JPH1093478A - スペクトラム拡散信号受信装置 - Google Patents

スペクトラム拡散信号受信装置

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JPH1093478A
JPH1093478A JP8242401A JP24240196A JPH1093478A JP H1093478 A JPH1093478 A JP H1093478A JP 8242401 A JP8242401 A JP 8242401A JP 24240196 A JP24240196 A JP 24240196A JP H1093478 A JPH1093478 A JP H1093478A
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phase
circuit
signal
series
baseband signals
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JP8242401A
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English (en)
Inventor
Manabu Fujino
学 藤野
Yoshinori Shinohara
義典 篠原
Hideki Kato
英樹 加藤
Kazuhiko Seki
和彦 関
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Uniden Corp
Original Assignee
Uniden Corp
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  • Digital Transmission Methods That Use Modulated Carrier Waves (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 ハーフチップオフセットQPSK方式による
スペクトラム拡散信号の受信において、確実な初期位相
捕捉および簡単な搬送波再生を行う。 【解決手段】 拡散符号の1チップ区間をTc、nを整
数とした場合に、前記送信信号に含まれる2系列のベー
スバンド信号のいずれか一方を(n+1/2)Tcの期
間遅延させ、この遅延させたベースバンド信号とその2
系列のベースバンド信号の他方とを乗算し、乗算結果で
ある相互相関値に基づいて、この2系列のベースバンド
信号の位相を回転させることにより、位相誤差を所定値
以内に抑える。ハーフチップオフセットQPSK方式に
おいても高いベースバンド信号の振幅レベルが得られ、
クロック再生が確実に行える。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、スペクトラム拡散
信号の受信技術に係り、特に、直角変調されたベースバ
ンド信号の一方が、その他方のベースバンド信号に比べ
拡散符号の1チップ(chip)区間の半分の期間遅延され
たハーフチップオフセットQPSK方式によるスペクト
ラム拡散信号の受信装置における同期確立方法および再
生回路の簡略化に関する。
【0002】
【従来の技術】スペクトラム拡散(Spread Spectrum)
における拡散信号の発生方式のうち、直接拡散(Direct
Sequence:DS)といわれる拡散方式は、拡散符号(PN
系列)という擬似ランダム符号により、送信信号のスペ
クトルを拡散するものである。直接拡散方式の中でも、
ハーフチップオフセットQPSK(Half chip Offset Q
uadriphase Phase Shift Keying)は、送信アンプを飽
和領域で動作させてもスぺクトルの広がりが小さいとい
う利点を有するため、 実務上重要な変調方式である。
【0003】一般的にQPSK方式におけるスペクトラ
ム拡散変調は、一次変調と二次変調の二段階に分けられ
る。一次変調は、変調前の原デジタルデータを2ビット
ごとに±1の値をとるベースバンド信号に分割し、分割
したそれぞれのデータを位相が90°ずれている搬送波
にて変調する直交位相変調である。ここで、各ベースバ
ンド信号をそれぞれI信号、Q信号という。二次変調
は、直交位相変調され一次変調信号(I信号、Q信号)
を、PN系列発生器から供給されたPN系列符号でそれ
ぞれ乗算しスペクトラム拡散をするものである。ここ
で、PN系列とは、原データのビット状態の変化速度よ
り速い速度で変化するランダムな矩形波をいう。このP
N系列の擬似ランダム信号における1 ビット区間を1
チップといい、その期間の長さをチップ区間(chip dur
ation:以下Tcと記す)という。ハーフチップオフセ
ットQPSKとは、二次変調を行ったQ信号を遅延素子
により1チップ区間の半分(すなわちハーフチップ)の
期間(Tc/2)遅延させ、I信号と重畳する方式をい
う。二次変調された送信信号は、重畳され送信される。
【0004】一般に、QPSK方式により送信されたス
ペクトラム拡散された送信信号は、次の手順で復調され
る。すなわち、受信信号は、フロントエンド増幅器にて
増幅され、直交検波回路にて互いに位相の90°異なる
搬送波にて直交検波され、Ir信号、Qr信号に変換さ
れる。この二つのベースバンド信号には、送信時と同じ
PN系列発生器から供給された拡散符号が乗算され、逆
拡散が行われる。逆拡散を行うにあたり、送信信号に含
まれるベースバンド信号の直交軸と直交検波されたベー
スバンド信号の直交軸との位相差(位相誤差という)を
少なくする必要がある。このため、通信初期において同
期捕捉を行う。
【0005】同期捕捉を行うためには、直交検波された
ベースバンド信号における拡散符号に同期したクロック
を再生する。例えば、Serial Search Acqusition方式で
は、ベースバンド信号を位相が徐々に変化する擬似ラン
ダム信号で逆拡散し、その逆拡散された信号を積分す
る。この積分値は、自己相関の大きさを示す。相関値が
大きくなれば、逆拡散したときの拡散符号の位相が送信
機における拡散符号の位相に近づくことを意味する。し
