JPH11131218A - 金属薄膜ならびにそれを用いた光記録媒体 - Google Patents

金属薄膜ならびにそれを用いた光記録媒体

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JPH11131218A
JPH11131218A JP9295827A JP29582797A JPH11131218A JP H11131218 A JPH11131218 A JP H11131218A JP 9295827 A JP9295827 A JP 9295827A JP 29582797 A JP29582797 A JP 29582797A JP H11131218 A JPH11131218 A JP H11131218A
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thin film
recording medium
optical recording
silver
copper
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JP9295827A
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Shin Fukuda
福田  伸
Nobuyuki Ishiguro
信行 石黒
Mitsuru Sadamoto
満 貞本
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Mitsui Chemicals Inc
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Mitsui Chemicals Inc
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】黄金色を呈する金属薄膜を持つ光記録媒体の提
供。 【解決手段】透明基板上に、少なくとも一種の有機色素
を含有する光吸収層、ならびに光反射層としての銀(5
0〜95重量部)と銅(50〜5重量部)とを主体(銀
と銅の合計量が80重量部以上)とする合金薄膜の表層
に炭素を含有させた金属薄膜および保護層を順次形成し
て光記録媒体を製作する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は金属薄膜に関し、さ
らに詳しくは表層に炭素を含有せしめることにより黄金
色に発色した金属薄膜に関し、また、当該金属薄膜を用
いた、いわゆるコンパクトディスクで書き込み可能な光
ディスクに関する。
【0002】
【従来の技術】コンパクトディスクで代表される光記録
媒体は、記録容量が大きく、ソフトウエアパッケージと
しての生産性が高いことから、従来から、オーディオソ
フト、コンピューターソフト、電子出版の媒体として広
く用いられている。従来のコンパクトディスクで代表さ
れるような読みだし専用の光記録媒体を作製するには、
その透明基板上に記録を転写するための金型が必要であ
る。しかしながら、その金型を作製するコストが高いた
めに、数百枚程度のディスク作製に際してはディスク一
枚当たりのコストが相当高くなってしまう。
【0003】この問題を解決するために、金型を用いて
記録ディスクの作製を行うのではなく、ディスクに直接
記録することのできる記録が可能な領域を備えた光記録
媒体、即ち、コンパクトディスクレコーダブル(以下、
CD−Rという。)等として知られる、レーザー光によ
る記録が可能な光記録媒体が開発されている。
【0004】以下、CD−Rを例として説明を行う。C
D−Rは情報の記録が可能であるとともに、再生専用コ
ンパクトディスクと同等な反射率を有するので、情報の
記録が可能であるとともに、再生専用コンパクトディス
クプレーヤーや読みだし専用コンパクトディスクドライ
ブにより再生、読みだしも可能であるという特徴を持
つ。通常、CD−Rで代表されるような記録が可能な光
記録媒体は、透明基板上に、有機色素からなる光吸収
層、金属薄膜からなる光反射層、および紫外線硬化樹脂
