JPH11181501A - 金属粉末および焼結体の製造方法 - Google Patents

金属粉末および焼結体の製造方法

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JPH11181501A
JPH11181501A JP9348188A JP34818897A JPH11181501A JP H11181501 A JPH11181501 A JP H11181501A JP 9348188 A JP9348188 A JP 9348188A JP 34818897 A JP34818897 A JP 34818897A JP H11181501 A JPH11181501 A JP H11181501A
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Japan
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metal powder
sintering
sintered body
injection molding
gas
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JP9348188A
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English (en)
Inventor
Masaaki Sakata
正昭 坂田
Masanobu Fujisaki
昌伸 藤崎
Kenichi Shimodaira
賢一 下平
Eiko Nakayama
英光 中山
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Original Assignee
INJEX KK
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  • Manufacture Of Metal Powder And Suspensions Thereof (AREA)
  • Powder Metallurgy (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】高い焼結密度の焼結体を得ることができ、ま
た、高品質を維持しつつ焼結温度を低くすることができ
る。 【解決手段】本発明の金属粉末は、金属粉末射出成形
(MIM:Metal Injection Molding )法に用いられる
金属粉末であって、主成分がFeまたはステンレス鋼の
ようなFe系合金で構成されている。そして、N(窒
素)がFeに対する重量比で0.1〜0.5wt%含まれ
ている。このような金属粉末を用いて金属粉末射出成形
法により得られた成形体を焼結してなる焼結体は、高い
焼結密度および高い機械的強度が得られ、また、焼結温
度の低減を図ることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、金属粉末射出成形
に用いられる金属粉末およびこれを用いた焼結体の製造
方法に関する。
【0002】
【従来の技術】金属粉末の成形体を焼結して金属製品を
製造するに際し、成形体の製造方法として、金属粉末と
有機バインダーとを混合、混練し、この混練物を用いて
射出成形する金属粉末射出成形(MIM:Metal Inject
ion Molding )法が知られている。
【0003】このMIM法により製造された成形体は、
焼結に供する前に、脱脂処理(脱バインダー処理)が施
される。
【0004】このようなMIM法により製造された成形
体の焼結体は、一般の粉末冶金法により得られる焼結体
に比べ、焼結密度(得られた焼結体の密度)が高いとい
う利点がある。
【0005】ところで、MIM法を採用する場合でも、
脱脂処理後の成形体(脱脂体)を焼結するに際しては、
特に、金属組成がFeまたはFe系合金のような固相焼
結の場合、高い焼結密度(得られた焼結体の密度)が得
られないという問題があるとともに、高い焼結温度を必
要とするという問題がある。
【0006】すなわち、焼結密度が低いと、焼結体の機
械的強度が低下し、また、焼結温度が高いと、焼結炉の
負担が大きく、高価な設備を必要としたり、消費エネル
ギーが大きいといった不利がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、高い
焼結密度の焼結体を得ることができ、また、高い品質を
維持しつつ焼結温度を低くすることができる金属粉末お
よび焼結体の製造方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】このような目的は、下記
(1)〜(9)の本発明により達成される。
【0009】(1) 金属粉末射出成形に用いられる金
属粉末であって、主成分がFeまたはFe系合金で構成
され、N(窒素)がFeに対する重量比で0.1〜0.
