JPH11159191A - 制振装置 - Google Patents

制振装置

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JPH11159191A
JPH11159191A JP32292997A JP32292997A JPH11159191A JP H11159191 A JPH11159191 A JP H11159191A JP 32292997 A JP32292997 A JP 32292997A JP 32292997 A JP32292997 A JP 32292997A JP H11159191 A JPH11159191 A JP H11159191A
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JP
Japan
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damping device
vibration
vibration damping
pendulum
couple
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JP32292997A
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English (en)
Inventor
Yukihiko Kazao
幸彦 風尾
Yasutane Amasaka
康種 天坂
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Toshiba Corp
Original Assignee
Toshiba Corp
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】構造物の揺れを効率よく吸収する。 【解決手段】建物等の構造物2に取付けられ、複数の関
節4を有する腕3によって重り1を吊らして構成される
振り子と、構造物2の揺れによって発生する振り子の振
り子運動の速度を減衰させる減衰手段5とを備えること
で、構造物2の振幅を適切に抑制する制振装置を提供す
る。減衰手段5として用いるダンパの減衰定数を変更可
能とすること及び、偶力発生手段や振幅増減手段により
振り子を強制的に揺らすことにより、小さな揺れから大
きな揺れに対して構造物2の効果的な制振が可能とな
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば高層建物等
のような構造物の風揺れ等の振動を抑制する制振装置に
関する。
【0002】
【従来の技術】構造物の揺れを抑制する制振装置に関す
る技術には、例えば「特開平1−244001号公報」
に開示されているように、高速回転体の回転軸をモータ
で駆動されるジンバル機構により歳差させることによっ
て発生する偶力(ジャイロモーメント)を、構造物の振
動の大きさに対応して能動的に発生させ、当該制振装置
によって発生された偶力を、構造物の振動を打ち消す方
向に作用させて構造物の振動を抑制する技術等がある。
【0003】このジャイロモーメントによる制振装置
(以下、「ジャイロ制振装置」という)は、例えばタワ
ーやビル等のような高層建物の風振動を抑制するために
当該高層建物に設置されており、制振動作を実行するた
めに常に運転状態にある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】このような従来のジャ
イロ制振装置においては、制振対象となる構造物の大き
さに対応して、大きな偶力を発生させなくてはならず、
構造物が大型になるにつれて高速回転体の大きさや回転
速度も大きくする必要がある。
【0005】しかしながら、この高速回転体は、材料強
度や回転に伴う振動との関係から、大きさや回転速度に
制限が生じるため、大型の構造物に上記のジャイロ制振
装置を適用することは困難となる。
【0006】また、このジャイロ制振装置は、その性能
を発揮させるために常に高速回転体を回転させ、このジ
ャイロ制振装置の構成要素である演算装置やサーボ機構
を運転状態にしておかなければならないため、常に電力
を消費しながら運転準備を整えておく必要があるという
問題がある。
【0007】本発明は上記実状を考慮してなされたもの
で、大型の構造物に適用可能であり、電力消費を抑える
ことが可能であり、構造物の揺れの吸収効果の高い振り
子式の制振装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、請求項1の発明は、建物等の構造物に取付けられ、
少なくとも2個の関節を有する腕によって重りを吊るし
て構成される振り子と、構造物の揺れによって発生する
振り子の振り子運動の速度を減衰させる減衰手段とを具
備した制振装置である。
【0009】従って、請求項1の発明の制振装置におい
ては、減衰手段を設けたことにより、構造物の揺れの振
幅が抑制可能となる揺れの周波数範囲が広くなるため、
構造物の揺れに作用する外力が例えば風揺れ等のように
ランダムであっても有効に揺れを抑制することができ、
構造物の揺れの吸収効果を向上させることができる。な
お、この腕及び減衰手段は、複数設けてもよい。
【0010】ここで、請求項2の発明に示すように、請
求項1記載の制振装置の腕には2つの関節が設けられ、
この腕の関節の間隔をL、重力加速度をg、前記構造物
の揺れの固有周期をTとした場合に、L={T/(2
π)}2 ・gの関係が成り立つように、腕の関節を設け
ることにより、振り子運動の揺れの周期と、構造物の揺
れの周期を一致させることができ、振り子の揺れと構造
物の揺れとの相殺作用を向上させることができる。
【0011】これにより、一層構造物の揺れの吸収効果
を向上させることができる。また、上記各発明の制振装
置の減衰手段は、請求項3の発明で示すように、一端が
関節を介して振り子に接続され、他端が関節を介して構
造物に接続されたダンパとし、このダンパは、当該ダン
パ内部においてピストンで分割されている2つの圧力室
間での流体の移動量を開閉弁によって操作可能であると
することにより、開閉弁の開度によってダンパの減衰定
数を変更できるため、一層適切に構造物の揺れを抑制す
ることができ、構造物の揺れの吸収効果を向上させるこ
とができる。
【0012】また構造物の揺れがこの制振装置の許容範
囲を越えた場合に、開閉弁を閉じることによってこのダ
ンパをロックすることができるため、異状事態を未然に
防止することができる。
【0013】次に、請求項4の発明は、請求項1乃至請
求項3のいずれか1項に記載の制振装置において、腕の
関節の間に偶力発生手段を設け、当該偶力発生手段によ
る偶力の発生を制御する偶力制御手段を具備した制振装
置である。なお、この偶力発生手段は、腕が複数設けら
れている場合には、各腕に設けるとしてもよい。
【0014】また、請求項5の発明では、請求項4記載
の制振装置に設けられる偶力発生手段として、第1の回
転駆動手段によって所定の速度で回転される回転子と、
当該回転子の回転軸を歳差運動させる第2の回転駆動手
段とからなる偶力発生手段を用いている。
【0015】このように、制振装置に偶力発生手段を設
置すると、この偶力発生手段によって発生される偶力に
よって振り子の揺れを大きくすることができるため、構
造物が大型の場合にも、構造物の揺れを抑制することが
できる。
【0016】また、振り子が揺れないような小さな揺れ
であっても、偶力発生手段によって発生される偶力によ
って振り子を振らせることができるため、発生頻度の少
ない構造物の大きな揺れのみではなく、比較的多発する
構造物の小さな揺れも抑制することができる。
【0017】ここで、請求項6の発明に示すように、請
求項5の発明において、腕及び偶力発生手段は複数設置
されており、各偶力発生手段のうち同一方向に偶力を発
生させる2つの偶力発生手段は、互いに第1の回転駆動
