JPH1099969A - 溶接用トーチ - Google Patents

溶接用トーチ

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Publication number
JPH1099969A
JPH1099969A JP27739296A JP27739296A JPH1099969A JP H1099969 A JPH1099969 A JP H1099969A JP 27739296 A JP27739296 A JP 27739296A JP 27739296 A JP27739296 A JP 27739296A JP H1099969 A JPH1099969 A JP H1099969A
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JP
Japan
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power supply
welding
welding wire
tip
insertion hole
Prior art date
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Withdrawn
Application number
JP27739296A
Other languages
English (en)
Inventor
Motoji Hotta
元司 堀田
Hiroyuki Mochizuki
浩行 望月
Shinya Makita
慎也 牧田
Takuma Morishita
琢磨 森下
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Light Metal Co Ltd
Original Assignee
Nippon Light Metal Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 溶接ワイヤに対する給電及び挿通動作の円滑
化を図り、もって給電性及びアーク溶接の性能向上を図
った溶接用トーチを提供すること。 【解決手段】 軸芯に沿って溶接ワイヤ挿通孔3aを備
えた給電チップ3と、この給電チップ3と同軸上に配設
定され当該給電チップ3を着脱自在に保持するトーチ本
体1とを有する。トーチ本体1内には、給電チップ3側
の溶接ワイヤ挿通孔3aに通ずる溶接ワイヤ挿通孔2S
を備えたワイヤ供給チューブ2を装備し、当該溶接ワイ
ヤ挿通孔2Sを給電チップ3の溶接ワイヤ挿通孔3aに
対して幾分偏心した位置に形成する。そして、ワイヤ供
給チューブ2に対して外部操作によりトーチ本体1内で
の上下動を可能にする供給チューブ移送保持機構10を
トーチ本体1に装備したこと。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、溶接用トーチに係
り、特に、自動化もしくは半自動化されたアーク溶接シ
ステムに使用され、溶接ワイヤに対する給電および繰り
出しを行う溶接用トーチに関する。
【0002】
【従来の技術】
〔背景技術〕一般に、ガスシールドアーク溶接にあって
は、従来より、タングステン電極を装備した非溶極式の
ティグ(TIG:Tungsten Inert Gas)溶接と、溶
接ワイヤを溶かしながらアーク溶接する溶極式のマグ
(MAG:Metal Active Gas)溶接,同じく溶極式
のミグ(MIG:MetalInert Gas)溶接が知られて
いる。
【0003】この内、溶極式のミグ溶接とマグ溶接は、
使用するシールドガスによって区別される溶接法であ
り、両者間には本質的な相違はない。このため、この種
の溶極式アーク溶接は、従来よりミグ・マグ溶接法と呼
ばれている。
【0004】図7にミグ・マグ溶接法の一例を示す。こ
の図7におけるミグ・マグ溶接法では、まず、電極とし
て機能する溶接ワイヤ101が、モータ102によって
駆動される送給ローラ103によって給電チップ(溶接
用給電チップ装置)104内を通して母材105に向け
て連続的に送られる。そして、溶接ワイヤ101が、給
電チップ104内を通過する際に溶接機106からの電
流が当該溶接ワイヤ101に通電され、溶接ワイヤ10
1の先端部101Aと母材105との間にアークAc が
発生する。ここで、記号Ga はシールド用ガスの流れを
示す。
【0005】そして、このアークAc が熱源となって溶
接ワイヤ101の先端部101Aと母材105とを溶融
させ、溶けたワイヤ先端が溶滴となって母材105に移
行して溶融池105Aが形成される。この溶融池105
Aが冷却されて溶接金属105Bとなり、継手が完成す
る。
【0006】更に、給電チップ104の外側周囲を取り
囲み所定の間隙をおいて円筒状のノズル部107が装備
され、このノズル部107と給電チップ104とによっ
て溶接トーチ108が構成されている。そして、この給
電チップ104の先端からは、前述した給電チップ10
4と円筒状のノズル部107との間の間隙(空間)を介
してシールド用のガスGa が溶接箇所に向けて噴射さ
れ、これによって、アークAc と溶融池105Aとが周
囲の空気に触れないように遮蔽されるようになってい
る。
【0007】一方、上記従来例にあっては、給電チップ
104における溶接ワイヤ101の繰り出しに際して、
同時に高密度電流を効率良く溶接ワイヤ101に印加し
なければならない。この場合、先端部からあまり離れた
位置に溶接ワイヤ101への通電箇所を設定すると、先
端部以外で溶接ワイヤ101が発熱して溶ける恐れがあ
る。このため、かかる発熱等を回避しつつ高密度電流を
効率良く且つ確実に溶接ワイヤ101に印加するため、
多くの場合、溶接箇所に近い給電チップ104部分で高
密度電流を溶接ワイヤ101に印加するように工夫され
ている。
【0008】ここで、上述した溶接用トーチ部分の従来
例を、更に詳述する。
【0009】〔従来例(1)〕図8にこれを示す。この
図8に示す従来例(1)は、溶接用トーチの基本的構造
を簡略化したものである。この図8において、符号11
1は円筒状の支持体111を示す。この支持体111に
は、環状係合部材111Aを介して円筒状のノズル11
2が着脱自在に装備されている。円筒状の支持体111
の中心軸上には、中心軸上に溶接ワイヤ101を挿通す
るワイヤ挿通孔113aを備えた銅又は銅合金等よりな
るトーチ本体113が装備されている。このトーチ本体
113の図8における下端部は、前述した円筒状のノズ
ル112の内部に突出した構造となっている。そして、
このトーチ本体113の下端部に且つ同軸上に、給電チ
ップ114が着脱自在に螺合されている。
【0010】この給電チップ114の中心軸上にも、前
述したトーチ本体113のワイヤ挿通孔113aに連通
したワイヤ挿通孔114aが設けられ、これらのワイヤ
挿通孔113a,114aを介して溶接ワイヤ101が
溶接箇所に順次送り込まれるようになっている。また、
円筒状のノズル112で囲まれた給電チップ114の周
囲には、前述した支持体111で囲まれてなるトーチ本
体113の周囲の空間領域から、シールド用ガスGaが
所定の溶接領域に向けて噴射され(図8参照)、これに
よって、ミグ・マグ溶接が実行されるようになってい
る。
【0011】また、図8において、符号101Pは溶接
ワイヤ101が湾曲され溶接ワイヤ挿通孔114a内の
内壁面に当接して形成される給電ポイントを示す。これ
により、母材(図示略)との間でアークAc が発生し、
アーク溶接が行われる。ここで、給電チップ114の全
長は45〔mm〕に設定されている。また、溶接ワイヤ
挿通孔114aの内径Dは、挿通される溶接ワイヤ10
1の直径をdとすると、D=d+α(α=0.2〜0.
