JPH11172407A - 溶線式ガスフレーム溶射方法及び溶線式ガスフレーム溶射用トーチ - Google Patents

溶線式ガスフレーム溶射方法及び溶線式ガスフレーム溶射用トーチ

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JPH11172407A
JPH11172407A JP9334045A JP33404597A JPH11172407A JP H11172407 A JPH11172407 A JP H11172407A JP 9334045 A JP9334045 A JP 9334045A JP 33404597 A JP33404597 A JP 33404597A JP H11172407 A JPH11172407 A JP H11172407A
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wire
gas
frame
sprayed
spraying
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JP9334045A
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Ryoji Miki
良治 三木
Mitsunori Shobu
光徳 菖蒲
Masahiko Saito
昌彦 斉藤
Tadahiko Suzuki
忠彦 鈴木
Eiji Matsuura
英次 松浦
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NIPPON UERUDEINGROTTO KK
Kurimoto Ltd
Original Assignee
NIPPON UERUDEINGROTTO KK
Kurimoto Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 小口径管の凹凸のある内周面上に簡単且つ確
実に溶射皮膜を形成することができるようにする。 【解決手段】 燃料ガスと酸化剤との混合ガスを燃焼さ
せて形成したフレームFの周囲に圧縮空気流Aを流す。
フレームFに向かって溶射線材17を供給してフレーム
の熱で溶射線材17を溶融して溶滴とする。この溶滴を
圧縮空気流Aにより微細化しながら加速して小口径管2
0の内周の段部21上に吹き付けて段部21の表面に溶
射皮膜を形成する。溶射角度θを90度または90度に
近い角度とし、圧縮空気流Aの外側からフレームFに向
かって溶射線材17を連続供給する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ワイヤ状の溶射材
料即ち溶射線材を用いて被溶射物の表面に溶射皮膜を形
成する溶線式ガスフレーム溶射方法及び該方法に用いる
溶線式ガスフレーム溶射用トーチに関するものである。
【0002】
【従来の技術】金属製の管等の腐食を防止する目的で、
亜鉛,アルミニウム,銅合金,13クロムステンレス鋼
等の耐腐食性に優れた金属で金属製の管等の表面に溶射
皮膜を形成することが従来から行われている。管の外面
に溶射皮膜を形成する場合には、溶射用トーチの角度を
任意に変えることができるため、特に問題はない。しか
しながら、例えば内径が300mmの水道管のような小
口径管の内面に溶射皮膜を形成する場合には、小口径管
の内部に溶接用トーチを挿入して溶射作業をしなければ
ならない。このような小口径管の内部に挿入できて、し
かも内面に溶射皮膜を形成できる溶射ガンとしては、国
外のスルーザーメテコ社が製造販売する溶線式ガスフレ
ーム溶射ガンのシリーズの中に、エクステンションガン
と呼ばれる溶射ガンがある。このエクステンションガン
は、溶線式ガスフレーム溶射ガンの先端に溶射角度(被
溶射物の表面とフレームの中心線との間の角度)を45
〜60度にするための延長ノズルを装備したものであ
る。このようなエクステンションガンであれば、溶射角
度が45〜60度あるため、小口径管の内面に延長ノズ
ルの先端を挿入して内面に溶射皮膜を形成することがで
きる。この公知の溶線式ガスフレーム溶射ガンまたは溶
射用トーチは、燃料ガスと酸化剤との混合ガスを吹き出
すノズルの外側に、このノズルから出た混合ガスの燃焼
により形成されるフレームの周囲に圧縮空気流を吹き出
すエアーキャップを備えたノズル本体を有している。そ
してノズル本体の中心には先端部に溶射線材導出口を有