手段による回転方向及び第2の回転駆動手段による歳差
運動の方向が逆になるように駆動させることにより、振
り子が揺れて各偶力発生手段が傾いた場合に発生する副
次的な偶力同士を互いに相殺させることができる。
【0018】ゆえに、振り子の揺れによって偶力発生手
段が傾いても、振り子の揺れに影響を与える副次的な偶
力を相殺させることができるため、精度の高い振り子運
動を実現することができ、これにより一層構造物の揺れ
の吸収効果を向上させることができる。
【0019】次に、請求項7の発明は、請求項1乃至請
求項6のいずれか1項に記載の制振装置において、振り
子の振り子運動の振幅を増加又は減少させる振幅増減手
段と、当該振幅増減手段による振り子運動の振幅の増加
量又は減少量を制御する振幅制御手段を具備した制振装
置である。
【0020】また、請求項8の発明では、請求項7記載
の制振装置に設けられる振幅増減手段の例として、ナッ
ト穴を有し重りに設置される少なくとも1つの可動重り
と、当該各可動重りのナット穴に差し込まれる少なくと
も1本のボールネジと、当該各ボールネジを回転させて
可動重りを移動させる少なくとも1つの第3の回転駆動
手段とからなる振幅増減手段を用いている。
【0021】このように、制振装置に振幅増減手段を設
置し、この振幅増減手段によって振り子の振幅を大きく
することで、構造物が大型の場合であっても構造物の揺
れを抑制することができる。
【0022】また、振り子が揺れないような小さな揺れ
であっても、振幅増減手段によって振り子を振らせるこ
とができ、これにより発生頻度の少ない構造物の大きな
揺れのみではなく、比較的多発する構造物の小さな揺れ
も抑制することができる。
【0023】次に、請求項9の発明は、請求項4乃至請
求項8のいずれか1項に記載の制振装置において、構造
物の揺れを検出する手段又は振り子の揺れを検出する手
段の少なくとも一方を付加し、偶力制御手段又は振幅制
御手段は、構造物の揺れを検出する手段からの信号又は
振り子の揺れを検出する手段からの信号の少なくとも一
方に基づいて、制御を行うことを特徴とする制振装置で
ある。
【0024】従って、請求項9の発明の制振装置におい
ては、構造物の揺れを検出する手段又は振り子の揺れを
検出する手段によって正確にそれぞれの揺れの状態が検
出され、偶力制御手段又は振幅制御手段はこの正確に検
出された揺れの状態に基づいて、振り子の揺れを制御し
構造物の揺れを抑制するため、一層構造物の揺れの吸収
効果を向上させることができる。
【0025】次に、請求項10の発明は、請求項9記載
の制振装置において、偶力制御手段又は振幅制御手段
は、構造物の揺れを検出する手段からの信号又は振り子
の揺れを検出する手段からの信号の少なくとも一方に基
づいて、制御ゲインを複数の段階に切り換える制御を行
う制振装置である。
【0026】従って、請求項10の発明の制振装置にお
いては、構造物の揺れが非常に大きく、重りが構造物に
衝突する可能性がある場合に、制御ゲインを下げること
により、重りが構造物に衝突しない範囲で振り子による
制振効果を発揮することができる。
【0027】次に、請求項11の発明は、請求項4乃至
請求項10のいずれか1項に記載の制振装置において、
偶力制御手段又は振幅制御手段は、偶力発生手段又は振
幅増減手段を、制振動作停止の状態である制振停止状態
とするか、制振動作実行可能な状態である制振準備状態
とするか、制振動作を実行している状態である制振実行
状態とするかを判定する状態判定機能を有する制振装置
である。
【0028】従って、請求項11の発明の制振装置にお
いては、状態判定機能が当該制振装置を制振停止状態に
すると判定した場合には、この制振装置の電源をOFF
することができるため、電力消費を抑えることができ
る。
【0029】次に、請求項12の発明は、請求項1乃至
請求項11のいずれか1項に記載の制振装置において、
振り子運動による重りの変位に応じて、当該重りの変位
を抑制する力を発生する手段、又は振り子運動による重
りの変位に応じて、重りの変位を増加する力を発生する
手段の少なくとも一方を付加した制振装置である。
【0030】従って、請求項12の発明の制振装置にお
いては、重りの変位を抑制する力を発生させることによ
り、振り子運動の固有振動数を高くすることができ、一
方重りの変位を増加する力を発生させることにより、振
り子運動の固有振動数を低くすることができる。
【0031】ゆえに、構造物の揺れる方向によって当該
構造物の固有振動数が異なる場合でも、この重りの変位
を抑制する力又は重りの変位を増加する力によって、制
振装置の固有振動数を調整することができる。
【0032】また、重りの変位を増加する力を発生させ
ることにより振り子の固有振動数を低くすることができ
るため、振り子の腕の長さが構造物の制約により長くと
れない場合にも制振効果を発揮することができる。
【0033】最後に、請求項13の発明は、請求項4乃
至請求項12のいずれか1項に記載の制振装置におい
て、正弦波発生手段を付加し、偶力制御手段又は振幅制
御手段は、正弦波発生手段からの信号に基づいて、構造
物の揺れを増加させるように制御する加振機能を有する
制振装置である。
【0034】従って、請求項13の発明の制振装置にお
いては、構造物の固有周波数又は振り子の固有周波数
と、加振機能の周波数とを一致させて構造物を大きく揺
らすことにより、構造物の振動検査や調査に利用するこ
とができる。
【0035】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て図面を参照して詳細に説明する。 (第1の実施の形態)本実施の形態においては、構造物
の内部で複数の関節を有する少なくとも1本の腕によっ
て重りを吊るして構成される振り子と、構造物が揺れた
際に発生する振り子のの振り子運動の速度を減衰させる
ための減衰装置を設けた制振装置について説明する。
【0036】なお、ここでいう振り子運動とは、振り子
が構造物と腕との接続点(以下、「固定点」という)の
まわりにほぼ一定の周期で行う運動をいい、固定点と重
りとがほぼ一定の距離を保った状態で、この重りの位置
が自由に移動する運動をいう。
【0037】図1は、本実施の形態に係る制振装置を示
す正面図である。重り1は、制御対象である構造物2の
大きさや重さに対応して定められており、ここでは直方
体状に成形されている。
【0038】また、この重り1は4本の腕3によって構
造物内部に吊り下げられており、この重り1と4本の腕
3によって振り子が構成されているが、図1において
は、正面側の2本の腕3のみを示している。この4本の
各腕3には、それぞれ2つのヒンジ(関節)4が設けら
れている。
【0039】図2は、このヒンジ4の構造を説明するた
めの図であり、ヒンジ4の上半部を断面した正面図であ
る。ヒンジ4は2重のピン構造からなり、正面に垂直な
第一の方向(紙面方向)、及び側面に垂直な第2の方向
(紙面方向に対して垂直な方向)に回転する自由度を有
しており、このヒンジ4により腕3があらゆる方向に可
動する。
【0040】このヒンジ4の具体的な構成としては、第
1のピン4aが回転軸となり腕3を第1の方向へ回転自
由に支持しており、同様に第2のピン4bが回転軸とな
り腕3を第2の方向へ回転自由に支持しており、この第
1のピンと第2のピンは継ぎ手4cを介して接続されて
いる。
【0041】すなわち、腕3及びヒンジ4の構成要素の
接続関係を上方から下方に示すと、腕3が第1のピン4
aと接続され、第1のピン4aが継ぎ手4cと接続さ
れ、継ぎ手4cが第2のピン4bと接続され、第2のピ
ン4bが腕3と接続される。
【0042】各腕3に上記の構成のヒンジ4が設けられ
ることにより、重り1は第1の方向及び第2の方向に運
動自由となり、振り子によるあらゆる方向への振り子運
動が可能となる。
【0043】ここで、各腕3の2箇所のヒンジ4の間隔
をL、重力加速度をg、構造物2の揺れの固有周波数を
f、円周率をπ、構造物2の揺れの固有周期をTとする
