JPH11173308A - クッション装置付き油圧シリンダ - Google Patents

クッション装置付き油圧シリンダ

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JPH11173308A
JPH11173308A JP36164297A JP36164297A JPH11173308A JP H11173308 A JPH11173308 A JP H11173308A JP 36164297 A JP36164297 A JP 36164297A JP 36164297 A JP36164297 A JP 36164297A JP H11173308 A JPH11173308 A JP H11173308A
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JP
Japan
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cushion
piston rod
piston
ring
cylinder
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Application number
JP36164297A
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English (en)
Inventor
Tomohiko Yasuoka
友彦 安岡
Akinori Ro
明徳 盧
Mitsuhiro Yoshimoto
光宏 吉本
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Hitachi Construction Machinery Co Ltd
Original Assignee
Hitachi Construction Machinery Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 ピストンロッドを必要以上に太径化したり、
また格別大掛かりな熱処理を行うことなく、クッション
装置を設けるために必要な段差の部位における強度を高
くして、ピストンロッドの耐久性を良好に保てるように
する。 【構成】 ピストンロッド3にクッション装置を構成す
るクッションリング11を装着するために形成されるリ
ング装着部3bとロッド本体3aとの間に段差D2 を設
けるが、この段差D2 における垂直壁Vからリング装着
部3bの外周面Rへの移行部を凹状に湾曲した形状の曲
面部Cを形成して、応力の分散を図るようにした上で、
この曲面部Cから垂直壁Vにかけての部位を全周にわた
って部分焼き入れを行うことにより部分焼き入れ層Hを
形成することにより局部的に強度の向上を図る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、油圧アクチュエー
タ等として用いられる油圧シリンダに、その伸長側に変
位した時に緩衝作用を発揮するクッション装置を備えた
クッション装置付き油圧シリンダに関するものである。
【0002】
【従来の技術】油圧アクチュエータとして用いられる油
圧シリンダは、ピストンロッドに連結して設けたピスト
ンをシリンダ内で摺動させるように構成されており、シ
リンダの内部はピストンによりロッド室とボトム室とに
区画形成されている。ピストンロッドの先端部と、シリ
ンダの端部とをそれぞれ所定の部材間に枢着して設けら
れる。ボトム室側に圧油を供給し、ロッド室側をタンク
に連通させると、ピストンロッドが伸長することにな
り、また逆にロッド室側に圧油を供給して、ボトム室側
をタンクに接続すると、ピストンロッドが縮小する。油
圧シリンダにおけるピストンロッドとシリンダとの間に
大きな荷重が作用している状態で、伸長または縮小方向
に作動させると、そのストロークエンドで大きな衝撃が
加わる。
【0003】以上のことから、大きな負荷が作用する油
圧シリンダには、そのピストンロッドのストロークエン
ド近傍での衝撃を緩和するためのクッション装置が設け
られる。クッション装置は、シリンダにおけるロッド室
