JPH1087315A - 層状珪酸及びその製造方法,層状珪酸塩 - Google Patents

層状珪酸及びその製造方法,層状珪酸塩

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JPH1087315A
JPH1087315A JP26147196A JP26147196A JPH1087315A JP H1087315 A JPH1087315 A JP H1087315A JP 26147196 A JP26147196 A JP 26147196A JP 26147196 A JP26147196 A JP 26147196A JP H1087315 A JPH1087315 A JP H1087315A
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sheet
silicon dioxide
silicic acid
clay mineral
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JP26147196A
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Shinichi Ogata
眞一 小形
Yoshiaki Fukushima
喜章 福嶋
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Toyota Central R&D Labs Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 反転のない二酸化珪素四面体シートよりな
り,かつ均一な形状と大きさを有する,層状珪酸及びそ
の製造方法,層状珪酸塩を提供すること。 【解決手段】 反転がない二酸化珪素四面体シートと他
の金属酸化物の八面体シートとの1:1層構造または
2:1層構造を有する粘土鉱物の形骸が残留し,かつ二
酸化珪素による層状六員環骨格を有する層状二酸化珪素
からなり,更に,結晶学的な規則性を有する。また,上
記粘土鉱物に酸を作用させることにより製造する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【技術分野】本発明は,粘土鉱物を原料として製造され
る層状珪酸及びその製造方法,またこの層状珪酸と同様
の構造を有する層状珪酸塩に関する。
【0002】
【従来技術】二酸化珪素による層状六員環骨格を有する
層状珪酸塩としては,天然由来のものとしては,カネマ
イト(NaHSi2 5 ・3H2 O),マカタイト(N
2Si4 9 ・5H2 O),アイラーアイト(Na2
Si8 17・xH2 O),マガディアイト(Na2 Si
4 29・xH2 O),ケニヤアイト(Na2 Si2041
・xH2 O)が知られている。
【0003】また,同様の層状珪酸塩で,人工合成され
たものとしては,α−/β−Na2Si2 5 ,Li2
Si2 5 ,KHSi2 5 などが知られている。な
お,以上の層状珪酸塩を酸と接触させることにより,容
易に層状珪酸を得ることができる。逆に,層状珪酸に対
しアルカリ金属等を作用させることにより,容易に層状
珪酸塩を得ることもできる。一般に,層状珪酸における
シリケート結合内のプロトンがアルカリ金属等の陽イオ
ンにより置換された物質が層状珪酸塩で,両者の構造の
基本的な骨格はおおむね同一である。
【0004】上述の層状珪酸及び層状珪酸塩の結晶構造
は,α−/β−Na2 Si2 5 ,KHSi2 5 及び
マカタイトについては判明しているが,他のものについ
ては確定していない。しかし,上述の層状珪酸及び層状
珪酸塩は互いに各種性質が類似していることなどから,
上述の層状珪酸及び層状珪酸塩は,いずれも後述の図2
に示すごとく,二酸化珪素の四面体が多数平面方向に六
員環を形成しつつ連結した層を形成し,かつ上記二酸化
珪素の四面体の頂点が,上記層面の表裏に対し,交互に
向かった状態にある構造を有しているとみなすことがで
きる。従って,上記層面の裏表の極性は均一となる。
【0005】ところで,上記層状珪酸塩は以下に示す粘
土鉱物に含まれていることが知られている。即ち,上記
粘土鉱物は,後述の図3,図4に示すごとく,二酸化珪
素四面体シートと他の金属酸化物の八面体シートとの
1:1層構造または2:1層構造を有する物質である。
上記粘土鉱物に酸を加えることで,上記八面体シートを
形成する金属イオンが溶出,二酸化珪素四面体シートよ
りなる層状珪酸を得ることができる。
【0006】例えば,モンモリロナイトを主成分とする
粘土鉱物を酸処理,該粘土鉱物中の八面体シートをある
程度除去する活性白土の製造方法が知られている。上記
活性白土は原料となった粘土鉱物と比較して,表面積が
増大し,吸着能,触媒能に優れている。
【0007】また,特開昭62−36015号では,セ
ピオライトなどのマグネシウム珪酸質粘土鉱物に更に強
力な酸処理を行うことについて開示されている。この場
合には,原料となった粘土鉱物中の殆ど総ての八面体シ
ート中の金属イオンが溶出,非晶質の珪酸を得ることが
できる。そして,上記珪酸は原料であるマグネシウム珪
酸質粘土鉱物の形骸が残留し,その形状は層状または帯
状である。
【0008】また,最近の報告(Chem.Mate
r.,1995,7,2241)によれば,マグネシウ
ム珪酸質粘土鉱物の一種であるアンチゴライトを3〜5
M濃度の硫酸で処理して得られた珪酸の中で,特に約5
重量%のMgOを含む珪酸については,原料のアンチゴ
ライトの形態に類似した構造を有し,かつ結晶学的な規
則性を有する層状珪酸であることが判明した。
【0009】
【解決しようとする課題】しかしながら,以上のように
して得られた珪酸及び層状珪酸についての詳細(形状・
性質・応用及び合成法)は不明であり,特に産業上の利
