JPH11141174A - 建物の制振構造 - Google Patents

建物の制振構造

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JPH11141174A
JPH11141174A JP31313297A JP31313297A JPH11141174A JP H11141174 A JPH11141174 A JP H11141174A JP 31313297 A JP31313297 A JP 31313297A JP 31313297 A JP31313297 A JP 31313297A JP H11141174 A JPH11141174 A JP H11141174A
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vibration
damper
vibration damping
damping device
viscoelastic
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Shinji Nakada
信治 中田
Masayasu Miwa
正保 三輪
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は、微小振動と大振動の両方に適用出
来、地震後も交換不要で且つ居住空間を広くとれる建物
の制振構造を提供することを可能にすることを目的とし
ている。 【解決手段】 間柱3,4の間に斜めに掛け渡されるブ
レース5,6に粘弾性ダンパー7または摩擦ダンパー8
と油圧ダンパー9とを並列に且つ一体的に且つ平面上に
設けて構成したことを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、建物の制振構造に
係り、特に、住宅やオフィス等の中低層鉄骨建物に好適
な制振構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般に鉄骨構造の建物では、予め設定さ
れた設計基準に基づいて構造計算がなされている。そし
て、前記設計基準は想定された地震により構造体に作用
する水平力を主とし、比較的大きい振幅を持った振動が
対象となる。
【0003】一方、住宅やオフィス等の中低層鉄骨建物
には道路を通行する車両により発生する振動や屋内の歩
行により発生する振動等の微小振動が作用することがあ
る。そして、前記微小振動レベルにおける中低層鉄骨建
物の剛性は骨組のみならず、帳壁や間仕切壁等の二次部
材が大きく寄与するのが現実である。
【0004】建物に微小振動が作用した場合、二次部材
の配置や量によっては、適正になされた構造設計の結果
とは全く無関係に建物に捩れを発生させることがあり、
壁を付けることによりかえって悪影響を及ぼす虞があ
る。即ち、構造計算の結果に応じて構成された骨組に対
して無制限に二次部材を配置した場合、重心と剛心との
偏心距離が大きくなって僅かな外力(微小振動)が作用
しても捩れ振動を起こしてしまうという問題があった。
【0005】そこで、本発明者は、道路を通行する車両
により発生する振動や屋内での歩行により発生する振動
等の微小レベルの振動に対してのみ剛性及び減衰性を有
する粘弾性ダンパーを耐力壁間に取り付けた剛性調整壁
パネルの構造に関する技術を提案し、特願平6-131619号
により現在特許出願中である。
【0006】また、鉄骨構造の建物で微小振動に対する
補強方法として上下梁間にブレースを配置して剛性を高
めることも行われているが、ブレースの断面積を相当に
大きくしないと僅かな外力(微小振動)が作用した時の
負担能力が小さいという問題があった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前述の
特願平6-131619号に記載された技術では、微小レベルの
振動に対しては効果があるものの大地震が発生すれば粘
弾性ダンパーは破損してしまう。この粘弾性ダンパーを
例えばブレースに設けた場合、大地震が発生して粘弾性
ダンパーが破損するとブレースが切れた状態になるため
居住性の悪い状態となってしまう。
【0008】また、粘弾性ダンパーが破損してブレース
が切れた場合、地震が去った後、この粘弾性ダンパーを
交換する必要がある上、交換するまでの間はブレースが
無い状態になって居住性の悪い状態になってしまう。