たがって相関値が所定のしきい値より大きくなるか否か
により、同期捕捉の完遂、未完遂を判定する。この方式
による受信機は、例えば、特開平6−90222号公報
に記載されている。
【0006】また、Matched Filtering 方式という同期
捕捉方法では、SAW(Surface Acoustic Wave)素子
等の遅延素子を利用して相関値の検出を瞬時に行うもの
である。この方式を用いた発明は、例えば特開平7−2
83762号公報に記載されている。
【0007】一旦同期が捕捉されれば、遅延ロックルー
プ回路(DLL)等を用いて捕捉時の位相のままPN系
列の逆拡散を持続する。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、ハーフ
チップオフセットQPSK方式で変調された送信信号に
ついて、従来効果的な復調方式は提案されていなかっ
た。すなわち、ハーフチップオフセットQPSK方式で
は、2系列のベースバンド信号が互いに90°位相の異
なる搬送波で変調される上に、1/2チップ区間の位相
ずれをもって変調される。このため、従来のQPSK方
式に適合した受信機では、良好な同期捕捉が行えなかっ
たのである。
【0009】また、搬送波(キャリア)再生では、2系
列のベースバンド信号にハーフチップ分の位相差がある
ため、低いビット誤り率で復調するには、搬送波再生回
路が複雑化するという問題もあった。
【0010】そこで、本発明の第1の目的は、確実な初
期位相捕捉を行うことができるハーフチップオフセット
QPSK方式によるスペクトラム拡散信号受信装置およ
びその方法を提供することである。
【0011】また、本発明の第2の目的は、簡易な回路
で位相補正を実現するハーフチップオフセットQPSK
方式によるスペクトラム拡散信号受信装置およびその方
法を手供することである。
【0012】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の発明
は、第1の目的を達成するものである。この発明は、ハ
ーフチップオフセットQPSK方式によりスペクトラム
拡散された送信信号を受信するスペクトラム拡散信号受
信装置であって、拡散符号の1チップ区間をTc、nを
整数とした場合に、送信信号に含まれる2系列のベース
バンド信号のいずれか一方を(n+1/2)Tcの期間
遅延させ、この遅延させたベースバンド信号と2系列の
ベースバンド信号の他方との演算をし、この演算結果に
基づいて2系列のベースバンド信号の位相を回転させる
ことにより、この2系列のベースバンド信号の位相誤差
を所定の位相差以下にする初期位相捕捉回路を備えて構
成される。
【0013】ここで、上記演算とは、例えば乗算であっ
ても排他的論理和であってもよい。この演算結果は、相
互相関値を示す。相互相関値は、ベースバンド信号の位
相誤差がnπ/2のときに極値を、この位相誤差が(2
n−1)π/4のときに零を示し、それ以外の位相誤差
のときには正あるいは負の値を示す。したがって、演算
結果(相互相関値)の極性に対応させてベースバンド信
号の位相を回転させれば、位相誤差を一定の値以内(例
えば±π/4)に抑えることができる。また、演算結果
が最大を示すように位相を回転させれば、位相誤差がn
π/2である相互相関特性の極点に収束させることもで
きる。
【0014】請求項2に記載の発明は、第1の目的を達
成するためのものである。この発明は、ハーフチップオ
フセットQPSK方式によりスペクトラム拡散された送
信信号を受信するスペクトラム拡散信号受信装置であっ
て、送信信号を2系列のベースバンド信号に変換する直
交検波回路と、直交検波回路の出力するベースバンド信
号の位相を制御信号に基づいて回転させる位相回転回路
と、拡散符号の1チップ区間をTc、nを整数とした場
合に、送信信号に含まれる2系列のベースバンド信号の
いずれか一方を(n+1/2)Tcの期間遅延させる遅
延回路と、遅延回路が出力した一方のベースバンド信号
と2系列のベースバンド信号の他方との演算をし、この
演算結果を出力する演算器と、演算器の出力する演算結
果に基づいて2系列のベースバンド信号にノイズ成分を
除去し、位相判定出力とするフィルタ回路と、フィルタ
回路の出力する位相判定出力に基づいて、2系列のベー
スバンド信号の位相を回転させる前記制御信号を出力す
ることにより、この2系列のベースバンド信号の位相誤
差を所定の位相差以下にする制御回路を備えて構成され
る。
【0015】一般に、送信信号にはノイズ等の外乱信号
が重畳されている。あるサンプル時における相互相関値
からのみ位相誤差の有無を判断すると、実際には位相誤
差が生じていないにもかかわらず、位相の回転方向の反
転が行われてしまう。このため、フィルタ回路により、
所定のサンプリング期間(例えば20サンプル)にわた
って位相の進みあるいは遅れが検出されたときにのみ、
位相の回転方向の逆転が行われるようにするのである。
フィルタ回路は、デジタル回路に適用可能なフィルタで
あればその構成を問わない。例えば指数平滑(exponent
ial filter)を行うものでも、区間平均(cumulative f
ilter)を行うものでも、移動平均(moving average)
を計算するものでもよい。
【0016】請求項3に記載の発明は、第1の目的を達
成するためのものである。この発明によれば、請求項2
に記載のスペクトラム拡散信号受信装置において、フィ
ルタ回路は、演算結果の正負を判定する符号判定回路
と、符号判定回路の判定結果に基づいてカウントアップ
またはカウントダウンし、カウント値が一定の値に達し
たときに位相が進んでいるか遅れているかを指示する信
号を位相判定出力として出力するランダムウォークフィ
ルタを備えて構成される。
【0017】ランダムウォークフィルタは、ある値を中
心に、カウントアップあるいはカウントダウンが指定さ
れるたびに、計数値を増加あるいは減少させるものであ
る。したがって、相互相関値が連続して数サンプル期間
同一の値を示した場合(すなわち、位相の進みあるいは
遅れが連続した場合)のみ、位相の回転方向を反転させ
る旨の信号を出力する。このことは、この回路がフィル
タとして作用することを意味する。このフィルタ作用に
