JPH1089252A - 回転式圧縮機 - Google Patents

回転式圧縮機

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JPH1089252A
JPH1089252A JP24586496A JP24586496A JPH1089252A JP H1089252 A JPH1089252 A JP H1089252A JP 24586496 A JP24586496 A JP 24586496A JP 24586496 A JP24586496 A JP 24586496A JP H1089252 A JPH1089252 A JP H1089252A
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Shinji Nakanishi
愼司 中西
Takahiro Uematsu
孝洋 植松
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 モータの特性に影響を及ぼすことなく、クラ
ンク軸の上下振動に伴う異常音の発生を防止できる回転
式圧縮機を提供する。 【解決手段】 密閉容器1内の上部に配置されたモータ
4と、密閉容器1内の下部に配置されクランク軸5によ
って電動要素4に連結された圧縮要素13とを有し、圧
縮要素13は円筒状のシリンダ9a、9bと、シリンダ
9a、9b内の各々に配置されかつモータ4からクラン
ク軸5を通じて回転力を与えられることで各シリンダ9
a、9bの内周面に沿って回転して冷媒ガスを圧縮する
ローリングピストン12a、12bとを有する回転式圧
縮機であって、運転周波数が、(共鳴周波数/1.2)
以下となるように各部の構成が設定されている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、回転式圧縮機に関
し、より特定的には、運転中の回転軸の上下動を防止す
る構造を有する回転式圧縮機に関するものである。
【0002】
【従来の技術】図8は、従来の回転式圧縮機の構成を概
略的に示す断面図である。図8を参照して、従来の回転
式圧縮機30Bは、密閉容器1内の上部に配置された電
動要素であるモータ4と、圧縮要素13とを有してい
る。
【0003】モータ4は、密閉容器1内に装着された固
定子2と、固定子2の中央空間部に所定の距離を隔てて
配設された回転子3とを有している。この固定子2はス
テータコア2aと、ステータコア2aの上下両端の各々
に取付けられたコイル2bとを有している。また回転子
3は、固定子2との間にエアギャップ16を有するよう
に配置されている。
【0004】この回転子3には、クランク軸5が圧入さ
れており、このクランク軸5によってモータ4に圧縮要
素13が連結されている。
【0005】圧縮要素13は、フロントヘッド6と、リ
アヘッド7と、シリンダ9と、ローリングピストン12
とを有している。このフロントヘッド6とリアヘッド7
とはクランク軸5を軸支しており、シリンダ室10を閉
塞するようにシリンダ9の上下両面に各々配設されてい
る。ローリングピストン12は、その閉塞されたシリン
ダ室10内に配置され、かつクランク軸5の偏心部11
に取付けられている。
【0006】また密閉容器1の外部からシリンダ室10
内へ冷媒ガスを導くための吸入管23と、圧縮された冷
媒ガスを圧縮容器1内から外部へ吐出するための吐出管
15とが設けられている。またフロントヘッド6の上端
部には、圧縮後の冷媒ガスを圧縮要素13内から吐出す
る際の騒音を抑制するための吐出マフラー14が設けら
れている。
【0007】従来の回転式圧縮機30Bは上記のように
構成されており、圧縮要素13で冷媒ガスの圧縮動作を
行なっている。この圧縮動作は、モータ4による駆動力
をクランク軸5を通じて受けたローリングピストン12
が、偏心回転運動をすることにより行なわれる。つま
り、吸入管23からシリンダ室10内に吸入された冷媒
ガスが、ローリングピストンの偏心回転運動により圧縮
される。そして、この冷媒ガスを吸入する工程から圧縮
する工程へと順次移行する一連の圧縮動作の工程が連続
して行なわれる。
【0008】また圧縮された冷媒ガスは、シリンダ9に
設けられた吐出孔(図示せず)から吐出マフラー4を通
じて密閉容器1内に、ローリングピストン12の偏心回
転運動に応じて周期的に吐出される。そして、冷媒ガス
は固定子2と回転子3との間のエアギャップ16などを
通り、最終的に吐出管15から密閉容器1の外部へ吐出
される。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、以上説
