JPH11113669A - 自動車用シート - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 リアシートが着座位置から移動させた状態に
あるときに、着座しようとしても機構的に着座不能とな
るようにした自動車のリアシート用リクライナーを提供
する。 【解決手段】 操作レバー１３のレバー２１に軸着して
軸方向移動可能にインターロック棒１２を設ける。この
インターロック棒１２と対面して上下動できるストッパ
ー１４とリンクレバー１６をスライダー３に軸支する。
リンクレバー１６の一端部に長孔１９を介してロック体
６を上下動可能にスライダー３に支持する。ロック体６
の下部はレール５の係合孔８に係脱する爪部７が形成さ
れている。スライダー３が着座位置から移動したインナ
ー又はアウター側の一方のレール５には爪部７の係合す
る係合孔８を設けない構成とした。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】この発明は自動車用シートに
関するもので、特に、シートが座席使用範囲外にあると
きはシートリクライニング装置を操作することができな
いようにして乗員の安全を座席構造上から確保するよう
にしたものである。

【０００２】

【従来の技術】ワゴン車のリアシートは、荷室空間を大
きくできるようにシートが車体前後方向へ移動可能に設
けられている。すなわち、車体床面にスライドレールが
左右一対で固定され、それらのスライドレールに係合し
て摺動するスライダーにシートリクライニング装置のベ
ースプレートが固定されている。そして、スライドレー
ルにはリアシートの着座すべき通常位置と、荷室として
利用するためにシートを前後方向へ大きく移動した非通
常位置との二つの位置で係合するための係合孔が形成さ
れ、この係合孔に係脱するロック体がスライドレールに
設けられている。すなわち、ロック体が係合孔に係合す
るとリアシートは動けなくなり、係合孔から脱するとリ
アシートはスライドレールに沿って移動できるようにな
るというものである。

【０００３】ところで、上記のスライドレールはリアシ
ートの左右両側に対で設けられるのが通例であり、した
がって、ロック体は左右（アウター側及びインナー側）
のスライドレールにそれぞれ設けられており、また、同
時にスライドレールの係合孔に係脱するように連動す
る。そして、前記通常位置から非通常位置への移動は、
シートリクライニング装置を操作してシートバックを倒
した状態でなければ移動できないようにしている。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、リアシ
ートを着座できる通常位置（着座位置）から着座しては
ならない非通常位置（移動位置）まで移動させたとき、
左右のロック体はそれぞれスライドレールの係合孔に係
合して、リアシートは非通常位置でロックしているか
ら、シートバックを起こして着座しようとすれば着座で
きないものではない。しかし、シートを大きく前後方向
へ移動すると車体側に設けられたシートベルトが使用で
きない状態となってしまうため、着座してもシートベル
トを装着することができず危険に遭遇する可能性が高く
なる、と云う問題がある。

【０００５】そこで、この発明は、リアシートが非通常
位置にあるときに着座しようとしてシートリクライニン
グ装置の操作レバーを操作しても、シートリクライニン
グ装置がロックされていて前倒れしたシートバックを起
こすことができず、着座不能となるようにした自動車用
シートを提供する。

【０００６】

【課題を解決するための手段】この発明にかかる自動車
用シートは、操作レバーを回動操作してツース部材とツ
ースプレートの歯部の噛合又はその解除をすることによ
りシートバックを傾動可能としたシートリクライニング
装置を載置したスライダーが車体に固定されたレールに
摺動可能に係合し、前記スライダーを通常位置と非通常
位置でレールにロックするロック機構を有し、該ロック
機構は前記スライダーの側面にロック体を上下動可能に
支持してその下部が前記レールに設けた係合孔に係脱可
能に設けると共に、該ロック体に一端部が回動可能に軸
着されるリンクレバーを前記スライダーに回動可能に軸
支してなり、該リンクレバーとともに回動するストッパ
ーを設け、該ストッパーに一端部が対面し他端部が前記
シートリクライニング装置の操作レバーと一体で回動可
能なレバーに軸着されたインターロック棒を設けること
により、前記ロック体がアンロック状態にあるとき前記
操作レバーを操作不能とすることを特徴とする。

