JPH11100515A - 繊維強化複合材料用樹脂組成物、プリプレグおよびプリプレグの製造方法 - Google Patents

繊維強化複合材料用樹脂組成物、プリプレグおよびプリプレグの製造方法

Info

Publication number
JPH11100515A
JPH11100515A JP20769398A JP20769398A JPH11100515A JP H11100515 A JPH11100515 A JP H11100515A JP 20769398 A JP20769398 A JP 20769398A JP 20769398 A JP20769398 A JP 20769398A JP H11100515 A JPH11100515 A JP H11100515A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
component
prepreg
resin
resin composition
fiber
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP20769398A
Other languages
English (en)
Inventor
Hideki Okita
英樹 沖田
Hiroki Ooseto
浩樹 大背戸
Hideo Nagata
秀夫 永田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toray Industries Inc
Original Assignee
Toray Industries Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toray Industries Inc filed Critical Toray Industries Inc
Priority to JP20769398A priority Critical patent/JPH11100515A/ja
Publication of JPH11100515A publication Critical patent/JPH11100515A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Epoxy Resins (AREA)
  • Addition Polymer Or Copolymer, Post-Treatments, Or Chemical Modifications (AREA)
  • Reinforced Plastic Materials (AREA)
  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
  • Polymerisation Methods In General (AREA)

Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】強化繊維への含浸がスムーズで、成型時の樹脂
フロー性にも優れ、タック性とドレープ性のバランスの
とれたプリプレグを与える繊維強化複合材料用樹脂組成
物。 【解決手段】熱硬化性樹脂(A)と、(A)の硬化反応
を進行させず架橋可能な官能基を有し、下記条件
(1)、(2)を満たす成分(B)を必須成分として含
む。これを強化繊維に含浸架橋反応を進行させプリプレ
グを得る。(1)(A)の硬化反応を進行させず、平均
2を超える(B)成分中の他の分子と反応し結合しうる
こと。(2)(A)の硬化反応を進行させず(B)成分
中の他の分子との間に化学結合を生成しうる同一分子中
の2個の原子(化学式1で、例えばCとC13)を最
小の原子数でつなぐ分子鎖を構成する原子の個数をα
(化学式1でn=1でαは14)それらのうち10員環
以内の環状構造構成原子の個数をβ(化学式1でn≧1
でβは4)とするとα>14,β/α<0.3であるこ
と。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、航空機、車両、船
舶、建造物などの構造材料、スポーツ用具などに使用さ
れる、ガラス繊維、炭素繊維、アラミド繊維、ボロン繊
維などの強化繊維とマトリックス樹脂からなる繊維強化
複合材料の製造に用いるプリプレグおよびその製造方
法、ならびに該繊維強化複合材料のマトリックス樹脂と
して用いる繊維強化複合材料用樹脂組成物に関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】強化繊維とマトリックス樹脂からなる繊
維強化複合材料は、軽量で優れた機械特性を有するため
に、航空機、車両、船舶、建造物などの構造材料、ゴル
フシャフト、釣竿、テニスラケットなどのスポーツ用具
に広く用いられている。
【0003】繊維強化複合材料の製造には、各種の方式
が用いられるが、強化繊維にマトリックス樹脂を含浸さ
せたシート状、テープ状、あるいは紐状の中間基材であ
るプリプレグを用いる方法が広く用いられている。この
方法ではプリプレグを複数枚積層した後、加熱すること
によって成形物が得られる。
【0004】プリプレグに用いられるマトリックス樹脂
としては、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂ともに使用され
るが、ほとんどの場合熱硬化性樹脂が用いられる(本明
細書においては、熱硬化性樹脂という用語は、特に注釈
のない限り、プレポリマーまたはプレポリマーの混合物
か、または、これに硬化剤を配合した未硬化の樹脂組成
物を意味するものとする)。この場合、熱硬化性樹脂を
主成分とした繊維強化複合材料用樹脂組成物を、マトリ
ックス樹脂として強化繊維に含浸したものがプリプレグ
として用いられ、これを積層後加熱して繊維強化複合材
料が製造される。
【0005】一般的に、プリプレグを使用して繊維強化
複合材料を製造する場合にしばしば問題になるのが、プ
リプレグ同士のタック性(粘着性)、およびプリプレグ
のドレープ性(しなやかさ)である。これらの性質はプ
リプレグを取り扱う際の作業性に大きく影響する。
【0006】すなわち、プリプレグのタック性が小さす
ぎると、プリプレグの積層工程において、重ねて押さえ
つけたプリプレグがすぐに剥離してしまい、積層作業に
支障をきたす。
【0007】また、プリプレグのドレープ性が乏しい
と、プリプレグが堅いため積層作業が著しく低下すると
共に、積層したプリプレグが金型の曲面やマンドレルの
形状に正確に沿わず、しわ状になったり、強化繊維が折
れ、成形品に欠陥が生じてしまう。
【0008】これらの問題が生じやすいのは、ゴルフシ
ャフトや釣竿などの成形をマンドレルに巻き付けて行う
場合である。タック性とドレープ性とのバランスが不適
当であると、マンドレルに巻き付けたプリプレグが短時
間のうちに剥がれるため、成形が困難になる。
【0009】さらにプリプレグを使用前に放置しておく
と、そのタック性は数時間の間に急速に低下し、プリプ
レグのマンドレルへの巻き付け性が不良となったり、積
層作業が困難となる。そのため、適度なタック性を長時
間保持させておくことも求められる。
【0010】近年、特にゴルフシャフトや釣竿等のスポ
ーツ用品の分野では、軽量化のために、強化繊維の体積
含有率の特に高いプリプレグが求められている。
【0011】しかしながら、強化繊維含有率が高くなる
と、プリプレグ表面に分布する樹脂の量が少なくなるた
め、タック性が低くなる傾向にある。そのため、従来の
樹脂を用いたのではタック性が不足してしまうという問
題があった。
【0012】プリプレグに十分なタック性を付与するた
めには、マトリックス樹脂の粘度を適度に高くする必要
があるが、その手法としては、マトリックス樹脂に熱可
塑性樹脂やエラストマーなどの高分子化合物を配合する
ことが知られている。例えば、特開平5−1174号公
報に示されるエポキシ樹脂にポリエステルポリウレタン
を配合する方法などが知られている。
【0013】ところが、上記のような高分子化合物を添
加する方法でマトリックス樹脂の粘度を上昇させると、
プリプレグの製造上様々な問題が生じる。
【0014】まず第1に、マトリックス樹脂粘度が高い
と、強化繊維束の内部まで十分にマトリックス樹脂を含
浸させることが困難となる。したがって粘度の高いマト
リックス樹脂を使用する場合に強化繊維への十分な含浸
を行うためには、温度を高くして樹脂粘度を低くする必
要があるが、マトリックス樹脂にある程度以上の熱履歴
を加えると、該マトリックス樹脂中の熱硬化性樹脂の硬
化反応が進行したり、熱硬化性樹脂中の硬化剤が溶解な
いし変質してプリプレグの可使時間を短くするという問
題が生じる。これは特に硬化温度の低い熱硬化性樹脂を
マトリックス樹脂として使用する場合に大きな問題にな
る。
【0015】第2に、マトリックス樹脂の粘度が高い
と、含浸時に強化繊維のストランドが拡がりにくくなり
表面平滑性が不十分となる。特に、薄いプリプレグを製
造する場合にそのような問題が生じることが多い。そし
て、樹脂粘度が比較的高い状態でストランドを拡げてマ
トリックス樹脂を十分に含浸させるためには、ローラー
圧力などの外圧を高くして含浸を行う必要があるが、繊
維を高い圧力で押さえつけると、特に仮撚りのような撚
りがかかった強化繊維の場合には、繊維束が圧力により
一旦は拡げられるものの、得られたプリプレグを放置し
ておくと、経時的に繊維束が元の状態に戻ろうとする現
象、いわゆるスプリングバックが起きやすくなる。スプ
リングバックが生じるとプリプレグ表面の樹脂量が少な
くなるため、経時的にプリプレグのタック性が低下する
ことになる。
【0016】したがって、マトリックス樹脂粘度は、上
記プリプレグ製造上の要求とタック性とのバランスを考
慮して適当な値に設定されるが、しばしば要求される条
件をすべて満たす樹脂粘度の範囲が存在せず、なんらか
の性能を犠牲にせざるをえない、あるいは製造が不可能
であるという場合が少なからず存在する。たとえば、プ
リプレグの強化繊維含有率が大きい場合、マトリックス
樹脂として使用する熱硬化性樹脂の硬化温度が低い場
合、樹脂フローに対する要求が厳しい場合などにこのよ
うな問題が生じることが多い。
【0017】マトリックス樹脂の粘度について存在する
上記のような問題を解決するためには、低粘度のマトリ