する溶射線材供給チップが設けられ、このチップからフ
レームに向かってワイヤ状の溶射線材が連続的に供給さ
れる。溶射線材は、フレームの熱で溶融して溶滴とな
り、この溶滴は圧縮空気流により微細化され且つ加速さ
れて被溶射物に吹き付けられる。これによって被溶射物
の表面上に溶射皮膜が形成される。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら水道管用
小口径鋳鉄管等には、管の連結のために少なくとも一方
の端部の内部に周方向に連続する組合わせ用の段部また
は凹凸が形成されている。このような段部または凹凸が
あると、エクステンションガンを用いて溶射を行っても
段部を完全に溶射皮膜で覆うことができない。これを例
えば図5に示すように表面に凹凸がある部分の表面10
0に沿ってエクステンションガン101を往復移動させ
て溶射皮膜を形成した場合を例にして説明する。図5に
示すように、凹部の内面で移動方向の一方側(エクステ
ンションガン101が挿入される側)に位置する内面
(いわゆる影になる部分)には微細化された溶滴103
が当たらない。そのためその部分には溶射皮膜102を
形成することができないのである。これを解消するため
には、溶射角度θを90度または90度に近い値にすれ
ばよいが、溶射線材を90度近く曲げて送給することは
実際上できないため、既存の溶射ガンでは凹凸のある小
口径管の内面に溶射皮膜を良好に形成することが極めて
難しかった。
【0004】また従来の溶射ガン(溶射用トーチ)を用
いて、ノズル本体の中心部から溶射線材を供給する場合
に、メタンガスや液化天然ガスように低カロリーの燃料
ガスを用いると、カロリーが低いために溶射線材の線径
を小さくしなければ十分な溶融を得ることができず、単
位時間当たりの溶射量が少なくなる問題があった。
【0005】本発明の目的は、従来よりも大きな溶射角
度で溶射皮膜を形成することができる溶線式ガスフレー
ム溶射方法及び溶射用トーチを提供することにある。
【0006】本発明の目的は、小口径管の凹凸のある内
面上に簡単且つ確実に溶射皮膜を形成することができる
溶線式ガスフレーム溶射方法及び溶射用トーチを提供す
ることにある。
【0007】本発明の目的は、メタンガスや液化天然ガ
スように低カロリーの燃料ガスを用いる場合において
も、単位時間当たりの溶射量を大幅に増大させることが
できる溶線式ガスフレーム溶射方法及び溶射用トーチを
提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明が改良の対象とす
る溶線式ガスフレーム溶射方法は、燃料ガスと酸化剤と
の混合ガスを燃焼させて形成したフレームの周囲に圧縮
空気流を流し、フレームに向かって溶射線材を供給して
フレームの熱で溶射線材を溶融して溶滴とし、この溶滴
を圧縮空気流により微細化しながら加速して被溶射物に
吹き付けることにより被溶射物の表面上に溶射皮膜を形
成する方法である。燃料ガスとしては、アセチレンやL
PG等の高カロリーガスだけでなく、メタンガスや液化
天然ガス(LPG)のような低カロリーガスも用いるこ
とができる。また溶射線材としては、亜鉛、アルミニウ
ム、銅合金、13クロムステンレス鋼等の各種の耐腐食
性の強い材料を含む公知の各種の溶射線材を用いること
ができる。
【0009】本発明は、圧縮空気流の外側からフレーム
に向かって溶射線材を連続供給することを基本の技術的
思想とする。このようにすると従来のように溶射線材を
フレームの中心に沿って供給しないために、例えば溶射
角度を90度にする場合でも、溶射線材を90度近く曲
げてフレームに供給する必要がない。そのため本発明に
よれば、溶射線材を殆ど曲げなくても溶射角度を90度
または90度に近い角度にしたフレームに溶射線材を簡
単に供給することができて、溶射角度を従来よりも大き
くしかも任意に取ることができる。
【0010】また本発明によれば、フレームと圧縮空気
流を形成するトーチ本体を通さずに溶射線材をフレーム
に供給することができるため、線径の細い2本以上の溶
射線材をフレームに連続供給することができ、安価では
あるが低カロリーの燃料ガスを用いる場合でも、溶射量
を増大させることができる。溶射線材の線径を小さくす
ると、低カロリーのフレームであっても溶射線材を完全
に溶融することができる。そのため本発明のように、圧
縮空気の外側から溶射線材を供給するようにすれば、前
