JPH1114468A - カンチレバー及びそれを用いた走査型温度分布計測装置 - Google Patents

カンチレバー及びそれを用いた走査型温度分布計測装置

Info

Publication number
JPH1114468A
JPH1114468A JP9183053A JP18305397A JPH1114468A JP H1114468 A JPH1114468 A JP H1114468A JP 9183053 A JP9183053 A JP 9183053A JP 18305397 A JP18305397 A JP 18305397A JP H1114468 A JPH1114468 A JP H1114468A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
cantilever
thermocouple
sample
temperature distribution
temperature
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP9183053A
Other languages
English (en)
Inventor
Shinya Hara
信也 原
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nikon Corp
Original Assignee
Nikon Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nikon Corp filed Critical Nikon Corp
Priority to JP9183053A priority Critical patent/JPH1114468A/ja
Publication of JPH1114468A publication Critical patent/JPH1114468A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Length Measuring Devices With Unspecified Measuring Means (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 本来測定すべき試料表面の点から伝わる熱以
外の、レバー部を介して伝わる熱による影響を低減し、
試料表面の精度の高い温度分布の計測を行う。 【解決手段】 カンチレバー40は、先端側に探針41
を有するレバー部42と、該レバー部42を支持する支
持体43とを備える。探針41には熱電対44が設けら
れ、レバー部42の中心付近には熱電対45が前記熱電
対44とは別個に設けられている。熱電対44からの信
号を熱電対45からの信号に基づいて補正して得た温度
情報を、カンチレバー40の試料に対する試料表面と略
平行な方向の相対的な位置に応じて得る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、試料表面の温度分
布の計測を行う走査型温度分布計測装置及びそれに用い
られるカンチレバーに関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、走査型顕微鏡の発展に伴い、原子
レベルのオーダーの分解能で試料表面の温度分布を計測
する走査型温度分布計測装置が開発されている(特開平
8−105801号公報)。
【0003】このような走査型温度分布計測装置におい
て用いられるカンチレバーの従来例について、図9を参
照して説明する。
【0004】図9(a)は従来のカンチレバー20の一
例を示す概略斜視図、図9(b)は図9(a)中のA−
A線に沿った概略断面図である。
【0005】この従来のカンチレバー20は、先端側に
探針1を有するレバー部2と、該レバー部2を支持する
支持体3とを備えている。探針1には、温度センサとし
ての熱電対4が設けられている。レバー部2は、窒化珪
素膜11で構成されている。探針1は、レバー部2の先
端側の領域に形成された穴の部分に下方に突出するよう
に先鋭化して形成された第1の金属12と、該第1の金
属12の下面に形成された第2の金属13とから構成さ
れている。第1及び第2の金属12,13は互いに種類
が異なっており、探針1において接合された第1及び第
2の金属12,13が前記熱電対4を形成している。支
持体3は、シリコン層14と、該シリコン層14上に延
在した前記窒化珪素膜11の部分と、シリコン層14下
面の窒化珪素膜15とから構成されている。前記第1の
金属12は、探針1の部分からレバー部2を経て支持体
3に至るまで窒化珪素膜11上において延在している。
第1の金属12の支持体3上の端部は、外部との電気的
な接続のための電極パターン12aを構成し、第1の金
属12における探針1の部分から電極パターン12aに
至る部分は、配線パターンを構成している。前記第2の
金属13は、探針1の部分のみならず、レバー部2及び
支持体3の下面全体に渡って形成されている。
【0006】次に、前述した図9に示すカンチレバー2
0を用いた従来の走査型温度分布計測装置の一例につい
て、図10を参照して説明する。
【0007】図10は、従来の走査型温度分布計測装置
を示す概略構成図である。この従来の走査型温度分布計
測装置は、いわゆるコンタクトモードの装置である。
【0008】この従来の走査型温度分布計測装置は、試
料21を支持する固定部となる試料支持部22と、カン
チレバー20を支持する固定部となるレバー支持部23
とを有している。レバー支持部23には、レバー移動部
24の一端が固定されている。レバー移動部24の他端
には、レバーホルダ25を介してカンチレバー20が固
定されている。レバー移動部24は、例えば複数の圧電
素子を組み合わせて構成されており、コンピュータ32
の制御下で駆動装置26から供給される駆動信号に応答
して、カンチレバー20を試料21の表面と略平行な方
向に2次元に移動させるとともに試料21の表面と略垂
直な方向に移動させる。
【0009】また、レバー支持部23には、カンチレバ
ー20の撓みを検出する撓み検出手段として、光てこ法
によるレーザ光源27及び2分割フォトディテクタ等の
ポジションセンサ28が取り付けられている。レーザ光
源27はカンチレバー20のレバー部2の先端側の領域
にレーザ光を照射し、ポジションセンサ27はレバー部
2からの反射光を受光してその受光位置に応じた信号を
出力する。前記反射光の受光位置はカンチレバー20の
レバー部2の撓み量に応じて変化するので、ポジション
センサ28からの出力は、カンチレバー20の撓み量を
示すことになる。ポジションセンサ28からの出力は、
I−V変換器29を介して増幅器30により増幅され
る。
【0010】また、カンチレバー20に形成された前記
熱電対4の出力(すなわち、カンチレバー20の電極パ
ターン12aと第2の金属13との間に生ずる熱起電
力)は、この熱起電力を検出する熱起電力検出装置31
に入力される。
【0011】前述した増幅器30からの出力と熱起電力
検出装置31からの出力は、それぞれコンピュータ32
に入力される。コンピュータ32は、後述する手順によ
り、試料21の表面形状を示す表面形状データと試料2
1の表面の温度分布を示す温度分布データを出力する。
【0012】このような構成の従来の走査型温度分布計
測装置では、まず、カンチレバー20は、試料支持部2
2に設置された試料21の表面のうち、所望の計測位置