と、下記の(1)式が成り立つ。
【0044】
【数1】
【0045】この(1)式を2乗すると下記の(2)式
が求まる。 L={T/(2π)}2 ・g …(2) ヒンジ4の間隔Lが(2)式によって求まる値とされた
場合には、この制振装置は、振り子の揺れの周期と構造
物2の揺れの周期Tが一致し、いわゆる動吸振器として
動作する。この動吸振器とは、構造物2の揺れの固有振
動数に同調した揺れ周期を有する振動体を設けるもの
で、この振動体によって構造物の揺れを吸収して抑制す
るものである。
【0046】また、この制振装置には、上方又は下方よ
り重り1を見た場合のほぼ対角方向に、振り子運動の速
度を減衰させる4つのオイルダンパ5が設置されている
が、図1においてはこの状態を簡略化し、正面側の2つ
のオイルダンパ5のみを示している。
【0047】この各オイルダンパ5は、一端がヒンジ4
を介して重り1の下部の凸部1aと接続されており、他
端がヒンジ4を介して構造物2の静止端と接続されてい
る。以上のような構造を持つ制振装置において、構造物
2が風や地震等によって図3のように揺れた場合には、
制振装置の振り子が振り子運動を行うが、構造物2の揺
れと制振装置の振り子の揺れとが互いに相殺されるた
め、構造物2の揺れが抑制される。
【0048】風は、構造物2に様々な方向から吹き付け
るが、振り子はあらゆる方向に対して振り子運動可能で
あるため、構造物2のいずれの方向の揺れに対しても、
本実施の形態に係る制振装置は制振作用を及ぼし、特に
高層建物の風揺れの制振に威力を発揮する。
【0049】図4は、この制振装置による制振結果を示
す図である。ここで、図4(a)は、制振装置のない構
造物2を加振した場合の当該構造物2における振動周波
数と振動振幅の関係を示している。
【0050】周波数f0 は構造物2が有する固有周波数
であり、加振周波数がこの周波数f0 と一致すると大き
な振動となる。図4(b)は、本実施の形態に係る制振
装置のオイルダンパ5のみを削除した制振装置を構造物
2に設置して加振した場合の当該構造物2における振動
周波数と振動振幅の関係を示している。
【0051】この場合、構造物2の固有周波数f0 にお
ける振動振幅はかなり小さくなるが、この固有周波数f
0 よりわずかに低い周波数とわずかに高い周波数におい
ては振動振幅が大きくなる。この図4(b)において振
動振幅がピークとなる周波数は、構造物2そのものと振
り子の重り1の質量比で異なってくる。
【0052】従って、風揺れ等のように構造物2に作用
する外力が比較的ランダムな場合には、構造物2の振動
周波数もランダムとなるため、オイルダンパ5のみを削
除した制振装置では、あまり良好な制振効果を得ること
ができない。
【0053】図4(c)は、本実施の形態に係る制振装
置を構造物2に設置して加振した場合の当該構造物2に
おける振動周波数と振動振幅の関係を示しており、オイ
ルダンパ5の減衰効果により振動振幅が全体的にかなり
低くなっている。
【0054】従って、ランダムな風等の外力が構造物2
に作用しても、有効な制振効果を得ることができる。以
上のように、本実施の形態に係る制振装置においては、
重り1をそれぞれ2つの関節を有する4本の腕3によっ
て吊るして振り子を構成し、構造物2の揺れに伴う振り
子運動の速度に比例した減衰力を与えるオイルダンパ5
を設けることにより、構造物2の固有周波数f0 におけ
る振動振幅のみではなく、その他の周波数に対しても振
動振幅を抑制することができる。
【0055】すなわち、構造物2の揺れ幅を抑制可能な
周波数範囲が広くなるため、構造物2の揺れに作用する
外力が例えば風揺れ等のようにランダムであるために、
構造物の揺れの周波数がランダムになっても有効に揺れ
を抑制することができる。
【0056】また、本実施の形態に係る制振装置におい
ては、各腕の関節の間隔Lを(2)式により決定するこ
とにより、振り子の揺れの周期と構造物の揺れの周期を
一致させることができる。
【0057】したがって、本実施の形態に係る制振装置
は、構造物2との間でいわゆる振り子式の動吸振器とし
て作用することが可能となり、一層構造物2の揺れを抑
制することができる。
【0058】ここで、動吸振器とは、構造物2の揺れの
固有周波数に同調した揺れ周期を有する振動体を有する
ものであり、構造物2の揺れを振動体が吸収して抑制す
るものである。
【0059】なお、本実施の形態に係る制振装置におい
ては、腕3の数を4本、ヒンジ4を腕3毎に2つずつ設
けたが、これに限定されるものではなく、腕3の数は1
本以上であればよく、ヒンジ4の数は腕3毎に2つ以上
あればよい。
【0060】また、本実施の形態に係る制振装置におい
ては、振り子の重り1の速度に比例した減衰力を与える
減衰装置として4本のオイルダンパ5を用いているが、
これに限定されるものではなく、他の流体によるダンパ
や摩擦力を用いたダンパ等のような様々な減衰装置を用
いることができる。
【0061】さらに、本実施の形態に係る制振装置にお
いては、重り1の形状を直方体状としたが、これに限定
されるものではなく、この重り1は様々な形状とするこ
とができる。
【0062】(第2の実施の形態)本実施の形態におい
ては、減衰装置であるオイルダンパの減衰定数を変更可
能な制振装置について説明する。
【0063】図5は、一般的なオイルダンパと、本実施
の形態に係る制振装置に適用されるダッシュポット式の
オイルダンパの違いを示す断面図である。図5(a)
は、一般的なオイルダンパ17の断面図を示しており、
オリフィス17aを有するピストン17b、このピスト
ン17bのまわりのピストンリング17c、ピストンロ
ッド17d、ピストンロッド17dの軸封装置17e、
筒状ケーシング17f、ケーシングロッド17gから構
成されている。
【0064】このオイルダンパ17は、ピストンロッド
17d側の圧力室17hと、ケーシングロッド17g側
の圧力室17iがピストン17bによって区切られてお
り、ピストンロッド17dとケーシングロッド17gの
相対速度に対し、一方の圧力室17h又は17iに充満
している油が押されてピストン17bのオリフィス17
aを通って他方の圧力室17i又は17hに流れる仕組
みを持つ。
【0065】これにより、ピストンロッド17dの軸方
向速度に応じて、抵抗力を発生し、減衰力が発生され
る。図5(b)は、本実施の形態に係る制振装置に適用
されるオイルダンパ18の断面図を示しており、図5
(a)と同一の部分には同一の符号を付している。
【0066】このオイルダンパ17のピストン18aに
は、オリフィス17aが設けられておらず、その代わり
に、圧力室17hと圧力室17iの双方からそれぞれ圧
力配管18bが引き出され、この圧力配管18b同士が
電磁弁18cによって接続されている。
【0067】電磁弁18cは、上位の制御装置や操作者
等による指令等のような外部からの指令(例えば印加電
圧)に従って、開度の調整がなされ、この開度の調整に
よりオイルダンパ18の抵抗力の変更が可能であり、減
衰定数の変更が可能である。
【0068】以上説明したように、従来のオイルダンパ
17においては減衰定数の調整が不可能であったが、本
実施の形態に係る制振装置に適用されるオイルダンパ1
8においては、外部からの指令に基づいて電磁弁18c
の開度を調整することにより減衰定数を調節可能であ
り、また電磁弁18cを全閉することによりオイルダン
パ18をロックすることができる。
【0069】従って、このオイルダンパ18を適用した
制振装置においては、構造物2の揺れの大きさにより振
り子運動に対する減衰力を変更できる。さらに、地震等
の突然の大揺れにより、制振装置の振り子運動のストロ
ークが許容範囲を越えた場合に、このオイルダンパ18
をロックして振り子の揺れを機械的に停止させること
で、重り1が構造物2の壁に衝突する等のような異常事
態を未然に防止することができる。
【0070】なお、本実施の形態においては、減衰装置