からなる保護層を順次形成することにより作製される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】既に実用化、市販され
ているCD−Rにおいては、読み出し用の780nmの
波長のレーザー光に対して65%以上の反射率を得るこ
と、ならびに、光反射層のマイグレーションや化学反応
に基づく反射率の低下を防止するために、光反射層とし
て安定性を有する金および金を主成分とする合金が使用
されているが、金は高価であるために製造コスト削減を
行う上での障害となっている。一方、製造コスト削減の
ために、金と同等な反射率を有するアルミニウムおよび
これを主成分とする合金を光反射層として用いた場合に
は、マイグレーションや化学反応に基づく反射率の低下
やエラーの増加などのディスク特性の経時変化を生じや
すいため、長期の保存に耐え得るような高信頼性のCD
−Rの作製は困難であった。また、銀を用いた場合は、
いわゆる金属色、銀色になるため、金の意匠性が失われ
てしまうという欠点があった。
【0006】これに対して、耐食性向上のためにステン
レス鋼などのような耐食性の合金を用いることが提案さ
れているが、これらの多くは耐食性を発揮するために必
要な添加成分が多量となるために、合金の反射率が低く
なってしまう。また、防食機構が合金の表面に不動態皮
膜を形成させるものであるため、反射膜として用いた場
合、反射率の低下は避けられなかった。この場合におい
ても金が持つその意匠性が損なわれることはもちろんの
ことである。本発明の目的は、安定性を有する金を光反
射層として用いた光記録媒体と同等の意匠性および信頼
性を保持しつつ、金より安価な金属薄膜層を光反射層と
して使用することが可能であり、情報の記録が可能な光
記録媒体を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記問題点
を解決するために、鋭意検討を重ねたところ、特定の合
金系の薄膜に炭素を含有せしめることにより、黄金色の
意匠性に優れた金属薄膜が得られ、さらに、当該金属薄
膜を用いて意匠性と信頼性に優れた光記録媒体を得るこ
とができることを見いだし本発明に到達したのである。
【0008】すなわち、本発明の要旨は、(1)銀と銅
とを主成分とする合金薄膜の表層に炭素を含有せしめる
ことを特徴とする金属薄膜,(2)前記合金薄膜が、銀
を50〜95重量部含有し、かつ、銅を50〜5重量部
含有し、さらに、銀と銅との含量の合計が80〜99.
99重量部であることを特徴とする(1)に記載の金属
薄膜、(3)前記炭素の含量が1×1016〜1×1018
原子/cm2 であることを特徴とする(1)または
(2)に記載の金属薄膜、(4)透明基板上に、少なく
とも一種の有機色素を含有する光吸収層、光反射層とし
ての(1)〜(3)に記載の金属薄膜および保護層を順
次形成してなることを特徴とする光記録媒体、および
(5)前記金属薄膜の膜厚が50〜200nmであるこ
とを特徴とする(4)に記載の光記録媒体、である。
【0009】
【発明の実施の形態】図1に従って本発明の光記録媒体
を説明する。本発明に用いる透明基板の材質としては、
ポリカーボネート、ポリメタクリル酸メチル、非晶質ポ
リオレフィン等のプラスチック、あるいはガラスのよう
に可視光に対する光透過率の高い材料を好適に用いるこ
とができる。これらの透明基板は、通常、厚みが1〜2
mm程度で、同心円状あるいは螺旋状に案内溝を形成し
たものが用いられる。
【0010】光吸収層の材質としては、有機色素である
フタロシアニン系色素、ナフタロシアニン系色素、シア
ニン系色素、スクアリリウム系色素、クロコニウム系色
素、アズレニウム系色素、トリアリールアミン系色素、
アントラキノン系色素、含金属アゾ系色素、ジチオール
金属錯体系色素、インドアニリン金属錯体色素、分子間
型CT色素等が好適であり、これらの色素を単独である
いは、2種類以上を混合して用いることができる。通常
は、これらの色素材料に、劣化防止剤、バインダー等を
添加して用いる。フタロシアニン系色素の具体例として
は、例えば、特開平3−62878、特開平4−226