用価値が高い,極性が層面の表裏において不均一,即ち
二酸化珪素四面体の頂点の向きが層面の裏表の一方に揃
った層状珪酸はまだ得られていない。
【0010】上記層状珪酸は,四面体の頂点の向きが揃
っていることから,層間での極性の向きが層方向に揃っ
ているか,又は極性の高い層間と極性の近い層間が交互
に配列しているという性質を有するため,包接化合物を
形成するホストとして用いると,ゲスト化合物を特定方
向に配向させて包接するか,又は一層間おきに包接する
という新しい包接化合物を提供するという産業上の応用
が考えられ,たいへん利用価値の高い物質である。
【0011】また,従来技術として例示した粘土鉱物の
酸処理により層状珪酸を得る方法であるが,これらの方
法において使用された粘土鉱物は,セピオライト及びア
ンチゴライトといったマグネシウム珪酸質粘土鉱物であ
る。この粘土鉱物中の二酸化珪素四面体は,八面体シー
トに対しその頂点の方向が揃っていない。
【0012】このため,上記粘土鉱物においては,八面
体シートの金属酸化物が酸に接触しやすいために酸処理
が容易である。しかし,上記粘土鉱物より得られた層状
珪酸は,いずれも二酸化珪素四面体の頂点の向きが不揃
いの状態にある。即ち,得られた層状珪酸の構造は,二
酸化珪素による層状六員環骨格を有する層状二酸化珪素
からなり,一つの結晶軸上の連続した3個以上の二酸化
珪素四面体が周期的にその頂点の向きを揃えて逆転して
いる。即ち,上記層状珪酸は層面の表裏において極性が
均一である。
【0013】本発明は,反転のない二酸化珪素四面体シ
ートよりなり,かつ均一な形状と大きさを有する,層状
珪酸及びその製造方法,層状珪酸塩を提供しようとする
ものである。
【0014】
【課題の解決手段】請求項1の発明は,反転がない二酸
化珪素四面体シートと他の金属酸化物の八面体シートと
の1:1層構造または2:1層構造を有する粘土鉱物の
形骸が残留し,かつ二酸化珪素による層状六員環骨格を
有する層状二酸化珪素からなり,更に,結晶学的な規則
性を有することを特徴とする層状珪酸にある。
【0015】上記粘土鉱物は,図3,図4に示すごと
く,反転がない二酸化珪素四面体シートと他の金属酸化
物の八面体シートとよりなる。ここに二酸化珪素四面体
シートとは,図3,図4に示すごとく,頂点を酸素,そ
の中心を珪素が占める四面体が六員環を形成して多数平
面状に結合し,シート状の骨格をなしたものである。
【0016】なお,上記『反転がない』とは,二酸化珪
素四面体の頂点の向きが一方向に揃っており,従って二
酸化珪素四面体シートの表面の極性分布が裏,表で異な
る状態を意味している。
【0017】更に,上記金属酸化物八面体シートとは,
図3(a)に示すごとく,頂点を酸素と水酸化イオン,
その中心を金属元素が占める八面体が多数平面状に結合
し,シート状の骨格をなしたものである。
【0018】そして,上記1:1層構造を有する粘土鉱
物とは,図3に示すごとく,1枚の四面体シートと1枚
の八面体シートとを一組として,これらが多数積層した
構造を有するものである。また,上記2:1層構造を有
する粘土鉱物とは,図4に示すごとく,八面体シートの
表裏の両面に四面体シートが配列した構造を一組とし
て,これらが多数積層した構造を有するものである。
【0019】そして,上記八面体を構成する金属元素と
しては,アルミニウム(1:1層構造及び2:1層構
造),鉄(2:1層構造),マグネシウム(1:1層構
造及び2:1層構造),ニッケル(2:1層構造),マ
ンガン(2:1層構造),クロム(2:1層構造)等を
挙げることができる。
【0020】また,上記粘土鉱物を以下に例示する。
1:1層構造を有する粘土鉱物としては,Alの八面体
シートを有するカオリナイト,ディッカイト,ナクライ
ト,ハロイサイト等及びMgの八面体シートを有するク
リソタイル,リザーダイト等を挙げることができる。
【0021】更に,2:1層構造を有する粘土鉱物とし
ては,Alの八面体シートを有するパイロフィライト,
白雲母,モンモリロナイト,バイデライト,2八面体型
バーミキュライト等及びMgの八面体シートを有するタ
ルク,金雲母,サポナイト,ヘクトライト,Mgバーミ
キュライト等,更にFeの八面体シートを有する3八面
体型バーミキュライト,ノントロナイト等を挙げること
ができる。
【0022】本発明の作用効果につき,以下に説明す
る。本発明にかかる層状珪酸は,図3,図4に示すごと
き構造を有する粘土鉱物の形骸が残留した状態にある。
即ち,上記層状珪酸は,図1に示すごとく,二酸化珪素
による層状六員環骨格を有する層状二酸化珪素よりな
り,上記層状二酸化珪素を構成する二酸化珪素の骨格
は,上記粘土鉱物中に存在した二酸化珪素骨格の形骸よ
りなる。
【0023】そして,上記粘土鉱物は,図3,図4に示
すごとく,二酸化珪素四面体シートと金属酸化物の八面
体シートとよりなり,上記二酸化珪素四面体シートを構
成する二酸化珪素四面体の頂点は,すべて上記八面体シ
ートの方向を向いている。このため,この骨格の形骸を
引き継いだ本発明の層状珪酸を構成する二酸化珪素四面
体の頂点は,図1に示すごとく,一方向に揃った状態に
ある。
【0024】以上により,上記層状珪酸の極性分布は,
層表面の裏表で異なりかつ層間で一方向に揃った状態に
ある。また,2:1層構造の粘土鉱物の形骸が残留した
層状珪酸においては,隣接する層面で二酸化珪素四面体
の頂点と他の二酸化珪素四面体の底面が向かい合うこと
となる(図4(b)参考)。このため,両者の層間に水
素結合が形成され,全体の構造が一層安定化される。
【0025】このため,上記層状珪酸は,従来の層状珪
酸にはない層間の表裏で異なる極性の不均一性のため
に,ゲスト化合物を特定方向に配向して包接したり,ま
た特定の層間に包接するという性質を有し,たとえば,
触媒・顔料・医薬品などの大きさ,配向などの選択性が