にオイルによるダンパを用いた場合を例として説明した
が、これに限定されるものではなく、ダンパの圧力室1
7h、17iの内部物質として、オイルに代えて様々な
流体(液体、気体)を用いることができる。
【0071】(第3の実施の形態)第1の実施の形態に
係る制振装置は、パッシブ制振(受動制振)であり、構
造物2の揺れを受動的に抑制するものである。このよう
なパッシブ制振を設計する場合には、数十年に一度発生
するかもしれない大変大きな揺れを想定して設計される
ことが多く、台風等によって発生する比較的発生件数の
多い通常レベルの風揺れでは十分に効力を発揮すること
が困難な場合がある。
【0072】しかしながら、通常レベルの風揺れに対し
てもこの制振装置を利用可能とすることで、当該装置に
よる構造物の揺れの吸収効果の向上が図れる。そこで、
本実施の形態においては、振り子の揺れを強制的に増幅
させるアクチュエータを設置した制振装置について説明
する。
【0073】図6は、本実施の形態に係る制振装置を示
す図であり、図1と同一の部分には同一の符号を付して
その説明を省略する。ここで、図6(a)は本実施の形
態に係る制振装置の正面図を、図1と同様の条件により
示している。
【0074】また、図6(b)は本実施の形態に係る制
振装置の上面図を示している。各腕3のヒンジ4の中間
部分には、ジャイロモーメントによる偶力発生装置6が
設置されている。
【0075】この各偶力発生装置6は、図示しない偶力
制御装置によって、構造物2の揺れや重り1の揺れに基
づいて制御され、この図示しない偶力制御装置によって
制御される各偶力発生装置6により振り子の揺れが増幅
される。
【0076】偶力発生装置6は、時計周り又は反時計周
りの偶力Pを発生可能である。本実施の形態において
は、上方より重り1を見た場合の一方の対角位置の腕3
に設置されている偶力発生装置6の組は、正面と平行に
偶力Pを発生させ、他方の対角位置の腕3に設置されて
いる偶力発生装置6の組は、側面と平行に偶力Pを発生
させるように設置されている。
【0077】一方の対角位置の腕3に設置されている偶
力発生装置6の組は、正面と平行な方向の偶力Pを発生
させるため第2の方向に振り子を揺らす作用を持ち、他
方の対角位置の腕3に設置されている偶力発生装置6の
組は、側面と平行な方向の偶力Pを発生させるため第1
の方向に振り子を揺らす作用を持つ。
【0078】図7は、本実施の形態に係る偶力発生装置
6の断面図である。高速モータ6aは、当該高速モータ
6aの回転軸の両端に設けられた2つの回転子6bを高
速回転させる。
【0079】この高速モータ6aのフレームには軸6c
が取付けられており、この軸6cの両端は偶力発生装置
6の外枠6dに設けられてる2つの軸受け6eに回転可
能に支持されている。
【0080】また、この軸6cの一端には減速機付きサ
ーボモータ6fの回転軸が接続され、この減速機付きサ
ーボモータ6fは高速モータ6a及び2つの回転子6b
を歳差運動させる。
【0081】この減速機付きサーボモータ6fによる歳
差運動とは、まず軸6cを回転軸として高速モータ6a
及び2つの回転子6bを一方の側へ所定の角度回転さ
せ、その後軸6cを最初の状態に戻し、続けて軸6cを
回転軸として高速モータ6a及び2つの回転子6bを他
方の側へ所定の角度回転させ、その後軸6cを最初の状
態に戻し、この動作を繰り返す運動をいう。
【0082】ここで、回転子6bの回転速度をΩ、回転
子6b全体の回転慣性モーメントをJ、減速機付きサー
ボモータ6fにより回転される軸6cの角速度をωとす
ると、図中の矢印の方向に発生する偶力Pの大きさは、
角速度ωが比較的小さい範囲において下記の(3)式で
求められる。
【0083】
【数2】
【0084】このように、偶力Pは、回転子6bの慣性
モーメントJ、あるいは回転速度Ωが大きいほど大きく
なり、減衰機付きサーボモータ6fの回転方向、すなわ
ち軸6cの角速度ωの回転方向により偶力Pの発生方向
を変えることができる。
【0085】以上のように、本実施の形態に係る制振装
置においては、第1の実施の形態に係る制振装置の効果
に加えて、偶力発生装置6によって発生される偶力Pに
よって振り子の揺れを増幅させることができる。
【0086】ゆえに、振り子が揺れないような比較的小
さな振動であっても偶力発生装置6によって発生される
偶力Pによって振り子を揺らすことができるため、構造
物2の制振効果を発揮することができ、制振装置の制振
効果の向上を図ることができる。
【0087】また、このような振り子による制振装置に
おいては、振り子の揺れを増幅可能であるため、構造物
2が大型の場合にもこの構造物2の揺れを抑制すること
ができる。
【0088】なお、本実施の形態に係る制振装置におい
ては、振り子の揺れを増幅させる装置に偶力発生装置6
を用いているが、これに限定されるものではなく、他の
装置によって振り子の揺れを増幅させてもよい。
【0089】また、本実施の形態に係る制振装置の偶力
発生装置6においては、振り子の揺れを増幅させる場合
についてのみ説明しているが、これに限定されるもので
はなく、振り子の揺れを抑制させる場合もある。
【0090】(第4の実施の形態)本実施の形態におい
ては、同一方向の偶力Pを発生させる偶力発生装置の組
では、互いに回転子6bの回転方向及び軸6cの歳差方
向を逆にする制振装置について説明する。
【0091】図8は、本実施の形態に係る制振装置にお
ける偶力発生装置6の設置状態を示す正面図であり、こ
こでは正面側の2本の各腕3に、正面と平行な偶力Pを
発生させる偶力発生装置6が設置されている場合を例と
して示している。
【0092】なお、この図8においては、偶力発生装置
6を簡略化して示しており、この図8は、図6及び図7
と同様の条件で示されている。また、図8において、図
6及び図7と同一の部分については同一の符号を付して
その説明を省略し、ここでは異なる部分についてのみ詳
しく説明する。
【0093】ここで、2つの偶力発生装置6は、同一の
方向(正面と平行な方向であり、正面から見て時計周
り)に偶力Pを発生させている状態を示しているが、回
転子6bの回転方向は互いに逆方向であり、かつ減速機
付きサーボモータ6fによって歳差される軸6cの歳差
方向も互いに逆方向としている。
【0094】各偶力発生装置6によって発生される偶力
Pは、上記の(3)式で示されるように、回転子6bの
回転速度Ω、回転子6b全体の回転慣性モーメントJ、
減速機付きサーボモータ6fにより回転される軸6cの
角速度ωの積で与えられるため、回転子6bの回転方向
及び軸6cの歳差方向が互いに逆でも、発生する偶力P
の方向は同一となる。
【0095】すなわち、偶力発生装置6は、設置される
方向が同一であり、回転子6bの回転方向及び軸6cの
歳差方向の双方が逆方向の場合には、同一方向の偶力P
を発生する。
【0096】この各偶力発生装置6においては、振り子
の揺れに伴う腕3の傾きによって、回転子6bに対して
も、正面に直角な軸まわりの微少な角速度が与えられ、
これにより副次的な偶力P1 、P2 が発生するが、この
副次的な偶力P1 、P2 は互いに逆方向であるため、相
殺され、振り子の運動には何等影響を与えない。
【0097】図9は、上記のような腕3の傾きにより発
生する偶力P1 、P2 の関係を示す図であるが、ここで
は重り1、腕3、偶力発生装置6、回転子6b以外の要
素は省略して示している。
【0098】以上のように、振り子が揺れて各回転子6
bの回転軸を傾けた場合には、副次的な偶力P1 、P2
が発生し、この副次的な偶力P1 、P2 は振り子を揺ら
すために能動的に発生させる偶力ではないため、振り子
の運動に悪影響を与える可能性がある。
【0099】しかし、ここで示すように、同一方向に偶
力Pを発生させる各偶力発生装置6の回転子6bの回転
方向及び軸6cの歳差方向を互いに逆向きにすることに
より、副次的に発生する偶力P1 、P2 が互いに相殺さ
れるため、適切に振り子を揺らすことができる。