390、特開平3−215466に記載されている色素
が挙げられる。
【0011】具体的には、フタロシアニン分子中の4つ
のそれぞれのベンゼン環のα位の1つに1個の1−イソ
プロピル−イソアミルオキシ基を有するPd−フタロシ
アニン、フタロシアニン分子中の4つのそれぞれのベン
ゼン環のα位の1つに1個のビス(イソプロピル)−メ
トキシ基を有するNi−フタロシアニン、フタロシアニ
ン分子中の4つのそれぞれのベンゼン環のα位の1つに
1個のビス(イソブチル)−メトキシ基を有するCu−
フタロシアニン、フタロシアニン分子中の4つのそれぞ
れのベンゼン環のα位の1つに1個の4−t−ブチル−
シクロヘキシルオキシ基を有するPd−フタロシアニ
ン、フタロシアニン分子中の4つのそれぞれのベンゼン
環のα位の1つに1個のt−ドデシルメルカプトキシ基
を有するNi−フタロシアニン、フタロシアニン分子中
の4つのそれぞれのベンゼン環のα位の1つに1個の
1,3−ジメチル−ブトキシ基を有するPt−フタロシ
アニンなどが上げられる。
【0012】有機色素を含有する光吸収層の形成方法と
しては、有機色素を有機溶媒に溶解し、透明基板上に直
接あるいは他の層を介してスピンコートする方法を好適
に用いることができる。光吸収層の膜厚は、記録に用い
るレーザー光などの記録光のパワーに対する記録感度の
性能係数を考慮して、使用する波長、反射層の光学定
数、光吸収層の材質に応じて適宜選択されることは当業
者の容易に理解するところであり、通常は10nm〜5
μmである。光吸収層の膜厚は、スピンコートにおいて
は有機色素を有機溶媒に溶解した液の濃度やスピンコー
ト時の回転数等を適宜変更することにより、また、蒸着
法を用いる場合には蒸着時間や蒸着時のパワーを適宜変
更することにより容易に調整可能である。また、光吸収
層は透明基板の片面に設けても両面に設けても良い。
【0013】光反射層には、銀と銅とを主体とする合金
薄膜の表層に炭素を含有せしめることにより黄金色に発
色せしめた金属薄膜を用いる。当該合金薄膜は銀を50
〜95重量部、かつ、銅を50〜5重量部含有し、か
つ、銀と銅との含量の合計が80〜99.99重量部で
ある金属薄膜が好ましい。銀の含量が少なすぎると反射
率が低下し、また、反射色が黄金色にならず、赤みが強
くなり、意匠性に劣る膜になってしまう。一方、銀が多
すぎると、反射率は高いものの、通常の金属色、いわゆ
る、銀色の反射色になり、これもまた黄金色を呈さない
という意味で意匠性に劣るものになってしまう。銅の含
有量は銀のそれと相補的な関係にあり、多すぎる場合に
は反射色が赤色になり、また、少なすぎると金属色にな
ってしまう。
【0014】該合金薄膜中の銀と銅の合計の含量は80
〜99.99重量部が好ましい。少なすぎると反射率が
低下するので黄金色を呈するものの、光記録媒体には好
適ではなくなってしまう。銀と銅以外に添加する金属と
しては、金、白金、パラジウム等の貴金属である。他の
金属としては、ニッケル、亜鉛、錫、コバルト、アルミ
ニウム、タングステン、チタン、マンガン、バナジウ
ム、モリブデン、アンチモン等を挙げることができ、金
属以外では酸素を挙げることができる。色の微妙な調整
には、亜鉛、ニッケル、錫、チタン、および、酸素が好
適に用いられる。銀と銅以外の金属成分が0.01重量
部以下であってもかまわないが、純度をこれ以上上げれ
ば、工業的にはコスト上昇に繋がる。
【0015】組成の確認は、蛍光X線分析法により容易
に行うことができる。また、膜の深さ方向の組成は、ス
パッタ法を用いたオージェ電子分光法等により決定する
こともできる。合金薄膜は光吸収層上に直接または他の
層を介して、スパッタリング法、真空蒸着法により形成
され、50〜200nmの膜厚の多結晶膜または非晶質
膜とするのが好適である。合金のスパッタリング法によ
る形成においては、ターゲットに合金を用いてスパッタ
することもできるし、コスパッタ法で、複数のターゲッ
トから別々にスパッタすることもできる。一般にターゲ
ットの組成と成膜された膜の組成は、偏析、選択スパッ
タリング、計測機器上の誤差等の原因により必ずしも一
