JPH11157991A - ダイヤモンド薄膜製造装置 - Google Patents

ダイヤモンド薄膜製造装置

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JPH11157991A
JPH11157991A JP33786397A JP33786397A JPH11157991A JP H11157991 A JPH11157991 A JP H11157991A JP 33786397 A JP33786397 A JP 33786397A JP 33786397 A JP33786397 A JP 33786397A JP H11157991 A JPH11157991 A JP H11157991A
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waveguide
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康明 林
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村上  裕彦
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Abstract

(57)【要約】 【課題】大面積のダイヤモンド薄膜を高速に形成できる
技術を提供する。 【解決手段】導波管4の側面35に設けたスロット6か
ら真空槽20内にマイクロ波を漏洩させ、原料ガス11
の高密度プラズマ3を生成させる。基板ホルダ30と導
波管4との間に設けた電極25によってプラズマの位置
を調節し、プラズマ3をスロット6上の誘電体窓5から
離すと共に、原料ガス11を、誘電体窓5と平行に流
し、誘電体窓5から遊離した物質を除去する。成膜速度
が早く、高品質のダイヤモンド薄膜を得ることができ
る。偏光解析法により、成膜中の表面を観察できるよう
にしておくとよい。また、基板31から放射される赤外
光を測定し、基板温度制御を行えるようにしておくとよ
い。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、プラズマCVD装
置の技術分野にかかり、特に、マイクロ波を用い、大面
積のダイヤモンド薄膜を形成できるプラズマCVD装置
の技術分野に関する。
【0002】
【従来の技術】ダイヤモンドは、シリコンと同じ結晶構
造の半導体物質であり、バンドギャップが広く、高耐熱
性且つ高硬度であることから、近年、高周波パワーデバ
イス、短波長光デバイスや、耐磨耗性のコーティング材
料として注目されている。しかし、ダイヤモンドを、半
導体装置に用いるためには、高圧合成ダイヤモンドは高
価であり、実用的でない。
【0003】そこで従来より、高品質のダイヤモンド薄
膜を安価に製造できる技術が研究されており、マイクロ
波プラズマCVD法、熱フィラメントCVD法、DC放
電法、燃焼炎法等が提案されている。
【0004】それらのうち、マイクロ波プラズマCVD
法が高品質のダイヤモンド薄膜を形成できることから有
望視されている。図3の符号101は、そのマイクロ波
プラズマCVD法によってダイヤモンド薄膜を製造す
る、従来技術のダイヤモンド薄膜製造装置の部分拡大図
である。
【0005】このダイヤモンド薄膜製造装置101は、
導波管111と、石英チューブ115を有しており、導
波管111は、断面矩形形状を呈し、石英チューブ11
5が、導波管111を垂直に貫いた状態で立設されてい
る。
【0006】石英チューブ115内に成膜対象の基板を
挿入し、石英チューブ115内に炭素原子を含む原料ガ
スを導入し、図示しないマイクロ波発生器を動作させ、
導波管111内にマイクロ波を放射すると、そのマイク
ロ波は石英チューブ115に照射され、石英チューブ1
15内にプラズマ117が発生する。そして、プラズマ
中の炭素原子が基板表面に到達し、結晶が成長するとダ
イヤモンド薄膜が形成される。
【0007】しかしながら、マイクロ波は波長が短いた
め、伝搬できるプラズマ密度の上限である遮断密度は7
×1010cm3となり、その遮断密度以上に高密度なプ
ラズマ中を伝搬することができない。