【0100】(第5の実施の形態)本実施の形態におい
ては、振り子運動の振幅を増加又は減少させる振幅増減
装置を制振装置に設置することで、振り子の揺れを増幅
可能とし、小さな揺れに対しても制振効果を発揮する制
振装置について説明する。
【0101】図10は、本実施の形態に係る制振装置の
構成を示す図であり、図1と同一の部分には同一の符号
を付してその説明を省略する。また、この図10は、図
6と同様の条件により示している。
【0102】図10(a)は本実施の形態に係る制振装
置の正面図を示しているが、振幅増減装置に関しては簡
略化して正面部分のみを示している。また、図10
(b)は本実施の形態に係る制振装置の上面図を示して
いる。
【0103】可動重り7は、重り1を上面から見た場合
の各辺に対して平行に移動可能であり、ナット穴を有す
る。この可動重り7のナット穴には、ボールネジ8が貫
通されており、このボールネジ8の両端は軸受け9によ
って回転可能に支持されている。
【0104】また、このボールネジ8の一端には減速機
付きサーボモータ10が設けられており、この減速機付
きサーボモータ10の回転動作によって、ボールネジ8
が回転され、可動重り7が移動される。
【0105】各減速機付きサーボモータ10は、図示し
ない振幅制御装置によって制御されており、この図示し
ない振幅制御装置によって、構造物2の揺れや振り子の
揺れに応じて各減速機付きサーボモータ10が制御さ
れ、これにより振り子の揺れの増幅度が制御される。
【0106】すなわち、この可動重り7の移動によって
発生する慣性力によって、振り子の揺れが増幅される。
本実施の形態に係る制振装置では、前面側及び後面側の
可動重り7の移動によって第2の方向への振り子の揺れ
が増幅され、側面側の可動重り7の移動によって第1の
方向への振り子の揺れが増幅される。
【0107】以上のように、本実施の形態に係る制振装
置においては、振幅増減装置によって振り子運動の振幅
を増幅可能であるため、通常振り子が揺れない比較的小
さな振動に対しても制振効果を発揮することができ、制
振装置の制振効果の向上を図ることができる。
【0108】また、このような振り子による制振装置に
おいては、振り子の揺れを増幅可能であるため、構造物
2が大型の場合にもこの構造物2の揺れを抑制すること
ができる。
【0109】さらに、本実施の形態に係る制振装置の振
幅増減装置においては、振り子の揺れを増幅させる場合
についてのみ説明しているが、これに限定されるもので
はなく、振り子の揺れを抑制させる場合もある。
【0110】(第6の実施の形態)本実施の形態におい
ては、第3及び第4の実施の形態において説明した偶力
発生装置6を制御する偶力制御装置や、第5の実施の形
態において説明した振幅増減装置を制御する振幅制御装
置で実行される制御処理について詳細に説明する。
【0111】なお、以下においては、第3及び第4の実
施の形態における偶力制御装置の制御処理を例に挙げて
説明するが、第5の実施の形態における振幅制御装置の
制御処理も同様である。
【0112】図11は、本実施の形態に係る制振装置の
振り子と偶力制御装置の配置関係を示した構造物2の断
面図であり、図6と同一の部分には同一の符号を付して
その説明を省略し、ここでは異なる部分についてのみ説
明する。また、この図11では振り子の部分を簡略化し
て示している。
【0113】振り子及び偶力制御装置11は、構造物2
の上部付近に設置されている。この偶力制御装置11
は、構造物2の揺れを検出する構造物揺れ検出センサ、
振り子の揺れを検出する振り子揺れ検出センサ、偶力発
生装置6の軸6cの振り角を検出する軸振り角センサか
らの入力に基づいて、各腕3に設置されている偶力発生
装置6を制御する。
【0114】図12は、本実施の形態に係る偶力制御装
置11の制御手順を示すブロック図である。まず、構造
物揺れ検出センサによって検出された構造物2の第1の
方向の揺れ信号及び第2の方向の揺れ信号、振り子揺れ
検出センサによって検出された振り子の第1の方向の揺
れ信号及び第2の方向の揺れ信号、各偶力発生装置6の
軸振り角センサによって検出された軸振り角信号が偶力
制御装置11に入力される。
【0115】この入力された各信号は、A/D変換器1
2によってアナログ信号からデジタル信号に変換されて
デジタル計算機(例えばCPU)13に出力される。デ
ジタル計算機13においては、各信号に基づいて各偶力
発生装置6の減速機付きサーボモータ6fの運転指令信
号が求められ、D/A変換器14によってデジタル信号
からアナログ信号に変換されて各偶力発生装置6に出力
される。
【0116】各偶力発生装置6においては、入力した運
転指令信号に基づいて減速機付きサーボモータ6fが駆
動される。ここで、構造物2の第1の方向の変位をX、
第2の方向の変位をY、振り子の第1の方向の変位をV
X 、第2の方向の変位をVY 、各軸6cの第1の方向の
振り角をθX 、各軸6cの第2の方向の振り角をθY
すると、デジタル計算機13では、偶力発生装置6の減
速機付きサーボモータ6fへの運転指令(減速機付きサ
ーボモータ6fへの速度指令)を求めるために、下記の
(4)式、(5)式が実行される。
【0117】 PX =G1 ・X+G2 ・VX +G3 ・θX …(4) PY =G1 ・Y+G2 ・VY +G3 ・θY …(5) ここで、PX 、PY は第1の方向、第2の方向に振り子
を動かすアクチュエータ(ここでは偶力発生装置)のサ
ーボ指令値であり、G1 、G2 、G3 は予め設定された
比例定数(制御ゲイン)である。
【0118】この制御処理において、G1 ・X及びG1
・Yの項は構造物2の揺れに応じて振り子を駆動させ、
この振り子の動作により制振力を得るためのものであ
り、基本的にこの制御処理により構造物2に対する制振
効果が得られる。
【0119】G2 ・VX 及びG2 ・VY の項は、振り子
の重り1に減衰力を付与するためのものであり、重り1
の下部に設置したオイルダンパ5の減衰効果を補強する
効果がある。
【0120】G3 ・θX 及びG3 ・θY の項は、偶力発
生装置6の軸6cの回転速度を制御するためのものであ
る。偶力発生装置6により振り子の重り1に作用する力
X 、FY (FX :一方の方向、FY :他方の方向)
は、偶力が減速機付きサーボモータ6fの出力軸の角速
度ωに比例することから、下記の(6)式、(7)式で
示すことができる。
【0121】 FX =AX ・(G1 ・X+G2 ・VX +G3 ・θX ) …(6) FY =Ay ・(G1 ・Y+G2 ・Vy +G3 ・θY ) …(7) なお、AX 、AY は比例定数である。
【0122】以上のように、本実施の形態に係る制振装
置においては、構造物揺れ検出センサ、振り子揺れ検出
センサ、各偶力発生装置6の軸振り角センサによって検
出された信号に基づいて、偶力発生装置6によって発生
される偶力Pを偶力制御装置11によって制御するた
め、単なる受動的な動吸振器としての振り子式制振装置
よりも一層高い制振効果を発揮することができる。
【0123】なお、本実施の形態に係る制振装置におい
ては、偶力制御装置11の制御処理について説明した
が、振幅制御装置の制御処理も同様の動作によって同様
の効果を得ることができる。
【0124】(第7の実施の形態)本実施の形態におい
ては、制御ゲインが変更可能な制振装置について説明す
る。
【0125】制御ゲインは、通常固定された数値であ
り、この制御ゲインは、一般的に、滅多に起こり得ない
非常に大きな揺れを想定して決定されるが、このように
滅多に起こり得ない大きな揺れを想定して制御ゲインを
決定した場合、通常の風揺れ等のような比較的小さい揺
れに対して十分な制振効果を発揮でない場合がある。
【0126】一方、通常レベルの揺れに対応して制御ゲ
イン値を決定すると、万一の大きな揺れには対応できな
くなる場合がある。そこで、本実施の形態では、制振装
置に、構造物2の揺れの大きさに基づいて制御ゲインを