4〔mm〕)となっている。
【0012】一方、この図8に示す従来例(1)にあっ
ては、後述するように給電チップ114内における給電
ポイントが一定せず、このため、給電通路が断続的とな
るという事態が生じていた。
【0013】〔従来例(2)〕図9(A)(B)に、溶
接用トーチの主要部である給電チップ121を示す。こ
の図9(A)(B)に示す給電チップ121は、特開昭
64ー18582号公報に開示されているように、前述
した図8における従来例の不都合を改善するためのもの
で、板ばね121A及びネジ121Bを用いて、溶接ワ
イヤ101をワイヤ挿通孔121aの内壁に押し付ける
という手法を採っている。符号121Cはワイヤ押圧部
材を示す。このワイヤ押圧部材121Cは、給電チップ
121の側面の一部にワイヤ挿通孔121aに至る深さ
の長穴121D内に配設されている。
【0014】このため、この図9(A)(B)における
給電チップ121にあっては、ワイヤ押圧部材121C
の押圧作用によって給電ポイント101Pを確実に形成
し、これによって安定した給電を継続し得るようになっ
ている。
【0015】〔従来例(3)〕図10にこれを示す。こ
の図10に示す従来例は、実開昭64ー54980号公
報に開示されているように、環状のトーチ本体131
と、このトーチ本体131にチップホルダ132を介し
て装備された給電チップ133とを備えている。そし
て、この給電チップ133の中心軸上に形成された溶接
ワイヤ挿通孔133aに溶接ワイヤ101が挿通される
ようになっている。
【0016】更に、チップホルダ132内には、軸方向
に移動可能に支持部材134が螺設されている。この支
持部材134には、前述した給電チップ133の軸心に
対して偏心した貫通孔134Aが形成されている。
【0017】この貫通孔134Aを貫挿して屈曲自在の
可とう性管状部材(密集したコイルばね状のもの)13
5を摺動自在に,且つ先端部を給電チップ133の方向
に突出させて装備されている。符号136は屈曲自在の
可とう性管状部材135の先端部(図10の下端部)に
装備された耐磨耗性チューブを示す。また、符号137
は筒状のノズル部を示す。このノズル部137は、絶縁
性ブッシュ137Aを介して前述したチップホルダ13
2に着脱自在に装備されている。符号132aは、チッ
プホルダ132aの周囲に形成されたシールドガス導入
ガイド穴を示す。このシールドガス導入ガイド穴132
aを介して、アーク溶接用のシールドガスがノズル13
7部内に導入されるようになっている。
【0018】そして、給電チップ133の溶接ワイヤ挿
通孔133aのワイヤ導入口部分はテーパ状に形成さ
れ、これによって、偏心した位置から送り込まれる溶接
ワイヤ101を給電チップ133の溶接ワイヤ挿通孔1
33aに円滑に案内し得るようになっている。同時に、
支持部材134を回すことにより可とう性管状部材13
5の長さや弾力性に変化を持たせることができ、これに
よって当該可とう性管状部材135内に挿通される溶接
ワイヤ101を湾曲した状態で給電チップ133の溶接
ワイヤ挿通孔133aに送り込むことができようになっ
ている。
【0019】このため、この従来例(3)にあっては、
溶接ワイヤ101が、給電チップ133の溶接ワイヤ挿
通孔133aに斜めに送り込まれることから、この溶接
ワイヤ挿通孔133a部分で確実に接することができ、
従って、確実に給電ポイントを得られるようになってい
る。
【0020】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
た各従来例(1)〜(3)にあっては、以下に示す不都
合が生じていた。
【0021】即ち、図8に示す従来例(1)にあって
は、給電チップ114の溶接ワイヤ挿通孔114aが、
溶接ワイヤ101の直径より0.2〜0.4〔mm〕程
度大きく設定されていることから、連続溶接によってワ
イヤ先端にズレ(中心位置から偏心)を生じ,同時に振
動によって溶接箇所からはずれ易く、このため、溶接線
が蛇行するという不都合があった。
【0022】更に、例えば真っ直ぐの溶接ワイヤ101
を使用すると、溶接ワイヤ挿通孔114aが大きいため
給電ポイントが得にくくなり、通電が安定せず、このた
め不安定なアークを生じ、溶接欠陥(品質不良)を起こ
し易い。
【0023】図9に示す従来例2にあっては、前述した
図8における不都合が改善されアーク溶接を安定した状
態で行う事が可能であるが、一方では、加工費が高騰
し、更に、溶接ワイヤ101に付された押し出し力に抗
して板ばね121Aにより押圧するため、経時的に、ワ
イヤ押圧部材121cによる噛み込みが発生し、溶接ワ
イヤ101を円滑に押し出すことができないという不都
合が生じていた。
【0024】又、ワイヤ押圧部材121cに対する噛み
込みによって切り粉や切り屑等の異物が発生し、これが
溶接ワイヤ挿通孔121a内に蓄積して溶接ワイヤ10
1の押し出し動作がかかる点においても阻害され、同時
に摩擦の増加等も重なって溶接ワイヤ101が溶接ワイ
ヤ挿通孔121aの内壁に溶着し易い。このため、溶接
ワイヤ101の送出の円滑化が阻害され、時には溶接ワ