【0009】一方、大地震でなくとも小地震や台風に対
する大振動用の制振装置も別途に設置しておくとの要請
もあるが、微小振動用と大振動用の制振装置を別々に取
り付けることは嵩張るため壁厚が大きくなり、居住空間
を制限するため好ましくない。
【0010】本発明は前記課題を解決するものであり、
その目的とするところは、微小振動と大振動の両方に適
用出来、地震後も交換不要で且つ居住空間を広くとれる
建物の制振構造を提供せんとするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため
の本発明に係る建物の制振構造は、鉄骨構造のブレース
に微小振動用制振装置と大振動用制振装置とを並列に設
けたことを特徴とする。
【0012】上記構成によれば、鉄骨構造のブレースに
微小振動用制振装置と大振動用制振装置とを並列に設け
たことで微小振動と大振動の両方に適用出来る上、大振
動レベルでの微小振動用制振装置の負担が小さくなり好
ましい。
【0013】また、微小振動用制振装置と大振動用制振
装置とを並列にブレースに設けたことで耐力壁に取り付
ける場合と比較して施工が簡単であり、且つ、設計上も
単純計算で済む。また、開口部のある壁面にも取り付け
ることが出来るので開口部の面の補強も兼ねることが出
来、好ましい。
【0014】また、前記微小振動用制振装置と前記大振
動用制振装置とを一体的に設けた場合には、工場生産が
可能で現場の作業工数が低減され、工期を短縮すること
が出来る。
【0015】また、前記微小振動用制振装置と前記大振
動用制振装置とを平面上に並設した場合には、空間専有
体積を小さく出来るので壁厚を薄くして居住空間を広く
とれる。
【0016】また、前記微小振動用制振装置と前記大振
動用制振装置とは両者を合わせて3つ以上の制振装置で
構成され、且つ、前記微小振動用制振装置を略中央部に
配置し、前記大振動用制振装置を前記微小振動用制振装
置の外側に配置した場合には、ブレースの軸心(中心)
に微小振動用制振装置を設けたことで振幅の小さい微小
振動の力の伝搬性が良い。一方、大振動は振幅が大きい
のでブレースの軸心(中心)から多少ずれても振動の力
の伝搬性が損なわれることがない。
【0017】また、大振動用制振装置を微小振動用制振
装置を中心として対称的に配置した場合には力のバラン
スが良いので好ましい。
【0018】前記微小振動用制振装置と前記大振動用制
振装置の数は設計上や占有空間可能体積を考慮して必要
に応じて増加することが出来るが、この場合も微小振動
用制振装置をブレースの軸心(中心)に集中させた方が
好ましい。
【0019】また、前記微小振動用制振装置を粘弾性ダ
ンパーまたは摩擦ダンパーで構成し、前記大振動用制振
装置を油圧ダンパーで構成した場合には、油圧ダンパー
により粘弾性ダンパーまたは摩擦ダンパーの変形量を抑
えることが出来、粘弾性ダンパーの弾性変形範囲内及び
摩擦ダンパーの変位追従性範囲内に変形量を抑えること
で、復元可能な制振装置を実現することが出来、大地震
の後で粘弾性ダンパーや摩擦ダンパーを交換する必要が
ないのでメンテナンス等の必要がなく、各ダンパー及び
ブレースが破損することも無いので快適な居住性を維持
することが出来る。
【0020】特に、前記微小振動用制振装置を摩擦ダン
パーで構成した場合には復元量が大きく設定出来るので
変位追従性の範囲を大きく設定することで超強振動にも
対応出来る。
【0021】
【発明の実施の形態】図により本発明に係る建物の制振
構造の一実施形態を具体的に説明する。図1は本発明に
係る建物の制振構造の一例を示す図、図2は微小振動用
制振装置と大振動用制振装置とを一体的に設けたハイブ
リッドダンパーの構成を示す図、図3は各ダンパーを取
り付けるダンパー取付部の構成を示す図、図4及び図5
は微小振動用制振装置となる粘弾性ダンパーの構成を示
す図、図6は大振動用制振装置となる油圧ダンパーの構
成を示す図、図7は微小振動用制振装置と大振動用制振
装置とを一体的に設けたハイブリッドダンパーの他の構
成を示す図、図8は各ダンパーを取り付けるダンパー取
付部の他の構成を示す図、図9は微小振動用制振装置と
なる摩擦ダンパーの構成を示す図、図10は摩擦ダンパー
に使用される潤滑シートの構成を示す図、図11〜図13は
本発明に係る建物の制振構造の他の構成を示す図であ
る。
【0022】本発明に係る建物の制振構造の一例とし
