JPH11117349A - チェーンカッター式掘削装置とそれによる連続地中壁の施工方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 従来のチェーンカッター式掘削装置によ
る大深度の連続地中壁施工における問題点を解決したチ
ェーンカッター式掘削装置と、該掘削装置による連続地
中壁の施工方法を提供する。 【解決手段】 チェーンの駆動手段を備えたドライブホ
イール、従動用のチェーンスプロケット、掘削土と攪拌
する固化液の噴出手段を配設してなるカッターポスト
と、前記ドライブホイールおよびチェーンスプロケット
を介し前記カッターポストに掛け渡され、該カッターポ
ストに沿って循環するカッタービットを備えたエンドレ
スチェーンからなるチェーンカッターと、前記カッター
ポストを支持固定する支持体を備えた地上走行車とから
構成されたチェーンカッター式掘削装置において、前記
カッターポストの地中挿入部に、該カッターポストの地
中挿入部を水平移動させる推進移動手段を設けた。そし
て、従前の連続地中壁施工における水平移動掘削時に、
前記推進移動手段にて前記カッタービットの地山への押
し付け力を制御する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】この発明は、連続地中壁を施
工するのに好適なチェーンカッター式掘削装置と該装置
による連続地中壁の施工方法の改良に関するものであ
る。

【０００２】

【従来の技術】近年、掘削作業の安全性や継ぎ目のない
高品質の壁体構築が可能である等の利点から連続地中壁
の安全施工方法として、チェーンカッター式掘削装置を
用いた施工方法が注目されている。

【０００３】この連続地中壁の施工に用いられるチェー
ンカッター式掘削装置は、図３〜図４に例示するよう
に、モーターからなるチェーンの駆動手段（図示省略）
を備えたドライブホイール５０、従動用のチェーンスプ
ロケット５１、掘削土と攪拌する固化液（セメントミル
ク等の硬化液）のノズル管等からなる噴出手段（図示省
略）を配設した中空部を有する分割結合された角柱状の
部材からなるカッターポスト５２と、前記ドライブホイ
ール５０およびチェーンスプロケット５１を介し前記カ
ッターポスト５２に掛け渡され、該カッターポスト５２
に沿って循環（回転）するカッタービット５３を備えた
エンドレスチェーンからなるチェーンカッター５４と、
前記カッターポスト５２を支持固定する櫓状の支持体５
５を備えた地上走行車（ベースマシン）５６とにより構
成されているものである。

【０００４】そして、前記チェーンカッター式掘削装置
により連続地中壁を施工する場合には、まず、地中に建
込んだ前記チェーンカッター５４を矢印Ｃ，Ｄへと循環
（回転）させ、前記カッタービット５３を地山（地盤）
Ｇへ押し付けながら、前記地上走行車（ベースマシン）
５６にて掘削方向へ水平移動させると同時に、前記カッ
ターポスト５２に配設した（例えば、カッターポスト５
２の先端部等に設けた）ノズル管等からなる噴出手段
（図示省略）を介し固化液（セメントミルク等の硬化
液）を噴出し、掘削土と前記固化液（セメントミルク等
の硬化液）との攪拌・混合を行ってソイルセメント（セ
メントモルタル）壁体（図示省略）を造成して連続地中
壁を構築して行くものである。勿論、前記ソイルセメン
ト（セメントモルタル）壁体（図示省略）が固化する前
には、該壁体内へ所定間隔をおいて芯材（Ｈ形鋼等）を
建込んで行く。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】ところで、前述したチ
ェーンカッター式掘削装置による連続地中壁の施工は、
当初、深度２０ｍ程度までの施工であったが、現在では
深度４０ｍクラスの施工も行うようになってきた。その
ため、大深度による次のような問題点が発生してきてい
る。 〔１〕前述した従来のチェーンカッター式掘削装置で
は、図４に示すように、地上走行車（ベースマシン）５
６を固定端、カッターポスト５２を片持ち梁として支持
する構造である。そのため、図３に示すように、深度が
深くなると地中のカッターポスト５２の変形が大きくな
り、カッターポスト５２の先端部が地山（地盤）Ｇから
離れる現象が起こるために該先端部で掘削の遅れが発生
し、カッターポスト５２を地山（地盤）Ｇへ押し付ける
力が減少して施工能率が低下してしまう。 〔２〕前述した従来のチェーンカッター式掘削装置は、
カッターポスト５２に沿ってカッタービット５３を備え
たエンドレスチェーンからなるチェーンカッター５４が
循環する方式であるため、図５に示すように、掘削時の
カッターポスト５２の側面には、攪拌されたソイルセメ
ント（セメントモルタル）Ｓが停滞して矢印方向への抵
抗力Ｈが増大することになる。そのため、カッターポス
ト５２を地山（地盤）Ｇへ押し付ける力が減少して施工
能率が低下してしまう。