5wt%含まれていることを特徴とする金属粉末。
【0010】(2) 金属粉末射出成形に用いられる金
属粉末であって、主成分がステンレス鋼で構成され、N
(窒素)がFeに対する重量比で0.1〜0.5wt%含
まれていることを特徴とする金属粉末。
【0011】(3) Feを40wt%以上含有する上記
(1)または(2)に記載の金属粉末。
【0012】(4) 前記Nは、Feと固溶した状態で
存在している上記(1)ないし(3)のいずれかに記載
の金属粉末。
【0013】(5) 平均粒径が50μm 以下である上
記(1)ないし(4)のいずれかに記載の金属粉末。
【0014】(6) ガスアトマイズ法または水アトマ
イズ法により製造されたものである上記(1)ないし
(5)のいずれかに記載の金属粉末。
【0015】(7) N2 ガスを用いたガスアトマイズ
法により製造されたものである上記(1)ないし(5)
のいずれかに記載の金属粉末。
【0016】(8) 上記(1)ないし(7)のいずれ
かに記載の金属粉末を用いて金属粉末射出成形法により
成形体を製造し、該成形体を焼結して焼結体を得ること
を特徴とする焼結体の製造方法。
【0017】(9) 前記成形体中の前記金属粉末の含
有量が70〜97wt%である上記(8)に記載の焼結体
の製造方法。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、本発明の金属粉末および焼
結体の製造方法について詳細に説明する。
【0019】本発明の金属粉末は、金属粉末射出成形
(MIM)に用いられるものである。この金属粉末射出
成形法は、複雑で微細な形状の金属焼結品を高い寸法精
度で製造することができ、また、その機械的強度も高い
という利点を有するので、本発明を適用する上でその効
果が有効に発揮され、好ましい。
【0020】金属粉末を構成する金属材料(以下単に
「金属材料」と言う)の主成分は、FeまたはFe系合
金である。Fe系合金の場合におけるFe以外の金属と
しては、例えばNi、Co、Cr、Mn、Cu、Zn、
Au、Ag、Pt、Pd、Al、W、Ti、V、Mo、
Nb、Zr等が挙げられ、これらのうちの1種または2
種以上を含有することができる。
【0021】この場合、Fe系合金は、Feに、Ni、
CoおよびCrのうちの少なくとも1種を含む合金であ
るのが好ましく、ステンレス鋼(例えば、SUS30
4、SUS316、SUS317、SUS329J1、
SUS410、SUS430、SUS440、SUS6
30)であるのがより好ましい。
【0022】また、このようなFe系合金においては、
Feのもつ優れた強度、靭性、加工のし易さといった特
性を活かすため、Feを40wt%以上含有するものであ
るのが好ましい。また、Feを40wt%以上含有すれ
ば、NのFeへの固溶を十分に確保することができる。
【0023】このような金属材料中には、N(窒素)が
Feに対する重量比で0.1〜0.5wt%含まれてお
り、好ましくは0.15〜0.45wt%、より好ましく
は0.25〜0.42wt%含まれている。
【0024】この場合、Nは、Feと固溶した状態で存
在していること、すなわち、Fe原子同士の隙間にN原
子が存在するのが好ましい。
【0025】Nを含有することにより、次のような効果
が生じる。
【0026】金属材料の融点が下がり、焼結性が向上
する。そのため、焼結温度を低くすることができ、焼結
炉や焼結治具への負担を軽減することができ、また、欠
陥のない良好な品質の焼結体が得られ、特に、焼結時の
収縮のバラツキを抑制できるので、寸法精度が向上す
る。
【0027】焼結温度が低いこととも相まって、焼結
時に結晶粒の粗大化が抑制されるので、気泡(空孔)が
結晶粒界を通って排出され易くなり、焼結体の密度(焼
結密度)が高まる。そのため、焼結体の機械的特性(各
種強度)が向上する。
【0028】Nの含有量を上記に限定した理由は、次の
通りである。
【0029】Nの含有量が低過ぎると、上記および
の効果が十分に得られない。一方、Nの含有量が多過ぎ
ると、焼結時に金属拡散そのものに悪影響を与えること
から焼結密度が向上せず、また、Fe系合金の場合、F
e以外の金属元素が窒化物を生成することがあり、焼結
性の低下、機械的特性の低下をもたらすおそれがある。
【0030】このような金属粉末の平均粒径は、特に限
定されないが、50μm 以下が好ましく、通常、0.1
〜40μm 程度がより好ましい。平均粒径が大き過ぎる
と、他の条件によっては、焼結密度の向上が不十分とな
ることがある。
【0031】金属粉末の製造方法は、特に限定されず、
例えばアトマイズ法、還元法、カルボニル法、粉砕法に
より製造されたものを用いることができるが、N含有量
の制御がし易いこと、粒径の細かい粉末が比較的容易に