ックス樹脂を用いて含浸を行い、その後なんらかの処理
でマトリックス樹脂中に高分子量成分を生成させて樹脂
の粘度を高める方法が有効であり、そのために適用でき
る方法もいくつか提案されている。
【0018】例えば、特開平3−221535号公報、
特開平5−262903号公報には、エポキシ樹脂に室
温で反応する硬化剤と室温では安定で高温で反応する硬
化剤を配合したマトリックス樹脂を強化繊維に含浸させ
てプリプレグを作製した後、室温で放置してマトリック
ス樹脂の粘度を増大させる方法が開示されている。
【0019】しかし、この方法では、プリプレグのタッ
ク性はまだ満足できるものではないし、プリプレグ特性
の経時変化が大きいなどの問題も避けられない。
【0020】また、特開昭52−100574号、特開
昭58−19332号、特開平9−3158号公報に示
される、エポキシ樹脂とラジカル重合が可能な化合物を
配合したマトリックス樹脂を強化繊維に含浸させた後、
ラジカル重合のみを進行させてマトリックス樹脂の粘度
を高める方法、特開平3−103446号公報に示され
る、エポキシ樹脂とビニル化合物を配合したマトリック
ス樹脂を強化繊維に含浸させた後、エポキシ樹脂の硬化
反応またはビニル化合物のラジカル重合反応のいずれか
を進行させてマトリックス樹脂の粘度を高める方法など
が知られている。
【0021】しかしながら、これらの方法でも、強化繊
維への樹脂含浸を容易にすることは可能であるものの、
プリプレグのタック性はある程度は改善できるものの特
に強化繊維の含有率の高いプリプレグについては満足で
きるものではないし、ドレープ性については逆に低下し
てしまうという問題があった。そして、両者のバランス
を適正化するための具体的な検討はなんら行われていな
い。
【0022】特に、強化繊維含有率の高いプリプレグの
場合、タック性とドレープ性、強化繊維への含浸性のす
べてを満足させることは、極めて困難なのが現状であ
る。
【0023】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、かかる従来
技術の問題点に鑑み、強化繊維への含浸がスムーズで、
成形時の樹脂フロー性にも優れ、さらにタック性とドレ
ープ性のバランスのとれた優れたプリプレグを与えるこ
とができる繊維強化複合材料用樹脂組成物、該繊維強化
複合材料用樹脂組成物を用いて得られるプリプレグ、お
よびプリプレグの製造方法を提供せんとするものであ
る。
【0024】
【課題を解決するための手段】本発明は、かかる課題を
解決するために次のような手段を採用する。すなわち、
本発明の繊維強化複合材用樹脂組成物は、熱硬化性樹脂
(A)と、前記熱硬化性樹脂(A)の硬化反応を実質的
に進行させることなしに架橋させることが可能な官能基
を有し、かつ、下記条件(1)および(2)を満たす成
分(B1)を必須成分として含むことを特徴とするもの
であり、また、本発明のプリプレグの製造方法は、かか
る繊維強化複合材料用樹脂組成物をマトリックス樹脂と
して使用し、強化繊維に含浸する工程(工程1)、およ
び、強化繊維に含浸された樹脂組成物中で、(B1)成
分、または、(B1)成分および(B2)成分の架橋反
応を進行させる工程(工程2)を経てプリプレグを得る
ことを特徴とするものであり、また、本発明のプリプレ
グは、熱硬化性樹脂(A)および請求項1ないし5のい
ずれかに記載の(B1)および(B2)成分の少なくと
も一方が架橋して得られる重合体からなるマトリックス
樹脂と、強化繊維とからなるプリプレグにおいて、前記
重合体は、前記熱硬化性樹脂(A)と均一相を形成する
か、または、前記熱硬化性樹脂(A)と分離した連続相
として存在することを特徴とするものである。
【0025】(1)熱硬化性樹脂(A)の硬化反応を実
質的に進行させることなしに、平均して2個を超える
(B1)成分中の他の分子と反応して結合し得る。
【0026】(2)熱硬化性樹脂(A)の硬化反応を実
質的に進行させることなしに(B1)成分中の他の分子
との間に化学結合を生成し得る同一分子中の2個の原子
を、最小の原子数でつなぐ分子鎖を構成する原子の個数
をα、それらのうち10員環以内の環状構造を構成する
原子の個数をβとするとき、下記の(式1)および(式
2)を同時に満たす。
【0027】(式1) α>14 (式2) β/α<0.3
【0028】
【発明の実施の形態】本発明は、上述の強化繊維への含
浸が容易に行うことができる上に、成形時の樹脂フロー
性に優れ、タック性とドレープ性のバランスのとれた優
れたプリプレグを与えることができる繊維強化複合材料
用樹脂組成物について鋭意検討したところ、マトリック
ス樹脂として、熱硬化性樹脂の硬化反応を実質的に進行
させることなしに架橋させて、該マトリックス樹脂中に
柔軟な高分子量成分を生成させることができる成分を配
合させた樹脂組成物を用いると、意外にも上述問題を一
挙に解決することを究明したものである。
【0029】本発明において、マトリックス樹脂中に柔
軟な高分子量成分(柔軟な結合鎖で構成されたものを含
む)を生成させることが重要である。かかる新規な技術
思想が、以下に示す特殊な技術構成を完成させたもので
ある。すなわち、本発明の繊維強化複合材料用樹脂組成
物は、まずは、熱硬化性樹脂(A)の硬化反応を実質的
に進行させることなしに架橋させることが可能な官能基
を有する(B1)成分を必須成分として含むことを特徴
とするものである。かかる必須成分とは、前記柔軟な高
分子量成分を生成させるための下記条件(1)および
(2)を満たす成分である。
【0030】(1)平均して2個を超える(B1)成分
中の他の分子と反応して結合し得る。 (2)(B1)成分中の他の分子との間に化学結合を生
成し得る同一分子中の2個の原子を、最小の原子数でつ
なぐ分子鎖を構成する原子の個数をα、それらのうち1
0員環以内の環状構造を構成する原子の個数をβとする
とき、下記の(式1)および(式2)を同時に満たす。
【0031】(式1) α>14 (式2) β/α<0.3 またはさらに、熱硬化性樹脂(A)の硬化反応を実質的
に進行させることなしに、(B1)成分と架橋させるこ
とが可能な官能基を2個以上有し、かつ下記の(式3)
および(式4)を同時に満たす成分(B2)を含むこと
を特徴とするものである。なお、ここでいうαとβは前
記定義と同一のものである。
【0032】(式3) α>0 (式4) β/α≧0.3 この繊維強化複合材料用樹脂組成物をマトリックス樹脂
として用いれば、 後述するような方法を採用すること
により、プリプレグの製造に際して、該樹脂組成物の強
化繊維への含浸が容易であるために、プリプレグの表面
平滑性を優れたものとすることができ、かつ、含浸後に
(B1)、(B2)成分が架橋して高分子量化して、柔
軟な高分子量成分を生成させるので、該樹脂組成物が増
粘する。したがって、得られるプリプレグは、タック性
とドレープ性のバランスや成形時の樹脂フローに優れた
ものとなる。
【0033】これらについての詳細を以下に示す。樹脂
組成物の必須成分である熱硬化性樹脂(A)は、イオン
的機構またはラジカル的機構などで硬化反応を行うプレ
ポリマーの混合物、あるいは、これに硬化剤または硬化
触媒を配合した組成物が好ましく用いられる。具体的に
は、イオン的機構で硬化反応を行うものとしては、エポ
キシ樹脂組成物、イソシアネート樹脂組成物、フェノー
ル樹脂組成物、キシレン樹脂組成物、フラン樹脂組成
物、メラミン樹脂組成物、ベンゾグアナミン樹脂組成
物、尿素樹脂組成物、シリコーン樹脂組成物などをあげ
ることができる。また、ラジカル的機構で硬化反応を行
うものとしては、不飽和ポリエステル樹脂組成物、ビニ
ルエステル樹脂組成物、ジアリルフタレート樹脂組成物
などをあげることができる。これらのなかでも繊維強化
複合材料用途には、耐熱性と弾性率に優れるエポキシ樹
脂組成物が特に好ましく用いられる。ここでいうエポキ
シ樹脂組成物は、分子内にエポキシ基を有するプレポリ
マーであるエポキシ樹脂と硬化剤を配合したものであ
る。
【0034】かかるエポキシ樹脂としては、分子内に複
数のエポキシ基を有する化合物が用いられる。例えば、
ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型
エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ノボラック
型エポキシ樹脂、テトラグリシジルジアミノジフェニル
メタン、トリグリシジルアミノフェノール、テトラグリ
シジルキシレンジアミンのようなグリシジルアミン型エ
ポキシ樹脂等、テトラキス(グリシジルオキシフェニ
ル)エタンやトリス(グリシジルオキシ)メタンのよう
なグリシジルエーテル型エポキシ樹脂あるいはこれらの
組合わせが好適に用いられる。
【0035】このようなビスフェノール型エポキシ樹脂
としては、例えば、ビスフェノールA型として、“エピ
コート”828,“エピコート”1001,“エピコー
ト”1004(油化シェルエポキシ社製)や“エポトー
ト”YD128(東都化成社製)、“エピクロン”84
0,“エピクロン”850,“エピクロン”855,
“エピクロン”860,“エピクロン”1050(大日
本インキ化学工業社製)、ELA128(住友化学社
製)、DER331(ダウケミカル社製)等、市販され
ているものが使用できる。また、ビスフェノールF型と
して、“エピクロン”830(大日本インキ化学工業社
製)、“エピコート”807(油化シェルエポキシ社
製)等がある。フェノールノボラック型エポキシ樹脂と
しては、“エピコート”152,“エピコート”154
(油化シェルエポキシ社製)、DER485(ダウケミ
カル社製)、EPN1138,1139(チバガイギー
社製)等の商品名で市販されているものを用いることが
できる。
【0036】硬化剤としては、ジアミノジフェニルメタ
ン、ジアミノジフェニルスルホンのような芳香属アミ
ン、脂肪族アミン、イミダゾール誘導体、ジシアンジア
ミド、テトラメチルグアニジン、チオ尿素付加アミン、
メチルヘキサヒドロフタル酸無水物のようなカルボン酸
無水物、カルボン酸ヒドラジド、カルボン酸アミド、ノ
ボラック樹脂などのポリフェノール化合物、ポリメルカ
プタン、三フッ化ホウ素エチルアミン錯体のようなルイ
ス酸錯体などが使用される。