て、図1に示すように、鉄骨構造の上下梁1,2間に設
けられる間柱3,4間に斜めに掛け渡されるブレース
5,6に微小振動用制振装置となる粘弾性ダンパー7ま
たは摩擦ダンパー8と大振動用制振装置となる油圧ダン
パー9とを並列に且つ一体的に且つ平面上に並設したハ
イブリッドダンパーA,Bを設けて構成した建物の制振
構造について説明する。
【0023】図1において、上下梁1,2の間柱3,4
を配置する所定位置には補強金物10がボルト,ナット等
の固定部材により固定され、該補強金物10に間柱3,4
が取り付けられて間柱3,4が上下梁1,2に固定され
る。
【0024】間柱3,4の上下部及び中央部には間柱取
付金物11,12が夫々固定され、間柱3,4の中央部に取
り付けられた間柱取付金物12には該間柱3,4を継ぐ継
ぎ材13が固定されている。
【0025】間柱3,4の上下部に取り付けられた間柱
取付金物11と間柱3,4の中央部に取り付けられた間柱
取付金物12との間には、図1に示すように、中央部に微
小振動用制振装置となる粘弾性ダンパー7または摩擦ダ
ンパー8と、その両側に大振動用制振装置となる油圧ダ
ンパー9とを並列に且つ一体的に且つ平面上に並設した
ハイブリッドダンパーA,Bを略中央部に設けたブレー
ス5,6が「く」の字形状に斜めに掛け渡されて固定さ
れている。
【0026】各ブレース5,6の夫々の略中央部に設け
られたハイブリッドダンパーA,Bは、図1に示すよう
に、微小振動用制振装置となる粘弾性ダンパー7または
摩擦ダンパー8をブレース5,6の軸線上に配置し、該
微小振動用制振装置の両側に大振動用制振装置となる油
圧ダンパー9を2つ配置して構成している。
【0027】前記間柱3,4、補強金物10、継ぎ材13、
ハイブリッドダンパーA,Bを設けたブレース5,6は
予め工場生産された完成品の状態で建築現場に供給さ
れ、前記各部材をボルト,ナット等の固定部材により上
下梁1,2に固定することで壁パネル構造を構成するこ
とが出来る。
【0028】間柱3,4は上下梁1,2における対向す
る面の距離(梁間距離)と等しい長さを持って形成さ
れ、長手方向の両端部が各上下梁1,2に固着されてい
る。従って、各上下梁1,2に作用する微小振動及び大
振動は各間柱3,4に伝達され、更に間柱3,4に固着
された間柱取付金物11,12を介してブレース5,6に伝
達される。
【0029】次に図2〜図6を用いて微小振動用制振装
置として粘弾性ダンパー7を採用し、大振動用制振装置
として油圧ダンパー9を採用したハイブリッドダンパー
Aの構成について詳細に説明する。
【0030】図2及び図3に示すように、ブレース5,
6のハイブリッドダンパーA側の端部には、該ブレース
5,6の軸線上に粘弾性ダンパー7を固定すると共に該
粘弾性ダンパー7の両側に壁パネルの面と略平行な平面
上に油圧ダンパー9を2つ並設して取り付けるための略
T字形状で平板からなるダンパー取付部14が形成されて
おり、該ダンパー取付部14の中央の突出部14a及び両側
の鍔部14bには夫々ボルト孔14cが形成されている。
【0031】ハイブリッドダンパーAの中央部に配置さ
れる微小振動用制振装置となる粘弾性ダンパー7は図4
及び図5に示すように、塑性ゴム或いは弾性ゴムからな
る減衰性を有する粘弾性体7aの表面及び裏面に所定の
形状に形成されたプレート7b,7cを張り付けて構成
されており、該プレート7b,7cに作用する微小振動
を粘弾性体7aで減衰する機能を有する。
【0032】また、プレート7b,7cの粘弾性体7a
と反対側の端部には該端部をダンパー取付部14の突出部
14aに取り付けるためのボルト孔7dが形成されてい
る。
【0033】ハイブリッドダンパーAの微小振動用制振
装置となる粘弾性ダンパー7の両側に配置される大振動
用制振装置となる油圧ダンパー9は、図6に示すような
一般的な油圧ダンパーを使用することが出来る。図6
中、9aはシリンダー、9bはピストン、9cはピスト
ン9bに固定されたロッド、9dはピストン9bに設け
られたオリフィスである。
【0034】前記油圧ダンパー9はオリフィス9dを介
してシリンダー9a内をオイルが流通することでオリフ
ィス9dの両側に生ずる圧力差により抵抗力が生じ、こ
れにより大振動を減衰する機能を有する。
【0035】前記シリンダー9a及びピストン9bに固
定されたロッド9b1 の端部には夫々係合部9d,9eが