イヤ101が不足して溶接箇所の品質低下をきたすとい
う不都合が生じていた。
【0025】更に、図10に示す従来例3にあっては、
可とう性管状部材135に湾曲等の変化をもたせるため
に支持部材134を回す必要が生じるが、支持部材に対
するかかる操作は組立時以外は困難な構造となっている
ばかりでなく、構造が複雑で装置全体が大型化するとい
う欠点がある。
【0026】また、可とう性管状部材135は、一般に
耐磨耗性が悪い。また、この可とう性管状部材135と
してスプリング状の鉄材を使用すると金属粉が発生し易
く、これが給電チップ133内の溶接ワイヤ挿通孔13
3a内で引っ掛かるという事態が生じ、かかる点におい
て溶接ワイヤ101の挿通動作の円滑化が阻害されると
いう不都合が生じる。
【0027】更に、可とう性管状部材135内に溶接ワ
イヤ101が挿通される構造であるため、この可とう性
管状部材135自体が溶接ワイヤ101の挿通動作時に
抵抗となり座屈状態が生じ、溶接ワイヤ101の挿通動
作(補給動作)の円滑化が阻害され、また、補修に多く
の手間がかかるという不都合があった。
【0028】
【発明の目的】本発明は、かかる従来例の有する不都合
を改善し、とくに生産性が良好で、溶接ワイヤに対する
給電動作を確実に成し得ると共に挿通動作の円滑化を図
り、これによって給電性およびアーク溶接の性能向上を
図った溶接用トーチを提供することを、その目的とす
る。
【0029】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、請求項1記載の発明では、軸芯に沿って溶接ワイヤ
挿通孔が形成された導電性部材から成る給電チップと、
この給電チップと同軸上に配設され当該給電チップに溶
接ワイヤを送り込む溶接ワイヤ挿通孔を備えたワイヤ供
給チューブを有している。また、給電チップ側の溶接ワ
イヤ挿通孔のワイヤ挿入口は、ワイヤ供給チューブ側の
溶接ワイヤ挿通孔のワイヤ送出口に対して、相対的に偏
心した位置に形成する。そして、前述した給電チップと
ワイヤ供給チューブとの間に所定の隙間を設けると共
に、この隙間の間隔を可変可能な構造とする、という構
成を採っている。
【0030】このため、この請求項1記載の発明では、
溶接ワイヤの送給方向を、ワイヤ供給チューブのワイヤ
送出口と給電チップのワイヤ挿入口との間で強制的に偏
心させることができ、これにより、給電チップと溶接ワ
イヤとの接触が確実となり、溶接時に確実に給電を行う
ことができ、溶接不良の発生を有効に回避することがで
きる。
【0031】請求項2記載の発明では、前述した請求項
1記載の溶接用トーチにおいて、ワイヤ供給チューブを
円筒状のトーチ本体内に装備すると共に、給電チップを
トーチ本体の先端部に装着する、という構成を採ってい
る。このため、この請求項2記載の発明では、前述した
請求項1記載の発明と同等に機能するほか、トーチ本体
の先端部に給電チップを装備するに際し、その突出量を
適当に設定するとができ、これにより当該給電チップの
ワイヤ挿入口とワイヤ供給チューブのワイヤ送出口との
間隔を任意に設定することができる。
【0032】請求項3記載の発明では、軸芯部分に溶接
ワイヤ挿通孔を備えた導電性部材から成る給電チップ
と、この給電チップと同軸上に配設され当該給電チップ
を先端部で着脱自在に保持す円筒状のトーチ本体とを有
している。このトーチ本体内には、前述した給電チップ
の溶接ワイヤ挿通孔に通ずる溶接ワイヤ挿通孔を備えた
ワイヤ供給チューブを装備する。同時に、このワイヤ供
給チューブの溶接ワイヤ挿通孔を給電チップの溶接ワイ
ヤ挿通孔に対して相対的に偏心した位置に形成する。そ
して、前述したワイヤ供給チューブに対して外部操作に
よりトーチ本体内での軸芯に沿った往復移動および停止
位置を設定する供給チューブ移送保持機構を、トーチ本
体に装備する、という構成を採っている。
【0033】このため、請求項3記載の発明では、図1
乃至図2に示すように、まず、溶接ワイヤ101を溶接
ワイヤ供給チューブとしてのインナーチューブ2内に挿
通した後、給電チップ3の溶接ワイヤ挿通孔3aの先端
部からアーク溶接に適した所定長さに突出させ、しかる
のち、所定の溶接動作に移行する。
【0034】この場合、ミグ・マグ溶接法では、溶接ワ
イヤ101は、アーク溶接の進行とともに溶融消費され
るため、その所定量が順次繰り出される。この場合、イ
ンナーチューブ2内の溶接ワイヤ挿通孔2Sbは給電チ
ップ3の溶接ワイヤ挿通孔3aに対して偏心させてある
ので、溶接ワイヤ101は、インナーチューブ2側の偏
心した位置から給電チップ3の溶接ワイヤ挿通孔3aに
送り出される。このため、溶接ワイヤ101は、少なく
とも給電チップ3の溶接ワイヤ挿通孔3aの挿入口部分
では確実に当該溶接ワイヤ101を給電チップ3に当接
せしめることができる。
【0035】また、トーチ本体1の図1における上端部
に、供給チューブ移送保持機構10を装備したので、こ
の供給チューブ移送保持機構10を操作することによ
り、インナーチューブ2の先端部(図1の下端部)の位
置を図3に示すように、a,b,c,d・・・等,任意