【0037】これらの硬化剤には、硬化活性を高めるた
めに適当な硬化助剤を組合わせることができる。好まし
い例としては、ジシアンジアミドに、3−(3,4−ジ
クロロフェニル)−1,1−ジメチル尿素(DCMU)
を硬化助剤として組合わせる例、カルボン酸無水物やノ
ボラック樹脂に第三アミンを硬化助剤として組合わせる
例などがあげられる。ほとんどの硬化助剤は、ここに挙
げた例のように単独でもエポキシ樹脂を硬化させる能力
を持ち、実際は、同時に硬化剤として作用する場合が多
い。場合によっては、エポキシ樹脂と硬化剤と予備反応
物を組成物中に配合することもできる。
【0038】本発明に用いるこれらの硬化剤や硬化助剤
は、強化繊維に含浸させた繊維強化複合材料用樹脂組成
物中で(B)成分[(B1)成分、(B2)成分を含
む]の架橋反応を進行させる工程(工程2)に対する安
定性を実現させるためと、得られたプリプレグに十分な
保存安定性をもたせるために、熱活性型の潜在性を有す
るものであることが好ましい。かかる熱活性型の潜在性
とは、そのままでは活性の低い状態であるが、一定の熱
履歴を経ることにより、相変化あるいは化学変化を起こ
して、活性の高い状態に変わるという性質を有すること
を意味する。なお、以下の記述においては潜在性という
用語は、熱活性型の潜在性を示すものとする。
【0039】硬化助剤を用いない場合は、硬化剤が潜在
性を有することが好ましい。硬化助剤を用いる場合は、
少なくとも硬化助剤が潜在性を有することが好ましい。
潜在性硬化助剤とともに用いる硬化剤として、潜在性を
有する硬化剤が当然好ましく用いられるが、単独での反
応性が低いものであれば、特別に潜在性をもたない(す
なわち熱履歴により相変化や化学変化を起こさない)硬
化剤も好ましく用いられる。
【0040】潜在性をもたせるための一つの方法とし
て、粒子状の硬化剤や硬化助剤をエポキシ樹脂に溶解さ
せずに分散させた状態で配合する方法が好ましく用いら
れる。これらは、一定の熱履歴を経ることによりエポキ
シ樹脂に溶解して均一相となり、活性の高い状態にな
る。
【0041】粒子状の潜在性硬化剤としては、ジシアン
ジアミドが好ましく用いられるが、単独では硬化温度が
高いため、特にこれと粒子状の潜在性硬化助剤を組み合
わせて用いることが好ましく採用される。該ジシアンジ
アミドと好適に組み合わせることができる粒子状の硬化
助剤としては、アリール基で置換された尿素誘導体が好
ましく用いられ、特に置換基の位置が、1位がアリール
基で置換され、3位が2個のアルキル基で置換された尿
素誘導体が好ましく用いられる。かかる1位がアリール
基で置換された尿素誘導体の具体例としては、たとえば
1−(3,4−ジクロロフェニル)−3,3−ジメチル
尿素、1−(4−クロロフェニル)−3,3−ジメチル
尿素、1,1−ジメチル−3−フェニル尿素、1−
(3,4−ジメチルフェニル)−3,3−ジメチル尿
素、1−(3,4−ジメチルフェニル)−3,3−ジメ
チル尿素、1−(2−ヒドロキシフェニル)−3,3−
ジメチル尿素、2,4−ビス(N,N−ジメチルウレイ
ド)−トルエンが好ましく用いられる。
【0042】また、粒子状の潜在性硬化剤としては、固
体のイミダゾール誘導体、例えば、2−メチルイミダゾ
ール、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−
メチルイミダゾール、1−(2−シアノエチル)−2−
フェニルイミダゾールなど、またはイミダゾール誘導体
にグリシジル化合物を付加させたものや、イミダゾール
誘導体とトリメリット酸、イソシアヌル酸などの有機酸
との塩も用いることができる。
【0043】さらに、これらイミダゾール誘導体は、潜
在性硬化助剤として硬化剤としてのジシアンジアミドと
組み合わせても好適に用いることができる。
【0044】粒子状の潜在性硬化剤としては、固体の有
機酸ヒドラジド類を好ましく用いることができる。好ま
しく用いられる固体の有機酸ヒドラジド類の例として
は、アジピン酸ジヒドラジド、2,6−ナフタレンジカ
ルボン酸ジヒドラジド、イソフタル酸ジヒドラジド、
1,3−ビス(ヒドラジノカルボエチル)−5−イソプ
ロピルヒダントイン、7,11−オクタデカジエン−
1,18−ジカルボヒドラジド、エイコサン二酸ジヒド
ラジドなどが好ましく用いられる。
【0045】粒子状の潜在性硬化剤としては、固体の芳
香族ポリアミン類を好ましく用いることができる。好ま
しく用いられる固体の芳香族ポリアミン類としては3,
3’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミ
ノジフェニルスルホンなどが挙げられる。
【0046】さらに、硬化剤や硬化助剤を樹脂と混合し
て粒子化したものや、別の物質で被覆してマイクロカプ
セル化したもの、粘度鉱物などの無機粒子に吸着させた
ものも、潜在性の硬化剤や硬化助剤として好適に用いる
ことができる。
【0047】また、熱活性型潜在性硬化剤もしくは硬化
助剤としては、熱による化学反応で活性成分を発生させ
るタイプのものを用いることもできる。この場合は、エ
ポキシ樹脂に溶解してもかまわない。このようなタイプ
の潜在性硬化剤、硬化助剤の例としては、イミダゾール
と遷移金属の錯体や、アミンイミド類などを挙げること
ができる。
【0048】潜在性硬化助剤と単独では反応性の低い硬
化剤を組み合わせる場合は、硬化剤は粒子でも、エポキ
シ樹脂に均一に溶解したものでもよい。そのような組合
せの例としては、硬化剤として酸無水物、ポリフェノー
ル、ポリメルカプタンのいずれかと、硬化助剤として、
3級アミンや、3級アミンの塩、例えばトリス(ジメチ
ルアミノメチル)フェノールのトリス−エチルヘキシル
酸塩を用いる場合が挙げられる。
【0049】一般に、熱硬化性樹脂の硬化反応は、加
熱、光照射、電子線照射などの処理により進行させるこ
とができる。
【0050】繊維強化複合材料用樹脂組成物の必須成分
である、熱硬化性樹脂(A)の硬化反応を実質的に進行
させることなしに架橋させることが可能な官能基を有す
る化合物(B1)とは、熱硬化性樹脂(A)と異なる反
応機構で反応が進行するなどの要因から、何らかの処理
方法において、熱硬化性樹脂(A)を実質的に反応させ
ずに架橋反応を進行させることが可能な条件を見出し得
る官能基を有する化合物である。
【0051】例えば(A)成分が、エポキシ樹脂などの
イオン的機構で硬化するものの場合、(B1)成分とし
てはラジカル的機構で架橋させることが可能な官能基を
有するものを好適に用いることができる。その場合、樹
脂に対して光照射や電子線照射を行えば、エポキシ樹脂
の硬化反応を進行させずにB1成分のラジカル重合反応
のみを進行させることが可能である。また、エポキシ樹
脂の硬化反応とラジカル重合反応とを比較すると、ラジ
カル重合反応の反応速度の方がはるかに大きいため、エ
ポキシ樹脂の硬化剤として潜在性のものを使用し、適切
な反応性のラジカル重合開始剤を選択して樹脂に配合す
れば、エポキシ樹脂の硬化反応を進行させずに(B1)
成分のラジカル重合反応のみを進行させるような熱処理
の条件を見出すことも可能である。
【0052】また逆に、(A)成分としてラジカル重合
性のものを、(B1)成分としてエポキシ樹脂などのイ
オン的機構で架橋するものを用いることもできる。
【0053】特に、(A)成分としてイオン的機構で硬
化反応を行うものを、(B1)成分としてラジカル的機
構で架橋させることが可能な官能基を有する化合物を用
いるのが、強化繊維に含浸させた樹脂組成物中で(B
1)成分の架橋反応を進行させる工程(工程2)を
(A)成分の硬化反応を実質的に進行させずに行うこと
が可能な条件を見出すことが容易となるため、また、工
程2に要する時間を短くすることができるため好まし
い。ここで、ラジカル的機構で架橋させることが可能な
官能基を有する化合物とは、ラジカル重合性の不飽和結
合、すなわち2重結合あるいは3重結合を分子内に含む
低分子化合物あるいは高分子化合物である。
【0054】(B1)成分としては、1種の化合物を単
独で用いても、複数種の化合物を混合して用いても良い
が、下記の条件(1)及び(2)を必須条件として同時
に満たす必要がある。すなわち、 (1)熱硬化性樹脂(A)の硬化反応を実質的に進行さ
せることなしに、平均して2個を超える(B1)成分中
の他の分子と反応して結合し得る。
【0055】(2)熱硬化性樹脂(A)の硬化反応を実
質的に進行させることなしに(B1)成分中の他の分子
との間に化学結合を生成し得る同一分子中の2個の原子
を、最小の原子数でつなぐ分子鎖を構成する原子の個数
をα、それらのうち10員環以内の環状構造を構成する
原子の個数をβとするとき、下記の(式1)および(式
2)を同時に満たす。
【0056】(式1) α>14 (式2) β/α<0.3 上記条件(1)を満たすことにより、(B1)成分が架
橋して得られる重合体に3次元網目構造をもたせること
が可能となる。具体的には、熱硬化性樹脂(A)の硬化
反応を実質的に進行させることなしに架橋させることが
可能な官能基がラジカル重合性の不飽和結合である場合
には、1分子中に平均して1個を超える該不飽和結合を
有することにより満たされる。なおこの場合、1分子中
に平均して1.5個以上の不飽和結合を有することが望
ましい。
【0057】上記条件(2)は、B1成分が架橋して得
られる重合体において、架橋点間の分子鎖に適度な柔軟
性を付与するための条件である。ここで、条件(2)に
ついて、下記の(化学式1)を例として以下に詳しく説
明する。
【0058】
【化8】 (式中nは1以上の整数、R1は水素またはメチル基を
表す。) 条件(2)に記載の、熱硬化性樹脂(A)の硬化反応を
実質的に進行させることなしに(B1)成分中の他の分
子との間に化学結合を生成し得る原子をXとすると、
(化学式1)の場合Xとは、ラジカル付加反応により他
の分子と結合を生成し得るC1,C2,C13,C14
の4個の原子のことである。
【0059】そして、同一分子中の2個のXを最小の原
子数でつなぐ分子鎖を構成する原子をYとすると、Yと
は、同一分子中の2個のX、例えばC2とC13の2個
については、C2に隣接する原子から出発してC13に
隣接する原子まで、同一の原子を2回以上数えることな
く化学結合に沿って数えられる原子のことであり、この
