JPH11123759A - 二軸延伸ポリプロピレンフィルムおよび成形体の製造方法 - Google Patents

二軸延伸ポリプロピレンフィルムおよび成形体の製造方法

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JPH11123759A
JPH11123759A JP29229597A JP29229597A JPH11123759A JP H11123759 A JPH11123759 A JP H11123759A JP 29229597 A JP29229597 A JP 29229597A JP 29229597 A JP29229597 A JP 29229597A JP H11123759 A JPH11123759 A JP H11123759A
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JP
Japan
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film
polypropylene
biaxially oriented
present
crystalline
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JP29229597A
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English (en)
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Yuzo Sugita
裕三 杉田
Yoji Inui
洋治 乾
Kazunori Shimada
一紀 島田
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Tokuyama Corp
Original Assignee
Tokuyama Corp
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  • Manufacture Of Macromolecular Shaped Articles (AREA)
  • Blow-Moulding Or Thermoforming Of Plastics Or The Like (AREA)
  • Shaping By String And By Release Of Stress In Plastics And The Like (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】成形時のドローダウンを改良し、熱成形性が良
好であるフィルムおよびこのフィルムを用いた成形体の
製造方法を得る。 【構成】結晶性ポリプロピレン100重量部と低結晶性
ポリオレフィン3〜30重量部との組成物からなり、フ
ィルムの流れ方向に対して直角となる方向におけるC軸
配向係数が0.35〜0.50、面配向指数が0.55
〜0.75であることを特徴とする二軸延伸ポリプロピ
レンフィルムおよび該フィルムを使用した熱成形方法で
ある。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、熱成形用途に好適
な二軸延伸ポリプロピレンフィルムおよびこれを用いた
成形体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】通常、弁当容器、フードパック等の食品
包装容器や一般包装容器等は、ポリオレフィンシート、
特にポリプロピレンシートを用いて、真空成形、圧空成
形等の熱成形法により製造されている。そして近年、環
境問題が重要視されるにつれて、これら材料による包装
容器の使用は、増加傾向にある。
【0003】この熱成形法は、シートやフィルムを加熱
した後、機械力、真空、圧空等の外力により、該シート
やフィルムを金型に密着させて成形する方法が一般的で
ある。その際、金型で成形する前の加熱時に、シート等
の中央部分が垂れ下がる現象(以下、ドローダウンと記
す)が発生する。さらに加熱を続けると、シート等の中
央部分が熱収縮により成形前の位置に戻る力が働き、そ
して成形は、垂れが成形前の位置に最も戻った時点で行
われる。一般にドローダウンが大きいものほど、成形前
の位置に戻りにくく、したがって、このドローダウンの
程度が、成形精度に大きく関わってくる。
【0004】そこで上記問題点を解決する目的で、例え
ば、特開平3−288641号公報には、結晶状態がス
メクチック構造のポリプロピレンシートに、二軸延伸ポ
リプロピレンフィルムをラミネートすることにより、ド
ローダウン性が改良された積層シートが開示されてい
る。
【0005】また、特開平7−173302号公報に
は、ポリプロピレンを溶融押出後、冷却し、結晶融点以
下で結晶配向係数が0.1〜0.6となるように圧延す