【０００７】そして、前記レールは、前記シートリクラ
イニング装置が非通常位置に移動したときは、車体のア
ウター側又はインナー側のいずれか一方のレールに前記
ロック体が係合せずに、一方の該ロック体がアンロック
状態を保持するようにしたことを特徴とする。

【０００８】したがって、着座しない非通常位置にシー
トを移動させたときは、一方のロック体がレールと係合
せず、ストッパーがインターロック棒と対面し、シート
リクライニング装置の操作レバーを操作できなくして、
シートバックを起立させることができず、着座できない
から、安全である。

【０００９】

【発明の実施の形態】以下この発明の実施の形態を図に
基づき説明する。図１〜図３に示すように、シートリク
ライニング装置１のベースプレート２がスライダー３上
に載置され、スライダー３はプレートの前後部左右両側
にコロ４を有して車体床面に固定した一対のレール５の
上方開口溝にそれぞれ挿入され、レール５の内側で移動
可能に設けられている。このスライダー３の側面にはロ
ック機構１７が設けられ、その一部であるロック体６が
上下動可能に支持され、ロック体６の下端部には複数の
爪部７が形成されており、この爪部７がレール５の内底
部に形成された係合孔８（図３参照）に係脱してスライ
ダー３を通常位置（着座位置）又は非通常位置（移動位
置）においてそれぞれ固定できるようになっている。

【００１０】アウター側のスライダー３には、ベースプ
レート２を載設固定する直角に曲げた水平部９が形成さ
れ、その水平部９にはカギ形をしたガイドプレート１０
が固定され、このガイドプレート１０の上端部付近には
ガイド孔１１を穿設してある。このガイド孔１１に摺動
可能に係合するインターロック棒１２が略水平方向に延
伸している。インターロック棒１２の一端部はシートリ
クライニング装置１側に延伸して操作レバー１３と共に
回動可能なレバー２１の一部に回動可能に軸着され、他
端部はロック体６側においてストッパー１４に対面して
いる。

【００１１】ストッパー１４は、図３及び図４に示すよ
うに、スライダー３にシャフト１５で回動可能に軸着し
たリンクレバー１６と同軸で回動可能に支持されるとと
もに、直交方向へ曲げ形成したその張出部１４ａが、シ
ャフト１５に捲回したばね１８でリンクレバー１６と常
に接触して一体的に回動できるように付勢されている。
リンクレバー１６の一端部にはばね１８の一端部が係止
されると共に、ロック体６をロック方向に付勢するばね
３８の一端部が形成され、他端部は長孔１９を有してそ
の長孔１９にはロック体６に植設したピン２０が係合し
ている。なお、ばね１８の他端部はストッパー１４に係
止され、ばね１８の他端部はスライダー３に係止され
る。また、ストッパー１４はシャフト１５に両持ちされ
た略Ｕ字形のプレートからなり、リンクレバー１６は板
状である。

【００１２】インターロック棒１２の一端部は、図２に
示すように、操作レバー１３と係合部２１ａで係合して
一体に回動されるレバー２１に軸２２を介して回動可能
に連結され、レバー２１はシャフト２３でベースプレー
ト２に回動可能に軸支されている。操作レバー１３のベ
ースプレート２側にはローラ２４が軸２５で回動可能に
軸支され、このローラ２４は操作レバー１３と一体にシ
ャフト２３を中心として回動する。ローラ２４にはツー
ス部材２６の自由端の下部が摺接し、ツース部材２６は
シャフト２７を介して回動可能にベースプレート２に軸
支されている。