ある担体及び選択性のある吸着剤として利用することが
できる。
【0026】また,上記層状珪酸は,大きさ形状が均一
な天然産粘土鉱物を原料としてその形骸を残留している
ため,その大きさ,形状が均一となる。これにより,大
きさや形状が均一な担持触媒や包接化合物(吸着剤)を
提供することができ,その作用の発現がより均一で安定
したものになるという効果を得ることができる。なお,
上記層状珪酸は新しい層状珪酸と考えられる。
【0027】また,本発明にかかる層状珪酸が,粘土鉱
物中の二酸化珪素骨格の形骸を残しており層状であるこ
と,結晶学的な規則性を有していることは,透過型電子
顕微鏡写真観察及びX線回折測定を利用して確認するこ
とができる。
【0028】以上により,本発明によれば,反転のない
二酸化珪素四面体シートよりなり,かつ均一な形状と大
きさを有する,層状珪酸を提供することができる。
【0029】また,上記層状珪酸は,珪素原子に対して
1〜7atom%の金属原子の形で不純物として含んで
おり,また窒素吸着によるBET法で求めた比表面積7
00〜50m2 /gであることが好ましい。これによ
り,二酸化珪素の含有率が高い層状珪酸塩であり,また
層間に利用できる空間が存在することが分かる。従っ
て,耐熱性が高い触媒担体や吸着剤として作用するとい
う効果を得ることができる。
【0030】次に,請求項2の発明によれば,上記層状
珪酸は,四角形または多角形のシート片であり,かつ上
記層状珪酸のシート径は10nm〜50mmの範囲内に
あり,更に,全層状珪酸の50%以上のシート径は,全
層状珪酸の中で最多分布を示すシート径の−40〜+4
0%の範囲内にあることが好ましい。
【0031】これにより,大きさが多様でかつ均一なシ
ート形状を有する層状珪酸を提供できるという効果を得
ることができる。上記シート径が10nm未満である場
合には,層状珪酸が積層するのが困難となるおそれがあ
る。一方,50mmよりも大きい場合には,天然産の粘
土鉱物の入手が困難となるおそれがある。
【0032】更に,上記全層状珪酸の50%未満しか,
最多分布を示すシート径の−40%〜+40%の範囲内
に含まれていない場合には,シートの大きさが不均一と
なるおそれがある。
【0033】次に,請求項3は,反転がない二酸化珪素
四面体シートと他の金属酸化物の八面体シートとの1:
1層構造または2:1層構造を有する粘土鉱物の形骸が
残留し,かつ二酸化珪素による層状六員環骨格を有する
層状二酸化珪素からなり,更に,結晶学的な規則性を有
する層状珪酸を製造するに当たり,上記粘土鉱物に酸を
作用させることを特徴とする層状珪酸の製造方法にあ
る。
【0034】本発明によれば,請求項1にかかる,反転
のない二酸化珪素四面体シートよりなり,かつ均一な形
状と大きさを有する,優れた層状珪酸を得ることができ
る。また,本発明によれば,酸を作用させるという容易
な手段で,粘土鉱物より産業上利用価値の高い上記層状
珪酸を得ることができることができる。なお,上記粘土
鉱物としては,上述したものと同様のものを使用するこ
とができる。
【0035】次に,本発明にかかる製造方法につき詳細
に説明する。上記粘土鉱物に酸を作用させる,即ち酸処
理を行う反応条件としては,一般には,より低濃度の
酸,より短い反応時間及び加圧条件下での反応が適する
と考えられる。しかし,基本的には,粘土鉱物の種類に
よって異なる。
【0036】例えば,アルミニウム酸化物の八面体シー
トとの1:1層構造を有する粘土鉱物では(例えば,1
2N酸を用い,反応時間を19時間とした場合の)加圧
条件下の酸処理が好ましかったが,マグネシウム酸化物
の八面体シートの1:1層構造を有する粘土鉱物では
(例えば,3N酸を用い,反応時間を4時間とした場合
の)常圧条件下での酸処理が結晶学的な規則性を有する
層状珪酸を与えるのに好ましい。
【0037】上記酸処理において用いる酸は,反応の結
果生成するアルミニウム塩やマグネシウム塩を後処理工
程で除去することができる程に水に対する溶解度が大き
いものとすることが好ましい。具体的には,塩酸,硫
酸,硝酸,燐酸等及びそれらの混合物の水溶液等を挙げ
ることができる。
【0038】また,この酸の濃度は,3〜12Nである
ことが好ましい。3N未満の濃度の酸処理では特にアル
ミニウム酸化物の溶出が十分ではないおそれがある。一
方,12N以上の酸の取り扱いは危険となるおそれがあ
る。また,この酸処理に用いる酸の量は,粘土鉱物10
0gに対して少なくとも2mol以上の酸が溶解した水
溶液であることが好ましい。これよりも酸の量が少ない
と,粘土鉱物の八面体シートを構成する金属が十分溶出
しないおそれがある。
【0039】上記酸処理の反応時間は,4〜20時間で
あることが好ましい。4時間未満の反応時間では,粘土
鉱物の八面体シートを構成する金属酸化物が十分溶出し
ないおそれがある。また,20時間経過後には,酸処理
の反応が充分に平衡に達するため,それ以上の反応時間
は不要である。なお,上記酸処理の反応温度は,特に限
定するものではないが,70〜150℃であることが好
ましい。
【0040】また,特に加圧条件下で酸処理の方法とし
ては,これらの酸水溶液に粘土鉱物を浸漬して加圧条件
下で加熱・攪拌することが好ましい。この際の加圧反応
装置として,オートクレーブを使用することができる。
また,常圧条件下での酸処理の方法としては,これらの
酸水溶液に粘土鉱物を浸漬して常圧条件下で,冷却濃縮
器を備えた反応装置中で加熱・攪拌することが好まし
い。また,常圧条件下での酸処理は,3〜6Nの酸を用
い,80〜100℃,4〜12時間という条件で反応さ
せることが特に好ましい。
【0041】次に,請求項4のように,上記粘土鉱物を
選択することにより,上記層状珪酸の形状及び大きさを
選択することができる。即ち,本発明によれば,原料と