【０００６】このような問題点の解決策として、カッタ
ーポスト５２の剛性を高める方法が考えられるが、チェ
ーンカッター式掘削装置全体が大型化するので実際の使
用には困難である。

【０００７】そこでこの発明は、従来のチェーンカッタ
ー式掘削装置の大きさを変えることなく、前述した従来
のチェーンカッター式掘削装置における問題点を解決し
た大深度対応型のチェーンカッター式掘削装置と、該掘
削装置による連続地中壁の施工方法を提供することを目
的とし、開発したものである。

【０００８】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、この発明では、チェーンカッター式掘削装置を次の
ように構成したものである。チェーンの駆動手段を備え
たドライブホイール、従動用のチェーンスプロケット、
掘削土と攪拌する固化液の噴出手段を配設してなるカッ
ターポストと、前記ドライブホイールおよびチェーンス
プロケットを介し前記カッターポストに掛け渡され、該
カッターポストに沿って循環（回転）するカッタービッ
トを備えたエンドレスチェーンからなるチェーンカッタ
ーと、前記カッターポストを支持固定する支持体を備え
た地上走行車（ベースマシン）とによって構成されたチ
ェーンカッター式掘削装置において、前記カッターポス
トの地中挿入部に、該カッターポストの地中挿入部を水
平移動させる推進移動手段を設けたものである。

【０００９】また、前記推進移動手段は、油圧モーター
等の駆動手段を備えたスクリューオーガーから構成する
のが好ましい。もっとも該構成に限定されるものではな
く、前記スクリューオーガーの代わりにプロペラ機構か
ら構成しても良い。

【００１０】次に、前述した構成のチェーンカッター式
掘削装置を用い、次のような工程からなる施工方法によ
り、連続地中壁を施工するようにしたものである。 ｛１｝まず、連続地中壁を構築しようとする地点の一点
に所定深度の縦孔を掘り、該縦孔内へ所要長さの前述し
た構成のチェーンカッター式掘削装置におけるチェーン
カッターを装着したカッターポストを建込む工程。 ｛２｝前記カッターポストを、前記掘削装置の地上走行
車（ベースマシン）へ支持体を介し固定して接続する工
程。 ｛３｝前記チェーンカッターを所定方向へ循環（回転）
させ、前記掘削装置の推進移動手段にて前記カッターポ
ストの地中挿入部を掘削方向へ水平移動させ、地中の該
チェーンカッターのカッタービットにおける地山（地
盤）への押し付け力を制御しながら、前記地上走行車
（ベースマシン）を掘削方向へ水平移動させて地山（地
盤）を水平掘削すると同時に、前記カッターポストに配
設した噴出手段を介し固化液（セメントミルク等の硬化
液）を噴出し、現位置において掘削土と固化液（セメン
トミルク等の硬化液）を攪拌・混合してソイルセメント
（セメントモルタル）壁体を造成して連続地中壁を構築
する工程。［前記ソイルセメント（セメントモルタル）
壁体が固化する前には、該壁体内へ所定間隔をおいて芯
材（Ｈ形鋼等）を建込む。］

【００１１】

【発明の実施の形態】次に添付図面に基づき、この発明
による具体例を説明する。図１は、この発明によるチェ
ーンカッター式掘削装置を用い、連続地中壁用の掘削を
行っている様子を示す正面概略図、図２は、図１におけ
るＡ−Ａ’線断面概略図、図３は、従来のチェーンカッ
ター式掘削装置を用い、連続地中壁用の大深度掘削を行
っている様子を示す正面概略図、図４は、図３における
側面概略図、図５は、図３におけるＢ−Ｂ’線断面概略
図である。