致しないが、ターゲットの組成と膜の組成に生じる差は
本発明に大きな影響を与えるものではない。
【0016】さらに必要に応じて、合金薄膜の表面はト
リジアンチオール系化合物やベンゾイミダゾール系化合
物で化学処理を行ってもよい。合金薄膜上に形成する保
護層としては、アクリル系の紫外線硬化樹脂等の硬質性
の材料を用いることが好ましい。通常、合金薄膜層上に
直接または他の層を介してスピンコート法により厚み2
〜20μmで塗布した後、紫外線照射により硬化させて
形成される。
【0017】黄金色を出すためには上記合金薄膜の表層
に炭素を含有せしめることが必要である。具体的には、
当該合金薄膜が樹脂等で覆われた場合等、樹脂と当該合
金薄膜の界面において、炭素が合金薄膜側に浸透して表
層を形成した状態を実現すればよいのである。合金薄膜
に炭素が浸透する時の深さは処理方法によって異なる
が、通常50〜200nmである。
【0018】本発明でいう表層への炭素の浸透方法で
は、炭素を含む雰囲気における加熱処理が最も簡単であ
る。たとえば炭素を含んだ雰囲気とは、メタンやベンゼ
ン、アルコール等炭素を含んだ気体中に上記合金薄膜を
暴露する。具体的な条件を例示すれば、大気中において
100℃で1時間加熱すればよい。ここで重要なことは
150℃以下で加熱させ、表層を黄金色に転化させるこ
とである。光記録媒体には、通常高分子基板を用いるの
で高温での加熱処理はできない。本発明の合金組成を用
いることで、低温で黄金色に発色させることが可能であ
り、かつ、一度発色するとその後の色の変化は殆ど起き
ないのである。
【0019】さらに、別の炭素の浸透方法を例示すれ
ば、合金薄膜を作製する時点で炭素を補給すればよい。
スパッタリング法で合金薄膜を作製するときには、スパ
ッタ中に、メタン、エタン、ベンゼン、二酸化炭素、一
酸化炭素等のガスをアルゴン等のスパッタガスに混合さ
せればよい。この場合、合金薄膜が薄いので、薄膜全体
に炭素が含まれていてもかわまないが、その場合でも、
その含量は1×1016〜1×1018原子/cm2 の範囲
である必要がある。
【0020】さらに、別の方法を例示すれば、合金薄膜
表面に固体上の炭素源を隣接せしめ、その炭素源から炭
素を供給する方法がある。すなわち、合金薄膜表面に1
×1016〜1×1018原子/cm2 の炭素原子を、スパ
ッタ法や真空蒸着法で付着せしめ、適宜加熱処理を施す
ことで、黄金色に発色せしめることができる。
【0021】または、特に加熱を行わなくても成膜中に
ある程度の温度上昇がある場合は、合金薄膜表面に付着
中の炭素原子が合金薄膜の表面近傍に拡散して表層を形
成するので、実質的に炭素を浸透させることができる。
また、合金薄膜表面に隣接せしめる炭素源としては樹脂
でも良い。樹脂としては、特に限定するものではない
が、ポリエステル系、アクリル系、ウレタン系の樹脂が
好適に用いられる。該樹脂を溶剤に溶かして合金薄膜表
面に塗布してもよいし、該樹脂から構成されるフィルム
またはシートの上にスパッタ法や真空蒸着法で合金薄膜
を形成せしめてもよい。合金薄膜と当該樹脂層が隣接す
る状態を実現せしめた後、例えば、加熱処理(100℃
で1時間加熱)をすればよい。以上のようにして金属薄
膜が形成される。得られた金属薄膜の厚みは通常50〜
200nmである。
【0022】上記の方法により形成した金属薄膜の原子
組成は、オージェ電子分光法(AES)、誘導結合プラ
ズマ法(ICP)、ラザフォード後方散乱法(RBS)
等により測定できる。これらの方法の中では、軽元素に
感度が高いオージェ電子分光法が特に好適に用いられ
る。また、これらの層構成および膜厚は、オージェ電子
分光の深さ方向観察、透過型電子顕微鏡による断面観察
等により測定できる。また炭素の含量をモニターする必
要がある場合には、浸透条件と浸透速度の関係をあらか
じめ明らかにした上で浸透を行うことや水晶振動子等を
用いて炭素浸透後の膜厚モニタリングを行う。表層の酸
化状態はオージェ電子分光法やX線光電子分光法(XP
S)で評価できる。
【0023】光記録媒体に加工された後は、断面を露出
させて透過型電子顕微鏡による断面観察で酸化状態に関