【0008】従って、マイクロ波では、高密度プラズマ
内に侵入できず、そのためプラズマ密度が大きくならな
い。また、基板表面には小面積のダイヤモンド薄膜しか
形成できないという問題がある。例えば周波数2.45
GHzのマイクロ波を用いた場合、その波長は12cm
程度と短いため、直径約1cm程度のダイヤモンド薄膜
しか形成できない。
【0009】そこでプラズマを広げるため、図4に示し
たダイヤモンド薄膜製造装置102が提案されている。
このダイヤモンド薄膜製造装置102では、導波管12
1と石英チューブ125の他、電磁ホーン122を有し
ており、その電磁ホーン122は、一端が導波管121
の断面形状と同じ形状・大きさにされ、他端が数倍の大
きさの開口部に形成されている。
【0010】電磁ホーン122の一端は導波管121に
接続され、他端側には石英チューブ125が横設されて
おり、予め、石英チューブ125内に成膜対象の基板を
配置し、原料ガスを導入すると共に、図示しないマイク
ロ波発生器を動作させ、導波管121内にマイクロ波を
導入すると、そのマイクロ波は電磁ホーン122内で発
散され、開口端部から石英チューブ125に向けて照射
される。
【0011】このダイヤモンド薄膜製造装置102で
は、径の大きい石英チューブ125やステンレス真空槽
内の広い面積にマイクロ波が照射されるので、比較的大
きなプラズマ127を生成することができるが、ダイヤ
モンド薄膜の直径は数cm程度が限界であり、しかも、
成長速度が遅いという欠点がある。
【0012】他方、強力な磁場(875G以上)によって
プラズマを共鳴励起させ、高密度なプラズマを発生させ
る電子サイクロトロン共鳴ダイヤモンド薄膜製造装置が
知られているが、成長速度が遅く、また、大がかりな磁
場発生装置を必要とする等の欠点がある。
【0013】ダイヤモンド薄膜を、その特性を利用し
て、平面ディスプレー、半導体集積回路基板のヒートシ
ンク、X線露光用マスクのメンブレム、あるいは耐磨耗
性のコーティング材料等に使用する場合には、少なくと
も直径10cm以上、実用的には、一辺が20cm〜5
0cm程度の大きさのダイヤモンド薄膜を形成する必要
がある。従って、上述の従来技術の装置は、いずれも実
用に適さない。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記従来技術
の不都合を解決するために創作されたものであり、その
目的は、大面積のダイヤモンド薄膜を高速に形成できる
技術を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、請求項1記載の発明は、真空槽とガス導入管と導波
管とを有し、前記真空槽内に基板を配置し、組成式中に
炭素原子を有するダイヤモンド薄膜の原料ガスを、前記
ガス導入管によって前記真空槽内に導入し、前記導波管
内にマイクロ波を放射し、前記原料ガスを励起させてプ
ラズマを発生させ、前記プラズマ中の物質を前記基板表
面に到達させ、前記基板表面に薄膜を形成するダイヤモ
ンド薄膜製造装置であって、前記導波管の側面にはスロ
ットが設けられ、前記スロットから前記真空槽内に前記
マイクロ波が漏洩するように構成されたことを特徴とす
る。
【0016】請求項2記載の発明は、請求項1記載のダ
イヤモンド薄膜製造装置であって、前記導波管のスロッ
トが設けられている面には誘電体窓が気密に固定された
ことを特徴とする。
【0017】請求項3記載の発明は、請求項1乃至請求
項2のいずれか1項記載のダイヤモンド薄膜製造装置で
あって、前記ガス導入管の先端部は前記誘電体窓近傍に
配置され、 前記先端部から供給された前記原料ガス
が、前記誘電体窓表面と平行な方向に流れるように構成
されたことを特徴とする。
【0018】請求項4記載の発明は、請求項1乃至請求
項3のいずれか1項記載のダイヤモンド薄膜製造装置で
あって、前記真空槽と該真空槽内に配置された基板との
間に、所望の電圧を印加できる可変電圧電源が設けられ
たことを特徴とする。
【0019】請求項5記載の発明は、請求項1乃至請求
項4のいずれか1項記載のダイヤモンド薄膜製造装置で
あって、前記真空槽内の前記導波管と前記基板との間の
