JPH11160302A - 3−デオキシグルコソンの分析方法 - Google Patents

3−デオキシグルコソンの分析方法

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JPH11160302A
JPH11160302A JP9328957A JP32895797A JPH11160302A JP H11160302 A JPH11160302 A JP H11160302A JP 9328957 A JP9328957 A JP 9328957A JP 32895797 A JP32895797 A JP 32895797A JP H11160302 A JPH11160302 A JP H11160302A
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JP9328957A
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English (en)
Inventor
Keisuke Fukuyama
敬介 福山
Masayuki Yagi
雅之 八木
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Arkray Inc
Original Assignee
KDK Corp
Kyoto Daiichi Kagaku KK
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 3DGを迅速に分析することができる分析方
法を提供する。 【解決手段】 3DGを、2,3−ブタンジオンととも
に、2,3−ジアミノナフタレンでラベル化し、これを
HPLCのサンプルとする。そして、ジフェニル基また
はシアノ基を有する固定相を用い、HPLC分析を行
う。このときの溶離液は、A液(50mMリン酸:アセトニ
トリル:メタノール=7:1.5:1.5(体積比))、B液
(50mMリン酸:アセトニトリル:メタノール=2: 4 :
4(体積比))を用いる。図1のチャート図に示すよう
に、3DGの溶離時間は、3.270分となり、2,3
−ブタンジオン(2,3−BD)の溶離時間は、6.0
87分となる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、3−デオキシグル
コソン(以下、「3DG」という。)の検出または定量
に用いられる分析方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、糖尿病性合併症の研究において、
メイラード反応の関与が示唆されている。このメイラー
ド反応は、タンパク質、ペプチドまたはアミノ酸等のア
ミノ基とケトンやアルデヒド、特に還元糖等のカルボニ
ル基とがシッフ塩基を形成し、これが転移反応や脱水反
応等を経て、最終的に重合することにより、褐色物質が
生成される反応である。このメイラード反応に伴い、タ
ンパク質の架橋度や重合度が増し、タンパク質の変性が
生じる。このメイラード反応の生成物および中間代謝産
物が原因となり、例えば、腎症、網膜症、神経症等の糖
尿病性合併症が併発するとされている。
【0003】前記メイラード反応の中間代謝産物の一つ
として、3DGが知られている。この3DGは、グルコ
ースとタンパク質から生成されるジカルボニル化合物で
あり、タンパク質の架橋形成において、そのカルボニル
基がタンパク質のアミノ基と反応することにより、強力
な架橋剤(クロスリンカー)として作用している。この
3DGの性質について、さらに研究が行われたところ、
3DGは、糖尿病状態で増加することが証明され、ま
た、糖尿病性合併症の発症に重要な役割を果たしている
ことが示唆されている。このような点から、3DGは、
糖尿病性合併症のマーカーとして、基礎研究や臨床検査
に有用とされており、現在、血液、尿等の体液や各種臓
器等の生体試料中の3DG濃度が測定されている。しか