なりボトム室なりからの作動油の排出流路を絞ることに
よって、これらの室内に背圧を立たせるのが一般的であ
る。例えば、ピストンロッドの伸長側で作動するクッシ
ョン装置は、ピストンロッドに所定の外径を有するクッ
ションリングを嵌合させて設け、またロッド室には作動
油流通路に通じるクッション流路を形成して、ストロー
クエンド近傍でクッション部材をクッション流路内に嵌
入させるようになし、このクッション部材がクッション
流路内に進入するのに応じて流路を絞ることによりロッ
ド室内に背圧を発生させることができる。
【0004】より円滑なクッション作用を発揮させて、
滑らかに停止させるには、クッションストロークを所定
の長さに設定すると共に、クッション部材の外径とクッ
ション流路の孔径との径差をできるだけ小さくして、流
路断面積をできるだけ小さくしなければならない。この
ように、クッション部材とクッション流路との径差を小
さくすると、加工誤差や組み付け誤差等により、クッシ
ョン部材の軸芯がクッション流路の軸芯に対して僅かに
ずれていただけでも、金属接触によるカジリ,フィレッ
ティングが生じて、摩耗粉等が発生し、甚だしい場合に
はクッション部材等を損傷させる等のおそれがある。従
って、クッション部材の外径とクッション流路の内径と
の径差を小さくするのには限界がある。また、この径差
をあまり小さくしすぎると、ピストンロッドの伸長時
に、作動油流通路からシリンダのボトム室への圧油の供
給時の流路断面積も小さくなるから、クッション部材が
クッション流路から抜け出るまでは、ボトム室内への圧
油の供給が円滑に行われず、その間はピストンの移動速
度が低下するだけでなく、クッション部材がクッション
流路から抜け出る時に騒音が生じることにもなる。
【0005】以上の点を考慮して、クッション機能を発
揮する方向において、流路断面積を極めて小さくして
も、クッション部材がクッション流路と金属接触せず、
かつクッション部材がクッション流路から抜け出す方向
においては、流路断面積を増大させるようにしたクッシ
ョン装置は従来から知られている。
【0006】公知のクッション装置の一例を図2及び図
3に基づいて説明する。まず、図2において、1はシリ
ンダ、2はピストン、3はピストンロッドである。シリ
ンダ1は円筒形をしたシリンダチューブ1aを有し、こ
のシリンダチューブ1aの一端には、キャップ1bが連
結・固着されており、他端側にはロッド導出部1cが固
着して設けられている。ピストン2はピストンロッド3
の一端側の部位に固定されている。ピストンロッド3
は、図3から明らかなように、ロッド本体3aの先端側
にリング装着部3b,ピストン装着部3cの順に小径化
された2段の段差d1 ,d2 を持つ形状となっている。
まず、最も小径のピストン装着部3cにはピストン2が
嵌合されると共にナット4が締着されるようになってお
り、このナット4の締め付け力によりピストン2をピス
トン装着部3cとリング装着部3bとの間の段差d1
押し付けるようにして固定される。従って、ピストン2
はナット4の締め付け力により常にこの段差d1 に圧接
されている。そして、このピストン2によって、シリン
ダ1内がボトム室5とロッド室6とに区画形成される。
そして、これらボトム室5及びロッド室6にはそれぞれ
作動油流通路7,8が設けられている。
【0007】ボトム室5に通じる作動油流通路7に圧油
を供給し、ロッド室6に通じる作動油流通路8をタンク
に接続すると、ピストン2がロッド導出部1c側に摺動
変位してピストンロッド3が伸長する。また、作動油流
通路8に圧油を供給し、作動油流通路7をタンクに接続
すると、ピストン2がキャップ1b側に摺動変位してピ
ストンロッド3が縮小する。従って、シリンダ1におけ
るキャップ1bに設けた取付部9と、ピストンロッド3
の先端に設けた取付部10とを、例えばそれぞれ固定側
部材と可動側部材との間に枢着すると、可動側部材を駆
動できるようになる。
【0008】そこで、以下にピストンロッド3の伸長方
向のストロークエンド近傍でクッション作用を発揮する
クッション装置について説明する。なお、ピストンロッ
ド3の縮小方向にも同様のクッション装置が設けられる