ることにより、剛性が改良されたポリプロピレンシート
が開示されており、特開平7−76641号公報には、
高結晶性ポリプロピレンとテルペンおよび/または石油
樹脂よりなる、水蒸気バリヤー性および透明性が改良さ
れた二軸延伸ポリプロピレンフィルムが、特開平7−1
57573号公報には、高結晶性ポリプロピレンとテル
ペンおよび/または石油樹脂よりなる、耐熱性、防湿性
が改良された二軸延伸ポリプロピレンフィルムが開示さ
れている。
【0006】一方、成形された成形体は、一般的に集積
されて搬送されること、および、環境問題の観点から近
年薄肉化されることが望まれている。
【0007】しかしながら、特開平3−288641号
公報に示されている積層シートでは、熱成形時に起こる
ドローダウンは防止できるものの、シート全体を薄肉化
するほどの剛性改良においては、改良の余地があった。
また、特開平7−173302号公報に示されているシ
ートも、やはりシートの薄肉化においては改良の余地が
あった。
【0008】また、特開平7−76641号公報および
特開平7−157573号公報に示されているフィルム
は、高結晶ポリプロピレンを使用しているため、剛性改
良効果は有するものの、成形精度においては、改良の余
地があった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】したがって、熱成形用
途に使用されるポリオレフィンフィルムにおいて、ドロ
ーダウンが小さく、成形精度が良好で、かつ、薄肉化が
可能な剛性を有するフィルムが望まれていた。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決すべく鋭意研究を重ねてきた。その結果特定のポ
リプロピレン系組成物を特定の配向状態の延伸フィルム
とすることで上記課題が解決できることを見い出し、本
発明を完成するに至った。
【0011】即ち、本発明は、結晶性ポリプロピレン1
00重量部と低結晶性ポリオレフィン3〜30重量部と
の組成物からなり、フィルムの流れ方向に対して直角と
なる方向(以下、TD方向と記す)におけるC軸配向係
数が0.35〜0.50、面配向指数0.55〜0.7
5であることを特徴とする二軸延伸ポリプロピレンフィ
ルムおよび該フィルムを使用した熱成形方法である。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明において使用される結晶性
ポリプロピレンは、下記に示す物性を満足するものであ
れば特に制限なく、たとえば、プロピレン単独重合体、
プロピレンとプロピレン以外のα−オレフィンとのラン
ダムまたはブロック共重合体等を使用することができ
る。上記結晶性ポリプロピレンにおけるプロピレン以外
のα−オレフィンに由来する単量体単位の含有量として
は、本発明で規定する物性を勘案すると、5モル%以下
であることが好ましい。プロピレン以外のα−オレフィ
ンとしては、炭素数が2〜12のα−オレフィンが好ま
しく、エチレン、1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチ
ル−1−ペンテン、1−オクテン等の炭素数が2〜8の
α−オレフィンがより好ましい。
【0013】本発明において使用される結晶性ポリプロ
ピレンは、示差走査熱測定(以下、DSCと記す)にお
ける融解熱によって定義される。即ち、本発明で使用さ
れる結晶性ポリプロピレンは、DSCにおける融解熱が
70〜110mJ/mgであり、より好ましくは80〜
105mJ/mgである。
【0014】DSCにおける融解熱が70mJ/mgよ
り小さい場合は、得られるフィルムの剛性が低下するた
め好ましくなく、DSCにおける融解熱が110mJ/
mgより大きい場合は、熱成形性が低下するだけでな
く、本発明で規定する特定のC軸配向係数と面配向係数
を有する二軸延伸ポリプロピレンフィルムを製造するこ
とが困難となるため好ましくない。
【0015】また、本発明で使用される結晶性ポリプロ
ピレンは、以下のような特性を有していることが好まし
い。
【0016】すなわち、上記結晶性ポリプロピレンの温
度上昇溶離分別法(以下、TREFと記す)による90
重量%溶出温度は、90〜130℃であることが好まし
く、95〜125℃であることがより好ましい。TRE
Fによる90重量%溶出温度が90℃より低い場合は、
得られるフィルムの剛性が低下するだけでなく、本発明
で規定する特定のC軸配向係数と面配向係数を有する二
軸延伸ポリプロピレンフィルムを製造することが困難と
なるため好ましくない。一方、TREFによる90重量
%溶出温度が110℃より高い場合は、熱成形性が低下
するため好ましくない。
【0017】上記結晶性ポリプロピレンの立体規則性
は、熱成形性や均一延伸性を勘案すると、比較的低い方
が好ましい。本発明において使用される結晶性ポリプロ