して多くの種類の粘土鉱物を利用することができ,この
粘土鉱物の種類を選択することにより,大きさ,形状の
異なる層状珪酸を得ることができる。
【0042】また,1:1構造の粘土鉱物を使用するこ
と,2:1構造のものを使用することのいずれかを選択
することにより,極性の分布の異なる層状珪酸を得るこ
とができる。即ち,1:1構造の粘土鉱物より得られた
層状珪酸はその表裏において反転した極性を有する(図
1参照)。また,2:1構造の粘土鉱物より得られた層
状珪酸はその表裏において,同一の極性を有する。
【0043】次に,請求項5の発明は,反転がない二酸
化珪素四面体シートと他の金属酸化物の八面体シートと
の1:1層構造または2:1層構造を有する粘土鉱物の
形骸が残留し,かつ二酸化珪素による層状六員環骨格を
有する層状二酸化珪素からなり,更に,結晶学的な規則
性を有しないことを特徴とする層状珪酸にある。
【0044】本発明にかかる層状珪酸は,結晶学的な規
則性を有しない,即ち非晶質であるということを覗い
て,請求項1にかかる層状珪酸と同様である。そして,
上記層状珪酸塩は,非晶質であるため,層間隔が均一で
はなく,むしろ積層が大きく乱れているために層剥離が
非常に容易であるという性質を有し,これを利用して,
他の化合物と均一に混合して新しい複合化合物を提供す
ることができる。
【0045】次に,請求項6の発明のように,上記層状
珪酸は,四角形または多角形のシート片であり,かつ上
記層状珪酸のシート径は10nm〜50mmの範囲内に
あり,更に,全層状珪酸の50%以上のシート径は,全
層状珪酸の中で最多分布を示すシート径の−40〜+4
0%の範囲内にあることが好ましい。
【0046】これにより,請求項2と同様に,大きさが
多様でかつ均一なシート形状を有する層状珪酸を提供で
きる。また,その他詳細についても請求項2と同様であ
る。
【0047】次に,請求項7の発明は,反転がない二酸
化珪素四面体シートと他の金属酸化物の八面体シートと
の1:1層構造または2:1層構造を有する粘土鉱物の
形骸が残留し,かつ二酸化珪素による層状六員環骨格を
有する層状二酸化珪素からなり,更に,結晶学的な規則
性を有しない層状珪酸を製造するに当たり,上記粘土鉱
物に酸を作用させることを特徴とする層状珪酸の製造方
法にある。
【0048】本発明にかかる層状珪酸の製造方法は,結
晶学的な規則性を有しない,即ち非晶質であるというこ
とを除いて,請求項3にかかる層状珪酸の製造方法と同
様である。本発明によれば,請求項1と同様に,反転の
ない二酸化珪素四面体シートよりなり,かつ均一な形状
と大きさを有する,優れた層状珪酸を得ることができ
る。また,本発明によれば,酸を作用させるという容易
な手段で,粘土鉱物より産業上利用価値の高い上記層状
珪酸を得ることができることができる。
【0049】次に,本発明にかかる製造方法につき詳細
に説明する。上記粘土鉱物に酸を作用させる,即ち酸処
理を行う反応条件としては,請求項3とは反対に,得ら
れた層状珪酸より結晶学的な規則性を喪失させるため
に,一般には,より高濃度の酸,より長い反応時間及び
加圧条件下での反応が適すると考えられる。しかし,基
本的には,粘土鉱物の種類によって異なり,常圧条件
下,より低濃度の酸,より短い反応時間といった条件で
あっても,非晶質の層状珪酸を得ることができる。
【0050】ただし,アルミニウム酸化物の八面体シー
トとの1:1層構造を有する粘土鉱物では(例えば,1
2N酸を用い,反応時間を19時間とした場合の)加圧
条件下の酸処理では結晶学的な規則性を喪失させること
ができず,(例えば,3N酸を用い,反応時間を4時間
とした場合の)常圧条件下の酸処理で結晶学的な規則性
の存在しない層状珪酸が得られた。なお,得られる層状
珪酸に残留する八面体シート構成金属原子の量で,各種
粘土鉱物の酸処理の反応条件を規定することはできなか
った。
【0051】上記酸処理において用いる酸は,反応の結
果生成するアルミニウム塩やマグネシウム塩を後処理工
程で除去することができる程に水に対する溶解度が大き
いものとすることが好ましい。具体的には,塩酸,硫
酸,硝酸,燐酸等及びそれらの混合物の水溶液等を挙げ
ることができる。
【0052】また,この酸の濃度は,3〜12Nである
ことが好ましい。3N未満の濃度の酸処理では特にアル
ミニウム酸化物の溶出が十分でないおそれがある。一
方,12N以上の酸の取り扱いは危険となるおそれがあ
る。特に,8〜12Nの酸を用いた場合には,反応速度
が速くなるのでより好ましい。また,この酸処理に用い
る酸の量は,粘土鉱物100gに対して少なくとも2m
ol以上の酸が溶解した水溶液であることが好ましい。
これよりも酸の量が少ないと,粘土鉱物の八面体シート
を構成する金属が十分溶出しないおそれがある。
【0053】上記酸処理の反応時間は,8〜20時間で
あることが好ましい。8時間未満の反応時間では,粘土
鉱物の八面体シートを構成する金属酸化物の中で,特に
マグネシウム以外の金属酸化物,即ちアルミニウムや鉄
の酸化物の溶出が十分ではなく,層状珪酸中に残存する
金属酸化物の金属原子の量を,珪素原子に対して3at
om%未満に低減することができないおそれがある。ま
た,20時間経過後には,酸処理の反応が充分に平衡に
達するため,それ以上の反応時間は不要である。なお,
上記と同様の理由から,上記酸処理の反応温度は90℃
以上であることが好ましい。
【0054】また,常圧条件下での酸処理の方法として
は,これらの酸水溶液に粘土鉱物を浸漬して常圧条件下
に冷却濃縮器を備えた反応装置中で加熱・攪拌すること
が好ましい。また,十分な加熱操作により100℃以上
の環流温度で反応させることが特に好ましい。また,加
圧条件下での酸処理の方法としては,これらの酸水溶液
に粘土鉱物を浸漬して加熱・攪拌することが好ましい。
この際の加圧反応装置として,オートクレーブを使用す