が、その図示は省略する。ピストンロッド3の中間径と
なったリング装着部3bは、クッションリング11を装
着するためのものである。クッションリング11は、そ
の内径がリング装着部3bの外径より所定の寸法だけ大
きく、かつ軸線方向の長さはリング装着部3bより所定
の寸法だけ短いものとなっている。これによって、クッ
ションリング11とリング装着部3bとの間には円環状
の隙間が形成され、またクッションリング11はピスト
ン2の端面に当接する状態と、リング装着部3bとロッ
ド本体部3cとの間の段差d2 に当接する状態となるよ
うに、制限された範囲で移動可能となっている。
【0009】一方、シリンダ1におけるロッド導出部1
cには作動油流通路8に通じるクッション流路12が形
成されている。ここで、クッション流路12は、ロッド
導出部1cの内壁面12aで囲まれたシリンダチューブ
1aの内径より小さい円形の通路からなり、ピストンロ
ッド3が伸長して、クッションリング11がこのクッシ
ョン流路12内に入り込むと、このクッション流路12
を介して流出するロッド室6側の戻り油の流路が絞られ
ることになり、その結果ロッド室6内に背圧が生じるこ
とになり、この背圧によってピストンロッド3の伸長方
向におけるクッション作用を発揮する。
【0010】クッションリング11は、クッション流路
12とロッド室6との差圧に基づいて移動するものであ
り、ロッド室6内が高圧になるとクッションリング11
は段差d2 に当接し、逆にクッション流路12側に高圧
が作用すると、クッションリング11はピストン2の端
面に当接する。クッションリング11の内面とピストン
ロッド3におけるリング装着部3bの外面との間に円環
状の隙間が形成されるが、この円環状隙間を一方向流路
として機能させる。即ち、クッションリング11が段差
2 に当接している際(ピストンロッド3の伸長ストロ
ークエンド近傍に至った時)にはこの円環状隙間を流路
として機能させず、クッションリング11がピストン2
に当接している際(ピストンロッド3の縮小ストローク
開始時)にはこの円環状隙間をクッション流路12側か
らロッド室6側に作動油を流す流路としての機能を発揮
させる。このように、円環状隙間を一方向流路として機
能させるために、クッションリング11のピストン2に
対面する側の端面には複数の溝13を厚み方向に貫通す
る状態に形成している。そして、この複数の溝13によ
る合計の流路断面積は、円環状隙間による流路断面積と
ほぼ等しくする。さらに、クッションリング11がクッ
ション流路12内に進入する際に、円滑かつ確実にクッ
ション流路12に入り込むようにするために、このクッ
ションリング11の段差d2 に対面する側の外周縁部に
は呼び込みテーパ部11aが形成されている。
【0011】従って、ピストンロッド3が縮小状態にあ
る時において、作動油流通路7を油圧ポンプ等の油圧源
に接続し、作動油流通路8をタンクに接続すると、ボト
ム室5が高圧になり、ロッド室6が低圧になるから、ピ
ストンロッド3が伸長する。この時に、ピストンロッド
3に伸長方向に大きな負荷が作用していると、ボトム室
5とロッド室6との間の差圧が極めて大きくなり、ピス
トンロッド3が急速に変位する。しかしながら、ストロ
ークエンド近傍に至ると、クッションリング11がクッ
ション流路12内に進入してクッション行程に入り、戻
り油の流路が絞られる。この結果、ロッド室6側に背圧
が発生するから、ピストン2の両面に作用するボトム室
5の圧力とロッド室6側の圧力との差が減少して動きが
減速される。この時には、ロッド室6内は作動油流通路
8より圧力が高くなるから、この圧力の作用でクッショ
ンリング11が段差d2 に圧接されて一方向流路が閉鎖
される結果、戻り油はクッションリング11とクッショ
ン流路12との間の隙間からしか流れないので、ロッド
室6側がさらに高圧になり、しかもクッションリング1
1のクッション流路12内への進入度合いに応じて絞り
流路の長さが長くなるから、ストロークエンドに近づく
と、ロッド室6内の背圧がさらに増大して、ストローク
エンドで円滑に停止することになり、衝撃が著しく緩和
される。
【0012】クッションリング11はピストンロッド3
のリング挿嵌部3bに遊嵌されていることから、このク