より外乱成分に影響されず安定した位相捕捉が行える。
【0018】請求項4に記載の発明は、第1の目的を達
成するためのものである。この発明によれば、請求項3
に記載のスペクトラム拡散信号受信装置において、2系
列のベースバンド信号の位相の回転は、所定のステップ
角だけステップごとに位相を一の回転方向に回転させ、
この回転により出力された前記位相判定出力が前回のス
テップと反対方向の位相回転を指示している場合には、
このステップ角を減少させた後に(例えば、ステップ角
の絶対値を、前回のステップにおける値の1/2にす
る)その位相の回転方向を反転させ、前記位相判定出力
が前回のステップと同一方向の位相回転を指示している
場合には、ステップ角および位相の回転方向を一の回転
に維持したままとする。
【0019】請求項5に記載の発明は、第1の目的を達
成するためのものである。この発明によれば、請求項1
または請求項2に記載のスペクトラム拡散信号受信装置
において、その位相の回転を行うステップ累計数が、予
め定めた最大ステップ数を越えた場合には、位相を一定
角回転させた後にその位相の回転を停止する。すなわ
ち、十分な確率で位相捕捉が行えるステップ数をシミュ
レートし最大ステップ数とする。このステップ数に達し
たときにはほぼ一定の位相差以内に位相誤差が捕捉され
ている。
【0020】請求項6に記載の発明は、第1の目的を達
成するためのものである。この発明によれば、請求項4
または請求項5のいずれかに記載のスペクトラム拡散信
号受信装置において、その位相を一定角回転させた後に
おいて、その2系列のベースバンド信号の位相差がπで
ある場合には、この2系列のベースバンド信号の一方を
反転させる。
【0021】前述したように、相互相関値は、位相誤差
が0の場合と±πの場合の両者で相互相関値が0を示
す。したがって、位相差±πの状態で位相捕捉される場
合も生ずる。この状態で捕捉された場合には、ベースバ
ンド信号の一方の極性を反転させ、位相を±π位相シフ
トさせた状態と等価な状態にする必要があるのである。
【0022】請求項7に記載の発明は、第2の目的を達
成するためのものである。この発明は、ハーフチップオ
フセットQPSK方式によりスペクトラム拡散された送
信信号を受信するスペクトラム拡散信号受信装置であっ
て、その送信信号に対し直交検波が行われた2系列のベ
ースバンド信号の平均値に基づいて、この2系列のベー
スバンド信号の位相補正を行う搬送波再生回路を備えて
構成される。
【0023】このベースバンド信号の平均値は、位相誤
差の余弦成分や正弦成分に比例する値を示す。したがっ
て、この値を用いれば位相補正が行える。
【0024】請求項8に記載の発明は、第2の目的を達
成するためのものである。この発明によれば、請求項7
に記載の搬送波再生回路は、2系列のベースバンド信号
の一方の平均値と前記ベースバンド信号の他方の平均値
との和を演算する平均値回路と、平均値回路の出力に基
づいてベースバンド信号の位相を回転させ位相を補正す
る位相補正回路とを備えて構成される。ここでは、位相
補正回路の前段のベースバンド信号に基づいて平均値を
計算している。
【0025】請求項9に記載の発明は、第2の目的を達
成するためのものである。この発明によれば、請求項8
に記載の平均値回路は、拡散符号を発生する逆拡散符号
発生器と、この拡散符号の1チップ区間をTcとした場
合に、逆拡散発生器の発生した拡散符号の一方をTc/
2の期間遅延させる遅延回路と、遅延回路により遅延さ
れた拡散符号と拡散符号の他方とにより2系列のベース
バンド信号を各々逆拡散する2つの乗算器と、2つの乗
算器からの出力を加算する加算器と、加算器からの出力
を累積し、累積した結果を位相補正回路に出力する積算
器とを備えて構成される。この発明では、前記ベースバ
ンド信号の移動平均を求めている。
【0026】ここで、本発明はベースバンド信号の一方
をTc/2遅延させることを前提としているので、この
条件下では各ベースバンド信号を逆拡散する拡散符号
は、お互いに異なるものでなく、同一の拡散符号であっ
てもよい。
【0027】請求項10に記載の発明は、第2の目的を
達成するためのものである。この発明によれば、請求項
7に記載の搬送波再生回路は、2系列のベースバンド信
号の位相を制御信号に基づいて回転させ位相補正をする
位相補正回路と、位相補正回路の出力したベースバンド
信号の各々を拡散符号で拡散する逆拡散回路と、逆拡散
回路の出力に基づいて平均値を計算し、この平均値に基
づいてベースバンド信号の位相を回転させる前記制御信
号を出力する制御回路とを備えて構成される。ここで
は、請求項9記載の発明とは異なり、位相補正回路の出
力であるベースバンド信号に基づいて平均値を求めてい
る。拡散符号については、請求項9記載の発明と同様に
考えられる。
【0028】請求項11に記載の発明は、第2の目的を
達成するためのものである。この発明によれば、請求項
8または請求項10に記載のスペクトラム拡散信号受信
装置において、平均値は、前記ベースバンド信号の移動
平均を求める演算により算出される。簡単な回路で平均
を算出するために移動平均を求めるのが好ましいが、前
述した指数平滑や区間平均を求めるものでもよい。
【0029】
【発明の実施の形態】次に、本発明の最良の実施の形態
を図面を参照しながら説明する。
【0030】(1)第1形態 <全体構成>図1に、ハーフチップオフセットQPSK
方式によるスペクトラム拡散を行う送信機およびその受
信機の概略ブロック図を示す。図1に示すものは、一般
的なハーフチップオフセットQPSK方式による送受信
機である。本発明は、特に図1における位相制御・逆拡
散回路26の改良に関し、これについては後述する。
【0031】送信機1は、直角変調された2系列のベー
スバンド信号のうち、I信号に拡散符号PN1を乗算す
る乗算器10、Q信号に拡散符号PN2を乗算する乗算
器11、拡散符号PN2によりスペクトラム拡散された
Q信号を拡散符号の1チップ区間Tcの半分の期間(T
c/2)遅延する遅延回路12、搬送波でベースバンド
信号を変調する変調回路13および変調されたI信号お
よびQ信号を加算し、送信信号Stとする加算器18を
備える。
【0032】なお、乗算器10および11に入力される