の位置に設定し且つ保持することができ、溶接ワイヤ1
01の直径や硬度が変化したもの,及び溶接速度等の溶
接条件の変更に対応することができる。
【0036】請求項4記載の発明では、前述した請求項
1,2又は3記載の溶接用トーチにおいて、給電チップ
は、そのトーチ本体側に、ワイヤ供給チューブの先端部
を遊挿可能に収納する供給チューブ先端部収納穴を備え
ている、という構成を採っている。このため、この請求
項4記載の発明にあっては、前述した請求項1,2又は
3記載の発明と同等に機能するほか、とくに、溶接ワイ
ヤ101は、図2に示すように少なくとも溶接ワイヤ挿
通孔3aの内壁二箇所101P,101Qで当該ワイヤ
挿通孔3aの内壁に当接する。溶接ワイヤ101を給電
チップ3に確実に当接せしめることができ、給電チップ
3から溶接ワイヤ101への通電を良好に且つ確実に実
行することができる。
【0037】請求項5記載の発明では、前述した請求項
4記載の溶接用トーチにおいて、給電チップの供給チュ
ーブ先端部収納穴は、その深部が当該給電チップの先端
部に近い位置まで深く形成されている、という構成を採
っている。このため、この請求項5記載の発明にあって
は、前述した請求項4記載の発明と同等に機能するほ
か、とくに、同時に給電チップ3の先端部の内部で溶接
ワイヤ101に当接するようにしたことから、溶接ワイ
ヤ101内における通電距離が短かくなり、これがため
安定したアークを得ることができ、従って、溶接ワイヤ
101の過熱による溶断等を有効に回避し得る。
【0038】請求項6記載の発明では、前述した請求項
1,2,3,4又は5記載の溶接用トーチにおいて、ワ
イヤ供給チューブは、その先端部に、セラミック等の絶
縁部材によって着脱自在に形成された筒状先端部を備え
ている、という構成を採っている。このため、この請求
項6記載の発明にあっては、前述した請求項1,2,
3,4又は5記載の発明と同等に機能するほか、とくに
耐久性の増大を図ることができる。
【0039】請求項7記載の発明では、前述した請求項
1,2,3,4,5又は6記載の溶接用トーチにおい
て、ワイヤ供給チューブの溶接ワイヤ挿通孔は、当該ワ
イヤ供給チューブ内では、給電チップの溶接ワイヤ挿通
孔に対して二段にわたって順次偏心した位置に形成す
る、という構成を採っている。
【0040】このため、この請求項7記載の発明にあっ
ては、前述した請求項1,2,3,4,5又は6記載の
発明と同等に機能するほか、更に、図1に示すように、
溶接ワイヤ101のインナーチューブ(ワイヤ供給チュ
ーブ)2内における溶接ワイヤ挿通孔2S内において
も、上側のワイヤ挿通孔2Saから直径が比較的小さい
下側のワイヤ挿通孔2Sbに円滑に溶接ワイヤ101を
挿通することができ、かかる点において、溶接ワイヤ1
01の給電チップ3に対する偏位設定を何らの操作を要
することなく単に溶接ワイヤ101を挿入するだけで設
定することができ、かかる点において作業がいたって単
純化され、作業性を大幅に改善することが可能となる。
【0041】
【発明の実施の形態】次に、本発明の実施の形態につい
て説明する。
【0042】〔第1の実施の形態〕図1乃至図3に第1
の実施形態を示す。この図1乃至図3において、符号1
は上端部が角型筒状で全体的には円筒状のトーチ本体を
示す。このトーチ本体1内には、同軸上に比較的長さの
長いワイヤ供給チューブとしてのインナーチューブ2が
装備されている。このインナーチューブ(ワイヤ供給チ
ューブ)2は、溶接ワイヤを供給する供給チューブとし
て機能するものである。また、トーチ本体1の図1にお
ける下端部には、同軸上に、給電チップ3が着脱自在に
装備されている。
【0043】この給電チップ3は、軸芯上に溶接ワイヤ
挿通孔3aを備えている。また、この給電チップ3は、
図1における上端部側には、インナーチューブ2の先端
部を遊挿可能に収納する供給チューブ先端部収納穴3A
が設けられている。この供給チューブ先端部収納穴3A
は、その深部が当該給電チップ3の先端部(図1の下端
部)に近い位置まで深く形成されている。そして、この
供給チューブ先端部収納穴3Aの深部と溶接ワイヤ挿通
孔3aとの間は、テーパ状に形成され、インナーチュー
ブ2の先端部から送り出される溶接ワイヤ101が給電
チップ3の溶接ワイヤ挿通孔3aに円滑に送り込まれる
ようになっている。
【0044】ここで、給電チップ3の溶接ワイヤ挿通孔
3aの直径Dは、溶接ワイヤ101の直径をdとする
と、「(d+0.2)<D<(d+0.4)〔mm〕」
の関係を維持した大きさに設定されている。また、トー
チ本体1の図1における下端部には、同軸上に前述した
給電チップ3用の外径に合わせた嵌合穴1Bが設けら
れ、この嵌合穴1Bに前述した給電チップ3の図1にお
ける上端部が遊挿されている。
【0045】ここで、符号5は、給電チップ3をトーチ
本体1に固定するチップ固定機構を示す。このチップ固
定機構5は、給電チップ3の外周囲に装備され且つ管状
で下端部周囲に軸方向に沿った複数の割り溝6aが設け
られた締め付け部材6と、この締め付け部材6を給電チ
ップ3に押付けると共に当該締め付け部材6を介して給