ッションリング11がクッション流路12内に入り込む
と、ピストンロッド3全体またはそのリング挿嵌部3b
とは無関係に、クッション流路12側に倣うようにな
る。従って、クッションリング11の外径寸法とクッシ
ョン流路12を構成する内内壁面12aの内径との寸法
差を極僅かなものとし、絞り流路の流路断面積を極めて
小さくし、より大きなクッション作用を発揮するように
しても、クッションリング11は内内壁面12aと金属
接触してカジリやフレッティング等が発生するおそれは
なく、その間が損傷したり、また摩耗粉が発生したりす
るおそれはない。
【0013】一方、ピストンロッド3をそのストローク
エンドから縮小させるために、作動油流通路8に圧油を
供給すると、この作動油通路8からの圧力の作用でクッ
ションリング11が押動されて、段差壁13から離間し
てピストン2に当接する。この結果、クッションリング
11の外面側の流路に加えて、クッションリング11と
ピストン2との間に溝13を含む一方向流路が形成され
るから、流路断面積が増大してピストンロッド3は円滑
かつ迅速に伸長し、クッションリング11がクッション
流路12から抜け出す際の騒音もなくなる。
【0014】以上のようなストロークエンドにおけるク
ッション作用は、油圧シリンダに対して大きな負荷が作
用する場合に、そのストロークエンドでの衝撃を緩和す
るために必要となる。油圧シリンダをアクチュエータと
して、しかも極めて大きな負荷が作用する過酷な条件下
で用いられるものの一例として、例えば図4に示した油
圧ショベルのフロント作業機構がある。同図において、
20は下部走行体、21は上部旋回体であって、上部旋
回体21には土砂の掘削等の作業を行うフロント作業機
構22が装着されている。フロント作業機構22は、上
部旋回体21に俯仰動作可能に連結したブーム23と、
このブーム23の先端に軸24を中心として上下方向に
回動可能に連結したアーム25と、このアーム25の先
端に軸26を介して連結され、この軸26の軸回りに回
動可能なバケット27を有する。これらフロント作業機
構22を構成するブーム23,アーム25及びバケット
27は、それぞれブームシリンダ23a,アームシリン
ダ25a及びバケットシリンダ27aにより駆動され
る。また、バケットシリンダ27aのバケット27への
連結はリンク機構28を介して行われる。
【0015】これら各シリンダ23a,25a,27a
に作用する負荷の大きさとしては、ブームシリンダ23
aが最大で、次いでアームシリンダ25aに作用する負
荷が大きい。また、バケットシリンダ27aは、負荷自
体としては、これらブームシリンダ23aやアームシリ
ンダ25aと比較して小さいものである。ただし、ブー
ムシリンダ23a及びアームシリンダ25aは土砂の掘
削動作に邪魔にならない部位に装着されているから、あ
る程度大型の油圧シリンダを用いることができるが、バ
ケットシリンダ27aは、掘削時に土砂等に衝当する可
能性がある等から、ブームシリンダ23aやアームシリ
ンダ25aと比較すると、外径寸法が制約されることに
なり、小型の油圧シリンダを用いなければならない。い
ずれにしろ、土砂の掘削等の作業を行う際には、フロン
ト作業機構22の駆動用の油圧アクチュエータとしての
各シリンダ23a,25a,27aは極めて大きな負荷
が作用している状態で、繰り返し頻繁に伸長させたり、
縮小させたりすることになる。これらの油圧シリンダに
おけるピストンロッドは直接負荷が作用するものであ
り、またシリンダに対して摺動するものであることか
ら、その強度等は作用する負荷の大きさや性質等に応じ
て適宜設定される。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】ところで、油圧ショベ
ルのフロント作業機構を駆動するための油圧シリンダ等
のように、極めて高い負荷が作用する状態で頻繁に伸縮
するように作動する油圧シリンダにあっては、ピストン
ロッド3に対して引っ張り方向及び圧縮方向に大きな荷
重が繰り返し作用することになる。この結果、ピストン
ロッド3はこの繰り返し作用する荷重により損傷するお
それがある。とりわけ、ピストンロッド3にはクッショ
