JPH1099815A - 処理装置および処理方法 - Google Patents

処理装置および処理方法

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JPH1099815A
JPH1099815A JP25920196A JP25920196A JPH1099815A JP H1099815 A JPH1099815 A JP H1099815A JP 25920196 A JP25920196 A JP 25920196A JP 25920196 A JP25920196 A JP 25920196A JP H1099815 A JPH1099815 A JP H1099815A
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光一 手島
Tomohiro Todoroki
朋浩 轟木
Naohiko Oyasato
直彦 親里
Tomiaki Furuya
富明 古屋
Yoshiaki Yokoyama
芳昭 横山
Hidehisa Ogiwara
映久 荻原
Kaichiro Ogiwara
嘉一郎 荻原
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OGIHARA EKOROJII KK
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    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02PCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES IN THE PRODUCTION OR PROCESSING OF GOODS
    • Y02P10/00Technologies related to metal processing
    • Y02P10/20Recycling
    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02WCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES RELATED TO WASTEWATER TREATMENT OR WASTE MANAGEMENT
    • Y02W30/00Technologies for solid waste management
    • Y02W30/20Waste processing or separation

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  • Treating Waste Gases (AREA)
  • Processing Of Solid Wastes (AREA)
  • Manufacture And Refinement Of Metals (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 樹脂と金属とを有する物体を安全かつ効果的
に処理する処理装置および処理方法を提供する。 【解決手段】 樹脂と金属とを構成材として有する処理
対象物体は熱分解炉20で熱分解され、ガス状排出物と
熱分解残渣とに分離して処理される。ガス状排出物処理
系は、ダイオキシンが分解するような高温(1200
℃)でガスを分解するガス分解器30と、このガスをダ
イオキシンが再合成しないよう短時間で急冷(35℃)
する冷却塔40とを備える。熱分解残渣処理系は、この
残渣を減圧加熱して残渣に含まれる金属を気化させる減
圧加熱炉50と、気化した金属を凝縮して回収する回収
チャンバ60とを備える。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は処理装置および処理
装置に関し、特に金属と樹脂を含有する物体の処理装置
および処理方法に関する。
【0002】また、本発明は鉛などの有害金属と樹脂を
含有する物体からを処理する処理装置および処理方法に
関する。また、本発明は金属、合金により接合された、
金属と樹脂とを含有する物体の接合を解除する処理装置
および処理方法に関する。さらに本発明は、シュレッダ
ーダストなどの金属と樹脂を含有する物体を、ダイオキ
シンの発生を抑制しながらリサイクル処理する処理装置
および処理方法に関する。さらに本発明は、電子部品が
実装された回路基板などの物体を、ダイオキシンの発生
を抑制しながら電子部品と回路基板とを分離し、鉛など
の有害金属、銅などの金属を回収する処理装置および処
理方法に関する。
【0003】
【従来の技術】現代社会が抱える膨大な量の廃棄物は日
々増え続けており、その効果的な処理技術の確立が急務
である。
【0004】廃棄物中には様々な有用な物質も含まれて
いるが、分離の困難さなどから廃棄物から分離されず、
ほとんどの廃棄物はそのまま埋め立や焼却により処分さ
れている。廃棄物中の有用物質は、エネルギー問題や資
源枯渇問題もあり、できるかぎり分離・回収して再利用
することが求められている。
【0005】一方、廃棄物中には有害な物質も含まれて
おり、このような有害物質は環境破壊の原因になるだけ
でなく、廃棄物の再利用を困難にしている大きな原因の
一つである。したがって、廃棄物中の有害物質を効果的
に取り除くことができれば、廃棄物を資源の宝庫として
積極的に再利用することが可能になるとともに、環境や
生物への影響も最小限にとどめることができる。
【0006】このように、有害物質による環境汚染、資
源の枯渇、エネルギー源の不足といった現代社会を取り
巻く深刻な問題を解決するために、廃棄物を効果的に処
理する技術は是非とも確立されなければならない。
【0007】しかしながら、近年廃棄物の形態は複雑多
岐にわったっており、複数の異なった素材が一体化した
複合的な廃棄物も多く、さらに有害物質が含まれている
廃棄物もある。このような複合廃棄物を資源として再利
用するためには、複数の異なった素材が一体化した廃棄
物から、有用な物質、有害な物質を選択的に分離・回収
しなければならないが、このような処理技術は未だ確立
されていない。
【0008】例えば、近年廃自動車の増加や自動車の構
成素材の鉄がプラスティックなどの樹脂に代替されるに
したがい、シュレッダーダストの発生量は増加の一途を
たどっている。このシュレッダーダストの安全で効果的
な処理は困難であり、現在でもそのほとんどは埋め立て
により処分されている。ここでシュレッダーダストと
は、廃自動車、廃家電製品等をシュレッダーで破砕し、
有価物を回収する際に風力などにより分別される不要物
の呼称であり、プラスティック、ゴム、ガラス、金属、
繊維くず等からなる混合廃棄物をいう。
【0009】このようなシュレッダーダストには有機物
とともに各種重金属なども比較的高い濃度で含まれてい
ることが知られている。特に自動車由来のシュレッダー
ダストには廃家電製品由来のシュレッダーダストの10
倍以上の鉛が含まれているという報告もある。また例え
ば、樹脂フィルムとアルミニウム箔を積層した樹脂被覆
アルミニウム箔は安価で加工性がよいことなどから、レ
トルト食品の包装容器など、食品や医薬品をはじめとし
て様々な包装容器に大量に用いられている。
【0010】また、樹脂フィルムと銅箔を積層した樹脂
被覆銅箔も同じように大量に用いられており、特にいわ
ゆる回路基板、フレキシブル基板、TABのフィルムキ
ャリアをはじめとして電子機器の構成部品として大量に
用いられている。
【0011】しかし使用後の樹脂被覆アルミニウム箔や
樹脂被覆銅箔は、それらが複数の異なった素材から一体
的に形成された複合的な廃棄物であることから効果的な
処理技術が確立されていないのが現状である。
【0012】従来、シュレッダーダスト、電子部品が実
装された廃回路基板、樹脂被覆アルミニウム箔や樹脂被
覆銅箔などの廃棄物は、埋め立てや焼却、溶融凝固によ
り処理されていたが、埋め立てはかさばること、場所の
確保も困難であること等の問題があり、一方焼却は炉を
痛めたり、アルミニウムや銅などが酸化物になってしま
うという問題がある。
【0013】アルミニウムや銅の精練には大量の電力が
使われており、せっかく金属に精練したアルミニウムや
銅を焼却により再び酸化物にしてしまうのはエネルギー
の浪費であり、金属状態のまま資源として再利用する技
術を確立することが望まれている。
【0014】一方、例えば上述したシュレッダーダス
ト、電子機器の回路基板などの廃棄物は鉛などの有害物
質を大量に含んでいる。従来から、各種電子機器のハン
ダ接続には融点が低く、酸化雰囲気中でもぬれ性がよい
ことなどから、鉛−錫系合金などのハンダ合金が多用さ
れている。
【0015】ところで、鉛は強い毒性を有し、体内に摂
取すると神経系や生殖機能を障害することから、鉛や鉛
含有合金の取扱いについては規制がなされている。
【0016】また、最近の環境破壊に対する関心の高ま
りによって、鉛を含むハンダ合金を用いた電子機器、構
成部品の廃棄物処理についても社会問題となっている。
【0017】すなわち、鉛を含むハンダ合金を大量に使
用した廃電子機器などの複合廃棄物は、従来産業廃棄物
や一般廃棄物と同様に主として埋め立て処理されること
が一般的であった。
【0018】しかし、廃電子機器のような鉛などの有害
物質を含む複合廃棄物を埋め立て処理した場合、降雨な
どにより鉛成分が溶出し、土壌や地下水を汚染し環境に
深刻な打撃を与えてしまうという問題がある。特に酸性
雨によりハンダ合金からの鉛の溶出量は急激に増大し、
環境や生物に対し深刻な影響を及ぼすことが懸念されて
いる。
【0019】このようなことから、例えばシュレッダー
ダスト、廃回路基板、はかなど、鉛などの有害物質を含
む廃棄物を処理する際には、鉛などの有害を分離・回収
することが必要である。
【0020】しかしながら、現状では効果的に鉛を回収
する技術が見出だされていない。
【0021】一方、鉛の回収コストが製品コストの増大
を招く恐れがあることから、鉛を用いない鉛フリーハン
ダの開発が望まれており一部実用化されているが、性
能、コストの面で未解決の問題点も多く、鉛を含むハン
ダ合金は現在も大量に用いられている。また、現在まで
に膨大な量の鉛を含む廃棄物が生じており、効率的で安
全な処理技術が見出だされていないために、一部では大
量に蓄積保管されているのが現状である。
【0022】また見方を変えれば、上述したシュレッダ
ーダスト、電子機器の回路基板などの複合廃棄物は有害
物質を分離できれば資源の宝庫ともなる。いわゆる廃棄
物は相対的価値判断によりそう呼ばれるものである。資
源化技術を確立し、資源化に必要なコストを低減できれ
ば廃棄物ではなくなる。
【0023】例えば回路基板にはIC、LSI、抵抗
器、コンデンサ等の各種電子部品が搭載されているが、
銅、ニッケル、アルミニウム、金、プラチナ、タンタ
ル、タングステン、モリブデン、コバルト、クロムをは
じめ有用な金属、そして樹脂が含まれており資源として
枯渇が心配されているものも多い。
【0024】しかし電子部品は基板上に数多く搭載され
ており、また近年の高集積化にともなって接合箇所数は
増大し接合ピッチはますます細かくなる傾向にあるか
ら、基板と電子部品とを分離することはかなり困難であ
る。そして基板と電子部品は前述のようにハンダ合金で
接合されており、有毒な鉛が用いられていることも、廃
電子機器などの効果的処理を阻んでいる大きな原因であ
る。
【0025】さらに、上述のような廃棄物、都市ゴミを
焼却などにより処理しする場合には、廃棄物の構成樹脂
などから有害な有機物質が生成してしまうという問題が
ある。特にシュレッダーダスト、廃回路基板などの構成
材にハロゲン化物が用いられている場合にはPCDDs
やPCDFcなどのいわゆるダイオキシンが発生すると
いう問題がある。また樹脂成分を燃焼させるときICや
回路基板に含有されるデカブロ、三酸化Sbなどのより
ダイオキシン等の有害物質が発生するという問題があ
る。ダイオキシンの毒性は極めて高く、例えば2,3,
7,8−T,CDDでの猿の半数致死量(LD50)は
わずか70μg/Kgである。
【0026】例えば塩化ビニール、難燃性プラスティッ
ク、防腐処理した木材を焼却処理すると、ハロゲンガス
が発生し、極めて強い毒性を有するPCDDs(ポリ塩
化ダイオキシン)やPCDFc(ポリ塩化ベンゾフラ
ン)が発生する。このようなダイオキシンは電気集塵機
内部でも生成することがわかっている。
【0027】一方、埋め立て処理はかさばること、場所
の確保も困難であること等の問題がある。また、腐食な
どにより処理対象物体中の重金属などの有害物質が溶出
し、水質汚染や土壌汚染を引き起こすという問題があ
る。特に酸性雨により処理対象物体の構成金属溶出量は
急激に増大し、環境や生物に対し深刻な影響を及ぼすこ
とが懸念されている。
【0028】したがって、廃棄物などの処理対象物体を
処理する際には、金属を埋め立てたり、焼却することな
く資源として再利用するとともに、樹脂(紙、木材、ゴ
ムなどを含む)についてはダイオキシンの発生を抑制す
る処理技術を確立することが望まれている。
【0029】
【発明が解決しようとする課題】本発明はこのような問
題を解決するためになされたものである。すなわち本発
明は金属と樹脂とを構成材として有する物体を効果的、
経済的に、かつ安全に処理できる処理装置及び処理方法
を提供することを目的とする。
【0030】また本発明は金属と樹脂とを構成材として
有する物体を効果的、経済的に、ダイオキシンが発生し
ないように処理できる処理装置及び処理方法を提供する
ことを目的とする。本発明は樹脂、鉛を含む物体から鉛
を分離・回収することができる処理装置及び処理方法を
提供することを目的とする。また、本発明は合金により
接合された物体の接合を解除することができる処理方法
処理方法を提供することを目的とする。また、本発明は
鉛を含む合金により接合された樹脂を構成材として有す
る物体の接合を解除するとともに、樹脂成分もリサイク
ルすることができる処理装置及び処理方法を提供するこ
とを目的とする。また、本発明は樹脂と金属とを構成材
として有する物体から、樹脂成分と金属とを効果的に分
離、回収することができる処理装置及び処理方法を提供
することを目的とする。
【0031】また、本発明は樹脂と複数の金属とが一体
化した物体から樹脂成分と金属とを効果的に分離すると
ともに、樹脂と複数の金属とをそれぞれ分離回収するこ
とができる処理装置及び処理方法を提供することを目的
とする。さらに本発明は、シュレッダーダストなどの金
属と樹脂を含有する物体を、ダイオキシンの発生を抑制
しながら処理する処理装置および処理方法を提供するこ
とを目的とする。さらに本発明は、電子部品などが実装
された回路基板などの物体を、ダイオキシンの発生を抑
制しながら電子部品と回路基板とを分離し、鉛などの有
害金属、銅などの金属を分離、回収する処理装置および
処理方法を提供することを目的とする。
【0032】
【課題を解決するための手段】このような課題を解決す
るために、請求項1に記載の本発明の処理装置は、樹脂
と金属とを含有する物体を第1の温度で熱分解する第1
の熱分解手段と、前記熱分解手段に接続して配設され、
前記物体から生じたガス状排出物をダイオキシンが分解
するような第2の温度で改質する改質手段と、前記改質
手段と接続して配設され、第2の温度で改質された前記
ガス状排出物中のダイオキシン濃度の増加が抑制される
ように、前記ガス状排出物を第3の温度まで急冷する冷
却手段と、前記物体の熱分解により生じた残渣を、この
残渣に含まれる金属が気化するように減圧下で加熱する
減圧加熱手段と、前記残渣から気化した金属を凝縮する
凝縮手段とを具備したことを特徴とする。
【0033】請求項2に記載の本発明の処理装置は、樹
脂と金属とを含有する物体を第1の温度で熱分解する第
1の熱分解手段と、前記熱分解手段に接続して配設さ
れ、前記物体から生じたガス状排出物を第1の温度より
高い第2の温度で熱分解する第2の熱分解手段と、前記
熱分解手段と接続して配設され、第2の温度で熱分解さ
れた前記ガス状排出物中のダイオキシン濃度の増加が抑
制されるように、前記ガス状排出物を第3の温度まで急
冷する冷却手段と、前記物体の熱分解により生じた残渣
を、この残渣に含まれる金属が気化するように減圧下で
加熱する減圧加熱手段と、前記残渣から気化した金属を
凝縮する凝縮手段とを具備したことを特徴とする。
【0034】また本発明の処理装置は、樹脂と第1の金
属と第2の金属を含有する物体を第1の温度で熱分解す
る第1の熱分解手段と、第1の熱分解手段に接続して配
設され、前記物体から生じたガス状排出物をダイオキシ
ンが分解するような第2の温度で改質する改質手段と、
前記改質手段と接続して配設され、第2の温度で改質さ
れた前記ガス状排出物中のダイオキシン濃度の増加が抑
制されるように、前記ガス状排出物を第3の温度まで急
冷する冷却手段と、前記物体の熱分解により生じた残渣
を、この残渣に含まれる第1の金属が気化するとともに
第2の金属が保持されるように減圧下で加熱する第1の
減圧加熱手段と、第1の減圧加熱手段に接続して配設さ
れ、前記残渣から気化した第1の金属を凝縮する凝縮手
段と、第1の金属を気化させた前記残渣に含まれる第2
の金属が溶融するように減圧下で加熱する第2の減圧加
熱手段とを具備するようにしてもよい。
【0035】また、本発明の処理装置の第2の減圧加熱
手段は、第1の金属を気化させた前記残渣に含まれる第
2の金属が溶融してその表面張力により凝集するように
減圧下で加熱するようにしてもよい。
【0036】また本発明の処理装置は、樹脂と金属を構
成材の一部として有し、接合金属で接合された第1の部
分と第2の部分とを有する物体を前記接合金属を保持し
て熱分解する熱分解手段と、前記熱分解手段に接続して
配設され、前記物体から生じたガス状排出物をダイオキ
シンが分解するような第2の温度で改質する改質手段
と、前記改質手段と接続して配設され、改質された前記
ガス状排出物中のダイオキシン濃度の増加が抑制される
ように、前記ガス状排出物を第3の温度まで急冷する冷
却手段と、前記物体の熱分解により生じた残渣を、前記
接合金属が気化するように減圧下で加熱する減圧加熱手
段とを具備するようにしてもよい。
【0037】このような本発明の処理装置の熱分解手段
は酸素濃度を制御するなどして非酸化雰囲気ないしは還
元性雰囲気中で行うようにすればよい。また前記冷却手
段は、第3の温度までをできるかぎり短時間で、好まし
くは約10秒以内に冷却するようにすればよい。また、
本発明の処理装置は、前記冷却手段と接続して配設さ
れ、冷却された前記ガス状排出物を中和する中和手段を
さらに具備するようにしてもよい。
【0038】請求項3に記載の本発明の処理方法は、樹
脂と金属とを含有する物体を第1の温度で熱分解する第
1の熱分解工程と、前記物体から生じたガス状排出物を
ダイオキシンが分解するような第2の温度で改質する改
質工程と、改質された前記ガス状排出物中のダイオキシ
ン濃度の増加が抑制されるように前記ガス状排出物を第
3の温度まで急冷する冷却工程と、前記物体の熱分解に
より生じた残渣を、この残渣に含まれる金属が気化する
ように減圧下で加熱する減圧加熱工程と、前記残渣から
気化した金属を凝縮する凝縮工程とを具備したことを特
徴とする。
【0039】請求項4に記載の本発明の処理方法は、樹
脂と金属とを含有する物体を第1の温度で熱分解する第
1の熱分解工程と、前記物体から生じたガス状排出物を
第1の温度より高い第2の温度で熱分解する第2の熱分
解工程と、第2の温度で熱分解された前記ガス状排出物
中のダイオキシン濃度の増加が抑制されるように、前記
ガス状排出物を第3の温度まで急冷する冷却工程と、前
記物体の熱分解により生じた残渣を、この残渣に含まれ
る金属が気化するように減圧下で加熱する減圧加熱手段
と、前記残渣から気化した金属を凝縮する凝縮手段とを
具備したことを特徴とする。
【0040】請求項5に記載の本発明の処理方法は、樹
脂と第1の金属と第2の金属を含有する物体を第1の温
度で熱分解する第1の熱分解工程と、前記物体から生じ
たガス状排出物をダイオキシンが分解するような第2の
温度で改質する改質工程と、第2の温度で改質された前
記ガス状排出物中のダイオキシン濃度の増加が抑制され
るように、前記ガス状排出物を第3の温度まで急冷する
冷却手段と、前記物体の熱分解により生じた残渣を、こ
の残渣に含まれる第1の金属が気化するとともに第2の
金属が保持されるように減圧下で加熱する第1の減圧加
熱工程と、前記残渣から気化した第1の金属を凝縮する
凝縮工程と、第1の金属を気化させた前記残渣に含まれ
る第2の金属が溶融するように減圧下で加熱する第2の
減圧加熱工程とを具備したことを特徴とする。
【0041】請求項6に記載の本発明の処理方法は、第
2の減圧加熱工程で、第1の金属を気化させた前記残渣
に含まれる第2の金属が溶融してその表面張力により凝
集するように減圧下で加熱することを特徴とする。