に探針1が接触し、かつ試料21の表面の形状に応じて
撓みが生じる状態とされる。
【0013】このような状態で、コンピュータ12は、
駆動装置26に平行移動指令を与えてレバー移動部24
を作動させ、カンチレバー20を試料21の表面と略平
行な方向に移動させて、所望の走査範囲を走査させる。
【0014】この走査時のカンチレバー20の撓み量
は、前述したように増幅器30の出力として得られ、コ
ンピュータ32に供給される。コンピュータ32は、前
述したようにしてカンチレバー20を試料21の表面と
略平行な方向に移動(走査)させると同時に、増幅器3
0の出力に基づいて、カンチレバー20の撓み量が所定
量となるように、駆動装置26に垂直移動指令を与えて
レバー移動部24を作動させ、試料21の表面と略垂直
な方向に移動させる。
【0015】そして、コンピュータ32は、レバー移動
部24の駆動に供された電圧をモニタし、この電圧か
ら、計測の対象となる個々の試料表面と略平行な方向の
カンチレバー20の位置、及び、その個々の位置に対応
した試料表面と略垂直な方向のカンチレバー20の位置
を座標として求め、これらの座標を順次記憶することに
より、試料21の表面形状データを得る。
【0016】また、このような表面形状の計測と並行し
て、コンピュータ32は、熱起電力検出装置31の出力
(カンチレバー20の熱電対4が発生する熱起電力に応
じた温度信号)を、計測の対象となる個々の試料表面と
略平行な方向のカンチレバー20の位置に対応づけて順
次記憶することにより、試料21の表面の温度分布デー
タを得る。
【0017】なお、図面には示していないが、前記表面
形状データ及び前記温度分布データに基づいて、CRT
等の表示装置に表面形状画像及び温度分布画像が表示さ
れる。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前述し
たような従来の走査型温度分布計測装置では、図11に
示すような状況で計測を行った場合、得られる温度分布
に誤差が生じてしまうことが判明した。図11は、カン
チレバー20の中心付近直下の試料21に熱源21aが
ある場合の計測の様子を示す図である。この場合、試料
21の熱源21aからの熱33が大気等を媒体とした熱
伝導によりカンチレバー20のレバー部2に伝達され、
更にこの熱の一部が探針1の熱電対4に伝達されてしま
う。すなわち、探針1の熱電対4には、本来測定すべき
試料表面の点(測定点)から探針1の先端を介して伝わ
る熱のみならず、余分な熱が伝わってしまう。そのた
め、熱電対4が発生する熱起電力は、熱源21aからカ
ンチレバー20のレバー部2を介して探針1の熱電対4
に伝達された熱の分だけ高くなり、それが誤差となると
いう問題が生ずるのである。
【0019】本発明は、このような事情に鑑みてなされ
たもので、本来測定すべき試料表面の点から伝わる熱以
外の、レバー部を介して伝わる熱による影響を低減する
ことができ、試料表面の精度の高い温度分布の計測を行
うことができる走査型温度分布計測装置及びこれに用い
られるカンチレバーを提供することを目的とするもので
ある。
【0020】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するた
め、本発明の第1の態様によるカンチレバーは、先端側
に探針を有するレバー部と、該レバー部を支持する支持
体とを備え、前記レバー部における前記探針の付近又は
前記探針に第1の温度センサが設けられたカンチレバー
において、少なくとも1つの第2の温度センサが、前記
レバー部に前記第1の温度センサとは別個に設けられた
ものである。前記探針は、例えば、レバー部自体の先端
であってもよいし、レバー部の先端側の領域に突設した
ものであってもよい。
【0021】本発明の第2の態様によるカンチレバー
は、前記第1の態様によるカンチレバーにおいて、前記
第1の温度センサ及び前記少なくとも1つの第2の温度
センサがそれぞれ熱電対であるものである。
【0022】本発明の第3の態様によるカンチレバー
は、前記第1の態様によるカンチレバーにおいて、前記
第1の温度センサ及び前記少なくとも1つの第2の温度
センサが差動型熱電対を構成するものである。
【0023】本発明の第4の態様による走査型温度分布
計測装置は、前記第1乃至第4のいずれかの態様による
カンチレバーと、該カンチレバーを試料に対して相対的
に移動させる移動手段とを備え、前記カンチレバーの前
記第1の温度センサからの信号を前記少なくとも1つの
第2の温度センサからの信号に基づいて補正して得た温
度情報を、前記カンチレバーの前記試料に対する前記試
料表面と略平行な方向の相対的な位置に応じて得るもの
である。
【0024】前記第1乃至第3の態様によるカンチレバ
ーでは、レバー部における前記探針の付近又は前記探針
に第1の温度センサが設けられているのみならず、従来
のカンチレバーと異なり、少なくとも1つの第2の温度
センサが、前記レバー部に前記第1の温度センサとは別
個に設けられている。したがって、前記第1の温度セン
サにより主として試料表面の所望の計測点の温度を計測
することができると同時に、前記少なくとも1つの第2
の温度センサによりレバー部の所定箇所の温度を計測す
ることができる。そして、第2の温度センサにより計測
されるレバー部の所定箇所の温度は、本来測定すべき試
料表面の点から第1の温度センサに伝わる熱以外の、レ
バー部を介して第1の温度センサに伝わる熱の大きさに
対応している。このため、前記第4の態様による走査型
温度分布計測装置のように第1の温度センサからの信号
を前記少なくとも1つの第2の温度センサからの信号に
基づいて補正することによって、レバー部を介して第1
の温度センサに伝わる熱の影響を低減した、本来測定す
べき試料表面の点から第1の温度センサに伝わる熱によ
る温度情報を得ることができる。したがって、前記第1
乃至第3のいずれかの態様によるカンチレバーを用いた
前記第4の態様による走査型温度分布計測装置によれ
ば、前述した図11に示すような状況においても、従来
の走査型温度分布計測装置に比べて精度の高い試料表面
の温度分布の計測を行うことができる。
【0025】前記温度情報を得るための前記補正の具体
例としては、例えば、第2の温度センサが単一である場
合には、第1の温度センサからの信号から単に第2の温
度センサからの信号を差し引くだけでもよいし、第1の
温度センサからの信号から、第2の温度センサからの信
号に所定定数を乗算して得た補正値を差し引いてもよい
し、第1の温度センサからの信号から、第2の温度セン
サからの信号に応じて予め定めておいた補正値を差し引
いてもよい。また、第2の温度センサが複数である場合
には、各第2の温度センサからの信号がレバー部の温度
分布を示すことになるので、第1の温度センサからの信
号から、各第2の温度センサからの信号に応じて予め定
めておいた補正値を差し引くようにしてもよい。
【0026】前記第1の態様では、第1及び第2の温度
センサは熱電対に限定されるものではないが、前記第2
の態様のように第1及び第2の温度センサとして熱電対
を用いれば、広範囲の温度測定に対応することができ、
好ましい。
【0027】また、前記第1の態様では、第1及び第2
の温度センサはそれぞれ独立して信号を出力してもよ
く、この場合には外部においてこの各信号を演算すれば
よいが、前記第3の態様のように、第1及び第2の温度
センサが差動型熱電対を構成するようにしてもよい。前
記補正として第1の温度センサからの信号から単に第2
の温度センサからの信号を差し引くことを採用する場