する情報が提供される。また、発色の状況は、加熱温度
や加熱時間を適宜選べばよい。金属薄膜の黄金色は目視
でまず判定する。必要に応じて、JIS−8729に準
じた方法で色度を測定することにより評価した。黄金色
の範囲としてa*=−1〜9、b*=30〜50を目安
とした。また、金属薄膜自体の反射率としては750〜
800nmの波長範囲において80%以上であることが
好ましい。
【0024】
【実施例】以下に、実施例および比較例を上げて本発明
をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限
定されるものではない。 実施例1 銀90重量部、銅10重量部のターゲットを用いてポリ
カーボネート基板上に膜厚120nmの合金薄膜を直流
マグネトロンスパッタ法で作製した。薄膜の色は金属色
であった。この試料を、ベンゼンを1体積%含む大気中
で1時間×100℃で加熱したところ、黄金色に発色し
た。表層の炭素量を測定したところ4×1016原子/c
2 であった。
【0025】実施例2 銀90重量部、銅10重量部のターゲットを用いてポリ
カーボネート基板上に膜厚100nmの合金薄膜を直流
マグネトロンスパッタ法で作製した。薄膜の色は金属色
であった。この試料表層に高純度等方性黒鉛ターゲット
から直流マグネトロンスパッタ法で炭素原子を2×10
16原子/cm2 浸透せしめたところ、黄金色に発色し
た。
【0026】実施例3 銀60重量部、銅40重量部のターゲットを用いてポリ
カーボネート基板上に膜厚80nmの合金薄膜を直流マ
グネトロンスパッタ法で作製した。薄膜の色は金属色で
あった。この試料表層に高純度等方性黒鉛ターゲットか
ら直流マグネトロンスパッタ法で炭素原子を2×1016
原子/cm2 浸透せしめたところ、黄金色に発色した。
【0027】実施例4 銀60重量部、銅25重量部、亜鉛15重量部のターゲ
ットを用いてポリカーボネート基板上に膜厚180nm
の合金薄膜を直流マグネトロンスパッタ法で作製した。
薄膜の色は金属色であった。この試料表層に高純度等方
性黒鉛ターゲットから直流マグネトロンスパッタ法で炭
素原子を1×1016原子/cm2 浸透せしめたところ、
黄金色に発色した。
【0028】実施例5 銀90重量部、銅10重量部のターゲットを用いてポリ
カーボネート基板上に膜厚100nmの合金薄膜を直流
マグネトロンスパッタ法で作製した。この際にアルゴン
に40体積%のメタンガスを混合させてスパッタした。
得られた薄膜の色は黄金色であった。薄膜の組成分析を
オージェ電子分光法で行ったところ、12原子%の炭素
を含むことが分かったので、薄膜中には、6×1017
子/cm 2 の炭素原子が含有していたことが見積もられ
た。
【0029】実施例6 銀60重量部、銅40重量部のターゲットを用いてポリ
カーボネート基板上に膜厚120nmの合金薄膜を直流
マグネトロンスパッタ法で作製した。この際にアルゴン
に20体積%のメタンガスを混合させてスパッタした。
得られた薄膜の色は黄金色であった。薄膜の組成分析を
オージェ電子分光法で行ったところ、6原子%の炭素を
含むことが分かったので、薄膜中には、3×1017原子
/cm2の炭素原子が含有されていたことが見積もられ
た。
【0030】比較例1 銀98重量部、銅2重量部のターゲットを用いてポリカ
ーボネート基板上に膜厚120nmの合金薄膜を直流マ
グネトロンスパッタ法で作製した。この際にアルゴンに
60体積%のメタンガスを混合させてスパッタした。得
られた薄膜の色は金属色、いわゆる銀色であった。薄膜
の組成分析をオージェ電子分光法で行ったところ、15
原子%の炭素を含むことが分かったので、薄膜中には、
9×10 17原子/cm2 の炭素原子が含有されていたこ
とが見積もられた。
【0031】比較例2 銀45重量部、銅55重量部のターゲットを用いてポリ
カーボネート基板上に膜厚120nmの合金薄膜を直流
マグネトロンスパッタ法で作製した。この際にアルゴン
に4体積%のメタンガスを混合させてスパッタした。得
られた薄膜の色は金属銅の色に近い赤色であった。薄膜
の組成分析をオージェ電子分光法で行ったところ、1.