場合C3,O1,C4,C5,O2,C6,C7,C
8,C9,O3,C10,C11,O4,C12の各原
子のことである。最小の原子数とするため、C4やC5
などに結合する水素原子や、ベンゼン環を構成する炭素
原子のうちC7とC8以外の原子のようなものは数えな
い。そして、Yのうち10員環以内の環状構造を構成し
ている原子はC7とC8であり、その個数をβとする。
なお、(化学式1)のように、Xが同一分子中に3個以
上存在する場合は、Yのなかに別のXが含まれず、かつ
Yの数(α)が最大となるような2個のXを選び、それ
が(式1)および(式2)を満たせばよいこととする。
もしそのような2個のXの選び方が2通り以上存在する
場合は、そのうちβが最小となるものを選ぶ。従って、
(化学式1)の場合はC2とC13の2個のXについて
(式1)および(式2)を満たせばよい。
【0060】(化学式1)について実際に計算すると、
αはn=1で14、n=2で22だから、n≧2で条件
(2)に記載の(式1)を満たす。また、βはn=2の
場合4でβ/α=0.18となって(式2)を満たし、
同様にn≧3の場合は常に(式2)を満たすので、(化
学式1)で表される化合物は、n≧2ならば(B1)成
分に該当するといえる。
【0061】(B1)成分に該当するものとしては、末
端、側鎖、主鎖に架橋反応が可能な官能基をもち、その
分子鎖が主に直鎖状のポリアルキレン、ポリオキシアル
キレン、ポリオルガノシロキサン等の柔軟な骨格からな
る高分子、あるいはオリゴマーなどがある。具体的に
は、例えばラジカル重合によって架橋するものとして
は、下記に示す(化学式2)〜(化学式4)で表される
化合物などがが使用される。
【0062】
【化9】 (式中nは0以上の整数、R1は水素またはメチル基、
R2、R3は2価の有機基を表す。)
【化10】 (式中nは1以上の整数、R2は2価の有機基を表
す。)
【化11】 (式中R4は2価の有機基を表す。) (化学式2)で示されるウレタンアクリレートの一般的
な合成法としては、イソシアネート基を末端に有するウ
レタンプレポリマーと、イソシアネート基と反応する官
能基を有するアクリレート類との反応により得る方法が
あげられる。イソシアネート基を末端に有するウレタン
プレポリマーは、ポリイソシアネート類とポリオール類
との反応により得ることができるが、該プレポリマーの
原料として用いることができるポリイソシアネート類と
しては、例えば2,4−トリレンジイソシアネート、
2,6−トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタン
ジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネー
ト、トリジンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソ
シアネート、イソホロンジイソシアネート、p−フェニ
レンジイソシアネート、トランスシクロヘキサン−1,
4−ジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、
水添キシリレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメ
タンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、リジ
ンエステルトリイソシアネート、1,6,11−ウンデ
カントリイソシアネート、1,8−ジイソシアネート−
4−イソシアネートメチルオクタン、1,3,6−ヘキ
サメチレントリイソシアネート、ビシクロヘプタントリ
イソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシア
ネートなどがあげられ、同じくポリオール類としてはポ
リエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリ
カーボネートジオール、ポリブタジエンポリオール、ア
クリルポリオール、けん化EVA(エチレン酢酸ビニル
コポリマー)などがあげられる。
【0063】また、ウレタンアクリレートを合成するた
めに用いられる、イソシアネート基と反応する官能基を
有するアクリレート類およびメタクリレート類の例とし
ては、ヒドロキシメチルアクリレートまたはメタクリレ
ート、2−ヒドロキシエチルアクリレートまたはメタク
リレート、2−ヒドロキシエチルヘキシルメタクリレー
トなどのようなヒドロキシアルキルアクリレートおよび
メタクリレート類があげられる。
【0064】(化学式3)で示されるアクリレートエス
テルまたはメタクリレートエステルとしては、ポリエー
テルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボ
ネートジオールなどのポリオール類の水酸基を、アクリ
ル酸またはメタクリル酸によりエステル化して得られる
化合物を好適に用いることができる。
【0065】(化学式4)で示されるエポキシアクリレ
ートとしては、ポリオール類の水酸基をグリシジル化し
たグリシジルエーテル類や、エポキシ変性シリコーンな
どのエポキシ基に、アクリル酸またはメタクリル酸を付
加させて得られるものを好適に用いることができる。
【0066】(化学式2)〜(化学式4)で示される化
合物の例としては、上述の(化学式1)で示される化合
物の他に、下記(化学式5)〜(化学式7)で示される
化合物が挙げられる。
【0067】
【化12】 (式中nは4以上の整数、R1は水素またはメチル基を
表す。)
【化13】 (式中nは2以上の整数、R1は水素またはメチル基を
表す。)
【化14】 (式中nは1以上の整数、R1は水素またはメチル基を
表す。)
【表1】 表1に示すように、(化学式5)〜(化学式7)で表さ
れる化合物は、(式1)および(式2)を同時に満た
す。
【0068】プリプレグのタック性やドレープ性は、主
にマトリックス樹脂の粘弾性に依存するが、特に、マト
リックス樹脂の複素粘性率および貯蔵弾性率が重要であ
る。マトリックス樹脂の複素粘性率が大きくなるとプリ
プレグのドレープ性は低下し、マトリックス樹脂の貯蔵
弾性率が大きくなるとタック性が大きくなる傾向が一般
的に認められる。
【0069】(B1)成分が、上記条件(1)および
(2)を同時に満たすことにより、(B1)成分の架橋
反応により生成する重合体を、柔軟性をもった骨格をも
つ分子鎖が部分的に架橋した、加硫ゴムに近いような高
分子構造のものを該マトリックス樹脂中に生成させるこ
とができる。その結果、タック性と相関する貯蔵弾性率
は増加させながら、ドレープ性を低下させる複素粘性率
の増加は少なくすることが可能となり、このような樹脂
組成物を用いると、ドレープ性はあまり犠牲にせずプリ
プレグのタック性の向上が実現できたものである。
【0070】かかる効果は、さらに上述の(B1)成分
に加えて下記(B2)成分を含ませることによって、さ
らに好適に達成される。すなわち、繊維強化複合材料用
樹脂組成物中に、熱硬化性樹脂(A)を硬化させずに、
架橋反応が可能な官能基を2個以上有しかつ下記の(式
3)および(式4)を満たす成分(B2)を含むことが
できる。
【0071】(式3) α>0 (式4) β/α≧0.3 この(B2)成分は、芳香環などの、分子鎖を構成する
化学結合の回転運動が著しく制限された部分構造を多く
有する剛直骨格成分である。ラジカル重合性の不飽和結
合を有する(B2)成分の例としては、下記の(化学式
8)〜(化学式11)のようなものがあげられる。
【0072】
【化15】 (式中R5は2価の有機基を表す。)
【化16】 (式中nは1以上の整数、R6は2価の有機基を表
す。)
【化17】 (式中R7は2価の有機基を表す。)
【化18】 (化学式8)で示されるビスマレイミド類としては、ジ
アミノジフェニルメタンなどのジアミン類のアミノ基を
マレイミド化したものなどを好適に用いることができ
る。
【0073】(化学式9)で示されるアクリレートエス
テルまたはメタクリレートエステルとしては、ポリエス
テルポリオール、ポリカーボネートジオールなどのポリ
オール類の水酸基を、アクリル酸またはメタクリル酸に
よりエステル化して得られる化合物を好適に用いること
ができる。
【0074】(化学式10)で示されるエポキシアクリ
レートとしては、分子内にエポキシ基を複数有する化合
物、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフ
ェノールF型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹
脂、ノボラック型エポキシ樹脂、テトラグリシジルジア
ミノジフェニルメタン、トリグリシジルアミノフェノー
ル、テトラグリシジルキシレンジアミンのようなグリシ
ジルアミン型エポキシ樹脂等、テトラキス(グリシジル
オキシフェニル)エタンやトリス(グリシジルオキシ)
メタンのようなグリシジルエーテル型エポキシ樹脂など
のエポキシ基に対して、アクリル酸またはメタクリル酸
を付加させたものを好適に用いることができる。
【0075】上述の(化学式9)〜(化学式11)で示
される化合物の例としては、下記(化学式12)〜(化
学式14)のようなものがあげられ、(表1)に示すよ
うに、これらは(式3)および(式4)を同時に満たす
ものである。
【0076】
【化19】
【化20】
【化21】 (式中R1は水素またはメチル基を表す。) かかる(B2)成分を含むことにより、(B1)成分が
架橋して生成する重合体中に、部分的に剛直な骨格が導
入される。その結果、貯蔵弾性率の増加をさらに大きく
することができてプリプレグのタック性が向上されるの
である。
【0077】かかる(B1)成分および(B2)成分
は、プリプレグのタック性とドレープ性、加熱成形後の
物性等を考慮して配合されるが、その配合量は、(A)
成分100重量部に対して好ましくは1〜50重量部、
さらに好ましくは1〜20重量部とするのが、上述効果
の上からよい。また、(B1)成分と(B2)成分とを
併用する場合、(B1)成分に対する(B2)成分の比
率が多くなると、プリプレグのタック性やドレープ性が
低下してしまう傾向があるため、配合する(B1)成分
