JPH11138203A - 連続圧延方法およびこの方法を実施する連続圧延設備 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 先行のストリップの後端と後行のストリップ
の先端の接合をするために蓄積するストリップ11を短く
することができる連続圧延方法および連続圧延設備を提
供すること。 【解決手段】 ストリップを冷間圧延する単数または複
数基の圧延機１と、該圧延機１の入側に設けたアンコイ
ラー４、先行のストリップの後端と後行のストリップの
先端を接合するための接合機５、接合している間に供給
するストリップを蓄積するためのダンサーロール６およ
び入側張力発生装置７と、該圧延機１の出側に配置した
出側張力発生装置８、ストリップを切断する切断機９お
よびコイラー10とからなり、該圧延機１には図示してな
い自動板厚制御装置が設けられており、また該圧延機１
のバックアップロール3a、3bの軸受がころ軸受である連
続圧延設備を使用し、該自動板厚制御装置を作動した状
態にしておいて先行のストリップの後端と後行のストリ
ップの先端を接合している間は圧延機を減速して圧延す
ること。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、先行のストリップ
の後端と後行のストリップの先端を接合しながら圧延す
る連続圧延方法およびこの方法を実施する連続圧延設備
に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、冷間圧延を連続的に行う圧延方法
および設備として、図２に示すように５スタンドの圧延
機１の入側にアンコイラー4a、4b、せん断機12、先行ス
トリップの後端と後行ストリップの先端を溶接するため
の溶接機17、溶接している間に供給するストリップ11を
蓄積するためのストリップ貯蔵装置13などを配置し、圧
延機１の出側に走間せん断機15、コイラー10a 、10b な
どを配置し、先行ストリップを圧延して先行ストリップ
の後端がせん断機12のところに来たときに後端部の送り
出しを停止して後端をせん断機12で切断し、後行ストリ
ップを巻き戻して後行ストリップの先端が溶接機17のと
ころに来たときに停止して先端をせん断機12で切断し、
溶接機17のところまで来たときに先行ストリップ後端お
よび後行ストリップ先端の走行を停止し、先行ストリッ
プの後端と後行ストリップの先端を溶接機17で溶接し、
先行ストリップの後端が走行を停止したときはストリッ
プ貯蔵装置13からストリップを圧延機１に供給するよう
にして連続的に冷間圧延をする方法および装置が特開平
２─２５３５０号公報などで開示されている。

【０００３】また、図３に示すようにシングルスタンド
の圧延機の入側に走間せん断機15、、巻取・巻戻機16、
せん断機12、先行ストリップの後端と後行ストリップの
先端を溶接するための溶接機17、ストリップ貯蔵装置1
3、ブライドルロール７などを配置し、圧延機１の出側
にブライドルロール８を配置し、このブライドルロール
８を出たところから入側の走間せん断機15にストリップ
11を送給するようにし、先行ストリップの後端がせん断
機12のところに来たら、先行ストリップの送り出しを停
止して後端をせん断し、後行ストリップの先端がせん断
機12のところに来たら、送り出しを停止して先端をせん
断し、先行ストリップの後端と後行ストリップの先端が
溶接機17のところに来たときに両者の送り出しを停止し
て溶接し、その後圧延した後先行ストリップの後端の溶
接したところが走間せん断機15のところに来たときに走
間せん断し、巻取・巻戻機16で巻取りを終了し、後行ス
トリップの先端を別の巻取・巻戻機16で巻取りを開始す
る。巻取りを終了したストリップ11のコイルは、所定の
厚さより厚い場合には所定の厚さになるまで上記の工程
を繰り返し、再度圧延をする必要がない場合にはコイル
カーで取り出し、新たに圧延するコイルを巻取・巻戻機
16に供給して圧延すようにしてエンドレスで冷間圧延を
する方法および装置が上記公報に開示されている。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかし、上記従来の連
続式の冷間圧延方法および装置は、溶接している間も冷
間圧延の速度を減速していないので、ストリップ貯蔵装
置13に蓄積する長さが非常に長く、すなわち、冷間圧延
の速度は約６００〜８００ｍ／分であり、溶接するため
に必要な時間は約１分３０秒であるので、少なくとも約
９００ｍにする必要があり、大規模なストリップ貯蔵装
置が必要であった。本発明は、先行ストリップの後端と
後行ストリップの先端の接合するために蓄積するストリ
ップを短くすることができる連続圧延方法および連続圧
延設備を提供することを課題としている。