ンリング11を装着するために、段差d2 が設けられて
いることから、この段差d2 に応力が集中する結果とな
り、この部位における損傷が激しく、甚だしい場合には
折損に至るという問題点がある。
【0017】従って、ピストンロッド3の強度を向上さ
せる必要がある。このための方策として、ピストンロッ
ド3を太径化することが考えられる。ただし、ピストン
ロッド3にはピストン2が連結されており、このピスト
ン2は所定の受圧面積を持たせなければならないことか
ら、ピストンロッド3を太径化すると、ピストン2も大
径化させなければならず、従って油圧シリンダの全体構
成が大型化すると共に重量化してしまう。しかも、前述
したバケットシリンダ27aのように、設置スペースに
制約がある場合には、外径の大きな大型化の油圧シリン
ダを用いることはできない。
【0018】以上のように、ピストンロッド3を太径化
させて、その強度の向上を図るのは必ずしも得策ではな
い。また、ピストンロッド3の強度の向上を図るための
他の方策として、焼き入れ等の熱処理により強度の向上
を図ることが考えられる。しかしながら、油圧シリンダ
のストロークが長い場合には、ピストンロッド3の全長
もそれだけ長くなる。従って、このような長尺のピスト
ンロッド3を焼き入れ処理を行うと、極めて高価なもの
となってしまうという欠点がある。従って、油圧シリン
ダにクッションリングを用いたクッション装置を設ける
と、衝撃の低減による低騒音化、振動の抑制等といった
極めて有利な点があるにも拘らず、実際に油圧シリンダ
にクッション装置を設ける上で、ピストンロッドの強度
の観点等から大きな制約があるのが現状である。
【0019】以上のような従来技術の課題を解決するた
めに、本発明者等は、油圧シリンダにクッション装置を
設けるに当って、ピストンロッドに作用する荷重につい
て鋭意研究を行ったところ、以下に示したような知見を
得ることにより、発明を完成するに至った。而して、本
発明の目的とするところは、ピストンロッドを必要以上
に太径化したり、また格別大掛かりな熱処理を行うこと
なく、クッション装置を設けるために必要な段差の部位
を部分的に強度を向上させて、ピストンロッドの耐久性
を良好に保てるようにすることにある。
【0020】まず、図5に示したように、ピストンロッ
ド3に大きな慣性負荷Fが作用している状態において、
ピストンロッド3を伸長させるためにボトム室5に負荷
Fに打ち勝つだけの圧力を作用させると、この圧力がピ
ストン2の受圧面2aに対して矢印方向に作用すること
になり、この結果、ピストンロッド3には軸線方向に圧
縮される方向の荷重が作用する。逆に、伸長しているピ
ストンロッド3を縮小させる際にはロッド室6内に圧力
を作用させるが、この結果、ピストン2のロッド室6側
の受圧面2bに負荷Fに打ち勝つだけの圧力が矢印方向
に作用するから、ピストンロッド3には引っ張り方向の
荷重が作用する。
【0021】ここで、ピストンロッド3が全長にわたっ
て均一な直径となっておれば、その強度の点であまり大
きな問題とはならないが、ピストンロッド3にはピスト
ン2とクッションリング11とを装着するために、2つ
の段差d1 ,d2 が形成されている。このために、これ
ら段差d1 ,d2 の部位に圧縮荷重及び引っ張り荷重に
基づく集中応力が発生する。ここで、慣性負荷Fがピス
トンロッド3に作用している状態で、油圧シリンダが伸
長したり、縮小したりすると、ピストン装着部3cから
リング嵌合部3bへの段差d1 とリング嵌合部3bから
ロッド本体3aへの段差d2 とには、それぞれ図6に示
した応力が作用することになる。同図において、点線は
段差d1 での集中応力を示し、また段差d2 における集
中応力を実線で示す。
【0022】ここで、ピストン2は段差d1 とナット4
との間に挾持されており、強力な締め付け力によりピス
トン2は段差d1 に圧接されている。従って、段差d1
に作用する荷重としては、この圧接力の分だけ初期的に
引っ張り力が作用した状態となっており、この部位での
荷重値そのものは高いが、油圧シリンダの作動時におけ
る油圧による応力の変動幅は比較的小さい。これに対し
て、クッションリング11に一方向流路を形成できるよ