【0042】請求項7に記載の本発明の処理方法は、樹
脂と金属を構成材の一部として有し、接合金属で接合さ
れた第1の部分と第2の部分とを有する物体前記接合金
属を保持して熱分解する熱分解工程と、前記物体から生
じたガス状排出物をダイオキシンが分解するような第2
の温度で改質する改質工程と、改質された前記ガス状排
出物中のダイオキシン濃度の増加が抑制されるように、
前記ガス状排出物を第3の温度まで急冷する冷却工程
と、前記物体の熱分解により生じた残渣を、前記接合金
属が気化するように減圧下で加熱する減圧加熱工程とを
具備したことを特徴とする。
【0043】また、本発明の処理方法は、前記冷却手段
で冷却された前記ガス状排出物を中和する中和工程をさ
らに具備するようにしてもよい。
【0044】前記熱分解工程は酸素濃度を制御するなど
して非酸化雰囲気ないしは還元性雰囲気中で行うように
すればよい。
【0045】また前記冷却工程は第3の温度までできる
だけ短時間にできれば約10秒以内に冷却することが好
ましい。
【0046】また、第1の温度は約250〜約500℃
に設定することが好適である。また、第2の温度は少な
くとも約800℃より高い温度、より好ましくは少なく
とも1000℃より高い温度、さらに好ましくは120
0℃よりも高い温度に設定することが好適である。
【0047】また、第3の温度は少なくとも150℃よ
り低い温度、より好ましくは少なくとも100℃より低
い温度、さらに好ましくは35℃よりも低い温度に設定
することが好適である。このように処理対象物体から排
出させたガス状排出物をダイオキシンが分解するような
高温で改質、熱分解し、この状態からダイオキシンが生
成、再合成される温度領域での滞留時間をできるだけ短
くして、ダイオキシンが生成、再合成されない第3の温
度まで急冷することにより、ガス状排出物中のダイオキ
シン濃度が大きく低減される。また、第1の熱分解、第
2の熱分解または改質を第1の温度と第2の温度の2段
階で処理すると同時にこれらを還元性雰囲気で行うこと
により、ダイオキシンの発生源濃度は大幅に低減され
る。
【0048】ここで、第2の温度はダイオキシンが分解
するような温度であり、ダイオキシンだけでなくガス状
排出物に含まれる他の化合物も分解されることになる。
したがって本発明ではダイオキシンだけでなく、ハロゲ
ン化炭化水素、PCBなども分解し、無害化することが
できる。
【0049】すなわち本発明は、樹脂と金属とを構成材
として有する物体を処理するために、樹脂を分解する手
段と、処理対象物体から生じたガス状排出物をさらに熱
分解する手段と、このガスをダイオキシンが合成されな
いように急冷する冷却手段と、熱分解残渣から金属を減
圧下で気化、または液化して回収する手段とを備えたも
のである。ここで、樹脂は合成樹脂でもよいし天然樹脂
でもよく、またこれらの混合物でもよい。またここで金
属とは、特に説明しない場合には、処理対象物体に含有
される金属の総称であり、ある特定の金属元素に限るこ
とはない。
【0050】第1の熱分解手段は、処理対象物体が酸素
濃度制御下で熱分解されるような第1の温度で熱分解す
るものであり、例えばシュレッダーダスト、廃回路基板
などからガス状排出物を抽出する。ここでガス状排出物
とは、基本的には排出ガスからなるが、この排出ガスに
混入する固体状微粒子、液体状微粒子などを含む場合を
排除しない。
【0051】第1の熱分解手段の第1の温度を調節する
温度調節手段としては、加熱手段と温度測定手段を用い
るようにすればよい。加熱手段としては、各種対流加
熱、輻射加熱などを必要に応じて選択し、又は組合わせ
て用いるようにすればよい。例えばシーズヒーターなど
の抵抗加熱を用いるようにしてもよいし、ガス、重油や
軽油などをチャンバ外で燃焼させるようにしてもよい。
さらに、処理対象物体の樹脂などから排出されるガスを
改質、無害化、中和したうえで燃料ガスとして、第1の
熱分解手段はじめとする本発明の処理装置の熱源として
再利用するようにしてもよい。また例えば上述のように
して得たクリーンば燃料ガスをガスタービン発電機に導
入して電力に変換し、この電力により第1の熱分解手段
をはじめとする本発明の処理装置の運転に用いるように
してもよい。
【0052】温度測定手段としては各種温度センサを用
いるようにすればよい。第1の温度は、処理対象物体の
樹脂が熱分解するとともに、処理対象物体の金属ができ
るだけ酸化されないように設定するようにすればよい
が、後述するように、ダイオキシンの発生源を多段階で
絶つために、第1の熱分解手段を還元性条件に保つこと
が好適である。例えば、塩素を含む芳香族系炭化水素化
合物を還元性条件下で熱分解することにより、この芳香
族系炭化水素化合物の塩素はHCl等に分解される。し
たがってダイオキシンの発生が抑制される。
【0053】なお本発明では特に説明しないかぎり、ポ
リ塩化ダイベンゾパラダイオキシン(Polychlo
rinated dibenzo−p−dioxin
s:PCCDs)、ポリ塩化ダイベンゾフラン(Pol
ychlorinated dibenzofuran
s:PCDFs)およびこれらの塩素数および置換位置
の異なる同族体を総称してダイオキシンという。
【0054】したがって第1の熱分解手段は、処理対象
物体に含まれる金属が実質的に酸化しないように、より
好ましくは還元性雰囲気に保つことが好ましいから、温
度調節手段と酸素濃度調節手段とを備えることが好適で
ある。一般に処理対象物が複雑である場合には、処理中
に、処理対象物体が部分的に酸化されることがあり得る
が、第1の熱分解手段が全体として還元性雰囲気に保持
されればよい。
【0055】酸素濃度調節手段は例えば酸素濃度測定手
段である酸素濃度センサとキャリアガス導入系とを用い
るようにしてもよい。
【0056】酸素濃度センサは例えばジルコニア(酸化
ジルコニウム)を採用したいわゆるジルコニアセンサを
用いるようにしてもよいし、赤外分光法で例えばCOと
CO2 の吸収を測定するようにしてもよい。さらに、G
C−MSを用いるようにしてもよく、必要に応じて選択
し、あるいは組合わせて用いるようにすればよい。
【0057】キャリアガスガスとしては例えばArなど
の希ガスを用いるようにしてもよい。また、このキャリ
アガスにより、第1の熱分解手段内の酸素濃度が調節さ
れるだけでなくガスを効率的に改質手段または第2の熱
分解手段へ導くこともできる。さらに、圧力調節手段と
兼ねるようにしてもよい。
【0058】また、第1の熱分解手段の前段にシュレッ
ダーを設けるようにしてもよい。装置外部から持ち込ま
れた処理対象物体をシュレッダーで破砕、分別してから
第1の熱分解手段に導入するようにしてもよいし、破砕
せずに第1の熱分解手段に導入するようにしてもよい。
処理対象物体が廃回路基板の場合には破砕せずに第1の
熱分解手段に導入することが好適である。
【0059】処理対象物体が導入された第1の熱分解手
段内は、処理対象物体中の金属の状態はできるだけ酸化
されないように、また樹脂の熱分解に際して有機化合物
と結合した塩素ができる限る無機化されるように、温度
・酸素濃度条件を調節するようにすればよい。この温
度、酸素濃度条件はあらかじめ設定しておくようにして
もよいし、温度や酸素濃度の測定値を加熱手段、酸素濃
度調節手段などにフィードバックして制御するようにし
てもよい。酸素濃度を測定する必要がある場合には例え
ばジルコニアセンサなどを用いるようすればよい。
【0060】また第1の熱分解手段のチャンバ内の圧力
を制御するようにしてもよい。例えば第1の熱分解手段
内を減圧すると、酸素濃度も低下し加熱により処理対象
物体が急激に酸化されることはない。また加熱により樹
脂から大量の分解生成ガスが発生するが、一般的に樹脂
は分解してもほとんど酸素を発生しない。さらに、樹脂
の分解生成物も容易に気化される。
【0061】一方、減圧すると気密領域内の熱伝導率は
低下する。しかし第1の熱分解手段内が非酸化雰囲気で
あれば、大気圧下または加圧下でも処理対象物体は酸化
されない。したがって第1の熱分解手段内が非酸化雰囲
気であれば、加圧が可能であり系内の熱伝導率が向上す
る。
【0062】ここで、処理対象物体から排出されたガス
状排出物の処理を行うガス状排出物処理系について説明
する。ガス状排出物処理系は、第1の熱分解手段で処理
対象物体から排出されたガス状排出物を処理するもので
あり、改質手段または第2の熱分解手段、冷却手段から
その主要部が構成されている。冷却手段で処理したガス
状排出物は必要に応じて中和、ろ過、洗浄等の後処理を
行うことによりクリーンな燃料ガスとして利用される。
【0063】改質手段は、第1の加熱手段に接続して配
設され、第1の熱分解手段内で処理対象物体から排出さ
れたガス状排出物を、第1の温度よりも高い第2の温度
で改質するものである。ここで改質とは、処理対象物体
から排出されたガス状排出物に含有される炭化水素系化
合物を、より低分子の水素、メタン、一酸化炭素などに
変化させることをいう。また、水素化精製処理(kyd
roreforming)なども行うようにしてもよ
い。系内を還元性条件に保って改質することは前述のよ
うにダイオキシンの発生源を断つという観点からも好適
である。また、改質手段内が還元性雰囲気に保たれるな
らば、改質手段内に少量の空気を導入するようにしても
よい。改質手段としては熱改質手段だけでなく、これに
加えて例えば触媒を用いる接触改質手段も備えるように
してもよい。触媒としては、例えばシリカ・アルミナや
ゼオライト(アルミノケイ酸塩)などの固体酸にPt、
Reなどの金属を担持させて用いるようにしてもよい。
【0064】また、改質手段に変えて、第1の熱分解手
段と接続した、ガス状排出物を還元性雰囲気で熱分解す
る第2の熱分解手段を備えるようにしてもよい。
【0065】改質手段、第2の熱分解手段を第1の熱分
解手段と分離することにより、第1の温度より高い第2
の温度で処理対象物体からのガス状排出物を処理するこ
とができ、ガス状排出物の改質、塩素の無機化が効果的
に行われる。
【0066】改質手段または第2の熱分解手段は、処理
対象物体に直接的または間接的に由来するダイオキシン
ができるだけ分解するような条件を保つことが望まし
い。例えば第2の温度を800℃程度に設定することに
よりかなりのダイオキシンを分解することができる。ま
た第2の温度を1000℃以上、より好ましくは120
0℃以上に設定することにより、さらに効果的にダイオ
キシンを分解することができる。この改質手段は、ダイ
オキシンが分解するような第2の温度で行われるから、
この第2の温度でガス状排出物の熱分解も同時に生じる
ことになる。
【0067】処理対象物体から排出されたガス状排出物
に含有される炭化水素系化合物は、改質手段で改質され
ることにより、また第2の熱分解手段により熱分解され
ることにより低分子化され水素、メタン、一酸化炭素な
どに変化する。また、ガス状排出物にダイオキシンが含
まれる場合にはこのダイオキシンの殆どは分解される。
さらに、有機塩素は無機化され、ダイオキシンの再合成
が抑制される。
【0068】改質手段または第2の熱分解手段は、例え
ばコークスを充填したチャンバ内に、第1の熱分解手段
からのガス状排出物と、少量の空気とを導入することに
より、還元性雰囲気かつダイオキシンが分解するような
温度条件を形成するようにしてもよい。また、前述のよ
うに燃料ガスと空気とを燃焼させてチャンバをダイオキ
シンが分解するような温度に加熱し、このチャンバ内に
第1の熱分解手段からのガス状排出物を導入するように
してもよい。
【0069】またチャンバ内に例えば前述したような触
媒などの接触分解手段を備えるようにしてもよい。
【0070】また、必要に応じて、改質手段または第2
の熱分解手段に、系内の温度、酸素濃度を調節するため
の温度調節手段と酸素濃度測定手段を備えるようにして
もよい。酸素濃度調節手段としては前述のような酸素濃
度センサとキャリアガス導入系とを用いるようにしても
よい。さらに、水素ガスリザバを接続するようにしても
よいし、Arなどの不活性ガスリザバを接続するように
してもよい。
【0071】このように処理対象物体から排出されたガ
ス状排出物に含有されるガス状排出物は改質手段または
第2の熱分解手段により低分子化され、水素、メタン、
一酸化炭素などに変化する。
【0072】第1の熱分解手段、改質手段または第2の
熱分解手段、冷却手段はガス状排出物に塩素などが含ま
れるこの場合、塩素ガスによる容器、配管等の腐食が激
しいので、装置は必要に応じてステンレス鋼のかわりに
ハステロイやチタン合金等を使用するようにしてもよ
い。
【0073】本発明の処理装置においては、改質手段ま
たは第2の熱分解手段と接続して配設され、第2の温度
で改質または熱分解されたガス状排出物を、このガス状
排出物中のダイオキシン濃度の増加が抑制されるよう
に、第3の温度まで急冷する急冷手段を備えている。
【0074】すなわち、改質手段または第2の熱分解手
段において、第2の温度で改質または熱分解されたガス
状排出物中のダイオキシン濃度は、第2の温度がダイオ
キシンが分解するような温度であること、この温度で分
解、あるいは改質される炭化水素系化合物の塩素は還元
性雰囲気によりされ無機化されることから極めて低いも
のである。したがって、この状態からのダイオキシンの
生成、再合成が生じないように、ガス状排出物中のダイ
オキシン濃度の増加ができるかぎり抑制されるように第
3の温度まで急冷するようにするのである。第3の温度
は、ダイオキシンの生成反応が生じないような温度に設
定すればよい。例えばダイオキシンが分解している状態
のガス状排出物(改質手段または第2の熱分解手段にお
ける温度と同じでなくとも、ダイオキシンが分解するよ
うな温度であればよい)から150℃以下、好ましくは
100℃以下、さらに好ましくは50℃以下に急冷する
ことによりダイオキシンの生成、再合成が抑制される。
このときガス状排出物を第3の温度までできるだけ短時
間で冷却することが好ましい。これは約200℃〜約4
00℃ではダイオキシンが生成、再合成されやすいため
であり、ガス状排出物を第3の温度まで急冷してダイオ
キシンが生成、再合成されやすい温度範囲に滞留する時
間を短くすることにより、より効果的にガス状排出物中
のダイオキシン濃度を抑制することができる。したがっ
て冷却手段におけるガス状排出物の冷却は好ましくは約
10秒程度以内で急冷することが好ましい。
【0075】このような冷却手段としては、ガス状排出
物に水、冷却油などの冷媒を直接噴射して接触冷却する
ようにしてもよい。このときガス状排出物に石灰粉末な
どのアルカリ性粉末を噴射するようにすれば、ガス状排
出物は中和される。また例えばガス状排出物中のHCl
は、石灰粉末と接触して固体表面に拡散されるからダイ
オキシンの生成、再合成を抑制することもできる。
【0076】上述したように第1の熱分解手段、改質手
段または第2の熱分解手段、冷却手段により、処理対象
物体からのガス状排出物は水素、メタン、一酸化炭素等
に変化し、また、ガス状排出物中のダイオキシン濃度も
大きく低減される。本発明においては処理対象物体の分
解、処理対象物体からのガス状排出物の分解を第1の熱
分解手段と、改質手段または第2の熱分解手段という複
数段階で処理することにより、そして、このような分解
手段を還元性条件に保つことにより、ダイオキシンの発
生が抑制される。
【0077】冷却手段で冷却されたガス状排出物に、ハ
ロゲン化物、SOx 、NOx などが含まれている場合に
は、洗浄手段、脱硫手段などによりガス状排出物の洗
浄、脱硫を行うようにしてもよい。さらに活性炭を用い
たフィルタ手段を備えるようにしてもよい。また、冷却
手段で冷却されたガス状排出物を例えばバグフィルター
などの中和反応ろ過手段に導入するようにしてもよい。
冷却手段と中和反応ろ過手段との間に、ドライベンチュ
リーなどにより消石灰、ろ過助剤(例えばゼオライト、
活性炭などの空隙率の高い粒子)などをガス状排出物の
気流に吹き込むようにしてもよい。
【0078】このように処理した、処理対象物体から排
出されたガス状排出物は第1の熱分解手段の加熱の熱源
として用いるようにしてもよいし、ガスタービン発電機
に供給して電力を得るようにしてもよい。さらにこの電
力を本発明の処理装置の熱源その他に用いるようにして
もよい。
【0079】つぎに、第1の熱分解手段で熱分解した処
理対象物体の熱分解残渣の処理について説明する。
【0080】本発明の処理装置は、樹脂と金属とを構成
材の一部として有する物体を処理するために、前述した
樹脂を分解して回収する手段と、金属を分離、回収する
手段とを備えたものであり、減圧加熱手段は、第1の熱
分解手段で熱分解した処理対象物体の残渣から金属を分
離、回収する手段である。
【0081】第1の熱分解手段で処理対象物体の樹脂成
分はほとんど分解し、前述のようにガス状排出物は処理
される。また、第1の熱分解手段内は酸素濃度が制御さ
れており、処理対象物体中の金属は実質的に酸化される
ことなく、またほとんど気化することなく処理対象物体
に保持されている。一方、処理対象物体の樹脂の多くは
熱分解の結果炭化物として残っている。本発明では第1
の熱分解手段で処理した処理対象物体を第1の熱分解手
段から減圧加熱手段へ移送する。
【0082】本発明の処理装置が備える減圧加熱手段
は、第1の熱分解手段と開閉可能な隔壁によって隔てら
れた物体中の金属を選択的に気化する温度調節手段と圧
力調節手段とを備えた第1の気密領域と、第1の気密領
域に接続された物体から気化した金属を回収する第1の
回収手段とを具備している。
【0083】温度調節手段としては、加熱手段と温度測
定手段を用いるようにすればよい。加熱手段としては、
各種対流加熱、輻射加熱などを必要に応じて選択し、又
は組合わせて用いるようにすればよい。熱源はガス状排
出物を処理して得た燃料ガスやこの燃料ガスで発電した
電力を熱源として用いるようにしてもよい。例えばシー
ズヒーターなどの抵抗加熱を用いるようにしてもよい
し、重油や軽油などを燃焼させるようにしてもよい。さ
らに誘導加熱手段を用いるようにしてもよい。温度測定
手段としては各種温度センサを用いるようにすればよ
い。
【0084】第1の熱分解手段では処理対象物体中の金
属がほとんど酸化したり気化しないような温度圧力条件
で処理対象物体を熱分解し、主として気化(油化してか
ら気化したものも含む)あるいは炭化する。そしてガス
状排出物は前述のように改質手段または第2の熱分解手
段で処理される。
【0085】衡状態が変化することがあり得る。例えば
ガス状排出物中に、処理対象物体の構成金属などが混入
した場合には、冷却工程、バグフィルター、あるいは経
路内に必要に応じてサイクロン分離手段などを備えて回
収し、第1の熱分解手段の熱分解残渣とともに減圧加熱
手段で処理するようにすればよい。
【0086】圧力調節手段としては、排気手段または加
圧手段と圧力測定手段を用いるようにすればよい。排気
手段は例えばロータリーポンプ、油拡散ポンプ、ブース
ターポンプなど各種真空ポンプを用いるようにすればよ
い。加圧手段としては例えばガスリザバーから気体を系
内に導入するようにしてもよい。圧力測定手段はブルド
ン管やピラニーゲージなどを測定する真空度などに応じ
て用いるようにすればよい。
【0087】また、第1の熱分解手段と減圧加熱手段の
第1の気密領域との間に、第1の気密領域と接続してパ
ージ領域を設けるようにしてもよい。パージ領域には排
気系または加圧系などの圧力調節手段、処理対象物体の
予熱または冷却のための温度調節手段を設けるようにし
てもよい。さらに、系内のガス置換のためのキャリアガ
ス導入系を設けるようにしてもよく、このキャリアガス
導入系は加圧系と兼ねるようにしてもよい。
【0088】処理対象物体は熱分解手段からパージ領域
を経て第1の気密領域に導入される。 パージ領域を設
けることにより、第1の気密領域への処理対象物体の導
入の際に、第1の気密領域は装置外部から隔離される。
また、第1の気密領域内を常に排気し減圧状態を保てる
ため真空ポンプの負担が軽減される。
【0089】減圧加熱手段は複数の気密領域を備えるよ
うにしてもよい。例えば第1の気密領域と接続して第2
の気密領域を備えるようにしてもよい。
【0090】また、第1の気密領域または第2の気密領
域に隣接してパージ領域を設けるようにしてもよい。処
理対象物体は第1の気密領域または第2の気密領域から
パージ領域を経て装置外部へ取り出される。
【0091】第2の気密領域の後段にパージ領域を設け
ることにより、処理対象物体を第1または第2の気密領
域から取り出す際に、第1または第2の気密領域は装置
外部から隔離される。したがって、第1または第2の気
密領域内を常に排気し減圧状態を保てるため真空ポンプ
の負担が軽減される。また、加熱した処理対象物体の温
度が、大気圧下でも酸化されない温度に冷却されるま
で、物体を外気から遮断して保持することもできる。
【0092】すなわちパージ領域は減圧加熱手段保全の
観点からも処理対象物保全の観点からも、減圧加熱手段
外部と第1および第2の気密領域とのバッファ領域とし