I信号、Q信号は、原デジタルデータを直角変調したも
のである。また、この送信機1は、Q信号をTc/2遅
延させているが、これとは反対にI信号を遅延させるも
のでもよい。また、拡散符号PN1およびPN2は、任
意の拡散符号を用いることができる。ここでは、PN1
が11ビットのバーカー系列(Baker Sequence)である
とした場合、拡散符号PN1をn(nは整数、例えば5
チップ)ずらしたものを拡散符号PN2とする。
【0033】変調回路13は、搬送波を発振する発振器
14、搬送波でI信号を変調する乗算器15、搬送波を
π/2の位相だけ遅延する遅延回路16およびπ/2遅
延された搬送波でQ信号を変調する乗算器17を備え
る。
【0034】受信機2は、フロントエンド回路20、直
交検波回路21および位相制御・逆拡散回路26を備え
る。フロントエンド回路20は、送信信号Stを受信
し、送信信号Stの搬送波の有する周波数を中心とした
帯域増幅を行う。その出力は2系統に分岐され直交検波
回路21に入力される。送信信号Stを受信したとき、
フロントエンド回路20は受信信号Prを出力する。な
お、フロントエンド回路20は、増幅した信号をデジタ
ル形式に変換して出力する。
【0035】直交検波回路21は、送信信号Stの搬送
波と同じ周波数の信号を発振する発振器22、発振器2
2が生成した搬送波をフロントエンド回路20の出力に
乗算し、ベースバンド信号であるIr信号を復調する乗
算器23、この搬送波の位相をπ/2だけ遅延させる遅
延回路24および遅延された搬送波をフロントエンド回
路20の出力に乗算し、ベースバンド信号であるQr信
号を復調する乗算器25を備える。このベースバンド信
号(Ir、Qr)の直交軸は、送信信号Stに含まれる
ベースバンド信号の直交軸の位相と一致していないの
で、十分な振幅レベルが得られるように初期位相捕捉を
行う必要がある。さらにシンボルビット単位の位相があ
っても拡散符号単位の同期がとれなければ正しく原デジ
タルデータに復調できない。これらの処理を行うのが本
発明に係る位相制御・逆拡散回路26である。
【0036】図2に、位相制御・逆拡散回路26の詳細
なブロック図を示す。図2に示すように、この位相制御
・逆拡散回路26は、概略して初期位相捕捉回路10
0、搬送波再生回路200、クロック再生回路300、
スライディング相関器400、遅延回路500および制
御回路600を備えて構成される。
【0037】初期位相捕捉回路100は、本発明の第1
の目的に関する。この回路は、同期が確立する前段階に
おいて、逆拡散のためのシンボルクロックをクロック再
生回路300に再生させるに十分な程度に、直交検波さ
れたベースバンド信号Ir、Qrのキャリア位相誤差を
調整する。この回路の詳細については後述する。
【0038】搬送波再生回路200は、本発明の第2の
目的に関するものである。この回路は、同期確立後、初
期位相捕捉回路100の出力したベースバンド信号I
m,Qmの位相の送信信号Stに対するキャリア位相誤
差を補正し、一定の位相差の範囲内に保つ役割を有す
る。この回路の詳細については後述する。
【0039】スライディング相関器300は、ベースバ
ンド信号を拡散符号により逆拡散する回路である。この
回路は、送られてきた信号の拡散符号の発生タイミング
と逆拡散に用いる拡散符号の発生タイミングとを1チッ
プ区間以内の精度で推定し、逆拡散用拡散符号をそのタ
イミングで発生させる同期追跡およびその維持を図る同
期追跡を行う。
【0040】遅延回路400は、送信機1の遅延回路1
2でQ信号に与えられた遅延量を打ち消すために、逆拡
散されたスライディング相関器300の出力したI信号
をTc/2だけ遅延させる。
【0041】クロック再生回路500は、絶対値回路5
01、502、加算器503およびピーク検出&シンボ
ルクロック再生回路504を備える。絶対値回路501
および502の出力は、各ベースバンド信号の振幅レベ
ルである。したがって、加算器503の出力はベースバ
ンド信号の振幅レベルを示す。ピーク検出&シンボルク
ロック再生回路504は、動作開始信号Scsによりク
ロック再生動作を開始し、ベースバンド信号の振幅レベ
ルがピークを示したときに、クロック再生完了信号Sc
eを出力する。その後は、PN系列発生器202にシン
ボルクロック等を供給する。
【0042】制御回路600は、受信信号Prを受けて
後述するフローチャート(図5)に従った処理を行う。
【0043】<初期位相捕捉回路>初期位相捕捉回路1
00は、位相回転回路101、遅延回路102、乗算器
103、ランダムウォークフィルタ(RWF)104お
よび制御回路105を備える。位相回転回路101は、
制御回路105から指示される位相回転命令Sθに対応
した回転角だけ、ベースバンド信号IrおよびQrの直
交軸を回転させる。回転動作のステップは、ランダムウ
ォークフィルタ104からの出力があるごとに行う。1
ステップ当たりの回転量(ステップ角)は任意に定めう
る。回転方向は、位相回転命令Sθの指示内容に対応し
て正逆ともに回転できるものとする。遅延回路102
は、位相回転回路101の出力したベースバンド信号の
一方であるIm信号を1チップ区間の半分に相当する期
間遅延させる。すなわち、nを整数、Tcを拡散符号P
N1およびPN2のチップ区間とした場合、(n+1/
2)Tcの期間遅延させる。本形態では、図1における
送信機1の遅延回路12においてTc/2の遅延量を与
えているので、n=0として取り扱う。乗算器103
は、遅延されたIr信号とQr信号との演算(乗算)を
する。この乗算値はベースバンド信号における相互相関
値を示す。なお、演算は、乗算のみならず、排他的論理
和を求めるものであってもよい。
【0044】ランダムウォークフィルタ104は、相互
相関値のノイズ成分等を排除するフィルタとして作用す
る。図3にランダムウォークフィルタ104の構成を示
す。符号判定回路110は、加算器103の出力した相
互相関値Sの正負を判定する。相互相関値Sが正(すな
わち位相が遅れ)のときにはカウントアップさせるクロ
ックを、相互相関値Sが負(すなわち位相が進み)のと
きにはカウントダウンさせるクロックをそれぞれ2N段
カウンタ111に出力する。2N段カウンタ111は、
