JPH11169475A - リチウム二次電池保管庫用の消火装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 安全性に優れたリチウム二次電池保管庫用の
消火装置を提供することを目的とする。 【解決手段】 本発明のリチウム二次電池保管庫用の消
火設備は、複数のリチウム二次電池を保管するリチウム
二次電池保管庫用の消火装置であって、保管庫内に保管
されたリチウム二次電池に異常が発生した場合に当該電
池の保管位置を検知する保管位置検知手段と、該保管位
置にて上記電池の一次消火を行う消火手段と、密閉空間
にて電池の二次消火を行うことができる消火ボックス
と、一次消火後に上記電池を保管位置から消火ボックス
内まで移動させる移動手段とからなる。即ち本発明にお
いては、電池の保管位置にて一次消火を行い、その後、
消火ボックス内で二次消火を行うことによって、火災規
模を最小限に押さえることができ、より安全性に優れた
消火装置としたものである。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、リチウム二次電池を保
管する保管庫用の消火設備に関するものである。

【０００２】

【従来技術および発明が解決しようとする課題】近年、
リチウム二次電池（以下単に電池ともいう）は、携帯電
話や電子端末機などの電源として広く使用されつつあ
る。上記リチウム二次電池は、近年放電容量やサイクル
特性などの電池としての性能の点から、炭素材料からな
る負極、リチウム遷移金属複合酸化物からなる正極、負
極と正極との間に配されるポリマーからなる多孔性フィ
ルム状のセパレータ、有機溶媒とリチウム塩とからなる
非水電解液の組み合わせが一般的である。

【０００３】ところで、上記リチウム二次電池は、製造
された後で出荷されるまでに、内部短絡などの不良品を
発見するため、充電した多量のリチウム二次電池を１０
〜２０日間一ヶ所に保管することがある。その際、保管
されるリチウム二次電池のなかに内部短絡のものなどの
不良品が含まれる場合、該不良品の電池においては、電
池内部での化学反応の暴走などによる発熱などの原因に
よって発火することがある。先にも述べたように、リチ
ウム二次電池には非水電解液が用いられているが、非水
電解液中の有機溶媒は可燃性のものが多く、発熱によっ
てこの有機溶媒が発火するためである。また、保管の
際、リチウム二次電池から上記非水電解液が漏れ出して
保管庫の中は可燃性雰囲気となることもあり、可燃性雰
囲気ではさらに火災規模が大きくなる可能性がある。

【０００４】本発明は、上記課題を解消するためになさ
れたものであり、火災規模を最小限に押さえることがで
き、安全性に優れたリチウム二次電池保管庫用の消火設
備を提供するものである。

【０００５】

【課題を解決するための手段】本発明は、複数のリチウ
ム二次電池を保管するリチウム二次電池保管庫用の消火
装置であって、保管庫内に保管されたリチウム二次電池
に異常が発生した場合に当該電池の保管位置を検知する
保管位置検知手段と、該保管位置にて上記電池の一次消
火を行う消火手段と、密閉空間にて電池の二次消火を行
うことができる消火ボックスと、一次消火後に上記電池
を保管位置から消火ボックス内まで移動させる移動手段
とからなるリチウム二次電池保管庫用の消火装置によっ
て、上記課題を解決するものである。

【０００６】即ち本発明の消火装置は、電池に異常が発
生すると、まずその電池が保管されている位置にて一次
消火を行い、その後該電池を消火ボックスまで移動させ
て消火ボックス内において二次消火を行うことができる
装置である。リチウム二次電池においては、一次消火終
了後でも電池内部での化学反応が停止しない場合には再
び発火する可能性が高いため、一次消火後に消火ボック
スという密閉空間内で二次消火を行うことによって、火
災規模を最小限に押さえることができ、より安全性に優
れたリチウム二次電池保管庫用の消火装置としたもので
ある。

【０００７】

【発明の実施の形態】以下に本発明の消火装置による消
火の手順、及び消火装置の詳細を説明する。まず、保管
庫内に保管されたリチウム二次電池に火災や火災前の異
常発熱などの異常が発生すると、検知手段によって異常
が発生した電池の保管位置が検知される。本発明におい
て上記検知手段は特に制限はなく、例えば、煙によって
電池の火災を検知して該電池の保管位置を検知するも
の、また、温度によって電池の火災や異常発熱を検知し
て該電池の保管位置を検知するものなどを用いることが
できる。また、これらを組み合わせた検知手段であって
もよい。