述のように、溶射線材の曲げ角度を大きくする必要がな
いために、線径の細い2本以上の溶射線材をフレームに
連続供給することが可能になるのである。従来の溶射用
トーチの構造は、1本の溶射線材を供給するように作ら
れていたため、従来の溶射用トーチを使用している限
り、本発明のように線径の細い2本以上の溶射線材を用
いることにより、低カロリーの燃料ガスを用いる場合
に、単位時間当たりの溶射量を増大させるという発想は
到底出てくるものではない。
【0011】本発明の方法を用いて、管状の被溶射物の
内表面上に溶射皮膜を形成する際に、少くとも凹凸があ
る内表面領域に皮膜を形成するときには、フレームと内
表面の接平面との間の溶射角度を90度または90度に
近い角度にする。このようにすると、凹凸の影になる部
分にも確実に溶射皮膜を形成することができる。
【0012】特に本発明の方法を用いれば、少くとも一
方の端部の内部に周方向に連続する組合わせ用の段部が
形成された水道用小口径鋳鉄管の内表面に亜鉛の溶射皮
膜を形成することが可能になり、またこれをメタンガス
や液化天然ガスのような低カロリーガスを燃料ガスとし
て用いて実現することが可能になり、溶射コストを従来
よりも大幅に下げることができる。なお低カロリーガス
を燃料ガスとして用いる場合の溶射線材の線径は、2m
m以下の範囲のものを用いるのが好ましい。この範囲の
ものを用いると、溶射線材を短い時間で確実に溶融させ
ることができて、良好な溶射結果を得ることができる。
【0013】本発明の溶線式ガスフレーム溶射用トーチ
は、トーチ本体と、ノズル本体と、溶射線材ガイドとを
備えている。ノズル本体は、燃料ガスと酸化剤との混合
ガスを吹き出すノズル及びこのノズルの外側に配置され
てノズルから出た混合ガスの燃焼により形成されるフレ
ームの周囲に圧縮空気流を吹き出すエアーキャップを有
し、フレームがトーチ本体の長手方向とほぼ直交する方
向に延びるようにトーチ本体の先端に設けられている。
また溶射線材ガイドは、先端部に溶射線材導出口を有す
る溶射線材供給チップを備えて、溶射線材をフレームに
向かうように導くように構成されている。本発明におい
ては、圧縮空気流の外側からフレームに向かって溶射線
材を供給できる位置に溶射線材供給チップが配置されて
いる。言い換えれると、溶射線材ガイドは、圧縮空気流
の外側からフレームに向かって溶射線材を供給できる位
置に溶射線材を供給する溶射線材供給チップを備えてい
る。なお燃料ガスが低カロリーガスの場合には、2以上
の溶射線材供給チップからそれぞれ別個に2本以上の溶
射線材をフレームに向かって供給できるように溶射線材
ガイドを構成すればよい。具体的には、溶射線材ガイド
を、2以上の溶射線材供給チップと2以上の溶射線材供
給チップにそれぞれ溶射線材を送給する2本以上のコン
ジットケーブルとを備えた構成とする。
【0014】本発明の溶射用トーチのように、圧縮空気
流の外側からフレームに向かって溶射線材を供給する
と、ノズル本体と溶射線材ガイドとを従来のように同心
的に組み合わせる必要がなくなって、溶射用トーチの構
造及び組み立てが容易になる。またフレームに対する溶
射線材の入射角度を任意に調整することができ、燃料ガ
スまたは溶射線材の種類に応じて、フレームに対する溶
射線材の適切な入射角度を選択することができる。
【0015】
【発明の実施の形態】以下図面を参照して本発明の実施
の形態の一例を詳細に説明する。図1は、本発明の溶線
式ガスフレーム溶射用トーチ1の外観を長手方向の中間
部を一部省略して示す図である。図1において、2は燃
料ガスと酸化剤とを混合するガス混合器3を途中に備え
たトーチ本体である。ガス混合器3には、酸素供給パイ
プ4を通して酸化剤として用いられる酸素が供給され、
燃料ガスパイプ5を通してアセチレン,LPG,メタン
ガス,LNG等の燃料ガスが供給される。また圧縮空気
流を作るための高圧エアーが高圧エアーパイプ6を通し
て供給される。この高圧エアーパイプ6は、ガス混合器
3の容器の一方の端部からその内部を貫通して他方の端
部側に延びている。ガス混合器3の他方の端部からは、
ガス混合器3の内部で酸素と燃料ガスとが混合されて作
られた混合ガスを流す混合ガスパイプ7と前述の高圧エ
アーパイプ6とが突出している。この例においては、ガ
ス混合器3、各パイプ4〜7によってトーチ本体2が構
成されている。
【0016】トーチ本体2の先端(パイプ6及び7の端
部)には、ノズル本体8が固定されている。ノズル本体