設けられており、該係合部9d,9eには夫々該係合部
9d,9eをダンパー取付部14の鍔部14bに取り付ける
ためのボルト孔9fが形成されている。
【0036】そして、ブレース5,6の一端に設けられ
たダンパー取付部14の突出部14aのボルト孔14cと粘弾
性ダンパー7のプレート7b,7cのボルト孔7dにボ
ルト15を挿通して該ボルト15にナット16を螺合して締着
固定すると共に、ダンパー取付部14の鍔部14bのボルト
孔14cと油圧ダンパー9の係合部9d,9eのボルト孔
9fにボルト15を挿通して該ボルト15にナット16を螺合
して締着固定することで、中央に1つの粘弾性ダンパー
7及びその両側に2つの油圧ダンパー9を並設したハイ
ブリッドダンパーAをブレース5,6の中央部に形成す
ることが出来るようになっている。
【0037】次に図7〜図10を用いて微小振動用制振装
置として摩擦ダンパー8を採用し、大振動用制振装置と
して前述と同じ油圧ダンパー9を採用したハイブリッド
ダンパーBの構成について詳細に説明する。尚、前記ハ
イブリッドダンパーAと同様に構成したものは同一の符
号を付して説明を省略する。
【0038】前記ハイブリッドダンパーAに適用した粘
弾性ダンパー7の代わりに、ハイブリッドダンパーBの
中央部に配置される微小振動用制振装置となる摩擦ダン
パー8は、図9に示すように、ダンパー取付部14の突出
部14aの端部が断面H型の嵌合部材8aの両端部の嵌合
部に夫々嵌合すると共に一方の嵌合部には潤滑シート8
bを介在させ、ダンパー取付部14の突出部14aに形成さ
れたボルト孔14c,14d及び嵌合部材8aの嵌合部に形
成された図示しないボルト孔及び潤滑シート8bに形成
された孔8b1 にボルト15を挿通して該ボルト15にナット
16を螺合して締着固定される。
【0039】前記潤滑シート8bとしては、例えばテフ
ロンシート(登録商標)等を使用すれば好ましい。
【0040】摩擦ダンパー8の嵌合部材8aの一端部の
嵌合部に対応するダンパー取付部14の突出部14aには図
8及び図9に示すようにボルト15の軸の外径に対応した
幅と所定の長さを有する長穴14dが形成されており、こ
の長穴14dが形成された側のダンパー取付部14の突出部
14aと嵌合部材8aの嵌合部との間には図10に示すよう
にボルト15を挿通するための孔8b1 を形成した所定の摩
擦係数を有する潤滑シート8bを図9に示すようにダン
パー取付部14の突出部14aの表裏両面に介在させるよう
に二重に折り曲げて挿通し、ボルト15及びナット16によ
り所定のトルクで締着固定している。
【0041】そして、ブレース5,6を介して摩擦ダン
パー8に所定の力が作用した際に潤滑シート8bを介在
させた側のボルト15及びナット16がダンパー取付部14の
突出部14aに設けた長穴14dに沿ってスライドすること
でブレース5,6に作用する微小振動を減衰する機能を
有する。
【0042】他の構成は前記ハイブリッドダンパーAと
同様に構成され、同様な効果を得ることが出来る。
【0043】上記のように構成した各ハイブリッドダン
パーA,Bによれば、油圧ダンパー9により粘弾性ダン
パー7または摩擦ダンパー8の変形量を抑えることが出
来、粘弾性ダンパー7の弾性変形範囲内或いは摩擦ダン
パー8の変位追従性範囲内に変形量を抑えることで、復
元可能な制振装置を実現することが出来、大地震の後で
粘弾性ダンパー7や摩擦ダンパー8を交換する必要がな
いのでメンテナンス等の必要がなく、ハイブリッドダン
パーA,B及びブレース5,6が破損することも無いの
で快適な居住性を維持することが出来る。
【0044】特に、前記ハイブリッドダンパーBのよう
に微小振動用制振装置を摩擦ダンパー8で構成した場合
には復元量を大きく設定出来るので変位追従性の範囲を
大きく設定することで超強振動にも対応出来る。
【0045】上記のように間柱3,4及びハイブリッド
ダンパーA,Bを設けたブレース5,6によって構成さ
れた壁パネルでは、上下梁1,2に発生した微小振動は
各上下梁1,2から間柱3,4に伝達され、ブレース
5,6を介してダンパー取付部14或いはハイブリッドダ
ンパーAでは更に粘弾性ダンパー7のプレート7b,7
cに伝達される。
【0046】粘弾性ダンパー7を使用した場合、微小振
動が伝達された粘弾性ダンパー7では、プレート7b,
7cに作用する微小振動が粘弾性体7aに伝達され、該
粘弾性体7aは微小振動に応じて変形する。従って、微