て機能する。
【0093】この減圧加熱手段が備える第1の気密領域
と第2の気密領域とは開閉可能な隔壁によって隔てられ
ている。この隔壁はそれぞれの領域の気密性を保つとと
もに、それぞれの領域の断熱性を保つものである。例え
ば気密性を保つ真空扉と、断熱性を保つ断熱扉を組合わ
せて用いるようにしてもよい。第1のおよび第2の気密
領域を、断熱扉−真空扉−断熱扉といった隔壁で隔てる
ようにすれば、それぞれの領域の気密性と断熱性とが保
たれる。このように真空扉と、この真空扉が隔てる領域
との間に断熱扉を配設することにより、真空扉に大きな
熱的負荷がかかる場合であっても真空扉を熱的負荷から
保護することができる。この場合には第1および第2の
気密領域の熱から真空扉が保護される。
【0094】このような隔壁は当然ながら減圧加熱手段
外部とパージ領域との間、パージ領域と第1の気密領域
との間、第2の気密領域とパージ領域との間にも配設さ
れるが、それぞれどのような隔壁を配設するかは必要に
応じて設計するようにすればよい。例えばパージ室の熱
的負荷が小さい場合には真空扉を配設するようにすれば
よい。
【0095】処理対象物体の熱分解残渣または処理対象
物体のガス状排出物から分離された固体状排出物が導入
された第1の気密領域内は、処理対象物体中の金属が気
化するように温度圧力条件が調節される。この温度圧力
条件はあらかじめ設定しておくようにしてもよいし、温
度や圧力の測定値を加熱手段、圧力調節手段などにフィ
ードバックして制御するようにしてもよい。第2の気密
領域についても同様である。
【0096】処理対象物体が導入された第1の気密領域
内は、処理対象物体中の金属が気化するように温度圧力
条件が調節される。第1の気密領域内を減圧すると、処
理対象物体中の金属は、常圧下よりも低い温度で蒸発す
る。また、酸素濃度も低下し第1の気密領域内は非酸化
雰囲気になるから、気化した金属の金属状態は保たれ
る。
【0097】例えば、Znの760Torrにおける沸
点は1203Kであるが、1Torrでの沸点は743
K、10-4Torrでの沸点は533Kである。
【0098】また、例えばPbの760Torr(1a
tm)における沸点は2017Kであるが、10-1To
rrでの沸点は1100K、10-3Torrでの沸点は
900Kである。
【0099】このように第1の気密領域内で金属は温度
圧力条件にしたがって選択的に気化する。
【0100】また、第1の気密領域に導入されたとき、
処理対象物体の樹脂のほとんどは炭化物となっているか
ら、処理対象物体から金属を気化させても分解生成ガス
はほとんど発生しない。したがって気化した金属は金属
状態のまま高い純度で回収され、また真空ポンプの負荷
も軽減される。
【0101】凝縮手段は、このように第1の気密領域で
気化した金属を凝縮させて回収するものである。
【0102】例えば第1の気密領域に排気系を有する回
収チャンバを接続し、このチャンバ内で気化した金属を
融点以下に冷却して凝縮させ回収するようにしてもよ
い。回収チャンバ内を例えば向流構造や螺旋構造にする
ようにしてもよい。あるいは回収チャンバと第1の気密
領域との間、回収チャンバと排気系との間にバルブや開
閉可能な隔壁を設けるようにしてもよい。すなわち処理
対象物体から気化した金属が回収チャンバ内に導入され
たら、回収チャンバを閉鎖して冷却し、金属を凝縮させ
て回収するようにしてもよい。
【0103】気化した金属を連続的に凝縮、回収する場
合でも、バッチ処理で凝縮、回収する場合でも、回収チ
ャンバ内の気化した金属の滞留時間が長くなれば回収効
率は高まる。
【0104】また、第1の気密領域内にN2 や希ガスを
キャリアガスとして導入するようにしてもよい。気化し
た金属はキャリアガスにより回収チャンバに効率的に導
入される。
【0105】凝縮手段は複数系統備えるようにしてもよ
い。複数の凝縮手段で同じ金属を回収するようにしても
よいし、第1の気密領域内の温度と圧力を段階的に調節
して複数の金属をそれぞれ選択的に気化させ、複数系統
の凝縮手段を切り換えて回収するようにしてもよい。
【0106】また凝縮手段は多段に接続するようにして
もよい。
【0107】このように本発明の処理装置が備える減圧
加熱手段は樹脂と金属とを構成材として有する物体を処
理するものである。本発明の処理装置が備える減圧加熱
手段は、処理対象物体の構成樹脂を分解する第1の熱分
解手段を、処理対象物体の構成金属を気化する減圧加熱
手段の前段に備えることにより、樹脂と金属とを構成材
として有する物体の処理を可能にしたものである。熱分
解手段内から排出される処理対象物体からのガス状排出
物は、第1の熱分解手段に接続した改質手段または第2
の熱分解手段、冷却手段により前述のようにしょりされ
る。したがって、減圧加熱手段で、金属が気化するよう
な十分な加熱と減圧を行うことができる。 また、第1
の熱分解手段内では、処理対象物体の金属があまり酸化
したり気化しないような条件で処理対象物体を分解する
から、減圧加熱手段では金属は効果的に処理対象物体か
ら分離回収される。
【0108】本発明の処理装置が備える減圧加熱手段
は、処理対象物体から、この処理対象物体に含まれる金
属を気化させるする温度調節手段と圧力調節手段とを備
えた第1の熱分解手段と、第1の気密領域と開閉可能な
隔壁によって隔てられた処理対象物体中の金属を選択的
に気化する温度調節手段と圧力調節手段とを備えた第2
の気密領域と、第1の気密領域に接続され、処理対象物
体から気化させた金属を凝縮させる凝縮手段と、第2の
気密領域に接続され、処理対象物体から気化した金属を
回収する第2の回収手段とを具備するようにしてもよ
い。
【0109】このように減圧加熱手段は、第1の熱分解
手段の熱分解残渣などの処理対象物体などに含まれる金
属を気化させる気密領域は複数備えるようにしてもよ
い。すなわち、第1の金属と第2の金属とを構成材とし
て有する物体を処理する際に、第1の熱分解手段では第
1および第2の金属があまり酸化されないように処理対
象物体を熱分解する温度調節手段と酸素濃度調節手段と
を備え、この第1の熱分解手段と開閉可能な隔壁によっ
て隔てられた処理対象物体中の第1の金属を選択的に気
化する温度調節手段と圧力調節手段とを備えた第1の気
密領域と、第1の気密領域と開閉可能な隔壁によって隔
てられた物体中の第2の金属を選択的に気化する温度調
節手段と圧力調節手段とを備えた第2の気密領域と、第
1の気密領域に接続された物体から気化した第1の金属
を凝縮させる第1の凝縮手段と、第2の気密領域に接続
され、処理対象物体から気化した第2の金属を回収する
第2の凝縮手段とを具備しするようにしてもよい。この
減圧加熱手段の特徴は、第2の気密領域を複数備えたこ
とにある。第2の気密領域を複数備えることにより、物
体中に含まれる複数の金属はそれぞれ選択的に気化さ
れ、凝縮回収される。
【0110】また本発明の処理装置が備える減圧加熱手
段は、温度調節手段と圧力調節手段とを備えた1個の気
密領域と、この気密容器に接続して配設された、処理対
象物体中の第1の金属が選択的に気化するように気密容
器内の温度と圧力とを調節したとき物体から気化した第
1の金属を回収する第1の凝縮手段と、気密容器に接続
して配設された、物体中の第2の金属が選択的に気化す
るように気密容器内の温度と圧力とを調節したとき物体
から気化した第2の金属を回収する第2の凝縮手段とを
具備するようにしてもよい。前述した減圧加熱手段が、
気密容器内の温度、圧力、酸素濃度条件など条件の異な
る複数の気密領域を備えたものであるのに対し、この減
圧加熱手段は1つの気密容器内の条件に応じた複数の凝
縮手段を備えた処理装置が備える減圧加熱手段である。
【0111】気密容器内の温度調節手段、すなわち処理
対象物体の温度調節手段は、前述と同様加熱手段と温度
センサを用いるようにすればよい。加熱についても対
流、輻射など各種加熱手段を必要に応じて選択または組
合わせて用いるようにしてもよい。圧力調節手段につい
ても前述減圧加熱手段同様に、排気手段、加圧手段と圧
力測定手段を用いるようにすればよい。排気手段は例え
ばロータリーポンプ、油拡散ポンプ、ブースターポンプ
など各種真空ポンプを用いるようにすればよい。加圧手
段としては例えばガスリザバーから気体を系内に導入す
るようにしてもよい。圧力測定手段はブルドン管やピラ
ニーゲージなどを測定する真空度などに応じて用いるよ
うにすればよい。凝縮手段についても前述同様に備える
ようにすればよい。
【0112】また第1、第2の凝縮手段としては、例え
ば気密領域に排気系を有する回収チャンバを接続し、こ
のチャンバ内で気化した金属を融点以下に冷却して凝縮
させ回収するようにしてもよい。回収チャンバ内を例え
ば向流構造や螺旋構造にするようにしてもよい。あるい
は回収チャンバと第1、第2の気密領域との間、回収チ
ャンバと排気系との間にバルブや開閉可能な隔壁を設け
るようにしてもよい。すなわち処理対象物体から気化し
た金属が回収チャンバ内に導入されたら、回収チャンバ
を閉鎖して冷却し、金属を凝縮させて回収するようにし
てもよい。
【0113】例えば鉛が含まれる処理対象物体を減圧加
熱手段に保持し、減圧加熱手段内の温度を調節する温度
調節手段と、減圧加熱手段の圧力を調節する圧力調節手
段と、減圧加熱手段内の温度と圧力とを処理対象物体中
の鉛が選択的に気化するように温度調節手段と圧力調節
手段とを制御する制御手段と、減圧加熱手段に接続し
た、処理対象物体から気化した鉛を凝縮させる回収手段
を具備するようにすれば、処理対象物体の熱分解残渣
(ガス状排出物から分離された固体状、液体状成分を含
む)から鉛を回収することができる。
【0114】この処理装置の減圧加熱手段は、処理対象
物体を気密容器内に導入し、気密容器内の温度、圧力あ
るいは酸素濃度を調節して、処理対象物体中の鉛を選択
的に気化させて、処理対象物体から分離、回収すること
にある。さらに鉛以外の金属についても、この金属が選
択的に気化するような所定の温度、圧力条件に気密容器
内を制御して、処理対象物体から分離、回収するように
してもよい。
【0115】また、処理対象物体が鉛と樹脂とを含む場
合であっても、第1の熱分解手段において、まず、鉛が
気化したり、あまり酸化したりしないような条件で処理
対象物体を熱分解することにより、樹脂部分を分解(ガ
ス化、油化、炭化物化)し、ついで減圧加熱手段で鉛を
選択的に気化させ、気化した鉛を金属状態で回収するこ
とができる。第1の熱分解手段で処理対象物体の構成樹
脂を熱分解しておくことにより、処理対象物体中の鉛を
積極的に回収することができる。
【0116】そして本発明の処理装置は、このような温
度調節手段、圧力調節手段または酸素濃度調節手段を制
御する制御手段を備えるようにしてもよい。この制御手
段は例えば第1の熱分解手段内の温度、酸素濃度を、処
理対象物体中の金属が酸化されないように保持しながら
処理対象物体を熱分解するように、また、減圧加熱手段
中の金属が選択的に気化するように制御するものであ
る。この制御手段は気密領域の状態を、前述した温度セ
ンサ、圧力センサ、酸素濃度センサなどにより測定し、
この測定値を加熱手段、排気系、加圧系、キャリアガス
導入系などにフィードバックして気密容器内の状態を最
適化するようにしてもよい。
【0117】そして、このような制御は減圧加熱手段の
気密領域内の状態のパラメータを入力として、加熱手
段、排気系、加圧系、キャリアガス導入系などを気密容
器内の条件が最適化されるように操作する信号を出力と
するような制御装置を備えるようにしてもよい。この制
御回路はプログラムとして、制御装置の記憶手段内に格
納するようにしてもよい。これらの制御手段は、第1の
熱分解手段、改質手段、第2の熱分解手段、冷却手段な
どと統合して制御するようにしてもよい。
【0118】本発明の処理方法における熱分解工程は、
処理対象物体を酸素濃度制御下で加熱して処理対象物体
を熱分解する工程である。
【0119】プラスティックなどの樹脂は50℃程度か
ら溶融などが始まり、180〜500℃程度で分解し主
としてC1〜C16の炭化水素系ガスを排出する。これ
ら樹脂などの熱分解によって生じたガス状排出物は前述
したようダイオキシンが発生しないように処理され、燃
料ガスとしてリサイクルされる。
【0120】前述のようにこの処理対象物体の熱分解は
チャンバ内の酸素濃度を調節した状態で行うことが好ま
しい。酸素濃度はArなどのキャリアガスを導入して調
節するようにしてもよいし、第1の熱分解手段のチャン
バ内の全圧により調節するようにしてもよい。
【0121】第1の熱分解工程で酸素濃度を調節し、系
内を還元性雰囲気に保つことにより、鉛などの金属の酸
化を防止することができ、ダイオキシンの発生を抑制す
ることもできる。また、酸素濃度を全圧とは別に調節す
ることにより、第1の熱分解手段内の熱伝導率を低下さ
せずに金属の酸化を防止することができ、処理対象物体
の熱分解効率、ガス状排出物の回収効率が向上する。場
合によっては、Arなどのキャリアガスを導入して第1
の熱分解手段を加圧して、樹脂を分解するようにしても
よい。
【0122】第1の熱分解手段では、処理対象物体中の
樹脂は完全に熱分解することが好ましいが、減圧加熱手
段での金属の分離、回収に悪影響を及ぼさない程度に分
解することができればよい。処理対象物体中の水分や油
分は熱分解工程で処理対象物体からほとんど除去される
ため、金属を気化させる工程に悪影響を及ぼすことはな
い。
【0123】例えば鉛(金属)が760mmHgの蒸気
圧を示すのは約1745℃であるが、酸化鉛ではより低
い1472℃で760mmHgの蒸気圧を示す。したが
って、第1の熱分解手段の酸素濃度を制御することによ
り、金属鉛が酸化鉛に酸化するのを抑制して鉛の飛散を
防止し、減圧加熱手段でより積極的に鉛を回収すること
ができる。
【0124】このように処理対象物体中の金属があまり
酸化されないように維持しながら処理対象物体を熱分解
したなら、この処理対象物体を、熱分解した処理対象物
体に含まれる金属が気化するように減圧下で加熱し、金
属を処理対象物体中から分離、回収する。
【0125】処理対象物体中に複数の金属が含まれてい
る場合には、蒸気圧の差により目的金属を選択的に気化
させる。
【0126】例えば鉛が気化する温度はチャンバ内の圧
力によって変化する。大気圧下では例えば1400℃に
加熱した場合の鉛の蒸気圧は84mmHgであるのに対
し鉄、銅、スズの蒸気圧は1mmHgにも達しない。し
たがって、処理対象物体を1400℃程度に加熱するこ
とにより処理対象物体からほぼ鉛蒸気のみを選択的に発
生させることができる。
【0127】また、大気圧下では例えば1740℃での
鉛の蒸気圧は760mmHgであるのに対しスズの蒸気
圧は15mmHg、銅の蒸気圧は3mmHgにも達しな
い。したがって、物体を1740℃程度に加熱すること
により物体からほぼ鉛蒸気のみを選択的に発生させるこ
とができる。
【0128】また、気密容器内を減圧することによりさ
らに低い温度で処理対象物体中の金属を気化させること
ができる。
【0129】減圧加熱手段の気密領域内の圧力を10-1
Torrに調節すれば、ほぼ1100K程度に加熱する
ことにより、物体からほぼ鉛蒸気のみを選択的に発生さ
せることができる。また、気密領域内の圧力を10-3
orrに調節すれば、ほぼ900K程度に加熱すること
により、物体からほぼ鉛蒸気のみを選択的に発生させる
ことができる。さらに、気密領域内の圧力を10-4To
rrに調節すれば、ほぼ700K程度に加熱することに
より、物体からほぼ鉛蒸気のみを選択的に発生させるこ
とができる。このように選択的に発生させた鉛をはじめ
とする金属の蒸気は、その金属の融点以下に冷却した凝
縮手段などで、金属として回収する。
【0130】このように処理対象物体から気化させた金
属を凝縮、結晶化して回収する場合、装置内の蒸気鉛の
滞留時間を長く設定することで回収率は高くなる。した
がって凝縮手段の構造は向流構造あるいは螺旋構造にす
ることが好適である。
【0131】また、減圧加熱手段の気密領域から凝縮手
段へN2 や、Arなどの希ガスをキャリアガスとして流
すことにより、金属蒸気をより選択的に回収することが
できる。
【0132】第1の熱分解工程と、減圧加熱工程を連続
的に行うようにすれば、投入エネルギーを大きく抑制す
ることができる。すなわち、気体の熱伝導率は圧力低下
にしたがって減少するから、減圧加熱工程で気密容器内
を減圧するほど大きなエネルギーを投入する必要があ
る。本発明の処理装置、処理方法において、例えば第1
の熱分解手段と減圧加熱手段とを処理対象物体の冷却を
抑制するように接続し、第1の熱分解工程を金属を気化
させる減圧加熱手段の予備加熱段階として用いるように
すれば、減圧加熱工程で投入するエネルギーを大きく節
約することができる。また、第1の熱分解手段で加熱さ
れている処理対象物体が大気中で酸化、燃焼するのを防
止することもできる。例えば第1の熱分解手段と減圧加
熱手段の気密領域とを、パージ室を介して接続するよう
にしてもよい。
【0133】また本発明の処理装置が備える減圧加熱手
段は、金属で接合された第1の部分と第2の部分を有す
る処理対象物体を内部に保持する気密領域と、気密領域
内の温度を調節する温度調節手段と、気密領域内の圧力
を調節する圧力調節手段と、気密領域内の温度と圧力と
を金属が気化するように温度調節手段と圧力調節手段と
を制御する制御手段とを備えるようにしてもよい。
【0134】また、第1の金属と第2の金属とを有する
合金で接合された第1の部分と第2の部分を有する処理
対象物体を内部に保持する気密領域と、気密領域内の温
度を調節する温度調節手段と、気密領域内の圧力を調節
する圧力調節手段と、気密領域内の温度と圧力とを合金
が気化するように温度調節手段と圧力調節手段とを制御
する制御手段とを具備するようにしてもよい。
【0135】例えばZn、Cd、Hg、Ga、In、T
l、Sn、Pb、Sb、Bi、AgまたはInのうち少
なくとも1つの元素を第1の金属として処理対象物体か
ら分離または回収するようにしてもよい。
【0136】また、気密領域内の温度、圧力、酸素濃度
を調節することにより、これ以外の金属についても金属
状態のまま分離、回収することができる(図13、図1
8、図19参照)。このことは特に述べない場合も、本
発明の全ての部分を通じて同様である。
【0137】第1の熱分解手段で熱分解した第1の部分
と第2の部分を有する処理対象物体の熱分解残渣を減圧
加熱手段の気密領域に導入してこの気密領域を密閉し、
第1の部分と第2の部分を有する処理対象物体とを接合
している金属が気化するように気密領域内の温度と圧力
とを調節するようにすればよい。
【0138】また接合金属が第1の金属と第2の金属と
を有する合金である場合には、まず合金中の第1の金属
が選択的に気化するように気密領域内の温度と圧力とを
調節し、つぎに、合金中の第2の金属が気化するように
気密領域内の温度と圧力とを調節するようにしてもよ
い。
【0139】例えば、第1の熱分解手段に、樹脂を構成
材として有する基板と、この基板と第1の金属と第2の
金属とを有する合金で接合された電子部品とからなる実
装基板を導入し、合金の第1および第2の金属が気化し
ないように、かつ樹脂が熱分解するように第1の熱分解
手段内の温度と酸素濃度とを制御する。そして実装基板
の熱分解残渣を減圧加熱手段に導入して、合金中の第1
の金属が選択的に気化するように減圧加熱手段の気密領
域内の温度と圧力とを制御し、ついで合金中の第2の金
属が気化するように気密領域内の温度と圧力とを制御す
るようにしてもよい。
【0140】このように本発明によれば、例えばプリン
ト基板と各種電子部品とがPb−Snなどのハンダ合金
などで接合された実装基板などのような、金属または合
金で接合された部分を有する処理対象物体の接合を解除
することができ、また、接合合金に例えば鉛などの有害
金属が含まれている場合でも、処理対象物体からこれら
金属を分離、回収することができる。
【0141】すなわち第1の熱分解手段で熱分解した処
理対象物体を減圧加熱手段の気密領域内に導入し、気密
領域内の温度、圧力、酸素濃度などを調節して、接合し
ている金属または合金を気化させることにより、接合を
解除することができる。気化した金属は回収するように
すればよい。
【0142】処理対象物体が樹脂を構成材として有する
場合には、まず樹脂部分を第1の熱分解手段で加熱分解
し、気化、油化、炭化する。この樹脂の分解は、第1の
熱分解手段内の温度、酸素濃度を金属があまり酸化した
り気化しないような条件に調節して行うようにすればよ
い。処理対象物体から金属が気化した場合でも、例えば
冷却手段などで凝縮、回収して減圧加熱手段に導入する
ようにしてもよい。
【0143】ついで気密領域内の温度、圧力を調節して
処理対象物体中の接合金属を選択的に気化させる。複数
の金属(元素)が処理対象物体中に含まれる場合には、
それぞれの金属に応じて気密領域内の温度、圧力を調節
し、金属毎に選択的に気化するようにすればよい。