【０００５】

【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、本発明者は、連続的に圧延する方法において、スト
リップを蓄積する長さを短くすることについて検討した
ところ、蓄積するストリップを短くするには圧延機の入
側のストリップ速度を遅くすればよいこと、および入側
のストリップ速度を遅くするためには従来使用していた
バックアップロール用油膜軸受をころ軸受にすれば、速
度の制約をなくすことができること、すなわち従来使用
していたバックアップロール用油膜軸受は回転速度が遅
くなると、潤滑油の粘性により軸受の荷重受け面である
上側に油が巻き込まれて油膜が厚くなり、その結果軸受
け箱が定位置に保持されているためワークロール隙間が
減少し、板厚自動制御（ＡＧＣ）の制御許容範囲外とな
るため圧延不能となるが、ころ軸受にすればそのような
ことがなくなるとの知見を得た。また、従来圧延機の入
側のストリップ速度を遅くすることができなかったもう
１つの理由として、加減速時にロールとストリップ間の
摩擦係数が変化し、またロール回転用主モータの制御が
不安定になるなどのため、自動板厚制御をＯＦＦにしな
ければならないことがあったが、入側のストリップ速度
が遅くてもＯＦＦにしないで制御を連続すれば、板厚は
極端に変わらないとの知見を得た。本発明は、これらの
知見を基になしたものである。

【０００６】すなわち、上記目的を達成するため、本発
明の先行のストリップの後端と後行のストリップの先端
を接合して連続的に圧延する方法においては、ストリッ
プを冷間圧延する単数または複数基の圧延機と、該圧延
機の入側（図１の圧延機１の右側）に設けたアンコイラ
ー（巻戻装置）、先行のストリップの後端と後行のスト
リップの先端を接合するための接合機、接合している間
に供給するストリップを蓄積するためのダンサーロール
および入側張力発生装置と、該圧延機の出側（図１の圧
延機１の左側）に設けた出側張力発生装置、ストリップ
を切断する切断機およびコイラー（巻取装置）と、必要
に応じて該圧延機の入側に設けた接合機などとからな
り、該圧延機には自動板厚制御装置が設けられており、
また該圧延機のバックアップロールの軸受をころ軸受に
した連続圧延設備を使用し、該自動板厚制御装置を作動
した状態にしておいて先行のストリップの後端と後行の
ストリップの先端を接合している間は圧延機を減速して
圧延することである。

【０００７】また、上記目的を達成するため、本発明の
先行のストリップの後端と後行のストリップの先端を溶
接して連続的に圧延する連続圧延設備においては、スト
リップを冷間圧延する単数または複数基の圧延機と、該
圧延機の入側に設けたアンコイラー（巻戻装置）、先行
のストリップの後端と後行のストリップの先端を接合す
るための接合機、接合している間に供給するストリップ
を蓄積するためのダンサーロールおよび入側張力発生装
置と、該圧延機の出側に設けた出側張力発生装置、スト
リップを切断する切断機およびコイラー（巻取装置）
と、必要に応じて該圧延機の入側に設けた切断機などと
からなり、該圧延機には自動板厚制御装置が設けられて
おり、また該圧延機のバックアップロールの軸受をころ
軸受にしたものとしたことである。

【０００８】

【発明の実施の形態】本発明の実施の形態を図面に基づ
いて説明する。図１は、本発明の連続圧延装置の一例の
概念図である。本発明の連続圧延方法にも使用する一実
施の態様の連続圧延設備は、圧延機１と、該圧延機１の
入側に配置したアンコイラー４、ストリップ接合用の接
合機５、ダンサーロール６および入側張力発生装置７
と、該圧延機１の出側に配置した出側張力発生装置８、
切断機９、コイラー10などからなるものである。本発明
の連続圧延設備の上記圧延機１は、単数または複数基か
らなり、圧延速度を低速の場合には１〜１０ｍ／分にす
ることができるものである。またこの各圧延機はバック
アップロール3a、3bの軸受をころ軸受にし、他の部分は
従来のものと同様な構造にしたもので、図示してない通
常の自動板厚制御装置を備えたものである。この各圧延
機のバックアップロール3a、3bの軸受に用いるころ軸受
は、ころが転動するようにしたもので、普通の構造をし
ているものである。