小振動は粘弾性体7aの変形によって吸収或いは減衰さ
れる。
【0047】一方、摩擦ダンパー8を使用した場合、微
小振動が伝達された摩擦ダンパー8では、ダンパー取付
部14に作用する微小振動が潤滑シート8bに伝達され、
該潤滑シート8bの摩擦係数及びボルト15及びナット16
の締着トルクに応じてダンパー取付部14が嵌合部材8a
に対して長穴14dに沿ってスライドして微小振動が吸収
或いは減衰される。
【0048】上下梁1,2に微小振動が発生している場
合には、その振幅が小さいため油圧ダンパー9のシリン
ダー9a及びピストン9bは略微小振動に応じて振動し
てダンパーの作用を発揮せず、専ら粘弾性ダンパー7ま
たは摩擦ダンパー8により微小振動が吸収或いは減衰さ
れる。
【0049】そして、上下梁1,2に地震等の大振動が
発生した場合には、その振幅が大きいため油圧ダンパー
9の作用により大振動が吸収或いは減衰される。
【0050】前記ハイブリッドダンパーA,Bを設けた
ブレース5,6の構成は図1で示した構成以外に、例え
ば、図11に示すように、間柱3,4の上下部にブレース
5,6を「X」字形状に斜めに掛け渡して固定しても良
いし、図12に示すように、間柱3,4の中央部に2本の
継ぎ材13を上下梁1,2に平行に配置して固定して開口
17を形成し、間柱4の上下部と継ぎ材13と間柱3との接
続部との間にブレース5,6を斜めに掛け渡して固定し
ても良い。また、図13に示すように、間柱3の上部と間
柱4の下部及び該間柱4の下部と間柱18の上部にブレー
ス5,6を斜めに掛け渡して固定しても良い。
【0051】前記ブレース5,6に設けられるハイブリ
ッドダンパーA,Bを構成する粘弾性ダンパー7または
摩擦ダンパー8及び油圧ダンパー9の配置数は、該粘弾
性ダンパー7または摩擦ダンパー8及び油圧ダンパー9
の有する減衰特性や予め想定された微小振動レベル及び
大振動レベル等の条件に基づいて必要な所定の数だけ配
置される。
【0052】即ち、粘弾性ダンパー7または摩擦ダンパ
ー8及び油圧ダンパー9の配置数を適宜設定することに
よってブレース5,6による剛性、減衰性を所望の条件
に応じて極めて容易に調整することが出来る。
【0053】従って、鉄骨構造の建物を設計するに際
し、建物に作用する微小振動レベル及び想定される大振
動レベルの条件が設定された時、間柱3,4やブレース
5,6、粘弾性ダンパー7または摩擦ダンパー8及び油
圧ダンパー9に何等設計変更を加えることなく、粘弾性
ダンパー7または摩擦ダンパー8及び油圧ダンパー9の
配置数を設定するのみによって、前記設定条件に対応し
得る剛性、減衰性を持った壁パネルを構成することが可
能となる。
【0054】また、建物における二次部材の配置位置に
対応して前記ハイブリッドダンパーA,Bを設けたブレ
ース5,6を取り付けることで、重心と剛心の偏心距離
を調整して建物の剛性を調整することが出来る。このた
め、建物に微小振動が作用した時、骨組に生じる虞のあ
る捩れを防止することが出来る。
【0055】また、本発明に係る建物の制振構造は、間
仕切壁内や帳壁の裏面に設置することが出来るので、設
計プランを変更することなく建物の剛性を調整すること
が出来る。
【0056】
【発明の効果】本発明は、上述の如き構成と作用とを有
するので、鉄骨構造のブレースに微小振動用制振装置と
大振動用制振装置とを並列に設けたことで微小振動と大
振動の両方に適用出来る上、大振動レベルでの微小振動
用制振装置の負担が小さくなり好ましい。
【0057】また、微小振動用制振装置と大振動用制振
装置とを並列にブレースに設けたことで耐力壁に取り付
ける場合と比較して施工が簡単であり、且つ、設計上も
単純計算で済む。また、開口部のある壁面にも取り付け
ることが出来るので開口部の面の補強も兼ねることが出
来、好ましい。
【0058】また、前記微小振動用制振装置と前記大振
動用制振装置とを一体的に設けた場合には、工場生産が
可能で現場の作業工数が低減され、工期を短縮すること
が出来る。
【0059】また、前記微小振動用制振装置と前記大振
動用制振装置とを平面上に並設した場合には、空間専有
体積を小さく出来るので壁厚を薄くして居住空間を広く
とれる。
【0060】また、前記微小振動用制振装置を粘弾性ダ
ンパーまたは摩擦ダンパーで構成し、前記大振動用制振
装置を油圧ダンパーで構成した場合には、油圧ダンパー