【0144】実装基板以外にも金属または合金で接合さ
れた処理対象物体であれば、その接合を解除することが
できる。
【0145】例えば、本発明の処理装置に破砕せずに実
装基板を導入し、酸素濃度を調節しし鉛があまり酸化、
気化しないような温度で熱分解(例えば450〜500
℃程度)して、実装基板の構成樹脂を分解する。そして
熱分解した実装基板を減圧加熱手段に導入し、鉛が蒸発
するように加熱して鉛を気化させ(例えば10-3Tor
rではほぼ900K)、同様にスズを気化させて、実装
基板を電子部品と回路基板(電子部品を搭載する基板を
ここでは回路基板とよぶ)とに分離し、回収するように
してもよい。
【0146】鉛などの金属が第1の熱分解手段で気化し
ても、ガス状排出物の処理系に金属の分離手段を設ける
ようにすればよい。
【0147】また、例えば、本発明の処理装置に実装基
板を導入し、鉛を回収した後、さらに、例えば973K
程度まで加熱して、Zn、Sbなどを気化させ回収する
ようにしてもよい。
【0148】さらに例えば1773K程度まで加熱し
て、Au、Pt、Pd、Ta、Ni、Cr、Cu、A
l、Co、W、Moなどを気化させ回収するようにして
もよい。ハンダ合金はPb−Snに限ることはなく、例
えばAg−Sn、Zn−Sn、In−Sn、Bi−S
n、Sn−Ag−Bi、Sn−Ag−Bi−Cuなどの
ような、いわゆるPbフリーハンダでもよい。また、こ
れら以外の合金や、金属単体により接合されていてもよ
い。
【0149】また本発明によれば樹脂と金属とが一体化
した処理対象物体を効果的に処理することができるすな
わち、樹脂と金属とが一体化した処理対象物体を第1の
熱分解手段へ導入し、まず樹脂部分を加熱分解し、気
化、油化、炭化する。この樹脂の分解は、第1の熱分解
手段の温度、酸素濃度あるいは圧力を金属があまり酸化
したり気化しないような条件に調節して行うようにすれ
ばよい。
【0150】この操作のみでは未だ処理対象物体中から
金属を分離することが困難な場合には、ついで減圧加熱
手段に導入し、気密領域内の温度、圧力を調節して処理
対象物体中の金属を選択的に気化させる。複数の金属
(元素)が処理対象物体中に含まれる場合には、それぞ
れの金属に応じて気密領域内の温度、圧力を調節し、金
属毎に選択的に気化するようにすればよい。このよう
に、本発明装置および処理方法では、単に樹脂と金属と
を有する処理対象物体だけでなく、樹脂と金属が一体化
した処理対象物体も処理できる。このような樹脂と金属
とを有する処理対象物体としては、例えば、レトルト食
品などの包装容器などのプラスティックフィルムでラミ
ネートされたアルミニウム箔や、樹脂と銅・ニッケルな
どの金属が一体化したプリント基板、フレキシブル基板
あるいはTABのフィルムキャリア、IC、LSI、抵
抗器、あるいはシュレッダーダストなどを1例としてあ
げることができる。
【0151】処理対象物体の構成金属が、全体として酸
化したり気化したりしないようにするには、例えば、気
密領域内の圧力を制御して廃棄物を加熱するようにして
もよいし、気密領域内の酸素濃度を制御して処理対象物
体を加熱するようにしてもよい。酸素濃度を制御するに
は、気密領域内の全圧を調節することにより酸素分圧を
調節するようにしてもよいし、窒素ガス、希ガスなどの
ガスを気密領域内に導入して系内の酸素濃度を調節する
ようにしてもよい。処理対象物体の加熱により樹脂部分
の酸化が急速に進むと、すなわち燃えてしまうと、樹脂
部分と一体化している金属部分も酸化されて酸化物とな
り利用価値が低下するだけでなく、前述のようにダイオ
キシンの発生につながるのでので注意が必要である。
【0152】また金属部分が複数の金属からなっている
ような場合、さらに加熱し、元素ごとに選択的に蒸発さ
せて回収するようにしてもよい。
【0153】処理対象物体の樹脂の分解生成ガスは凝縮
させて回収するようにしてもよく、例えば油化装置など
で回収するようにしてもよい。水素ガスは吸着させるな
どして回収するようにすればよいし、またハロゲン化炭
化水素などが発生する場合には、例えば触媒などを用い
て分解するようにしてもよい。
【0154】また、樹脂がポリ塩化ビニル系の樹脂など
塩素を含む場合には、例えば第1の熱分解手段と、改質
手段または第2の熱分解手段との間、あるいは改質手段
または第2の熱分解手段と冷却手段との間などのガス状
排出物処理系で例えば高温に加熱した鉄と接触させハロ
ゲン化鉄として回収するようにしてもよい。
【0155】処理の1例として例えば、各種包装容器な
どに用いられているプラスティックフィルムでラミネー
トされたアルミニウム箔(樹脂被覆アルミニウム箔とい
う、以下、同じ)の処理について説明する。
【0156】第1の温度が400℃未満では樹脂部の炭
化・油化などの分解が不十分である。また、650℃以
上に加熱するとアルミニウムは溶融してしまうので、第
1の温度を約400〜650℃に設定して熱分解するこ
とにより、樹脂部分は分解(気化、油化、炭化)し、ア
ルミニウム箔は金属状態のまま回収される。
【0157】第1の熱分解手段内の圧力を10-2Tor
r程度以下に減圧し、あるいはArなどのガスを導入し
て酸素濃度を調節して熱分解すればさらに好適である。
第1の温度も550〜600℃に設定すればさらに好ま
しい。
【0158】また本発明は、樹脂と銅とが一体化した例
えば回路基板などの処理対象物体を処理することもでき
る。例えば樹脂と銅とが積層された回路基板を第1の熱
分解手段で熱分解し、樹脂成分を熱分解したのち減圧加
熱手段に導入する。減圧下で回路基板の銅が溶融し、そ
の表面張力で粒状に凝集するするように熱分解残渣をさ
らに加熱する。そして、この処理対象物体をパージ室を
介して減圧加熱手段から取り出すことにより、銅と炭化
物との分離が容易になる。
【0159】
【発明の実施の形態】以下に本発明について図を参照し
ながらさらに詳細に説明する。
【0160】(実施形態1)図1は本発明の処理装置の
1例を概略的に示す図である。図2は図1に例示した本
発明の処理装置の構成を模式的に示す図である。
【0161】この処理装置10は、樹脂と金属とを含有
する処理対象物体を第1の温度で熱分解する第1の熱分
解手段である熱分解炉20と、この熱分解炉2と接続し
て配設され、処理対象物体から生じたガス状排出物をダ
イオキシンが分解するような第2の温度で改質または熱
分解するガス分解器30と、ガス分解器30と接続して
配設され、第2の温度で改質されたガス状排出物中のダ
イオキシン濃度の増加が抑制されるように、ガス状排出
物を第3の温度まで急冷する冷却手段である冷却塔40
と、処理対象物体の熱分解により生じた残渣、ガス状排
出物から分離された固形物などを、この残渣に含まれる
金属が気化するように減圧下で加熱する減圧加熱炉50
と、残渣から気化した金属を凝縮する回収チャンバ60
とを具備したものである。
【0162】すなわち、本発明の処理装置は樹脂と金属
とを含有する処理対象物体を熱分解炉に導入して熱分解
し、処理対象物体から排出されたガス状排出物はガス分
解器、冷却塔から主要部が構成されるガス状排出物処理
系により処理して無害化、クリーンガス燃料化し、ガス
状排出物を排出した処理対象物体の熱分解残渣は減圧加
熱炉に導入して金属を分離回収するものである。
【0163】熱分解炉20は、処理対象物体が酸素濃度
制御下で熱分解されるような第1の温度で熱分解するも
のであり、例えばシュレッダーダスト、廃回路基板など
からガス状排出物を抽出する。ここでガス状排出物と
は、基本的には排出ガスからなるが、この排出ガスに混
入する固体状微粒子、液体状微粒子などを含む場合を排
除しない。
【0164】図3は、熱分解炉20の構造の1例を模式
的に示す図である。熱分解炉20は処理対象物体を熱分
解する熱分解チャンバ21と、熱分解チャンバ21を加
熱する燃焼チャンバ22とからなっており、燃料ガス配
管23から導入した燃料ガスを燃焼室24で燃焼させ、
この燃焼熱により熱分解チャンバ21内を加熱してい
る。熱分解炉20には図示しない温度調節手段と酸素濃
度調節手段が配設されており、熱分解チャンバ21内を
第1の温度に保つとともに、熱分解が還元性雰囲気で行
われるように酸素濃度を調節している。
【0165】熱分解炉20の第1の温度を調節する温度
調節手段としては、加熱手段と温度測定手段を用いるよ
うにすればよい。加熱手段としては、各種対流加熱、輻
射加熱などを必要に応じて選択し、又は組合わせて用い
るようにすればよい。例えばシーズヒーターなどの抵抗
加熱を用いるようにしてもよいし、ガス、重油や軽油な
どをチャンバ外で燃焼させるようにしてもよい。さら
に、処理対象物体の樹脂などから排出されるガスを改
質、無害化、中和したうえで燃料ガスとして、熱分解炉
20はじめとする本発明の処理装置の熱源として再利用
するようにしてもよい。また例えば上述のようにして得
たクリーンば燃料ガスをガスタービン発電機に導入して
電力に変換し、この電力により熱分解炉20をはじめと
する本発明の処理装置の運転に用いるようにしてもよ
い。
【0166】温度測定手段としては各種温度センサを用
いるようにすればよい。第1の温度は、処理対象物体の
樹脂が熱分解するとともに、処理対象物体の金属ができ
るだけ酸化されないように設定するようにすればよい
が、後述するように、ダイオキシンの発生源を多段階で
絶つために、熱分解炉20を還元性条件に保つことが好
適である。例えば、塩素を含む芳香族系炭化水素化合物
を還元性条件下で熱分解することにより、この芳香族系
炭化水素化合物の塩素はHCl等に分解される。したが
ってダイオキシンの発生が抑制される。
【0167】この熱分解炉20では処理対象物体を約2
50℃〜約600℃程度、より好ましくは400〜55
0℃程度の温度範囲で熱分解するようになっている。こ
の第1の温度は、処理対象物体の性質、構成などにより
必要に応じて調節するようにすればよい。熱分解炉20
の第1の温度を比較的低温に設定することにより、処理
対象物体の重金属などの気化を防ぐことができ。後段の
減圧加熱炉50でより効率的に分離回収することができ
る。また、熱分解炉20の負荷も低減され、耐用年数を
長くすることができ、処理コストを低減することができ
る。
【0168】酸素濃度調節手段は例えば酸素濃度測定手
段である酸素濃度センサとキャリアガス導入系とを用い
るようにしてもよい。
【0169】酸素濃度センサは例えばジルコニア(酸化
ジルコニウム)を採用したいわゆるジルコニアセンサを
用いるようにしてもよいし、赤外分光法で例えばCOと
CO2 の吸収を測定するようにしてもよい。さらに、G
C−MSを用いるようにしてもよく、必要に応じて選択
し、あるいは組合わせて用いるようにすればよい。
【0170】キャリアガスガスとしては例えばArなど
の希ガスを用いるようにしてもよい。また、このキャリ
アガスにより、熱分解炉20内の酸素濃度が調節される
だけでなくガスを効率的にガス分解器30へ導くことも
できる。さらに、圧力調節手段と兼ねるようにしてもよ
い。
【0171】なお熱分解炉20は、処理対象物体を酸素
濃度制御下で熱分解することができればよく、例えばロ
ータリーキルンなどを用いるようにしてもよい。
【0172】また、熱分解炉20の前段にシュレッダー
25を設けるようにしてもよい(図10参照)。装置外
部から持ち込まれた処理対象物体をシュレッダーで破
砕、分別してから熱分解炉20に導入するようにしても
よいし、破砕せずに熱分解炉20に導入するようにして
もよい。処理対象物体が廃回路基板の場合には破砕せず
に熱分解炉20に導入することが好適である。
【0173】処理対象物体が導入された熱分解炉20内
は、処理対象物体中の金属の状態はできるだけ酸化され
ないように、また樹脂の熱分解に際して有機化合物と結
合した塩素ができる限る無機化されるように、温度・酸
素濃度条件を調節するようにすればよい。この温度、酸
素濃度条件はあらかじめ設定しておくようにしてもよい
し、温度や酸素濃度の測定値を加熱手段、酸素濃度調節
手段などにフィードバックして制御するようにしてもよ
い。酸素濃度を測定する必要がある場合には例えばジル
コニアセンサなどを用いるようすればよい。
【0174】また、熱分解炉20の熱分解チャンバ21
内の圧力を制御するようにしてもよい。例えば熱分解チ
ャンバ21内を減圧すると、酸素濃度も低下し加熱によ
り処理対象物体が急激に酸化されることはない。また加
熱により樹脂から大量の分解生成ガスが発生するが、一
般的に樹脂は分解してもほとんど酸素を発生しない。さ
らに、樹脂の分解生成物も容易に気化される。
【0175】一方、減圧すると熱分解チャンバ21内の
熱伝導率は低下する。しかし熱分解炉20内が非酸化雰
囲気であれば、大気圧下または加圧下でも処理対象物体
は酸化されない。したがって熱分解チャンバ21内が非
酸化雰囲気であれば、加圧が可能であり系内の熱伝導率
が向上する。
【0176】処理対象物体から排出されるガス状排出物
は、配管を通じてガス分解器30へ導入される。図1に
例示した処理装置10では熱分解炉20とガス分解器3
0との間にガス状排出物中の塵などの固体状排出物を分
離するサイクロン分離器29が配設されているが、この
サイクロン分離器29は必要に応じて備えるようにして
もよい。
【0177】ガス分解器30は処理対象物体から排出さ
れたガス状排出物を、第1の温度よりも高い第2の温度
で熱分解または改質するものである。ここで熱分解また
は改質とは、処理対象物体から排出されたガス状排出物
に含有される炭化水素系化合物を、より低分子の水素、
メタン、一酸化炭素などに変化させることをいう。ま
た、水素化精製処理(kydroreforming)
なども行うようにしてもよい。系内を還元性条件に保っ
て改質することは前述のようにダイオキシンの発生源を
断つという観点からも好適である。また、ガス分解器3
0内が還元性雰囲気に保たれるならば、ガス分解器30
内に少量の空気を導入するようにしてもよい。ガス分解
器30では熱分解だけでなく、これに加えて例えば触媒
を用いる接触分解も行うようにしてもよい。触媒として
は、例えばシリカ・アルミナやゼオライト(アルミノケ
イ酸塩)などの固体酸にPt、Reなどの金属を担持さ
せて用いるようにしてもよい。
【0178】ガス分解器30を熱分解炉20と分離して
備えることにより、第1の温度より高い第2の温度で処
理対象物体からのガス状排出物を処理することができ、
ガス状排出物の改質、塩素の無機化が効果的に行うこと
ができる。
【0179】ガス分解器30は、処理対象物体に直接的
または間接的に由来するダイオキシンができるだけ分解
するような条件を保つことが望ましい。例えば第2の温
度を800℃程度に設定することによりかなりのダイオ
キシンを分解することができる。また第2の温度を10
00℃以上、より好ましくは1200℃以上に設定する
ことにより、さらに効果的にダイオキシンを分解するこ
とができる。このガス分解器30は、ダイオキシンが分
解するような第2の温度に設定されるから、この第2の
温度でガス状排出物の炭化水素の熱分解も同時に生じる
ことになる。
【0180】処理対象物体から排出されたガス状排出物
に含有される炭化水素系化合物は、ガス分解器30で改
質、熱分解されることにより、低分子化され水素、メタ
ン、一酸化炭素などに変化する。また、ガス状排出物に
ダイオキシンが含まれる場合にはこのダイオキシンの殆
どは分解される。さらに、有機塩素は無機化され、ダイ
オキシンの再合成が抑制される。
【0181】図4はガス分解器30の構造の1例を模式
的に示す図である。図4(a)に例示したガス分解器
は、コークスを充填したチャンバ内に、熱分解炉20か
らのガス状排出物と、少量の空気とを導入することによ
り、ガス状排出物を熱分解、改質するとともに、還元性
雰囲気かつダイオキシンが分解するような温度条件を形
成したものである。
【0182】図4(b)に例示したガス分解器は燃料ガ
スと空気とを燃焼させてチャンバをダイオキシンが分解
するような温度に加熱し、このチャンバ内に熱分解炉2
0からのガス状排出物を導入して、熱分解、改質するよ
うにしたものである。
【0183】ガス分解器30のチャンバ内には例えば前
述したような触媒などの接触分解手段を備えるようにし
てもよい。
【0184】また、必要に応じてガス分解器30にチャ
ンバ内の温度、酸素濃度を調節するための温度調節手段
と酸素濃度測定手段を備えるようにしてもよい。酸素濃
度調節手段としては前述のような酸素濃度センサとキャ
リアガス導入系とを用いるようにしてもよい。さらに、
水素ガスリザバを接続するようにしてもよいし、Arな
どの不活性ガスリザバを接続するようにしてもよい。
【0185】このように処理対象物体から排出されたガ
ス状排出物に含有されるガス状排出物はガス分解器30
または第2の熱分解手段により低分子化され、水素、メ
タン、一酸化炭素などに変化する。
【0186】ガス分解手段30で熱分解、改質されたガ
ス状排出物は冷却塔40に導入される。
【0187】冷却塔40はガス分解器30と接続して配
設され、第2の温度で改質または熱分解されたガス状排
出物を、このガス状排出物中のダイオキシン濃度の増加
が抑制されるように、第3の温度まで急冷するものであ
る。
【0188】すなわち、ガス分解器30または第2の熱
分解手段において、第2の温度で改質または熱分解され
たガス状排出物中のダイオキシン濃度は、第2の温度が
ダイオキシンが分解するような温度であること、この温
度で分解、あるいは改質される炭化水素系化合物の塩素
は還元性雰囲気によりされ無機化されることから極めて
低いものである。したがって、この状態からのダイオキ
シンの生成、再合成が生じないように、ガス状排出物中
のダイオキシン濃度の増加ができるかぎり抑制されるよ
うに第3の温度まで急冷するようにするのである。第3
の温度は、ダイオキシンの生成反応が生じないような温
度に設定すればよい。例えばダイオキシンが分解してい
る状態のガス状排出物(ガス分解器30における第2の
温度と同じでなくとも、ダイオキシンが分解するような
温度より高い温度であればよい)から150℃以下、好
ましくは100℃以下、さらに好ましくは50℃以下、
最も好ましくは35℃以下まで急冷することによりダイ
オキシンの生成、再合成を抑制することができる。この
ときガス状排出物を第3の温度までできるだけ短時間で
冷却することが好ましい。これは約200℃〜約400
℃ではダイオキシンが生成、再合成されやすいためであ
り、ガス状排出物を第3の温度まで急冷してダイオキシ
ンが生成、再合成されやすい温度範囲に滞留する時間を
できるだけ短くすることにより、より効果的にガス状排
出物中のダイオキシン濃度を抑制することができる。し
たがって冷却塔40におけるガス状排出物の冷却は好ま
しくは約10秒程度以内で急冷することが好ましい。
【0189】このような冷却塔40としては、ガス状排
出物に水、冷却油などの冷媒を直接噴射して接触冷却す
るようにしてもよい。このときガス状排出物に石灰粉末
などのアルカリ性粉末を噴射するようにすれば、ガス状
排出物は中和される。また例えばガス状排出物中のHC
lは、石灰粉末と接触して固体表面に拡散されるからダ
イオキシンの生成、再合成を抑制することもできる。
【0190】図5は冷却塔40の構造の1例を模式的に
示す図である。図5(a)は分解器30から導入された
ガス状排出物整流して冷却水、冷却油などの冷媒を直接
噴射し、ガス状排出物を第3の温度まで冷却する構造と
なっている。図5(b)では冷媒とともに石灰粉などの
中和剤を噴射して、ガス状排出物を中和すると同時に、
ガス状排出物中の塩素を固定してダイオキシンの発生源
をガス状排出物から取り除く構造となっている。
【0191】また、冷却塔40には図示しない温度セン
サがガス状排出物導入部および冷却ガス排出部に備えら
れており、また導入されるガス状排出物の冷却速度管理
手段、例えば冷媒の流量・温度調節手段が備えられてお
り、ガス状排出物の冷却速度はダイオキシンの生成、再
合成が抑制れるように制御されている。
【0192】このように熱分解炉20で処理対象物体か
ら排出されたガス状排出物は、ガス分解器30でダイオ
キシンが分解するような温度で熱分解または改質され、
冷却塔40によりダイオキシンの生成、再合成が生じな
いように急冷されることにより、水素、メタン、一酸化
炭素等に変化し、また、ガス状排出物中のダイオキシン
濃度も大きく低減される。このように本発明の処理装置
においては処理対象物体の分解、処理対象物体からのガ
ス状排出物の分解を熱分解炉20と、ガス分解器30の
複数段階で処理することにより、そして、このような分
解手段を還元性雰囲気に保つことにより、ダイオキシン
の発生を抑制することができる。
【0193】第2の温度を800℃に設定し、第3の温
度を150℃に設定することによりガス状排出物中のダ
イオキシン濃度を0.1〜0.5TEQng/Nm3
低減することができた。また第2の温度を1150℃に
設定し、第3の温度を50℃に設定することによりガス
状排出物中のダイオキシン濃度を0.1TEQng/N
3 以下に低減することができた。