合、差動型熱電対の生ずる熱起電力がそもそも、第1の
温度センサからの信号から第2の温度センサからの信号
を差し引いたものを示しているので、外部において演算
を行う必要がなく、好ましい。
【0028】本発明の第5の態様による走査型温度分布
計測装置は、前記第4の態様による走査型温度分布計測
装置において、前記試料表面の形状を示す形状情報を得
るものである。
【0029】この第5の態様のように温度情報のみなら
ず形状情報も得れば、両者を比較することにより一層進
んだ試料の解析を行うことが可能となり、好ましい。
【0030】ところで、前記第4の態様による走査型温
度分布計測装置は、次の〜の走査型温度分布計測装
置を含むものである。
【0031】 前記第1乃至第3のいずれかの態様に
よるカンチレバーと、前記探針を試料表面に接触させな
がら、前記カンチレバーを前記試料に対して相対的にか
つ前記試料表面と略平行に移動させる平行移動手段と、
前記カンチレバーの前記第1の温度センサからの信号を
前記少なくとも1つの第2の温度センサからの信号に基
づいて補正して得た温度情報を、前記カンチレバーの前
記試料に対する前記試料表面と略平行な方向の相対的な
位置に応じて得る手段と、を備えたことを特徴とする走
査型温度分布計測装置。
【0032】 前記の走査型温度分布計測装置にお
いて、前記カンチレバーの撓みを検出する撓み検出手段
と、前記撓み検出手段からの信号に基づいて、前記カン
チレバーの撓みが一定となるように、前記カンチレバー
を前記試料に対して相対的にかつ前記試料表面に対して
略垂直に移動させる垂直移動手段と、前記カンチレバー
の前記試料表面に対する、前記試料表面に対して略垂直
な方向の相対的な位置を検出する手段と、を備えたこと
を特徴とする走査型温度分布計測装置。
【0033】 前記第1乃至第3のいずれかの態様に
よるカンチレバーと、前記カンチレバーを振動させる振
動手段と、前記カンチレバーの振動状態を検出する振動
状態検出手段と、前記振動状態検出手段からの信号に基
づいて、前記カンチレバーの振動状態が一定になるよう
に、前記カンチレバーを前記試料に対して相対的にかつ
前記試料表面に対して略垂直に移動させる垂直移動手段
と、前記試料を前記カンチレバーに対して相対的にかつ
前記試料表面と略平行に移動させる平行移動手段と、前
記カンチレバーの前記第1の温度センサからの信号を前
記少なくとも1つの第2の温度センサからの信号に基づ
いて補正して得た温度情報を、前記カンチレバーの前記
試料に対する前記試料表面と略平行な方向の相対的な位
置に応じて得る手段と、を備えたことを特徴とする走査
型温度分布計測装置。
【0034】 前記の走査型温度分布計測装置にお
いて、前記カンチレバーの前記試料に対する、前記試料
表面に対して略垂直な方向の相対的な位置を検出する手
段を備えたことを特徴とする走査型温度分布計測装置。
【0035】
【発明の実施の形態】以下、本発明によるカンチレバー
及びそれを用いた走査型温度分布計測装置について、図
面を参照して説明する。
【0036】(第1の実施の形態)まず、本発明の第1
の実施の形態によるカンチレバーについて、図1を参照
して説明する。
【0037】図1(a)は本実施の形態によるカンチレ
バー40を示す概略斜視図、図1(b)は図1(a)中
のB−B線に沿った概略断面図である。
【0038】本実施の形態によるカンチレバー40は、
先端側に探針41を有するレバー部42と、該レバー部
42を支持する支持体43とを備えている。探針41に
は第1の温度センサとしての熱電対44が設けられ、レ
バー部42の中心付近には第2の温度センサとしての1
つの熱電対45が前記熱電対44とは別個に設けられて
いる。該熱電対45の位置は、必ずしもレバー部42の
中心付近に限定されるものではない。
【0039】本実施の形態では、レバー部42は、窒化
珪素膜51で構成されている。探針41は、レバー部4
2の先端側の領域に形成された穴の部分に下方に突出す
るように先鋭化して形成された第1の金属52と、該第
1の金属52の下面に形成された第2の金属53とから
構成されている。第1及び第2の金属52,53は互い
に種類が異なっており、探針41において接合された第
1及び第2の金属52,53が前記熱電対44を形成し
ている。支持体43は、シリコン層54と、該シリコン
層54上に延在した前記窒化珪素膜51の部分と、シリ
コン層54下面の窒化珪素膜55とから構成されてい
る。前記第1の金属52は、探針41の部分からレバー
部42を経て支持体43に至るまで窒化珪素膜51上に
おいて延在している。この延在した第1の金属52の支
持体43上の端部は、外部との電気的な接続のための電
極パターン52aを構成し、第1の金属52における探
針41の部分から電極パターン52aに至る部分は、配
線パターン52bを構成している。前記第2の金属53
は、探針41の部分のみならず、レバー部42及び支持
体43の下面全体に渡って形成されている。
【0040】また、本実施の形態では、レバー部42の
中心付近に形成された穴の部分においても、前記第1の
金属52及び前記第2の金属53が形成されて互いに接
合されている。この穴の部分において接合された第1及
び第2の金属52,53が、前記熱電対45を形成して
いる。前記第1の金属52は、この穴の部分から支持体
43に至るまで窒化珪素膜51上において延在してい
る。この延在した第1の金属52の支持体43上の端部
は、外部との電気的な接続のための電極パターン52c
を構成し、第1の金属52における前記穴の部分から電
極パターン52cに至る部分は、前記配線パターン52
bとは独立した配線パターン52dを構成している。
【0041】次に、図1に示すカンチレバー40の製造
方法の一例について、図2を参照して説明する。
【0042】図2は、図1に示すカンチレバー40の製
造工程を示す概略断面図であり、図1(a)中のB−B
線に沿った断面に対応している。なお、図2において、
図1中の要素と対応する要素には同一符号を付してい
る。
【0043】まず、自然酸化膜で覆われた直径3イン
チ、厚さ250μm、(100)面方位のn型シリコン
基板54の両面に、低圧気相成長法によりジクロルシラ
ンとアンモニアガスを原料として窒化珪素膜51,55
を700nm成膜する。さらに、基板54の上面の窒化
珪素膜51をフォトリソグラフィ法及びドライエッチン
グ法によりパターニングすることによって、基板54の
上面の窒化珪素膜51の所定箇所に、基板54の表面を
露出させる一辺が約5μm〜10μmの四角形状の探針
41形成用の開口51aを形成する。開口51aのパタ
ーン形状、大きさは任意に設定することが可能である。
その後、この基板を、水酸化カリウム(KOH)水溶液
又はテトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド(T
MAH)水溶液等のシリコン用のエッチング液に浸漬
し、前記窒化珪素膜51,55をマスクとし、開口51
aから露出した基板54の部分を四角錐状にエッチング
して、窒化珪素膜51の開口51aに連続する四角錐状
のトレンチ54aを形成する(図2(a))。
【0044】次に、図2(a)に示す状態の基板を電気
炉に設置し、露出した基板54のトレンチ54aの部分
に熱酸化により酸化珪素膜56を成長させる。周知のよ
うに、酸化珪素膜の成長速度は、平坦な部分では速いと
ともに角の部分では遅いという性質を有しているので、
トレンチ54aの部分に成長した酸化珪素膜56の断面
形状は図2(b)に示すようになり、底部の厚みが他の