ピレンにおける、立体規則性の指標となる13C−NMR
によるmmmmペンタッド分率の値としては、好ましく
は0.80〜0.97、さらに好ましくは0.83〜
0.95である。mmmmペンタッド分率が0.97よ
り大きい場合は、熱成形性が低下するだけでなく、本発
明で規定する特定のC軸配向係数と面配向係数を有する
二軸延伸ポリプロピレンフィルムを製造することが困難
となるため好ましくない。一方、mmmmペンタッド分
率が0.80より小さい場合は、熱成形後の成形体の剛
性が低下するために好ましくない。
【0018】上記結晶性ポリプロピレンのメルトフロー
レートは、製膜性を勘案すれば0.5〜20g/10分
の範囲であることが好適である。
【0019】本発明において使用される低結晶性ポリオ
レフィンは、下記に示す物性を満足するものであれば、
特に制限なく、たとえば、エチレン−α−オレフィン共
重合体、プロピレン−α−オレフィン共重合体、エチレ
ン−プロピレン−α−オレフィン共重合体またはこれら
2種以上の重合体の混合物が挙げられる。上記低結晶性
ポリオレフィンにおけるα−オレフィンとしては、炭素
数が2〜12のα−オレフィンが好ましく、エチレン、
1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテ
ン、1−オクテン等の炭素数が2〜8のα−オレフィン
がより好ましい。
【0020】また、本発明において使用される低結晶性
ポリオレフィンは、TREFによる90重量%溶出温度
によって定義される。即ち、本発明で使用される低結晶
性ポリオレフィンは、TREFによる90重量%溶出温
度が、85℃以下であることが必要であり、80℃以下
であることがより好ましい。TREFによる90重量%
溶出温度が85℃より高い場合は、熱成形性が低下する
ため好ましくない。
【0021】上記低結晶性ポリオレフィンのメルトフロ
ーレートは、製膜性を勘案すれば0.5〜50g/10
分の範囲であることが好適である。
【0022】本発明で使用される低結晶性ポリオレフィ
ンの配合量は、剛性及び製膜性を勘案すると、結晶性ポ
リプロピレン100重量部に対して、3〜30重量部で
あることが必要であり、4〜25重量部であることがよ
り好ましい。
【0023】上記低結晶性ポリオレフィンの配合量が3
重量部より少ない場合は、熱成形性が低下するだけでな
く、本発明で規定する特定のC軸配向係数と面配向係数
を有する二軸延伸ポリプロピレンフィルムを製造するこ
とが困難となるため好ましくない。一方、低結晶性ポリ
オレフィンの配合量が50重量部より多い場合は、得ら
れるフィルムの剛性が低下するため好ましくない。
【0024】本発明において、結晶性ポリプロピレンと
低結晶性ポリオレフィンとの組成物の製造方法は、公知
の方法が何ら制限なく採用でき、たとえば、結晶性ポリ
プロピレンと低結晶性ポリオレフィンとを溶融混練し組
成物とする方法、結晶性ポリプロピレンと低結晶性ポリ
オレフィンとを単にブレンドして組成物とする方法が挙
げられる。この中でも、ブレンド性、組成物の押出特性
等を勘案すると、結晶性ポリプロピレンと低結晶性ポリ
オレフィンとを溶融混練し組成物とする方法が好適に使
用できる。
【0025】また、上記組成物中には、本発明の効果を
阻害しない範囲で、他の樹脂を混合することができる。
混合する樹脂としては、特に制限されないが、一般的に
は、エチレン、1−ブテン等α−オレフィンの単独重合
体およびこれらα−オレフィン同士の共重合体、または
これらの重合体の2種以上の混合物を用いることができ
る。
【0026】さらに、上記組成物中には、必要に応じて
帯電防止剤、防曇剤、アンチブロッキング剤、酸化防止
剤、光安定剤、結晶核剤、滑剤、滑り性付与およびアン
チブロッキング性付与を目的とした界面活性剤、フィラ
ー、発泡剤等の公知の添加剤を配合させて用いても良
い。
【0027】本発明の二軸延伸ポリプロピレンフィルム
の厚みは、剛性、延伸加工性および熱成形性を勘案する
と、50〜250μmであることが好ましく、70〜2
00μmであることがより好ましく、100〜200μ
mであることがさらに好ましい。厚みが50μmより薄
い場合は、剛性が不足するため好ましくなく、250μ
mより厚い場合は、熱成形性が低下するだけでなく、均
一で厚み精度の良好な延伸フィルムを製造することが困
難となるため好ましくない。
【0028】また、本発明の二軸延伸ポリプロピレンフ
ィルムの厚み精度は、成形体の強度バランスや熱成形
性、特に成形精度を勘案すると、±20%以内であるこ
とが好ましく、±15%以内であることがより好まし
く、±10%以内であることがさらに好ましい。
【0029】本発明の二軸延伸ポリプロピレンフィルム
は、以下の性質を有していることが必要である。
【0030】すなわち、本発明の二軸延伸ポリプロピレ
ンフィルムのTD方向におけるC軸配向係数は、0.3
5〜0.50であることが必要であり、0.37〜0.