し、この3DGは、非常に不安定であり、また反応性も
高いため、正確な定量分析が困難であった。
【0004】この問題に対し、種々の分析方法が提案さ
れている。例えば、特開平7−98317号公報には、
13Cもしくは14Cでラベル化した3DG誘導体を内部標
準物質としてガスクロマトグラフィー質量分析(GC/
MS)により、定量する方法が開示されている。しか
し、この方法は、操作が煩雑であり、さらに、放射線同
位元素を用いる場合、安全性に問題が生じる場合があ
る。
【0005】他方、前記GC/MSに比べ、操作が容易
であるという理由等から、高速液体クロマトグラフィー
(HPLC)による分析方法も検討されている。
【0006】例えば、3DGを2,3−ジアミノナフタ
レンでラベル化して、特定の光波長で吸収を示す安定な
誘導体を調製し、これをHPLCにより分析する方法
(山田浩幸、神戸大学医学部紀要、第99頁から第10
7頁、Vol.55,No4(1995))が提案され
ている。この方法では、3DGと同様に二個の隣接する
カルボニル基を有するヘキサンジオン等を内部標準物質
として用い、3DGとともに、2,3−ジアミノナフタ
レンでラベル化し、得られた両ラベル化物質をHPLC
で溶離した後、両者のエリア面積の比率により、3DG
濃度を定量している。
【0007】しかし、前記の方法では、ラベル化された
3DGおよび内部標準物質が全て溶出されるのに、約6
0分を要する。したがって、実験的もしくは研究的に3
DG濃度を測定する場合は問題ないが、臨床検査等のよ
うに多数の検体を分析する場合には、時間がかかりすぎ
るという問題があった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明の目的
は、臨床検査等にも充分対応できるような、短時間で分
析が可能な3DGの分析方法を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため
に、本発明の3DGの分析方法は、3DGをHPLCに
より分析する方法であって、前記HPLCにジフェニル
基およびシアノ基の少なくとも一つの基を有する固定相
を用いることを特徴とする。
【0010】本発明者は、3DGの分析を行うにあたっ
て、HPLCによる分析を中心として、分析時間の短縮
化を図るために、一連の研究および綿密な検討を行っ
た。その結果、本発明者は、分析時間を大幅に短縮でき
る前記二種類の固定相を突き止めた。前記二種類の固定
相を用いた場合、分析時間を約10分以内とすることが
可能となり、従来方法と比較して、大幅に分析時間を短
縮することができる。この大幅な分析時間の短縮化によ
って、多数の検体を処理することができ、臨床検査等に
も充分に対応できるようになる。
【0011】本発明の分析方法において、内部標準物質
を用いることが好ましい。HPLCを行う際に、前記内
部標準物質を併用することにより、定量分析の分析精度
を向上させることができる。
【0012】本発明の分析方法において、3DGを、例
えば、2,3−ジアミノナフタレンによりラベルするこ
とが好ましく、また、前記内部標準物質も前記物質でラ
ベルすることが好ましい。ラベル化剤としては、前記物
質の他に、例えば、4,5−ジアミノピリジン、o−フ
ェニレンジアミン、2,3−ジアミノフェノール、9,
10−ジアミノフェナントレン、4,5−アミノ−6−
ヒドロキシピリミジン、5,6−ジアミノ−2,3−ジ
シアノピラジン、5,6−ジアミノ−2,4−ジヒドロ
キシピリミジン、4,5−ジアミノ−6−ヒドロキシ−
2−メルカプトピリミジン、3,4−ジアミノ安息香
酸、3,4−ジアミノピリジン、4,5−ジアミノ−
2,6−ジメルカプトピリミジン等が使用できる。
【0013】本発明の分析方法において、前記内部標準
物質として、例えば、2,3−ブタンジオン、ヘキサン
ジオン等を使用でき、2,3−ブタンジオンが好まし
い。
【0014】本発明の分析方法において、一液の溶離液
で溶離を行うことが好ましい。一液の溶離液で溶離する