変更する制御ゲイン変換機能を具備する。
【0127】図13は、制御ゲイン変換機能による制御
ゲインと構造物2の揺れの大きさの関係を示している。
制御ゲインが大きい場合には、振り子は大きな振幅を持
つことができ、逆に制御ゲインが小さい場合には、振り
子は大きな振幅を持つことができない。
【0128】ここで、制御ゲインが大きくて振り子が大
きな振幅を持つことができる状態にある場合に、構造物
2が大きく揺れると振り子の重り1が構造物2の壁に衝
突する可能性がある。
【0129】したがって、この制御ゲイン変換機能にお
いては、構造物2の揺れが大きい場合に、重り1が構造
物2の壁に衝突しない範囲で振動可能なように制御ゲイ
ンを小さくする。
【0130】すなわち、この制御ゲイン変換機能におい
ては、構造物2の揺れが最も小さい範囲ではゲインレベ
ル5で示される高い制御ゲインが決定される。構造物2
の揺れが大きくなるにつれて、ゲインレベル4→ゲイン
レベル3→ゲインレベル2→ゲインレベル1と低い制御
ゲインが設定され、制振装置の制振能力を越えるほど構
造物2の揺れが大きくなると、制御ゲイン変換機能によ
って制御ゲイン値0が決定され、制御が停止される。
【0131】以上のような制御ゲイン変換機能を制振装
置に組込んでおくことにより、自動的に制御ゲインを変
更し、構造物2の揺れの大きさに関係なく、制振装置の
制振効果を得ることができる。
【0132】ただし、この制御ゲイン変換機能による制
御ゲインの変更が頻繁に発生すると制御上の不安定現象
を生ずる可能性があるため、例えば所定の時間の揺れを
検出し、その所定時間内で揺れの最大値が所定のしきい
値以下であれば、制御ゲイン値を高い方に変更する等の
ように、制御ゲイン変換機能は、変更が頻繁に発生しな
いような監視を行うとする。
【0133】また、この構造物2の揺れが急激に大きく
なった場合には、この制御ゲイン変換機能は、直ちに制
御ゲインを下げて制振装置の過大な反応を防止するとす
る。なお、本実施の形態においては、制御ゲインの変更
を判断する基準として構造物2の揺れの大きさを用いて
いるが、これに限定されるものではなく、振り子の揺れ
の大きさ、又は構造物2の揺れの大きさと振り子の揺れ
の大きさの双方を基準として制御ゲインを変更してもよ
い。
【0134】また、この制御ゲイン変換機能は、例えば
偶力制御装置11や振幅制御装置に付加するとしてもよ
いし、専用のハードウェアによるとしてもよい。 (第8の実施の形態)本実施の形態においては、減衰装
置の減衰定数の非線型性を考慮して制御ゲインを変更す
る制振装置について説明する。ここでは、減衰装置にオ
イルダンパが用いられている場合を例として説明する
が、これに限定されるものではなく、様々な減衰装置に
対して同様に適用することができる。
【0135】先に述べた第1乃至第7の実施の形態に係
る制振装置において、オイルダンパ5は構造物2の揺れ
を抑制させるための重要な要素であるが、一般的なオイ
ルダンパ5の減衰定数(振り子運動の揺れの速度に比例
して発生する力との比例定数)は、非線形性があり、揺
れの小さい範囲では大きく、揺れの大きい範囲では小さ
くなる。すなわち、オイルダンパ5は、振り子の揺れの
大きさによって減衰効果が変化する。
【0136】このオイルダンパ5による減衰効果の変化
を補うのが、(6)式及び(7)式における右辺第2項
であり、その大きさは制御ゲインG2 により決定され
る。従って、この制御ゲインG2 を変更することによ
り、オイルダンパ5の減衰効果の変化を補うことが可能
である。
【0137】当該制御ゲインG2 を変更する場合の処理
は、第9の実施の形態における制御ゲイン変更機能処理
と同様に行うが、本実施の形態の場合には、図14に示
すように、振り子の揺れの大きさによって制御ゲインG
2 を変更する。すなわち、本実施の形態においては、制
御ゲインG2 の変更のリファレンス信号として、振り子
の揺れの大きさを用いる。なお、本実施の形態において
は、振り子の振動周波数はほぼ単一と考えられるから、
制御ゲインG2 の変更のリファレンス信号としては、振
り子の揺れの大きさに代えて、例えば重り1の変位、速
度、加速度等を用いてもよい。
【0138】以上のように、本実施の形態によれば、振
り子の揺れの大きさに対応して制御ゲインG2 を変更す
ることで、オイルダンパ5等のような減衰装置の減衰定
数の変化に影響されずに、構造物2の揺れを抑制するこ
とができる。
【0139】ゆえに、振り子の揺れの大きさに関係な
く、常に最適な制振効果を得ることができる。また、構
造物2の揺れの特性が、揺れる方向によって異なる場合
においても、各方向で制御ゲインG2 を個別に設定する
ことにより、揺れる方向に関係なく制振効果を発揮する
ことができる。
【0140】さらに、この制御ゲイン制御ゲインG2
設定する機能は、例えば偶力制御装置11や振幅制御装
置に付加するとしてもよいし、専用のハードウェアによ
るとしてもよい。
【0141】(第9の実施の形態)第3乃至第6の実施
の形態等で示したように、偶力発生装置6又は振幅増減
装置のような駆動機構や、偶力制御装置11又は振幅制
御装置のような制御機構を制振装置に設置した場合に
は、常に電力を消費する。
【0142】従って、当該制振装置が、発生確率の低い
風揺れ等を制振対象とする場合に、この制振装置を常時
運転するのは不経済となる。そこで、本実施の形態にお
いては、外部からのトリガー信号により、制振準備、制
振実行、制振停止の3段階の状態に変化することで、消
費電力を低減させる制振装置について説明する。
【0143】この3段階の状態のうち、制振準備とは、
制御機構が駆動機構に準備をさせてスタンバイしている
状態をいう。この制振準備の具体例としては、偶力発生
装置6を有する制振装置においては、回転子6bが起動
して一定回転しているが軸6cは歳差運動をしていない
状態をいい、振幅増減装置を有する制振装置において
は、可動重り7の位置を検出して予め可動域の中央にこ
の可動重り7を待機させ、減速機付きサーボモータ10
が生きている状態にしておく(駆動機構のイニシャリン
グを行っておく)状態をいう。
【0144】次に、制振実行とは、制振装置が制振動作
を行っており、構造物2の揺れを制振している状態をい
う。次に、制振停止とは、偶力発生装置6や振幅増減装
置の全ての動作を停止した状態をいい、具体例として
は、偶力発生装置6を有する制振装置においては、回転
子6bの回転を停止させた状態をいい、振幅増減装置を
有する制振装置においては、減速機付きサーボモータ1
0のサーボを解除した状態をいう。
【0145】図15は、本実施の形態に係る3段階の状
態の切り換え条件の一例を示す図であり、構造物2の風
揺れ制振を目的とする制振装置の場合を例として示して
いる。なお、ここでは偶力制御装置において3段階の切
り換えを行う場合を例として説明しているが、振幅増減
装置において3段階の切り換えを行う場合にも同様の処
理が行なわれる。
【0146】この例においては、まず、構造物2の上部
に設置した風速計15によって風速を監視し、10分間
の平均風速が10m/sを越えると自動的に制振停止か
ら制振準備に状態が遷移し、偶力発生装置6の回転子6
bが回転を始める。
【0147】次に、構造物2の揺れを検出している構造
物揺れ検出センサ16による検出値が15mmの揺れを
越えると制振準備から制振実行に状態が遷移し、構造物
2の揺れが10分間に亙って10mm以下になった場合
に、制振実行から制振準備に状態が遷移し、再び制振実
行への条件が成り立つと制振実行に状態が遷移する。
【0148】そして、制振準備の状態において、風速計
15による10分間の平均風速が20分間に亙って風速
8m/s以下になった場合に、制振停止に状態が遷移す
る。以上のように、本実施の形態に係る3段階の状態を
制振装置に適用することにより、制振動作が必要とされ
る場合にのみ構造物2の制振がなされるため、通常時の
消費電力を大幅に低減させることができ、この制振装置