8の内部構造は、図2に示す通りであり、ケーシング9
の内部にはノズル10が嵌合され、ケーシング9の一端
にはエアーキャップホルダ11を介してエアーキャップ
12が固定されている。ケーシング9の内部には、混合
ガスパイプ7の内部通路と連通するガス通路9aが形成
されている。このガス通路9aは、混合ガスパイプ7と
連結される連結通路9bと、この連結通路9bと直交す
る方向に延びる延長通路9cとから構成されている。そ
してケーシング9の内部には、このガス通路9aと連通
するように、ノズル収納空間9dが形成されている。ま
たケーシング9の内部には、高圧エアーパイプ6の内部
通路と連通するエアー通路9eが形成されている。そし
てこのエアー通路9eは、ノズル収納空間9を囲む内壁
部に形成された環状のガス通路9fに向かって開口して
いる。この環状のガス通路9fは、ノズル10の上端部
の外周を囲むように形成されている。そしてケーシング
9の一方(図2の下側方向)の端部の外周には、雄ねじ
9gが形成されている。この雄ねじ9gには、環状に形
成されたエアーキャップホルダ11の内周部に形成され
た雌ねじ11aが螺合されている。エアーキャップホル
ダ11は、内周部に雌ねじ11aが形成された筒状部1
1bと、この筒状部の一端に一体に形成されて径方向内
側に延びるフランジ部11cとを備えている。
【0017】ノズル10は、ケーシング9の内部のガス
通路9aと連通してノズル10の一端から他端まで延び
るガス通路10aを中心部に備えている。そしてこのガ
ス通路10aの周囲には、ガス通路10aを囲むように
周方向に所定の間隔をあけて複数本のエアー通路10b
…が形成されている。これらのエアー通路10b…の一
端は、ケーシング9の内部に形成された環状のエアー通
路9fに対応する位置にエアー通路9fに向かって開口
する環状の溝部10cに向かってそれぞれ開口してお
り、その他端はケーシング9のノズル収納空間9dの開
口端部またはエアーキャップ12のエアー通路12aに
向かってそれぞれ開口している。ただしこれらのエアー
通路10b…は、ガス通路10aの約2/3程度の長さ
しかなく、ガス通路10aの開口端部または先端部の手
前側で終端している。ノズル10の外周部には長手方向
(図2の上下方句)に間隔をあけてO−リングからなる
シールリング13,13が嵌合される環状の溝部が形成
されている。これらのシールリング13,13によって
混合ガスのガス及びエアーの漏れが防止されている。ま
たノズル10の先端部には、徐々に径が小さくなるよう
にテーパが施されている。
【0018】エアーキャップ12は内部にエアー通路1
2aを備えており、このエアー通路12aは、大径部1
2bと先端に向かうに従って徐々に径が小さくなるテー
パ付き小径部12cとから構成されている。そしてノズ
ル10側の端部には、ノズル10に設けられた複数本の
エアー通路10b…の外側に形成された環状の段部とエ
アーキャップホルダ11のフランジ部11cとの間に挟
持される環状のフランジ部12dが一体に形成されてい
る。エアーキャップ12のエアー通路12aに挿入され
たノズル10の先端部の外側には、エアーキャップ12
の内周面との間に筒状のエアー通路が形成されている。
この構造により、ノズル10に設けられた複数本のエア
ー通路10b…から出た圧縮空気は、ノズル10のガス
通路10aの先端から出るフレーム(混合ガスが燃えて
形成される炎)の周囲を囲む圧縮空気流を形成する。フ
レームは圧縮空気流により周囲を包まれて、トーチ本体
2の長手方向とほぼ直交する方向に延びる細長く延び
る。
【0019】図1に戻って、トーチ本体12には先端部
に溶射線材導出口を有する溶射線材供給チップ15を備
えトーチ本体12に対して支持手段16…を介して支持
されてノズル本体8から出るフレームに向かうようにワ
イヤ状の溶射線材17をガイドする溶射線材ガイド14
が設けられている。具体的には、この溶射線材ガイド1
4は、内部に線材が通るいわゆるコンジットケーブルC
と、耐熱性のある金属により形成された溶射線材供給チ
ップ15とから構成されている。そしてこの溶射線材ガ
イド14は、ノズル本体8から出る圧縮空気流Aの外側
からフレームFに向かって溶射線材17を供給できる位
置に溶射線材供給チップ15を備えている。またこの例
では、溶射線材ガイド14は溶射線材供給チップ15か
ら1本の溶射線材17をフレームFに向かって供給でき
るようにコンジットケーブルの内径及び溶射線材供給チ