【0194】冷却塔40で冷却されたガス状排出物は、
必要に応じて洗浄、脱硫を行うようにしてもよい。
【0195】また、冷却塔40で冷却されたガス状排出
物を例えばバグフィルターなどの中和反応ろ過手段に導
入するようにしてもよい。冷却塔40と中和反応ろ過手
段との間に、ドライベンチュリーなどにより消石灰、ろ
過助剤(例えばゼオライト、活性炭などの空隙率の高い
粒子、テシソーブ、シラスバルーン)などをガス状排出
物の気流に吹き込むようにしてもよい。図6は冷却塔4
0の後段にバグフィルター70を接続したガス状排出物
処理系の構成の一部を示す図である。冷却塔40で凝縮
した重金属微粒子などの固体状排出物、バグフィルター
70から排出される固形物などは、減圧加熱炉50に導
入して処理することにより、ガス状排出物中に鉛、す
ず、ひ素、カドミウムなどなどの金属が含まれる場合で
あっても分離回収することができる。
【0196】このように処理した、処理対象物体から排
出されたガス状排出物は熱分解炉20の加熱の熱源とし
て用いるようにしてもよいし、ガスタービン発電機に供
給して電力を得るようにしてもよい。さらにこの電力を
本発明の処理装置の熱源その他に用いるようにしてもよ
い。
【0197】一方、熱分解炉20でガス状排出物を排出
した処理対象物体の熱分解残渣は、減圧加熱炉50に導
入される。処理対象物体の有機物成分は第1の熱分解手
段である熱分解炉20でほとんど分解されるから、熱分
解残渣は主として金属と炭化物、あるいはガラスから構
成される。
【0198】この処理対象物体である熱分解残渣から金
属を分離・回収する減圧加熱炉50は、パージ室51、
第1の気密室52、冷却室53とから構成されており、
各室は開閉可能な隔壁54により隔てられている。ま
た、熱分解炉20と減圧加熱炉50の第1の気密室を、
パージ室51を介して接続するようにしてもよい。
【0199】図1に例示した処理装置の減圧加熱炉50
では、処理対象物体は隔壁54aを開いてパージ室51
に導入される。隔壁54aを閉じてパージ室51内を図
示しない排気系により荒引きしたのち、隔壁54bを開
いて処理対象物体を第1の気密室52へ移動する。
【0200】隔壁54bを閉じ、第1の気密室52内を
処理対象物体中の金属が減圧下で気化するように圧力、
温度を制御する。処理対象物体から気化した金属は、回
収チャンバ60で凝縮させて回収する。55は排気系で
ある。排気系の排気ガスを分解器30に導入するように
してもよい。
【0201】所望の金属を気化させた後、図示しない排
気系により減圧されているれきゃく室53との間の隔壁
54cを開いて、処理対象物体を冷却室53へ移動す
る。
【0202】隔壁54cを閉じて処理対象物体を冷却
し、処理対象物体が大気中でも安定な状態になったら、
冷却室53をリークし隔壁54dを開いて処理対象物体
を取り出す。
【0203】処理対象物体中は炭化物と気化しなかった
金属とからなっているが、これらに金属は容易に炭化物
から分離することができる。
【0204】以上のように本発明によれば、樹脂と金属
とを有する処理対象物体を高度に再資源化することがで
き、しかもダイオキシンの発生を防止することができ
る。
【0205】(実施形態2)図7は本発明の処理装置の
別の1例を概略的に示す図である。図8は、図7に例示
した本発明の処理装置の構成を模式的に示す図である。
この処理装置では冷却塔40で冷却したガス状排出物中
の酸性成分を中和洗浄塔61で中和し、脱硫塔62で脱
硫してクリーンな燃料ガスとして利用できるようにして
いる。この燃料ガスは熱分解炉20の燃焼室23へ送ら
れて熱分解炉の加熱燃料として使用され、また、活性炭
フィルタ63でろ過してからガスタービン発電機64へ
送られて電力に変換される。熱分解炉20を加熱した排
ガスおよびガスタービン発電機64の排ガスはGC−M
Sなどで成分、濃度をモニターし、安全を確認してから
煙突66より大気中へ放出される。
【0206】このような構成を採用することにより、本
発明の処理装置は、処理対象物体をより効率的に処理す
ることができる。例えば無害化されガス状排出物を中
和、洗浄してクリーンな燃料ガスとして熱分解炉の加熱
に利用し、さらにガス発電機で得た電力により減圧加熱
炉を稼働したり、あるいは売電することにより装置のラ
ンニングコストを極めて低く抑制することができる。
【0207】また第1の熱分解手段内の第1の温度が6
00℃以下と低温なため熱分解炉の耐用年数が長く、維
持管理も容易にすることができる。
【0208】図9は本発明の処理方法を廃棄物処理に適
用した例を模式的に示す図である。すなわち廃棄物を熱
分解し、廃棄物から排出されるガス状排出物はガス状排
出物処理系でクリーン燃料ガス化し、熱分解残渣は減圧
加熱炉に導入して重金属、有用金属、活性炭などとして
回収することができる。
【0209】図10は本発明の処理装置の前段に備える
ことができるシュレッダー装置の構成の1例を模式的に
示す図である。ここでは廃自動車を処理するシュレッダ
ー装置を例示した。
【0210】廃自動車はシュレッダーにより破砕され、
磁気、風力などにより鉄類、非鉄類、非金属類などが分
別される。このような分別残渣がシュレッダーダストで
ある。シュレッダーダストには、樹脂(繊維、紙を含
む)、ガラス、重金属を含む各種金属が含まれている。
本発明は上述のような構成を採用することにより、従来
処理技術が確立されていなかったこのようなシュレッダ
ーダストも安全かつ効率的に処理することができる。
【0211】シュレッダーダストを熱分解炉20に投入
し、400〜500℃で加熱分解して、シュレッダーダ
ストの樹脂成分あるいは有機物成分などから排出される
ガス状排出物をガス分解器30に導いて、ダイオキシン
等の有害物を分解無害化するため第2の温度を1100
℃以上(より好ましくは1150℃以上)で加熱分解し
た。そして、その直後に第3の温度を100℃以下(望
ましくは50℃以下)に設定した冷却塔40で10se
c以内に急冷することにより、ダイオキシンの発生を
0.1TEQng/Nm3 以下に抑制することができ
た。このように処理した処理対象物体からのガス状排出
物をガス洗浄(中和)装置、脱硫装置によりシアン化
物、硫化物、窒化物などを除去して、クリーンな燃料ガ
スを得ることができた。
【0212】この燃料ガスは熱分解炉20の加熱熱源と
して利用するとともに、ガスタービン発電機で発電して
電力に変換し、減圧加熱炉50を稼働している。
【0213】また処理対象物体の熱分解残渣は減圧加熱
炉50に導入され、10-1〜10-3Torrの減圧下で
加熱して、Pb、Sb、As、Cd、Sn、Zn等の金
属は99%以上の収率で分離回収することができた。減
圧加熱炉50で処理した処理対象物体はPb、Sb、A
s、Cd、Sn、Znを0.1ppmレベルまで低減す
ることができた。
【0214】減圧加熱炉50で処理した処理対象物体に
残っていた鉄類は比重選考法、電気磁石等で分離回収
し、最終的に無害で高純度の炭化物が得られた。この炭
化物は活性炭フィルタ63で利用してもよいし、有効な
土壌改良剤等に活用することができる。
【0215】このように本発明によれば、家庭電気製
品、自動車、精密機器等、あるいはこれらの廃棄物のシ
ュレッダーダストを、酸素濃度を制御して熱分解し、ガ
ス状排出物処理系と熱分解残渣処理系で処理することに
より、ガス状排出物はダイオキシンなどの有害物質を分
解、無害化してクリーンなガス燃料とすることができ
る。このガス燃料を熱分解炉等の燃焼室導いて加熱熱源
として用いることもできる。さらに、このガス燃料を用
いて発電することもできる。渇水期には水が不足し、コ
ンスタントに電力を供給することが困難な水力発電方法
と比較して、シュレッダーダストは豊富で低価格な資源
であり、本発明の処理装置を用いて非常に効率的に発電
することができる。また、本発明の処理装置はモジュー
ル構成となっているため小規模から大規模まで幅広い規
模に応じて、また用途に応じて対応することができる。
【0216】一方熱分解残渣はは真空加熱により各種金
属を高純度の金属状態で分離回収することができりる。
炭化物も重金属が除去されており、有効に活用すること
ができる。また減圧加熱炉は溶融炉と比較して小型であ
り、設置費用、設置場所等が少なくてすみ、市町村規模
の廃棄物処理にも効率的に対応することができる。
【0217】このように、有害物質またはその原料物質
を含み、燃焼させるとダイオキシン類をはじめとする有
害物質を生成する多量の廃棄物を、環境中に有害物質、
重金属などを放出することなく、再利用可能な物質を高
純度状態で回収することができる。
【0218】また本発明の処理装置、処理方法により、
有害ガスを発生させることなく実装基板廃棄物などか
ら、容易に回路基板と各種IC、抵抗器、コンデンサー
等の電子部品を分離し、同時に、半田合金などを分離回
収することができる。
【0219】まず、実装基板を破砕せずに熱分解炉20
に導入し、第1の温度を250〜500℃に設定して熱
分解する。このとき熱分解炉内を減圧するようにしても
よい。 実装基板の熱分解により生じるガス状排出物
は、ダイオキシン等の有害物の発生を押さえるため、ガ
ス分解器30に導き800℃以上で加熱分解した後、冷
却塔40にて100℃以下に急冷する。熱分解残渣は減
圧加熱炉50に導入して10-3程度まで減圧し、350
〜700℃に順次昇温して、はんだ合金の構成金属を蒸
発させた。したがって、回路基板と各種IC、抵抗器、
コンデンサー等の電子部品を分離し、同時に、蒸発した
鉛などの金属を回収経路の途中に設けた凝集手段で回収
する。
【0220】このような方法により電子部品と回路基板
とをほぼ完全に分離することができた。また、有害なP
b等の低融点金属もほぼ完全に(0.1ppmレベル)
除去された。樹脂部から発生したガス状排出物中の有害
物質濃度も極めて低く、例えばダイオキシンは0.1〜
0.5TEQng/Nm3 まで低減することができた。
電子部品が実装解除され、接合金属が除去された回路
基板は炭化されており、配線用の銅を含んだ状態になっ
た。各種ΙC、抵抗器、コンデンサー等の電子部品から
も有害なPb、Sbなどの金属は除去され、モールド樹
脂などの樹脂部は炭化し、一部Si、Αu、Νi、W、
Mo等の金属を含んだ状態になった。
【0221】ついで、銅を含む炭化した回路基板を減圧
加熱炉50内で、更に、加熱(1050〜1200℃)
し、銅箔を半溶融させて、数mmの球状に凝集させた。
このような処理を施すことにより銅の炭化物からの分離
回収が容易になった。この炭化物と金属銅とからなる回
路基板は、炭酸カルシウム水溶液などにより洗浄し、高
純度の銅を回収することができた。
【0222】このように本発明によれば実装基板廃棄物
を有害物質を放出させず、かつ有害物質を除去し、ま
た、人手によらず容易に回路基板と各種電子部品とを分
離することができる。また同時に、半田合金の構成金属
をはじめとする各種金属を蒸発させて分離回収すること
ができる。また蒸発しなかった銅などの金属を高純度で
回収することができる。本発明によれば従来有効な処理
技術が確立されていなかった実装基板などの廃棄物を環
境中に有害物質、重金属などを放出することなく、再利
用可能な物質を高純度状態で回収することができる。
【0223】(実施形態3)つぎに、本発明の減圧加熱
手段についてさらに詳しく説明する。
【0224】図11は本発明の処理装置が備える減圧加
熱装置の1例を概略的に示す斜視図である。一部を切り
欠いて内部の様子を示した。
【0225】この減圧加熱炉100は樹脂と金属とを構
成材として有する処理対象物体150の熱分解残渣およ
び、ガス状排出物から分離された固体状排出物、スラグ
などを処理するものであり、パージ室101、第1の気
密室102、第2の気密室103、冷却室104から構
成されている。
【0226】これら各室は開閉可能な隔壁である扉10
5によって隔てられている。すなわち、装置外部とパー
ジ室101とは扉105aにより、パージ室101と第
1の気密室102とは扉105bにより、第1の気密室
102と第2の気密室103とは扉105cにより、第
2の気密室103と冷却室104とは扉105dによ
り、そして冷却室104と装置外部とは扉105eによ
りそれぞれ隔てられている。
【0227】これら各室を隔てる扉105は気密保持性
と断熱性とを備えており、各室を熱的、圧力的に隔てて
いる。扉105a、105bにかかる熱的負荷は小さい
ので気密性が保持できればよい。
【0228】パージ室101には排気系106が接続さ
れている。この排気系106は油拡散ポンプ106a、
ブースターポンプ106b、ロータリーポンプ106c
を備えている。パージ室101と排気系106との間、
それぞれの真空ポンプ間には図示しないバルブが配設さ
れている。
【0229】パージ室101と排気系106との間に
は、パージ室101内の減圧などにより処理対象物体1
50から排出される水分や水素ガスなどを除去するトラ
ップ107が配設されている。したがって、パージ室内
で処理対象物体150から水分や水素ガスなどが排出さ
れたとしても、排気系106に悪影響を及ぼすことはな
い。このトラップ107は必要に応じて備えるようにす
ればよい。
【0230】パージ室101内の圧力はこの排気系10
6と、図示しない圧力センサである真空計により調節し
ている。真空計としてはブルドン管、ピラニーゲージな
どを必要に応じて用いるようにすればよい。
【0231】また、パージ室101にはパージ室101
内をガス置換するためのキャリアガス導入系が接続され
ており、108はキャリアガス導入弁である。キャリア
ガス導入系は図示しないキャリアガスリザバーに接続さ
れている。ここではキャリアガスとしてN2 を用いてい
るが、例えばArなどの希ガスを用いるようにしてもよ
い。
【0232】また、パージ室101に加熱手段を備え
て、処理対象物体150を予熱するようにしてもよい。
【0233】パージ室101と第1の気密室102の圧
力をほぼ等しくし、扉105bを開きプッシャー130
で処理対象物体150を第1の気密室102へ移動させ
る。以後特に述べないが、扉105はこの扉が隔てる両
側の圧力をバランスさせて開閉するようにすればよい。
【0234】第1の気密室102は、処理対象物体15
0の構成金属を処理対象物体150から選択的に気化さ
せ回収するための処理室である。
【0235】この第1の気密室102は加熱手段である
電熱ヒーター109を備えている。この電熱ヒータは、
ガスタービン発電機64により電力を供給するようにし
てもよい。加熱手段は電熱ヒーター109に限らず、必
要に応じて選択または組合わせて備えるようにすればよ
い。例えば気密領域の外側からガス、油等を燃焼させて
もよいし、誘電加熱を行うようにしてもよい。また、処
理対象物体150から得た燃料ガスを用いるようにして
もよい。
【0236】第1の気密室102内の温度は、この電熱
ヒーター109と図示しない温度センサおよび温度セン
サから測定値により電熱ヒータを制御する図示しない制
御手段により調節している。制御手段は、例えば、温度
センサからの測定値または測定電圧を入力とし、電熱ヒ
ーターへの投入電力を変化させるような信号または電圧
を出力とするプログラムを電子計算機に搭載して用いる
ようにしてもよい。
【0237】このような制御はアナログ回路によっても
よいし、測定温度に応じて操作員が加熱手段を操作する
ようにしてもよい。
【0238】図11に例示した減圧加熱装置において
は、第1の気密室102内の温度は、後述する第1の気
密室102内の圧力とともに、また、パージ室101、
第2の気密室103、冷却室104内の諸条件および隔
壁105の開閉、処理対象物体150の移送とともに、
統合的に図示しない制御手段により制御している。この
制御手段は、例えば制御プログラムを電子計算機に搭載
して行うようにしてもよい。 第1の気密室102にも
排気系110が接続されている。この排気系の構成はパ
ージ室101の排気系110と同様の構成となってい
る。
【0239】第1の気密室102内の圧力はこの排気系
110と、図示しない圧力センサである真空計により調
節している。真空計としては前述同様ブルドン管、ピラ
ニーゲージなどを必要に応じて用いるようにすればよ
い。
【0240】第1の気密室102には、この室内の酸素
濃度を調節するためのキャリアガス導入系が接続されて
おり、112はキャリアガス導入弁である。キャリアガ
ス導入系は図示しないキャリアガスリザバーに接続され
ている。
【0241】酸素濃度調節手段は必要に応じて備えるよ
うにすればよい。第1の気密室102内を減圧すると処
理対象物体の昇温効率が低下するので、まず比較的真空
度の低い段階で酸素濃度を調節して処理対象物体を加熱
し、ついでより真空度を高くするなどして処理対象物体
の昇温効率を高めるようにしてもよい。
【0242】ここではキャリアガスとしてN2 を用いて
いるが、例えばArなどの希ガスを用いるようにしても
よい。
【0243】排気系110とキャリアガス導入弁112
を適当に操作することにより、第1の気密室内を減圧、
または加圧することができる。この装置の圧力調整手段
は、10-3Torrから4×103 Torr程度まで系
内の圧力を調節できるようになっている。排気系の能
力、容量を変えることにより、さらに減圧するようにし
てもよい。またキャリアガスを予圧することによりさら
に加圧するようにしてもよい。
【0244】第1の気密室102内の酸素濃度は、キャ
リアガス導入弁112と、図示しない酸素濃度センサに
より調節される。酸素濃度センサとしては、例えばジル
コニアセンサを用いるようにしてもよい。第1の気密室
102内の温度がジルコニアセンサには低い場合には、
例えば第1の気密室102内から抽出したガスを773
K程度に調節して測定するようにしてもよい。
【0245】ジルコニアセンサ以外にも例えば系内のガ
スを赤外分光して酸素濃度を測定するようにしてもよ
い。
【0246】第1の気密室102内の酸素濃度は例えば
2 のようなキャリアガスの導入ではなく、系内の全圧
により調節するようにしてもよい。
【0247】前述のように、第1の気密室102内の圧
力、酸素濃度についても温度と同じように制御するよう
にすればよい。例えば、圧力センサ、酸素濃度センサか
らの測定値または測定電圧を入力とし、排気系110の
バルブ、キャリアガス導入弁112を制御する信号また
は電圧を出力とするプログラムを電子計算機に搭載し制
御手段として用いるようにしてもよい。
【0248】第1の気密室102と排気系110との間
に、処理対象物体150から気化した気体状態の金属を
回収するための回収チャンバ111が配設されている。
この回収チャンバ111は、このチャンバ内で気化した
金属を融点以下に冷却して凝縮させ回収するものであ
る。回収チャンバ111内を例えば向流構造や螺旋構造
にするようにしてもよい。あるいは回収チャンバ111
と第1の気密室102との間、回収チャンバ111と排
気系110との間にバルブや開閉可能な隔壁を設けるよ
うにしてもよい。すなわち処理対象物体150から気化
した金属が回収チャンバ111内に導入されたら、回収
チャンバ111を閉鎖して冷却し、金属を凝縮させて回
収するようにしてもよい。
【0249】処理対象物体150から有害なガスが排出
される場合には、排気系の排出ガスをガス分解装置30
へ導入して無害化するようにすればよい。また、各室に
接続した排気系106、110、114、115の後段
をガス分解装置30へ接続するようにしてもよい。
【0250】第1の気密室102内の温度、圧力、酸素
濃度は上述のように制御される。したがって、処理対象
物体150の構成金属を選択的に気化させ回収するする
ことができる。
【0251】第1の気密室102での処理終了時には、
処理対象物体150から所定の金属が除去さえている
が、さらによりより沸点の高い金属を回収したい場合に
は第1の気密室102と冷却室104との間に第2の気
密室103を備えるようにすればよい。
【0252】本発明の処理装置が備える減圧加熱装置1
00では、第1の気密室102で加熱した処理対象物体
150を冷却することなく第2の気密室103に移送す
るので、熱効率が非常に高い。
【0253】第2の気密室103は、処理対象物体15
0の構成金属を処理対象物体150からさらに選択的に
気化させ回収するための処理室である。
【0254】この第2の気密室103は加熱手段として
第1の気密室と同様の電熱ヒーター109を備えてい
る。加熱手段は電熱ヒーター109に限らず、必要に応
じて選択または組合わせて備えるようにすればよい。
【0255】前述のように、第2の気密室103内の温
度は、この電熱ヒーター113と図示しない温度センサ
により第1の気密室102内と同様に制御している。す
なわち、第2の気密室103内の温度は、第2の気密室
103内の圧力、酸素濃度などとともに、また、パージ
室101、第1の気密室102、冷却室104の諸条件
および隔壁105の開閉とともに、統合的に図示しない
制御手段により制御している。
【0256】第2の気密室103にも排気系114が接