電チップ3を前述したトーチ本体1に連結する管状連結
部材7とにより構成されている。また、締め付け部材6
の割り溝6aは、外周囲がテーパ状に形成され且つ内側
周囲が環状に切除されて薄肉部を成す箇所に設けられて
いる。
【0046】上記管状連結部材7は、図1の下端部に前
述した締め付け部材6の複数の割り溝6aに対応して直
径が下方に向けて徐々に小さくなるように管状傾斜面を
もって形成された締め付け部7Aを備え、図1の上端部
が前述したトーチ本体1の外周囲に螺合し得るようにな
っている。
【0047】インナーチューブ2の中心軸領域には、溶
接ワイヤ挿通孔2Sが設けられている。この溶接ワイヤ
挿通孔2Sは、インナーチューブ2の中央部に設けられ
た段部2Dを境として、直径が比較的大きい上側のワイ
ヤ挿通孔2Saと、直径が比較的小さい下側のワイヤ挿
通孔2Sbとにより構成されている。この場合、上側の
ワイヤ挿通孔2Saは、その中心軸がインナーチューブ
2の中心軸と一致した状態で形成されている。また、下
側のワイヤ挿通孔2Sbは、その中心軸がインナーチュ
ーブ2の中心軸とは幾分偏心して形成されている。
【0048】この場合、本実施形態にあっては、溶接ワ
イヤ101として直径1.2〔mm〕のものを使用した
場合、下側のワイヤ挿通孔2Sbは、上側のワイヤ挿通
孔2Saに対してその中心軸が0.6〔mm〕程度偏心
されている。また、下側の溶接ワイヤ挿通孔2Sbは、
その直径Dは、溶接ワイヤ101の直径をdとすると、
「d+0.2〔mm〕≦D≦d+0.4〔mm〕」に設
定されている。
【0049】トーチ本体1の図1における上端部には、
供給チューブ移送保持機構10が装備されている。
【0050】この供給チューブ移送保持機構10は、イ
ンナーチューブ(供給チューブ)2の外面に設けられた
ラック(図示せず)と、当該ラックに噛合するピニオン
11Aと、このピニオン11Aを駆動する絶縁部材から
成る可動ハンドル11Cとによって構成される上下駆動
部11を備えている。また、この供給チューブ移送保持
機構10は、上下駆動部11で設定されたインナーチュ
ーブ2の水平方向の位置を固定する供給チューブ保持部
12を備えている。これにより、インナーチューブ2の
上下移送が円滑になされ、当該インナーチューブ2を所
定位置に停止させることができるようになっている。符
号2Hはインナーチューブ2の上端部に装備された円筒
状のワイヤ導入部材を示す。
【0051】次に、上記第1実施形態の作用効果等につ
いて説明する。まず、溶接ワイヤ101をインナーチュ
ーブ2内に挿通した後、給電チップ3の溶接ワイヤ挿通
孔3aの先端部(図1の下端部)からアーク溶接に適し
た所定長さに突出させ、しかるのち所定の溶接動作に移
行する(図2参照)。
【0052】この場合、ミグ・マグ溶接法では、溶接ワ
イヤ101は、アーク溶接の進行とともに溶融消費され
るため、その所定量が順次繰り出される。同時に溶接ワ
イヤ101は、インナーチューブ2側の偏心した位置か
ら給電チップ3のワイヤ挿通孔3aに送り出される。
【0053】このため、図2に示すように溶接ワイヤ1
01は、少なくとも溶接ワイヤ挿通孔3aの内壁二箇所
101P,101Qで当該溶接ワイヤ挿通孔3aの内壁
に当接する。これにより、溶接ワイヤ101に対する給
電チップ3からの給電が確実に実行される。同時に給電
チップ3の先端部内側で溶接ワイヤ101と給電チップ
3とが確実に当接するようになっていることから、溶接
ワイヤ101内における通電距離が小さくなり、このた
め、溶接ワイヤ101の過熱による溶断等の発生を予め
有効に回避することができる。
【0054】また、給電チップ3がチップ固定機構5に
よってトーチ本体1に直接連結されるので、この間の通
電回路も有効に確保することができ、かかる点におい
て、溶接作業時の通電状態を常に良好に維持することが
できる。
【0055】更に、溶接ワイヤ101の挿入インナーチ
ューブ2内における溶接ワイヤ挿通孔2S内において
も、上側のワイヤ挿通孔2Saから直径が比較的小さい
下側のワイヤ挿通孔2Sbにも、円滑に溶接ワイヤ10
1を挿通することができ、かかる点において、溶接ワイ
ヤ101の給電チップ3に対する偏位設定を何らの操作
を要することなく単に溶接ワイヤ101を挿入するだけ
で設定することができ、かかる点において作業がいたっ
て単純化され、作業性が大幅に改善される。
【0056】また、この図1に示す第1実施形態にあっ
ては、トーチ本体1の図1における上端部に供給チュー
ブ移送保持機構10を装備したので、この供給チューブ
移送保持機構10を操作することにより、インナーチュ
ーブ2の先端部(図1の下端部)の位置を図3に示すよ
うに、a,b,c,d・・・等,任意の位置に設定し且
つ保持することができ、これによって、溶接ワイヤ10
1の直径や硬度が変化したものを使用しても、又溶接条
件が変化しても、十分これに対応することができる。
【0057】この場合、例えば溶接ワイヤ101の直径
が比較的大きい場合には図3におけるc,d・・・等の
位置にインナーチューブ2の先端部を配置し、溶接ワイ
ヤ101の直径が比較的小さい場合には図3における