明した従来の回転式圧縮機では、クランク軸5の上下振
動によって、異常音(ガー音)が発生するという問題点
があった。以下、そのことについて詳細に説明する。
【0010】上述したように冷媒ガスは、ローリングピ
ストン12の1回転につき1回圧縮され、その都度シリ
ンダ室10外へ周期的に吐出されるため、吐出された冷
媒ガスには脈動が生じることになる。この冷媒ガスの脈
動は、冷媒ガスが一旦、マフラー14内に吐出されるた
め、ある程度緩和される。
【0011】しかし、ローリングピストン12を高速回
転させるときなどは、このマフラー14だけでは、吐出
された冷媒ガスの脈動を抑えきれない。このため、モー
タ4と圧縮要素13との間の空間(1次空間)S1に
は、このマフラー14の孔から冷媒ガスが周期的に吐出
されることになり、この1次空間S1内の圧力は冷媒ガ
スの吐出時には高く、それ以外には低くなって脈動を起
こす。よって、モータ4上の比較的低圧の空間(2次空
間)S2と比較的高圧の1次空間S1との間に生じる差
圧がこの脈動に合わせて変動することになる。
【0012】一方、回転式圧縮機においては、通常、ク
ランク軸5の偏心部11の上面と、フロントヘッド6の
下面との間には、上下方向の隙間Xが存在している。
【0013】このため、高圧の1次空間S1と低圧の2
次空間S2との間に生じる差圧が著しく大きくなると、
1次空間S1の圧力により回転子3とクランク軸5とが
上方へ持ち上げられてしまう。このため、上述したよう
に1次空間S1と2次空間S2との間に生じる差圧が脈
動に合わせて変動すると、回転子3とクランク軸5とが
脈動に合わせて上下振動を起こすことになる。この上下
振動によって、クランク軸5の偏心部11が、フロント
ヘッド6もしくはリアヘッド7に断続的に衝突して異常
音が発生してしまう。
【0014】この異常音の発生を防止する技術として、
回転子3の上端部をステータコア2aの上端面より寸法
1 だけずらせる方法(いわゆるマグネットセンタをず
らせる方法)があった。この方法によれば、回転子3を
ステータコア2aに対して上方へずらすことでマグネッ
トプルホースの作用を得て回転子3とクランク軸5とを
下側へ付勢できるため、クランク軸5の上下振動を防止
することができる。
【0015】しかしながら、マグネットセンタをずらせ
る方法において、衝突による異常音を解消するために
は、回転子3のずらし量M1 を十分に大きくする必要が
ある。ところが、ずらし量M1 を大きくすると、モータ
の特性に著しい影響を及ぼすことになるという問題点が
あった。
【0016】それゆえ、本発明の目的は、モータの特性
に影響を及ぼすことなく、クランク軸の上下振動に伴う
異常音の発生を防止できる回転式圧縮機を提供すること
である。
【0017】
【課題を解決するための手段】請求項1に係る回転式圧
縮機は、密閉容器内の上部に配置された電動要素と、密
閉容器内の下部に配置されかつ回転軸によって電動要素
に連結された圧縮要素とを有し、圧縮要素は円筒状のシ
リンダと、シリンダ内に配置されかつ電動要素から回転
軸を通じて回転力を与えられることでシリンダの内周面
に沿って回転して冷媒ガスを圧縮する回転ピストンとを
有する回転式圧縮機であって、以下の特徴を有する。
【0018】この回転式圧縮機は、電動要素と密閉容器
とシリンダの電動要素側表面レベルとで囲まれた電動要
素下の第1の空間の容積をV1とし、電動要素と密閉容
器とに囲まれた電動要素上の第2の空間の容積をV2と
し、第1および第2の空間を結ぶ通路空間の長さをLと
し、通路空間の断面積をSとし、第1および第2の空間
の間に発生する共鳴周波数をFとし、冷媒ガス中での音
速をCとし、シリンダの個数をNとし、単位時間当りの
回転ピストンの回転数を運動周波数としたとき、
【0019】
【数2】
【0020】の関係を満たすことを特徴とする。本願発
明者らは、鋭意検討した結果、異常音の発生の主な原因
が1次空間と2次空間との間で発生する共鳴による脈動
であることを確認した。これに基づいてさらに実験など
を行なった結果、本願発明者らは、異常音の発生を抑え
ることのできる上記関係式を見出した。つまり、上記関
係式を満たすよう回転式圧縮機の各構成部品の寸法など
を設計し、または運転を調整することで、モータ特性を
劣化させることなく異常音の発生を抑えることができ
る。
【0021】請求項2に係る回転式圧縮機では、電動要
素は密閉容器内に取付けられたステータコアを有する固
定子と、固定子の中央空間部に固定子の内周面と距離を
隔てて配置された回転子とを備えている。この回転子の
上端は、ステータコアの上端面より上方へ突出してい