ップ15の内径寸法が定められている。
【0020】燃料ガスとしてアセチレンガス等のカロリ
ーの高いガスを用いる場合には、線径の太い(例えば直
径2.3〜2.6mmの)溶射線材17を1本フレーム
Fに向かって供給すればよい。しかしながらメタンガス
やLNGのようにカロリーの低い燃料ガスを用いる場合
に、線径の太い溶射線材17を用いると、溶射線材17
を短時間のうちに完全溶融させることができず、単位時
間あたりの溶射量が少なくなる。そこで低カロリーの燃
料ガスを用いる場合には、溶融しやすい線径の細い(例
えば亜鉛であれば直径が2.3mm以下、アルミニウム
であれば2.0mm以下、銅合金であれば1.6mm以
下、13クロムステンレス鋼などのように高融点で溶融
しにくい材料であれば1.2mm以下の)溶射線材17
をフレームFに挿入すればよい。後に説明するように、
低カロリーの燃料ガスを用いる場合に、フレームに同時
に2本以上の溶射線材を供給して、溶射線材17を完全
溶融させれば、単位時間あたりの溶射量を増大させるこ
とができる。この実施の形態のように、ノズル本体8か
らトーチ本体2と直交する方向にフレームFを出し、し
かも圧縮空気流Aの外側からフレームFに向かって溶射
線材17を連続供給する構造にすると、溶射線材17を
ほとんど曲げることなくフレームFにスムーズに供給す
ることができる。そのため本発明によれば、溶射線材を
殆ど曲げなくても溶射角度を90度または90度に近い
角度にしたフレームFに溶射線材17を簡単に供給する
ことができ、溶射角度を従来よりも大きくしかも任意に
取ることが可能になる。
【0021】次に図1の溶線式ガスフレーム溶射用トー
チを用いて実際に溶射を行う方法について説明する。図
3(A)は、図1の溶線式ガスフレーム溶射用トーチ1
を用いて一方の端部の内部に周方向に連続する組合わせ
用の複数の段部21…が形成された水道用小口径鋳鉄管
(被溶射物)20の内表面に亜鉛の溶射皮膜を形成する
場合の、トーチ1と水道用小口径鋳鉄管20の内表面と
の関係を示している。また図3(B)は、ノズル本体8
から出るフレームFと1つの段部21の内周面Sとの角
度の関係を示している。本発明の方法では、管20の内
表面上に溶射皮膜を形成する際に、少くとも凹凸がある
内表面領域即ち複数の段部21が形成されている領域に
皮膜を形成するときには、フレームFと内表面Sの接平
面CSとの間の溶射角度θを90度または90度に近い
角度にして、トーチ1を図3(A)の矢印の方向に往復
移動させて所定の厚みの亜鉛の溶射皮膜を管20の内周
面上に形成する。フレームの長さは、圧縮空気流を形成
する高圧エアーの量と燃料ガスの量を適宜に調節するこ
とにより決定する。
【0022】図4(A)は、フレームに2本の溶射線材
を供給する場合に用いる溶線式ガスフレーム溶射用トー
チの概略斜視図であり、図4(B)は2本の溶射線材を
送給して案内する溶射線材ガイド14´を下側から見た
図である。このトーチでは、トーチ本体3の下側に2本
のコンジットケーブルC1及びC2が支持され、これら
のコンジットケーブルの先端に耐熱性のある金属により
形成された溶射線材供給チップ15a及び15bがそれ
ぞれ取付けられた構成を溶射線材ガイド14´が有して
いる。この溶射線材ガイド14´は、ノズル本体8から
出る圧縮空気流Aの外側からフレームに向かって2本の
溶射線材17をそれぞれ供給できる位置に溶射線材供給
チップ15a及び15bが配置されている。このような
複数本の溶射線材をフレームに送給できるトーチは、特
にメタンガスやLNGのようにカロリーの低い燃料ガス
を用いる場合に、溶射量を増大する目的で使用すること
ができる。
【0023】このトーチをの効果を確認するための試験
では、燃料ガスとしてメタンガスを用い、線径1.6m
mの2本の亜鉛溶射線材を溶射線材供給チップ15a及
び15bからそれぞれフレームFに供給して亜鉛の溶射
皮膜を形成した。試験条件は、燃料ガスの流量を22リ
ットル/分とし、酸化剤として酸素の流量を80リット
ル/分とし、圧縮空気流体を形成する高圧エアーの流量
を0.65m3 /分とし、溶射線材の送給速度を10k
g/hrとし、溶射角度θをほぼ90度に保持して、ト
ーチを10mm/回の速度で移動させた。このような条
件で、直径300mmの水道用小口径鋳鉄管20の段部
21の上に亜鉛の溶射皮膜を形成したところ、すべての
段部表面に溶射皮膜を完全に形成できることが確認され
た。そしてこの条件では、1時間当たり約10kgの溶