により粘弾性ダンパーまたは摩擦ダンパーの変形量を抑
えることが出来、粘弾性ダンパーの弾性変形範囲内及び
摩擦ダンパーの変位追従性範囲内に変形量を抑えること
で、復元可能な制振装置を実現することが出来、大地震
の後で粘弾性ダンパーや摩擦ダンパーを交換する必要が
ないのでメンテナンス等の必要がなく、各ダンパー及び
ブレースが破損することも無いので快適な居住性を維持
することが出来る。
【0061】特に、前記微小振動用制振装置を摩擦ダン
パーで構成した場合には復元量を大きく設定することが
出来るので変位追従性の範囲を大きく設定することで超
強振動にも対応出来る。
【0062】また、建物における二次部材の配置位置に
対応して前記微小振動用制振装置と前記大振動用制振装
置とを並設して設けたブレースを取り付けることで、重
心と剛心の偏心距離を調整して建物の剛性を調整するこ
とが出来る。このため、建物に微小振動が作用した時、
骨組に生じる虞のある捩れを防止することが出来る。
【0063】また、本発明に係る建物の制振構造は、間
仕切壁内や帳壁の裏面に設置することが出来るので、設
計プランを変更することなく建物の剛性を調整すること
が出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る建物の制振構造の一例を示す図で
ある。
【図2】微小振動用制振装置と大振動用制振装置とを一
体的に設けたハイブリッドダンパーの構成を示す図であ
る。
【図3】各ダンパーを取り付けるダンパー取付部の構成
を示す図である。
【図4】微小振動用制振装置となる粘弾性ダンパーの構
成を示す図である。
【図5】微小振動用制振装置となる粘弾性ダンパーの構
成を示す図である。
【図6】大振動用制振装置となる油圧ダンパーの構成を
示す図である。
【図7】微小振動用制振装置と大振動用制振装置とを一
体的に設けたハイブリッドダンパーの他の構成を示す図
である。
【図8】各ダンパーを取り付けるダンパー取付部の他の
構成を示す図である。
【図9】微小振動用制振装置となる摩擦ダンパーの構成
を示す図である。
【図10】摩擦ダンパーに使用される潤滑シートの構成を
示す図である。
【図11】本発明に係る建物の制振構造の他の構成を示す
図である。
【図12】本発明に係る建物の制振構造の他の構成を示す
図である。
【図13】本発明に係る建物の制振構造の他の構成を示す
図である。
【符号の説明】
1,2…上下梁 3,4…間柱 5,6…ブレース 7…粘弾性ダンパー 7a…粘弾性体 7b,7c…プレート 7d…ボルト孔 8…摩擦ダンパー 8a……嵌合部材 8b…潤滑シート 8b1 …孔 9…油圧ダンパー 9a…シリンダー 9b…ピストン 9b1 …ロッド 9c…オリフィス 9d,9e…係合部 9f…ボルト孔 10…補強金物 11,12…間柱取付金物 13…継ぎ材 14…ダンパー取付部 14a…突出部 14b…鍔部 14c…ボルト孔 14d…長穴 15…ボルト 16…ナット 17…開口 18…間柱 A,B…ハイブリッドダンパー

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 鉄骨構造のブレースに微小振動用制振装
    置と大振動用制振装置とを並列に設けたことを特徴とす
    る建物の制振構造。
  2. 【請求項2】 前記微小振動用制振装置と前記大振動用
    制振装置とを一体的に設けたことを特徴とする請求項1
    に記載の建物の制振構造。
  3. 【請求項3】 前記微小振動用制振装置と前記大振動用
    制振装置とを平面上に並設したことを特徴とする請求項
    1に記載の建物の制振構造。
  4. 【請求項4】 前記微小振動用制振装置と前記大振動用
    制振装置とは両者を合わせて3つ以上の制振装置で構成
    され、且つ、前記微小振動用制振装置を略中央部に配置
    し、前記大振動用制振装置を前記微小振動用制振装置の
    外側に配置したことを特徴とする請求項1〜3のいずれ
    か1項に記載の建物の制振構造。
  5. 【請求項5】 前記微小振動用制振装置を粘弾性ダンパ
    ーまたは摩擦ダンパーで構成し、前記大振動用制振装置
    を油圧ダンパーで構成したことを特徴とする請求項1〜
    4のいずれか1項に記載の建物の制振構造。
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