部分に比べて極端に薄いことになる。その後、この状態
の基板54の上面の窒化珪素膜51をフォトリソグラフ
ィ法及びドライエッチング法により再びパターニングす
ることによって、基板54の上面の窒化珪素膜51の所
定箇所に、基板54の表面を露出させる一辺が約5μm
〜10μmの四角形状の熱電対45形成用の開口51b
を形成する(図2(b))。
【0045】次に、基板54の両面の窒化珪素膜51,
55に対して、レバー部42の所望の形状及び支持体4
3の所望の形状に合わせて、フォトリソグラフィ法及び
ドライエッチング法によりパターニングを施す。次い
で、図2(b)に示す状態の基板の上面に、前記開口5
1a,51bを覆うようにかつ前記配線パターン52
b,52d及び前記電極パターン52a,52cの形状
に合わせて、リフトオフ法等により、金、白金、ニクロ
ム、クロメル、アルメル、白金ロジウム、ニッケル等の
金属膜52をパターニングする(図2(c))。
【0046】その後、図2(c)に示す状態の基板を4
0wt%の濃度で85度に加熱された水酸化カリウム水
溶液に浸漬し、前記パターニングにより露出した不要な
シリコン部分のみを溶出する。また、前記酸化珪素膜5
6をエッチング除去する(図2(d))。
【0047】最後に、図2(d)に示す状態の構造体の
下側全体に、先に成膜した金属膜52と異なる種類の金
属膜53を成膜する。これにより、図1に示すカンチレ
バー40が完成する。
【0048】本実施の形態による図1に示すカンチレバ
ー40では、探針41に設けられた熱電対44が発生す
る熱起電力(探針41の温度に相当)は、電極パターン
52aと下側金属膜53との間に得られ、レバー部42
の中心付近に設けられた熱電対45が発生する熱起電力
(レバー部42の中心付近の温度に相当)は、電極パタ
ーン52cと下側金属膜53との間に得られる。一方、
電極パターン52aと電極パターン52cとの間でみれ
ば、熱電対44,45が全体として差動型熱電対を構成
していることになる。したがって、電極パターン52a
と電極パターン52cとの間には、当該差動型熱電対の
熱起電力(探針41の温度とレバー部42の中心付近の
温度との間の差に相当)が得られる。
【0049】(第2の実施の形態)次に、本発明の第2
の実施の形態による走査型温度分布計測装置について、
図3を参照して説明する。本実施の形態による走査型温
度分布計測装置は、前述した第1の実施の形態によるカ
ンチレバー40を用いたものであり、いわゆるコンタク
トモードの装置である。
【0050】図3は、本実施の形態による走査型温度分
布計測装置を示す概略構成図である。図3において、前
述した図10中の要素と同一又は対応する要素には同一
符号を付し、その重複した説明は省略する。
【0051】本実施の形態による走査型温度分布計測装
置が前述した図10に示す従来の走査型温度分布計測装
置と異なる所は、本実施の形態による走査型温度分布計
測装置では、(1)単一の熱電対4のみを有するカンチ
レバー20に代えて2つの熱電対44,45を有する前
述した図1に示すカンチレバー40が用いられている
点、(2)熱起電力検出装置31は、いわゆる2チャン
ネルの検出回路を備え、2つの熱電対44,45がそれ
ぞれ発生する各熱起電力をそれぞれ検出し、当該各熱起
電力に応じた各温度信号をそれぞれコンピュータ32に
出力する点、(3)コンピュータ32は、表面形状の計
測と並行して行う温度分布の計測においては、熱電対4
4に対応する温度信号(探針41の温度に相当)を熱電
対45に対応する温度信号(レバー部42の中心付近の
温度に相当)に基づいて補正して得た温度データを、計
測の対象となる個々の試料21の表面と略平行な方向の
カンチレバー40の位置に対応づけて順次記憶すること
により、試料21の表面の温度分布データを得る点であ
る。
【0052】前記温度データを得るための前記補正の具
体例としては、例えば、熱電対44に対応する温度信号
から単に熱電対45に対応する温度信号を差し引くだけ
でもよいし、熱電対44に対応する温度信号から、熱電
対45に対応する温度信号に所定定数を乗算して得た補
正値を差し引いてもよいし、第2の温度センサからの信
号に応じて予め定めておいた補正値を差し引いてもよ
い。
【0053】なお、必要に応じて、コンピュータ32
に、熱電対44に対応する温度信号(探針41の温度に
相当)や熱電対45に対応する温度信号(レバー部42
の中心付近の温度に相当)も、計測の対象となる個々の
試料21の表面と略平行な方向のカンチレバー40の位
置に対応づけて順次記憶させておき、これらのデータを
適宜利用することもできる。
【0054】本実施の形態による走査型温度分布計測装
置では、前述した図1に示すカンチレバー40が用いら
れているので、熱電対44により探針41の温度を計測
することができると同時に、熱電対45によりレバー部
42の中心付近の温度を計測することができる。そし
て、熱電対45により計測されるレバー部42の中心付
近の温度は、本来測定すべき試料21の表面の点から熱
電対44に伝わる熱以外の、レバー部42を介して熱電
対44に伝わる熱の大きさに対応している。このため、
本実施の形態では、熱電対44からの信号を熱電対45
からの信号に基づいて補正しているので、レバー部42
を介して熱電対44に伝わる熱の影響を低減した、本来
測定すべき試料21の表面の点から熱電対44に伝わる
熱による温度情報を得ることができる。したがって、本
実施の形態によれば、前述した図11に示すような状況
においても、従来の走査型温度分布計測装置に比べて精
度の高い試料21の表面の温度分布の計測を行うことが
できる。
【0055】本実施の形態は、熱電対44,45をそれ
ぞれ独立した温度センサとして利用した例である。しか
し、前述したように、図1に示すカンチレバー40で
は、電極パターン52aと電極パターン52cとの間で
みると熱電対44,45が全体として差動型熱電対を構
成しており、電極パターン52aと電極パターン52c
との間には、当該差動型熱電対の熱起電力(探針41の
温度とレバー部42の中心付近の温度との間の差に相
当)が得られるので、熱電対44,45を差動型熱電対
として利用するように本実施の形態による走査型温度分
布計測装置を変形してもよい。すなわち、この場合に
は、図3において、熱起電力検出装置31が電極パター
ン52aと電極パターン52cとの間に生ずる熱起電力
を検出するようにし、当該熱起電力検出装置31の出力
をコンピュータ32に入力させ、コンピュータ32が、
熱起電力検出装置31の出力(探針41の温度とレバー
部42の中心付近の温度との間の差に相当)を、計測の
対象となる個々の試料21の表面と略平行な方向のカン
チレバー40の位置に対応づけて順次記憶することによ
り、試料21の表面の温度分布データを得るようにすれ
ばよい。この場合には、前記差動型熱電対の出力として
そもそも前述した補正がなされた信号が得られるので、
コンピュータ32において前述した補正のための演算を
行う必要がなくなる。
【0056】なお、本実施の形態は、試料21の温度分
布を計測すると同時に試料21の表面の凹凸の形状も測
定することができる走査型温度分布計測装置の例であっ
たが、本発明では、試料21の温度分布のみを計測して
もよく、例えば、図3中のレーザ光源27及びポジショ
ンセンサ28等の撓み検出手段を取り除いてもよい。こ
の場合は、カンチレバー40のレバー部42がバネ体で
あることを利用して、カンチレバー40の探針41が試
料21の表面から離れないように比較的強く押圧してお
くことが好ましい。