ことにより、固定相の平衡化を省略することが可能であ
り、また、グラジェント溶出に用いる溶離液の調製の手
間も省くことができる。すなわち、一液で溶離を行え
ば、一検体に費やす全分析時間をより短くすることがで
き、また、本発明の分析方法を自動分析機に適用する際
に、装置の構造が簡単になり、さらに、自動化の設定等
もより簡単になる。
【0015】
【発明の実施の形態】つぎに、本発明の実施の形態につ
いて説明する。本発明の分析方法は、例えば、3DGを
内部標準物質と伴にラベル化し、これをHPLCにより
分析することにより実施できる。
【0016】まず、3DGおよび内部標準物質のラベル
化を行う。前記内部標準物質としては、先に述べた物質
が使用できる。また、前記ラベル化に使用するラベル化
剤としては、先に述べた物質が使用できる。ラベル化剤
として、2,3−ジアミノナフタレンを使用する場合、
前記3DGおよび前記内部標準物質が有する二個の隣接
するカルボニル基と、前記2,3−ジアミノナフタレン
が有する二個の隣接するアミノ基とが結合し、前記両物
質から、それぞれベンゾキノキサリン骨格を持つラベル
化された物質が生成される。
【0017】ラベル化は、3DG、内部標準物質、ラベ
ル化剤を水性溶媒中で混合して、反応させる事により行
う。前記水性溶媒としては、例えば、リン酸緩衝液、H
EPES緩衝液、Bis−Tris緩衝液、ADA緩衝
液、PIPES緩衝液、Tris−HCl緩衝液等が使
用できる。
【0018】そして、前記ラベル化の反応液に硫酸等を
添加し、反応を停止させる。ついで、反応物を酢酸エチ
ル等の有機溶媒により抽出し、前記有機溶媒を除去し
て、得られた結晶をHPLCの溶離液により再度溶解し
たものを、HPLCのサンプルとする。
【0019】つぎに、前記ラベル化3DGおよびラベル
化内部標準物質のHPLCによる分析を行う。
【0020】本発明において、HPLCに用いるカラム
には、例えば、前記ジフェニル基および前記シアノ基の
少なくとも一つが結合している充填剤を充填する。この
充填剤は、特に制限されず、市販のものを使用できる。
【0021】前記HPLCにおいて、カラムのサイズ等
は、その分析条件に応じ適宜決定されるが、本発明にお
いては、通常、カラムの長さが約150mm、カラムの
内径が約4.6mmである。このサイズのカラムを用い
た場合の前記HPLCの各条件は、以下に示すとおりで
ある。。
【0022】前記HPLCにおいて、検出波長は、使用
するラベル化剤に応じて、適宜決定されるが、例えば、
215〜320nmが好ましい。ラベル化剤として、
2,3−ジアミノナフタレンを使用する場合は、268
nmが好ましい。
【0023】前記HPLCにおいて、二液の溶離液で溶
離させる場合、その溶離液および溶離液のグラジェント
の条件は、その分析条件に応じ適宜決定されるが、例え
ば、以下の溶離液組成およびグラジェント条件が好まし
い。 A液 50mMリン酸:アセトニトリル:メタノール=7:1.5:1.5 (体積比) B液 50mMリン酸:アセトニトリル:メタノール=2: 4 : 4 (体積比)
【0024】 グラジェント条件 : 溶出時間(分) A液(体積%): B液(体積%) 0− 8 100 : 0 8−30 100−0 : 0−100 30−40 0 : 100
【0025】しかし、本発明は、一液の溶離液で溶離す
ることが可能であり、この場合、溶離液は、例えば、前
記A液が使用できる。
【0026】前記HPLCにおいて、溶離液の流速は、
その分析条件に応じ適宜決定されるが、好ましくは約1
ml/分である。
【0027】このHPLCにより、3DGを検出するこ
とができる。また、予め、検量線を作成しておけば、前
記HPLC分析により得られたラベル化3DGおよびラ
ベル化内部標準物質の両エリア面積の面積比から、3D
G濃度を求めることができる。
【0028】なお、以上説明した例は、3DGのみを検
体とした例であるが、例えば、血液、尿等の夾雑物を含
む検体についても、本発明を適用できる。この場合は、