48であることがより好ましい。TD方向におけるC軸
配向係数が、0.50より大きい場合は、TD方向にお
ける結晶配向が増加するために熱成形性が低下するので
好ましくない。一方、TD方向におけるC軸配向係数
が、0.35より小さい場合は、ドローダウンが大きく
なったり、TD方向の剛性が低下したりするだけでな
く、均一で厚み精度の良好な延伸フィルムを得ることが
困難となり成形精度が低下するため好ましくない。
【0031】なお、本発明におけるC軸配向係数とは、
X線回折法によって求められるポリプロピレン結晶C軸
(分子鎖軸)の、TD方向への軸配向の程度を定量的に
表す値である。詳しくは、ポリプロピレン結晶の(11
0)および(040)面の配向分布曲線(結晶面密度分
布曲線)から、Z.W.Wilchinsky[“Ad
vances in X−Ray Analysis”
Vol.6 Plenum Press, New
York(1963),p.231]記載の方法によ
り、C軸配向係数が求められる。
【0032】一方、本発明の二軸延伸ポリプロピレンフ
ィルムの面配向指数は、0.55〜0.75であること
が必要であり、0.57〜0.73であることがより好
ましい。面配向指数が0.70より大きい場合は、熱成
形性が低下し、0.50より小さい場合はドローダウン
が大きくなったり、フィルム全体の剛性が低下したりす
るだけでなく、均一で厚み精度の良好な延伸フィルムを
得ることが困難となり成形精度が低下するため好ましく
ない。
【0033】なお、本発明における面配向指数とは、X
線回折法によって求められるポリプロピレン結晶010
面のフィルム面に平行な面への面配向の程度を表す指標
である。詳しくは、ポリプロピレンフィルムをフィルム
面に垂直な軸を中心に高速で回転させながら、フィルム
面に垂直な方向よりX線を入射させて回折強度を測定
し、得られたX線回折強度曲線を非晶質ピークと各結晶
質ピークにピーク分離を行い、ポリプロピレン結晶(α
晶)からの111反射(2θ=21.4°)と040反
射(2θ=17.1°)のピーク強度の比より下記式
(1)で求められる。
【0034】面配向指数P010=log{1.508×
I(111)/I(040)}(1) ただし、I(111):111反射のピーク強度(cou
nts) I(040):040反射のピーク強度(counts) ここで(1)式の係数1.508は、Z.Mencik
(Z.Mencik,Journal of Macr
omoleculer Science,Physic
s B6,101(1972))より、ポリプロピレン
結晶が完全にランダムに配向している場合のI(04
0)とI(111)の強度比I(040)/I(11
1)=116.9/77.5=1.508(I(11
1)/I(040)の値の逆数)である。例えば測定し
た試料のポリプロピレン結晶010面が、フィルム面に
完全にランダムに配向しているならば、〔P010〕の値
は0となり、ポリプロピレン結晶010面が、フィルム
面に対して平行配向するほどに〔P01 0〕の値は大きく
なり、逆に該010面がフィルム面に対して垂直に配向
すれば〔P010〕は、負の値となる。
【0035】また、本発明の二軸延伸ポリプロピレンフ
ィルムの引張弾性率は、熱成形性、成形体にした時の強
度、内容物の保護性等を勘案すると、100〜300k
gf/mm2であることが好ましく、120〜270k
gf/mm2であることがさらに好ましい。
【0036】本発明の二軸延伸ポリプロピレンフィルム
の製造方法としては、本発明で規定する物性を満足する
ような方法を採用すればよく、代表的な方法を例示すれ
ば、前記した結晶性ポリプロピレンと低結晶性ポリオレ
フィンとの組成物を溶融押出した後、二軸延伸する方法
が挙げられる。
【0037】上記二軸延伸する方法としては、MD方向
およびTD方向の延伸自由度および厚み精度等を勘案す
ると、テンター法逐次二軸延伸方法が好適である。
【0038】また、上記延伸方法の延伸条件としては、
延伸倍率がフィルムの流れ方向(以下MD方向と記す)
およびTD方向ともに、2〜7倍であることが好まし
く、3〜6倍であることがより好ましく、かつ面積延伸
倍率が、6〜30倍であることが好ましく、9〜28倍
であることがより好ましく、10〜26倍であることが
さらに好ましい。