ることができる。また,この場合の反応温度は,120
℃以上であることが特に好ましい。
【0055】以上の反応条件の下では,粘土鉱物の層剥
離(デラミネーション)が進行するので,金属酸化物の
八面体シートが溶出・除去される際に,二酸化珪素四面
体シートは結晶学的な規則性を喪失する。ただし,この
状態においても上記二酸化珪素四面体シートは粘土鉱物
中の二酸化珪素骨格の形骸を残しており,二酸化珪素四
面体の頂点の配向がそのまま得られた層状珪酸に引き継
がれることとなる。
【0056】次に,請求項8のように,上記粘土鉱物を
選択することにより,上記層状珪酸の形状及び大きさを
選択することができる。即ち,請求項4と同様に,原料
として多くの種類の粘土鉱物を利用することができ,こ
の粘土鉱物の種類を選択することにより,大きさ,形状
の異なる層状珪酸を得ることができる。
【0057】また,1:1構造の粘土鉱物を使用するこ
と,2:1構造のものを使用することかを選択すること
により,極性の分布の異なる層状珪酸を得ることができ
る。即ち,1:1構造の粘土鉱物より得られた層状珪酸
はその層面の表裏において反転した極性を有し,層間で
の極性の向きが層方向に揃っている(図1参照)。ま
た,2:1構造の粘土鉱物より得られた層状珪酸はその
層面の表裏において,反転した極性を有し,極性の高い
層間と極性の低い層間が交互に配列している。
【0058】次に,請求項9の発明は,反転がない二酸
化珪素四面体シートと他の金属酸化物の八面体シートと
の1:1層構造または2:1層構造を有する粘土鉱物の
形骸が残留し,かつ二酸化珪素による層状六員環骨格を
有する層状二酸化珪素からなり,更に,結晶学的な規則
性を有することを特徴とする層状珪酸塩にある。
【0059】本発明にかかる層状珪酸塩は,請求項1に
かかる層状珪酸に対し,アルカリ金属化合物を作用さ
せ,シラノール基のプロトンをアルカリ金属陽イオンと
交換する等の方法により製造することができる層状珪酸
塩である。上記層状珪酸塩は,元になった層状珪酸と同
じ構造を有しており,従って,請求項1に示した層状珪
酸と同様の特徴,作用効果を有する。
【0060】以上により,本発明にかかる層状珪酸塩を
使用することにより,請求項1と同様,従来の層状珪酸
塩にはない層面の裏表で異なる極性を有するという性質
を有し,たとえば,触媒・顔料・医薬品などの大きさ,
配向などの選択性がある担体及び選択性のある吸着剤と
して利用することができる。また,表面極性を制御する
ことができかつ耐熱性を付与できる被覆剤として使用す
ることができる。
【0061】次に,請求項10の発明のように,上記層
状珪酸塩は,四角形または多角形のシート片であり,か
つ上記層状珪酸塩のシート径は10nm〜50mmの範
囲内にあり,更に,全層状珪酸塩の50%以上のシート
径は,全層状珪酸塩の中で最多分布を示すシート径の−
40〜+40%の範囲内にあることが好ましい。
【0062】これにより,請求項2と同様に,大きさが
多様でかつ均一なシート形状を有する層状珪酸塩を提供
することができる。また,その他詳細についても請求項
2と同様である。
【0063】次に,請求項11の発明は,反転がない二
酸化珪素四面体シートと他の金属酸化物の八面体シート
との1:1層構造または2:1層構造を有する粘土鉱物
の形骸が残留し,かつ二酸化珪素による層状六員環骨格
を有する層状二酸化珪素からなり,更に,結晶学的な規
則性を有しないことを特徴とする層状珪酸塩にある。
【0064】上記層状珪酸塩は,結晶学的な規則性を有
しない,即ち非晶質であるということを覗いて,請求項
9にかかる層状珪酸塩と同様である。そして,上記層状
珪酸塩は,非晶質であるため,層間隔が均一ではなく,
むしろ積層が大きく乱れているために層剥離が非常に容
易であるという性質を有し,これを利用して,他の化合
物と均一に混合して新しい複合材料を提供することがで
きる。
【0065】次に,請求項12の発明のように,上記層
状珪酸塩は,四角形または多角形のシート片であり,か
つ上記層状珪酸塩のシート径は10nm〜50mmの範
囲内にあり,更に,全層状珪酸塩の50%以上のシート
径は,全層状珪酸塩の中で最多分布を示すシート径の−
40〜+40%の範囲内にあることが好ましい。
【0066】これにより,請求項10と同様に,大きさ
が多様でかつ均一なシート形状を有する層状珪酸塩を提
供できる。また,その他詳細についても請求項10と同
様である。
【0067】なお,上記層状珪酸塩の製造方法につい
て,以下に説明する。上記層状珪酸塩は,請求項1にか
かる示した結晶学的な規則性を有する層状珪酸または請
求項5にかかる結晶学的な規則性を有しない層状珪酸に
対し,アルカリ金属化合物を作用させて,シラノール基
のプロトンをアルカリ金属陽イオンと交換するイオン交
換工程等の方法により製造することができる。
【0068】次に,上記イオン交換工程について説明す
る。上記イオン交換工程で用いるアルカリ金属化合物
は,反応の結果生成するアルカリ金属化合物の陰イオン
部とプロトンとからなる化合物の酸性が十分に低くなる
ような物質であることが好ましい。具体的には,アルカ
リ金属の水酸化物,炭酸塩,炭酸水素塩及び酢酸塩等を
使用することができる。
【0069】また,上記アルカリ金属化合物の濃度は,
特に限定するものではないが,1N以下のものを用いる
ことが好ましい。これにより,二酸化珪素骨格の加水分
解を抑制することができる。また,上記イオン交換工程
における反応温度は,特に限定するものではないが,室
温以下の温度とすることが好ましい。これにより,二酸
化珪素骨格の加水分解を抑制することができる。
【0070】上記イオン交換工程にかかる反応時間は3
0分間以内とすることが好ましい。反応時間が30分間
以上となった場合には,二酸化珪素骨格の加水分解が促
進されるおそれがある。
【0071】