位置に、電位制御可能な電極が設けられたことを特徴と
する。
【0020】請求項6記載の発明は、請求項1乃至請求
項5のいずれか1項記載のダイヤモンド薄膜製造装置で
あって、前記真空槽には、前記基板裏面を観察できる測
温窓が設けられたことを特徴とする。
【0021】請求項7記載の発明は、請求項1乃至請求
項6のいずれか1項記載のダイヤモンド薄膜製造装置で
あって、前記導波管には、前記基板の成膜面を観察でき
る測温孔が設けられたことを特徴とする。
【0022】請求項8記載の発明は、請求項1乃至請求
項7のいずれか1項記載のダイヤモンド薄膜製造装置で
あって、前記真空槽には、少なくとも2個の測定窓が設
けられ、一方の測定窓は、前記基板の成膜面に50°以
上90°未満の入射角で測定光を照射できるように構成
され、他方の測定窓は、前記成膜面で返光された反射光
を通過させられるように構成されたことを特徴とする。
【0023】本発明は上述のように構成されており、真
空槽内に基板を配置し、ガス導入管から薄膜の原料ガス
を導入し、導波管内にマイクロ波を放射し、原料ガスを
励起させてプラズマを発生させ、プラズマ中の物質を基
板表面に到達させると、薄膜を形成できるようになって
いる。
【0024】このダイヤモンド薄膜製造装置では、導波
管の側面にスロットが設けられ、マイクロ波がスロット
から真空槽内に漏洩するように構成されているので、導
波管の近傍に、プラズマを生成できるようになってお
り、プラズマ表面が極端に励起された場合、拡散によ
り、プラズマ内部が遮断密度以上の高密度になる。
【0025】導波管のスロットが設けられている面に、
誘電体窓を気密に固定させておくと、真空槽内部と導波
管内部とを気密に分離されるので、真空槽内には不純物
は侵入せず、また、真空槽内部を高真空状態に維持する
ことができる。
【0026】また、ガス導入管の先端部を誘電体窓近傍
に配置し、原料ガスを誘電体窓に平行な方向に流すよう
に構成しておくと、誘電体窓から分離した不純物が、原
料ガスによって運び去られ、真空排気によって除去され
るので、形成される薄膜の純度が向上する。
【0027】また、可変電圧電源により、真空槽内に配
置された基板と真空槽との間に所望の大きさの電圧を印
加できるように構成し、真空槽に対し、基板を負電位に
しながらダイヤモンド薄膜を形成すると、ダイヤモンド
核発生密度が増大し、また、結晶方位が整合しながら成
長する。
【0028】逆に、真空槽に対し、基板を正電位にする
と、誘電体窓が炭化されて、その後基板にダイヤモンド
薄膜を形成したときに不純物が混入しない。窓材が不純
物として混入する場合は、このような正電位処理を行う
こともできる。
【0029】更にまた、真空槽内部のプラズマと基板と
の間の位置に、電位制御可能な電極を設けておくと、プ
ラズマの位置を移動させられるので、誘電体窓とプラズ
マとの距離を離し、誘電体窓がエッチングされないよう
にすることができる。
【0030】以上説明したダイヤモンド薄膜製造装置で
は、基板の成膜面に、高純度の薄膜を高速で形成できる
ようになっており、真空槽に、基板の裏面を観察できる
測温窓を設けておくと、薄膜形成中の基板温度を監視で
きるので、薄膜の膜厚制御性が向上する。この場合、基
板の成膜面を観察できる測温孔を導波管に設けてもよ
い。
【0031】また、真空槽に、測定窓を少なくとも2個
設け、一方の測定窓から、基板の成膜面に対し、50°
以上90°未満の入射角で測定光を照射し、他方の測定
窓を介して、反射光を真空槽外に射出できるように構成
しておくと、成膜中の薄膜の状態を観察できるようにな
る。
【0032】なお、スロットを細溝形状に形成し、少な
くとも2個設けた場合には、各スロットから真空槽内に
漏洩したマイクロ波は、強度が強め合われるので、生成
されるプラズマ密度が高くなる。
【0033】
【発明の実施の形態】図2(a)と、図2(a)のA−A線
截断面図に相当する図1とを参照し、符号1は、本発明
のダイヤモンド薄膜製造装置であり、底面側が開放され
た真空槽20と、真空槽20のその底面側に配置された
導波管4を有している。
【0034】真空槽20と導波管4とは、互いに気密に
固定されており、導波管4の真空槽20側の側面35に