得られること等の点で、ガスアトマイズ法または水アト
マイズ法が好ましい。具体的には、N2 ガスを用いたガ
スアトマイズ法、N2 ガスおよび水を用いた水アトマイ
ズ法、N含有溶湯を用いたガスまたは水アトマイズ法が
挙げられる。
【0032】また、このなかでも特に、Nを所定量含有
する金属粉末を容易かつ安価に製造することができると
いう点で、N2 ガスを用いた(N2 ガスを雰囲気とし
た)ガスアトマイズ法が好ましい。
【0033】次に、本発明の焼結体の製造方法について
説明する。
【0034】[1]成形体の製造 前述した本発明の金属粉末を用い、金属粉末射出成形法
(MIM法)により所望の形状、寸法の成形体を製造す
る。以下、その工程を順次説明する。
【0035】まず、前述した本発明の金属粉末と結合材
(有機バインダー)とを用意し、これらを混練機により
混練し、混練物(コンパウンド)を得る。
【0036】結合材としては、例えば、ポリエチレン、
ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体などの
ポリオレフィン、ポリメチルメタクリレート、ポリブチ
ルメタクリレート等のアクリル系樹脂、ポリスチレン等
のスチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデ
ン、ポリアミド、ポリエステル、ポリエーテル、ポリビ
ニルアルコール、またはこれらの共重合体等の各種樹脂
や、各種ワックス、パラフィン、高級脂肪酸(例:ステ
アリン酸)、高級アルコール、高級脂肪酸エステル、高
級脂肪酸アミド等が挙げられ、これらのうちの1種また
は2種以上を混合して用いることができる。
【0037】また、さらに可塑剤が添加されていてもよ
い。この可塑剤としては、例えば、フタル酸エステル
(例:DOP、DEP、DBP)、アジピン酸エステ
ル、トリメリット酸エステル、セバシン酸エステル等が
挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を混合し
て用いることができる。
【0038】脱脂前の成形体中の金属粉末の含有量は、
70〜97wt%程度であるのが好ましく、80〜95wt
%程度であるのがより好ましい。70wt%未満では、成
形体を焼成した際の収縮率が増大し、寸法精度が低下
し、また、焼結体における空孔率や含有C量が増大する
傾向を示す。また、97wt%を超えると、相対的に結合
材の含有量が減るので、成形時における流動性が乏しく
なり、射出成形が不能または困難となるか、あるいは成
形物の組成が不均一となる。
【0039】なお、前記混練に際しては、前記金属粉
末、結合材、可塑剤の他に、例えば、潤滑剤、酸化防止
剤、脱脂促進剤、界面活性剤等の各種添加物を必要に応
じ添加することができる。
【0040】混練条件は、用いる金属粉末の粒径、結合
材、添加剤の組成およびその配合量等の諸条件により異
なるが、その一例を挙げれば、混練温度:20〜200
℃程度、混練時間:20〜210分程度とすることがで
きる。混練物は、必要に応じ、ペレット(小塊)化され
る。ペレットの粒径は、例えば、1〜10mm程度とされ
る。
【0041】次に、前記で得られた混練物または該混練
物より造粒されたペレットを用いて、射出成形機により
射出成形し、所望の形状の成形体を製造する。この場
合、成形金型の選択により、複雑で微細な形状の成形体
をも容易に製造することができる。
【0042】射出成形の成形条件としては、用いる金属
粉末の粒径、結合材の組成およびその配合量等の諸条件
により異なるが、その一例を挙げれば、材料温度が好ま
しくは20〜200℃程度、射出圧力が好ましくは30
〜150kgf/cm2 程度とされる。
【0043】[2]成形体の脱脂 前記工程[1]で得られた成形体に脱脂処理(脱バイン
ダー処理)を施す。
【0044】この脱脂処理としては、非酸化性雰囲気、
例えば真空または減圧状態下(例えば1×10-1〜1×
10-6 Torr )、あるいは窒素ガス、アルゴンガス等の
不活性ガス中で、熱処理を行うことによりなされる。
【0045】この場合、熱処理条件としては、好ましく
は温度100〜750℃程度で0.5〜40時間程度、
より好ましくは温度150〜600℃程度で1〜24時
間程度とされる。
【0046】また、このような熱処理による脱脂は、種
々の目的(例えば脱脂時間の短縮の目的)で、複数の工
程(段階)に分けて行われてもよい。この場合、例え
ば、前半を低温で、後半を高温で脱脂処理するような方
法や、低温と高温を繰り返し行う方法が挙げられる。
【0047】なお、この脱脂処理は、結合材や添加剤中
の特定成分を所定の溶媒(液体、気体)を用いて溶出さ
せることにより行ってもよい。