【発明の実施の形態】
実施形態例1 本発明の実施形態例にかかる層状珪酸及びその製造方法
につき,図1〜図3を用いて説明する。本例の層状珪酸
は,図1及び図3に示すごとく,反転がない二酸化珪素
四面体シート19とアルミニウム酸化物の八面体シート
2との1:1層構造を有する粘土鉱物3,即ちカオリナ
イトの形骸が残留し,かつ二酸化珪素による層状六員環
骨格を有する層状二酸化珪素からなり,更に,結晶学的
な規則性を有する層状珪酸1である。
【0072】上記粘土鉱物3は,図3に示すごとく,反
転がない二酸化珪素四面体シート19とアルミニウム酸
化物の八面体シート2とよりなる。そして,1枚の四面
体シート19と1枚の八面体シート2とを一組として,
これらが多数積層した構造を有するものである。ここに
二酸化珪素四面体シート19とは,図3(a),(b)
に示すごとく,頂点10を酸素,その中心を珪素が占め
る四面体11が六員環を形成して多数平面状に結合し,
シート状の骨格をなしたものである。
【0073】なお,上記『反転がない』とは,二酸化珪
素四面体11の頂点10の向きが一方向に揃っており,
従って上記層状珪酸1の表面の極性分布が裏,表で異な
る状態を意味している。更に,上記アルミニウム酸化物
八面体シート2とは,図3(a)に示すごとく,頂点を
酸素と水酸化イオン,その中心をアルミニウムが占める
八面体21が多数平面状に結合し,シート状の骨格をな
したものである。
【0074】なお,参考例として図2に従来存在した層
状珪酸9に示した。本発明にかかる本例の層状珪酸1と
異なり,従来にかかる層状珪酸9は,二酸化珪素四面体
11の頂点10の方向が揃っていない。
【0075】次に,本例にかかる層状珪酸を製造する方
法について説明する。上記粘土鉱物であるカオリナイト
としては,ジョージア産カオリンを用いた。まず,30
0mリットルのテフロン製容器を有するオートクレーブ
2個に,カオリン25gと12N硫酸100mリットル
との混合物をそれぞれ投入して密封した。次いで,12
0℃で19時間,攪拌しながら定温乾燥炉中で加熱し
た。放冷後に容器の内容物より濾別した固形生成物を,
ロート上でイオン交換水1000mリットルを用いて洗
浄した。
【0076】得られた固形生成物と1N塩酸500mリ
ットルとを,冷却管を備えた1リットルのセパラブル・
フラスコにとり,水浴温度90℃で1時間,攪拌モータ
で攪拌しながら水浴中で加熱した。その後,フラスコの
内容物より濾別した固形生成物をロート上で温イオン交
換水2000mリットルを用いて洗浄,凍結乾燥により
生成物24.0gを得た。以下,上記生成物をNK−1
pと呼ぶ。
【0077】上記生成物は,後述の実施形態例9の元素
分析の結果から,珪素を主体とする珪酸であることが分
かった。また,後述の実施形態例11の透過型電子顕微
鏡写真観察の結果から,原料として用いた粘土鉱物中の
珪酸塩の形骸が残留することが分かった。更に,後述の
実施形態例10のX線回折パターン観察の結果から,結
晶学的な規則性を有することが分かった。以上により上
記生成物が本例にかかる層状珪酸であることが分かっ
た。
【0078】本例の作用効果につき説明する。本例にか
かる層状珪酸1は,図3に示すごとき構造を有する粘土
鉱物3の形骸が残留した状態にある。即ち,上記層状珪
酸1は,図1に示すごとく,二酸化珪素による層状六員
環骨格を有する層状二酸化珪素よりなり,上記層状二酸
化珪素を構成する二酸化珪素の骨格は,上記粘土鉱物3
中に存在した二酸化珪素骨格の形骸よりなる。
【0079】そして,上記粘土鉱物3は,図3に示すご
とく,二酸化珪素四面体シート19とアルミニウム酸化
物の八面体シート2とよりなり,上記二酸化珪素四面体
シート19を構成する二酸化珪素四面体11の頂点10
は,すべて上記八面体シート2の方向を向いている。こ
のため,この骨格の形骸を引き継いだ本発明の層状珪酸
1を構成する二酸化珪素四面体11の頂点10は,図1
に示すごとく,一方向に揃った状態にある。
【0080】以上により,上記層状珪酸1の極性分布
は,層表面の裏表で異なりかつ層間で一方向に揃った状
態にある。このため,上記層状珪酸は,従来の層状珪酸
にはない層面の裏表で極性が異なり,しかも層間で極性
が一方向に揃った状態にあるため,包接ゲスト化合物を
層方向の一方向に配向させて層間に包接できる層状包接
ホストとして作用するという性質を有し,たとえば,触
媒・顔料・医薬品などの大きさ,配向などの選択性があ
る担体及び選択性のある吸着剤として利用することがで
きる。
【0081】また,上記層状珪酸は,大きさや形状が均
一な天然産カオリナイトからその形骸を残留させて製造
されるため,その大きさ,形状が均一となる。これによ
り,大きさや形状が均一な触媒担体や吸着剤となるため
に,触媒作用や吸着剤作用を均一に発現させることがで
きる。なお,上記層状珪酸は新しい層状珪酸と考えられ
る。
【0082】従って,本例によれば,反転のない二酸化
珪素四面体シートよりなり,かつ均一な形状と大きさを
有する,層状珪酸を提供することができる。
【0083】実施形態例2 本例は,反転がない二酸化珪素四面体シートとマグネシ
ウム酸化物の八面体シートとの1:1層構造を有する粘
土鉱物であるクリソタイルに常圧下で酸を作用させ,結
晶学的な規則性を有する層状珪酸を製造する方法を説明
する。なお,上記クリソタイルとしては,ユニオン・カ
ーバイド(UnionCarbide)社製のカリドリ
ア・アスベストス(Calidri Asbesto
s)H.P.P.を用いた。
【0084】まず,乳鉢で粉砕したクリソタイル200
gと3N塩酸2000mリットルとを,冷却管を備えた
2リットルのセパラブル・フラスコにとり,水浴温度9
0℃で4時間,攪拌モータで攪拌しながら水浴中で加熱
した。次に,上記フラスコの内容物の熱時濾過により濾
別した固形生成物を,約70〜90℃の温1N塩酸10