【0039】上記のように、前記した結晶性ポリプロピ
レンと低結晶性ポリオレフィンとの組成物を、特定のM
D方向及びTD方向の延伸倍率と面積延伸倍率とを組み
合わせて二軸延伸することにより、本発明で規定する二
軸延伸ポリプロピレンフィルムのC軸配向係数および面
配向指数を容易に達成することができる。
【0040】また、本発明の二軸延伸ポリプロピレンフ
ィルムは、本発明の効果を損なわない範囲で必要に応じ
て、他のフィルムを積層させた、2層以上の積層フィル
ムとすることもできる。他のフィルムを積層すること
で、接着性、ヒートシール性、ガスバリヤー性等の物性
を付与することができる。この場合、本発明の二軸延伸
ポリプロピレンフィルムに積層する他のフィルムの厚み
は積層フィルムの30%以下にすることが、本発明の効
果を損なわないので好ましい。この際、積層する樹脂は
ポリオレフィンに限定されず、積層フィルムに付与する
物性に応じて公知の樹脂を採用することができる。例え
ば、ガスバリヤー性能を付与するために、共押出法等に
よりフィルムの片面にエチレン−ビニルアルコール共重
合体、例えば、株式会社クラレ製の商品名「エバール」
を接着性樹脂等を介在させて積層することもできる。
【0041】本発明の二軸延伸ポリプロピレンフィルム
を用いた成形体の成形方法は、特に制限されないが、熱
成形法が最も好適に使用される。一般的には、真空成
形、圧空成形、真空圧空成形等の、加熱後金型等の型枠
内にて賦形した後冷却される熱成形法が好適に採用さ
れ、これらに加えて、ブリスターパック等のブリスター
加工、プレススルーパック等のドラム成形等も挙げるこ
とができる。熱成形法における加熱方法は、遠赤外線ヒ
ーター等の間接加熱方法、熱板加熱等の接触加熱方法等
の公知の方法が特に制限なく採用される。これら熱成形
法の中で、真空圧空成形が特に好ましい。これらの成形
方法による、容器、製品の形状としては、特に制限され
ないが、トレー、カップ、ケース、フードパック、フタ
材、ブリスターパック、プレススルーパック、ポーショ
ンパック、スキンパック等を具体的に挙げることができ
る。
【0042】熱成形法以外の成形方法としては、具体的
に例示すると、カット、折り曲げ加工等をあげることが
できる。これらの成形方法による、容器、製品の形状と
しては、特に制限されないが、クリヤーケース等の折り
曲げ加工容器、ファイル、バインダー、スタンディング
パウチやレトルトパウチ等の基材、OHPシート等の基
材、粘着テープ等のテープ基材、粘着ラベル等のラベル
基材、熱シール加工される包装袋基材等を挙げることが
できる。
【0043】
【発明の効果】本発明の二軸延伸ポリプロピレンフィル
ムは、ドローダウンが小さく、成形性が良好で、かつ、
薄肉化が可能な剛性を有するフィルムである。また透明
性、表面光沢に優れたフィルムともなるため、得られた
成形体も透明性、表面光沢に優れたものとなる。さらに
低温衝撃性にも優れたフィルムともなる。したがって本
発明の二軸延伸ポリプロピレンフィルムは、熱成形用途
に好適に使用され、また食品包装分野および一般包装分
野においても好適に使用することができる。
【0044】
【実施例】以下に、本発明を具体的に説明するために実
施例および比較例を掲げるが、本発明はこれら実施例に
限定されるものではない。なお、以下の実施例および比
較例において、フィルム原料として使用したポリプロピ
レンおよび低結晶ポリオレフィンは、表1に示すもので
ある。
【0045】
【表1】
【0046】また、以下の実施例及び比較例において用
いた測定方法は次の方法により実施した。
【0047】(1)ペンタッド分率(mmmm値)およ
び共重合組成 日本電子社製のJNM−GSX−270(13C−核共鳴
周波数67.8MHz)を用い、次の条件で測定した。
【0048】 測定モード: 1H−完全デカップリング パルス幅 : 7.0マイクロ秒(C45度) パルス繰り返し時間: 3秒 積算回数 : 10000回 溶媒 : オルトジクロルベンゼン/重ベンゼンの
混合溶媒(90/10容量%) 試料濃度 : 120mg/2.5ml溶媒 測定温度 : 120℃ この場合、mmmmペンタッド分率は、13C−NMRス
ペクトルのメチル基領域における***ピークの測定によ
り求めた。また、メチル基領域のピークの帰属は、A.