る。
【0022】このようにさらにマグネットセンタをずら
すことにより、より効果的に異常音の発生を抑えること
ができる。
【0023】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て図に基づいて説明する。
【0024】図1は、本発明の一実施の形態における回
転式圧縮機の構成を概略的に示す断面図であり、図2は
図1のA−A線に沿う概略断面図である。
【0025】図1と図2とを参照して、密閉容器1内の
上部には電動要素となるモータ4が配置されており、下
部には圧縮要素13が配置されている。
【0026】モータ4は、固定子2と、回転子3とを有
している。固定子2は、密閉容器1の内壁に装着されか
つ磁束線を通しやすい材料よりなる筒状のステータコア
2aと、ステータコア2aの上下両端の各々に配設され
たコイル2bとを有している。回転子3は、永久磁石よ
りなり、固定子2の中央空間部にエアギャップ16を隔
てて配設されている。
【0027】この回転子3には、クランク軸5が圧入さ
れており、このクランク軸5を介在してモータ4と圧縮
要素13とが連結されている。
【0028】圧縮要素13は、たとえば2シリンダ型の
回転式圧縮機であり、2つの第1および第2のシリンダ
9a,9bを有しており、それ以外にフロントヘッド6
と、リアヘッド7と、ミドルプレート8と、第1および
第2のローリングピストン12a、12bとを有してい
る。
【0029】フロントヘッド6とリアヘッド7とミドル
プレート8とは、クランク軸5を軸支している。そして
第1のシリンダ9aのシリンダ室10aを閉塞するよう
に上下両端面の各々にフロントヘッド6とミドルプレー
ト8とが配設されている。また第2のシリンダ9bのシ
リンダ室10bを閉塞するように上下両端面の各々にミ
ドルプレート8とリアヘッド7とが配設されている。第
1および第2のシリンダ室10a、10b内には、各々
第1および第2のローリングピストン12a、12bが
配置されている。この第1および第2のローリングピス
トン12a、12bは、クランク軸5の第1および第2
の偏心部11a、11bの各々に取付けられている。こ
の第1および第2のローリングピストン12a,12b
は、その偏心方向が互いに180°異なるようにクラン
ク軸5に配置されている。
【0030】なお、フロントヘッド6の上端面には、圧
縮後の冷媒ガスを密閉容器1内に吐出する際の騒音を抑
制するための吐出マフラー14が配置されている。また
回転子3の上端面から下端面に貫通するように複数個の
貫通孔17が設けられている。またステータコア2aの
外周端には、ステータコア2aの上端面から下端面に貫
通する切欠き18a、18bが設けられている。
【0031】なお、圧縮要素13によって高圧に圧縮さ
れた冷媒ガスを密閉容器1外へ吐出させるための吐出管
15が設けられている。
【0032】そして本実施の形態の回転式圧縮機30A
は、以下の関係式を満たすように設計・構成されてい
る。
【0033】
【数3】
【0034】以下、上式(1)および(2)の各パラメ
ータの定義について説明する。 <1> 1次空間容積[V1] 1次空間容積[V1]は、密閉容器1内部のモータ4と
圧縮要素13とで囲まれた空間S1の容積である。つま
り、1次空間容積[V1]は、モータ4の下であって、
モータ4と密閉容器1と第1のシリンダ9aの上部表面
レベル(一点鎖線E−E)とにより囲まれる空間の容積
である。
【0035】<2> 2次空間容積[V2] 2次空間容積[V2]は、密閉容器1内部のモータ4よ
り上部の空き空間S2の容積、つまりモータ4の上であ
って、モータ4と密閉容器1とにより囲まれる空間の容
積である。
【0036】<3> 1次−2次空間通路断面積[S] 1次−2次空間通路断面積[S]は、<1>と<2>と
で定義される1次および2次空間S1,S2を結ぶ主な
通路の断面積の合計である。具体的には、回転子3に設
けられた貫通孔17とステータコア2aの切欠き18
a、18bとエアギャップ16とが1次および2次空間
S1,S2を結ぶ主な通路に該当する。また、たとえば
回転子3に貫通孔17がない場合には、ステータコア2
aの切欠き18a、18bとエアギャップ16との断面
積の合計値が、1次−2次空間通路断面積[S]に該当
する。
【0037】<4> 1次−2次空間通路長さ[L] 1次−2次空間通路長さ[L]は、<1>と<2>とで
定義される1次および2次空間S1,S2を結ぶ通路の
長さである。具体的には、図1においてステータコア2
aの長さLが1次−2次空間通路長さ[L]に該当す
る。
【0038】<5> 共鳴周波数[F] 共鳴周波数[F]は、<1>と<2>とで定義される1
