同じ
状態になる。
【0021】図8は図7の制振装置を構造物に設置する
場合の実際の構成例を示す平面図であり、図9は図8の
制振装置の側面図である。図8及び図9において、建物
2と質量体5との間に装着されるオイルダンパーとして
の油圧シリンダ6は、平面内のあらゆる方向の加振力に
対して減衰力を確実に付与できるように、前後左右方向
に配置されており、それぞれの油圧シリンダ6に対して
減衰力制御回路(油圧回路)25が接続されている。図
示の例では、直方体の質量体5の側面の各辺に沿って4
組の制振装置100(油圧シリンダ6、油圧回路25、
クーラー30等を含む)が設けられている。なお、図示
の例では、質量体5の中央部に1つの多段式の積層弾性
体から成る水平ばね手段4が配設されている。
【0022】図10は高層建物の制振効果の測定結果を
示すグラフであり、(A)は何らの制振装置も備えてい
ない建物に加振力が作用した場合の該建物の振動加速度
[cm/秒2 ]を、(B)は本発明を適用した制振装置
を備えた建物に加振力が作用した場合の該建物の振動加
速度[cm/秒2 ]を、(C)はアクティブ方式の動吸
振装置を備えた建物に加振力が作用した場合の該建物の
振動加速度[cmc/秒2 ]を、それぞれ示すものであ
る。各グラフの横軸は、加振力が作用した後の経過時間
[秒]を示す。図10の各グラフからも明らかなよう
に、本発明を適用した制振装置を用いることにより、特
別なアクチュエータ(エネルギー発生手段)を用いるこ
となく、質量体5に建物2の振動を打ち消す方向の振動
を積極的に加えるようにしたアクティブ方式の動吸振装
置による場合とほぼ同程度まで振動を除去することがで
きる。
【0023】図11及び図12は本発明による制振装置
の別の実施例の減衰力制御用の油圧回路を示す回路図で
ある。図11及び図12においても、図1〜図9の実施
例の各部と同一又は対応する部分は同一符号で示されて
おり、それらの個々の詳細説明は適宜省略する。本実施
例は、風応答時と地震応答時とで油圧回路を切り換えら
れるようにしたものである。図11中には、強風に応答
する使用状態において、油圧シリンダ6のピストン22
が図中左方向へ移動する時の作動油の流れが実線矢印で
示され、該ピストン22が図中右方向へ移動する時の作
動油の流れが点線矢印で示されている。また、図12に
は、地震に応答する使用状態において、油圧シリンダ6
のピストン22が図中左方向へ移動する時の作動油の流
れが実線矢印で示され、該ピストン22が図中右方向へ
移動する時の作動油の流れが点線矢印で示されている。
【0024】図11及び図12において、減衰力制御用
の油圧回路25は、風応答用回路40と地震応答用回路
41とを備えている。建物2等の制振対象物に水平ばね
手段4を介して弾性支持されたマスダンパーの質量体5
には、オイルダンパーとしての油圧シリンダ6のピスト
ンロッドが接続(連結)されており、油圧シリンダ6の
内部(油圧室)は前記ピストンロッドと一体のピストン
22によって左右の油圧室6a、6bに仕切られてい
る。左右の各油圧室6a、6bにはそれらの内部圧力
(油圧)を検出するための圧力検出手段23a、23b
が接続されており、質量体5の振動により油圧シリンダ
6が受けている力を検出することができる。さらに、油
圧シリンダ6にはピストン22の変位を検出するための
変位検出手段(ストロークセンサ)24が設けられてい
る。これらの圧力検出手段23a、23b及び変位検出
手段24により、質量体5の振動を状態をリアルタイム
で検出することができる。
【0025】質量体5の揺動する力により油圧シリンダ
6が変位すると、左右の圧力室6a、6bと油圧回路
(減衰力制御装置)25との間を作動油が出入りする。
符号42は、風応答用回路40と地震応答用回路41と
を切り換えるために風応答用回路40内に設けられた回
路切換弁である。この回路切換弁42は、振動加速度が
大きな地震時に、サーボ弁27を使用する風応答用回路
40を無効にすることを目的とするものであり、シリン
ダ両室6a、6bの圧力信号とその比較器(不図示)と
弁切換コイル用ドライバーとにより切換制御される。つ
まり、地震応答時には、高減衰回路である地震応答用回
路41で減衰力を制御することから、この回路切換弁4
2は閉じられている。
【0026】図11において、風応答時には、左右に移
動するピストン22により油圧シリンダ6の左右の油圧
室6a、6bから流出する作動油は、前記回路切換弁4
2を通ってサーボ弁27へ向かって流れる。この回路切
換弁42は図7中のダイヤモンドチェックから成る整流
回路26と類似の機能を有する。前記サーボ弁27と並
列の関係で電磁切換弁28が設けられている。この電磁
切換弁28は、前記サーボ弁27をバイパスするために
設けられており、開弁作動されることにより減衰力制御
用油圧回路25を瞬間的に極めて小さい抵抗の状態に
し、油圧回路25の減衰力が極めて小さい状態にするも
のである。
【0027】前記サーボ弁27は、油圧シリンダ6の速
度に比例して抵抗を発生させるものであり、油圧シリン
ダ6のストロークセンサ(変位検出手段)24の位置信