と(B2)成分との重量比は、10:5〜10:0.1
とするのが好ましい。 本発明の繊維強化複合材料用樹
脂組成物には、(A)、(B1)、(B2)以外にも以
下に述べるような成分を配合することができる。繊維強
化複合材料用樹脂組成物中には、(B1)およびまたは
(B2)成分と架橋させることが可能な官能基ととも
に、(A)成分と反応しうる部分構造を有する低分子ま
たは高分子化合物を用いることもできる。(A)成分が
エポキシ樹脂などのイオン的機構で硬化するものの場合
には、ラジカル重合性の不飽和結合とともに、エポキシ
基、カルボキシル基、水酸基、アルコキシメチル基、第
1または第2アミン、アミド、1,2−ジカルボン酸無
水物構造、窒素含有複素環などの、(A)成分と反応し
得る部分構造を有するものを用いることができる。
【0078】例として、ビスフェノールAジグリシジル
エーテルアクリル酸部分付加物(昭和高分子製リポキシ
SP−1509H1)、2−アクリロイルオキシエチル
水素フタレート(大阪有機化学工業製ビスコート#20
00)、2−アクリロイルオキシプロピル水素フタレー
ト(大阪有機化学工業製ビスコート#2100)、2−
メタクリロイルオキシエチル水素フタレート(共栄社化
学製ライトエステルHO−MP)、4−ヒドロキシブチ
ルアクリレート、2−アクリロイルオキシエチル2−ヒ
ドロキシプロピルフタレート(大阪有機化学工業製ビス
コート#2311HP)、ビス(2−アクリロイルオキ
シエチル)2−ヒドロキシエチルシアヌレート(東亜合
成化学工業製アロニックスM−215)、無水マレイン
酸、無水ナジック酸などを挙げることができる。これら
の成分の配合は、繊維強化複合材料用樹脂組成物の最終
的な硬化物中で(A)成分の重合体と(B1)、(B
2)成分との間に化学結合を形成し、モルフォロジーや
物性を改良する効果をもつ。(A)成分およびまたは
(B1)成分がラジカル的機構で架橋反応が進行するも
のである場合には、加熱または光照射によりラジカルを
発生する重合開始剤を加えることができる。特に、強化
繊維として炭素繊維などの紫外線に対して実質的に不透
明な繊維を使用する場合には、加熱によりラジカルを発
生する重合開始剤を用いることが好ましく、具体的に
は、アゾ化合物、有機過酸化物などを用いることができ
る。アゾ化合物としては、2,2’−アゾビスイソブチ
ロニトリル、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1
−カルボニトリル)などを例示することができる。
【0079】有機過酸化物としては、1,1−ビス(t
−ブチルペルオキシ)−2,2,5−トリメチルシクロ
ヘキサン(日本油脂社製パーヘキサ3M−95)、1,
1−ビス(t−ブチルペルオキシ)シクロドデカン(日
本油脂社製パーヘキサCD)、1,1,3,3−テトラ
メチルヒドロペルオキシド(日本油脂社製パーオクタ
H)、1,1−ジメチルブチルペルオキシド(日本油脂
社製パーヘキシルH)、ビス(1−t−ブチルペルオキ
シ−1−メチルエチル)ベンゼン(日本油脂社製パーブ
チルP)、ジクミルペルオキシド(日本油脂社製パーク
ミルD)、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチ
ルペルオキシ)ヘキサン(日本油脂社製パーヘキサ25
B)、t−ブチルクミルペルオキシド(日本油脂社製パ
ーブチルC)、ジ−t−ブチルペルオキシド(日本油脂
社製パーブチルD)、2,5−ジメチル−2,5−ビス
(t−ブチルペルオキシ)ヘキシン(日本油脂社製パー
ヘキシン25B)、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイ
ル(日本油脂社製パーロイルL)、過酸化デカノイル
(三建化工社製サンペロックス−DPO)、ジシクロヘ
キシルペルオキシジカーボネート(三建化工社製サンペ
ロックス−CD)、ビス(4−t−ブチルシクロヘキシ
ル)ペルオキシジカーボネート(日本油脂社製パーロイ
ルTCP)、t−ブチル2−エチルペルヘキサノエート
(日本油脂社製パーブチルO)、(1,1−ジメチルプ
ロピル)2−エチルペルヘキサノエート(化薬アクゾ社
製トリゴノックス121)、(1,1−ジメチルブチ
ル)2−エチルペルヘキサノエート(化薬アクゾ社製カ
ヤエステルHO)、t−ブチル3,5,5−トリメチル
ペルヘキサノエート(日本油脂社製パーブチル35
5)、t−ヘキシルパーオキシイソプロピルモノカーボ
ネート(日本油脂社製パーヘキシルI)、t−ブチルパ
ーオキシイソプロピルモノカーボネート(日本油脂社製
パーブチルI)、t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキ
シルモノカーボネート(日本油脂社製パーブチルE)、
過マレイン酸t−ブチル(日本油脂社製パーブチルM
A)、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ
−2−エチルヘキサノエート(日本油脂社製パーオクタ
O)、過ラウリン酸t−ブチル(日本油脂社製パーブチ
ルL)、過安息香酸t−ブチル(日本油脂社製パーブチ
ルZ)などを例示することができる。これらのラジカル
重合開始剤は単独でも、複数混合して用いてもよい。
【0080】加熱によりラジカルを発生する重合開始剤
の反応性を制御するために、繊維強化複合材料用樹脂組
成物に重合禁止剤や促進剤を加えることができる。
【0081】重合禁止剤としては、2,6−ジ−t−ブ
チル−p−クレゾール、2,2’−メチレンビス(4−
メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチ
レンビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、
4,4’−チオビス(2−メチル−6−t−ブチルフェ
ノール)、ヒドロキノン、2−t−ブチルヒドロキノ
ン、2,5−ジ−t−ブチルヒドロキノン、p−ベンゾ
キノン、2−エチルアントラキノン、ジラウリルチオジ
プロピオネート、クペロンなどを例示することができ
る。
【0082】促進剤としては、遷移金属の塩、例えばナ
フテン酸コバルトなどを用いることができる。繊維強化
複合材料用樹脂組成物には、熱可塑性樹脂、エラストマ
ー、熱可塑性エラストマーなどの高分子化合物を加える
ことができる。これらの高分子化合物の添加には、エポ
キシ樹脂組成物の粘度調整、プリプレグのタック性調
整、硬化物の靱性向上、強化繊維との接着性向上などの
効果がある。
【0083】熱可塑性樹脂としては、特に限定されない
が、繊維強化複合材料用樹脂組成物の他の成分に溶解が
容易なものが好ましく用いられる。また、該樹脂組成物
の他の成分に不溶の熱可塑性樹脂であっても、微粒子化
したものであれば、好ましく配合することができる。具
体的には、アクリル樹脂、ポリビニルアセタール、フェ
ノキシ樹脂、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリア
リーレンオキシド、ポリスルホン、ポリアミド、ポリイ
ミドが好ましく用いられる。
【0084】アクリル樹脂はアクリル酸エステルまたは
メタクリル酸エステルの重合体で、代表的なものは、ポ
リメタクリル酸メチルである。市販品としては、“デル
ペット”(旭化成工業社製)、“アクリペット”(三菱
レイヨン社製)などがある。ポリビニルアセタールはポ
リビニルアルコールをホルムアルデヒドやアセトアルデ
ヒドなどのカルボニル化合物でアセタール化した樹脂
で、ポリビニルホルマール、ポリビニルアセタールが挙
げられる。市販品には、“デンカブチラール”および
“デンカホルマール”(電気化学工業株式会社製)、
“ビニレック”(チッソ株式会社製)などがある。フェ
ノキシ樹脂はビスフェノールAとエポクロロヒドリンを
縮合させて得られる樹脂で、市販品には“UCAR”P
KHP(ユニオンカーバイド社製)などがある。ポリエ
ステルは、主鎖にカルボン酸エステル結合を有するポリ
マーである。市販品には“バイロン”(東洋紡社製)な
どが挙げられる。ポリカーボネートは、主鎖に炭酸エス
テル結合を有するポリマーで、ビスフェノールAカーボ
ネートが代表的である。市販品には、“パンライト”
(帝人化成社製)などがある。
【0085】ポリアリーレンオキシドは、方向族二価基
と酸素原子が交互に配列した主鎖構造を有する樹脂であ
る。市販品には、“ノリル”(ジェネラル・エレクトリ
ック社製)などがある。ポリスルホンは主鎖にスルホニ
ル基を有する樹脂である。他にエーテル結合などを主鎖
に有する場合が多い。市販品には“Victrex”
(三井東圧化学株式会社製)、“UDEL”(ユニオン
・カーバイド社製)がある。ポリアミドは、主鎖にカル
ボン酸アミド構造を有する樹脂である。市販品には、
“マクロメルト”(ヘンケル白水株式会社製)、“アミ
ラン”CM4000(東レ株式会社製)がある。ポリイ
ミドは、主鎖にジカルボン酸イミド構造を有する樹脂で
ある。他にエーテル結合やアミド結合を有する場合もあ
る。市販品には“ウルテム”(ジェネラル・エレクトリ
ック社製)、“Matrimid”5218などがあ
る。
【0086】これらのうち、ポリスルホン、ポリアリー
レンオキシド、ポリイミドは、耐熱性と靱性をともに要
求される用途に適する。ポリスルホン、ポリビニルホル
マールは炭素繊維との接着性を向上させる効果があり、
層間剪断強度、圧縮強度、曲げ強度などの向上が得られ
る。
【0087】エラストマーとしては、アクリロニトリル
とブタジエンを原料とする共重合体が溶解性に優れるた
め好ましく用いられる。特に、カルボキシル基、アミノ
基、エポキシ基など熱硬化性樹脂プレポリマーまたはそ
の硬化剤と反応しうる官能基を有するものを用いると、
硬化物の靱性向上効果が大きいため、特に好ましい。ま
た繊維強化複合材料用樹脂組成物の他の成分に不溶のエ
ラストマー相を含有する粒子も好ましく用いることがで
きる。架橋したエラストマー粒子そのものを用いること
もできるが、特にエポキシ樹脂不溶のエラストマー粒子
の表面を非エラストマー成分で被覆したコアシェル型エ
ラストマー粒子を特に好ましく用いることができる。こ
の場合被覆する成分はポリメタクリル酸メチルのように
溶解、あるいは膨潤するものが、粒子のエポキシ樹脂中