【0048】[3]成形体の焼結 以上のようにして得られた成形体(脱脂体)を焼結炉で
焼成して焼結し、金属焼結体を製造する。
【0049】この焼結における焼結温度は、好ましくは
1000〜1450℃程度、より好ましくは1100〜
1380℃程度とされる。
【0050】焼結温度は、高いほど焼結時間の短縮にと
って有利であるが、焼結温度が高すぎると、焼結炉や焼
結治具への負担が大きく、消耗等によりその寿命が短く
なる。本発明では、所定量のNを含有する金属粉末を用
いているため、上述した理由から、焼結温度を下げるこ
とができ、有利である。
【0051】なお、焼結温度は、前述した範囲内または
範囲外で、経時的に変動(上昇または下降)してもよ
い。
【0052】焼結時間は、前述したような焼結温度の場
合、好ましくは0.5〜8時間程度、より好ましくは1
〜5時間程度とされる。
【0053】また、焼結雰囲気は、水素を含まない非酸
化性雰囲気とされるのが好ましい。これにより、焼結時
の安全性が向上するとともに、焼結体の空孔率の低減に
寄与する。
【0054】好ましい焼結雰囲気としては、1×10-2
Torr 以下(より好ましくは1×10-2〜1×10-6 T
orr )の減圧(真空)下、または窒素ガス、アルゴンガ
ス等の不活性ガスであるのが好ましい。
【0055】なお、焼結雰囲気は、焼結の途中で変化し
てもよい。例えば、最初に1×10-2〜1×10-6 Tor
r の減圧(真空)下とし、途中で前記のような不活性ガ
スに切り替えることができる。
【0056】以上のような条件で焼結を行うことによ
り、さらなる空孔率の低減、すなわち焼結体の高密度化
に寄与するとともに、高い寸法精度が得られ、また、焼
結の効率が良く、より短い焼結時間で焼結を行うことが
でき、焼結作業の安全性も高く、生産性も向上する。
【0057】なお、本発明において、焼結は、2段階ま
たはそれ以上で行ってもよい。例えば、焼結条件の異な
る第1の焼結と第2の焼結とを行うことができる。この
場合、第2の焼結の焼結温度を、第1の焼結の焼結温度
より高い温度とすることができる。これにより、焼結の
効率がさらに向上し、空孔率の更なる低減を図ることが
できる。
【0058】
【実施例】次に、本発明の金属粉末およびそれを用いた
焼結体の製造方法の具体的実施例について説明する。
【0059】(実施例1)N2 ガスを用いたガスアトマ
イズ法(日新技研社製ガスアトマイズ装置使用)によ
り、平均粒径8μm の含窒素Fe粉末を製造した。この
とき、N2 ガスの流量を調整することにより、金属粉末
中のFeに対するN量を0〜0.6wt%の範囲で変化さ
せた(図1、図2参照)。
【0060】N量の異なる前記各金属粉末について、金
属粉末:94wt%と、ポリスチレン(PS):1.9wt
%、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA):1.8
wt%およびパラフィンワックス:1.5wt%から構成さ
れる結合材と、ジブチルフタレート(可塑剤):0.8
wt%とを混合し、これらを混練機にて115℃×1時間
の条件で混練した。
【0061】次に、この混練物を粉砕、分級して平均粒
径3mmのペレットとし、該ペレットを用い、射出成形機
にて金属粉末射出成形(MIM)し、直径8mm×高さ4
0mmの円柱状の成形体(各20個)を製造した。射出成
形時における成形条件は、金型温度30℃、射出圧力1
10kgf/cm2 であった。
【0062】次に、得られた成形体に対し、脱脂炉を用
い、脱脂処理を行った。脱脂条件は、1×10-3 Torr
の減圧下で、250℃×1時間、続いて400℃まで昇
温し、1時間保持した。
【0063】次に、得られた脱脂体に対し、焼結炉を用
い、焼結を行い、焼結体を得た。焼結条件は、第1の条
件として、Arガス雰囲気中で1250℃×3時間、第
2の条件として、Arガス雰囲気中で1350℃×3時
間とした。
【0064】得られた焼結体を多方向に切断し、それら
の切断端面を目視観察したところ、いずれも、焼結欠陥
等は発見されず、良好な品質の焼結体であった。
【0065】また、得られた焼結体の相対密度(100
−空孔率:単位[%])および引張強さ(単位[N/m
m2])を測定した。用いた金属粉末中のFeに対するN
量と焼結体の相対密度との関係を図1のグラフに示し、
用いた金属粉末中のFeに対するN量と焼結体の引張強
さとの関係を図2のグラフに示す。なお、両グラフ中の
値は、N量が相違する焼結体各20個の平均値を示す。
【0066】図1および図2に示すように、Feに対す
るN量が0.1〜0.5wt%の範囲である金属粉末を用
いた場合、各焼結温度において、焼結体の高密度化が図
れ、機械的強度が向上することが確認された。