2原子%の炭素を含むことが分かったので、薄膜中に
は、6×1016原子/cm2 の炭素原子が含有されてい
たことが見積もられた。
【0032】比較例3 銀90重量部、銅10重量部のターゲットを用いてポリ
カーボネート基板上に膜厚120nmの合金薄膜を直流
マグネトロンスパッタ法で作製した。この試料表層に炭
素原子を直流マグネトロンスパッタ法で5×1015原子
/cm2 浸透せしめたが、得られた薄膜の色は金属色、
いわゆる銀色であった。
【0033】比較例4 銀90重量部、銅10重量部のターゲットを用いてポリ
カーボネート基板上に膜厚120nmの合金薄膜を直流
マグネトロンスパッタ法で作製した。この試料表層に高
純度等方性黒鉛ターゲットから直流マグネトロンスパッ
タ法で炭素原子を5×1018原子/cm2 浸透せしめた
が、得られた薄膜の色は暗い茶色であった。以上の実施
例1〜6、比較例1〜4の結果を表1に示す。
【0034】
【表1】 表1より、本発明により黄金色を有し、さらに、反射率
が高い金属膜を得ることができることがわかる。次に、
光記録媒体の実施例について記述するが、本発明は以下
の実施例に限定されるものではない。
【0035】実施例7 透明基板として、記録が可能なコンパクトディスク用
に、周期的に蛇行したトラッキング溝を設けた、直径1
20mm、厚さ1.2mmのポリカーボネート基板を用
いた。案内溝をもつポリカーボネート樹脂基板(直径1
20mmφ、厚さ1.2mmの円盤)に、フタロシアニ
ン系色素、すなわち、フタロシアニンを構成する4つの
それぞれのベンゼン環のα位に1つの1−イソプロピル
−イソアミルオキシ基を有するPd−フタロシアニンの
3.5重量%ジメチルシクロヘキサン溶液を2000r
pmでスピンコートし、70℃で2時間乾燥、100n
mの膜厚の光吸収層を形成した。
【0036】さらに、銀90重量部、銅10重量部のタ
ーゲットを用いてポリカーボネート基板上に膜厚100
nmの合金薄膜を直流マグネトロンスパッタ法で作製し
た。この際にアルゴンに40体積%のメタンガスを混合
させてスパッタした。得られた薄膜の色は黄金色であっ
た。薄膜の組成分析をオージェ電子分光法で行ったとこ
ろ、12原子%の炭素を含むことが分かったので、合金
薄膜中には、6×10 17原子/cm2 の炭素原子が含有
されていたことが見積もられた。この反射層の上に紫外
線硬化樹脂SD−17(大日本インキ化学工業製)をス
ピンコートした後、紫外線を照射して厚さ6μmの保護
層を形成し、光記録媒体を作製した。
【0037】保護樹脂の上からみると黄金色を呈し、意
匠性の優れたものが得られた。この光記録媒体を780
nm半導体レーザーヘッドを搭載したフィリップス社製
ライター(CDD−521)を用いて、線速度2.8m
/s、レーザーパワー9.5mWでEFM信号を記録し
た。得られた光記録媒体について、温度85℃、湿度8
5%の条件で500時間の高温高湿試験を行い、また、
5sun(500mW/cm2 )の光照射試験を60℃
で100時間行い、試験前後での反射率およびC1エラ
ーの変化を測定した。その結果、高温高湿試験後におい
ても、光照射試験後においても、わずかな反射率の低下
とわずかのC1エラーの増加が見られただけであった。
【0038】実施例8 銀90重量部、銅10重量部のターゲットを用いてポリ
カーボネート基板上に膜厚100nmの合金薄膜を直流