血液等について前記と同様にしてラベル化を行い、続い
て、前記と同様にしてHPLCにより測定する。
【0029】
【実施例】つぎに、本発明の実施例について比較例と併
せて説明する。
【0030】(実施例1) (1)3DGの合成 3DGの合成は、先に述べた特開平7−98317号公
報の実施例1の記載に準じて行った。すなわち、グルコ
ース(2.0g,10.7mmol,1.0eq.)と
p−トルイジン(1.1g,10.3mmol,0.9
2eq.)とを、95重量%エタノール45mlと酢酸
2.2mlの混合液に懸濁し、この懸濁液を、30分間
加熱還流撹拌した。この反応溶液は、5分後に均一溶液
となり、30分後には茶色に変色した。前記反応溶液に
ベンゾイルヒドラジン(3.3g,24.4mmol,
2.18eq.)を添加して、7時間、加熱還流撹拌を
行った後、前記反応溶液を室温で一晩放置すると、結晶
が析出した。この結晶をろ紙(孔径1μm)で濾取し、
前記結晶を、すばやく冷メタノール20mlで三回洗浄
し、続いて冷ジエチルエーテル20mlで三回洗浄し
た。前記洗浄液を回収し、これを室温で風乾させ、3D
G−ビス−ベンゾイルヒドラゾンの粗結晶(1.60
g,回収率36.8%)を得た。この粗結晶を95重量
%エタノール100mlに溶解し、再結晶を行った結
果、白色針結晶(1.25g,回収率28.7%)が得
られた。
【0031】エタノール60ml、水100ml、酢酸
2.4mlの混合溶液に前記3DG−ビス−ベンゾイル
ヒドラゾン2.0g(4.80mmol)を懸濁し、こ
の懸濁液を室温撹拌しながら、ベンズアルデヒド3.2
ml(32.04mmol)の滴下を行った。滴下後、
温度を上げて、6時間、加熱還流撹拌を行い、続いて、
温度を徐々に室温に戻し、3時間放置した。この溶液
を、60mlまで濃縮してエタノールを除去し、この濃
縮液に水100mlを添加した。そして、この溶液を室
温で一晩放置し、沈殿したベンズアルデヒド−ベンゾイ
ルヒドラゾンを濾別して、得られた濾液を40mlまで
濃縮した。この濃縮液をエーテル20mlで五回抽出し
て、得られた水層をシロップ状になるまで濃縮し、これ
を粗3DGとした。
【0032】(2)3DGの精製 前記粗3DGをシリカゲルカラムクロマトグラフィーに
より精製した。前記シリカゲルカラムクロマトグラフィ
ーの各条件を下記に示す。
【0033】(シリカゲルカラム)商品名 Wako
gel C−200(3cm×23cm、和光純薬社
製)
【0034】 (溶離液) A液 クロロホルム:メタノール:水=7:2:0.2(体積比) B液 クロロホルム:メタノール:水=7:3:0.2(体積比)
【0035】(溶離条件)前記溶離液A800mlによ
り溶離を行い、続いて、前記溶離液B100mlにより
溶離を行った。
【0036】 流速 : 10ml/分 分取条件 : 50ml/1Fraction
【0037】前記シリカゲルカラムクロマトグラフィー
により分取されたFractionNo.1〜18のサ
ンプルを、薄層クロマトグラフィー(TLC)に供し、
目的の3DGを検出した。前記TLCの各条件を下記に
示す。
【0038】(薄層) 商品名 MERCK HPTLC Slica Gel
60(メルク社製) (展開溶媒) クロロホルム:メタノール:水=7:3:0.3(体積
比) (検出試薬) 2M HClの2,4−ジニトロフェニルヒドラジン飽
和溶液
【0039】その結果、単一のスポットが確認されたF
raction No.8〜15の分取溶液を回収し
て、溶出溶媒を除去した後、これを20mlの蒸留水に
溶解し、凍結乾燥を行った。そして、最終的に0.34
gの精製3DGを得た。なお、この精製3DGについ
て、後述の方法によりラベル化した後、NMR分析を行
い、これが3DGであることを確認した。
【0040】(3)サンプルの調製 前記3DGを、濃度が0.5mg/l、1.0mg/l
となるように、10Mリン酸緩衝液(pH7.4)に溶
解した。そして、これらの各3DG溶液1mlに、0.