への分散が良好になるため好ましい。不溶性のエラスト
マー相を含有する粒子を用いた場合は、樹脂硬化物の耐
熱性が通常のエラストマーより優れるという利点があ
る。
【0088】これらのエラストマーの添加には、靱性の
向上効果がある。特に粒径が0.1〜0.3μm程度の
微細なコアシェル型エラストマー粒子を配合した場合、
靱性の向上効果が著しい。
【0089】熱可塑性エラストマーとしては、繊維強化
複合材料用樹脂組成物の他の成分に溶解が容易なものが
好ましく用いられる。具体的には、ソフトセグメントと
してポリエーテル構造、ハードセグメントとして、芳香
族ポリエステルまたは、脂肪族ポリアミド構造をもつブ
ロック共重合体が好ましい。市販のポリエステル系熱可
塑性エラストマーとしては、東レ・デュポン社“ハイト
レル”、東洋紡績社“ペルプレン”、アクゾ社“ARN
ITEL”、ジェネラル・エレクトリックス社“LOM
OND”を、市販のポリアミド系熱可塑性エラストマー
としては、ヒュルス社“VESTAMID”、ATOC
HEM社“PEBAX”、EMS社“グリラックス
A”、三菱化成“NOVAMID”などを挙げることが
できる。これらの熱可塑性エラストマーの添加には、硬
化物の靱性向上などの効果がある。また、通常のエラス
トマーを添加した場合より、硬化物の耐熱性が優れる。
【0090】繊維強化複合材料用樹脂組成物には、さら
にシリカ、アルミナ、酸化チタン、ジルコニア、粘度鉱
物、タルク、雲母、フェライトなどの無機粒子を配合す
ることができる。これらの添加には、未硬化樹脂組成物
に揺変性を付与する効果、樹脂硬化物の弾性率、耐熱性
を向上させる効果、耐摩耗性を向上させる効果がある。
また、金属、カーボンブラック、酸化銅、酸化スズなど
の粒子を導電性向上のために配合することもできる。
【0091】強化繊維としては、ガラス繊維、炭素繊
維、アラミド繊維、ボロン繊維が挙げられる。特に優れ
た機械物性を得るためには、炭素繊維、アラミド繊維、
ボロン繊維が好ましく用いられる。強化繊維は、その体
積含有率を高めることができるため、長繊維であること
が好ましい。強化繊維の長繊維は、1本のストランド、
複数のストランドを束ねたもの、複数のストランドを平
行に配列しシート状にしたもの、織物、ニット、組紐な
どの形態で用いられる。
【0092】本発明のプリプレグの製造方法は、繊維強
化複合材料用樹脂組成物を、強化繊維に含浸する工程
(工程1)および強化繊維に含浸させた該樹脂組成物中
で(B1)成分、または(B1)成分および(B2)成
分の架橋反応を進行させる工程(工程2)を含むもので
ある。かかる製造方法に使用する製造装置の一例として
図1のものを使用することができるが、これに限定され
るものではない。
【0093】繊維強化複合材料用樹脂組成物を、強化繊
維に含浸する工程(工程1)は、いくつかの方法で行う
ことが可能である。強化繊維に該樹脂組成物で満たした
浸漬槽を通過させる方法、ロールに付着させた該樹脂組
成物と強化繊維を接触させるリバースロール法やキスロ
ール法、口金から一定速度で該樹脂組成物を吐出し、強
化繊維に付着させる方法、強化繊維に一定速度で該樹脂
組成物が供給される口金を通過させる方法、該樹脂組成
物を塗布した離型紙2枚、または該樹脂組成物を塗布し
た離型紙と塗布しない離型紙で強化繊維を上下からはさ
み、圧力を加えて含浸させる方法などを例示することが
できる。
【0094】含浸工程の温度は、該樹脂組成物の粘度が
0.1〜100ポイズ程度と十分低ければ室温でもよい
が、(A)成分および(B1)、(B2)成分の反応が
実質的に起こらない温度、例えば40〜180℃程度に
加温しても良い。また、(B1)、(B2)成分につい
ては逆に、含浸工程に要する温度、時間では安定である
ような反応性のものを選択して使用することができる。
【0095】強化繊維に含浸させた該樹脂組成物中で
(B1)成分、または(B1)成分および(B2)成分
の架橋反応を進行させる工程(工程2)は、該樹脂組成
物中に高分子量成分を生成させて樹脂の粘度を高め、プ
リプレグに適切なタック性を付与するために行われる。
【0096】工程2を行うために好適に用いることがで
きる手段としては、加熱、光照射、電子線照射、超音波
処理、通電、(A)成分の反応は促進せずに(B1)、
(B2)成分の反応のみを促進するような物質との接
触、(B1)、(B2)成分の反応を阻害する物質の排
除などがあげられる。そのなかでも、加熱、光照射、電
子線照射が処理方法として特に好ましい。
【0097】(B1)成分がラジカル的機構で架橋する
場合には、工程2において、一旦ラジカルが発生すれ
ば、工程2を通過した後も(B1)成分の重合反応は進
行するため、工程2は極めて短時間で行うことができ
る。また、(B1)成分は該樹脂組成物の粘度が十分増
大すれば、完全に反応して消費される必要はない。
【0098】工程2においては、(B1)および(B
2)成分を反応させるが、(A)成分を実質的に反応さ
せないことが、プリプレグの可使時間を長くすることが
できるため好ましい。
【0099】工程2を熱処理によって行う場合、(A)
成分を実質的に反応させない熱処理条件を見いだすため
には、示差走査熱量分析(DSC)を用いることができ
る。工程2が一定温度の熱履歴を一定時間かける場合
は、工程2で使用する温度で該樹脂組成物の等温分析を
行い、(A)成分の発熱開始の始まる時間より短い熱処
理時間を用いればよい。工程2の熱処理が昇温過程を含
むばあいは、DSCにおいて同様の昇温を行い発熱のな
いことを確認すればよい。
【0100】(B1)成分が反応することを確認するた
めにも、同様にDSCを用いることができる。工程2に
相当する熱履歴で樹脂組成物のDSC測定を行い、(B
1)成分の重合による発熱の開始が確認されればよい。
発熱の開始が確認できれば、その熱履歴の範囲内で完全
に(B1)成分の重合の反応が終了する必要はない。あ
るいは該樹脂組成物の粘度の増大により(B1)成分の
反応の確認を行うこともできる。この方法は、該樹脂組
成物に加熱プレス機などを用いて工程2に相当する熱履
歴を与え、しばらく放置した後の特定温度の粘度を測定
し、熱処理なしの樹脂組成物の粘度と比較することによ
り行う。粘度の値としては、回転粘度計で求めた粘度も
しくは動的粘弾性測定装置で求めた複素粘性率を用いる
ことができる。粘度の増大効果は、使用目的に応じた特
定温度で2倍以上であることが好ましい。
【0101】工程2を熱処理によって行う場合そのの手
段としては、熱風オーブン、赤外線ヒーター、熱ロー
ル、熱板などを用いることができる。これらの手段は複
数組合わせて使用することができる。
【0102】工程2は、工程1で作製したプリプレグを
一旦巻き取って別の装置で行うこともできるが、工程1
と同一ラインで行うことが生産性が高くなるため好まし
い。工程1と工程2を同一ラインで行う場合、工程2に
要する時間、複数の手段を用いる場合はそれらの時間の
合計、は短い方が好ましい。工程2に要する時間が長い
と、工程1と工程2を同一ラインで行う場合、ライン速
度を遅くするか、工程2のための長大な処理ゾーンを設
置する必要が生じる。工程2に要する時間は具体的には
1分以内が好ましく、30秒以内であればさらに好まし
い。
【0103】工程1と工程2を経て製造された本発明の
プリプレグは、通常の熱硬化性樹脂を用いたプリプレグ
と同様に使用して繊維強化複合材料を得ることができ
る。
【0104】このようにして得られたプリプレグは、マ
トリックス樹脂が、ほぼ未反応の熱硬化性樹脂(A)
と、(B1)、(B2)成分が架橋した重合体からな
り、かつ、該重合体が、熱硬化性樹脂と均一相を形成す
るか、熱硬化性樹脂と分離した連続相として存在したも
のとなる。ラジカル重合性不飽和結合を分子内に複数有
する化合物の(共)重合により架橋した構造を有する重
合体、例えば架橋ゴム粒子などを、プリプレグのマトリ
ックス樹脂中に配合することは、従来より行われてい
る。しかし、架橋した構造を有する重合体は熱硬化性樹
脂に溶解することはできないため、粒子状の形態で添加
することしかできない。したがって、このようなプリプ
レグと本発明のプリプレグとは重合体の存在する形態に
より区別される。 繊維強化複合材料は、所定の形状に
裁断したシート状プリプレグ、テープ状あるいは紐状の
プリプレグを積層後、加熱加圧して得られる。特に管状
物を成形する場合は積層はマンドレルにプリプレグを巻
き付けることにより行われる。加熱加圧する方法は、オ
ートクレーブを用いる方法、真空バッグとヒーターを用
いる方法、ラッピングテープを巻き付けて圧力を付与し
オーブン中で加熱する方法、樹脂チューブにプリプレグ
を巻き付けて金型に入れ、金型を加熱するとともに樹脂
チューブに高圧空気を導入して内側から加圧する方法な
どが用いられる。
【0105】
【実施例】以下、実施例により本発明をより詳細に説明
する。なお、実施例中の粘弾性データ、プリプレグのタ
ック、ドレープ性などの評価方法は次のような条件で行
った。
【0106】A.動的粘弾性 動的粘弾性の測定は、レオメトリックス社製ダイナミッ
クアナライザーRDAII型を使用し、温度50℃、測
定周波数0.5Hzの条件下で複素粘性率η*、貯蔵弾
性率G’を求めた。
【0107】B.プリプレグのタック性 プリプレグ同士を圧着後、引き剥がす力を測定した。こ
の測定法には、負荷応力、速度、時間等多くのパラメー
タが存在する。これらは、プリプレグを使用する状態等
を考慮して適宜決定すれば良い。本実施例におけるタッ
ク性の評価に関しては、測定装置として“インストロ
ン”(登録商標)4201型万能材料試験機(インスト
ロン・ジャパン株式会社製)を使用して、以下の条件で
測定した。 ・環 境 :23.2℃、50±5%RH ・サンプル:50×50mm ・負荷速度:1mm/min. ・接着負荷:0.12MPa ・負荷時間:5±2sec ・剥離速度:10mm/min. C.プリプレグのドレープ性 プリプレグのドレープ性評価は、プリプレグの使用環境
により、その特性を充分把握できる方法をとることが望
ましい。そこで、本実施例におけるドレープ性評価は、
プリプレグの曲げ弾性率測定を行った。曲げ弾性率の測
定方法は、おおむねJIS K7074「繊維強化プラ
スチックの曲げ試験法」に従った。しかし、プリプレグ