【0067】特に、Nを実質的に含まない比較例の純F
e製金属粉末では、相対密度95%を得るのに1350
℃の焼結温度を必要としていたが、本発明では、Feに
対するN量を0.25〜0.4wt%の範囲としたことに
より、1250℃の焼結温度で相対密度95%以上を達
成することが可能となっており、高品質を維持しつつ焼
結温度の低減を図ることができる。
【0068】(実施例2)N2 ガスを用いたガスアトマ
イズ法(日新技研社製ガスアトマイズ装置使用)によ
り、平均粒径10μm の含窒素ステンレス(SUS31
6L/組成:Fe−18wt%Cr−12wt%Ni− 2.5wt%
Mo合金)粉末を製造した。このとき、N2ガスの流量
を調整することにより、金属粉末中のFeに対するN量
を0〜0.6wt%の範囲で変化させた(図3、図4参
照)。
【0069】N量の異なる前記各金属粉末について、金
属粉末:95wt%と、ポリスチレン(PS):1.5wt
%、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA):1.5
wt%およびパラフィンワックス:1.2wt%から構成さ
れる結合材と、ジブチルフタレート(可塑剤):0.8
wt%とを混合し、これらを混練機にて115℃×1時間
の条件で混練した。
【0070】次に、この混練物を粉砕、分級して平均粒
径3mmのペレットとし、該ペレットを用い、射出成形機
にて金属粉末射出成形(MIM)し、直径8mm×高さ4
0mmの円柱状の成形体(各20個)を製造した。射出成
形時における成形条件は、金型温度30℃、射出圧力1
10kgf/cm2 であった。
【0071】次に、得られた成形体に対し、脱脂炉を用
い、脱脂処理を行った。脱脂条件は、1×10-3 Torr
の減圧下で、250℃×1時間、続いて400℃まで昇
温し、1時間保持した。
【0072】次に、得られた脱脂体に対し、焼結炉を用
い、焼結を行い、焼結体を得た。焼結条件は、第1の条
件として、1×10-3 Torr の減圧下で1250℃×3
時間、第2の条件として、1×10-3 Torr の減圧下で
1350℃×3時間とした。
【0073】得られた焼結体を多方向に切断し、それら
の切断端面を目視観察したところ、いずれも、焼結欠陥
等は発見されず、良好な品質の焼結体であった。
【0074】また、得られた焼結体の相対密度(100
−空孔率:単位[%])および引張強さ(単位[N/m
m2])を測定した。用いた金属粉末中のFeに対するN
量と焼結体の相対密度との関係を図3のグラフに示し、
用いた金属粉末中のFeに対するN量と焼結体の引張強
さとの関係を図4のグラフに示す。なお、両グラフ中の
値は、N量が相違する焼結体各20個の平均値を示す。
【0075】図3および図4に示すように、Feに対す
るN量が0.1〜0.5wt%の範囲である金属粉末を用
いた場合、各焼結温度において、焼結体の高密度化が図
れ、機械的強度が向上することが確認された。
【0076】特に、Nを実質的に含まない比較例のSU
S316L製金属粉末では、相対密度97%を得るのに
1350℃の焼結温度を必要としていたが、本発明で
は、Feに対するN量を0.25〜0.43wt%の範囲
としたことにより、1250℃の焼結温度で相対密度9
7%以上を達成することが可能となっており、高品質を
維持しつつ焼結温度の低減を図ることができる。
【0077】(実施例3)N2 ガスを用いたガスアトマ
イズ法(日新技研社製ガスアトマイズ装置使用)によ
り、平均粒径12μm の含窒素Fe−8wt%Ni合金粉
末を製造した。このとき、N2 ガスの流量を調整するこ
とにより、金属粉末中のFeに対するN量を0〜0.6
wt%の範囲で変化させた(図5、図6参照)。
【0078】N量の異なる前記各金属粉末について、金
属粉末:95wt%と、ポリスチレン(PS):1.5wt
%、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA):1.5
wt%およびパラフィンワックス:1.2wt%から構成さ
れる結合材と、ジブチルフタレート(可塑剤):0.8
wt%とを混合し、これらを混練機にて115℃×1時間
の条件で混練した。
【0079】次に、この混練物を粉砕、分級して平均粒
径3mmのペレットとし、該ペレットを用い、射出成形機
にて金属粉末射出成形(MIM)し、直径8mm×高さ4
0mmの円柱状の成形体(各20個)を製造した。射出成
形時における成形条件は、金型温度30℃、射出圧力1
10kgf/cm2 であった。
【0080】次に、得られた成形体に対し、脱脂炉を用
い、脱脂処理を行った。脱脂条件は、1×10-3 Torr
の減圧下で、250℃×1時間、続いて400℃まで昇
温し、1時間保持した。