005%(w/v)2,3−ブタンジオン(東京化成社
製)溶液50μlを添加した。続いて、これらの溶液
に、0.1%(w/v)2,3−ジアミノナフタレン
(同人化学社製)溶液を100μl添加し、室温で一晩
撹拌して、ラベル化を行った。この反応液に対し、酢酸
エチル0.5mlで、ラベル化物質の抽出を行った。こ
の抽出操作は、二回行った。そして、前記抽出液を遠心
エバポレーターに供して、前記酢酸エチルを減圧除去
し、得られた結晶を前記溶離液A100μlで再溶解し
て、これをHPLCのサンプルとした。
【0041】(4)HPLCによる分析 前記サンプルについて、HPLCによる分析を行った。
その条件は、下記に示すとおりである。
【0042】 (HPLC) ポンプ : 商品名 Waters600E(ウォーターズ社製) オーブン : 商品名 オーブンCTO−6A(島津製作所社製) 検出器 : 商品名 Waters 996 Photodiods A rray Detector(ウォーターズ社製) 温度 : 35℃ 検出波長 : 268nm 試料注入量 : 10μl カラム : 商品名 ULTRON300−Diphenyl(150× 4.6mmI.D.,信和化工社製) 修飾基:ジフェニル基
【0043】 (溶離液) A液 50mMリン酸:アセトニトリル:メタノール=7:1.5:1.5 (体積比) B液 50mMリン酸:アセトニトリル:メタノール=2: 4 : 4 (体積比) 流速 : 1.0ml/分
【0044】 グラジェント条件 : 溶出時間(分) A液(体積%): B液(体積%) 0− 8 100 : 0 8−30 100−0 : 0−100 30−40 0 : 100
【0045】前記3DG濃度が1.0mg/lであるサ
ンプルのHPLCの結果を、図1のチャート図に示す。
図1は、波長268nmにおける吸光度(Abs.)と
溶離時間(分)との関係を示すチャート図である。ま
た、同図において、「L」はラベル化剤である2,3−
ジアミノナフタレン、「3DG」はラベル化された3D
G、「2,3−BD」はラベル化された2,3−ブタン
ジオンの吸光度のピークをそれぞれ示す。他のチャート
図も同様である。
【0046】図1に示すように、ラベル化3DGおよび
ラベル化2,3−ブタンジオンの溶離時間はそれぞれ、
3.270分、6.087分であった。この結果から、
3DGおよび内部標準物質が、従来方法(約60分)よ
りも格段に早く溶離されたことがわかる。
【0047】(実施例2)カラムとして、修飾基がシア
ノ基である商品名YMC−Pack CN(150×
4.6mmI.D.,YMC社製)を用いた他は、実施
例1と同じ操作および同じ条件で、HPLC分析を行っ
た。3DG濃度が1.0mg/lであるサンプルのHP
LCの結果を、図2のチャート図に示す。
【0048】図2に示すように、ラベル化3DGおよび
ラベル化2,3−ブタンジオンの溶離時間はそれぞれ、
4.677分、8.877分であった。この結果から、
3DGおよび内部標準物質が、従来方法よりも格段に早
く溶離されたことがわかる。
【0049】(比較例1)カラムとして、修飾基がトリ
メチルシリル基である商品名YMC−PackTMS
(150×4.6mmI.D.,YMC社製)を用いた
他は、実施例1と同じ操作および同じ条件で、HPLC
分析を行った。3DG濃度が1.0mg/lであるサン
プルのHPLCの結果を、図3のチャート図に示す
【0050】図3に示すように、ラベル化3DGおよび
ラベル化2,3−ブタンジオンの溶離時間はそれぞれ、
7.915分、19.332分であった。従来の溶離時
間60分に比べると短縮化されたが、実施例1および2
と比較すると、その短縮化は充分ではない。
【0051】(比較例2)カラムとして、修飾基がフェ
ニル基である商品名YMC−Pack Ph(150×
4.6mmI.D.,YMC社製)を用いた他は、実施
例1と同じ条件で、HPLC分析を行った。3DG濃度
が1.0mg/lであるサンプルのHPLCの結果を、
図4のチャート図に示す。
【0052】図4に示すように、ラベル化3DGおよび
ラベル化2,3−ブタンジオンの溶離時間はそれぞれ、
9.388分、20.538分であった。従来の溶離時
間60分に比べると短縮化されたが、実施例1および2
と比較するとその短縮化は充分ではない。
【0053】(比較例3)カラムとして、修飾基がアル
キル基(C4)である商品名YMC−PackC4(1
50×4.6mmI.D.,YMC社製)を用いた他
は、実施例1と同じ条件でHPLC分析を行った。3D
G濃度が1.0mg/lであるサンプルのHPLCの結
果を、図5のチャート図に示す。
【0054】図5に示すように、ラベル化3DGおよび
ラベル化2,3−ブタンジオンの溶離時間はそれぞれ、
9.153分、21.053分であった。従来の溶離時
間60分に比べると短縮化されたが、実施例1および2