号及び微分回路と該シリンダ6の両油圧室6a、6bの
圧力信号及び差分回路とによって油圧回路25の減衰力
を制御するようにプログラム制御することができる。前
記電磁切換弁28は、油圧シリンダ6の抵抗をゼロにす
ることを目的とし、積極的に低抵抗の回路に切り換える
ことにより建物2から質量体5へエネルギーが流入する
モードでの抵抗を無くすものである。前述のごとく、電
磁切換弁28の応答時間は0.1秒程度であり、周期が
3秒程度の動吸振装置3では有効に機能するものであ
る。
【0028】両油圧室6a、6bの圧力とピストン22
の変位からの流量とに基づいて、質量体5の振動状態及
び振動を的確に減衰させるための条件を把握することが
できる。前記サーボ弁27は、作動油の流れを絞ること
により圧力を熱に変えることで、減衰力を発生するもの
である。そして、このサーボ弁27は、制御機器で任意
に制御することで自由に絞ることができるので、質量体
5の振動に対して作用する油圧シリンダ6の減衰力の特
性を任意に設定することができる。また、前記電磁切換
弁28を開弁作動させることにより、油圧シリンダ6を
出入りする作動油の抵抗を極めて小さくする。なお、前
記サーボ弁27と前記切換弁28との間には並列接続さ
れたバイパス弁43が設けられている。
【0029】サーボ弁27から流出した作動油、つまり
絞りによる減衰力を発揮した後で温度上昇した作動油は
クーラー30を通る間に冷却される。前記クーラー30
を通過した作動油は、フィルター44及び加圧式タンク
31内を通され、温度を平均化(均等化)される。この
作動油は、低圧側油路45を通り、次いで、4個のチェ
ック弁をダイヤモンド配置に接続して構成したダイヤモ
ンドチェック46を通して、油圧シリンダ6へ戻され
る。このダイヤモンドチェック46は、戻ってくる作動
油を適切に振り分ける機能を有し、実線及び点線の矢印
で示すように、左右の油圧室6a、6bのうちの減圧側
(容積拡大側)の油圧室へ作動油を送り込むように動作
する。
【0030】図11において、前記低圧側油路45に
は、油圧回路25を一定圧力に維持(加圧)するための
加圧用ポンプ32が設けられている。このように低圧に
なり易い油路45を一定圧力に加圧することにより、4
個のチェック弁を用いたダイヤモンドチェック46の作
動を円滑化することができる。また、低圧側油路45に
は、加圧用ポンプ32による加圧圧力を安定化させるた
めのリリーフ弁33が設けられている。このリリーフ弁
33の他端は前記加圧用ポンプ32のリザーバー34に
接続されている。なお、前記油圧シリンダ6の両油圧室
6a、6bのそれぞれに通じる2本の流路の間には、通
常では閉弁されたバイパス弁35が設けられている。こ
のバイパス弁35を作動(開弁)させると、油圧シリン
ダ6の両側の室6a、6bが連通され、質量体5の振動
による油圧シリンダ6内の圧力上昇が生じない状態(減
衰力が生じない状態)になる。
【0031】図12において、高減衰力を必要とする地
震応答時には、前記回路切換弁42が閉じられ、左右に
移動するピストン22により油圧シリンダ6の左右の油
圧室6a、6bから流出する作動油は、実線及び点線の
矢印で示すように、ダイヤモンドチェック46の左右の
ポートA、Bのいずれかに流入し、上部のポートCから
流出する。この場合は、前記ダイヤモンドチェック46
は作動油を一定方向へ流出させる整流回路として機能す
るものである。
【0032】前記ダイヤモンドチェック46のポートC
から流出した作動油は、減衰油路48を通して流通され
る。この該減衰油路48には、作動油を比較的強く絞る
ことにより高減衰力を発生させるための減衰力手段47
が設けられている。従って、前記ポートCから流出した
作動油は、減衰油路48を流れる間に前記減衰力手段4
7により抵抗を付与されて高い減衰力を発揮した後、再
び、前記ダイヤモンドチェック46のポートDから流入
する。ポートDから流入した作動油は、左右のポート
A、Bのいずれか(減圧側)へ振り分けられ、該ポート
から油圧シリンダ6へ戻される。すなわち、このダイヤ
モンドチェック46は、戻ってくる作動油を適切に振り
分ける機能を有し、実線及び点線の矢印で示すように、
左右の油圧室6a、6bのうちの減圧側(容積拡大側)
の油圧室へ作動油を送り込むように動作する。
【0033】前記減衰力手段47は、作動油の流れを絞
ることにより圧力を熱に変えることで、高い減衰力を発
生するものであり、制御機器で任意に制御することで絞
りの程度を段階的又は連続的に調整することができ、地
震時の質量体5の振動に対する油圧シリンダ6の減衰力
の特性を適宜調整することができる。また、地震応答時
においても、両油圧室6a、6bの圧力とピストン22
の変位からの流量とに基づいて、質量体5の振動状態及
び振動を的確に減衰させるための条件を把握することが
できる。図11及び図12の実施例では、前記減衰力手
段47が発生する減衰力は、通常、ダンパー6の動きに
関わらず一定に設定されるが、その大きさは変更(調
節)できるようになっている。本実施例では、例えば、