【0081】次に、得られた脱脂体に対し、焼結炉を用
い、焼結を行い、焼結体を得た。焼結条件は、第1の条
件として、1×10-3 Torr の減圧下で1250℃×3
時間、第2の条件として、1×10-3 Torr の減圧下で
1350℃×3時間とした。
【0082】得られた焼結体を多方向に切断し、それら
の切断端面を目視観察したところ、いずれも、焼結欠陥
等は発見されず、良好な品質の焼結体であった。
【0083】また、得られた焼結体の相対密度(100
−空孔率:単位[%])および引張強さ(単位[N/m
m2])を測定した。用いた金属粉末中のFeに対するN
量と焼結体の相対密度との関係を図5のグラフに示し、
用いた金属粉末中のFeに対するN量と焼結体の引張強
さとの関係を図6のグラフに示す。なお、両グラフ中の
値は、N量が相違する焼結体各20個の平均値を示す。
【0084】図5および図6に示すように、Feに対す
るN量が0.1〜0.5wt%の範囲である金属粉末を用
いた場合、各焼結温度において、焼結体の高密度化が図
れ、機械的強度が向上することが確認された。
【0085】特に、Nを実質的に含まない比較例のFe
−8wt%Ni合金製金属粉末では、相対密度96%を得
るのに1350℃の焼結温度を必要としていたが、本発
明では、Feに対するN量を0.25〜0.43wt%の
範囲としたことにより、1250℃の焼結温度で相対密
度96%以上を達成することが可能となっており、高品
質を維持しつつ焼結温度の低減を図ることができる。
【0086】
【発明の効果】以上述べたように、本発明によれば、品
質が良好で寸法精度の高い焼結体を得ることができる。
【0087】特に、焼結体の焼結密度を高めることがで
き、その機械的強度の向上が図れる。
【0088】また、高品質を維持しつつ焼結温度を低く
することができるので、焼結炉や焼結治具への負担を軽
減することができる。
【0089】また、金属粉末の製造も容易であり、生産
性も高い。
【図面の簡単な説明】
【図1】金属粉末中のFeに対するN量と焼結体の相対
密度との関係を示すグラフである。
【図2】金属粉末中のFeに対するN量と焼結体の引張
強さとの関係を示すグラフである。
【図3】金属粉末中のFeに対するN量と焼結体の相対
密度との関係を示すグラフである。
【図4】金属粉末中のFeに対するN量と焼結体の引張
強さとの関係を示すグラフである。
【図5】金属粉末中のFeに対するN量と焼結体の相対
密度との関係を示すグラフである。
【図6】金属粉末中のFeに対するN量と焼結体の引張
強さとの関係を示すグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 中山 英光 長野県諏訪市湖岸通り一丁目18番12号 株 式会社インジェックス内

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 金属粉末射出成形に用いられる金属粉末
    であって、 主成分がFeまたはFe系合金で構成され、 N(窒素)がFeに対する重量比で0.1〜0.5wt%
    含まれていることを特徴とする金属粉末。
  2. 【請求項2】 金属粉末射出成形に用いられる金属粉末
    であって、 主成分がステンレス鋼で構成され、 N(窒素)がFeに対する重量比で0.1〜0.5wt%
    含まれていることを特徴とする金属粉末。
  3. 【請求項3】 Feを40wt%以上含有する請求項1ま
    たは2に記載の金属粉末。
  4. 【請求項4】 前記Nは、Feと固溶した状態で存在し
    ている請求項1ないし3のいずれかに記載の金属粉末。
  5. 【請求項5】 平均粒径が50μm 以下である請求項1
    ないし4のいずれかに記載の金属粉末。
  6. 【請求項6】 ガスアトマイズ法または水アトマイズ法
    により製造されたものである請求項1ないし5のいずれ
    かに記載の金属粉末。
  7. 【請求項7】 N2 ガスを用いたガスアトマイズ法によ
    り製造されたものである請求項1ないし5のいずれかに
    記載の金属粉末。
  8. 【請求項8】 請求項1ないし7のいずれかに記載の金
    属粉末を用いて金属粉末射出成形法により成形体を製造
    し、該成形体を焼結して焼結体を得ることを特徴とする
    焼結体の製造方法。
  9. 【請求項9】 前記成形体中の前記金属粉末の含有量が
    70〜97wt%である請求項8に記載の焼結体の製造方
    法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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