【０００８】上記のように検知手段によって異常が発生
した電池の保管位置が検知されると、次に、上記検知手
段からの検知信号により、消火手段が該保管位置におい
て一次消火を行う。本発明において消火手段は、例えば
保管庫の全体に定位置に配設されているものであっても
よく、その場合には、経済性の点から特に、消火手段の
うち火災位置付近に配設されたもののみが作動するよう
にすることが好ましい。また、消火手段は、保管庫全体
を移動可能なように設けられているものであってもよ
く、その場合には、上記検知手段によって検知された保
管位置まで移動して一次消火を行う。

【０００９】上記のように消火手段による一次消火が終
了すると、今度は、移動手段によって異常が発生した電
池を消火ボックス内まで移動させる。詳しく説明する
と、検知手段からの検知信号により移動手段はまず異常
が発生した電池の保管位置まで移動し、移動手段が有す
る保持部によって一次消火終了後の電池を保持しつつ消
火ボックス内まで電池を移動させる。そして、移動手段
は消火ボックス内に電池を置いた後、電池の保持を止
め、消火ボックスを離れる。

【００１０】本発明において移動手段は、電池を保持す
ることができ、かつ、電池を消火ボックス内まで移動さ
せることができるものであれば特に制限はなく、例えば
消火手段が保管庫全体を移動可能なように設けられてい
るものである場合には、移動手段と消火手段は合併して
設けられていてもよい。

【００１１】消火ボックスは、密閉空間にて該ボックス
内に入れられた電池の二次消火を行うことができ、周り
への延焼を防止できるものであれば特に制限はなく、そ
の構造としては例えば、耐火壁に包囲され、出入口には
シャッターが設けられ、消火ボックス内には消火装置の
消火ノズルが設けられてなるものなどが挙げられる。

【００１２】上記の構造の消火ボックスにおいては、移
動手段によって該ボックス内に電池が置かれたことを感
知できるセンサなどの感知手段を備えることが好まし
く、該感知手段からの信号によって、該ボックスの出入
口のシャッターを閉め、該ボックス内での電池の二次消
火を始める。

【００１３】本発明において、一次消火及び二次消火に
用いられる消化剤としては、通常消火用途に用いられる
ものであれば特に制限はなく、例えば、炭酸ガスやハロ
ンガスなどのガス状のもの、水のような液体状のもの、
または、炭酸ナトリウムと硫酸ナトリウムとの水溶液な
どを泡状としたものなどが挙げられる。一次消火と二次
消火においては、同一の消化剤を用いてもよく、また、
別のものを用いてもよいが、本発明においては非火災電
池への影響及び設備復旧の点から特に、一次消火には炭
酸ガスを用いることが好ましい。

【００１４】また、本発明においては消火用ボックスは
移動可能に設けられていることが好ましい。移動可能で
あると、異常が発生した電池を消火ボックスに入れた
後、該消火ボックスごと保管庫の外に搬出することがで
きるため、保管庫内の他の電池への影響をより軽減する
ことができ、より安全性に優れる。

【００１５】

【発明の効果】本発明のリチウム二次電池保管庫用の消
火装置は、複数のリチウム二次電池を保管するリチウム
二次電池保管庫用の消火装置であって、保管庫内に保管
されたリチウム二次電池に異常が発生した場合に当該電
池の保管位置を検知する保管位置検知手段と、該保管位
置にて上記電池の一次消火を行う消火手段と、密閉空間
にて電池の二次消火を行うことができる消火ボックス
と、一次消火後に上記電池を保管位置から消火ボックス
内まで移動させる移動手段とからなることによって、火
災規模を最小限に押さえることができ、安全性に優れ
る。また、一次消火に用いられる消火剤は炭酸ガスであ
ることによって、非火災電池への影響を軽減することが
できる。

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 複数のリチウム二次電池を保管するリチ
   ウム二次電池保管庫用の消火装置であって、保管庫内に
   保管されたリチウム二次電池に異常が発生した場合に当
   該電池の保管位置を検知する保管位置検知手段と、該保
   管位置にて上記電池の一次消火を行う消火手段と、密閉
   空間内で電池の二次消火を行うことができる消火ボック
   スと、一次消火後に上記電池を保管位置から消火ボック
   ス内まで移動させる移動手段とからなるリチウム二次電
   池保管庫用の消火装置。
2. 【請求項２】 一次消火に用いられる消火剤は炭酸ガス
   である請求項１記載のリチウム二次電池保管庫用の消火
   設備。