アップダウンカウンタである。初期値はNである。位相
が遅れている限りカウントアップされる。その結果計数
値が2Nになったとき「−1」が出力される。リセット
回路112は、「−1」により2N段カウンタ111の
値をNにリセットする。制御回路105は「−1」によ
り、位相の回転方向を反転させる。また、2N段カウン
タ111は位相が進んでいる限りカウントダウンされ
る。その結果計数値が0になったとき「+1」が出力さ
れる。リセット回路112は、「+1」により2N段カ
ウンタ111の値をNにリセットする。制御回路105
は「+1」により位相の回転方向を反転させる。すなわ
ち、ランダムウォークフィルタ104は、位相が進んで
いると、位相を遅らすことを要求する信号「+1」を出
力し、位相が遅れていると、位相を進めることを要求す
る信号「−1」を出力する。位相誤差を生じていない場
合は、値の出力がない。
【0045】なお、制御回路105は、後述するフロー
チャート(図6)にしたがってベースバンド信号の直交
軸の位相を回転させる位相回転命令Sθを出力する。
【0046】この初期位相捕捉回路100は、初期にお
けるキャリア位相差をなくする働きを有する。すなわ
ち、同期が確立する前の非同期状態において、あまりに
キャリア位相差が大きいと、自己相関値が小さいため
に、後述するクロック再生回路300におけるクロック
再生が困難になるからである。図7に、1シンボルクロ
ック当たり4回サンプリングをおこなった場合の、キャ
リアの位相誤差に対する相関ピーク値、つまり自己相関
の強さを示す。同図から判るように、より高い相関ピー
ク値を得るためには、キャリア位相誤差を少なくするこ
とが重要である。本初期位相捕捉回路では、同期が確立
する前のベースバンド信号の相互相関値に基づいて位相
回転によるキャリア位相の調整を行う。遅延回路102
において、送信機1のQ信号に与えられた遅延と同量の
遅延をIr信号に与えれば、Ir信号とQr信号との位
相は正しくπ/2になる。この両信号を乗算し積算した
積算値Sは、ベースバンド信号の相互相関値を示す。こ
こで、遅延したIr信号とQr信号との相互相関値S
は、本形態の条件下では以下の式(1)で与えられる。
【0047】
【数1】
【0048】(N:1チップ区間当たりのサンプル数、
Φ:キャリア位相差、T:チップ区間) 図8に、式(1)に基づいてNで正規化したときの位相差
Φと相互相関値との関係を示す。相互相関値はΦ=(2
n−1)π/4(nは整数)で零となる。したがって、
相互相関値Sが零を示すように、制御回路105が位相
回転回路101の位相を回転させれば、位相差Φを(2
n−1)π/4に収束させることができる。制御回路1
05の処理の詳細については後述する。
【0049】<搬送波再生回路>搬送波再生回路200
は、補正信号RsおよびRcに基づいてベースバンド信
号ImおよびQmの位相をシフトさせ、補正したベース
バンド信号IcおよびQcを出力する。搬送波再生回路
200は、位相補正回路201と平均値回路220を備
える。
【0050】図4に、位相補正回路201の構成図を示
す。乗算器220、224は、ベースバンド信号Im、
Qmの各々に補正信号Rcを乗算する。乗算器222、
225は、ベースバンド信号Im,Qmの各々に補正信
号Rsを乗算する。インバータ226は、乗算器225
の出力を反転する。加算器221は、乗算器220とイ
ンバータ226の出力を加算する。加算器223は、乗
算器222と224の出力を加算する。バッファ227
には、補正信号Rcの値が格納される。バッファ228
には、補正信号Rsの値が格納される。補正信号Rcが
ある角度θの余弦値cosθであって、補正信号Rsが
正弦値sinθである場合、この回路は、ベースバンド
信号ImおよびQmの位相をともにθだけ回転させる。
【0051】平均値回路220は、ベースバンド信号の
振幅レベルについての平均値(移動平均)の和を出力す
る回路である。平均値回路220は、送信機1と同じP
N系列を発生するPN系列発生器202、Tc/2の期
間拡散符号を遅延させる遅延回路203、乗算器20
4、205、207、208、インバータ206、加算
器209、210、シンボルタイミングごとに加算器2
09および210の出力を積算する積算器211および
212を備える。
【0052】ベースバンド信号の振幅レベルについて平
均値の和を以下に求める。通常のスペクトラム拡散信号
では、通信の初期に同期を確立するためのプリアンブル
部が送信される。ここでは、プリアンブル部の送信デー
タがすべて1の場合の同期パターンであるものと仮定す
る。このとき、送信機における拡散前および拡散後のベ
ースバンド信号をそれぞれ、I(t)とQ(t)、I_
Tx(t)とQ_Tx(t)、拡散符号をPN1
(t)、PN2(t)とすると、 I_Tx(t)=I(t)・PN1(t) Q_Rx(t)=Q(t−Tc/2)・PN2(t−Tc/2) …(2) となる。このベースバンド信号が受信機で受信され、直
交検波されたときに、位相がθだけ回転していたとする
と、直交検波後のベースバンド信号I_Rx(t)、Q
_Rx(t)は、 I_Rx(t)=cosθ・I(t)・PN1(t) −sinθ・Q(t−Tc/2)・PN2(t−Tc/2)+N1(t) Q_Rx(t)=sinθ・I(t)・PN1(t) +cosθ・Q(t−Tc/2)・PN2(t−Tc/2)+N2(t) …(3) となる。なお、N1(t)、N2(t)は、受信側のI
チャンネル、Qチャンネルにそれぞれ重畳したAWGN
を意味する。
【0053】プリアンブル部の同期パターンは、I
(t)=Q(t)=1と仮定したので、受信側のIチャ
ンネルについて拡散符号PN_I(t)=PN1(t)
を用い、Qチャンネルについて拡散符号PN_Q(t)
=PN2(t−Tc/2)を用いると、 (<I>+<Q>)∝ cosθ …(4) また、受信側のIチャンネルについて拡散符号PN_I
(t)=−PN2(t−Tc/2)を用い、Qチャンネ
ルについて拡散符号PN_Q(t)=PN1(t)を用
いると、 (<I>+<Q>)∝ sinθ …(5) という関係が導かれる。これは式(3)の演算を行うこと
により、位相差成分が導かれることを意味する。本形態