a,b等の位置にインナーチューブ2の先端部を配置す
る等によって、適正で安定した給電状態を設定すること
ができる。更に、硬度が高い場合にはc,dに、又硬度
が低い場合にはa,b二移動させることで給電状態を安
定させることができる。又、アーク溶接を継続中であっ
ても当該操作を行うことができ、常に最適な通電状態を
予め若しくはその後であっても設定することが可能とな
る。
【0058】ここで、上記インナーチューブ(ワイヤ供
給チューブ)2の先端部(図1の下端部)については、
図4(A)に示すように、セラミック等の絶縁部材によ
って形成された筒状先端部2Kを着脱自在に装備しても
よい。この図4(A)では、筒状先端部2Kをインナー
チューブ2の先端部に適当な押圧力をもって圧入した場
合を示す。このようにすると、インナーチューブ2の耐
磨耗性が向上し、トーチ全体の耐久性向上を図ることが
できる。
【0059】また、上記第1実施形態にあっては、イン
ナーチューブ2内の溶接ワイヤ挿通孔2Sを、一箇所の
段部2Dを介して一回だけ偏位させた場合を例示した
が、図4(B)に示すように二箇所の断部3D,4Dを
介して二回偏位させるように構成(三段に構成)しても
よい。ここで、この溶接ワイヤ挿通孔8Sは、インナー
チューブ8内に設けられた段部3D,4Dを境として、
直径が比較的大きい上側のワイヤ挿通孔8Saと、直径
がワイヤ挿通孔8Saより幾分小さい中断のワイヤ挿通
孔8Sbと、直径が比較的小さい下側のワイヤ挿通孔8
Scとにより構成されている。
【0060】この場合、上側のワイヤ挿通孔8Saは、
その中心軸がインナーチューブ8の中心軸と一致した状
態で形成されている。また、中段のワイヤ挿通孔8Sb
および下側のワイヤ挿通孔8Scは、その中心軸がイン
ナーチューブ8の中心軸とは順次すこしづつ偏心した状
態にて形成され、全体的には前述した図1の場合と同程
度の偏位量が設定されている。
【0061】このようにすると、溶接ワイヤ101の挿
通抵抗をより低減することができ、従って、溶接ワイヤ
101の切り屑や切り粉等の発生を少なくし、これによ
って給電チップ3の溶接ワイヤ挿通孔3aの目詰まりを
少なくすることができ、溶接ワイヤ101の挿通動作を
円滑に継続することができる。
【0062】〔第2の実施の形態〕図5乃至図6に第2
の実施形態を示す。この図5乃至図6において、符号1
1はトーチ本体を示す。このトーチ本体11内には、同
軸上に、比較的長さの長いワイヤ供給チューブとしての
インナーチューブ12が装備されている。また、トーチ
本体11の図5,図6(A)における下端部には、同軸
上に給電チップ13が着脱自在に装備されている。
【0063】この給電チップ13は、中心軸上に溶接ワ
イヤ101用のワイヤ挿通孔13aを備えている。ま
た、この給電チップ13の図6(A)の上側に、前述し
たインナーチューブ12の先端部を遊挿可能に収納する
供給チューブ先端部収納穴13Aの挿入口(図示省略)
を備えている。この供給チューブ先端部収納穴13A
は、その深部が当該給電チップ13の先端部(図6
(A)の下側方向)に近い位置まで深く形成されてい
る。そして、この供給チューブ先端部収納穴13Aの深
部と溶接ワイヤ挿通孔13aとの間は、テーパ状に形成
され、インナーチューブ12の先端部から送り出される
溶接ワイヤ101が給電チップ13のワイヤ挿通孔13
aに円滑に送り込まれるようになっている。
【0064】また、トーチ本体11の図6における下端
部には、同軸上に前述した給電チップ13用の外径に合
わせた嵌合穴11Bが設けられ、この嵌合穴11Bに、
前述した給電チップ13の上端部が遊挿されている。符
号15は、給電チップ13をトーチ本体11に固定する
チップ固定機構を示す。
【0065】このチップ固定機構15は、トーチ本体1
1の下端部周囲の同一円周上に等間隔に形成された***
内に回転自在に装備された4個の小球部材16と、図6
(A)の下方にスライドすることによって4個の小球部
材16を給電チップ13側に押圧する管状押えリング1
7と、この管状押えリング17を図6(A)の下方に常
時付勢するコイルばね18と、このコイルばね18の装
備箇所を設定する環状保持体19とを備えている。この
場合、環状保持体19は、管状押えリング17の図5に
おける上側に配設されて前述したトーチ本体11に外周
囲に螺合され固定されている。
【0066】ここで、小球部材16が装備された部分の
トーチ本体11の下端部の肉厚は、小球部材16の直径
よりも小さく設定されている。この小球部材16は、ト
ーチ本体11の***内に内側には落下しないように外周
囲から挿入されるようになっている。同時に、この小球
部材16に当接する給電チップ13の図6(A)におけ
る上端部には、図6(B)に示すようにその周囲に、前
述した小球部材16に係合する環状溝13kが設けられ
ている。
【0067】符号17Aは、管状押えリング17の図6
(A)における下端部内側に設けられた環状切除部を示
す。この環状切除部17Aによって形成される当該管状
押えリング17の内径側とトーチ本体11の下端部の外
径側との空隙幅は、前述した小球部材16の直径よりも