【0057】(第3の実施の形態)本実施の形態は、い
わゆるノンコンタクトモードの装置である。前記第2の
実施の形態による走査型温度分布計測装置において、振
動手段と振動状態検出手段を設け、レーザ光源27及び
ポジションセンサ28等の撓み検出手段を取り除いたも
のである(装置は図示せず)。
【0058】本実施の形態による装置では、カンチレバ
ーのレバー部にピエゾ素子が設けられており、このピエ
ゾ素子に交流電圧を印加することによってカンチレバー
が振動するようになっている。このとき、ピエゾ素子に
印加する交流電圧の周波数は、カンチレバーの振動周波
数がカンチレバーの固有周波数とわずかに異なる周波数
となるようにしておく。また、このときのカンチレバー
の振動状態を検出するための振動状態検出手段を設けて
おく。振動状態検出手段は、具体的にはカンチレバーの
レバー部上に形成されたピエゾ抵抗等で構成することが
でき、このピエゾ抵抗の抵抗変化から振動周波数等の振
動状態を検出することができる。
【0059】そして、この振動周波数は試料の表面と探
針との間の距離に応じて変化するため、カンチレバーの
振動周波数が一定になるように、試料とカンチレバーと
の間の距離を相対的に上下方向に移動させる。このよう
にすると、試料とカンチレバーの中心との間の距離は一
定であるため、前記第2の実施の形態と同様に、温度分
布データを得ることができるのである。また、本実施の
形態による走査型温度分布計測装置も、カンチレバーの
振動の中心と試料との間の距離を一定にさせるために、
カンチレバー又は試料を移動させるため、前記第2の実
施の形態と同様にして試料表面の凹凸の形状も同時に観
察することができることは言うまでもない。
【0060】他の構成は前記第2の実施の形態と同様で
ある。本実施の形態による走査型温度分布計測装置で
は、カンチレバーを振動させるため、カンチレバーに形
成されている2つの熱電対で検出する温度の信号も変調
されている。したがって、当該熱電対からの信号を検出
するには、この変調周波数と同期させて検出する。
【0061】本実施の形態によれば、前記第2の実施の
形態と同様に、前述した図11に示すような状況におい
ても、従来の走査型温度分布計測装置に比べて精度の高
い試料21の表面の温度分布の計測を行うことができ
る。
【0062】(第4の実施の形態)次に、本発明の第4
の実施の形態による走査型温度分布計測装置について、
図4を参照して説明する。本実施の形態による走査型温
度分布計測装置も、前述した第1の実施の形態によるカ
ンチレバー40を用いたものであり、いわゆるノンコン
タクトモードの装置である。
【0063】図4は、本実施の形態による走査型温度分
布計測装置を示す概略構成図である。図4において、前
述した図3中の要素と同一又は対応する要素には同一符
号を付し、その重複した説明は省略する。
【0064】本実施の形態による走査型温度分布計測装
置が前述した図10に示す従来の走査型温度分布計測装
置と異なる所は、以下の点である。すなわち、本実施の
形態による走査型温度分布計測装置では、レバーホルダ
25にカンチレバー40を振動させる振動手段として圧
電素子60及び振動手段用の電源61が設けられてい
る。この電源61は、カンチレバー40を加振させるた
めの振動周波数の電圧を発生させている。更に、本発明
の第3の実施の形態である走査型温度分布計測装置に対
して増幅器30の代わりに、ロックインアンプ301が
設けられている。このロックインアンプ301は、後述
する振動状態検出手段を構成する一つの装置である。こ
のロックインアンプ301には、電源61から得られる
参照信号と、I−V変換器29から出力される信号とが
入力される。また、レーザ光源27及びポジションセン
サ28等の撓み検出手段が、カンチレバー40の振動周
波数等の振動状態を検出するための振動状態検出手段と
して用いられている。そして、ポジションセンサ28に
よって得られたカンチレバー40の振動状態に関する信
号がロックインアンプ301に入力される。そして、電
源61からの参照信号と同じ周波数成分の振幅に関する
信号がロックインアンプ301により出力される。この
ロックインアンプ301により出力される振幅の大きさ
が常に一定になるように、コンピュータ32は、前記振
動状態検出手段からの信号(ロックインアンプ301か
らの出力)に基づいて、駆動装置26を制御してレバー
移動部24により試料とカンチレバーとの間の距離を相
対的に上下方向に移動させる。このようにすると、試料
21とカンチレバー40の中心との間の距離は一定であ
るため、前記第2の実施の形態と同様に、温度分布デー
タを得ることができるのである。また、本実施の形態に
よる走査型温度分布計測装置も、カンチレバー40の振
動の中心と試料21との間の距離を一定にさせるため
に、カンチレバー40を移動させるため、前記第2の実
施の形態と同様にして試料21の表面の凹凸の形状も同
時に観察することができることは言うまでもない。
【0065】なお、本実施の形態による走査型温度分布
計測装置では、カンチレバー40を振動させるため、カ
ンチレバー40に形成されている2つの熱電対44,4
5で検出する温度の信号も変調されている。したがっ
て、当該熱電対44,45からの信号を検出するには、
この変調周波数と同期させて検出する。
【0066】本実施の形態によれば、前記第2の実施の
形態と同様に、前述した図11に示すような状況におい
ても、従来の走査型温度分布計測装置に比べて精度の高
い試料21の表面の温度分布の計測を行うことができ
る。
【0067】(第5の実施の形態)次に、本発明の第5
の実施の形態によるカンチレバー70について、図5を
参照して説明する。
【0068】図5(a)は本実施の形態によるカンチレ
バー70を示す概略斜視図、図5(b)は図5(a)中
のC−C線に沿った概略断面図である。図5において、
前述した図1中の要素と同一又は対応する要素には同一
符号を付し、その重複した説明は省略する。
【0069】本実施の形態によるカンチレバー70が前
述した図1に示すカンチレバー40と異なる所は、以下
の点である。すなわち、本実施の形態によるカンチレバ
ー70では、図1に示すカンチレバー40で設けられて
いた探針41が除去され、レバー部42の先端部71が
探針とされている。そして、レバー部42における先端
部71の付近に穴が形成され、熱電対45と同様に、こ
の穴の部分において前記第1の金属52及び前記第2の
金属が形成されて互いに接合されている。先端部71付
近のこの当該穴の部分において接合された第1及び第2
の金属52,53が、熱電対44を形成している。つま
り、本実施の形態では、熱電対44は、探針に設けられ
ておらず、レバー部42における探針の付近に設けられ
ている。
【0070】本実施の形態によるカンチレバー70は、
前述した第2乃至第4の実施の形態において、図1に示
すカンチレバー40に代えてそのまま用いることができ
る。
【0071】(第6の実施の形態)次に、本発明の第6
の実施の形態によるカンチレバー80について、図6を
参照して説明する。
【0072】図6(a)は本実施の形態によるカンチレ
バー70を示す概略斜視図、図6(b)は図6(a)中
のD−D線に沿った概略断面図である。
【0073】本実施の形態によるカンチレバー80は、
先端側に探針81を有するレバー部82と、該レバー部
82を支持する支持体83とを備えている。探針81の
上部には第1の温度センサとしての熱電対84が設けら
れ、レバー部82の中心付近には第2の温度センサとし
ての1つの熱電対85が前記熱電対84とは別個に設け