では、式(4)に対応する信号を補正信号Rc、式(5)に対
応する信号を補正信号Rsとして、位相補正回路201
に供給する。なお、積算器211、212は、動作開始
信号Srsが供給されたとき、初期値を位相補正回路2
01に与える。この値は、例えば位相差0°を示すもの
とする。すなわち、補正信号Rsの示す値は0(=si
n0°)であり、補正信号Rcの示す値は1(=cos
0°)である。但し、初期値の設定は、積算器によらず
他の構成で行ってもよい。例えば、位相補正回路が自ら
動作開始信号Srsに基づいて初期値を設定してもよ
い。
【0054】図10〜図12に、図2に示す平均値回路
220に対し、拡散符号として11チップのバーカー系
列を用い、1チップ区間あたり4サンプルし、Eb/N
o=8.4dBの条件で行ったシミュレーション結果を
示す。
【0055】図10は、捕捉開始からのシンボル時間の
経過に対する位相差の位相誤差の遷移特性を、幾つかの
位相差について示したものである。本形態では、ベース
バンド信号の一方が1チップ区間の半分ずれている。こ
のことからQ信号のデータの不確定性を除くため、最初
の1シンボル目における位相差を無視し、2シンボル目
から5シンボル分の平均をとり、位相補正を行うことと
する。このため、位相差Φがπ>Φ>−πの範囲におい
て、6シンボル目からほぼ位相差0を中心にπ/18の
範囲に位相差Φが収まっている。図11は、本形態の受
信機における位相誤差Φに対するビット誤り率(BE
R)の特性を示す。同図より、ビット誤り率は、Φ=π
/6のときに5×10-3まで劣化するが、位相差がΦ<
π/18の5×10-4程度という低いビット誤り率を維
持している。図12は、位相差Φに対するビット誤り率
の変化特性を示す。ビット誤り率の劣化量は、ビット誤
り率が1×10-4の場合に0.5dB以内に抑えられる
という効果を確認できる。
【0056】<動作>次に、本第1形態の全体動作およ
び初期位相捕捉動作を説明する。
【0057】全体動作 図5は、制御回路600が実施する全体処理を説明する
フローチャートである。 ステップS1:制御回路60
0は、フロントエンド回路20から供給される受信信号
Prを監視する。受信信号Prを受信した場合(YE
S)ステップS2に移行する。
【0058】ステップS2:初期位相捕捉回路100に
動作開始信号Sisを送る。初期位相捕捉回路100
は、この信号を受けて後述する処理(図6)を開始す
る。
【0059】ステップS3:制御回路600は、初期位
相捕捉回路100の制御回路105から初期位相捕捉信
号Sieを受信するまで待ち(NO)、同信号を受ける
と(YES)ステップS4に進む。
【0060】ステップS4:シンボルクロックの再生を
開始すべくクロック再生回路500に動作開始信号Sc
sを送る。
【0061】ステップS5:クロック再生回路500か
らクロック再生完了信号Sceを受けるまで待ち(N
O)、同信号を受けると(YES)ステップS6に進
む。
【0062】ステップS6:キャリア再生を開始すべく
搬送波再生回路200へ動作開始信号Srsを送る。そ
の後は、同期がはずれ、再度プリアンブル部が送信機1
から送信され、フロントエンド回路20が再び受信信号
Prを出力するような事態になるまで(ステップS1)
制御回路600は処理を中止する。
【0063】初期位相捕捉 図6は、初期位相捕捉回路100(図2)の制御回路1
05の処理を説明するフローチャートである。前述した
ように、ベースバンド信号の演算値(相互相関値)Sか
ら導かれる特性式(式(1))において、位相誤差を収束
させる必要がある。制御回路105は、制御回路600
から動作開始信号Sisを受け、かつ、ランダムウォー
クフィルタ104から信号が供給された場合、以下の処
理を開始する。
【0064】ステップS11:位相回転のステップ角を
一方の方向にπ/8だけ回転させるように初期設定す
る。ここで、回転方向は任意に定めうる。一方の方向
(例えば右回転)を正方向と定めるのなら、負方向の回
転は左回転を示すものとする。
【0065】ステップS12:位相捕捉開始からの引き
込み処理回数を数えるカウンタnを1にセットする。
【0066】ステップ13:カウンタnがm以上かmよ
り小さいかにより、処理を終了するか否かを判定する。
nがm以上となると(NO)、ステップS17に移行す
る。nがmより小さい場合には(YES)ステップS1
4に移行する。ここで、mとは、シミュレーションから
最適な値を選ぶ。
【0067】ステップS14:1)ランダムウォークフ
ィルタ104から供給された値Srvが「+1」であ
り、かつステップ角θが正である場合、2)ランダムウ
ォークフィルタ104から供給された値Srvが「−
1」であり、かつステップ角θが負である場合、これら
の場合、Srv×θ>0である。このときは同一のステ
ップ角を維持する。
【0068】一方、1)ランダムウォークフィルタ10
4から供給された値Srvが「+1」であり、かつステ
ップ角θが負である場合、2)ランダムウォークフィル
タ104から供給された値Srvが「−1」であり、か
つステップ角θが正である場合、これらの場合、Srv
×θ<0である。このときは、ステップ15に移行す
る。
【0069】ステップS15:ステップ角θを反転さ
せ、かつ、その量を1/2にする。このことは、図8に
おけるゼロクロス点を通過したら、逆方向かつ少量の位
相回転を与えることを意味する。これにより、位相はゼ
ロクロス点に収束する。
【0070】ステップS16:ステップS14・S15
で設定されたステップ角だけベースバンド信号の直交軸
を回転させる。そして、ステップ数カウンタを1つ増加
させる。この処理を終了すると、ステップS13に戻
る。
【0071】ステップS17:ステップS13におい
て、ステップ回数nがmに達したときには(NO)、位
相差Φが−π/4に収束したことを示している。したが
って、収束後に、さらに位相を+π/4回転させれば、
位相誤差をほぼ零とすることができる。
【0072】以上で図6に示す処理を終了するが、以下
のような処理の変更が可能である。
【0073】変形1:図8から判るように、処理開始時
の位相差がπ/2より大きい場合には、位相差Φがπま
たは−πである極点に収束する場合がありうる。したが