うに構成したことによって、段差d2 の部位には格別の
外力が作用していないから、油圧シリンダの作動時に作
用する油圧による圧縮荷重及び引っ張り荷重により、こ
の段差d2 の部位に作用する圧縮時の応力と、引っ張り
時の応力との変動幅は大きくなり、しかも慣性負荷が大
きければ大きいほど、応力の変動幅は極めて大きくな
る。
【0023】また、ピストンロッド3における段差d2
の部位に作用するのは、圧縮応力と引っ張り応力だけで
ない。ピストンロッド3を圧縮させる方向に負荷が作用
する際に、通常は、このピストンロッド3には軸線方向
にのみ力が作用するのではなく曲げ方向にも力が働くこ
とになる。ここで、ピストンロッド3の先端はピストン
2に連結されているから、ピストンロッド3に作用する
曲げ力の支点位置はこのピストン2への連結部である。
そしてこのピストンロッド3に大きな負荷で圧縮される
際に曲げ方向の荷重が作用した時に、、ピストンロッド
3に段差があると、この段差部分に応力が集中して、こ
の段差部分で折れ曲げられようとする。ただし、段差が
支点となるピストンの位置乃至その近傍に存在している
場合には、当該の段差は曲げに対する強度は比較的強い
が、支点位置から遠ざかれば遠ざかる程、曲げに対する
強度は低下する。以上のことから、ピストンロッド3に
は2段の段差があるが、最も脆弱なのは段差d2 の部位
である。
【0024】そして、段差d1 はピストン2を固定する
ためのものであるのに対して、段差d2 はクッション作
用を発揮させるためのものである。従って、ピストン2
から段差d2 までの距離はクッションストロークに依存
する。ストロークエンドで衝撃がなく、円滑に停止させ
るためには、クッションストロークをある程度は長くす
る必要がある。そうすると、ピストン2から段差d2
での距離が長くなって、曲げ力が作用した時における強
度が著しく低下してしまう。また、段差d2 をピストン
2に近づけると、クッション機能が低下することにな
る。
【0025】以上のように、油圧シリンダに大きな負荷
が作用している状態で伸長させたり、縮小させたりする
動作を繰り返し頻繁に行うと、圧縮及び引っ張り荷重と
曲げ荷重との複合的な荷重の作用によって、油圧シリン
ダのピストンロッド3に2段設けた段差d1 ,d2 のう
ちの段差d2 の部位で金属疲労を起こして、その表面に
亀裂が発生する。そして、このような亀裂が生じたまま
作動を継続すると、やがてはその部分で折損してしまう
という事態が発生する。
【0026】以上のことから、クッション装置を構成す
るクッションリングを装着するために設けた段差の部位
における表面の強度を部分的に高くすれば、ピストンロ
ッドを太径化させたり、また全体に焼き入れを行ったり
して、油圧シリンダを構成するピストンロッドに必要以
上の強度を持たせなくても良いということになる。
【0027】
【課題を解決するための手段】従って、本発明において
採用した構成の特徴としては、シリンダ内にピストンロ
ッドに連結したピストンを摺動可能に装着してなり、こ
のピストンの伸長側のストローク端近傍でクッション作
用を発揮させるために、前記シリンダにクッション流路
を形成し、また前記ピストンロッドの途中位置に段差を
設けることにより小径のリング挿嵌部を形成して、この
リング挿嵌部にクッションリングを遊嵌状態に装着し、
このクッションリングには前記ピストンと当接した時
に、このクッションリングの内面からシリンダ内に通じ
る流路を形成したものであって、このピストンロッドに
は、段差を形成する部位にその全周にわたって部分焼き
入れ層を形成する構成としたことにある。
【0028】ここで、ピストンロッドにおける段差は垂
直壁を有するが、この垂直壁から小径側の外周面への移
行部に凹状に湾曲する曲面面を形成し、部分焼き入れ層
をこの曲面部から垂直壁にかけての部位に設けるのが、
強度向上の観点からさらに好ましい。
【0029】
【発明の実施の形態】そこで、以下に図1に基づいて本
発明の実施の一形態について説明する。油圧シリンダ及
びこの油圧シリンダに装着されるクッション装置の全体
構成としては、前述した従来技術のものと格別の差はな
いので、同一または均等な構成要素については、それと