Zambelli et al[Macromolec
ules 13,267(1980)]に従って行っ
た。
【0049】(2)C軸配向係数 日本電子社製のX線回折装置JDX−3500に、繊維
試料装置を装着し、次の条件にて測定した。
【0050】 ターゲット :銅(Cu−Kα線) 管電圧−管電流 :40kV−400mA X線入射法 :垂直ビーム透過法 単色化 :グラファイトモノクロメーター コリメータ :1mmφピンホール 受光スリット :2mmφピンホール 検出機 :シンチレーションカウンター 1)2θ走査(ブラッグ角)の測定 測定角度範囲(2θ) :8〜32° ステップ角度 :0.1° 計数時間 :2.0秒 2)面内回転(β回転)測定 測定角範囲(β) :−20〜110゜ ステップ角度 :0.5゜ 計数時間 :2.0秒 フィルムサンプルのTD方向を、広角ゴニオメーターの
取り付けた、繊維試料装置の子午線方向と平行になるよ
うに装着し、まず、フィルム面に垂直にX線を入射させ
て垂直透過法にて2θ走査を行い、ポリプロピレン結晶
の(110)および(040)面のブラッグ角2θを決
定した。次に、(110)面のブラッグ角にカウンター
を固定して、試料を面内回転(β回転)させ、(11
0)面に関して強度分布測定を行った。同様にして(0
40)面の強度分布測定を行った。
【0051】2θ走査で測定したX線回折強度曲線の
(110)および(040)反射の位置の空気散乱等に
よるバックグラウンド強度を求め、それぞれ(110)
および(040)面の配向分布曲線(結晶面密度分布曲
線)を求めた。これらの配向分布曲線から、Z.W.W
ilchinsky[“Advances in X−
Ray Analysis” Vol.6 Plenu
m Press, New York(1963),
p.231]記載の方法により、C軸配向係数を求め
た。
【0052】(3)面配向指数 日本電子社製のX線回折装置JDX−3500に、透過
法回転試料装置を装着し、次の条件にて測定した。
【0053】 ターゲット :銅(Cu−Kα線) 管電圧−管電流 :40kV−400mA X線入射法 :垂直ビーム透過法 単色化 :グラファイトモノクロメーター 発散スリット :0.2mm 受光スリット :0.4mm 検出機 :シンチレーションカウンター 測定角度範囲 :9.0°〜31.0° ステップ角度 :0.04° 計数時間 :4.0秒 試料回転数 :120rpm 縦横20mm×20mmのフィルムサンプルを、厚さ約
3mmとなるように数十枚重ね、広角ゴニオメーターに
取り付けた透過法回転試料装置に装着して測定した。ピ
ーク分離は回折角(2θ)9°〜31°の範囲で空気散
乱等によるバックグラウンドを除いた後、ガウス関数と
ローレンツ関数を用いた一般的なピーク分離法によって
非晶質ピークと各結晶質ピークに分離した。面配向指数
は前述した方法で040反射と111反射のピーク強度
より算出した。
【0054】図1は、後述する実施例1のポリプロピレ
ンフィルムのX線回折曲線のピーク分離結果であり、A
−BがI(040)=350countsであり、C−DがI
(111)=955countsである。したがって、この場
合の面配向指数P010はlog(1.508×955/
350)=0.61となる。
【0055】(4)剛性(引張弾性率) 試料を10mm幅の短冊状に切断し、測定長を20mm
として引張試験機によって引張速度20mm/分、チャ
ート速度2000mm/分で立上がり角度をチャート紙
に記録した。基点より20mmの点で垂線を引き、接線
との交点の強度を読み取り、下式により引張弾性率を算
出した。