【００１２】まず、図１〜図２に基づき、従来のチェー
ンカッター式掘削装置を示す図３および図４を参照しな
がら、この発明によるチェーンカッター式掘削装置の構
成を説明する。この発明によるチェーンカッター式掘削
装置Ｊは、図３〜図４に示す、モーターからなるチェー
ンの駆動手段（図示省略）を備えたドライブホイール５
０、従動用のチェーンスプロケット５１、掘削土と攪拌
する固化液（セメントミルク等の硬化液）のノズル管等
からなる噴出手段（図示省略）を配設した中空部を有す
る分割結合された角柱状の部材からなるカッターポスト
５２と、前記ドライブホイール５０およびチェーンスプ
ロケット５１を介し前記カッターポスト５２に掛け渡さ
れ、該カッターポスト５２に沿って循環（回転）するカ
ッタービット５３を備えたエンドレスチェーンからなる
チェーンカッター５４と、前記カッターポスト５２を支
持固定する櫓状の支持体５５を備えた地上走行車（ベー
スマシン）５６とからなる従来のチェーンカッター式掘
削装置のカッターポスト５２の地中挿入部における予め
設定した個所に、駆動手段としての油圧モーター１０を
備えたスクリューオーガー１１を組込んだフレーム体１
２を設置することにより構成され、該スクリューオーガ
ー１１の回転によって発生する推進力を利用して前記カ
ッターポスト５２の地中挿入部を水平移動させるもので
ある。つまり、前記カッターポスト５２の地中挿入部を
水平移動させることにより、前記カッタービット５３に
地山（地盤）Ｇへの押し付け力を与えるわけである。

【００１３】そして、この発明によるチェーンカッター
式掘削装置Ｊの水平掘削時には、前記油圧モーター１０
により、前記スクリューオーガー１１の回転速度を変化
させ、前記カッターポスト５２の掘削方向（進行方向）
への水平移動量を制御することにより、前記カッタービ
ット５３の地山（地盤）Ｇへの押し付け力を制御して該
カッタービット５３を地山（地盤）Ｇへ均等に押し付け
る。

【００１４】また、図１〜図２に示すように、この発明
によるチェーンカッター式掘削装置Ｊにおける前記チェ
ーンカッター５４およびスクリューオーガー１１の回転
によって攪拌されたソイルセメント（セメントモルタ
ル）Ｓは、矢印のような流れを持つようになる。そのた
め、前記カッターポスト５２の周面に停滞しているソイ
ルセメント（セメントモルタル）Ｓが流動して摩擦抵抗
が低減され、前記カッタービット５３の地山（地盤）Ｇ
への押し付け力を有効に働かせる。

【００１５】また、この例の場合、前述した推進力を発
生させる手段としてスクリューオーガー１１を用いた
が、複数のプロペラによって構成することもできる。な
お、前述した推進力を逆方向へ変える時には、前記油圧
モーター１０を逆回転させるか、あるいは、前記スクリ
ューオーガー１１の形状を逆にする。勿論、前記油圧モ
ーター１０の駆動および回転速度の制御は、図示しない
地上の制御機器によってコントロールされる。なお、５
８は、地上におけるチェーンカッター５４を装着したカ
ッターポスト５２を覆うカッターカバーである。

【００１６】次に、図１を参照しながら、前述したこの
発明によるチェーンカッター式掘削装置Ｊを用いた場合
における連続地中壁の施工手順を説明する。 ＜１＞まず、連続地中壁を構築しようとする地点の一点
に深度Ｘの縦孔（図示省略）を掘り、該縦孔（図示省
略）内へ前記深度Ｘに対応する長さの前記チェーンカッ
ター５４を装着した前記カッターポスト５２を建込む。 ＜２＞前記カッターポスト５２を、前記地上走行車（ベ
ースマシン）５６へ前記支持体５５を介し固定して接続
する。 ＜３＞前記チェーンカッター５４を矢印Ｅ，Ｆへと循環
（回転）させ、前記油圧モーター１０を備えたスクリュ
ーオーガー１１にて前記カッターポスト５２の地中挿入
部を掘削方向へ水平移動させ、地中のカッタービット５
３における地山（地盤）Ｇへの押し付け力を制御しなが
ら、前記地上走行車（ベースマシン）５６を掘削方向へ
水平移動させて地山（地盤）Ｇを水平掘削すると同時
に、前記カッターポスト５２の先端部に設けた噴出管
（図示省略）を介し固化液（セメントミルク等の硬化
液）を噴出し、掘削土と固化液（セメントミルク等の硬
化液）を攪拌・混合してソイルセメント（セメントモル
タル）壁体（図示省略）を造成して連続地中壁を構築す
る。《前記ソイルセメント（セメントモルタル）壁体
（図示省略）が固化する前には、該壁体内へ予め設定し
た間隔をおいて芯材（Ｈ形鋼等）を建込む。》