次および2次空間S1,S2の間の共鳴現象により発生
する共鳴周波数である。
【0039】<6> 冷媒ガス中の音速[C] 冷媒ガス中の音速[C]は、密閉容器1内部の圧力と温
度とから理論的に求まる値であり、本実施の形態の回転
式圧縮機では約170〜185(m/sec)の範囲で
ある。
【0040】<7> パラメータN パラメータNは、シリンダのタイプを示しており、N=
1は1シリンダ型、N=2は2シリンダ型(図1)を意
味する。
【0041】<8> 運転周波数 運転周波数は、単位時間当りのローリングピストン12
a、12bの回転数である。
【0042】本願発明者らは鋭意検討した結果、上記の
式(2)を導出するに至った。以下、その式(2)の導
出過程について説明する。
【0043】まず本願発明者らは、実験を行ない、図1
に示す2シリンダ型の回転式圧縮機において運転周波数
を変えたときのクランク軸5の上下動と、1次および2
次空間S1,S2の間の差圧脈動幅とについて、異なる
仕様(仕様1および仕様2)で調べた。
【0044】ここで仕様1および2の設定は以下の表の
とおりである。
【0045】
【表1】
【0046】上記の表より明らかなとおり、仕様2は仕
様1より1次空間容積V1を小さく設定したものであ
る。これらの仕様1および2における上記の実験の結果
を図3と図4とに示す。
【0047】まず式(1)より仕様1および2での共鳴
周波数/2は、各々88〜96Hz、101〜110H
zである。このことを踏まえて図3および図4を見る
と、仕様1および2の双方とも共鳴周波数/2でクラン
ク上下動と差圧脈動幅との双方が最大となっていること
がわかる。
【0048】また、1次空間S1を小さくすることによ
り共鳴周波数が高くなり、それに従ってガー音発生周波
数も高くなることがわかった。すなわち、共鳴周波数と
ガー音発生周波数には比例関係のあることがわかった。
【0049】この実験結果より、クランク軸の上下振動
が、1次および2次空間S1,S2の共鳴現象により発
生することが明らかになった。また式(1)で密閉容器
1内部の共鳴周波数が求まることも確認できた。
【0050】なお図3においてクランク上下動が大きく
なると、ガー音が異常音として聞こえてくる。また図3
の縦軸のクランク上下動は、クランク軸が上下方向に動
くことができる機械的な隙間の最大値に対して実際にク
ランク軸の動いた距離の比率をパーセンテージで表わし
たものである。なお、図4の図中左下にある目盛0.1
は、差圧脈動幅の0.1の目盛を示している。
【0051】本願発明者らは、さらに実験を行ない、回
転式圧縮機において各種の仕様で、ガー音が発生する運
転周波数と理論共鳴周波数との関係について調べた。
【0052】これらの関係については、図1に示す2シ
リンダ型の回転式圧縮機と1シリンダ型の回転式圧縮機
との各々について調べた。その結果を、2シリンダ型に
ついては図5に、1シリンダ型については図6に示す。
【0053】なお、図5においては、縦軸を2シリンダ
型における実際の共鳴周波数(共鳴周波数/2)として
いる。
【0054】まず図5を参照して、×印はガー音発生開
始周波数を示している。ここでガー音発生開始周波数と
は、×印の位置での理論共鳴周波数に固定したときに、
×印の位置でのガー音発生運転周波数以上だとガー音が
発生することを示している。つまり、理論共鳴周波数/
2が約90で、ガー音発生運転周波数が約84の×印G
を例にとると、理論共鳴周波数/2を90に固定して、
ガー音発生運転周波数を変動させたときに、ガー音発生
運転周波数が84以上ではガー音が発生する。
【0055】この図5の結果より、本願発明者らは、運
転周波数が、(理論共鳴周波数/2)/1.2以下であ
れば、式(1)を満たす限りいかなる仕様であってもガ
ー音が発生しないことを見出した。
【0056】また図6における1シリンダ型でもほぼ同
様であり、運転周波数が、理論共鳴周波数/1.2以下
であれば、式(1)を満たす限り、いかなる仕様であっ
てもガー音が発生しないことを本願発明者らは見出し
た。
【0057】これにより、本願発明者らは運転周波数
が、(理論共鳴周波数F/シリンダ数N)/1.2以下
であることを示す式(2)を導出し得た。
【0058】また、冷媒ガス中での音速Cは上述したよ
うに冷媒ガスの温度と圧力とによって理論上決まるもの
であり、冷媒ガスの温度や圧力は回転式圧縮機の設計・
構造によってほぼ決まるものである。このため、回転式
圧縮機では、冷媒ガス中での音速Cは、これらの関係か
らほぼ決まっており、通常170〜185m/secの
範囲となる。