って、初期位相差が大きいと予想されるシステムでは、
初期位相捕捉終了時の位相差を測定し、それがπ(−
π)である場合に、ベースバンド信号の一方を反転させ
てもよい。
【0074】変形2:上記処理では、同一方向に回転を
継続する場合には同一のステップ角、逆方向に回転方向
を変更する場合には半分のステップ角を設定したが、こ
れに係らない。例えば、同一方向の回転であっても初期
のステップでは大きなステップ角、その後は小さなステ
ップ角というように、位相回転の量を調整してもよい。
また、逆方向の回転であっても−θ/2に限らず他のス
テップ角を設定できる。
【0075】図9に、初期位相捕捉回路100におい
て、シンボル数(すなわち図6のステップ回数)に対
し、位相差Φを±π/4以内に引き込むことのできた位
相捕捉可能性(成功確率)を示す。測定条件は、Eb/
No(energy/bit-to-noise-density ratio)=10d
B、初期位相差+π/2、ランダムウォークフィルタ
(RWF)のしきい値を20とした。同図から判るよう
に、大体7回以上位相回転方向の反転を繰り返せば、9
割以上の確率で引き込みが成功する。したがって、図6
のステップS13におけるmは、7以上の数とすること
が好ましいといえる。
【0076】上述したように本第1形態によれば、初期
位相捕捉回路がクロック再生ができるように初期の位相
捕捉を行うので、クロック再生回路におけるシンボルク
ロックの再生を行うことができる。また、ベースバンド
信号の振幅レベルにおける平均値の和が位相差の余弦お
よび正弦に比例することを利用したので、比較的簡単な
回路で搬送波再生回路を構成できる。
【0077】(2)第2形態 本実施の第2形態は、第1形態と同様の搬送波再生回路
の他の構成を示すものである。
【0078】図13に、本第2形態における搬送波再生
回路201の構成図を示す。図2において搬送波再生回
路を除く他の構成は前記第1形態と同様なので、説明は
省略する。図13に示すように、本搬送波再生回路20
1は、位相補正回路201、PN系列発生器202、乗
算器231、232、加算器233、制御回路204を
備える。第1形態と同一の機能を有する構成要素につい
ては第1形態と同一の符号を付し、その説明は省略す
る。
【0079】乗算器231および232に供給される拡
散符号は、第1形態の式(4)の説明で用いたPN_I
(t)、PN_Q(t)に相当する符号となる。制御回
路234は、加算器233の出力の平均値を計算する。
この平均値は、式(4)、式(5)に示したベースバンド信号
の振幅レベルにおける平均値の和と同様に、ベースバン
ド信号の位相差の余弦値および正弦値を導くものであ
る。したがって、第1形態と同様に、制御回路234の
出力する余弦値を補正信号Rc、正弦値を補正信号Rs
として位相補正回路201に加えれば、位相差をなくす
ることができる。その補正特性は、図10〜図12に示
した結果と同様である。
【0080】上記第2形態によれば、位相補正回路の出
力側からベースバンド信号の平均値を計算するものであ
っても、第1形態と同様の効果を奏する。
【0081】
【発明の効果】本発明によれば、ハーフチップオフセッ
トQPSK方式によりスペクトラム拡散された送信信号
を受信する際に、(n+1/2)Tcの遅延により、1
チップ区間の半分の期間に相当する位相のずれが解消さ
れる。遅延させたベースバンド信号と送信時の遅延がな
いベースバンド信号との演算値は、ベースバンド信号の
相互相関値を示す。したがって、この演算値に基づいて
ベースバンド信号の位相を調整すれば、初期位相を一定
の位相差以内に捕捉できる。これにより、確実な初期位
相捕捉を行うという本発明の第1の目的が達成される。
【0082】また、本発明によれば、2系列のベースバ
ンド信号の振幅レベルの各々を平均し、その平均値の和
を計算したものは、位相ずれ量の正弦値または余弦値に
略比例する。したがって、この和を用いて2系列のベー
スバンド信号の位相を前記位相ずれがなくなるように位
相補正することができる。これにより、簡易な回路で位
相補正を実現するという本発明の第2の目的が達成され
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】ハーフチップオフセットQPSK方式によるス
ペクトラム拡散信号を行うシステムの全体構成図であ
る。
【図2】本発明の第1形態における位相制御・逆拡散回
路のブロック図である。
【図3】ランダムウォークフィルタのブロック図であ
る。
【図4】位相補正回路のブロック図である。
【図5】全体動作を説明するフローチャートである。
【図6】初期位相捕捉動作を説明するフローチャートで
ある。
【図7】キャリア位相差に対する相関ピーク値の関係を
示す図である。
【図8】キャリア位相差に対する相互相関値の関係を示
す図である。
【図9】初期位相捕捉回路における位相捕捉可能性を示
す図である。
【図10】本発明の搬送波再生回路における捕捉時間と
位相誤差の関係を示す図である。
【図11】本発明の搬送波再生回路における位相誤差と
ビット誤り率の関係を示す図である。
【図12】本発明の搬送波再生回路における位相誤差に
対するビット誤り率の変化を示す図である。
【図13】本発明の実施の第2形態における搬送波再生
回路の構成を示す図である。
【符号の説明】
10、11、15、17、23、25、103、20
4、205、207、208、220、222、22
3、224、225、231、232…乗算器、20
9、210、503、221、223、233…加算
器、16、24、102、203、400…遅延回路、
14、22…発振器、13…直角変調回路、21…直交
検波回路、104、211、212…積算器、501、
502…絶対値回路
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 関 和彦 東京都中央区八丁堀2丁目12番地7号 ユ ニデン株式会社内

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ハーフチップオフセットQPSK方式に
    よりスペクトラム拡散された送信信号を受信するスペク