00mリットル及び温イオン交換水2000mリットル
を用いて,ロート上で洗浄した。
【0085】得られた固形生成物と1N塩酸1200m
リットルとを,冷却管を備えた2リットルのセパラブル
・フラスコにとり,水浴温度90℃で1時間,攪拌モー
タで攪拌しながら水浴中で加熱した。その後,上記フラ
スコの内容物より濾別した固形生成物をロート上で温イ
オン交換水2000mリットルを用いて洗浄,凍結乾燥
により生成物84.5gを得た。以下,上記生成物をN
C−2aと呼ぶ。
【0086】上記生成物は,後述の実施形態例9に示す
元素分析の結果から,珪素を主体とする珪酸であること
が分かった。また,透過型電子顕微鏡写真観察から,原
料として用いた粘土鉱物中の珪酸塩の形骸が残留するこ
とが分かった。また,後述の実施形態例10に示すX線
回折パターン観察から結晶学的な規則性を有することが
分かった。以上により上記生成物が本例にかかる層状珪
酸であることが分かった。
【0087】実施形態例3 本例においては,反転がない二酸化珪素四面体シートと
マグネシウム酸化物の八面体シートとの1:1層構造を
有する粘土鉱物であるクリソタイルに加圧下で酸を作用
させて,結晶学的な規則性の存在しない層状珪酸を製造
する方法を説明する。
【0088】上記クリソタイルとしては,実施形態例2
と同じものを用いた。まず,乳鉢で粉砕したクリソタイ
ル20gと12N硫酸40mリットルとを,100mリ
ットルのテフロン製容器を有するオートクレーブにとり
密封した。その後,120℃で19時間,攪拌しながら
定温乾燥炉中で加熱した。放冷後に,上記容器の内容物
より濾別した固形生成物を,ロート上でイオン交換水6
00mリットルを用いて洗浄した。
【0089】得られた固形生成物と1N塩酸350mリ
ットルとを冷却管を備えた500mリットルのセパラブ
ル・フラスコにとり,油浴温度100℃で1時間,攪拌
モータで攪拌しながら油浴中で加熱した。その後,上記
フラスコの内容物より濾別した固形生成物をロート上で
温イオン交換水500mリットルを用いて洗浄,凍結乾
燥により生成物3.4gを得た。以下,上記生成物をN
C−3pと呼ぶ。
【0090】上記生成物は,後述の実施形態例9に示す
元素分析の結果から,珪素を主体とする珪酸であること
が分かった。また,後述の実施形態例11に示す透過型
電子顕微鏡写真観察から,原料として用いた粘土鉱物中
の珪酸塩の形骸が残留することが分かった。更に,後述
の実施形態例10に示すX線回折パターン観察から,結
晶学的な規則性の存在しないことが分かった。以上によ
り上記生成物が本例にかかる層状珪酸であることが分か
った。
【0091】実施形態例4 本例においては,反転がない二酸化珪素四面体シートと
アルミニウム酸化物の八面体シートとの1:1層構造を
有する粘土鉱物であるカオリナイトに常圧下で酸を作用
させて,結晶学的な規則性の存在しない層状珪酸を製造
する方法を説明する。
【0092】上記カオリナイトとしては,実施形態例1
と同じものを用いた。まず,上記カオリナイト50.0
gと12N硫酸200mリットルとを,冷却管を備えた
500mリットルのセパラブル・フラスコにとり,油浴
温度120℃で19時間,攪拌モータで攪拌しながら油
浴中で加熱した。上記フラスコの内容物から熱時濾過に
より濾別した固形生成物を,約70〜90℃の温イオン
交換水300mリットルを用いて,ロート上で洗浄し
た。
【0093】次いで,上記固形生成物と1N塩酸500
mリットルとを,冷却管を備えた500mリットルのセ
パラブル・フラスコにとり,水浴温度90℃で1時間,
攪拌モータで攪拌しながら水浴中で加熱した。その後,
上記フラスコの内容物から濾別した固形生成物をロート
上で温イオン交換水500mリットルを用いて洗浄,凍
結乾燥により生成物21.6gを得た。上記生成物をN
K−4aと呼ぶ。
【0094】上記生成物は,後述の実施形態例9の元素
分析の結果から,珪素を主体とする珪酸であることが分
かった。また,透過型電子顕微鏡写真観察から,原料と
して用いた粘土鉱物中の珪酸塩の形骸が残留することが
分かった。更に,後述の実施形態例10のX線回折パタ
ーン観察の結果から,結晶学的な規則性の存在しないこ
とが分かった。以上により上記生成物が本例にかかる層
状珪酸であることが分かった。
【0095】実施形態例5 本例においては,反転がない二酸化珪素四面体シートと
マグネシウム酸化物の八面体シートとの2:1層構造を
有する粘土鉱物であるヘクトライトに常圧下で酸を作用
させて,結晶学的な規則性の存在しない層状珪酸を製造
する方法を説明する。そして,図4に示すごとく,上記
粘土鉱物4は,反転がない二酸化珪素四面体シート19
とマグネシウム酸化物の八面体シート2とよりなり,該
八面体シート2の表裏の両面に四面体シート19が配列
した構造を一組として,これらが多数積層した構造を有
するものである。
【0096】次に,本例にかかる層状珪酸を製造する方
法について説明する。上記ヘクトライトとしては,米国
粘土学会の標準試料を用いた。まず,ヘクトライト20
0.5gと3N塩酸1600mリットルとを,冷却管を
備えた2リットルのセパラブル・フラスコにとり,水浴
温度30℃で0.5時間した。その後,更に水浴温度9
0℃で4時間,攪拌モータで攪拌しながら水浴中で加熱
した。
【0097】上記フラスコから熱時濾過により濾別した
固形生成物を,約70〜90℃の温1N塩酸1000m
リットル及び温イオン交換水2000mリットルを用い
て,ロート上で洗浄した。その固形生成物と1N塩酸1
600mリットルとを,冷却管を備えた2リットルのセ
パラブル・フラスコにとり,水浴温度90℃で1時間,
攪拌モータで攪拌しながら水浴中で加熱した。上記フラ
スコの内容物から濾別した固形生成物を,ロート上で温
イオン交換水3000mリットルを用いて洗浄,凍結乾