【０００９】また、本発明の連続圧延装置のアンコイラ
ー４は、２基以上からなり、その構造は従来のものと同
様なもので、一方のアンコイラー4aからストリップを巻
き戻している間に他方のアンコイラー4bが待機してお
り、一方のアンコイラー4aからストリップの巻き戻しが
終了たら、待機中の他方のアンコイラー4bを巻き戻すよ
うにし、先行のストリップの後端に後行のストリップの
先端を接合機６で接合してストリップを連続的に供給す
るようにしたものである。この接合機６は、従来からス
トリップの接合に使用されている溶接機、鍛圧機などで
ある。

【００１０】本発明の連続圧延設備の上記ダンサーロー
ル６は、先行のストリップの後端と後行のストリップの
先端を接合機６で接合している間に圧延機１に供給する
ためのストリップ11を蓄積するもので、高さが最高でも
８ｍ程度のものでよい。すなわち、ストリップ11を接合
している間の圧延機１の圧延速度は１〜１０ｍ／分であ
り、接合時間は溶接の場合約１．５分であるので、蓄積
できる長さは１．５〜１５ｍのものでよいので、ダンサ
ーロール６の高さは最高でも８ｍ程度のものでよい。さ
らに、本発明の上記入側および出側張力発生装置７、８
は、圧延中にストリップにテンションを与えるもので、
テンションブライドルロールなどである。また上記切断
機９は、高速せん断機などの走行しているストリップを
切断するために従来から使用されているものでよい。ま
た、コイラー10は、２台以上からなるテンションリール
などで、その構造は従来のものと同様なものでよい。ま
た、図１には記載されていないが、上記接合機５の巻戻
機４側に必要に応じて設ける切断機は、圧延機１に供給
するストリップの先端及び後端を切断するためのもの
で、その構造は圧延機１に供給するストリップの先端及
び後端を切断するために用いられている従来のものと同
様なものでよい。

【００１１】次に、この連続圧延設備の使用方法の一例
を説明すると、アンコイラー4aからストリップの巻き戻
しが終了して後端が接合機５のところで移動を停止し、
アンコイラー4bから巻き戻されたストリップの先端が接
合機５のところまで来たところで停止して両者が接合さ
れる。この間圧延機は約１２００ｍ／分の速度から１〜
１０ｍ／分に落とされて圧延されることになり、この間
に圧延機１に供給されるストリップ11はダンサーロール
６のところから供給される。この接合は溶接の場合に約
１．５分で終了するので、接合が終了すると圧延機は速
度を上げて圧延し、この接合された部分が切断機９のと
ころに来ると切断され、これまで巻き取っていたコイラ
ー10a から別のコイラー10b に変わって巻き取られる。
巻き取られたストリップの板厚が所定の板厚より厚い場
合には巻き取られたストリップのコイルをアンコイラー
側４に運搬し、再度アンコイラーで巻き戻しながら所定
の板厚になるまで圧延する。また巻き取られたストリッ
プの板厚が所定の板厚になっている場合には完成品とし
て所定の保管場所に運搬されることになる。

【００１２】次に、本発明の連続圧延方法について説明
する。本発明の連続圧延方法は、上記連続圧延設備を使
用し、連続圧延中の先行のストリップの後端と後行のス
トリップの先端を接合している間に圧延機の圧延速度を
減速し、圧延機に設置されている自動板厚制御装置を作
動した状態にして圧延することである。この方法におけ
る圧延機の圧延速度の減速は、上記溶接中に該圧延機に
供給するストリップを短くするためのもので、減速した
圧延速度が速すぎるとダンサーロール６を高くする必要
があるので、１〜１０ｍ／分にすることが好ましい。

【００１３】

【作用】本発明は、先行のストリップの後端を後行のス
トリップの先端に溶接などで接合している間に両ストリ
ップの後端あるいは先端の走行を停止しても、圧延機が
非常に低速で圧延しているため、該圧延機へ供給するス
トリップの長さはわずかでよいので、ダンサーロール６
に蓄積されている分から供給することができる。さらに
この圧延機は、バックアップロール3a、3bの軸受がころ
軸受であるので、低速度で圧延してもストリップの板厚
は変わることなく圧延することができ、また自動板厚制
御を作動のままにしてるいので、この圧延機を低速度で
圧延してもワークロールとストリップ間の摩擦係数が動
→静→動にならないで動のままであるため、自動板厚制
御の誤差が小さく圧延された板厚が極端に変化すること
がない。