射量を得ることができることが確認された。この結果
は、本発明の方法が実用上実施可能なものであることを
示している。
【0024】上記例では、1本または2本の溶射線材を
同時にフレームに対して供給しているが、3本以上の溶
射線材を同時にフレームに対して圧縮空気流の外側から
供給するようにしてもよいのは勿論である。
【0025】
【発明の効果】本発明によれば、従来よりも大きな溶射
角度で溶射皮膜を形成することができる上、凹凸のある
小口径管の内面にも簡単且つ確実に溶射皮膜を形成する
ことができる利点がある。また本発明によれば、メタン
ガスや液化天然ガスように低カロリーの燃料ガスを用い
る場合においても、単位時間当たりの溶射量を大幅に増
大させることができる利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の溶線式ガスフレーム溶射用トーチの
外観を長手方向の中間部を一部省略して示す図である。
【図2】 ノズル本体の内部構造を示す断面図である。
【図3】 (A)は図1の溶線式ガスフレーム溶射用ト
ーチを用いて一方の端部の内部に周方向に連続する組合
わせ用の複数の段部が形成された水道用小口径鋳鉄管の
内表面に亜鉛の溶射皮膜を形成する場合のトーチと水道
用小口径鋳鉄管の内表面との関係を示す図であり、
(B)はノズル本体から出るフレームと1つの段部の内
周面Sとの角度の関係を示す図である。
【図4】 (A)はフレームに2本の溶射線材を供給す
る場合に用いる溶線式ガスフレーム溶射用トーチの概略
斜視図であり、(B)は2本の溶射線材を送給して案内
する溶射線材ガイドを下側から見た図である。
【図5】 従来のエクテンショガンを用いて溶射する場
合に生じる問題を説明するために用いる図である。
【符号の説明】
1 溶線式ガスフレーム溶射用トーチ 2 トーチ本体 3 ガス混合器 4 酸素供給パイプ 5 燃料ガスパイプ 6 高圧エアーパイプ 7 混合ガスパイプ 8 ノズル本体 9 ケーシング 10 ノズル 11 エアーキャップホルダ 12 エアーキャップ 14,14´ 溶射線材ガイド 15 溶射線材供給チップ
フロントページの続き (72)発明者 斉藤 昌彦 大阪府大阪市西区北堀江1丁目12番19号 株式会社栗本鐵工所内 (72)発明者 鈴木 忠彦 大阪府寝屋川市新家1丁目6番10号 (72)発明者 松浦 英次 広島県福山市箕島町字南丘6648番地

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 燃料ガスと酸化剤との混合ガスを燃焼さ
    せて形成したフレームの周囲に圧縮空気流を流し、前記
    フレームに向かって溶射線材を供給して前記フレームの
    熱で前記溶射線材を溶融して溶滴とし、前記溶滴を前記
    圧縮空気流により微細化しながら加速して被溶射物に吹
    き付けることにより前記被溶射物の表面上に溶射皮膜を
    形成する溶線式ガスフレーム溶射方法であって、 前記圧縮空気流の外側から前記フレームに向かって前記
    溶射線材を連続供給することを特徴とする溶線式ガスフ
    レーム溶射方法。
  2. 【請求項2】 管状の前記被溶射物の内表面上に前記溶
    射皮膜を形成する際に、少くとも凹凸がある内表面領域
    に前記皮膜を形成するときに、前記フレームと前記内表
    面の接平面との間の溶射角度を90度または90度に近
    い角度にすることを特徴とする請求項1に記載の溶線式
    ガスフレーム溶射方法。
  3. 【請求項3】 前記燃料ガスは、メタンガスや液化天然
    ガスのような低カロリーガスであり、2本以上の前記溶
    射線材を前記フレームに向かって連続供給することを特
    徴とする請求項2に記載の溶線式ガスフレーム溶射方
    法。
  4. 【請求項4】 少くとも一方の端部の内部に周方向に連
    続する組合わせ用の段部が形成された水道用小口径鋳鉄
    管の内表面に亜鉛の溶射皮膜を形成する溶線式ガスフレ
    ーム溶射方法であって、 メタンガスや液化天然ガスのような低カロリーガスと酸
    素との混合ガスを燃焼させて形成したフレームの周囲に
    圧縮空気流を流し、 前記圧縮空気流の外側から前記フレームに向かって亜鉛
    を含む2本以上の溶射線材を連続供給して前記フレーム
    の熱で前記2本以上の溶射線材を溶融して溶滴とし、 前記溶滴を前記圧縮空気流により微細化しながら加速し