【0056】引張弾性率(kg/mm2)=〔強度(k
g)×試料長(mm)×チャート速度(mm/分)〕÷
〔引張り速度(mm/分)×20mm×フィルム厚み
(mm)×フィルム幅(mm)〕 (5)ドローダウン性 クランプ枠(500mm×500mm)にフィルムを挟
んで、遠赤外線ヒーターを300℃に設定し、フィルム
を上下から加熱した。フィルム中央部の加熱前の位置か
ら、垂れ下がり最下点までの長さを測定した。
【0057】(6)成形性(熱成形性) トレー(縦200mm、横250mm、高さ20mm)
を真空圧空成形した際の容器の間仕切り部分(幅4m
m、高さ15mm)の高さ15mmを100%とし、各
条件の成形品の間仕切り部分の高さから、表2に従い成
形性を評価した。
【0058】
【表2】
【0059】(7)透明性(ヘイズ) JIS K7105に準拠して測定した。
【0060】(8)表面光沢 JIS K7105に準拠して測定した。
【0061】(9)DSCによる主ピークの測定 約5〜6mgの試料を評量後、アルミパンに封入し、示
差熱量計にて20ml/minの窒素気流中で室温から
235℃まで昇温し、これらの温度で10分間保持し、
次いで10℃/minで室温まで冷却する。この後、昇
温速度10℃/minで得られる融解曲線により、主ピ
ークの温度を測定した。
【0062】(10)TREFによる90重量%溶出温
度の測定 センシュー科学製の自動TREF装置SSC−7300
ATREFを用い、次の条件で測定した。
【0063】 溶媒 :オルトジクロロベンゼン 流速 :150ml/時間 昇温速度:4℃/時間 検出器 :赤外検出器 測定波数:3.41μm カラム :センシュー科学製パックドカラム30φ30
mmφ×300mm 濃度 :1g/120ml 注入量 :100ml この場合、カラム内の試料溶液を145℃で導入した
後、2℃/時間の速度で10℃まで除冷して試料ポリマ
ーを充填剤表面に吸着させた後、カラム温度を上記条件
で昇温し、各温度で溶出してきたポリマー濃度を赤外検
出器で測定することにより、90重量%溶出温度を測定
した。
【0064】実施例1〜4 表3に示す組成物を、Tダイ押出機を用いて、280℃
で加熱溶融下シート状に押出し、チルロール上で冷却固
化した後、加熱ロール延伸機により延伸し、続いてテン
ター横延伸機で延伸した。延伸倍率を表3に示した。こ
のフィルムを用いて真空圧空成形を行った。得られたフ
ィルムの厚み、ヘイズ、C軸配向係数、面配向指数、剛
性、ドローダウン性、真空圧空成形における成形性、成
形品中央部の表面光沢を測定し、結果を表3に示した。
【0065】比較例1〜2 表3に示す組成物を用いること、延伸倍率を表3に示し
たように変えること以外は実施例1と全く同様に製膜お
よび成形評価を行った。結果を表3に示した。
【0066】
【表3】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI B29L 7:00 22:00

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】結晶性ポリプロピレン100重量部と低結
    晶性ポリオレフィン3〜30重量部との組成物からな
    り、フィルムの流れ方向に対して直角となる方向におけ
    るC軸配向係数が0.35〜0.50、面配向指数が
    0.55〜0.75であることを特徴とする二軸延伸ポ
    リプロピレンフィルム。
  2. 【請求項2】請求項1記載のフィルムを使用した熱成形
    方法。
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