と比較すると、その短縮化は充分ではない。
【0055】(比較例4)カラムとして、修飾基がアル
キル基(C18)である商品名JsphereODS
−H80(150×4.6mmI.D.,YMC社製)
を用いた他は、実施例1と同じ条件で、HPLC分析を
行った。3DG濃度が0.5mg/lであるサンプルの
HPLCの結果を、図6のチャート図に示す。
【0056】図6に示すように、ラベル化3DGおよび
ラベル化2,3−ブタンジオンの溶離時間はそれぞれ、
13.877分、26.943分であった。従来の溶離
時間60分に比べると短縮化されたが、実施例1および
2と比較すると、その短縮化は充分ではない。
【0057】以上の比較例は、実施例のジフェニル基ま
たはシアノ基と同程度の疎水性、または類似の構造の修
飾基を有する固定相を用いた例である。疎水性強度の順
に固定相を上から並べると下記のようになる。
【0058】(疎水性強度) (1) JsphereODS−H80 (比較例
4) (2) YMC−Pack C4 (比較例3) (3) YMC−Pack TMS (比較例1) (4) ULTRON300−Diphenyl (実
施例1) (5) YMC−Pack Ph (比較例2) (6) YMC−Pack CN (実施例2)
【0059】このように、疎水性の強度と、3DGおよ
び内部標準物質の流出速度との間に相関を認めることは
できない。すなわち、糖または糖誘導体のHPLC分析
において、固定相を選択する際に、通常はその疎水性程
度を指標とするが、3DGのHPLC分析において、そ
の溶離時間の短縮化を図る場合、疎水性は、指標となり
得ないといえる。また、本発明で用いる固定相の一つと
して、ジフェニル基を有する固定相があるが、これと類
似するフェニル基を有する固定相を用いても(比較例
2)、本発明のような溶離時間の大幅な短縮は認められ
なかった。さらに、本発明にかかるジフェニル基とシア
ノ基との間に構造上の共通性を認めることも困難であ
る。したがって、3DGのHPLC分析において、その
溶離時間の短縮化を図る場合、固定相の修飾基の構造の
類似性も指標とすることは困難であるといえる。
【0060】(実施例3) (1) サンプルの調製 実施例と同じ3DGを、各濃度が0.1mg/l、0.
2mg/l、0.3mg/l、0.5mg/l、1.0
mg/lになるように、10Mリン酸緩衝液(pH7.
4)に溶解した。以後、各前記濃度において、実施例1
と同様して、HPLCのサンプルを調製し,これらの各
前記濃度のサンプルを3回ずつHPLCに供した。
【0061】(2) HPLC条件 カラムとして、商品名ULTRON 300−Diph
enylを用い、溶離は、実施例1に示すA液のみを用
いた。その他の条件は、全て実施例1と同様にして、H
PLC分析を行った。その結果を、下記の表1および図
7に示す。前記表1は、各前記濃度(測定回数:3回)
におけるHPLCにより得られた、ラベル化3DGおよ
びラベル化2,3ーブタンジオン(2,3−BD)の両
エリア面積値および前記両エリア面積比を示す。また、
図7は、3DG濃度と、前記エリア面積比との相関関係
を示すグラフである。また、同図中の式は、前記相関関
係を表す相関式であり、r2は相関係数を示す。下記表
2および図8も同様である。
【0062】 (表1) 3DG濃度 3DG 2,3−BD 3DG/2,3−BD エリア面積 エリア面積 のエリア面積比 (0mg/l) 1回目 0 4385256 0 2回目 0 3855295 0 3回目 0 4251662 0 (0.1mg/l) 1回目 66442 4026788 0.0165 2回目 63684 4056738 0.0157 3回目 52184 4109474 0.0127 (0.2mg/l) 1回目 236791 4101577 0.0577 2回目 228292 4263277 0.0536 3回目 183926 4030477 0.0456 (0.3mg/l) 1回目 410239 4229379 0.0970 2回目 376434 3518453 0.1070 3回目 304978 3173492 0.0961 (0.5mg/l) 1回目 707327 3084231 0.2293 2回目 656687 3216962 0.2041 3回目 549222 3378131 0.1626 (1.0mg/l) 1回目 1312835 3355770 0.3912 2回目 1149027 3474600 0.3307 3回目 996598 3790056 0.2630
【0063】前記表1および図7の結果から、3DG濃
度と前記両エリア面積比との間には、高い相関関係が認
められる(r2=0.94)。したがって、この図の直
線は、検量線になりうる。また、各濃度における3回の
測定において、測定値のばらつきが少なく、測定結果の
再現性が高かった。