続されている。この排気系の構成はパージ室101の排
気系114と同様の構成となっている。
【0257】第2の気密室103内の圧力はこの排気系
114と、図示しない、圧力センサである真空計により
調節している。真空計としては前述同様ブルドン管、ピ
ラニーゲージなどを必要に応じて用いるようにすればよ
い。
【0258】第2の気密室103には、この室内の酸素
濃度を調節するためのキャリアガス導入系が接続されて
おり、112はキャリアガス導入弁である。キャリアガ
ス導入系は図示しないキャリアガスリザバーに接続され
ている。ここではキャリアガスとしてN2 を用いている
が、例えばArなどの希ガスを用いるようにしてもよ
い。
【0259】排気系114とキャリアガス導入弁112
を適当に操作することにより、第1の気密室内を減圧、
または加圧することができる。この装置では、10-3
orrから4×103 Torr程度まで系内の圧力を調
節できるようになっている。排気系の能力、容量を変え
ることにより、さらに減圧するようにしてもよい。また
キャリアガスを予圧することによりさらに加圧するよう
にしてもよい。
【0260】第2の気密室内103内の減圧にともなっ
て処理対象物体150の構成金属の蒸気圧(沸点)は下
がるから、より低い温度で金属を気化させることができ
る。したがって、第2の気密室103が備える加熱手
段、排気手段の能力は処理対象物体150から分離、回
収する金属の種類に応じて変えるようにすればよい。例
えば、第2の気密室内103内をより高温に加熱するの
に、誘電加熱手段を備えるようにしてもよい。また例え
ば第2の気密室内103内をより高真空に減圧するの
に、より能力が高く排気量の大きい真空ポンプを備える
ようにしてもよい。第2の気密室内103内の容量によ
っては、イオンゲッターポンプ、ターボ分子ポンプなど
を用いて、さらに高真空を得るようにしてもよい。
【0261】第2の気密室103内の酸素濃度は、系内
が十分に減圧されているために特に調節しなくても十分
に低い。したがって、積極的に調節する必要はないが、
酸素濃度調節手段を備える場合には、第1の気密室10
2と同様にすればよい。
【0262】また図11に示した減圧加熱装置100
は、第2の気密室103を1室備えた構成を例示した
が、第2の気密室103を複数備えるようにしてもよ
い。内部の温度条件、圧力条件の異なる複数の第2の気
密室103を備えることにより、蒸気圧の異なる複数の
金属を処理対象物体150から気化させ回収することが
できる。
【0263】また、処理対象物体150から金属を元素
ごと分離して回収する必要がない場合には、処理対象物
体150から複数金属を気化させ、回収するようにして
もよい。例えば、Pb−Sn合金を処理対象物体から除
去する時は、第2の気密室103内の圧力で、Pbおよ
びSnが気化するような温度に加熱し、PbおよびSn
を回収するようにしてもよい。もちろん、PbとSnと
を選択的に気化して、それぞれ回収するようにしてもよ
い。
【0264】第2の気密室103と排気系114との間
に、処理対象物体150から気化した気体状態の金属を
回収するための回収チャンバ115が配設されている。
この回収チャンバは、このチャンバ内で気化した金属を
融点以下に冷却して凝縮させ回収するものである。回収
チャンバ115内を例えば向流構造や螺旋構造にするよ
うにしてもよい。あるいは回収チャンバ115と第2の
気密室103との間、回収チャンバ115と排気系11
4との間にバルブや開閉可能な隔壁を設けるようにして
もよい。すなわち処理対象物体150から気化した金属
が回収チャンバ115内に導入されたら、回収チャンバ
115を閉鎖して冷却し、金属を凝縮させて回収するよ
うにしてもよい。
【0265】気化した金属を連続的に凝縮、回収する場
合でも、バッチ処理で凝縮、回収する場合でも、回収チ
ャンバ115内の気化した金属の滞留時間が長くなれば
回収効率は高まる。
【0266】また、第2の気密室103内にN2 や希ガ
スをキャリアガスとして導入するようにしてもよい。気
化した金属はキャリアガスにより回収チャンバに効率的
に導入される。
【0267】回収チャンバ115は、第2の気密室10
3に複数系統備えるようにしてもよい。複数の回収チャ
ンバ115で同じ金属を回収するようにしてもよいし、
第2の気密室103内の温度と圧力を段階的に調節して
複数の金属をそれぞれ選択的に気化させ、複数系統の回
収チャンバ115を切り換えて回収するようにしてもよ
い。
【0268】第2の気密室103内の温度、圧力、酸素
濃度は上述のように制御される。したがって、処理対象
物体150の構成金属をその蒸気圧に応じて気化させ、
回収チャンバ115で金属状態のまま回収することがで
きる。
【0269】なお、第1の熱分解手段での処理対象物体
150の構成樹脂の分解の程度によっては、構成樹脂が
分解生成ガス等を排出することがある。このような分解
生成ガスは、回収チャンバ115の後段をガス分解装置
30に接続するようにしてもよい。
【0270】このように第2の気密室103でも処理対
象物体から所定の金属を気化させ回収することができ
る。
【0271】第2の気密室103から処理対象物体15
0を直接装置100の外部へ取り出すと、処理対象物体
150が急速に酸化する恐れがある。また、第2の気密
室103内を大気圧に戻さねばならず、第2の気密室1
03内の気密性を保持するという観点からも不便であ
る。このために図11に例示した減圧加熱装置100で
は、第2の気密室103の後段に冷却室104を備えて
いる。
【0272】この冷却室はパージ室101、第1の気密
室102、第2の気密室103と同様の圧力調節手段
と、酸素濃度調節手段とを備えている。すなわち、前述
同様の排気系116と、キャリアガス導入弁117とを
備えている。
【0273】第2の気密室103内で所定の金属を分離
された処理対象物体150は、冷却室104へ移送され
圧力と酸素濃度が調節された状態で冷却される。キャリ
アガスは酸素濃度の調節だけではなく処理対象物体15
0の冷却ガスとしても機能する。
【0274】冷却室104と排気系116との間に、予
熱により処理対象物体から排出されるガスなどを除去す
るためのトラップ118を配設するようにしてもよい。
【0275】冷却室内104内で処理対象物体150を
十分冷ましたなら、装置外部へ取り出す。
【0276】なお、減圧加熱装置100への処理対象物
体150の導入と、取出し、また各室間の処理対象物体
150の移送は、プッシャー130、ドローワー131
により行うようにすればよい。
【0277】プッシャー130およびドローワー131
の操作は、隔壁105の開閉とともに、前述した図示し
ない制御手段により行うようにしてもよい。
【0278】図12は図11に例示した本発明の処理装
置が備える減圧加熱装置を模式的に示す図である。
【0279】図11には図示していない、パージ室10
1内の圧力センサ202a、第1の気密室102内の温
度センサ201a、圧力センサ202b、酸素濃度セン
サ203、第2の気密室103内の温度センサ201
c、圧力センサ202c、冷却室104内の圧力センサ
202dからの信号は制御手段を構成する制御盤200
に伝達される。制御手段は電子計算機にプログラムを搭
載して構成するようにしてもよい。
【0280】そして制御手段は装置内の各室内の状態に
応じて、加熱手段、圧力調節手段、酸素濃度調節手段を
制御するようにすればよい。また、隔壁105の開閉、
プッシャー130、ドローワー131による処理対象物
体150の移送もこの制御手段により行うようにしても
よい。210は各室内の温度、圧力、酸素濃度などの状
態、隔壁105の開閉状態などを操作員に示すモニタで
ある。また211は前述したガス状排出物を処理するガ
ス状排出物処理系である。
【0281】(実施形態4)図13は、本発明の処理装
置が備える減圧加熱装置の別の1例を概略的に示す図で
ある。一部を切り欠いて内部の様子を示した。この減圧
加熱装置300も樹脂と金属とを構成材として有する処
理対象物体350の熱分解残渣等を処理するものであ
る。
【0282】この減圧加熱装置300はパージ室30
1、気密室302、冷却室303から構成されている。
この気密室300は、図11に例示した減圧加熱装置1
00の第1の気密室102と、第2の気密室103の機
能を兼ね備えている。すなわち、気密室302内でまず
処理対象物体350から所定の金属を分離回収し、つい
で同じ気密室内302でさらに別の金属を分離回収す
る。
【0283】気密室302は温度調節手段と、圧力調節
手段と、酸素濃度調節手段とを備えているが、酸素濃度
は前述のように気密室302内の全圧により調節するよ
うにしてもよい。
【0284】気密室302内の温度調節は、電熱ヒータ
309と図示しない温度センサにより行うようにすれば
よい。
【0285】気密室302内の圧力調節は、排気系31
0、314と、キャリアガス導入系と、図示しない圧力
センサにより行うようにすればよい。312はキャリア
ガス導入弁である。
【0286】気密室302と排気系310との間には、
処理対象物体350から気化させた金属を回収するため
の凝縮回収手段である回収チャンバ311が配設されて
いる。 また、気密室302と排気系314との間に
は、処理対象物体350のから気化した別の構成金属の
ガスを回収するための凝縮回収手段である回収チャンバ
315が配設されている。処理対象物体の構成金属を気
化させる必要がない場合には、複数の回収チャンバ31
1を配設するようにしてもよい。
【0287】パージ室301、冷却室303、隔壁30
5、キャリアガス導入系、プッシャー330、ドローワ
ー331については図11に例示した減圧加熱装置10
0と同様である。また、制御手段についても同様に備え
るようにすればよい。
【0288】このように本発明の処理装置は、処理対象
物体の構成樹脂を熱分解する部分と、樹脂を熱分解した
処理対象物体から構成金属を分離回収する部分とを組合
わせることにより、処理できる物体の範疇が大きく広げ
ることができる。例えば廃回路基板、廃家電製品、シュ
レッダーダストなど従来処理が困難であり、効果的で安
全な処理技術が確立されていなかった処理対象物体につ
いても対応することができる。
【0289】例えば樹脂被覆アルミニウム箔などの処理
は、樹脂部分を制御された雰囲気下で熱分解することに
より、アルミニウムを金属状態で回収することができ
る。
【0290】また基板に電子部品が搭載された実装基板
などの処理は、ハンダ合金を気化させて回収し、基板と
電子部品とを分離すればよい。
【0291】(実施形態5)図14は本発明の処理装置
が備える減圧加熱装置の別の1例を模式的に示す図であ
る。
【0292】この減圧加熱装置400は第1の気密室4
01と第2の気密室402とを備えている。第1の気密
室401は図示しない温度調節手段を備えており、排気
系403と回収チャンバ404に接続されている。第2
の気密室は図示しない温度調節手段を備えており、排気
系405と回収チャンバ406に接続されている。ま
た、第1の気密室401、第2の気密室402にはキャ
リアガス導入系407が接続されており、気密室内の酸
素濃度の調節、加圧を行うことができる。408はキャ
リアガスリザバーである。
【0293】すなわち樹脂と金属とを有する処理対象物
体の熱分解残渣等を第1の気密室401内で減圧加熱
し、気化した金属を回収チャンバ404で回収する。こ
のとき、前述した制御手段などで、第1の気密室401
内の温度、圧力、酸素濃度を調節して処理対象物体の他
の構成金属の状態を保持しながら所望の金属を気化する
ようにすればよい。
【0294】第2の気密室402では、内部の温度、圧
力を調節してさらに別の構成金属を気化させ、回収チャ
ンバ406で回収する。第2の気密室402内の温度、
圧力についても第1の気密室401同様の制御手段で調
節するようにすればよい。
【0295】第1の気密室401の前段または第2の気
密室402の後段にパージ室を配設するようにしてもよ
い。
【0296】(実施形態6)図15は本発明の処理装置
が備える減圧加熱装置の別の1例を模式的に示す図であ
る。
【0297】この減圧加熱装置500は樹脂と金属とを
構成材として有する処理対象物体を処理する装置であ
り、パージ室501、第1の気密室502、第2の気密
室503、第3の気密室504、冷却室505を備えて
いる。
【0298】パージ室501はトラップ506と排気系
507に接続されている。第1の気密室502は回収チ
ャンバ508と排気系509に接続されている。第2の
気密室503は回収チャンバ510と排気系511に接
続されている。第3の気密室504は回収チャンバ51
2と排気系513に接続されている。冷却室505はト
ラップ514と排気系515に接続されている。第1の
気密室502、第2の気密室503、第3の気密室50
4は図示しない温度調節手段を備えている。516はキ
ャリアガス導入系であり、517はキャリアガスリザバ
ーである。
【0299】また、第1の気密室502は図示しない酸
素濃度センサを備えており、全圧とは独立に系内の酸素
濃度を調節できるようになっている。
【0300】すなわち、減圧加熱装置500は処理対象
物体の構成金属を気化させるための処理室を複数備えた
ものである。処理対象物体が複数の構成金属を有する場
合にも、第2の気密室503と第3の気密室504でそ
れぞれ選択的に気化させ、回収することができる。
【0301】(実施形態7)図16は本発明の減圧加熱
装置が備える減圧加熱装置の別の1例を模式的に示す図
である。
【0302】この減圧加熱装置600は、樹脂と金属と
を構成材として有する処理対象物体の熱分解残渣等を処
理することのできる装置である。この減圧加熱装置60
0は1つの気密容器601に複数の回収系を接続したも
のであり、気密容器601内部の温度、圧力、酸素濃度
に応じて回収系を切り換えて処理する。
【0303】(実施形態8)図17は気密容器601内
の温度、圧力、酸素濃度を調節する制御系610の構成
を模式的に示す図である。前述のように制御手段611
の全部または一部を、例えば制御プログラムとして電子
計算機に搭載して装置の制御を行うようにしてもよい。
【0304】気密容器601には、処理対象物体の構成
金属の気化したガスを回収する複数系統の回収チャンバ
602が接続され、それぞれの回収チャンバ602は排
気系603に接続されている。
【0305】気密容器601には、気密容器601内で
気化させた処理対象物体の構成金属を回収する複数系統
の回収チャンバ605が接続され、それぞれの回収チャ
ンバは排気系606に接続されている。
【0306】気密容器601に接続された複数系統の回
収チャンバ605は同じ金属を回収するようにしてもよ
い。また、気密容器601内の温度、圧力条件に応じて
切換えることにより、蒸気圧(沸点)の異なる複数の金
属をそれぞれ回収するようにしてもよい。
【0307】また、気密容器601にはキャリアガス導
入系が接続されている。607はキャリアガスリザバー
である。N2 、Arなどのキャリアガスの導入により気
密容器601内の酸素濃度を全圧とは独立に調節するこ
とができる。また、予圧したキャリアガスを導入するこ
とにより気密容器601内を加圧するようにしてもよ
い。非酸化雰囲気中で処理対象物体を加熱することによ
り、処理対象物体の昇温効率が向上する。
【0308】また、気密容器601内の酸素濃度は全圧
により調節するようにしてもよい。 (実施形態9)図18は本発明の処理装置が備える減圧
加熱装置の回収系の別の1例を模式的に示す図である。
【0309】この減圧加熱装置は図16に例示した減圧
加熱装置と同様の構成であるが、回収系以外の部分の図
示は省略している。
【0310】気密容器601と開閉可能な隔壁610に
より隔てられた回収室611が配設されている。この回
収室611は図示しない温度調節手段を備えている。回
収室611にはキャリアガス導入系を接続するようにし
てもよい。
【0311】そして、この回収室611には、回収チャ
ンバ605と、排気系606が接続されている。
【0312】気密容器601内が所定の金属が気化する
温度、圧力条件になったら、隔壁610を開いて処理対
象物体612を回収室611へ導入し隔壁610を閉じ
る。そして温度圧力条件を保って、回収チャンバ605
により気化した金属を凝縮させて回収するようにすれば
よい。
【0313】このような回収室611を備えれば、回収
室611で処理対象物体から金属を回収している間も、
気密容器601内の温度、圧力、酸素濃度などの諸条件
を回収室611と独立に制御できる。したがって、装置
の運用効率が向上する。
【0314】このような回収室は例えば図11、図1
3、図14、図15に例示したような減圧加熱装置に配
設するようにしてもよい。
【0315】図19は例えば図11に例示した減圧加熱
装置100に接続した回収室901を含む回収系を模式
的に示す図である。
【0316】減圧加熱装置100の第2の気密室103
に回収室901が接続されており、第2の気密室103
と回収室901との間は開閉可能な隔壁902により隔
てられている。回収室901は図示しない温度調節手段
を備えている。またキャリアガス導入系を接続するよう
にしてもよい。回収室901には回収チャンバ115、
排気系114が接続されている。また、回収室901と
は並列に回収チャンバ115、排気系114を接続する
ようにしてもよい。
【0317】(実施形態10)図20および図21は回
収チャンバの構造の1例を概略的に示す図である。
【0318】図20は向流構造の回収チャンバを、図2
1はサイクロン型の回収チャンバをそれぞれ示してい
る。回収チャンバは処理対象物体から気化させた金属を
凝縮できればよい。また、これらの回収チャンバを多段
に接続するようにしてもよい。図12は、処理対象物体
から排出され、回収チャンバや回収チャンバなどにより
回収されない排ガスを処理する排ガス処理装置の構成の
1例を概略的に示す図である。回収チャンバまたは回収
チャンバなどの回収系の後段に、マルチ排ガス処理フィ
ルタ1201、無煙化フィルタ1202、無臭化フィル
タ1203が接続されている。これ以外にも例えばハロ
ゲンガスなどを回収するアルカリトラップや、触媒など
を用いたハロゲン化炭化水素分解装置などを備えるよう
にしてもよい。
【0319】このように本発明の処理装置は樹脂と金属
とを構成材として有する処理対象物体を、構成樹脂は分
解(気化、油化、炭化)し、構成金属は気化させて処理
対象物体から分離回収することができる。
【0320】(実施形態11)つぎに、鉛と樹脂を構成
材の一部として有する物体から鉛を除去する処理につい
て説明する。
【0321】本発明は構成材の少なくとも一部に鉛と樹
脂が使用された物体を効果的に処理することができる。
例えば、Pb−Sn系ハンダ合金など鉛を含む合金が使
用された電子機器や自動車の電子部品などから鉛を除去
することができる。
【0322】本発明では、まず第1の熱分解手段で樹脂
部分を気化、油化、炭化など熱分解し、ついでこの熱分
解残渣から鉛を気化させて離するものである。気化させ
た鉛は回収するようにすればよい。装置には、これまで
述べたような本発明の処理装置を用いるようにしてもよ
い。
【0323】まず、処理対象物体の鉛ができるだけ酸化
しないように、かつできるだけ気化しないように処理対
象物体を熱分解する。
【0324】樹脂は50℃程度から溶融等が起こり、2
00〜600℃程度に保持すると分解により主としてC
1〜C8の炭化水素系ガスを排出する。このような樹脂
の分解生成ガスなどのガス状排出物は前述したガス状排
出物処理系で回収するようにすればよい。
【0325】処理対象物体の熱分解工程はこれまで述べ
てきたように酸素濃度を調節して還元性雰囲気で行うこ
とが好ましい。酸素濃度を調節することにより、樹脂の
分解生成ガスの回収効率が向上する。また、鉛の酸化を
防ぐことができる。酸化鉛は鉛よりも低い温度で蒸発す
るから、酸素濃度を調節することにより鉛の飛散を防止
し、後工程でより積極的に鉛を回収することができる。
さらにガス状排出物処理系でのダイオキシンの発生を抑
制することができる。
【0326】このように熱分解した処理対象物体は減圧
加熱手段内に導入して、温度と圧力とを調節して処理対
象物体から鉛を気化させる。処理対象物体が鉛以外に例
えば鉄、銅、アルミニウム、スズなどの金属が含まれる
ときには、蒸気圧の差によりそれぞれの金属を選択的に
気化させるようにすればよい。
【0327】鉛が気化する温度は気密容器内の圧力によ
って変化する。大気圧下では例えば1400℃に加熱し
た場合の鉛の蒸気圧は84mmHgであるのに対し鉄、
銅、スズの蒸気圧は1mmHgにも達しない。したがっ
て、物体を1400℃程度に加熱することにより、物体
からほぼ鉛蒸気のみを選択的に発生させることができ
る。
【0328】また、例えば1740℃における鉛の蒸気
圧は760mmHgであるのに対しスズの蒸気圧は15
mmHg、銅の蒸気圧は3mmHgにも達しない。した