の運転経費を節約することができる。
【0149】なお、3段階の動作の遷移条件は、上記の
ものに限定されず、様々な条件が適用できる。例えば上
記のように風速計15を用いることなく、図16に示す
ように他の条件を用いてもよい。
【0150】この他の条件においては、構造物揺れ検出
センサ16のみが用いられており、10分間の平均の揺
れが5mmを越えると自動的に制振停止から制振準備に
状態が遷移し、次に、構造物揺れ検出センサ16による
検出値が15mmの揺れを越えると制振準備から制振実
行に状態が遷移し、構造物2の揺れが10分間に亙って
10mm以下になった場合に、制振実行から制振準備に
状態が遷移し、さらに、制振準備の状態において、10
分間の平均の揺れが20分間に亙って4mm以下になっ
た場合に、制振停止に状態が遷移している。
【0151】上記の例においては、3段階の状態変化の
リファレンス信号として揺れの変位を用いているが、こ
れに限定されるものではなく、例えば揺れの速度、加速
度を用いてもよい。
【0152】(第10の実施の形態)第1乃至第9の実
施の形態に係る制振装置においては、構造物2の揺れを
制限する制振機能のみを有するものであったが、本実施
の形態に係る制振装置は、制振機能に加えて、構造物2
の揺れの特性を調査するために構造物2を積極的に加振
する加振機能を付加した制振装置について説明する。
【0153】例えば、高層建物の試験塔等においては、
強い風揺れを模擬して居住者や機器に及ぼす影響を調査
することがある。また、一般の構造物では構造物そのも
のの状態により揺れの固有振動数や減衰状態が微妙に異
なる場合がある。
【0154】このような場合、構造物2の揺れの特性を
調査するために、構造物2を積極的に加振する必要があ
る。図17は、本実施の形態に係る制振装置の加振機能
を示すブロック図であり、偶力制御装置にこの加振機能
を備えた場合を例として示しているが、振幅制御装置に
も同様に備えることで、同様の作用及び効果が得られ
る。
【0155】構造物揺れ検出センサ16、振り子揺れ検
出センサ19、正弦波発生器20より出力された各信号
は、A/D変換器12を介してデジタル計算機13に出
力される。
【0156】このデジタル計算機13においては、制振
機能が動作する場合には、構造物揺れ検出センサ16か
らの信号及び振り子揺れ検出センサ19からの信号に基
づいて、各減速機付きサーボモータ6f又は10等のよ
うな駆動機構(図17においては減速機付きサーボモー
タ6f)を制御するための信号が求られ、この求められ
た信号はD/A変換器14を介して各減速機付きサーボ
モータ6f又は10に出力される。
【0157】これに対し、このデジタル計算機13の加
振機能が動作する場合には、デジタル計算機13は、ま
ず入力する信号を切り換えて正弦波発生器20からの信
号を入力し、次にこの正弦波発生器20からの信号に基
づいた制御演算を実行して各減速機付きサーボモータ6
f又は10を制御するための信号を求め、そして、この
制御信号をD/A変換器14を介して各減速機付きサー
ボモータ6f又は10に出力する。
【0158】この制振装置の加振機能によって構造物2
を加振する場合には、この加振の周波数を構造物2の固
有周波数又は振り子の固有周波数と一致させることによ
り、大きく構造物2を揺らすことができる。
【0159】以上のように、本実施の形態に係る制振装
置においては、制振機能のみではなく、任意の周波数で
構造物2を揺らす加振機能を有しているため、試験等の
ために構造物2の揺れを増幅させることができる。
【0160】なお、本実施の形態に係る制振装置におい
ては、正弦波信号を正弦波発生器20によって発生させ
ているが、これに限定されるものではなく、例えばデジ
タル計算機13の内部で正弦波信号を作成するとしても
よい。
【0161】(第11の実施の形態)本実施の形態にお
いては、第1乃至第10の実施の形態に係る制振装置と
同様の構成に加えて、一端が重り1に接続され、他端が
静止端に接続され、振り子運動による重り1の変位を抑
制する力を発生する変位抑制装置又は振り子運動による
重り1の変位を増加する力を発生する変位増加装置を付
加した制振装置について説明する。
【0162】図18は、本実施の形態に係る制振装置の
構成を示す正面図であり、図6と同様な条件で示されて
おり、図6と同一の部分には同一の符号を付してその説
明を省略する。
【0163】この制振装置の重り1の下部の凸部1aに
は、上方又は下方より重り1を見た場合のほぼ対角方向
に、4つのオイルダンパ5が設置されているが、これと
同様に変位抑制装置であるバネ21も設置されている。
【0164】図17においてはこの状態を簡略化し、正
面側の2つのオイルダンパ5及び正面側の2つのバネ2
1のみを示している。すなわち、各バネ21は、一端が
ヒンジ4を介して重り1の下部の凸部1aと接続されて
おり、他端がヒンジ4を介して静止端と接続されてい
る。
【0165】ここで、重り1を吊る各腕3のヒンジ4同
士の間隔をL、バネ21の全体バネ定数をk、重力加速
度をgとし、さらに円周率をπ、振り子の重り1の質量
をmとすると、この振り子の固有振動数f(Hz)は、
重り1の振幅が小さい場合、下記の(8)式で示され
る。
【0166】
【数3】
【0167】すなわち、バネ21により振り子の固有振
動を調整することができ、例えば構造物2の第1の方向
と第2の方向とで固有振動数が異なる場合には、バネ2
1を調整することによって構造物2の固有振動数が調整
できる。この変位抑制装置を設けることにより、振り子
運動の周期を小さくすることができる。
【0168】さらに、図19の制振装置においては、腕
3の上部に磁力発生装置22を設け、さらに腕3の周り
も磁力発生装置23を設けて、上記の(8)式において
kの値が負となるような装置、すなわち重り1の変位を
増加させる力を発生する変位増加装置を備えており、こ
の変位増加装置によって、振り子の固有振動を大きくす
ることができる。
【0169】ここで、固有振動を大きくすること、すな
わち振り子運動の周期を大きくすることは、振り子の腕
3の長さLを大きくするのと同様の効果がある。従っ
て、振り子の腕の長さLが構造物2の制約により長くと
れない場合等にも十分な制振効果を得ることができる。
【0170】なお、本実施の形態に係る制振装置におい
ては、変位抑制装置の例としてバネ21を用いている
が、これに限定されるものではなく、例えばゴム等の他
の弾性体をもちいてもよい。
【0171】また、本実施の形態に係る制振装置におい
ては、変位増加装置の例として磁力発生装置22、23
を用いているが、これに限定されるものではなく、他の
手法によって変位増加装置を実現してもよい。
【0172】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の制振装置
においては、腕に複数の関節を設け、この腕によってタ
ワーやビル等のような構造物に重りを吊るして振り子を
構成し、構造物の揺れによって発生する振り子の振り子
運動の速度に比例した減衰力を与える減衰手段を振り子
に備えることで、構造物の揺れの周波数がランダムな場
合においても構造物の振幅を適切に抑制可能としてい
る。
【0173】ここで、例えば関節を腕に2つ設け、この
関節の間隔Lを、重力加速度をg、構造物の揺れの固有
周期をTとした場合に、L={T/(2π)}2 ・gと
すると、振り子の揺れる周期と、構造物の揺れる周期が
一致して相殺作用が得られるため、一層構造物の揺れを
抑制することができる。
【0174】また、減衰手段としては、例えばダンパを
用いることができるが、このダンパの減衰定数を変更可
能とすることで、一層効果的に制振が可能であり、構造
物の揺れがこの制振装置の許容範囲を越えた場合には、
ロックすることで異常事態を未然に防止することができ
る。
【0175】さらに、偶力発生手段や、振幅増減手段に
よって振り子を強制的に揺らすことができるため、振り