【0064】(実施例4)カラムとして商品名YMC−
Pack CNを用い、HPLCのサンプルは実施例3
で調製したものを用い、その他は、実施例3と同様の操
作を行った。この結果を下記表2および図8に示す。
【0065】 (表2) 3DG濃度 3DG 2,3−BD 3DG/2,3−BD エリア面積 エリア面積 のエリア面積比 (0mg/l) 1回目 0 4456774 0 2回目 0 3984155 0 3回目 0 4577287 0 (0.1mg/l) 1回目 164219 4272917 0.0384 2回目 184469 4132784 0.0446 3回目 113756 4257298 0.0267 (0.2mg/l) 1回目 320367 4191982 0.0764 2回目 306601 4422616 0.0693 3回目 286723 4109272 0.0698 (0.3mg/l) 1回目 486523 4212203 0.1155 2回目 482069 3636962 0.1325 3回目 434885 3329062 0.1306 (0.5mg/l) 1回目 865724 3156399 0.2743 2回目 805869 3262945 0.2470 3回目 761364 3576251 0.2129 (1.0mg/l) 1回目 1483243 3461650 0.4285 2回目 1398294 3581523 0.3904 3回目 1364151 4075638 0.3347
【0066】前記表2および図8の結果から、3DG濃
度と前記両エリア面積比との間には、高い相関関係が認
められる(r2=0.958)。したがって、この図の
直線は、検量線となりうる。また、各濃度における3回
の測定において、測定値のばらつきが少なく、測定結果
の再現性が高かった。
【0067】前記実施例4および5の結果より、本発明
の分析方法は、3DGを精度良く、定量的に分析するこ
とができるといえる。
【0068】
【発明の効果】以上のように、本発明の分析方法は、H
PLCにおいてジフェニル基およびシアノ基の少なくと
も一つの基を有する固定相を用いることによって、3D
Gを10分以内の短時間で分析することを可能とする。
また、本発明では、一液の溶離液で溶離を行うこともで
きるため、この場合は、一回の分析時間をより短縮化す
ることができる。さらに、本発明の分析方法によれば、
より簡単な分析系の提供や分析の自動化も可能である。
すなわち、本発明は、3DGの分析において、多数のサ
ンプルを効率的に処理することを可能にし、これによ
り、糖尿病および糖尿病性合併症の臨床レベルでの検査
等において、3DGを指標として有用に活用することを
実現させるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例におけるHPLCの結果を示
すチャート図である。
【図2】本発明のその他の実施例におけるHPLCの結
果を示すチャート図である。
【図3】比較例におけるHPLCの結果を示すチャート
図である。
【図4】その他の比較例におけるHPLCの結果を示す
チャート図である。
【図5】さらにその他の比較例におけるHPLCの結果
を示すチャート図である。
【図6】さらにその他の比較例におけるHPLCの結果
を示すチャート図である。
【図7】本発明のさらにその他の実施例における3DG
濃度と3DGおよび内部標準物質のエリア面積比との相
関関係を表したグラフである。
【図8】本発明のさらにその他の実施例における3DG
濃度と3DGおよび内部標準物質のエリア面積比との相
関関係を表したグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI G01N 33/50 G01N 33/50 T

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 3−デオキシグルコソンを高速液体クロ
    マトグラフィーにより分析する方法であって、前記高速
    液体クロマトグラフィーにジフェニル基およびシアノ基
    の少なくとも一つの基を有する固定相を用いる分析方
    法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7037742B2 (en) 2001-07-23 2006-05-02 Cree, Inc. Methods of fabricating light emitting devices using mesa regions and passivation layers
JP2009121850A (ja) * 2007-11-12 2009-06-04 Nippon Torimu:Kk 糖分解代謝物の測定方法

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