マグネトロンスパッタ法で作製した。合金薄膜の色は金
属色であった。この試料表層に炭素を直流マグネトロン
スパッタ法で5×1015原子/cm2 浸透せしめたとこ
ろ、黄金色に発色した。さらに、この金属薄膜(光反射
層)の上に紫外線硬化樹脂SD−17(大日本インキ化
学工業製)をスピンコートした後、紫外線を照射して厚
さ6μmの保護層を形成、光記録媒体を作製した。紫外
線を照射するときに80℃で加熱したこと以外は、実施
例5と同様にして光記録媒体を作製した。この場合に
も、金属薄膜層の反射色が黄金色に発色し、意匠性に優
れた光記録媒体となった。実施例5と同様の評価を行っ
たが、高温高湿試験後においても、光照射試験後におい
ても、わずかな反射率の低下とわずかのC1エラーの増
加が見られただけであった。上記実施例の結果を表2に
まとめた。
【0039】
【表2】 表2から、本発明の金属薄膜を用いることにより、意匠
性にすぐれ、さらに、信頼性にも十分に優れた光記録媒
体を得られることが明きらかである。
【0040】
【発明の効果】本発明は、意匠性ならびに信頼性に優れ
た光記録媒体を低コストで製造することを可能とするも
のであり、工業上極めて有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】光記録媒体の一実施例の断面を示す概要図であ
る。
【符号の説明】
10 透明基板 20 有機色素を含有する光吸収層 30 金属薄膜の光反射層 40 保護層 50 光記録媒体

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】銀と銅とを主成分とする合金薄膜の表層に
    炭素を含有せしめることを特徴とする金属薄膜。
  2. 【請求項2】該合金薄膜が、銀を50〜95重量部含有
    し、かつ、銅を50〜5重量部含有し、さらに、銀と銅
    との含量の合計が80〜99.99重量部であることを
    特徴とする請求項1に記載の金属薄膜。
  3. 【請求項3】該炭素の含量が1×1016〜1×1018
    子/cm2 であることを特徴とする請求項1または2に
    記載の金属薄膜。
  4. 【請求項4】透明基板上に、少なくとも一種の有機色素
    を含有する光吸収層、光反射層としての請求項1〜3に
    記載の金属薄膜および保護層を順次形成してなることを
    特徴とする光記録媒体。
  5. 【請求項5】該金属薄膜の膜厚が50〜200nmであ
    ることを特徴とする請求項4に記載の光記録媒体。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN100446101C (zh) * 2003-03-13 2008-12-24 三菱麻铁里亚尔株式会社 光记录介质的反射层形成用银合金溅射靶材
JP2009052122A (ja) * 2007-08-29 2009-03-12 Kobelco Kaken:Kk Ag基合金スパッタリングターゲット
JP2014238896A (ja) * 2013-06-06 2014-12-18 株式会社コベルコ科研 光情報記録媒体用反射膜、光情報記録媒体用反射膜形成用スパッタリングターゲット、および光情報記録媒体

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