は、1個のスロット(細溝状貫通孔)6が設けられてい
る。スロット6は、幅約10mm、長さ約6cmに形成
されており、そのスロット6の上部には、誘電体窓5が
気密に固定され、真空槽20内部が、導波管4内部から
気密に分離されている。
【0035】他方、真空槽20の天井側には、基板を載
置可能な基板ホルダ30が設けられており、このダイヤ
モンド薄膜製造装置1によって、ダイヤモンド薄膜を形
成する場合、先ず、真空槽20内の真空雰囲気を維持し
た状態で、粒径1μm以下のダイアモンド粉末で処理さ
れたシリコンウェハーから成る基板を基板ホルダ30に
載置する。
【0036】図1の符号31はその状態の基板を示して
おり、この基板31の成膜面32は下方位置の導波管4
側に向けられており、成膜面32と誘電体窓5とは、互
いに平行に対向配置されている。
【0037】次いで、真空槽20内を真空排気しなが
ら、図示しない加熱機構によって基板31を加熱し、昇
温させる。
【0038】基板31裏面位置の真空槽20を構成する
部分には、孔と、その孔を気密に封止した石英材料とか
ら成る測温窓22が設けられており、基板31を昇温さ
せる際、基板31裏面から放射される赤外光を測温窓2
2を通過させ、その測温窓22近傍に配置された赤外温
度計38によって通過した赤外光を受光し、温度測定を
行いながら昇温させた。
【0039】このダイヤモンド薄膜製造装置1は、図示
しないガス導入系と、そのガス導入系に接続されたガス
導入管9を有しており、ガス導入管の端部は、真空槽2
0の天井側から内部に鉛直に挿入されている。
【0040】ガス導入管9の先端部10は、誘電体窓5
近傍で水平方向に屈曲されており、基板31が850℃
で安定したところで、先端部10から、水素希釈メタン
ガス(メタン1%−水素99%乃至メタン3%−水素9
7%の希釈率の混合ガス)から成る原料ガスを放出させ
た。
【0041】水素希釈メタンガスの放出により、真空槽
20内が20Torr乃至30Torrの圧力で安定し
た後、導波管4内にマイクロ波を導入し、スロット6及
び誘電体窓5を介して真空槽20内にマイクロ波を漏洩
させた。
【0042】導波管4のスロット6は、マイクロ波の進
行方向24に対して長手方向が垂直方向に向けられてお
り、漏洩したマイクロ波により、原料ガスが励起され、
誘電体窓5近傍に、スロット6方向に短軸を有する楕円
状で、20〜30cm2の面積のプラズマ3が生成され
た。
【0043】このダイヤモンド薄膜製造装置1では、
2.45GHzのマイクロ波(波長12cm)が用いられ
ており、そのプラズマ波は、導波管4内を、図1の紙面
後方から紙面手前に向け、側面35に沿って進行するよ
うにされている。
【0044】導波管4のスロット6は、上述したよう
に、長手方向の大きさが6cmであり、マイクロ波の波
長の1/2になっており、その長手方向は、マイクロ波
の進行方向24に対して垂直方向に向けられている。
【0045】このような構成によると、スロット6から
真空槽20内に漏洩したマイクロ波はスロット6内で定
在波を形成し、誘電体窓5近傍で高密度のプラズマを3
を発生する。
【0046】一般的に、マイクロ波は、遮断密度(周波
数2.45GHzに対して7×101 0cm-3)以上に高
密度なプラズマ表面では反射してしまい、プラズマ内に
進入できないため、マイクロ波によって直接生成できる
プラズマは、遮断密度が上限の密度となる。
【0047】ところが、このダイヤモンド薄膜製造装置
1では、マイクロ波が、真空槽20内のプラズマ3の誘
電体窓5近傍の表面部分を極端に励起するため、その部
分のプラズマ3が基板31方向に拡散し、その結果、発
生したプラズマ3の内部は遮断密度以上の高密度にな
り、成膜速度を向上させることができる。
【0048】しかし、そのような高密度のプラズマ3が
誘電体窓5に接近した場合、誘電体窓5がプラズマ3に
よってエッチングされ、遊離すると不純物となり、ダイ
ヤモンド薄膜中に混入するおそれがある。
【0049】このダイヤモンド薄膜製造装置1では、真
空槽20外に、2個の可変電圧電源26、28が設けら
れており、真空槽20内には、誘電体窓5と基板ホルダ