【００１３】このツース部材２６の湾曲上部には歯部２
８が形成され、この歯部２８と噛合する歯部２９を形成
したツースプレート３０がセンターシャフト３１を中心
として回転自在にベースプレート２に軸支されている。
操作レバー１３はスプリング３２で回転付勢されて常に
ツース部材２６をツースプレート３０に押圧する。ツー
スプレート３０にはシートバックに固定するためのアー
ム３９が一体結合されており、このアーム３９にはピン
３３が突設され、このピン３３に外端部を係止した渦巻
きばね３４がセンターシャフト３１に内端部を係止して
装着され、渦巻きばね３４はアーム３９を前倒れ方向
（車体前方側）へ回転付勢する。なお、３５はセンター
シャフト３１、シャフト２３，２７に冠したホルダープ
レート、３６，３７はシートリクライニング装置及びロ
ック機構１７の側部を覆うカバー部材である。また、イ
ンナー側のスライダー３にもアウター側と同様にシート
リクライニング装置１及びロック機構１７が設けられて
いるが、インターロック棒１２、ストッパー１４及びレ
バー２１は設けられていない。

【００１４】ここで、上記レール４は一対で車体床面に
固定され、これらのレール４にはリアシートの通常位置
と非通常位置との相当する部位に、ロック体６の爪部７
が係脱する係合孔８が設けられのであるが、その対のレ
ール４，４のうちのアウター側には、非通常位置ではロ
ック体６の爪部７が係脱すべき係合孔８を設けていな
い。したがって、リアシートが非通常位置に移動してい
るときは、インナー側のシートリクライニング装置１に
おけるロック体６はレール４の係合孔８に係合している
が、アウター側のシートリクライニング装置１における
ロック体６は係合孔８がないためにフリーの状態となる
ように設定されている。

【００１５】そこで、左右一対のシートリクライニング
装置１は連動可能に構成されるが、その連動構造につい
てはロッド又はケーブル等の公知の手段を採用する。さ
らに、ロック機構１７に設けられた左右一対となるロッ
ク体６，６の連動構造は、シャフト１５，１５間を図示
しない連結ロッドにより連結し、シャフト１５の端部に
それぞれリンクレバー１６，１６を固着すればよい。な
お、アウター側のロック体６が係脱すべき係合孔８がな
い非通常位置でもインナー側のロック体６は係合孔８に
係合するため、アウター側のシャフト１５と連結ロッド
の連結構造は、一方にピン、他方に長孔を形成したリン
クをそれぞれ固着し、ピンと長孔を係合させ、ばねでピ
ンを長孔の一方側に寄せるようにした構造が用いられ
る。また、ロック機構１７のロック解除はシート前部に
設けた操作レバーで連結ロッドを回動して行うがその詳
細な説明は省略する。

【００１６】次に上記形態の作用を説明すると、まず、
リアシートがレール５，５の通常位置にある場合には、
図３に実線図示のように、ロック体６の爪部７がレール
５の係合孔８と係合してスライダー３から下降した状態
にあり、そのため、ストッパー１４がインターロック棒
１２の水平位置よりも下位に回動している。

【００１７】したがって、リクライニング調整について
は、操作レバー１３を握持して上方へ持ち上げると、図
２に示すように、レバー２１が操作レバー１３と一体で
回動し、インターロック棒１２はストッパー１４に当接
することなく軸方向へ移動できるので、操作レバー１３
がシャフト２３を中心に反時計回りに回動してローラ２
４が下方へ移動するために、ローラ２４に自由端部が載
置されたツース部材２６がシャフト２７を中心に反時計
回りに回動し、これにより歯部２８，２９の噛合が解か
れ、ツースプレート３０及びこれと一体結合されたアー
ム３２が渦巻きばね３４の付勢力でセンターシャフト３
１を中心に前倒れ方向へ回動する。

【００１８】そこで、シートバックの所望の傾斜角度で
操作レバー１３を放すと、操作レバー１３がばね３２の
力でシャフト２３を中心に時計回りに回動してローラ２
４がツース部材２６を押し上げ、歯部２８，２９が噛合
することにより、その傾斜角度がロックされる。また、
レバー２１は自重により下方へ回動し、インターロック
棒１２を引き戻す。