子が揺れないような小さな揺れに対しても制振効果を得
ることができ、当該制振装置を大型の構造物にも適用す
ることができる。
【0176】さらに、制御ゲインを変更可能とすること
により、状況に適した制振効果を得ることができる。加
えて、状態判定手段の判定結果に基づいて、制振動作を
必要としないと判定された場合に電源を切断し、制振動
作を必要とすると判定された場合に電源を入れることに
より、電力消費を抑制することができ、運用コストを下
げることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による第1の実施の形態に係る制振装置
を示す正面図。
【図2】図1のヒンジの構造を示す部分断面図。
【図3】構造物の揺れの状態を示す図。
【図4】制振装置による制振結果を示す図。
【図5】本発明による第2の実施の形態に係る制振装置
に設けられるダンパの構造を示す断面図。
【図6】本発明による第3の実施の形態に係る制振装置
を示す正面図及び上面図。
【図7】図6の偶力発生装置の断面図。
【図8】本発明による第4の実施の形態に係る偶力発生
装置の設置状態を示す正面図。
【図9】腕の傾きにより発生する副次的な偶力の関係を
示す図。
【図10】本発明による第5の実施の形態に係る制振装
置を示す正面図及び上面図。
【図11】本発明による第6の形態に係る制振装置の振
り子と偶力制御装置の配置関係を示した構造物の断面
図。
【図12】同実施の形態に係る偶力制御装置の制御手順
を示すブロック図。
【図13】本発明による第7の実施の形態に係る制御ゲ
イン変換機能による制御ゲインの値と構造物の揺れの大
きさの関係を示す図。
【図14】本発明による第8の実施の形態に係る制御ゲ
イン変換機能による制御ゲインG2 の値と振り子の揺れ
の大きさの関係を示す図。
【図15】本発明による第9の実施の形態に係る3段階
の状態の切り換え条件の一例を示す図。
【図16】同実施の形態に係る3段階の状態の切り換え
条件の他の例を示す図。
【図17】本発明による第10の実施の形態に係る制振
装置の加振機能を示すブロック図。
【図18】本発明による第11の実施の形態に係る変位
抑制装置を有する制振装置の構成を示す正面図。
【図19】同実施の形態において、変位増加装置を有す
る制振装置の構成を示す正面図。
【符号の説明】
1…重り 2…構造物 3…腕 4…ヒンジ 5、17、18…オイルダンパ 6…偶力発生装置 7…可動重り 8…ボールネジ 9…軸受け 10…減速機付きサーボモータ 11…偶力制御装置 12…A/D変換器 13…デジタル計算機 14…D/A変換器 15…風速計 16…構造物揺れ検出センサ 19…振り子揺れ検出センサ 20…正弦波発生器 21…バネ

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 建物等の構造物に取付けられ、少なくと
    も2個の関節を有する腕によって重りを吊るして構成さ
    れる振り子と、 前記構造物の揺れによって発生する前記振り子の振り子
    運動の速度を減衰させる減衰手段とを具備したことを特
    徴とする制振装置。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の制振装置において、 前記腕には、2つの関節が設けられており、この腕の関
    節の間隔をL、重力加速度をg、前記構造物の揺れの固
    有周期をTとした場合に、L={T/(2π)}2 ・g
    の関係が成り立つように前記腕の関節を設けたことを特
    徴とする制振装置。
  3. 【請求項3】 請求項1又は請求項2記載の制振装置に
    おいて、 前記減衰手段は、一端が関節を介して前記振り子に接続
    され、他端が関節を介して前記構造物に接続されたダン
    パであり、当該ダンパ内部においてピストンで分割され
    ている2つの圧力室間での流体の移動量を操作するため
    の開閉弁を有することを特徴とする制振装置。
  4. 【請求項4】 請求項1乃至請求項3のいずれか1項に
    記載の制振装置において、 前記腕の関節の間に偶力発生手段を設け、 当該偶力発生手段による偶力の発生を制御する偶力制御
    手段を具備したことを特徴とする制振装置。
  5. 【請求項5】 請求項4記載の制振装置において、 前記偶力発生手段は、第1の回転駆動手段によって所定
    の速度で回転される回転子と、当該回転子の回転軸を歳
    差運動させる第2の回転駆動手段とからなることを特徴
    とする制振装置。
  6. 【請求項6】 請求項5記載の制振装置において、 前記腕及び前記偶力発生手段は複数設置されており、 前記各偶力発生手段のうち同一方向に偶力を発生させる
    2つの偶力発生手段は、互いに前記第1の回転駆動手段
    による回転方向及び前記第2の回転駆動手段による歳差
    運動の方向が逆になることを特徴とする制振装置。
  7. 【請求項7】 請求項1乃至請求項6のいずれか1項に
    記載の制振装置において、 前記振り子の振り子運動の振幅を増加又は減少させる振
    幅増減手段と、 当該振幅増減手段による振り子運動の振幅の増加量又は
    減少量を制御する振幅制御手段を具備したことを特徴と
    する制振装置。
  8. 【請求項8】 請求項7記載の制振装置において、 前記振幅増減手段は、ナット穴を有し、前記重りに設置
    される少なくとも1つの可動重りと、当該各可動重りの
    ナット穴に差し込まれる少なくとも1本のボールネジ
    と、当該各ボールネジを回転させて前記可動重りを移動
    させる少なくとも1つの第3の回転駆動手段とからなる
    ことを特徴とする制振装置。
  9. 【請求項9】 請求項4乃至請求項8のいずれか1項に
    記載の制振装置において、 前記構造物の揺れを検出する手段又は前記振り子の揺れ
    を検出する手段の少なくとも一方を付加し、 前記偶力制御手段又は前記振幅制御手段は、前記構造物
    の揺れを検出する手段からの信号又は前記振り子の揺れ
    を検出する手段からの信号の少なくとも一方に基づい
    て、制御を行うことを特徴とする制振装置。
  10. 【請求項10】 請求項9記載の制振装置において、 前記偶力制御手段又は前記振幅制御手段は、前記構造物
    の揺れを検出する手段からの信号又は前記振り子の揺れ
    を検出する手段からの信号の少なくとも一方に基づい
    て、制御ゲインを複数の段階に切り換える制御を行うこ
    とを特徴とする制振装置。
  11. 【請求項11】 請求項4乃至請求項10のいずれか1
    項に記載の制振装置において、 前記偶力制御手段又は前記振幅制御手段は、前記偶力発
    生手段又は前記振幅増減手段を、制振動作停止の状態で
    ある制振停止状態とするか、制振動作実行可能な状態で
    ある制振準備状態とするか、制振動作を実行している状
    態である制振実行状態とするかを判定する状態判定機能
    を有することを特徴とする制振装置。
  12. 【請求項12】 請求項1乃至請求項11のいずれか1
    項に記載の制振装置において、 前記振り子運動による重りの変位に応じて、当該重りの
    変位を抑制する力を発生する手段、又は前記振り子運動
    による重りの変位に応じて、前記重りの変位を増加する
    力を発生する手段の少なくとも一方を付加したことを特
    徴とする制振装置。
  13. 【請求項13】 請求項4乃至請求項12のいずれか1
    項に記載の制振装置において、 正弦波発生手段を付加し、 前記偶力制御手段又は前記振幅制御手段は、前記正弦波
    発生手段からの信号に基づいて、前記構造物の揺れを増
    加させるように制御する加振機能を有することを特徴と
    する制振装置。
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