【0059】そこで、本願発明者らは、冷媒ガス中の音
速Cが170〜185m/secの条件で、上記式
(2)を満たし得るか否かについて調べた。その結果を
以下の表に示す。
【0060】
【表2】
【0061】この結果より、少なくとも冷媒ガス中での
音速Cが170〜183m/secであれば、式(2)
を満たし得ることがわかった。よって、冷媒ガス中での
音速Cが170〜185m/secとなる回転式圧縮機
においてもほぼ問題なく、式(1)および(2)を適用
することができると考えられる。
【0062】なお、上記の表における仕様3および4の
設定は以下の表のとおりである。
【0063】
【表3】
【0064】以上の各種の実験の結果より、回転式圧縮
機の構成を、式(1)および式(2)を満たすような構
造にすれば、クランク軸5の上下振動による異常音(ガ
ー音)の発生を防止できることが判明した。すなわち、
1次空間S1や2次空間S2の容積V1、V2を小さく
したり、1次−2次空間通路長さLを短くしたり、通路
断面積Sを大きくすることにより、式(2)を満たすよ
う設計すれば、共鳴現象による異常音の発生を防止でき
ることがわかった。
【0065】また、たとえばマグネットセンタずらしに
よる力だけではガー音の発生を抑えられないときに、圧
縮機内部に特別な構造を追加せずにガー音の発生を防止
するのにこの式(1)および式(2)を満たす構成は有
効である。
【0066】つまり式(1)、(2)を満たす構成にす
るとともに、図1に示すように回転子3の上端面をステ
ータコア2aの上面から上方へ寸法Mだけずらすことに
より、回転子3およびクランク軸5が図中下方向へ付勢
されるため、より効果的に異常音の発生を防止すること
ができる。
【0067】なおこの回転子3のステータコア2aから
のずらし量Mは、たとえば5mmである。
【0068】また圧縮要素13には、いわゆるスイング
型の回転式圧縮機が用いられることが望ましい。
【0069】図7は、圧縮機にいわゆるスイング型の回
転式圧縮機を用いた場合の図1のB−B線に沿う概略断
面図である。図7を参照して、いわゆるスイング型の回
転式圧縮機では、シリンダ9a内に配置されるローリン
グピストン12aの外周にブレード21が嵌合されて一
体化されている。そしてこのブレード21は、シリンダ
9aに回動可能に配置された揺動体22に進退自在とな
るように支持されている。
【0070】このような構成とすることで、いわゆるス
イング型の圧縮機では、クランク軸5の回転力を受けて
ローリングピストン12aが自転せずに公転する。そし
てこのローリングピストン12aの公転により、シリン
ダ室10a内の吸入室Hに吸入口23から冷媒ガスが吸
入された後、圧縮され、圧縮終了後に弁板25を開動作
させて圧縮室Iから吐出口24へと圧縮冷媒ガスが吐出
される。
【0071】このようにいわゆるスイング型ではローリ
ングピストン12aとブレード21とが一体化されてい
る。このため、ブレードとローリングピストンとが分離
し、かつローリングピストンの外周面にブレードが押圧
により常時接触する型(以下、従来型と称す)の回転式
圧縮機に比べて、以下の利点がある。
【0072】まず、いわゆるスイング型の圧縮機では、
ローリングピストン12aの公転時にローリングピスト
ン12aの外周面にブレード21を押圧して接触させる
必要はないため、給油量の少ないローリングピストン1
2aとブレード21との接触部における摩擦損失や動力
損失をなくすことができる。
【0073】またいわゆるスイング型の圧縮機では、ブ
レード21はローリングピストン12aに固定されてい
るため、従来型の圧縮機のように、ブレードとローリン
グピストンとの接触部において圧縮室Iから吸入室Hへ
ガスが漏れることが防止され、容積効率を高めることが
できる。
【0074】ただし、本実施の形態の構成は、いわゆる
スイング型の圧縮機に用いられればより好ましいのであ
って、ブレードとローリングピストンとが分離した従来
型の回転式圧縮機に用いられても十分に異常音の発生を
防止することができる。
【0075】なお、本実施の形態では、図1に示す2シ
リンダ型の回転式圧縮機について説明したが、図8に示
す1シリンダ型の回転式圧縮機に式(1)および(2)
を満たす構成が適用されてもよい。なお、この場合、1
次空間容積[V1]は、モータ4の下であって、モータ
4と密閉容器1とシリンダ9の上部表面レベルとにより
囲まれる空間の容積である。
【0076】今回開示された実施の形態はすべての点で
例示であって制限的なものではないと考えられるべきで
ある。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求