られている。該熱電対45の位置は、必ずしもレバー部
82の中心付近に限定されるものではない。
【0074】本実施の形態では、レバー部82は、窒化
珪素膜91で構成されている。探針41は、レバー部8
2と同じ窒化珪素膜91で構成され、レバー部82の先
端側の領域に下方に突出するように先鋭化して形成され
ている。支持体83は、シリコン層92と、該シリコン
層92上に延在した前記窒化珪素膜91の部分と、シリ
コン層92下面の窒化珪素膜93とから構成されてい
る。第1の金属94、第2の金属95、第3の金属96
及び第4の金属97が、それぞれ窒化珪素膜91上に形
成されている。第1及び第2の金属94,95は互いに
種類が異なり、第3及び第4の金属96,97は互いに
種類が異なっている。第1及び第2の金属94,95は
探針81の上部において互いに重なって接合され、この
重なり部分が前記熱電対84を構成している。第3及び
第4の金属96,97はレバー部82の中心付近におい
て互いに重なって接合され、この重なり部分が前記熱電
対85を構成している。
【0075】前記第1及び第2の金属94,95は、熱
電対84の部分からレバー部82を経て支持体83に至
るまで窒化珪素膜91上においてそれぞれ延在してい
る。この延在した第1及び第2の金属94,95の支持
体83上の端部は、外部との電気的な接続のための電極
パターン94a,95aをそれぞれ構成し、第1及び第
2の金属94,95における熱電対84の部分から電極
パターン94a,95aに至る部分は、それぞれ配線パ
ターン94b,95bを構成している。
【0076】同様に、前記第3及び第4の金属96,9
7は、熱電対85の部分からレバー部82を経て支持体
83に至るまで窒化珪素膜91上においてそれぞれ延在
している。この延在した第3及び第4の金属96,97
の支持体83上の端部は、外部との電気的な接続のため
の電極パターン96a,97aをそれぞれ構成し、第3
及び第4の金属96,97における熱電対85の部分か
ら電極パターン96a,97aに至る部分は、それぞれ
配線パターン96b,97bを構成している。
【0077】次に、図6に示すカンチレバー80の製造
方法の一例について、図7を参照して説明する。
【0078】図7は、図6に示すカンチレバー80の製
造工程を示す概略断面図であり、図6(a)中のD−D
線に沿った断面に対応している。なお、図7において、
図6中の要素と対応する要素には同一符号を付してい
る。
【0079】まず、自然酸化膜で覆われた直径3イン
チ、厚さ250μm、(100)面方位のn型シリコン
基板92の両面に、低圧気相成長法によりジクロルシラ
ンとアンモニアガスを原料として窒化珪素膜91,93
を350nm成膜する。さらに、基板92の上面の窒化
珪素膜91をフォトリソグラフィ法及びドライエッチン
グ法によりパターニングすることによって、基板92の
上面の窒化珪素膜91の所定箇所に、基板92の表面を
露出させる一辺が約5μm〜10μmの四角形状の探針
81形成用の開口91aを形成する。開口91aのパタ
ーン形状、大きさは任意に設定することが可能である。
その後、この基板を、水酸化カリウム(KOH)水溶液
又はテトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド(T
MAH)水溶液等のシリコン用のエッチング液に浸漬
し、前記窒化珪素膜91,93をマスクとし、開口91
aから露出した基板92の部分を四角錐状にエッチング
して、窒化珪素膜91の開口91aに連続する四角錐状
のトレンチ92aを形成する(図7(a))。
【0080】次に、図7(a)に示す状態の基板を電気
炉に設置し、露出した基板54のトレンチ92aの部分
に熱酸化により酸化珪素膜98を成長させる。周知のよ
うに、酸化珪素膜の成長速度は、平坦な部分では速いと
ともに角の部分では遅いという性質を有しているので、
トレンチ92aの部分に成長した酸化珪素膜98の断面
形状は図7(b)に示すようになり、底部の厚みが他の
部分に比べて極端に薄いことになる。その後、この状態
の基板の両面に、低圧気相成長法によりジクロルシラン
とアンモニアガスを原料として、窒化珪素膜91,93
を更に350nm成膜する。次いで、基板92の両面の
窒化珪素膜91,93に対して、レバー部82の所望の
形状及び支持体83の所望の形状に合わせて、フォトリ
ソグラフィ法及びドライエッチング法によりパターニン
グを施す(図7(b))。
【0081】図7(b)に示す状態の基板の上面に、前
記探針81の上部に対応する部分を覆うようにかつ前記
配線パターン94b及び前記電極パターン94aの形状
に合わせて、リフトオフ法等により、金、白金、ニクロ
ム、クロメル、アルメル、白金ロジウム、ニッケル等の
金属膜94をパターニングする。更に、同様に、金属膜
94と異なる種類の金属膜95をリフトオフ法等により
パターニングする。この際、金属膜95の一部が前記探
針81の上部に対応する位置で金属膜94と重なるよう
にする。更に、同様に、金属膜96及びこれと異なる種
類の金属膜を順次リフトオフ法等によりパターニングす
る(図7(c))。この際、金属膜96,97の一部同
士が前記レバー部82の中心付近に対応する位置におい
て重なるようにする。
【0082】最後に、図7(c)に示す状態の基板を4
0wt%の濃度で85度に加熱された水酸化カリウム水
溶液に浸漬し、前記パターニングにより露出した不要な
シリコン部分のみを溶出する。また、前記酸化珪素膜9
8をエッチング除去する。これにより、図6に示すカン
チレバー80が完成する。
【0083】本実施の形態によるカンチレバー80で
は、探針81の上部に設けられた熱電対84が発生する
熱起電力(探針81の温度に相当)は、電極パターン9
4a,95a間に得られ、レバー部82の中心付近に設
けられた熱電対85が発生する熱起電力(レバー部82
の中心付近の温度に相当)は、電極パターン96a,9
7a間に得られる。したがって、本実施の形態によるカ
ンチレバー80は、前述した第2乃至第4の実施の形態
において、図1に示すカンチレバー40に代えてそのま
ま用いることができる。
【0084】また、本実施の形態によるカンチレバー8
0では、前述した図7(c)に示す工程においてリフト
オフ法による金属膜の成膜を4回行えば、第1乃至第4
の金属94〜97をそれぞれ異なる種類のものとするこ
とができるため、それぞれの熱電対84,85の感度を
変えることができる。したがって、測定環境に応じた熱
電対の組合せを適宜選択することが可能となり、好まし
い。もっとも、例えば、金属94,96を互いに同一種
類の金属とし、金属95,97を互いに同一種類の金属
としてもよい。この場合、図7(c)に示す工程におけ
るリフトオフ法による金属膜の成膜の回数は、2回で済
む。
【0085】(第7の実施の形態)次に、本発明の第7
の実施の形態によるカンチレバー100について、図8
を参照して説明する。
【0086】図8(a)は本実施の形態によるカンチレ
バー100を示す概略斜視図、図8(b)は図8(a)
中のE−E線に沿った概略断面図である。図8におい
て、前述した図6中の要素と同一又は対応する要素には
同一符号を付し、その重複した説明は省略する。
【0087】本実施の形態によるカンチレバー100が
前述した図6に示すカンチレバー80と異なる所は、以
下の点である。すなわち、本実施の形態によるカンチレ
バー100では、探針81の上部に第1の温度センサと
しての熱電対84が設けられるとともに、レバー部82
の中心より先端側の位置に第2の温度センサとしての1