    て前記内表面に吹き付けることにより前記溶射皮膜を形
    成することを特徴とする溶線式ガスフレーム溶射方法。
  5. 【請求項5】 前記組合わせ用の段部の表面上に前記溶
    射皮膜を形成する際に、前記フレームと前記表面の接平
    面との間の溶射角度を90度または90度に近い角度に
    することを特徴とする請求項4に記載の溶線式ガスフレ
    ーム溶射方法。
  6. 【請求項6】 前記溶射線材の線径が2.0mm以下で
    ある請求項3または4に記載の溶線式ガスフレーム溶射
    方法。
  7. 【請求項7】 トーチ本体と、 燃料ガスと酸化剤との混合ガスを吹き出すノズル及び前
    記ノズルの外側に配置されて前記ノズルから出た前記混
    合ガスの燃焼により形成されるフレームの周囲に圧縮空
    気流を吹き出すエアーキャップを有し、前記フレームが
    前記トーチ本体の長手方向とほぼ直交する方向に延びる
    ように前記トーチ本体の先端に設けられたノズル本体
    と、 溶射線材ガイドとを有する溶線式ガスフレーム溶射用ト
    ーチであって、 前記圧縮空気流の外側から前記フレームに向かって前記
    溶射線材を供給できる位置に前記溶射線材供給チップが
    配置されていることを特徴とする溶線式ガスフレーム溶
    射用トーチ。
  8. 【請求項8】 燃料ガスと酸化剤とを混合するガス混合
    器を備えたトーチ本体と、 前記混合ガスを吹き出すノズル及び前記ノズルの外側に
    配置されて前記ノズルから出た前記混合ガスの燃焼によ
    り形成されるフレームの周囲に圧縮空気流を吹き出すエ
    アーキャップを有し、前記フレームが前記トーチ本体の
    長手方向とほぼ直交する方向に延びるように前記トーチ
    本体の先端に設けられたノズル本体と、 先端部に溶射線材導出口を有する溶射線材供給チップを
    備え前記トーチ本体に対して支持手段を介して支持され
    て前記フレームに向かうように溶射線材をガイドする溶
    射線材ガイドとを具備し、 前記溶射線材ガイドは、前記圧縮空気流の外側から前記
    フレームに向かって2本以上の前記溶射線材をそれぞれ
    別個に供給できる位置に2以上の前記溶射線材供給チッ
    プと、2以上の前記溶射線材供給チップにそれぞれ前記
    溶射線材を送給する2本以上のコンジットケーブルとを
    備えていることを特徴とする溶線式ガスフレーム溶射用
    トーチ。
  9. 【請求項9】 請求項7または8に記載の溶線式ガスフ
    レーム溶射用トーチを用いて、少くとも一方の端部の内
    部に周方向に連続する組合わせ用の段部が形成された小
    口径鋳鉄管の内表面に溶射皮膜を形成することを特徴と
    する溶線式ガスフレーム溶射方法。
  10. 【請求項10】 前記組合わせ用の段部の表面上に前記
    溶射皮膜を形成する際に、前記フレームと前記表面の接
    平面との間の溶射角度を90度または90度に近い角度
    にすることを特徴とする請求項9に記載の溶線式ガスフ
    レーム溶射方法。
JP9334045A 1997-12-04 1997-12-04 溶線式ガスフレーム溶射方法及び溶線式ガスフレーム溶射用トーチ Withdrawn JPH11172407A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP0990714A1 (de) * 1998-09-30 2000-04-05 Linde Aktiengesellschaft Brennstoff für das thermische Spritzen
DE102009023605A1 (de) * 2009-06-02 2010-12-09 Daimler Ag Vorrichtung und Verfahren zum thermischen Beschichten

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EP0990714A1 (de) * 1998-09-30 2000-04-05 Linde Aktiengesellschaft Brennstoff für das thermische Spritzen
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