【００１９】次にリアシートを非通常位置に移動させる
ときは、初めに前記のような操作でシートバックを前倒
しし、次いで、図示しない操作レバーでシャフト１５を
回動させると、図３に仮想線で示すように、リンクレバ
ー１６がシャフト１５を中心に回動し、長孔１９に係合
するピン２０がロック体６を上方へ引き上げて爪部７を
係合孔８から引き抜き、よってスライダー３の固定が解
かれ、スライダー３はレール５に沿って移動できる。ス
ライダー３を移動してリアシートが非通常位置に至る
と、インナー側のロック機構１７のロック体６の爪部７
はインナー側のレール５の係合孔８と係合してリアシー
トをロックするに反し、アウター側のロック機構１７は
ロック体６の爪部７が係合する係合孔８がないので、ロ
ック体６は上動した状態を維持する。そのため、ストッ
パー１４はインターロック棒１２と対面する位置までリ
ンクレバー１６と共に回動している。なお、シートリク
ライニング装置１の操作レバー１３を引いた状態でロッ
ク機構１７のロックを解除した際には、インターロック
棒１２がストッパー１４の上方に位置しているため、ス
トッパー１４はインターロック棒１２に当接して回動し
ないが、操作レバー１３が戻されればインターロック棒
１２はストッパー１４の上方から移動して外れるため、
ストッパー１４はばね１８のばね力により上方へ回動す
る。

【００２０】すなわち、この非通常位置において、アウ
ター側のロック機構１７におけるロック体６は、レール
５に係合孔８が設けられていないために、スライダー３
から上方へ移動した状態にあり、したがって、図３に仮
想線で示すように、リンクレバー１６を回動させてスト
ッパー１４がインターロック棒１２と対面するように起
動しており、したがって、ロック機構１７はアンロック
状態となっている。

【００２１】そのため、操作レバー１３を持ち上げよう
としても、レバー２１を介してインターロック棒１２が
ストッパー１４側に突き出され、ストッパー１４に衝突
して操作レバー１３が操作できない。したがって、非通
常位置ではシートリクライニング装置１を操作するこ
と、すなわち、前倒れしているシートバックのロックを
解除してシートバックを起こすことができないから、着
座することができないのである。

【００２２】

【発明の効果】以上説明したこの発明によれば、リアシ
ートが非通常位置にあるときは、シートリクライニング
装置の操作レバーを回動操作しようとしても、インター
ロック棒がストッパーに当接して操作できなくしたか
ら、非通常位置においてリアシートに着座することがで
きず、安全である。

【図面の簡単な説明】

【図１】この発明の実施の形態を示す斜視図

【図２】シートリクライナーの正面図

【図３】ロック機構の正面図

【図４】ロック機構の分解斜視図

【符号の説明】

１…シートリクライニング装置 ２…ベースプレート ３…スライダー ４…コロ ５…レール ６…ロック体 ７…爪部 ８…係合孔 １０…ガイドプレート １１…ガイド孔 １２…インターロック棒 １３…操作レバー １４…ストッパー １４ａ…張出部 １５…シャフト １６…リンクレバー １７…ロック機構 １８…ばね １９…長孔 ２０…ピン ２１…レバー

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 操作レバーを回動操作してツース部材と
   ツースプレートの歯部の噛合又はその解除をすることに
   よりシートバックを傾動可能としたシートリクライニン
   グ装置を載置したスライダーが車体に固定されたレール
   に摺動可能に係合し、前記スライダーを通常位置と非通
   常位置でレールにロックするロック機構を有し、該ロッ
   ク機構は前記スライダーの側面にロック体を上下動可能
   に支持してその下部が前記レールに設けた係合孔に係脱
   可能に設けると共に、該ロック体に一端部が回動可能に
   軸着されるリンクレバーを前記スライダーに回動可能に
   軸支してなり、該リンクレバーとともに回動するストッ
   パーを設け、該ストッパーに一端部が対面し他端部が前
   記シートリクライニング装置の操作レバーと一体で回動
   可能なレバーに軸着されたインターロック棒を設けるこ
   とにより、前記ロック体がアンロック状態にあるとき前
   記操作レバーを操作不能とすることを特徴とする自動車
   用シート。
2. 【請求項２】 前記レールは、前記シートリクライニン
   グ装置が非通常位置に移動したときには、車体のアウタ
   ー側又はインナー側のいずれか一方のレールに前記ロッ
   ク体が係合せずに、一方の該ロック体がアンロック状態
   を保持するようにしたことを特徴とする請求項１記載の
   自動車用シート。