の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味お
よび範囲内でのすべての変更が含まれることが意図され
る。
【0077】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1に係る回
転式圧縮機によれば、本願発明者らは、回転式圧縮機に
おいて異常音の発生を抑えることのできる関係式を見出
した。このため、この関係式を満たすように回転式圧縮
機の各部品を設計し、また運転を調整することによりモ
ータ特性を劣化させることなく異常音の発生を防止する
ことができる。
【0078】また、請求項2に係る回転式圧縮機によれ
ば、回転式圧縮機が上記関係式を満たすとともに、さら
にマグネットセンタをずらす構成とされることにより、
より効果的に異常音の発生を防止することも可能とな
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態における回転式圧縮機の構
成を概略的に示す断面図である。
【図2】図1のA−A線に沿う概略断面図である。
【図3】回転式圧縮機における運転周波数とクランク上
下動との関係を示すグラフである。
【図4】回転式圧縮機における運転周波数と差圧脈動幅
との関係を示すグラフである。
【図5】2シリンダ型の回転式圧縮機におけるガー音発
生運転周波数と理論共鳴周波数との関係を示すグラフで
ある。
【図6】1シリンダ型の回転式圧縮機におけるガー音発
生運転周波数と理論共鳴周波数との関係を示すグラフで
ある。
【図7】いわゆるスイング型の圧縮機を用いた場合の図
1のB−B線に沿う概略断面図である。
【図8】従来の回転式圧縮機の構成を概略的に示す断面
図である。
【符号の説明】
1 密閉容器 2 固定子 3 回転子 4 モータ 5 クランク軸 9a、9b シリンダ 10a、10b シリンダ室 12a、12b ローリングピストン 13 圧縮要素 16 エアギャップ 17 貫通孔 18a、18b 切欠き

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 密閉容器(1)内の上部に配置された電
    動要素(4)と、前記密閉容器(1)内の下部に配置さ
    れかつ回転軸(5)によって前記電動要素(4)に連結
    された圧縮要素(13)とを有し、前記圧縮要素(1
    3)は円筒状のシリンダ(9a,9b)と、前記シリン
    ダ(9a,9b)内に配置されかつ前記電動要素(4)
    から前記回転軸(5)を通じて回転力を与えられること
    で前記シリンダ(9a,9b)の内周面に沿って回転し
    て冷媒ガスを圧縮する回転ピストン(12a,12b)
    とを有する回転式圧縮機であって、 前記電動要素(4)と前記密閉容器(1)と前記シリン
    ダ(9a)の前記電動要素(4)側表面レベルとで囲ま
    れた前記電動要素(4)下の第1の空間(S1)の容積
    をV1とし、前記電動要素(4)と前記密閉容器(1)
    とに囲まれた前記電動要素(4)上の第2の空間(S
    2)の容積をV2とし、前記第1および第2の空間(S
    1、S2)を結ぶ通路空間(16,17,18a,18
    b)の長さをLとし、前記通路空間(16,17,18
    a,18b)の断面積をSとし、前記第1および第2の
    空間(S1、S2)の間に発生する共鳴周波数をFと
    し、前記冷媒ガス中での音速をCとし、前記シリンダ
    (9a,9b)の個数をNとし、単位時間当りの前記回
    転ピストン(12a,12b)の回転数を運転周波数と
    したとき、 【数1】 の関係を満たすことを特徴とする、回転式圧縮機。
  2. 【請求項2】 前記電動要素(4)は、前記密閉容器
    (1)内に取付けられたステータコア(2a)を有する
    固定子(2)と、前記固定子(2)の中央空間部に前記
    固定子(2)の内周面と距離を隔てて配置された回転子
    (3)とを備え、前記回転子(3)の上端は、前記ステ
    ータコア(2a)の上端面より上方へ突出している、請
    求項1に記載の回転式圧縮機。
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JP2017531755A (ja) * 2015-09-24 2017-10-26 クワントン メイヂー コンプレッサー カンパニー リミテッド 回転式圧縮機

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