は通常かなり薄いため、適宜条件を設定して行う必要が
ある。本実施例における評価法に関しては、測定装置と
して“インストロン”4201型万能材料試験機(イン
ストロン・ジャパン株式会社製)を使用して、以下の条
件で測定した。
【0108】 ・環境 :23.2℃、50±5%RH ・サンプル :85mm(繊維方向)×15mm ・負荷速度 :5mm/min. ・スパン長さ:40mm(L/D=40/0.06) ・圧子径 :4mmφ 得られた曲げ弾性率の逆数をドレープ性の指標として用
いた。
【0109】D.プリプレグのマンドレルへの巻き付け
性 プリプレグのマンドレルへの巻き付け性の評価は以下の
ようにして行った。
【0110】温度23℃、湿度50%RHの雰囲気下で
24時間放置したプリプレグを、直径10mm、長さ1
00mmのSUS製円柱に、強化繊維引き揃え方向が、
円柱長手方向に対して45°の角度になるよう巻き付け
て、15分放置後のプリプレグの巻き付き状況を観察し
た。プリプレグの巻き終わり部分の剥離最大高さに応じ
て以下のように分類し、その剥離長さをS、M、L毎に
足しあわせる。さらに下記式にてマンドレル巻き付け性
指数を算出し、それを巻き付け性の指標とした。 S:
最大剥離高さが2mm未満のもの M:最大剥離高さが2mm以上、4mm未満のもの L:最大剥離高さが4mm以上のもの マンドレル巻き付け性指数=S+2M+4L 実施例1 (1)マトリックス樹脂の調製 (B1)成分として(化学式7)に示されるn=2のウ
レタンアクリレートを使用し、下記原料を混合して樹脂
組成物を調整した。
【0111】 ビスフェノールA型エポキシ樹脂 40重量部 ビスフェノールA型固形エポキシ樹脂 20重量部 フェノールノボラック型エポキシ樹脂 35重量部 ジシアンジアミド 4重量部 DCMU 4重量部 ポリビニルホルマール 7重量部 ウレタンアクリレート 10重量部 1,1,3,3−テトラメチルブチル2−エチルペルヘキサノエート 0.5重量部 この樹脂組成物の粘弾性を測定したところ、複素粘性率
は2.4×102 Pa・s、貯蔵弾性率は1.9×10
2 Paであった。
【0112】この樹脂組成物と厚さ1mmのテフロンス
ペーサーを2枚の離型紙にはさみ、135℃に加熱した
プレス機で10秒間はさんで熱処理した。熱処理後の樹
脂組成物の複素粘性率は8.1×102 Pa・s、貯蔵
弾性率は9.1×102 Paであった。
【0113】(2)プリプレグの作製 上記樹脂組成物を離型紙上に目付40g/m2 になるよ
う塗布する。続いて、図1に示す装置を用いてプリプレ
グを製造する。クリール1からくり出され、コーム2を
通して一方向に引き揃えられ、目付140g/m2 のシ
ート状に炭素繊維101(“トレカ”M40JB(東レ
(株)製)を巻き出しロール3、4から巻き出された離
型紙102、および樹脂組成物を塗布した離型紙103
で挟み、100℃の熱板で予熱して、100℃に加熱し
たニップロール6で加圧して含浸させ(圧力0.1MP
a、ロール直径50mm)、160℃の4枚の熱板7〜
10(合計長1.8m)をラインスピード10m/mi
nで通過させて、離型紙102を巻取ロール11に巻取
った後、表面平滑性の優れたプリプレグ104を巻取ロ
ール12として巻取り、平滑性に優れ、良好なタック
性、ドレープ性を有するプリプレグを得た。
【0114】実施例2 (1)マトリックス樹脂の調整 (B1)成分として(化学式4)に示されるn=2のウ
レタンアクリレート、(B2)成分として(化学式7)
に示されるビスフェノールAジグリシジルエーテルアク
リル酸付加物を使用し、下記原料を混合して樹脂組成物
を調整した。
【0115】 ビスフェノールA型液状エポキシ樹脂 40重量部 ビスフェノールA型固形エポキシ樹脂 20重量部 フェノールノボラック型エポキシ樹脂 35重量部 ジシアンジアミド 4重量部 DCMU 4重量部 ポリビニルホルマール 7重量部 ウレタンアクリレート 10重量部 ビスフェノールAジグリシジルエーテルアクリル酸付加物 1.0重量部 1,1,3,3−テトラメチルブチル2−エチルペルヘキサノエート 0.5重量部 この樹脂組成物の粘弾性を測定したところ、複素粘性率
は2.5×102 Pa・s、貯蔵弾性率は2.0×10
2 Paであった。
【0116】この樹脂組成物と厚さ1mmのテフロンス
ペーサーを2枚の離型紙にはさみ、135℃に加熱した
プレス機で10秒間はさんで熱処理した。熱処理後の樹
脂組成物の複素粘性率は1.1×103 Pa・s、貯蔵
弾性率は1.5×102 Paであった。
【0117】(2)プリプレグの作製 上記樹脂組成物を使用し、実施例1と同様の方法にした
がうことにより、平滑性に優れ、良好なタック、ドレー
プ性を有するプリプレグを得た。
【0118】比較例1 (1)マトリックス樹脂の調製 下記原料を混合して調整した樹脂組成物を調製した。
【0119】 ビスフェノールA型液状エポキシ樹脂 40重量部 ビスフェノールA型固形エポキシ樹脂 20重量部 フェノールノボラック型エポキシ樹脂 35重量部 ジシアンジアミド 4重量部 DCMU 4重量部 ポリビニルホルマール 7重量部 ビスフェノールAジグリシジルエーテルアクリル酸付加物 10重量部 1,1,3,3−テトラメチルブチル2−エチルペルヘキサノエート 0.5重量部 この樹脂組成物の粘弾性を測定したところ、複素粘性率
は2.6×102 Pa・s、貯蔵弾性率は3.1×10
2 Paであった。
【0120】この樹脂組成物と厚さ1mmのテフロンス
ペーサーを2枚の離型紙にはさみ、135℃に加熱した
プレス機で10秒間はさんで熱処理した。熱処理後の樹
脂組成物の複素粘性率は1.6×103 Pa・s、貯蔵
弾性率は2.0×103 Paであった。
【0121】(2)プリプレグの作製 上記樹脂組成物を使用し、実施例1と同様の方法にした
がうことにより、平滑性に優れるものの、タック、ドレ
ープ性に劣るプリプレグを得た。
【0122】比較例2 (1)マトリックス樹脂の調製 下記原料を混合して樹脂組成物を調製した。
【0123】 ビスフェノールA型エポキシ樹脂 40重量部 ビスフェノールA型固形エポキシ樹脂 20重量部 フェノールノボラック型エポキシ樹脂 35重量部 ジシアンジアミド 4重量部 DCMU 4重量部 ポリビニルホルマール 10重量部 この樹脂組成物の粘弾性を測定したところ、複素粘性率
は8.0×102 Pa・s、貯蔵弾性率は8.9×10
2 Paであった。
【0124】(2)プリプレグの作製 上記樹脂組成物を作製し、実施例1と同様の方法にした
がうことによりプリプレグを得た。ただし樹脂粘度が高
いため、樹脂を含浸させる際ニップロール6の圧力をや
や高くする必要があった(0.3MPa、ロール直径5
0mm)。
【0125】
【表2】 *表中;樹脂組成中の数字はすべて重量部 表2に示すように、上述の条件を満たす架橋成分である
(B1)成分を含む複合材料用樹脂組成物を使用して製
造したプリプレグ(実施例1)は、該(B1)成分を含
まない樹脂組成物を使用した場合(比較例1)と比較し
て、明らかに優れたタック性およびドレープ性を示し
た。また、(B1)成分に加えてさらに(B2)成分を
含む繊維強化複合材料用樹脂組成物を用いて製造したプ
リプレグ(実施例2)は、(B1)成分のみの場合(実
施例1)と比較して、さらに強いタック性を示した。
【0126】また、比較例2のように高粘度のマトリッ
クス樹脂を用いて得たプリプレグの場合、含浸時に加え
る圧力を高くしなければならないために、プリプレグを
離型紙から剥がして12時間放置した後のタックが著し
く低下したのに対して、実施例1、2の場合は12時間
放置後もなお良好なタックを有していた。
【0127】さらに、マンドレルへの巻き付け性につい
ても、比較例1および2の場合巻き剥がれが多く取り扱
いに支障を来すのに対して、実施例1および2の場合、
実用上ほとんど問題にならない程度の巻き剥がれしか観
察されなかった。
【0128】
【発明の効果】本発明は、強化繊維への含浸がスムーズ
で、成型時の樹脂フロー性にも優れ、さらにタック性と
ドレープ性のバランスのとれた優れたプリプレグを与え
ることができる繊維強化複合材料用樹脂組成物を提供す
ることができ、また、本発明のプリプレグの製造法によ
ると、タック性とドレープ性のバランスのとれた表面平
滑性のよいプリプレグを生産性よく提供することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この図は、本発明のプリプレグの製造法で使
用する製造装置の一例の概略図である。
【符号の説明】
1 : クリール 2 : コーム 3 : 離型紙の巻出しロール 4 : 樹脂組成物を塗布した離型紙の巻出しロー
ル 5 : 予熱用熱板 6 : ニップロール 7〜10: 加熱用熱板 11 : 離型紙の巻取りロール 12 : プリプレグの巻取ロール
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C08L 75/04 C08L 75/04 // C08F 20/10 C08F 20/10

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 熱硬化性樹脂(A)、前記熱硬化性樹脂
    (A)の硬化反応を実質的に進行させることなしに架橋
    させることが可能な官能基を有し、かつ、下記条件
    (1)および(2)を満たす成分(B1)を必須成分と
    して含むことを特徴とする繊維強化複合材料用樹脂組成
    物。 (1)熱硬化性樹脂(A)の硬化反応を実質的に進行さ
    せることなしに、平均して2個を超える(B1)成分中
    の他の分子と反応して結合し得る。 (2)熱硬化性樹脂(A)の硬化反応を実質的に進行さ
    せることなしに(B1)成分中の他の分子との間に化学
    結合を生成し得る同一分子中の2個の原子を、最小の原
    子数でつなぐ分子鎖を構成する原子の個数をα、それら
    のうち10員環以内の環状構造を構成する原子の個数を
    βとするとき、下記の(式1)および(式2)を同時に
    満たす。 (式1) α>14 (式2) β/α<0.3
  2. 【請求項2】 熱硬化性樹脂(A)の硬化反応を実質的
    に進行させることなしに、(B1)成分と架橋させるこ