圧力で250K、210K及び175Kの3段階に切り
換えられるように構成されている。
【0034】以上説明した実施例によれば、エラストマ
ー層14と補強板15とを交互に積層した積層弾性体1
1を介して質量体5を取り付けるとともに、サーボ弁2
7を有する減衰力制御用の油圧回路25に前記質量体に
連結されたオイルダンパー(油圧シリンダ)6を組み込
むことにより、前記オイルダンパー6の減衰力を変化さ
せ得る油圧回路と建物や構造物等の制振対象物2の振動
を低減できるように前記オイルダンパー6の減衰力を制
御する減衰力制御手段とを備えた制振装置100を構成
したので、広い周波数帯域の全域において建物や構造物
の振動周期と比較して非常に短い時間で、振動に応答し
て減衰力を該振動を低減できる値に変化させることがで
き、必要とするエネルギーを大幅に減少させるとともに
アクティブな制振装置並みの制振効果を得ることがで
き、建物の固有周期が変動したり、制振装置に使用され
る積層ゴムのばね定数が変化することで制振装置の固有
周期が変動したりする場合でも、これに応答して減衰力
を瞬時に変化させて制振効果を常に維持することができ
る制振装置が提供される。
【0035】
【発明の効果】以上の説明から明らかなごとく、請求項
1の発明によれば、エラストマー層と補強板とを交互に
積層した積層弾性体を介して質量体を取り付けるととも
に、前記質量体をオイルダンパーに連結した建物や構造
物の制振装置であって、前記オイルダンパーの減衰力を
変化させ得る油圧回路と前記建物や構造物の振動を低減
できるように前記オイルダンパーの減衰力を制御する減
衰力制御手段とを備えた構成としたので、広い周波数帯
域の全域において建物の振動に応答して高速で減衰力を
変化させて該振動を低減させることができ、必要とする
エネルギーを大幅に減少させるとともにアクティブな制
振装置並みの制振効果を得ることができ、建物の固有周
期が変動したり、制振装置に使用される積層ゴムのばね
定数が変化することで制振装置の固有周期が変動したり
する場合でも制振効果を維持することができる制振装置
が提供される。
【0036】請求項2の発明によれば、上記請求項1の
構成に加えて、前記オイルダンパーの減衰力を、風の加
振力に応答するための比較的低い値と地震の加振力に応
答するための比較的高い値とに切り換え可能にした構成
としたので、一層効率よく上記効果を達成し得る制振装
置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による制振装置を備えた構造物を例示す
る模式的立面図である。
【図2】図1中の動吸振装置の正面図である。
【図3】図3は図2中の線3−3に沿った横断面図であ
る。
【図4】図2中の積層弾性体の縦断面図である。
【図5】図4中の線5−5に沿った横断面図である。
【図6】本発明を適用した動吸振装置の概略構成を示す
模式図である。
【図7】本発明を適用した制振装置の一実施例の構成を
示す油圧回路図である。
【図8】図7の制振装置を構造物に設置する場合の構成
例を示す平面図である。
【図9】図8の制振装置の側面図である。
【図10】高層建物の制振効果の測定結果を比較して示
すグラフである。
【図11】本発明による制振装置の別の実施例の減衰力
制御用の油圧回路を風応答時の作動油の流れとともに示
す回路図である。
【図12】図11の制振装置の減衰力制御用の油圧回路
を地震応答時の作動油の流れとともに示す回路図であ
る。
【符号の説明】 1 地盤 2 構造物又は建物 3 動吸振装置 4 水平ばね手段 5 質量体 6 オイルダンパー(油圧シリンダ) 11 積層弾性体(積層ゴム) 12 安定板 14 エラストマー材の層 15 補強板 21 ピストンロッド 22 ピストン 23 圧力検出手段 24 変位検出手段(ストロークセンサ) 25 減衰力制御用の油圧回路 26 整流回路(ダイヤモンドチェック) 27 サーボ弁 28 電磁切換弁 32 加圧用ポンプ 40 風応答用回路 41 地震応答用回路 42 回路切換弁 45 低圧側油路 46 ダイヤモンドチェック 47 高減衰手段 48 高減衰油路 100 制振装置

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 エラストマー層と補強板とを交互に積
    層した積層弾性体を介して質量体を取り付けるととも
    に、前記質量体をオイルダンパーに連結した建物や構造
    物の制振装置であって、前記オイルダンパーの減衰力を
    変化させ得る油圧回路と前記建物や構造物の振動を低減
    できるように前記オイルダンパーの減衰力を制御する減
    衰力制御手段とを備えたことを特徴とする制振装置。
  2. 【請求項2】 前記オイルダンパーの減衰力を、風の
    加振力に応答するための比較的低い値と地震の加振力に
    応答するための比較的高い値とに切り換え可能にしたこ
    とを特徴とする請求項1に記載の制振装置。
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