小さく設定され、これによって、管状押えリング17を
上方向に押し上げた時に小球部材16がトーチ本体11
の下端部から落下するのが防止されている。
【0068】また、符号17aは、管状押えリング17
の側面に中心軸に沿って形成された長穴を示す。また、
この長穴17aに係合して前述した管状押えリング17
が必要以上に下方に移動するのを阻止するストッパピン
17bが、トーチ本体11の下端部外周に装備されてい
る。図6(A)は、管状押えリング17がコイルばね1
8により下方に押し下げられて給電チップ13が係止さ
れた状態を示す。
【0069】そして、給電チップ13を取り外すには、
まず、管状押えリング17をコイルばね18の押圧力に
抗して上方向にスライドさせる。これにより、トーチ本
体11の下端部に装備された小球部材16が管状押えリ
ング17の環状切除部17A部分に配置されて当該小球
部材16が外周囲に向けて移動し易くなる。この状態下
で給電チップ13を下方に引き抜くと、小球部材16が
給電チップ13の押し下げ力によって外周囲の環状切除
部17A部分に押し出されて、給電チップ13は極く容
易に取り外される。給電チップ13を装着する場合は、
この逆の操作を行えばよい。
【0070】インナーチューブ12の溶接ワイヤ挿通孔
12Sは、インナーチューブ12の中央部に設けられた
段部12Dを境として、直径が比較的大きい上側のワイ
ヤ挿通孔12Saと、直径が比較的小さい下側のワイヤ
挿通孔12Sbとにより構成されている。この場合、上
側のワイヤ挿通孔12Saは、その中心軸がインナーチ
ューブ12の中心軸と一致した状態で形成されている。
又、下側のワイヤ挿通孔12Sbは、その中心軸がイン
ナーチューブ12の中心軸とは幾分偏心して形成されて
いる。その他の構成は、前述した図1の第1実施形態と
同一となっている。
【0071】このようにしても、前述した図1乃至図3
に示す第1実施形態とほぼ同等の作用効果を有するほ
か、給電チップ13の着脱を単に管状押えリング17を
押し上げるというワンタッチ動作で行うことができ、作
業性が大幅に改善され、作業能率を十分に向上させるこ
とができるという利点を備えている。
【0072】
【発明の効果】以上のように、本発明によると、給電チ
ップ側の溶接ワイヤ挿通孔のワイヤ挿入口とワイヤ供給
チューブ側の溶接ワイヤ挿通孔のワイヤ送出口とを,そ
の各軸芯が一致しないように相対的に偏位した位置に形
成したので、当該ワイヤ供給チューブ側のワイヤ送出口
と給電チップ側のワイヤ挿入口との間で溶接ワイヤの送
給方向を強制的に偏心させることができ、このため、給
電チップと溶接ワイヤとを確実に接触させることがで
き、このため、溶接時の不良の発生を有効に排除するこ
とができる。
【0073】また、給電チップ側のワイヤ挿入口をワイ
ヤ供給チューブ側のワイヤ送出口に対してその間隔を変
更可能としたので、当該給電チップとワイヤ供給チュー
ブとの間のワイヤ挿通領域での当該溶接ワイヤの曲折の
程度を、当該溶接ワイヤの直径や材質やその時の溶接条
件に応じて適正に変更させることが可能となり、同時に
そのための機構の装備もよういに成し得ることとなる。
【0074】更に、アーク溶接の進行とともに溶接ワイ
ヤが順次繰り出される状態にあっても、前述したように
ワイヤ供給チューブ側の偏心した位置から給電チップの
溶接ワイヤ挿通孔に送り出されるため、当該溶接ワイヤ
挿通孔の内壁に確実に当接させることができ、これによ
り、溶接ワイヤに対する給電チップからの通電が常に適
正に実行されることとなり、このため、アークが途切れ
ることなく常に適正なアーク溶接を実行することができ
る。
【0075】同時に、給電チップの内側先端部で溶接ワ
イヤに当接するようにしたので、溶接ワイヤ内における
電流通過距離が短くなり、このため安定したアークを得
ることができ、溶接ワイヤの過熱による溶断等の発生を
予め有効に回避することができ、消費電力を節減するこ
とができ、更に、給電チップの小型化が可能となる。
【0076】また、給電チップがトーチ本体に直接連結
されるので、この間の通電回路も有効に確保することが
でき、かかる点において、溶接作業時の通電状態を常に
良好に維持することができる。
【0077】更に、ワイヤ供給チューブ内における溶接
ワイヤ挿通孔を給電チップに対して相対的に偏位した位
置に設定したので、当該溶接ワイヤ挿通孔の偏位設定に
際しては何らの操作を要することなく単に溶接ワイヤを
挿入するだけで溶接ワイヤを給電チップに対して偏位設
定することができ、かかる点において作業がいたって単
純化され、作業性を大幅に改善することができる。
【0078】また、トーチ本体に、外部操作可能な供給
チューブ移送保持機構を装備したので、この供給チュー
ブ移送保持機構を操作することにより、インナーチュー
ブの先端部の位置を、任意の位置に設定し且つ保持する
ことができ、これによって、溶接ワイヤの直径や硬度が
変化したものを使用しても、十分これに対応してインナ
ーチューブ先端部を適正な位置に設定することができ、
常に最適な通電状態を予め若しくはその後であっても設
定することができるという従来にない優れた溶接用トー