30との間の位置に、網状の電極15が設けられてい
る。
【0050】その電極15は、一方の可変電圧電源26
の電極に接続されており、導波管4に対し、所望電位に
置くことができるようになっている。また、真空槽20
内に配置された基板31は、他方の可変電圧電源28に
接続され、真空槽20に対して所望電位に置けるように
構成されている。
【0051】誘電体窓5近傍で発生したプラズマ3は、
誘電体窓5と電極15との間に位置しているため、一方
の可変電圧電源26によって電極15の電位を制御する
と、プラズマ3と誘電体窓5との間の距離を変えること
ができる。従って、プラズマ3と誘電体窓5との距離を
適当に離し、誘電体窓5がプラズマ3によってエッチン
グされないようにすることができる。
【0052】また、ガス導入管9の先端部10は、上述
したように、水平方向に屈曲されており、その先端部1
0から放出された原料ガス11は、誘電体窓5表面に平
行な方向に流れるようになっている。従って、誘電体窓
5を構成する物質が遊離した場合でも、その物質は原料
ガス11の流れによって運び去られ、真空排気によって
除去されるので、形成中のダイヤモンド薄膜に、不純物
となって混入することはない。
【0053】このダイヤモンド薄膜製造装置1では、真
空槽20の側壁に、2つの測定窓211、212が設けら
れており、一方の測定窓211近傍には、図示しない光
照射装置が配置されている。また、他方の測定窓212
近傍には、受光装置が配置されている。
【0054】可変電圧電源28によって、真空槽20に
対して基板31を負電位に置き、マイクロ波パワーを8
00Wとし、上述のように、測温窓22からの基板31
の温度観察によって基板31の温度を800℃に維持
し、薄膜形成を行った。
【0055】その薄膜を成長させる際、一定の偏光状態
にある測定光271を、一方の測定窓211を通過させ、
50°以上90°未満の入射角度で、薄膜形成中の基板
31の成膜面32に照射し、成膜面32で反射され、偏
光状態が変化した反射光272を、他方の測定窓212
通過させ、真空槽20外に配置された受光装置で受光
し、偏光解析測定を行った。
【0056】成膜後、基板を取り出してラマン分光分析
を行った結果、1332cm-1のところにビークが観察
され、成膜面32上には、不純物を含まないダイヤモン
ド薄膜が成長していることを確認できた。成長速度は1
時間当たり0.2〜0.3μmであった。基板31に形
成されたダイヤモンド薄膜の結晶方位整合性は高かっ
た。
【0057】なお、スロット数を2個に増やし、マイク
ロ波パワーを2kW、基板温度を850°とし、60分
間反応させた場合、基板表面に直径15cmの領域にダ
イヤモンド薄膜が形成された。このように、本発明のプ
ラズマ波CVD装置1によれば、高品質のダイヤモンド
薄膜を高い成膜速度で形成することができる。
【0058】ところで、この導波管4には、スロット6
が形成されている面とは反対の面に、スロット6に比べ
て微小な測温孔23が設けられている。従って、薄膜形
成中の基板31の温度制御を行う際、基板31の成膜面
32側から放射され、測温孔23を通過した赤外光を、
測温孔23近傍に配置した赤外線温度計29によって受
光し、温度測定を行ってもよい。
【0059】なお、基板31の温度を変えてダイヤモン
ド薄膜を成長させたところ、基板温度と成長速度の関係
は、従来のダイヤモンド薄膜製造装置によって得られて
いるのと同様の関係であった。基板31の温度測定は、
測温窓22又は測温孔23を用いて行ったため、その温
度測定結果が正確であることが確認できた。
【0060】また、メタンガスに水素ガスが添加された
原料ガス、メタンガスに水素ガス及び酸素ガスが添加さ
れた原料ガス、又はメタンガスに水素ガスとアルゴンガ
スが添加された原料ガスを用い、上記ダイヤモンド薄膜
製造装置1によってプラズマを生成し、薄膜を形成した
ところ、ラマン分光分析及び電子顕微鏡観察により、そ
の薄膜は、ダイヤモンド薄膜であることが確認できた。
【0061】以上は、導波管の側面35に1個又は2個
のスロットを設けた場合を説明したが、図2(b)に示す
ように、3個以上のスロット6'を「ハ」字形状に配置