つの熱電対85が設けられている他に、レバー部82の
中心より支持体83側の位置に第2の温度センサとして
の他の1つの熱電対85が設けられているおり、合計3
つの熱電対84,85,86が設けられている。互いに
種類の異なる第5及び第6の金属101,102がレバ
ー部82を構成している窒化珪素膜91上に形成されて
いる。熱電対84,85の場合と同様に、第5及び第6
の金属101,102の一部が互いに重なって接合さ
れ、この重なり部分が前記熱電対86を構成している。
前記第5及び第6の金属101,102は、熱電対86
の部分からレバー部82を経て支持体83に至るまで窒
化珪素膜91上においてそれぞれ延在している。この延
在した第5及び第6の金属101,102の支持体83
上の端部は、外部との電気的な接続のための電極パター
ン101a,102aをそれぞれ構成し、第5及び第6
の金属101,102における熱電対86の部分から電
極パターン101a,102aに至る部分は、それぞれ
配線パターン101b,102bを構成している。
【0088】本実施の形態によるカンチレバー100
は、図7を参照して説明したカンチレバー80の製造方
法と同様の製造方法によって、製造することができる。
【0089】本実施の形態によるカンチレバー100で
は、探針81の上部に設けられた熱電対84が発生する
熱起電力(探針81の温度に相当)は、電極パターン9
4a,95a間に得られ、レバー部82の中心より先端
側に設けられた熱電対85が発生する熱起電力(レバー
部82の当該位置の温度に相当)は、電極パターン96
a,97a間に得られ、レバー部82の中心より支持体
83側に設けられた熱電対86が発生する熱起電力(レ
バー部82の当該位置の温度に相当)は、電極パターン
101a,102a間に得られる。
【0090】本実施の形態によるカンチレバー100
は、前述した第2乃至第4の実施の形態において、図1
に示すカンチレバー40に代えて用いることができる。
この場合、前述した熱起電力検出回路31は、3チャン
ネルの検出回路を備えて3つの熱起電力84,85,8
6がそれぞれ発生する各熱起電力をそれぞれ検出し、当
該各熱起電力に応じた各温度信号をそれぞれコンピュー
タ32に出力するようにしておく。また、コンピュータ
32は、表面形状の計測と並行して行う温度分布の計測
においては、熱電対84に対応する温度信号(探針81
の温度に相当)を熱電対85,86に対応する各温度信
号(レバー部82の各位置の温度に相当)に基づいて補
正して得た温度データを、計測の対象となる個々の試料
21の表面と略平行な方向のカンチレバー40の位置に
対応づけて順次記憶することにより、試料21の表面の
温度分布データを得るようにしておく。
【0091】本実施の形態では、熱電対85,86から
の各熱起電力に基づいてレバー部82の温度分布を知る
ことができ、これにより、レバー部82を介して熱電対
84に伝わる熱の影響をより一層正確に見積もることが
できる。したがって、熱電対84に対応する温度信号に
対して一層精度の良い補正を行うことができ、一層精度
の高い試料表面の温度分布の計測を行うことができる。
【0092】以上、本発明の各実施の形態について説明
したが、本発明はこれらの実施の形態に限定されるもの
ではない。
【0093】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
本来測定すべき試料表面の点から伝わる熱以外の、レバ
ー部を介して伝わる熱による影響を低減することがで
き、試料表面の精度の高い温度分布の計測を行うことが
できる走査型温度分布計測装置及びこれに用いられるカ
ンチレバーを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態によるカンチレバー
を示す図であり、図1(a)はその概略斜視図、図1
(b)は図1(a)中のB−B線に沿った概略断面図で
ある。
【図2】図1に示すカンチレバーの製造工程を示す概略
断面図である。
【図3】本発明の第2の実施の形態による走査型温度分
布計測装置を示す概略構成図である。
【図4】本発明の第4の実施の形態による走査型温度分
布計測装置を示す概略構成図である。
【図5】本発明の第5の実施の形態によるカンチレバー
を示す図であり、図5(a)はその概略斜視図、図5
(b)は図5(a)中のC−C線に沿った概略断面図で
ある。
【図6】本発明の第6の実施の形態によるカンチレバー
を示す図であり、図6(a)はその概略斜視図、図6
(b)は図6(a)中のD−D線に沿った概略断面図で
ある。
【図7】図6に示すカンチレバーの製造工程を示す概略
断面図である。
【図8】本発明の第7の実施の形態によるカンチレバー
を示す図であり、図8(a)はその概略斜視図、図8
(b)は図8(a)中のE−E線に沿った概略断面図で
ある。
【図9】従来のカンチレバーの一例を示す図であり、図
9(a)はその概略斜視図、図9(b)は図9(a)中
のA−A線に沿った概略断面図である。
【図10】従来の走査型温度分布計測装置を示す概略構
成図である。
【図11】カンチレバーの中心付近直下の試料に熱源が
ある場合の計測の様子を示す図である。
【符号の説明】
21 試料 22 試料支持部 23 レバー支持部 24 レバー移動部 25 レバーホルダ 26 駆動装置 27 レーザ光源 28 ポジションセンサ 29 I−V変換器 30 増幅器 31 熱起電力検出装置 32 コンピュータ 40,70,80,100 カンチレバー 41,71,81 探針 42,82 レバー部 43,83 支持体 44,45,84,85,86 熱電対 60 圧電素子

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 先端側に探針を有するレバー部と、該レ
    バー部を支持する支持体とを備え、前記レバー部におけ
    る前記探針の付近又は前記探針に第1の温度センサが設
    けられたカンチレバーにおいて、 少なくとも1つの第2の温度センサが、前記レバー部に
    前記第1の温度センサとは別個に設けられたことを特徴
    とするカンチレバー。
  2. 【請求項2】 前記第1の温度センサ及び前記少なくと
    も1つの第2の温度センサがそれぞれ熱電対であること
    を特徴とする請求項1記載のカンチレバー。
  3. 【請求項3】 前記第1の温度センサ及び前記少なくと
    も1つの第2の温度センサが差動型熱電対を構成するこ
    とを特徴とする請求項1記載のカンチレバー。
  4. 【請求項4】 請求項1乃至3のいずれかに記載のカン
    チレバーと、該カンチレバーを試料に対して相対的に移
    動させる移動手段とを備え、前記カンチレバーの前記第
    1の温度センサからの信号を前記少なくとも1つの第2
    の温度センサからの信号に基づいて補正して得た温度情
    報を、前記カンチレバーの前記試料に対する前記試料表
    面と略平行な方向の相対的な位置に応じて得ることを特
    徴とする走査型温度分布計測装置。
  5. 【請求項5】 前記試料表面の形状を示す形状情報を得
    ることを特徴とする請求項4記載の走査型温度分布計測
    装置。