チを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態を示す一部省略した縦
断面図である。
【図2】図1内に開示した給電チップとインナーチュー
ブ(ワイヤ供給チューブ)との相互間の動作を示す説明
図である。
【図3】図1内に開示した供給チューブ移送保持機構の
作用を示す説明図である。
【図4】図1内に開示したインナーチューブの他の例を
示す図で、図4(A)は先端部を絶縁体で形成した場合
の例を示す説明図、図4(B)はインナーチューブ内の
ワイヤ挿通孔の中心軸を二段階にわたって偏心させた場
合の例を示す説明図である。
【図5】本発明の第2の実施形態を示す一部省略した正
面図である。
【図6】図5の内部構造を示す図で、図6(A)は図5
のAーA線に沿ってみた一部省略した縦断面図、図6
(B)は図6(A)内に開示した給電チップを示す一部
断面した正面図である。
【図7】従来より知られているミグ・マグ溶接法を示す
説明図である。
【図8】図7内に開示された溶接用トーチ部分の従来例
(1)を示す一部断面した正面図である。
【図9】図7内に開示された溶接用トーチ部分の要部を
成す給電チップの従来例(2)を示す図で、図9(A)
は正面図、図9(B)は図9(A)のAーA線に沿った
縦断面図である。
【図10】図7内に開示された溶接用トーチ部分の従来
例(3)を示す一部省略した縦断面図である。
【符号の説明】
1 トーチ本体 2,8,12 ワイヤ供給チューブとしてのインナーチ
ューブ 2K 筒状先端部 2S,3a,8S,12S,13a 溶接ワイヤ挿通孔 3,13 給電チップ 3A 供給チューブ先端部収納穴 10 供給チューブ移送保持機構 101 溶接ワイヤ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 牧田 慎也 静岡県庵原郡蒲原町蒲原1丁目34番1号 日本軽金属株式会社グループ技術センター 内 (72)発明者 森下 琢磨 静岡県志太郡大井川町高新田485−1 み ずほ産業株式会社内

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 軸芯に沿って溶接ワイヤ挿通孔が形成さ
    れた導電性部材から成る給電チップと、この給電チップ
    と同軸上に配設され当該給電チップに溶接ワイヤを送り
    込む溶接ワイヤ挿通孔を備えたワイヤ供給チューブを有
    し、 前記給電チップ側における溶接ワイヤ挿通孔のワイヤ挿
    入口を、前記ワイヤ供給チューブ側における溶接ワイヤ
    挿通孔のワイヤ送出口に対して相対的に偏心した位置に
    形成し、 前記給電チップとワイヤ供給チューブとの間に所定の隙
    間を設けると共に、この隙間の間隔を可変設定可能とし
    たことを特徴とする溶接用トーチ。
  2. 【請求項2】 前記ワイヤ供給チューブを円筒状のトー
    チ本体内に装備すると共に、前記給電チップを前記トー
    チ本体の先端部に装着したことを特徴とする請求項1記
    載の溶接用トーチ。
  3. 【請求項3】 軸芯部分に溶接ワイヤ挿通孔を備えた導
    電性部材から成る給電チップと、この給電チップと同軸
    上に配設され当該給電チップを先端部で着脱自在に保持
    す円筒状のトーチ本体とを有し、 このトーチ本体内に、前記給電チップ側の溶接ワイヤ挿
    通孔に通ずる溶接ワイヤ挿通孔を備えたワイヤ供給チュ
    ーブを装備すると共に、このワイヤ供給チューブの溶接
    ワイヤ挿通孔を前記給電チップの溶接ワイヤ挿通孔に対
    して相対的に偏心した位置に形成し、 前記ワイヤ供給チューブに対して外部操作により前記ト
    ーチ本体内での軸芯に沿った往復移動および停止位置を
    設定する供給チューブ移送保持機構を、前記トーチ本体
    に装備したことを特徴とする溶接用トーチ。
  4. 【請求項4】 前記給電チップは、そのトーチ本体側
    に、前記ワイヤ供給チューブの先端部を遊挿可能に収納
    する供給チューブ先端部収納穴を備えていることを特徴
    とした請求項1,2又は3記載の溶接用トーチ。
  5. 【請求項5】 前記給電チップの供給チューブ先端部収
    納穴は、その深部が当該給電チップの先端部に近い位置
    まで深く形成されていることを特徴とした請求項4記載
    の溶接用トーチ。
  6. 【請求項6】 前記ワイヤ供給チューブは、その先端部
    に、セラミック等の絶縁部材によって着脱自在に形成さ
    れた筒状先端部を備えていることを特徴とした請求項
    1,2,3,4又は5記載の溶接用トーチ。
  7. 【請求項7】 前記ワイヤ供給チューブの溶接ワイヤ挿
    通孔は、当該ワイヤ供給チューブ内では、前記給電チッ
    プの溶接ワイヤ挿通孔に対して二段にわたって順次偏心
    した位置に形成したものであることを特徴とした請求項
    1,2,3,4,5又は6記載の溶接用トーチ。
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