してもよい。この場合、各スロットの長さL、及び中心
間距離Wをマイクロ波の管内波長の1/2にしておく
と、真空槽20内部に漏洩したマイクロ波の強度を強め
ることができる。
【0062】
【発明の効果】薄膜の形成速度が早く、不純物を含まな
い薄膜を形成できる。基板温度の制御性がよい。特に、
大面積で、高品質のダイヤモンド薄膜を得ることができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のダイヤモンド薄膜製造装置の一例を示
す図(図2のA−A線截断面図)
【図2】(a):そのダイヤモンド薄膜製造装置をスロッ
ト形状及び配置を説明するための図 (b):スロットの他の配置例を示す図
【図3】従来技術のダイヤモンド薄膜製造装置の一例
【図4】従来技術のダイヤモンド薄膜製造装置の他の例
【符号の説明】
1…ダイヤモンド薄膜製造装置 3…プラズマ 4
…導波管 5…誘電体窓 6、6'…スロット
9…ガス導入管 10…ガス導入管の先端部 11…原料ガス 15…電極 20…真空槽 2
1、212…測定窓 22…測温窓 23…測温孔 271…測定光
272…反射光 28……可変電圧電源 31…基板
32…成膜面 35…導波管側面

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】真空槽とガス導入管と導波管とを有し、 前記真空槽内に基板を配置し、組成式中に炭素原子を有
    するダイヤモンド薄膜の原料ガスを、前記ガス導入管に
    よって前記真空槽内に導入し、前記導波管内にマイクロ
    波を放射し、前記原料ガスを励起させてプラズマを発生
    させ、 前記プラズマ中の物質を前記基板表面に到達させ、前記
    基板表面に薄膜を形成するダイヤモンド薄膜製造装置で
    あって、 前記導波管の側面にはスロットが設けられ、 前記スロットから前記真空槽内に前記マイクロ波が漏洩
    するように構成されたことを特徴とするダイヤモンド薄
    膜製造装置。
  2. 【請求項2】前記導波管のスロットが設けられている面
    には誘電体窓が気密に固定されたことを特徴とする請求
    項1記載のダイヤモンド薄膜製造装置。
  3. 【請求項3】前記ガス導入管の先端部は前記誘電体窓近
    傍に配置され、 前記先端部から供給された前記原料ガスが、前記誘電体
    窓表面と平行な方向に流れるように構成されたことを特
    徴とする請求項1又は請求項2のいずれか1項記載のダ
    イヤモンド薄膜製造装置。
  4. 【請求項4】前記真空槽と該真空槽内に配置された基板
    との間に、所望の電圧を印加できる可変電圧電源が設け
    られたことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれ
    か1項記載のダイヤモンド薄膜製造装置。
  5. 【請求項5】前記真空槽内の前記導波管と前記基板との
    間の位置に、電位制御可能な電極が設けられたことを特
    徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項記載のダ
    イヤモンド薄膜製造装置。
  6. 【請求項6】前記真空槽には、前記基板裏面を観察でき
    る測温窓が設けられたことを特徴とする請求項1乃至請
    求項5のいずれか1項記載のダイヤモンド薄膜製造装
    置。
  7. 【請求項7】前記導波管には、前記基板の成膜面を観察
    できる測温孔が設けられたことを特徴とする請求項1乃
    至請求項6のいずれか1項記載のダイヤモンド薄膜製造
    装置。
  8. 【請求項8】前記真空槽には、少なくとも2個の測定窓
    が設けられ、 一方の測定窓は、前記基板の成膜面に50°以上90°
    未満の入射角で測定光を照射できるように構成され、 他方の測定窓は、前記成膜面で返光された反射光を通過
    させられるように構成されたことを特徴とする請求項1
    乃至請求項7のいずれか1項記載のダイヤモンド薄膜製
    造装置。
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