    トラム拡散信号受信装置であって、 拡散符号の1チップ区間をTc、nを整数とした場合
    に、前記送信信号に含まれる2系列のベースバンド信号
    のいずれか一方を(n+1/2)Tcの期間遅延させ、
    この遅延させたベースバンド信号と前記2系列のベース
    バンド信号の他方との演算をし、この演算結果に基づい
    て前記2系列のベースバンド信号の位相を回転させるこ
    とにより、この2系列のベースバンド信号の位相誤差を
    所定の位相差以下にする初期位相捕捉回路を備えたこと
    を特徴とするスペクトラム拡散信号受信装置。
  2. 【請求項2】 ハーフチップオフセットQPSK方式に
    よりスペクトラム拡散された送信信号を受信するスペク
    トラム拡散信号受信装置であって、 前記送信信号を2系列のベースバンド信号に変換する直
    交検波回路と、 前記直交検波回路の出力するベースバンド信号の位相を
    制御信号に基づいて回転させる位相回転回路と、 拡散符号の1チップ区間をTc、nを整数とした場合
    に、前記送信信号に含まれる2系列のベースバンド信号
    のいずれか一方を(n+1/2)Tcの期間遅延させる
    遅延回路と、 前記遅延回路が出力した前記一方のベースバンド信号と
    前記2系列のベースバンド信号の他方との演算をし、こ
    の演算結果を出力する演算器と、 前記演算器の出力する演算結果に基づいて前記2系列の
    ベースバンド信号に含まれるノイズ成分を除去し、位相
    判定出力とするフィルタ回路と、 前記フィルタ回路の出力する前記位相判定出力に基づい
    て、前記2系列のベースバンド信号の位相を回転させる
    前記制御信号を出力することにより、この2系列のベー
    スバンド信号の位相誤差を所定の位相差以下にする制御
    回路とを備えたことを特徴とするスペクトラム拡散信号
    受信装置。
  3. 【請求項3】 前記フィルタ回路は、前記演算結果の正
    負を判定する符号判定回路と、前記符号判定回路の判定
    結果に基づいてカウントアップまたはカウントダウン
    し、カウント値が一定の値に達したときに位相が進んで
    いるか遅れているかを指示する信号を前記位相判定出力
    として出力するランダムウォークフィルタとを備える請
    求項2に記載のスペクトラム拡散信号受信装置。
  4. 【請求項4】 前記2系列のベースバンド信号の位相の
    回転は、所定のステップ角だけステップごとに前記位相
    を一の回転方向に回転させ、この回転により出力された
    前記位相判定出力が前回のステップと反対方向の位相回
    転を指示している場合には、前記ステップ角を減少させ
    た後に前記位相の回転方向を反転させ、前記位相判定出
    力が前回のステップと同一方向の位相回転を指示してい
    る場合には、前記ステップ角および位相の回転方向を前
    記一の回転に維持したままとすることを請求項1または
    請求項2のいずれかに記載のスペクトラム拡散信号受信
    装置。
  5. 【請求項5】 前記位相の回転を行うステップ累計数
    が、予め定めた最大ステップ数を越えた場合には、前記
    位相を一定角回転させた後に前記位相の回転を停止する
    請求項1または請求項2に記載のスペクトラム拡散信号
    受信装置。
  6. 【請求項6】 前記位相を一定角回転させた後におい
    て、前記2系列のベースバンド信号の位相差がπである
    場合には、前記2系列のベースバンド信号の一方を反転
    させることを特徴とする請求項5のいずれかに記載のス
    ペクトラム拡散信号受信装置。
  7. 【請求項7】 ハーフチップオフセットQPSK方式に
    よりスペクトラム拡散された送信信号を受信するスペク
    トラム拡散信号受信装置であって、 前記送信信号に対し直交検波が行われた2系列のベース
    バンド信号の平均値に基づいて前記2系列のベースバン
    ド信号の位相補正を行う搬送波再生回路を備えたことを
    特徴とするスペクトラム拡散信号受信装置。
  8. 【請求項8】 前記搬送波再生回路は、前記2系列のベ
    ースバンド信号の一方の平均値と前記ベースバンド信号
    の他方の平均値との和を演算する平均値回路と、前記平
    均値回路の出力に基づいて前記ベースバンド信号の位相
    を回転させ位相を補正する位相補正回路とを備えたこと
    を特徴とする請求項7に記載のスペクトラム拡散信号受
    信装置。
  9. 【請求項9】 前記平均値回路は、拡散符号を発生する
    逆拡散符号発生器と、この拡散符号の1チップ区間をT
    cとした場合に、前記逆拡散発生器の発生した前記拡散
    符号の一方をTc/2の期間遅延させる遅延回路と、前
    記遅延回路により遅延された拡散符号と前記拡散符号の
    他方とにより前記2系列のベースバンド信号を各々拡散
    する2つの乗算器と、前記2つの乗算器からの出力を加
    算する加算器と、前記加算器からの出力を累積し、累積
    した結果を前記位相補正回路に出力する積算器とを備え
    る請求項8に記載のスペクトラム拡散信号受信装置。
  10. 【請求項10】 前記搬送波再生回路は、前記2系列の
    ベースバンド信号の位相を制御信号に基づいて回転させ
    位相補正をする位相補正回路と、前記位相補正回路の出
    力したベースバンド信号の各々を拡散符号で逆拡散する
    逆拡散回路と、前記逆拡散回路の出力に基づいて平均値
    を計算し、この平均値に基づいて前記ベースバンド信号
    の位相を回転させる前記制御信号を出力する制御回路と
    を備えたことを特徴とする請求項7に記載のスペクトラ
    ム拡散信号受信装置。
  11. 【請求項11】 前記平均値は、前記ベースバンド信号
    の移動平均を求める演算により算出されることを特徴と
    する請求項8または請求項10に記載のスペクトラム拡
    散信号受信装置。
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