がって、物体を1740℃程度に加熱することによって
も処理対象物体からほぼ鉛蒸気のみを選択的に発生させ
ることができる。
【0329】また、減圧下で処理対象物体を加熱するこ
とにより、さらに低い温度で処理対象物体中の鉛を気化
させることができる。
【0330】圧力を10-1Torrに調節すれば、約8
27℃程度に加熱することにより、処理対象物体からほ
ぼ鉛蒸気のみを選択的に発生させることができる。
【0331】また、圧力を10-3Torrに調節すれ
ば、約627℃程度に加熱することにより、処理対象物
体からほぼ鉛蒸気のみを選択的に発生させることができ
る。
【0332】さらに、圧力を10-4Torrに調節すれ
ば、約427℃程度に加熱することにより、処理対象物
体からほぼ鉛蒸気のみを選択的に発生させることができ
る。このように選択的に発生させた鉛蒸気は、例えば鉛
の融点以下に冷却した回収装置などで、金属鉛として回
収するようにすればよい。
【0333】図22は鉛の蒸気圧と温度との関係を示す
グラフである。減圧加熱手段の気密容器内を減圧すれば
鉛の沸点が下がることがわかる。
【0334】このグラフに基づいて、例えば気密容器内
の圧力に応じて加熱温度を調節するようにすればよい。
また、例えばこの関係をプログラムとして電子計算機に
搭載し、前述した本発明の処理装置の制御手段として用
いるようにしてもよい。
【0335】(実施形態12)ここで、鉛と樹脂とを構
成材として有する物体の1例として、回路基板に各種電
子部品がPbを含むハンダ合金で搭載された実装基板を
処理対象物体として処理した例を説明する。
【0336】図23はこのような実装基板1300を模
式的に示す図である。
【0337】銅箔1301と樹脂1302とが積層され
た回路基板1303に電子部品1304が搭載されてい
る。この電子部品1304は樹脂1305でパッケージ
ングされている。そしてCu合金からなる電子部品の接
続端子1306と銅箔とがPb−Sn系ハンダ合金13
07で接合されている。電子部品の接続端子1306表
面がハンダ合金でメッキされていることもあるが同じよ
うに処理できる。
【0338】まず、実装基板1300を第1の熱分解手
段で酸素濃度を調節して加熱し、樹脂1302、130
3を熱分解する。プリント基板の構成樹脂は一般に熱硬
化性樹脂で、多くは炭化されるが、それでも多量の分解
生成ガスを含むガス状排出物を発生する。電子部品のパ
ッケージング樹脂1303も同様である。ガス状排出物
は前述したガス状排出物処理系で無害化されて、クリー
ンな燃料ガスとして再利用される。
【0339】図24は熱分解された実装基板1300を
模式的に示す図である。
【0340】この状態では実装基板の構成樹脂の多くは
炭化している。また、鉛は酸素濃度を調節することによ
り飛散することはない。
【0341】ついで熱分解した処理対象物体を減圧加熱
手段へ導入し、気密容器内の温度と圧力を調節して、処
理対象物体中の鉛を選択的に気化させる。温度と圧力は
図22に基づいて決めるようにすればよい。気密容器内
を減圧したほうが好ましい。これは、低い温度で鉛が気
化するから投入エネルギーが少なくすむし、また酸素濃
度が小さくなるの鉛その他の処理対象物体の構成金属が
酸化されないからである。処理対象物体の構成金属が酸
化される恐れのある時には、N2 、Arなどのキャリア
ガスを導入して気密容器内の酸素濃度を調節するように
すればよい。
【0342】気密容器内を減圧すればするほど、低い温
度で鉛は気化する。図25は鉛1308が金属状態のま
ま気化する様子を模式的に示す図である。
【0343】気密容器内の温度、圧力を調節することに
よって、鉛だけを選択的に気化することができる。処理
対象物体に鉛より沸点の低い金属が含まれる場合には、
先にそのような金属を気化させるようにすればよい。
【0344】このように、処理対象物体である実装基板
1300から鉛を除去することができる。また、社会が
抱える大量の廃電子機器などの実装基板を処理すること
により、一般廃棄物として処理することができ、鉛の溶
出により環境を汚染することはない。また、鉛以外の構
成金属の分離も容易になり、資源として利用できる。構
成樹脂も有価な油として、または炭化物として回収する
ことができる。この炭化物は、肥料や、活性炭として利
用するようにしてもよい。
【0345】ここでは、実装基板1300から鉛を除去
するところまでを説明したが、さらに気密容器内の温
度、圧力を調節して、処理対象物体の鉛以外の構成金属
を気化させるようにしてもよい。
【0346】例えば鉛を除去した処理対象物体から、さ
らにハンダ合金を構成していたスズを気化させることに
より、回路基板1303と電子部品1304とを分離す
ることができる。
【0347】図26は、スズを気化させ回路基板130
3と電子部品1304とが分離した様子を模式的に示す
図である。
【0348】このように、鉛を除去したり、回路基板1
303と電子部品1304とを分離することにより処理
対象物体の有する複雑さが減少し、その後の処理が容易
になる。回路基板から分離した電子部品などは、気密容
器内の温度、圧力を調節して、回路基板1303、電子
部品1304に含まれる、例えばAu、Ag、Pt、B
i、In、Ta、Ni、Cr、Cu、Al、W、Mo、
Co、Pdなどの金属を気化させ回収するようにしても
よい。このような回収は回路基板1303と電子部品1
304とを分離してから別のより蒸気圧の低い金属を回
収できるような減圧加熱手段で行うほうが効率的であ
る。
【0349】図27は各種金属の沸点(蒸気圧)圧力依
存性を示す図である。この図は回収可能な金属の1例と
して示したものであり、図示されていない金属も回収可
能することができる。図28は酸化物の生成自由エネル
ギーの温度依存性を示す図である。図28に示した元素
は1例として示したものであり、これ以外の元素に関す
るデータも容易に計算ないしデータベースなどで得るこ
とができる。図27、図28に示した関係を、図22に
示したは鉛の沸点(蒸気圧)と圧力との関係とともに用
いて、例えば気密容器内の温度、圧力、酸素濃度を制御
するようにすればよい。また、例えばこの関係をプログ
ラムとして電子計算機に搭載し、前述した本発明の処理
装置の制御手段として用いるようにしてもよい。
【0350】(実施形態13)図29は本発明の鉛と樹
脂とを構成材として有する処理対象物体の鉛除去に用い
る装置の1例を模式的に示す図である。装置は図29に
例示した装置に限らずこれまで述べたような本発明の処
理装置を用いるようにしてもよい。
【0351】この処理装置2000は熱分解炉2001
と減圧加熱炉2002とを備えている。この熱分解炉2
001は酸素濃度制御装置2003と、図示しない加熱
装置とを備えている。そして、図示を省略した制御部に
より所定の温度で所定時間保持されるように構成されて
いる。
【0352】処理対象物体2004の加熱により構成樹
脂から排出される炭化水素系ガスを含むガス状排出物は
ガス分解器2005でダイオキシンが分解するような高
温(ここでは1200℃)で改質、熱分解され、直後に
冷却塔2006で35℃まで急冷される。ダイオキシン
が生成、再合成されないように冷却されたガス状排出物
はアルカリ水シャワー洗浄装置等を用いて中和、洗浄し
燃料ガスとして再利用することができる。
【0353】減圧加熱炉2002は真空加熱炉であり、
鉛回収チャンバ2007と排気装置2008を有してい
る。
【0354】処理対象物体は、コンベアなどの移送手段
2009により熱分解炉2001、減圧加熱炉2002
へと順に送られる。熱分解炉2001と減圧加熱炉20
02との間には図示しないパージ室が備えられている。
【0355】これら処理対象物体の熱分解炉2001、
減圧加熱炉2002における滞留時間、加熱温度、圧
力、酸素濃度は図示しない制御部によりそれぞれ制御さ
れている。
【0356】熱分解炉2001において、処理対象物体
2004は例えば200℃〜600℃程度の温度に昇温
・保持され、処理対象物体2004の構成材の一部であ
る樹脂成分は、熱分解してC1〜C8の炭化水素ガスを
含むガス状排出物として排出されガス状排出物処理系へ
導入される。
【0357】つぎに、処理対象物体2004は、減圧加
熱炉2002に送られ、例えば10-5Torr程度の圧
力まで減圧し、温度を427℃程度にして、この状態を
保持する。処理対象物体中の鉛は蒸気鉛として処理対象
物体から気化する。減圧加熱炉2002の上部にはガス
排出部が設けられており、処理対象物体から放出された
蒸気鉛は蒸気圧の低下により金属鉛として凝縮させる。
結晶化した金属鉛は、鉛回収チャンバ2005内で析出
させ回収する。また、減圧加熱炉2002から蒸気鉛を
効率的に鉛回収チャンバ2005に送り込むため、減圧
加熱炉2002に設けたキャリアガス導入部からN2
Arなどの不活性なガスを導入し、蒸気鉛をキャリアガ
スとともに鉛回収チャンバ2005に送り込む。
【0358】減圧加熱炉2002を通過し鉛が除去され
た処理対象物体は残渣受け部2010に送られる。処理
対象物体の樹脂成分はほぼ完全に炭化しており、また処
理対象物体中に含まれていた鉛、亜鉛などの重金属も除
去されるから、処理対象物体は無害化されており後処理
は容易である。この処理対象物体にさらに別の有用金属
などが含まれている場合にはこれらの金属を比重選鉱
法、電気磁石などで分別、回収するようにしてもよい。
また減圧加熱手段を通過した無害で高純度の炭化物は特
性の優れた活性炭、土壌改良剤として再利用することが
できる。
【0359】(実施形態14)次に、上記構成の処理装
置2000を用いて、処理対象物体としてハンダを含む
電子機器を処理した例について説明する。
【0360】処理対象物体2004である電子機器は前
処理で破砕するようにしてもよいが、実装基板の処理に
おいては破砕しないでそのまま導入するほうが好まし
い。
【0361】熱分解炉2001は炉内温度約500℃〜
600℃程度、ほぼ無酸素状態に保持されており、電子
機器を約60分間滞留させた。電子機器の構成比率の約
40%を占める構成樹脂は熱分解炉2001で熱分解し
て炭化水素ガスを含むガス状排出物として排出され、あ
るいは炭化した。
【0362】また構成比率の約50%を占める鉄・銅・
アルミニウム等の金属類と、構成比率の約10%を占め
る実装基板の構成金属には、熱分解炉2001内でほと
んど気化せずまた酸化されなかった。
【0363】構成樹脂を熱分解した電子機器は、冷却さ
れることなくパージ室を経て減圧加熱炉2002に搬送
した。減圧加熱炉2002は圧力を約10-3Torr程度、
温度約627℃程度に保持し、電子機器を約60分程度
滞留させた。
【0364】電子機器の約10%を占める実装基板に
は、基板重量の約5〜10%のハンダが合金が使用され
ている。また、このハンダ合金の約40wt%は鉛であ
る。
【0365】すなわち、電子機器中には0.2〜0.4
%の鉛が構成材の一部として使われている。この鉛は減
圧加熱炉2002で蒸発鉛として気化し、キャリアガス
とともに鉛回収チャンバ2005に送り込まれ、金属鉛
として回収した。
【0366】鉛の回収率を向上させるには、鉛回収チャ
ンバ2005内部での鉛蒸気の滞留時間をできるだけ長
くすることが好ましい。この例では、鉛の回収率は98
%であった。回収された鉛は不純物が少なく、有価な金
属として再利用が可能であった。
【0367】熱分解炉2001で熱分解して排出された
炭化水素ガスは、前述したガス状排出物処理系のガス分
解器2005に送り込み、1200℃程度に加熱された
コークス中で改質、熱分解され、直後に35℃まで8s
ecで急冷される。冷却されたガス状排出物は、中和反
応ろ過器であるバグフィルターで中和、ろ過され、さら
に洗浄されて燃料ガスとして再利用される。この実施形
態では電子機器の40%が樹脂で構成されておりる。樹
脂の回収率は構成樹脂の成分により異なるが、重量比の
約90%が燃料ガスとして再利用され、約10%が主と
して炭化物からなる残渣として残った。
【0368】また、電子機器の約50%の構成比率を占
める鉄・銅・アルミニウム等の金属は、熱分解炉200
1や減圧加熱炉2002で酸化されることはなく、メタ
ル状態で回収することができるため再利用価値が高い。
この例では残渣受け部30に排出された残渣は、鉄・銅
・アルミニウムと樹脂の炭化物残渣が主であった。
【0369】図30は例えば図29に例示した処理装置
2000の熱分解炉2001と減圧加熱炉2002との
気密性と断熱性を保つ開閉可能な隔壁2101の1例を
模式的に示す図である。隔壁2101はワイヤー210
2と巻上機2103によって操作される。
【0370】それぞれの隔壁2101の位置に真空扉と
断熱扉を別々に備えるようにしてもよい。例えば隔壁2
101bを真空扉としこの扉の熱分解炉2001側と減
圧加熱炉2002側に同じく開閉可能な断熱扉を配設す
るようにしてもよい。
【0371】(実施形態15)次に、各種電子機器、自
動車、精密機器、文房具、医薬品・食料品パッケージな
どをはじめ、大量に用いられている樹脂と金属を含む廃
棄物(シュレッダーダストを含む)を処理対象物体とし
て取り上げその処理システムについて説明する。装置に
ついては前述した本発明の処理装置を用いるようにすれ
ばよい。
【0372】このような樹脂と金属を含む廃棄物は、分
離回収が困難であることから一般に焼却、埋め立て処理
されている。本発明の処理システムでは、同一装置内
で、廃棄物の構成樹脂の熱分解(気化、油化、炭化)
と、構成金属を気化させ金属状態で回収するものであ
る。
【0373】本発明の処理ではまず樹脂と金属とを含む
廃棄物を熱分解炉内に導入する。そして樹脂部分の回収
のために酸素濃度を調節して熱分解を行う。ついで、熱
分解残渣を減圧加熱炉に導入して金属の気化回収のため
の減圧および加熱を行う。
【0374】図31はこの処理システムで用いることの
できる本発明の減圧加熱手段の1例を模式的に示す図で
ある。気密容器2201内に樹脂と金属を含む廃棄物を
収容し、気密容器内には昇温効率がよく耐熱性の高い金
属などからなる投入棚2202が設けられている。22
03は気密容器2201を開閉するドアである。気密容
器内にはシーズヒーター等の加熱装置2204が設けら
れており、気密容器内の圧力、酸素濃度とともに制御盤
2205により操作する。2206はセンサであり、気
密容器2201内の温度、圧力、酸素濃度を信号として
制御盤2205に伝達する。
【0375】気密容器2201は排気装置2208に接
続されている。気密容器2201と排気装置2208と
の間には、廃棄物の構成金属の回収装置である金属回収
系2209、2210が配設されている。金属回収装置
には例えば冷却手段を備えたサイクロン分離器を備える
ようにしてもよい。
【0376】熱分解炉で熱分解した処理対象物体である
廃棄物を気密容器2201内に設けられた投入棚220
2に投入し、ドア2203を閉め密閉し、最初は回収系
を閉じた状態で加熱(400℃)と加圧(3atm)を
開始する。この場合、減圧状態での加熱よりも昇温効率
がよく、後の金属回収時の減圧加熱の際の昇温効率に貢
献する。
【0377】そして気密容器2201内を排気装置によ
り10-3Torr程度の圧力まで減圧し、金属の種類に
応じて合金の沸点以上に加熱し、金属を蒸発させて金属
回収系2209、2210の途中に配設した凝縮手段に
より回収する。この場合、常圧より金属の蒸発温度が低
くなるので比較的低い加熱温度でよく、また酸化されに
くいので回収効率がよい。
【0378】図31に例示した減圧加熱炉では金属回収
系を2系統備えているが、2系統を同時に用いるように
してもよいし、気密容器内の温度圧力条件に対応して切
り換えて用いることにより複数の金属を回収するように
してもよい。
【0379】このように本発明の処理システムによれ
ば、熱効率がよく処理コストが低い。また真空加熱によ
り純度の高い金属の回収率が高い。
【0380】(実施形態16)次に、各種電子機器、自
動車、精密機器などをはじめ、大量に用いられている回
路基板に各種電子部品が搭載された実装基板の廃棄物を
処理対象物体として取り上げその処理について説明す
る。装置については前述した本発明の処理装置を用いる
ようにすればよい。図32は、本発明の処理装置を用い
た実装基板の処理スキームを模式的に示す図である。
【0381】この処理システムはIC、LSI、抵抗
器、コンデンサーなどの各種電子部品が搭載された実装
基板から電子部品を効率的に分離回収するものである。
また、回路基板、電子部品などからなる実装基板の構成
樹脂、構成金属についても分離回収し資源化するシステ
ムである。
【0382】このような実装基板の廃棄物は電子部品の
回路基板からの分離が困難であり、また実装基板は異な
った材料が複雑に一体化した物体であり、その処理が困
難であった。このため、埋め立て処理、焼却処理などが
一般的であった。
【0383】本発明のおいては、まず実装基板を破砕せ
ずに熱分解炉に導入し、実装基板を熱分解する。実装基
板を構成する基板や電子部品の樹脂成分は熱分解されガ
ス状排出物を排出するとともに炭化される。電子部品の
パッケージ樹脂も分解して、非常に脆くなり、パッケー
ジ内の素子との分離が容易な状態になる。このとき、熱
分解炉内の温度、酸素濃度は鉛などの重金属が気化した
り、酸化したりしないような条件で行うようにすればよ
い。
【0384】ガス状排出物は前述同様に処理すればよ
い。ガス状排出物に鉛などの重金属が含まれる場合に
は、例えば冷却手段などのガス状排出物処理系で凝縮さ
せ、この凝縮物を熱分解残渣とともに減圧加熱炉に導入
するようにすればよい。またガス状排出物中に塩素が含
まれる場合には高温加熱した鉄に接触させて塩化鉄とし
て回収するようにしてもよい。
【0385】このように熱分解された処理対象物体であ
る実装基板は、減圧加熱炉に導入して、回収する金属に
応じて気密容器内の温度、圧力、酸素濃度を調節して所
望の金属を回収する。例えば回路基板と電子部品とを接
合していた合金(例えばPb−Sn合金)を気化させ
る。合金はそれぞれ蒸気圧により選択的に気化させ、分
離することが再資源化の観点からも好ましい。
【0386】回路基板と電子部品とを接合している合金
が気化すれば、電子部品は回路基板から分離する。ま
た、熱分解炉内で接合金属が溶融し、接合がすでに解除
されている場合でも、この接合金属成分(例えば鉛、す
ずなど)は処理対象物体中に保持されているので、これ
らの金属を気化させて処理対象物体から分離回収するこ
とができる。
【0387】回路基板と電子部品とを接合している接合
合金だけでなく、実装基板に含まれるZn、Sb、A
u、Pt、Ni、Cr、Cu、Al、Mo、W、Taな
どの各種金属を気化させて分離回収するようにしてもよ
い。金属は酸化物にせず金属状態で回収できるので利用
価値が高い。
【0388】ハンダ合金の気化の際には、昇温効率を上
げるため、ハンダ合金が余り酸化しない温度(例えば約
200℃)まで加熱後、排気手段により気密容器内を減
圧してさらに加熱(例えば約400℃)し、回収経路の
途中に設けた凝縮手段で凝縮するようにしてもよい。
【0389】このシステムによれば図26に示すように
実装基板のハンダ合金は完全に除かれており、IC、L
SI、抵抗器、コンデンサー等のリード端子部分のハン
ダも完全に除去されている。このため、電子部品を基板
から分離できるだけでなく、後の回路基板、電子部品の
再資源化を容易にして価値を高めることができる。
【0390】実装基板の構成樹脂は気化、炭化され、ま
たは中間生成物になり、有効活用が可能である。
【0391】減圧加熱炉の処理残渣として例えば銅と炭
化物が残ったならば、例えば炭酸カルシウム溶液などで
銅と炭化物とを分離し、ついでこの銅を洗浄水で洗浄す
るようにしてもよい。
【0392】気密容器内の真空度に応じてハンダ合金の
構成金属は蒸発し、真空度が高いほど低い温度で蒸発す
るので、処理装置の炉壁等を痛めない。
【0393】実装基板を埋め立て処理すると、酸性雨な
どによりハンダ合金中のPb、Sbなどの有害金属が溶
出して土壌、河川を汚染する。また、樹脂のほとんどは
自然分解せず半永久的に残り処理場の不足だけでなく、
環境保全の面からも問題がある。本発明の処理システム
によればこれらの問題を解決することができる。
【0394】さらに回路基板や電子部品に含まれる各種
金属を分離回収し資源化することができる。これらの金
属の中には資源枯渇の恐れのある金属、地殻の元素存在
度が小さい希少金属も含まれている。したがってこれら
の金属を回収することは、大量消費社会が直面している
資源、エネルギー問題の解決に大きくしするものであ
る。
【0395】(実施形態17)つぎに、処理対象物体と
して、銅箔と樹脂とが積層された回路基板を取り上げて
その処理システムを説明する。
【0396】回路基板はいわゆる銅張積層板でもよい
し、フレキシブ基板でも、TAB(Tape Auto
mated Bonding)のフィルムキャリアなど
でもよい。また、回路基板の製造工程で生じる、銅張積