【００１７】

【発明の効果】この発明は、以上説明したように構成さ
れているので、次のような効果を奏する。 この発明によるチェーンカッター式掘削装置のカッタ
ーポストに装備したスクリューオーガー等からなるカッ
ターポストの推進移動手段により、カッタービットを地
山（地盤）へ均等に押し付けることが可能となり、掘削
能率が向上する。 前記カッターポストの推進移動手段により、カッター
ポストの周面に停滞しているソイルセメント（セメント
モルタル）が流動する。そのため摩擦抵抗が低減され、
カッタービットの地山（地盤）への押し付け力が有効に
働くようになり、前記に伴い、掘削能率をより向上さ
せることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】この発明によるチェーンカッター式掘削装置を
用い、連続地中壁用の掘削を行っている様子を示す正面
概略図である。

【図２】図１におけるＡ−Ａ’線断面概略図である。

【図３】従来のチェーンカッター式掘削装置を用い、連
続地中壁用の大深度掘削を行っている様子を示す正面概
略図である。

【図４】図３における側面概略図である。

【図５】図３におけるＢ−Ｂ’線断面概略図である。

【符号の説明】

１０・・・・油圧モーター １１・・・・スクリューオーガー １２・・・・フレーム体 ５０・・・・ドライブホイール ５１・・・・チェーンスプロケット ５２・・・・カッターポスト ５３・・・・カッタービット ５４・・・・チェーンカッター ５５・・・・支持体 ５６・・・・地上走行車（ベースマシン） ５７・・・・ステー ５８・・・・カッターカバー Ｇ・・・・地山（地盤） Ｈ・・・・抵抗力 Ｊ・・・・チェーンカッター式掘削装置（本発明） Ｋ・・・・造成部 Ｓ・・・・ソイルセメント（セメントモルタル） Ｘ・・・・深度

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 有山 元茂 東京都新宿区西新宿一丁目25番１号 大成 建設株式会社内

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 チェーンの駆動手段を備えたドライブホ
   イール、従動用のチェーンスプロケットおよび掘削土と
   攪拌する固化液の噴出手段を配設してなるカッターポス
   トと、前記ドライブホイールおよびチェーンスプロケッ
   トを介し前記カッターポストに掛け渡され、該カッター
   ポストに沿って循環するカッタービットを備えたエンド
   レスチェーンからなるチェーンカッターと、前記カッタ
   ーポストを支持固定する支持体を備えた地上走行車とに
   よって構成されたチェーンカッター式掘削装置におい
   て、 前記カッターポストの地中挿入部に、該カッターポスト
   の地中挿入部を水平移動させる推進移動手段を設けたこ
   とを特徴とするチェーンカッター式掘削装置。
2. 【請求項２】 前記推進移動手段は、駆動手段を備えた
   スクリューオーガーからなることを特徴とする請求項１
   記載のチェーンカッター式掘削装置。
3. 【請求項３】 次の第１工程〜第３工程の各工程からな
   ることを特徴とするチェーンカッター式掘削装置による
   連続地中壁の施工方法。 （１）連続地中壁を構築しようとする地点の一点に所定
   深度の縦孔を掘り、該縦孔内へ所要長さの請求項１また
   は２記載のチェーンカッター式掘削装置のチェーンカッ
   ターを装着したカッターポストを建込む第１工程。 （２）前記カッターポストを、前記掘削装置の地上走行
   車へ支持体を介し固定して接続する第２工程。 （３）前記チェーンカッターを所定方向へ循環させ、前
   記掘削装置の推進移動手段にて前記カッターポストの地
   中挿入部を掘削方向へ水平移動させて地中の該チェーン
   カッターのカッタービットにおける地山への押し付け力
   を制御しながら、前記地上走行車を掘削方向へ水平移動
   させて地山を水平掘削すると同時に、前記カッターポス
   トに配設した噴出手段により固化液を噴出し、現位置に
   おいて掘削土と固化液を攪拌・混合してソイルセメント
   （セメントモルタル）壁体を造成して連続地中壁を構築
   する第３工程。［前記ソイルセメント（セメントモルタ
   ル）壁体が固化する前には、該壁体内へ所定間隔をおい
   て芯材を建込む。］