    とが可能な官能基を2個以上有し、かつ下記の(式3)
    および(式4)を同時に満たす成分(B2)を含むこと
    を特徴とする請求項1に記載の繊維強化複合材料用樹脂
    組成物。 (式3) α>0 (式4) β/α≧0.3
  3. 【請求項3】 前記(B1)および(B2)成分が、熱
    硬化性樹脂(A)の硬化反応を実質的に進行させること
    なしに架橋させることが可能な官能基として、ラジカル
    重合性の不飽和結合基を有するものであることを特徴と
    する請求項1または2に記載の繊維強化複合材料用樹脂
    組成物。
  4. 【請求項4】 前記(B1)成分が、下記化学式で示さ
    れる化合物から選ばれた少なくとも1種であることを特
    徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の繊維強化
    複合材料用樹脂組成物。 【化1】 (式中nは0以上の整数、R1は水素またはメチル基、
    R2およびR3は2価の有機基を表す。) 【化2】 (式中nは1以上の整数、R1は水素またはメチル基、
    R2は2価の有機基を表す。) 【化3】 (式中R1は水素またはメチル基、R4は2価の有機基
    を表す。)
  5. 【請求項5】 前記(B2)成分が、下記化学式で示さ
    れる化合物から選ばれた少なくとも1種である請求項1
    ないし4のいずれかに記載の繊維強化複合材料用樹脂組
    成物。 【化4】 (式中R5は2価の有機基を表す。) 【化5】 (式中R1は水素またはメチル基、R6は2価の有機基
    を表す。) 【化6】 (式中R1は水素またはメチル基、R7は2価の有機基
    を表す。) 【化7】
  6. 【請求項6】 前記熱硬化性樹脂(A)が、エポキシ樹
    脂と硬化剤からなることを特徴とする請求項1ないし5
    のいずれかに記載の繊維強化複合材料用樹脂組成物。
  7. 【請求項7】 前記熱硬化性樹脂(A)100重量部に
    対して、(B1)成分と(B2)成分の合計量が、1〜
    50重量部であることを特徴とする請求項1ないし6の
    いずれかに記載の繊維強化複合材料用樹脂組成物。
  8. 【請求項8】 請求項1ないし7のいずれかに記載の繊
    維強化複合材料用樹脂組成物を、強化繊維に含浸する工
    程(工程1)、および、強化繊維に含浸された樹脂組成
    物中で、(B1)成分、または(B1)成分および(B
    2)成分の架橋反応を進行させる工程(工程2)を経て
    プリプレグを得ることを特徴とするプリプレグの製造方
    法。
  9. 【請求項9】 前記工程2において、(B1)成分およ
    び(B2)成分の少なくとも一方の架橋反応は進行する
    が、前記熱硬化性樹脂(A)成分は実質的に反応しない
    ことを特徴とする請求項8に記載のプリプレグの製造方
    法。
  10. 【請求項10】 前記工程1と工程2を同一製造ライン
    中で行うことを特徴とする請求項8または9に記載のプ
    リプレグの製造方法。
  11. 【請求項11】 前記工程2において、前記強化繊維に
    含浸された前記樹脂組成物に対して、加熱処理、光照射
    処理および電子線照射処理から選ばれる少なくとも1つ
    の処理を行うことにより、(B1)成分および(B2)
    成分の少なくとも一方の架橋反応を進行させることを特
    徴とする請求項8ないし10のいずれかに記載のプリプ
    レグの製造方法。
  12. 【請求項12】 熱硬化性樹脂(A)および請求項1な
    いし5のいずれかに記載の(B1)および(B2)成分
    の少なくとも一方が架橋して得られる重合体からなるマ
    トリックス樹脂と、強化繊維とからなるプリプレグにお
    いて、前記重合体は、前記熱硬化性樹脂(A)と均一相
    を形成するか、または、前記熱硬化性樹脂(A)と分離
    した連続相として存在することを特徴とするプリプレ
    グ。
JP20769398A 1997-07-29 1998-07-23 繊維強化複合材料用樹脂組成物、プリプレグおよびプリプレグの製造方法 Pending JPH11100515A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP20769398A JPH11100515A (ja) 1997-07-29 1998-07-23 繊維強化複合材料用樹脂組成物、プリプレグおよびプリプレグの製造方法

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP9-203391 1997-07-29
JP20339197 1997-07-29
JP20769398A JPH11100515A (ja) 1997-07-29 1998-07-23 繊維強化複合材料用樹脂組成物、プリプレグおよびプリプレグの製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH11100515A true JPH11100515A (ja) 1999-04-13

Family

ID=26513895

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP20769398A Pending JPH11100515A (ja) 1997-07-29 1998-07-23 繊維強化複合材料用樹脂組成物、プリプレグおよびプリプレグの製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH11100515A (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011190430A (ja) * 2010-02-19 2011-09-29 Mitsubishi Rayon Co Ltd 熱硬化性樹脂組成物及び繊維強化プリプレグ
JP2012107087A (ja) * 2010-11-16 2012-06-07 Jnc Corp 硬化性組成物
WO2014119161A1 (ja) * 2013-02-04 2014-08-07 日東電工株式会社 光半導体用シートおよび光半導体装置
JP2018058924A (ja) * 2016-09-30 2018-04-12 株式会社日本触媒 アクリル系ポリマーの製造方法

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011190430A (ja) * 2010-02-19 2011-09-29 Mitsubishi Rayon Co Ltd 熱硬化性樹脂組成物及び繊維強化プリプレグ
JP2012107087A (ja) * 2010-11-16 2012-06-07 Jnc Corp 硬化性組成物
WO2014119161A1 (ja) * 2013-02-04 2014-08-07 日東電工株式会社 光半導体用シートおよび光半導体装置
JP2018058924A (ja) * 2016-09-30 2018-04-12 株式会社日本触媒 アクリル系ポリマーの製造方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US6515081B2 (en) Composition of epoxy resin, curing agent and reactive compound
KR100623457B1 (ko) 섬유강화 복합재료용 수지 조성물, 프리프레그 및 섬유강화 복합재료
JP2005247879A (ja) 繊維強化複合材料用組成物及びその成形材料
JPWO2018117214A1 (ja) 硬化性樹脂組成物、並びにこれを用いたフィルム、成形品、プリプレグ及び繊維強化プラスチック
JP2016504472A (ja) エポキシ樹脂組成物、プリプレグ、繊維強化プラスチック材料、および繊維強化プラスチック材料の製造方法
JP7238259B2 (ja) プリプレグ
JP3796953B2 (ja) 繊維強化複合材料用樹脂組成物、プリプレグおよび繊維強化複合材料
JP4314845B2 (ja) エポキシ樹脂組成物、プリプレグおよび繊維強化複合材料
JP3669090B2 (ja) プリプレグの製造方法
JP2010229211A (ja) 繊維強化複合材料用プリプレグおよびその成形体
JP2019526650A (ja) エポキシ樹脂組成物、プリプレグ、及び繊維強化プラスチック材料
JP7200732B2 (ja) エポキシ樹脂組成物、プリプレグおよび繊維強化複合材料
US4624885A (en) Low density matrix resins for filament wound chambers comprising chain extended carboxy-terminated polybutadienes
US6046257A (en) Composition for prepreg comprising epoxy resin, polyamide block copolymer and curing agent
JPH02113020A (ja) 硬化性エポキシ樹脂組成物
JPH11100515A (ja) 繊維強化複合材料用樹脂組成物、プリプレグおよびプリプレグの製造方法
JPH1143547A (ja) プリプレグの製造方法
JP7172725B2 (ja) 硬化性樹脂組成物、並びにこれを用いたフィルム、成形品、プリプレグ及び繊維強化プラスチック
JP2003301029A (ja) エポキシ樹脂組成物およびプリプレグ
JP5080759B2 (ja) ラジカル重合性樹脂組成物、プリプレグおよび繊維強化複合材料
JPS60195119A (ja) エポキシ樹脂組成物
JP3539603B2 (ja) プリプレグおよびコンポジット
TW202248275A (zh) 樹脂組成物、預浸體和纖維強化塑膠
JP2004027043A (ja) 繊維強化複合材料用エポキシ樹脂組成物及び繊維強化複合材料
JP2001106879A (ja) エポキシ樹脂組成物、プリプレグ及び繊維強化複合材料