層板の切り落とし部分を処理するようにしてもよい。さ
らに、これまで説明してきたように、実装基板から電子
部品と接合合金とを分離した回路基板を処理するように
してもよい。
【0397】また、ここでは回路基板を取り上げて説明
するが、銅と樹脂とを構成材として有する物体であれば
同様に処理することができる。
【0398】実装基板からのハンダ合金、電子部品の分
離については前述のとおりである。実装基板の構成樹脂
の分解についても前述のとおりである。
【0399】この処理システムは、銅箔と樹脂とを効率
よく分離するため、非酸化条件下で回路基板を加熱し、
回路基板の構成樹脂はガス状排出物としてガス状排出物
処理対象物体理系で処理する。
【0400】銅箔はほぼ純金属として回収される。銅に
付着した炭化物などの不純物は、必要に応じて洗浄、振
動、微細砂と混合回転するなどの方法を行うようにして
もよい。装置は本発明の処理装置を用いるようにすれば
よい。
【0401】図33は処理対象物体である回路基板23
00を模式的に示す図である。この回路基板2300は
2層板であり、銅箔2301と樹脂2302とが1体的
に積層されている。
【0402】回路基板2300を熱分解炉内に導入し、
銅2301が酸化されないように熱分解炉内の温度、酸
素濃度を調節して樹脂2302を熱分解(気化、油化、
炭化)する。樹脂2302の分解生成ガスを含むガス状
排出物はガス状排出物処理系で処理され、無害化、クリ
ーンな燃料ガス化される。
【0403】図34は構成樹脂を熱分解した後の回路基
板2300を模式的に示す図である。樹脂の多くは炭化
物として存在している。
【0404】この状態で炭化した樹脂2302を機械的
に分離するようにしてもよいが、本発明においては、主
として金属銅と炭化物からなる回路基板の熱分解残渣
を、減圧加熱炉に導入し、気密容器内の圧力ないしは酸
素濃度を調節しながら、温度を銅の融点より数十度高い
温度まで加熱して、銅を酸化、気化しないよう溶融させ
る。液体状態の銅2301は表面自由エネルギー(表面
張力)により粒状の銅2301bになる(図35)。こ
の状態で冷却すれば、銅の分離回収はさらに容易であ
る。例えば760Torrでの銅の融点は1080℃で
あるが、気密容器内の温度を例えば1150℃程度(7
60Torrの場合)に加熱することにより、銅を粒状
に集めることができる。
【0405】このように減圧下もしくは非酸化雰囲気中
で回路基板を加熱することにより、銅箔は殆ど酸化され
ることなく回収することができる。なお、必要に応じて
表面に付着した炭化物等の不純物は、洗浄等により除去
するようにしてもよい。
【0406】このように本発明の処理システムによれ
ば、樹脂と銅とが一体化した物体から銅を金属状態で分
離回収することができる。また、樹脂も油、炭化物とし
て回収することができる。
【0407】(実施形態18)つぎに、処理対象物体と
して、アルミニウム箔と樹脂とが積層された樹脂被覆ア
ルミニウム箔を取り上げてその処理システムを説明す
る。
【0408】このような樹脂被覆アルミニウム箔は、例
えばポテトチップスの袋やカレーなどレトルト食品の包
装容器をはじめ、食品、医薬品の包装容器、断熱材など
に幅広く用いられている。
【0409】このような樹脂被覆アルミニウム箔は樹脂
とアルミニウム箔とが一体化していることから処理が困
難であり、埋め立てや焼却により処理されている。焼却
処理するとアルミニウムは酸化物になり、資源としての
価値が著しく低下する。
【0410】アルミニウムの精練には莫大なエネルギー
が投入されており、再資源化しないのはエネルギーの浪
費である。
【0411】本発明は、樹脂被覆アルミニウム箔を熱分
解炉内で酸素濃度を調節しながら加熱することにより、
アルミニウムの酸化状態を保持したまま構成樹脂を熱分
解するものである。
【0412】すなわち、アルミニウム箔と樹脂とを効率
よく分離するため、減圧条件下または非酸化条件下で樹
脂被覆アルミニウム箔を加熱し、ガス状排出物は前述同
様に処理する。アルミニウム箔はほぼ純金属として回収
される。アルミニウムに付着した炭化物などの不純物
は、必要に応じて洗浄、振動、微細砂と混合回転するな
どの方法を行うようにしてもよい。
【0413】また、このアルミニウム箔に例えば亜鉛な
ど他の金属が含まれている場合には、さらに減圧加熱炉
に導入して減圧加熱して選択的に気化させ、分離回収す
るようにすればよい。
【0414】図36は樹脂被覆アルミニウム箔2600
を模式的に示す図である。樹脂2601とアルミニウム
箔2602とが一体化している。
【0415】まず処理対象物体である樹脂被覆アルミニ
ウム箔2600を本発明の処理装置の熱分解炉へ導入
し、温度・圧力条件を制御しながら樹脂被覆アルミニウ
ム箔2600を400〜650℃に加熱して熱分解す
る。
【0416】400℃より低温では構成樹脂の分解が不
十分で、650℃より高温ではアルミ箔が溶融するので
このような温度範囲を定めた。
【0417】図37は構成樹脂2601を分解した後の
樹脂被覆アルミニウム箔の様子を模式的に示す図であ
り、金属状態のアルミニウム箔2601に、樹脂分解生
成物である炭化物2602bが付着している状態であ
る。この状態では、炭化物2602bは触っただけで容
易にアルミニウム箔から剥離する。したがって容易にア
ルミニウム箔を金属状態で回収することができる(図3
8参照)。一般的に樹脂被覆アルミニウム箔の構成樹脂
は熱可塑性樹脂であり、大くの部分をガス状排出物とし
て処理し、燃料ガス化することができる。構成樹脂の炭
化物は容易にアルミニウム箔と分離できた。また、アル
ミニウムはその金属性を保持していた。
【0418】このように樹脂被覆アルミニウム箔を非酸
化雰囲気中で加熱することにより、アルミニウムは殆ど
酸化されることなく回収することができる。なお、必要
に応じて表面に付着した炭化物等の不純物は、洗浄等に
より除去するようにしてもよい。
【0419】
【発明の効果】以上説明したように本発明の処理装置、
処理方法は、樹脂と金属を含む処理対象物体を安全かつ
効率的に処理することができる。本発明によれば、家庭
電気製品、自動車、精密機器等を、有害物質を環境中に
放出させず、かつ、有害物質を無害化し、または分離回
収することができる。また本発明は有害物質およびその
発生源物質を含み、燃焼させるとダイオキシン類の有害
物質を生成する廃棄物のような処理対象物体から、自然
環境破壊を防止し、かつ、再利用可能な物質を高純度状
態で回収できる。本発明は処理対象物体から排出させた
ガス状排出物をダイオキシンが分解するような高温で改
質、熱分解し、この状態からダイオキシンが生成、再合
成される温度領域での滞留時間をできるだけ短くして、
ダイオキシンが生成、再合成されない第3の温度まで急
冷することにより、ガス状排出物中のダイオキシン濃度
を大きく低減することができる。また、第1の熱分解、
第2の熱分解または改質を第1の温度と第2の温度の2
段階で処理すると同時にこれらを還元性雰囲気で行うこ
とにより、ダイオキシンの発生源濃度は大幅に低減し、
ガス状排出物中のダイオキシン濃度を大きく低減するこ
とができる。
【0420】本発明によればシュレッダーダストなどの
ような樹脂と金属とを含み、また重金属、ダイオキシン
の発生源を含有する処理の困難な廃棄物から、ダイオキ
シンなどの有害物質を発生させることなく樹脂成分はク
リーンなガス燃料化し、また鉛、ひ素、カドミウムなど
の有害な重金属を環境中に放出することなく高純度で回
収することができる。
【0421】本発明によれば、実装基板のような処理の
困難な廃棄物を有害物質を放出させず、かつ、有害物質
を除去し、また、人手によらず容易に回路基板と各種I
Cや抵抗器、コンデンサー等の電子部品とに分離するこ
とができる。同時に、鉛などの重金属やその他の金属を
気化させて高純度の金属状態で回収することができる。
また回路基板などを構成する金属や銅を高純度で回収で
きる。樹脂部は炭化して、活性炭、土壌の有効成分に活
用できる等くかてきに再資源化を図ることができる。
また本発明の処理装置、処理方法は、鉛を含む物体か
ら、鉛を気化させて除去することができる。また、鉛と
樹脂とを含む物体からも鉛を除去することができる。樹
脂は炭化物、燃料ガス化して回収することができる。鉛
を除去することにより、環境汚染を防止して健康への悪
影響を防止することができる。また、廃棄物処理場の不
足を解消することができる。
【0422】また本発明の処理装置、処理方法は樹脂と
金属とを含む物体からも金属を気化させ、金属状態で回
収することができる。樹脂は炭化物、燃料ガス化して回
収することができる。
【0423】また本発明の処理装置、処理方法は金属で
接合された物体の接合金属を気化させ、接合金属を除去
することができる。また合金で接合された物体の接合合
金を気化させ、接合金属を除去することができる。物体
が樹脂を含む場合にも、樹脂は炭化物、燃料ガス化して
回収することができる。
【0424】また本発明の処理装置、処理方法はハンダ
合金で接合された物体のハンダ合金の構成金属を気化さ
せ、接合金属を除去することができる。ハンダ合金が有
害な鉛を含む場合でも、鉛などの重金属を高純度、高収
率で分離回収することができる。
【0425】また本発明の処理装置、処理方法は回路基
板に電子部品が搭載された実装基板を処理して、効果的
に回路基板に電子部品とを分離することができる。回路
基板に電子部品との接合に鉛を含むハンダ合金が使用さ
れている場合でも、効果的に分離するとともに、有害な
鉛を回収することができる。実装基板の構成樹脂は炭化
物、燃料ガス化して回収することができる。。
【0426】また本発明の処理装置、処理方法は、金属
と樹脂とを構成材として有する物体を効果的、経済的に
処理できる。金属はほぼ金属状態のまま回収することが
できる。また樹脂は炭化物として、またはクリーンな燃
料ガスとして利用することができる。また、本発明は樹
脂と複数の金属とが一体化した物体から樹脂成分と金属
とを効果的に分離することができる。
【0427】また本発明の処理装置、処理システム、処
理方法は、樹脂と銅とが一体化した物体から、銅を金属
状態で容易に回収することができる。樹脂は炭化物とし
て、またはクリーンな燃料ガスとして利用することがで
きる。
【0428】また本発明の処理装置、処理システム、処
理方法は、樹脂とアルミニウムとが一体化した物体か
ら、アルミニウムを金属状態で容易に回収することがで
きる。樹脂から回収した燃料ガスは、処理装置の加熱手
段としても用いることができる。またこの燃料ガスで発
電し、本発明の処理装置を稼働したり売電することによ
り処理装置の運転コストを大幅に低減することができる
また、炭化物は活性炭、肥料などとして優れている。
【0429】また本発明の処理装置、処理方法はエネル
ギー効率がよいので、より幅広い範疇の物体を処理して
価値を高め再資源化を図ることができる。すなわち、本
発明の処理装置、処理方法は、樹脂と金属、基板と電子
部品、金属と金属のように複雑に一体化した処理対象物
体を安全かつ効果的に処理して再資源化を図ることがで
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の処理装置の1例を概略的に示す図。
【図2】図1に例示した本発明の処理装置の構成を模式
的に示す図。
【図3】熱分解炉の構造の1例を模式的に示す図。
【図4】ガス分解器の構造の1例を模式的に示す図。
【図5】冷却塔の構造の1例を模式的に示す図。
【図6】冷却塔の後段にバグフルターを接続したガス状
排出物処理系の構成の一部を示す図。
【図7】本発明の処理装置の別の1例を概略的に示す
図。
【図8】図7に例示した本発明の処理装置の構成を模式
的に示す図。
【図9】本発明の処理方法を廃棄物処理に適用した例を
模式的に示す図。
【図10】シュレッダー装置の構成の1例を概略的に模
式的に示す図。
【図11】本発明の処理装置の1例を概略的に示す斜視
図。
【図12】図1に例示した本発明の処理装置を模式的に
示す図。
【図13】本発明の処理装置の別の1例を概略的に示す
図。
【図14】本発明の処理装置の別の1例を模式的に示す
図。
【図15】本発明の処理装置の別の1例を模式的に示す
図。
【図16】本発明の処理装置の別の1例を模式的に示す
図。
【図17】本発明の処理装置の温度、圧力、酸素濃度を
調節する制御系の構成を模式的に示す図。
【図18】本発明の処理装置の別の1例を模式的に示す
図。
【図19】本発明の処理装置に接続した、回収室を含む
回収系を模式的に示す図。
【図20】回収チャンバの構造の1例を概略的に示す
図。
【図21】回収チャンバの構造の1例を概略的に示す
図。
【図22】鉛の沸点(蒸気圧)の温度依存性を示すグラ
フ。
【図23】処理対象物体である実装基板の処理前の様子
を模式的に示す図。
【図24】構成樹脂が分解された実装基板の様子を模式
的に示す図。
【図25】鉛が気化する様子を模式的に示す図。
【図26】回路基板と電子部品とが分離した様子を模式
的に示す図。
【図27】各種金属の沸点(蒸気圧)の圧力依存性を示
すグラフ。
【図28】各種酸化物の生成自由エネルギーとその温度
依存性を示すグラフ。
【図29】本発明の処理装置の1例を模式的に示す図。
【図30】本発明の処理装置の隔壁を模式的に示す図。
【図31】本発明の処理装置の1例を模式的に示す図。
【図32】本発明の処理装置を用いた実装基板の処理ス
キームを模式的に示す図。
【図33】処理対象物体である回路基板の処理前の様子
を模式的に示す図。
【図34】構成樹脂が分解された回路基板の様子を模式
的に示す図。
【図35】表面張力により銅が粒状に集まる様子を模式
的に示す図。
【図36】処理対象物体である樹脂被覆アルミニウム箔
の処理前の様子を模式的に示した図。
【図37】構成樹脂が分解された樹脂被覆アルミニウム
箔の様子を模式的に示す図。
【図38】樹脂被覆アルミニウム箔から分離されたアル
ミニウム箔を模式的に示す図。
【符号の説明】
10……処理装置 20……熱分解
炉 25……シュレッダー 30……ガス分
解器 40……冷却塔 50……減圧加
熱炉 51……パージ室 52……第1の
気密室 53……冷却室 70……中和反
応ろ過器 54a,54b,54c,54d……隔壁 55……排気系 60……回収チ
ャンバ 100……減圧加熱装置 101……パー
ジ室 102……第1の気密室 103……第2
の気密室 104……冷却室 105……扉 106……排気系 107……トラ
ップ 108……キャリアガス導入弁 109……電熱
ヒータ 110……排気系 111……回収
チャンバ 112……キャリアガス導入弁 113……電熱
ヒータ 114……排気系 115……回収
チャンバ 116……排気系 117……キャ
リアガス導入弁 118……トラップ 130……プッ
シャー 131……ドローワー 150……処理
対象物体 200……制御盤 201……温度
センサ 202……圧力センサ 203……酸素
濃度センサ 204……キャリアガスリザバ 1300……実装基板 1301……銅
箔 1302……樹脂 1303……回
路基板 1304……電子部品 1305……パ
ッケージ樹脂 1306……リード端子 1307……P
b−Sn系ハンダ合金 1308……鉛 2300……回路基板 2301……銅
箔 2302……樹脂 2600……樹
脂被覆アルミニウム箔 2601……アルミニウム 2602……樹
フロントページの続き (72)発明者 親里 直彦 神奈川県横浜市磯子区新杉田町8番地 株 式会社東芝横浜事業所内 (72)発明者 古屋 富明 神奈川県横浜市磯子区新杉田町8番地 株 式会社東芝横浜事業所内 (72)発明者 横山 芳昭 群馬県太田市高林寿町1807−1 オギハ ラ・エコロジー株式会社内 (72)発明者 荻原 映久 群馬県太田市高林寿町1807−1 オギハ ラ・エコロジー株式会社内 (72)発明者 荻原 嘉一郎 群馬県太田市高林寿町1807−1 オギハ ラ・エコロジー株式会社内

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 樹脂と金属とを含有する物体を第1の温
    度で熱分解する第1の熱分解手段と、 前記熱分解手段に接続して配設され、前記物体から生じ
    たガス状排出物をダイオキシンが分解するような第2の
    温度で改質する改質手段と、 前記改質手段と接続して配設され、第2の温度で改質さ
    れた前記ガス状排出物中のダイオキシン濃度の増加が抑
    制されるように、前記ガス状排出物を第3の温度まで急
    冷する冷却手段と、 前記物体の熱分解により生じた残渣を、この残渣に含ま
    れる金属が気化するように減圧下で加熱する減圧加熱手
    段と、 前記残渣から気化した金属を凝縮する凝縮手段とを具備
    したことを特徴とする処理装置。
  2. 【請求項2】 樹脂と金属とを含有する物体を第1の温
    度で熱分解する第1の熱分解手段と、 前記熱分解手段に接続して配設され、前記物体から生じ
    たガス状排出物を第1の温度より高い第2の温度で熱分
    解する第2の熱分解手段と、 前記熱分解手段と接続して配設され、第2の温度で熱分
    解された前記ガス状排出物中のダイオキシン濃度の増加
    が抑制されるように、前記ガス状排出物を第3の温度ま
    で急冷する冷却手段と、 前記物体の熱分解により生じた残渣を、この残渣に含ま
    れる金属が気化するように減圧下で加熱する減圧加熱手
    段と、 前記残渣から気化した金属を凝縮する凝縮手段とを具備
    したことを特徴とする処理装置。
  3. 【請求項3】 樹脂と金属とを含有する物体を第1の温
    度で熱分解する第1の熱分解工程と、 前記物体から生じたガス状排出物をダイオキシンが分解
    するような第2の温度で改質する改質工程と、 改質された前記ガス状排出物中のダイオキシン濃度の増
    加が抑制されるように前記ガス状排出物を第3の温度ま
    で急冷する冷却工程と、 前記物体の熱分解により生じた残渣を、この残渣に含ま
    れる金属が気化するように減圧下で加熱する減圧加熱工
    程と、 前記残渣から気化した金属を凝縮する凝縮工程とを具備
    したことを特徴とする処理方法。
  4. 【請求項4】 樹脂と金属とを含有する物体を第1の温
    度で熱分解する第1の熱分解工程と、 前記物体から生じたガス状排出物を第1の温度より高い
    第2の温度で熱分解する第2の熱分解工程と、 第2の温度で熱分解された前記ガス状排出物中のダイオ
    キシン濃度の増加が抑制されるように、前記ガス状排出
    物を第3の温度まで急冷する冷却工程と、 前記物体の熱分解により生じた残渣を、この残渣に含ま
    れる金属が気化するように減圧下で加熱する減圧加熱手
    段と、 前記残渣から気化した金属を凝縮する凝縮手段とを具備
    したことを特徴とする処理方法。
  5. 【請求項5】 樹脂と第1の金属と第2の金属を含有す
    る物体を第1の温度で熱分解する第1の熱分解工程と、 前記物体から生じたガス状排出物をダイオキシンが分解
    するような第2の温度で改質する改質工程と、 第2の温度で改質された前記ガス状排出物中のダイオキ
    シン濃度の増加が抑制されるように、前記ガス状排出物
    を第3の温度まで急冷する冷却手段と、 前記物体の熱分解により生じた残渣を、この残渣に含ま
    れる第1の金属が気化するとともに第2の金属が保持さ
    れるように減圧下で加熱する第1の減圧加熱工程と、 前記残渣から気化した第1の金属を凝縮する凝縮工程
    と、 第1の金属を気化させた前記残渣に含まれる第2の金属
    が溶融するように減圧下で加熱する第2の減圧加熱工程
    とを具備したことを特徴とする処理方法。
  6. 【請求項6】 第2の減圧加熱工程は、第1の金属を気
    化させた前記残渣に含まれる第2の金属が溶融してその
    表面張力により凝集するように減圧下で加熱することを
    特徴とする請求項8に記載の処理方法。
  7. 【請求項7】 樹脂と金属を構成材の一部として有し、
    接合金属で接合された第1の部分と第2の部分とを有す
    る物体前記接合金属を保持して熱分解する熱分解工程
    と、 前記物体から生じたガス状排出物をダイオキシンが分解
    するような第2の温度で改質する改質工程と、 改質された前記ガス状排出物中のダイオキシン濃度の増
    加が抑制されるように、前記ガス状排出物を第3の温度
    まで急冷する冷却工程と、 前記物体の熱分解により生じた残渣を、前記接合金属が
    気化するように減圧下で加熱する減圧加熱工程とを具備
    したことを特徴とする処理方法。
  8. 【請求項8】 前記冷却工程で冷却された前記ガス状排
    出物を中和する中和工程をさらに具備したことを特徴と
    する請求項3乃至請求項7のいずれかに記載の処理方
    法。
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