【００１４】

【実施例】本発明の一実施例の連続圧延装置は、図１に
示したようにワークロール2a、2bおよびバックアップロ
ール3a、3bなどからなる３基の圧延機1a、1b、1cと、該
圧延機１の入側に２基のアンコイラー4a、4bと、該圧延
機１と該アンコイラー４との間に設けた接合機５の溶接
機と、この接合機５の該圧延機１側に設けた高さ４ｍの
ダンサーロール６と、このダンサーロール６と該圧延機
１との間に設けた入側張力発生装置７の入側テンション
ブライドルロールを配置し、該圧延機１の出側に出側張
力発生装置８の出側テンションブライドルロールと、ス
トリップを高速で切断する切断機９と、２基のコイラー
のテンションリール10a 、10b とを配置したもので、該
圧延機１の各圧延機の1a、1b、1cのバックアップロール
3a、3bの軸受はころ軸受を使用したものであり、また図
示してない自動板厚制御装置を設けたものである。この
連続圧延装置は、通常の圧延速度を約１２００ｍ／分、
ストリップを溶接する間の圧延速度を約１〜５ｍ／分と
して圧延することができるようにしたものである。

【００１５】

【発明の効果】本発明の連続圧延方法およびこの方法を
実施する連続圧延設備は、上記構成にしたことにより、
次のような優れた効果を奏する。 （１）ダンサーロールは、ストリップアキュレーターに
比較して装置が非常に小さいので、安価であり、また設
置場所なども少なくすることができるので、経済的に非
常に有利である。 （２）ストリップのオフゲージの部分は、一般的に所定
の板厚より厚くなるが、ストリップが接合されているた
めにテンションをかけたまま圧延することができるの
で、オフゲージの部分を商品価値のある所定の板厚より
薄いものとすることができる。 （３）バッチ式タンデム圧延機を小額の投資で改造する
ことができるので、バッチ式タンデム圧延機において発
生するオフゲージ、噛み込みおよび尻抜けの際のロール
傷などのロールトラブルを減少することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の連続圧延設備の一実施例の概念図であ
る。

【図２】従来の連続圧延装置の概念図である。

【図３】従来の他のループ式連続圧延装置の概念図であ
る。

【符号の説明】

１、1a、1b、1c 圧延機 2a、2b ワークロール 3a、3b バックアップロール ４、4a、4b アンコイラー ５ 接合機 ６ ダンサーロール ７ 入側張力発生装置 ８ 出側張力発生装置 ９ 切断機 10、10a 、10b コイラー 11 ストリップ 12 せん断機 13 ストリップ貯蔵装置 14 フリーループ 15 走間せん断機 16 巻取・巻戻機 17 溶接機

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.⁶ 識別記号 ＦＩ Ｂ２１Ｂ 37/18 Ｂ２１Ｂ 37/12 １１１Ａ (72)発明者 藤井 保弘 神奈川県横浜市磯子区新中原町１番地 石 川島播磨重工業株式会社横浜エンジニアリ ングセンター内 (72)発明者 覚張 文夫 東京都千代田区丸の内一丁目１番２号 日 本鋼管株式会社内

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 ストリップを冷間圧延する単数または複
   数基の圧延機（１)と、該圧延機（１) の入側に配置し
   たアンコイラー（４) 、先行のストリップの後端と後行
   のストリップの先端を接合するための接合機（５）、接
   合している間に供給するストリップを蓄積するためのダ
   ンサーロール（６）および入側張力発生装置（７）と、
   該圧延機（１) の出側に配置した出側張力発生装置
   （８）、ストリップを切断する切断機（９）およびコイ
   ラー（10）とからなり、該圧延機（１) には自動板厚制
   御装置が設けられており、また該圧延機（１) のバック
   アップロール（3a、3b）の軸受がころ軸受である連続圧
   延設備を使用し、該自動板厚制御装置を作動した状態に
   しておいて先行のストリップの後端と後行のストリップ
   の先端を接合している間は圧延機を減速して圧延するこ
   とを特徴とする連続圧延方法。
2. 【請求項２】 ストリップを冷間圧延する単数または複
   数基の圧延機（１)と、該圧延機（１) の入側に配置し
   たアンコイラー（４) 、先行のストリップの後端と後行
   のストリップの先端を接合するための接合機（５）、接
   合している間に供給するストリップを蓄積するためのダ
   ンサーロール（６）および入側張力発生装置（７）と、
   該圧延機（１) の出側に配置した出側張力発生装置
   （８）、ストリップを切断する切断機（９）およびコイ
   ラー（10）とからなり、該圧延機（１) には自動板厚制
   御装置が設けられており、また該圧延機（１) のバック
   アップロール（3a、3b）の軸受がころ軸受であることを
   特徴とする連続圧延設備。