JP9183053A 1997-06-23 1997-06-23 カンチレバー及びそれを用いた走査型温度分布計測装置 Pending JPH1114468A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP9183053A JPH1114468A (ja) 1997-06-23 1997-06-23 カンチレバー及びそれを用いた走査型温度分布計測装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP9183053A JPH1114468A (ja) 1997-06-23 1997-06-23 カンチレバー及びそれを用いた走査型温度分布計測装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH1114468A true JPH1114468A (ja) 1999-01-22

Family

ID=16128921

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP9183053A Pending JPH1114468A (ja) 1997-06-23 1997-06-23 カンチレバー及びそれを用いた走査型温度分布計測装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH1114468A (ja)

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002243880A (ja) * 2001-02-13 2002-08-28 Yoshikazu Nakayama 発熱プローブ及び発熱プローブ装置
JP2002357528A (ja) * 2001-05-31 2002-12-13 Seiko Instruments Inc Spmの物理特性測定方法、測定プログラム及び走査型プローブ顕微鏡装置
JP2019090616A (ja) * 2017-11-10 2019-06-13 オムロン株式会社 環境センサ
CN110127589A (zh) * 2019-05-22 2019-08-16 季华实验室 用于加工衬底材料的钝化层的探针
TWI701426B (zh) * 2019-06-03 2020-08-11 志聖工業股份有限公司 溫度量測裝置

Cited By (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002243880A (ja) * 2001-02-13 2002-08-28 Yoshikazu Nakayama 発熱プローブ及び発熱プローブ装置
JP2002357528A (ja) * 2001-05-31 2002-12-13 Seiko Instruments Inc Spmの物理特性測定方法、測定プログラム及び走査型プローブ顕微鏡装置
JP4497753B2 (ja) * 2001-05-31 2010-07-07 エスアイアイ・ナノテクノロジー株式会社 走査型プローブ顕微鏡の物理特性測定方法及びプログラムならびに走査型プローブ顕微鏡装置
JP2019090616A (ja) * 2017-11-10 2019-06-13 オムロン株式会社 環境センサ
US11255733B2 (en) 2017-11-10 2022-02-22 Omron Corporation Environment sensor
CN110127589A (zh) * 2019-05-22 2019-08-16 季华实验室 用于加工衬底材料的钝化层的探针
CN110127589B (zh) * 2019-05-22 2022-03-29 季华实验室 用于加工衬底材料的钝化层的探针
TWI701426B (zh) * 2019-06-03 2020-08-11 志聖工業股份有限公司 溫度量測裝置

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US5929438A (en) Cantilever and measuring apparatus using it
US8214915B2 (en) Cantilever, cantilever system, scanning probe microscope, mass sensor apparatus, viscoelasticity measuring instrument, manipulation apparatus, displacement determination method of cantilever, vibration method of cantilever and deformation method of cantilever
US7707873B2 (en) Three-dimensional nanoscale metrology using FIRAT probe
US7404313B2 (en) Scanning probe microscope
US10119990B2 (en) Scanning probe microscope and method for examining a surface with a high aspect ratio
US20070295064A1 (en) Methods of imaging in probe microscopy
US6249000B1 (en) Scanning probe microscope
US20070103697A1 (en) Integrated displacement sensors for probe microscopy and force spectroscopy
US5772325A (en) Apparatus for providing surface images and method for making the apparatus
US20130312142A1 (en) System and method for high-speed atomic force microscopy
TWI364540B (en) Cantilever sensor system and profilers and biosensors using the same
EP0843175B1 (en) Scanning probe microscope and signal processing apparatus
JPH11183414A (ja) 走査型熱伝導分布計測装置
JPH1114468A (ja) カンチレバー及びそれを用いた走査型温度分布計測装置
JP2002156409A (ja) 集積回路における電気信号の検出のための測定ゾンデ及びこの測定ゾンデの使用法及びこの測定ゾンデの製造方法及びこの測定ゾンデによる測定システム
US10254306B2 (en) Probe calibration or measurement routine
JP4388559B2 (ja) 走査型近視野顕微鏡
JPH09196940A (ja) 微小熱電対付きカンチレバー
JP2000088735A (ja) 走査型プローブ顕微鏡
JPH08327635A (ja) カンチレバー及びこれを用いた加熱装置、並びにこれを用いた加熱・形状計測装置
JPH08327634A (ja) カンチレバー及びこれを用いた加熱装置、並びにこれを用いた加熱・形状計測装置
JPH09159680A (ja) カンチレバーホルダー及びこれを用いた加熱装置、並びにこれを用いた加熱・形状計測装置
JPH10282125A (ja) カンチレバー及びそれを用いた走査型プローブ顕微鏡並びに試料観察方法
JPH11352136A (ja) プローブ及びこのプローブを用いた顕微鏡
JPH0980060A (ja) 走査型プローブ顕微鏡