同一の符号を付して、その説明は省略するものとする。
【0030】まず、ピストンロッド3において、クッシ
ョンリング11が装着されるリング装着部3bとロッド
本体3aとの間に形成される段差D2 を、その形状の変
化を緩和するために、垂直壁Vからリング装着部3bの
外周面Rへの移行部を直角に形成するのではなく凹状に
湾曲した形状の曲面部Cを形成している。これによっ
て、この部分に急激な変化点を生じさせず、ある程度の
応力の分散が図られることになる。ここで、垂直面Vは
クッションリング11が当接して、一方向流路を閉鎖さ
せるものであるから、垂直面Vはクッションリング11
の端面が確実に当接できるようにするために、ある程度
の幅を有しており、かつこの幅分の面精度は極めて高く
している。
【0031】しかも、この段差D2 の部位には全周にわ
たって部分焼き入れを行うことにより部分焼き入れ層H
を形成する。ここで、焼き入れは、基本的には、最も応
力が集中する部位である曲面部Cに対して行うが、垂直
壁Vの部位にはクッションリング11が圧接されること
から、この垂直壁Vの強度を向上するために、この垂直
壁Vの部位も部分焼き入れ層Hに含ませる。
【0032】既に説明したように、大きな負荷が作用し
ている状態で油圧シリンダを作動させると、ピストンロ
ッド3には、圧縮,引っ張り,曲げの各荷重が作用する
ことになり段差D2 の部位に応力が集中する。しかも、
繰り返し頻繁に圧縮と引っ張りとの交互作用による金属
疲労が生じる。従って、この箇所に焼き入れを行うこと
によって、表面の強度が向上することになり、金属疲労
による表面亀裂の発生を抑制できる。また、クッション
リング11によるクッション作用を遺憾なく発揮させる
には、段差D2 の位置は、ピストンロッド3のピストン
2への連結部からかなりの距離を持たせる必要がある。
このために、段差D2 には大きな曲げ力が作用するが、
焼き入れによる強度向上により、座屈のおそれがない。
【0033】また、段差D2 における垂直壁Vには、ク
ッションリング11が当接するが、クッション行程にお
いて、クッション流路12に連なる作動油流路8とシリ
ンダ1におけるロッド室6との差圧が最大になると、ク
ッションリング11は極めて強力に垂直壁Vに押し付け
られる。しかも、クッションリング11のこの垂直壁V
に押し付けられる面は呼び込み用のテーパ部11aが形
成されているために、幅が狭くなっている。また、ピス
トンロッド3の縮小時において、クッションリング11
のクッション流路12からの抜け出しをより円滑にする
には、一方向流路の流路面積を大きくするために、クッ
ションリング11の内径をできるだけ大きくする必要が
あり、そうするとクッションリング11の垂直壁Vへの
当接面の面積が著しく制約されることになる。従って、
単位面積当りの面圧が高くなるが、垂直壁Vも部分焼き
入れが行われているから、クッションリング11の押し
付けによる変形や損傷等が生じるおそれはない。この結
果、一方向流路の流路面積を大きくできるようになるか
ら、クッションリング11のクッション流路12からの
抜け出しをより円滑に行える。
【0034】このように、クッションリング11を有す
るクッション装置を油圧シリンダに装着するに当って、
ピストンロッド3に段差D2 を設けたことによる強度低
下を、焼き入れによりより補強しているが、焼き入れ層
Hはピストンロッド3の全長のうちの一部分にだけ設け
られている。従って、ピストンロッド3の長さは焼き入
れ処理を行う範囲に全く影響を及ぼさず、油圧シリンダ
のストロークを長くするためにピストンロッド3の全長
が極めて長くなったとしても、焼き入れを行う範囲は変
わらない。この結果、部分焼き入れ処理によるコストア
ップは最小限に抑制できる。
【0035】以上のように、部分焼き入れを行うことに
よって、ピストンロッド3を太径化させることなく、そ
のピストン2への連結部からある程度離れた位置に段差
2によるリング装着部3bを形成して、所望のクッシ
ョン特性を発揮するクッションリング11を装着できる
ことから、油圧ショベルにおいては、直径が制約される
バケットシリンダ27aにクッション装置を装着するこ
とも可能になる。バケットシリンダ27aはバケット2
7による掘削時に地面に食い込ませるために、極めて強
力な駆動力が必要となり、土砂をすくい上げる瞬間に
は、急激に負荷が解消されるから、短いサイクルで大き
な圧縮荷重と引っ張り荷重とがピストンロッドに作用す
る。また、地面の締め固めを行う際には、バケット27
により繰り返し頻繁に衝撃的な荷重を作用させる。従っ
て、バケットシリンダ27aにおけるピストンロッドに
は強い圧縮及び引っ張り方向の力が極めて頻繁に作用
し、また同時に曲げ方向にも極めて大きな力が作用す
る。それにも拘らず、バケットシリンダ27aの直径に
は制約があるために、そのピストンロッドを太径化して
強度を向上させることはできない。このために、従来は
バケットシリンダ27aにはクッション装置を装着でき
ないとされていた。しかしながら、部分焼き入れを行っ
て、段差部分の強度を向上できることから、バケットシ
リンダ27aにもクッション装置を装着することができ
るようになり、油圧ショベルの作動時における低騒音
化、振動の抑制等に資するところは極めて大きい。
【0036】
【発明の効果】以上説明したように、本発明は、クッシ
ョンリングを装着するために設けられるピストンロッド
の段差の箇所に部分焼き入れを行うことによって、その
部位の強度を向上させるようにしているから、ピストン
ロッドを必要以上に太径化したり、また格別大掛かりな
熱処理を行うことなく、この段差の強度が増してピスト
ンロッドの耐久性を良好に保つことができる等の効果奏
する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示すピストンロッドの要部
断面図である。
【図2】油圧シリンダの全体構成を示す断面図である。
【図3】従来技術によるクッション装置を備えた油圧シ
リンダの要部断面図である。
【図4】クッション装置付き油圧シリンダが用いられる
機械の一例としての油圧ショベルの全体構成図である。
【図5】ピストンロッドに作用する力を示す説明図であ
る。
【図6】ピストンロッドに形成される2つの段差に作用
する応力線図である。
【符号の説明】
1 シリンダ 2 ピスト
ン 3 ピストンロッド 4 ボトム
室 5 ロッド室 7,8 作
動油流路 11 クッションリング 12 クッ
ション流路 H 部分焼き入れ層 C 曲面部 R 水平面 V 垂直壁

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 シリンダ内にピストンロッドに連結した
    ピストンを摺動可能に装着してなり、このピストンの伸
    長側のストローク端近傍でクッション作用を発揮させる
    ために、前記シリンダにクッション流路を形成し、また
    前記ピストンロッドの途中位置に段差を設けることによ
    り小径のリング挿嵌部を形成して、このリング挿嵌部に
    クッションリングを遊嵌状態に装着し、このクッション
    リングには前記ピストンと当接した時に、このクッショ
    ンリングの内面からシリンダ内に通じる流路を形成した
    ものにおいて、前記ピストンロッドには、前記段差を形
    成する部位にその全周にわたって部分焼き入れ層を形成
    する構成としたことを特徴とするクッション装置付き油
    圧シリンダ。
  2. 【請求項2】 前記ピストンロッドの段差により形成さ
    れる垂直壁から小径側の外周面への移行部に凹状に湾曲
    する曲面面を形成し、前記部分焼き入れ層は、この曲面
    部から垂直壁にかけての部位に形成されていることを特
    徴とする請求項1記載のクッション装置付き油圧シリン
    ダ。
JP36164297A 1997-12-11 1997-12-11 クッション装置付き油圧シリンダ Pending JPH11173308A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2018180555A1 (ja) * 2017-03-31 2018-10-04 住友重機械工業株式会社 ショベル

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