燥により生成物72.6gを得た。上記生成物をNH−
5aと呼ぶ。
【0098】上記生成物は,後述の実施形態例9に示す
元素分析の結果から,珪素を主体とする珪酸であること
が分かった。また,透過型電子顕微鏡写真観察から,原
料として用いた粘土鉱物中の珪酸塩の形骸が残留するこ
とが分かった。更に,後述の実施形態例10に示すX線
回折パターン観察から,結晶学的な規則性の存在しない
ことが分かった。以上により上記生成物が本例にかかる
層状珪酸であることが分かった。
【0099】実施形態例6 本例においては,反転がない二酸化珪素四面体シート
と,アルミニウム・鉄・マグネシウムの酸化物の八面体
シートとの2:1層構造を有する粘土鉱物であるバーミ
キュライトに常圧下で酸を作用させて,結晶学的な規則
性の存在しない層状珪酸を製造する方法を説明する。
【0100】上記バーミキュライトとしては,中国産の
蛭石を用いた。まず,バーミキュライト40.0gを5
00mリットルのビーカにとり,その中に30%過酸化
水素水100mリットルを加え,酸化処理を行った。こ
れにより,バーミキュライトは発熱して,その体積が膨
張した。
【0101】上記ビーカを室温で1時間放置後,55℃
の定温乾燥器中に3日間置いて,上記反応の熟成を行な
った。なお,上記反応による膨張現象は,バーミキュラ
イト組成中の鉄分の酸化熱で層間水の沸騰が生じ,層間
隔の拡張及び層剥離が起こるためと考えられる。
【0102】次に,上記酸化処理を施したバーミキュラ
イトと3N塩酸1200mリットルとを,冷却管を備え
た2リットルのセパラブル・フラスコにとり,水浴温度
95℃で8時間,攪拌モータで攪拌しながら水浴中で加
熱した。上記フラスコの内容物から熱時濾過により濾別
した固形生成物を,約70〜90℃の温1N塩酸600
mリットル及び温イオン交換水800mリットルを用い
て,ロート上で洗浄した。
【0103】上記固形生成物と1N塩酸400mリット
ルとを,冷却管を備えた2リットルのセパラブル・フラ
スコにとり,水浴温度90℃で1時間,攪拌モータで攪
拌しながら水浴中で加熱した。その後,フラスコの内容
物を濾別した固形生成物をロート上で温イオン交換水2
000mリットルを用いて洗浄,凍結乾燥により生成物
14.7gを得た。以下,上記生成物をNV−6aと呼
ぶ。
【0104】上記生成物は,後述の実施形態例9に示す
元素分析の結果から,珪素を主体とする珪酸であること
が分かった。また,後述の実施形態例11に示す透過型
電子顕微鏡写真観察から,原料として用いた粘土鉱物中
の珪酸塩の形骸が残留することが分かった。更に,後述
の実施形態例10に示すX線回折パターン観察から結晶
学的な規則性の存在しないことが分かった。以上により
上記生成物が本例にかかる層状珪酸であることが分かっ
た。
【0105】実施形態例7 本例においては,反転がない二酸化珪素四面体シート
と,アルミニウム・鉄・マグネシウムの酸化物の八面体
シートとの2:1層構造を有する粘土鉱物であるバーミ
キュライトに加圧下で酸を作用させて,結晶学的な規則
性の存在しない層状珪酸を製造する方法を説明する。
【0106】上記バーミキュライトは,実施形態例6と
同じものを使用した。まず,上記バーミキュライト2
5.0gを500mリットルのビーカにとり,その中に
30%過酸化水素水200mリットルを加え,実施形態
例6と同様,バーミキュライトの酸化処理を行なった。
【0107】酸化処理の済んだ上記バーミキュライトの
半分量と12N硫酸200mリットルとを300mリッ
トルのテフロン製容器を有するオートクレーブにとり密
封した。その後,120℃で19時間,攪拌しながら定
温乾燥炉中で加熱した。放冷後に上記容器の内容物から
濾別した固形生成物を,ロート上でイオン交換水600
mリットルを用いて洗浄した。
【0108】その固形生成物と1N塩酸800mリット
ルとを,冷却管を備えた1リットルのセパラブル・フラ
スコにとり,水浴温度100℃で1時間,攪拌モータで
攪拌しながら水浴中で加熱した。その後,上記フラスコ
の内容物から濾別した固形生成物を,ロート上で温イオ
ン交換水2000mリットルを用いて洗浄,凍結乾燥に
より生成物5.1gを得た。上記生成物をNV−7pと
呼ぶ。
【0109】上記生成物は,後述の実施形態例9に示す
元素分析の結果から,珪素を主体とする珪酸であること
が分かった。また,後述の実施形態例11に示す透過型
電子顕微鏡写真観察から,原料として用いた粘土鉱物中
の珪酸塩の形骸が残留することが分かった。更に,後述
の実施形態例10のX線回折パターン観察から結晶学的
な規則性の存在しないことが分かった。以上により上記
生成物が本例にかかる層状珪酸であることが分かった。
【0110】実施形態例8 本例においては,実施形態例2で得られた層状珪酸にア
ルカリ金属化合物を作用させ,層状珪酸塩を製造する方
法を説明する。まず,プラスチック製500mリットル
ビーカに実施形態例2で得られた層状珪酸(NC−2
a)10gをとり,イオン交換水200mリットルを加
えて,室温でマグネチック・スターラーにより攪拌して
分散させた。
【0111】この分散液に,1N水酸化ナトリウム水溶
液300mリットルを加えて,室温で更に30分間攪拌
した。反応混合物をイオン交換水で一日間透析処理した
後に,凍結乾燥することによって,生成物10.5gを
得た。上記生成物は,元素分析の結果から珪素とナトリ
ウムを主体とする珪酸塩であることが分かった。また,
透過型電子顕微鏡写真観察から,原料として使用した粘
土鉱物中の珪酸塩の形骸がある程度残留していることが
分かった。以上により本発明にかかる層状珪酸塩が得ら
れたことが分かった。
【0112】実施形態例9 本例においては,原料として用いた粘土鉱物及び実施形
態例1〜7で得られた各生成物について元素分析を行な
った。まず,珪素原子(Si)に対するAl,Fe,M
g,Tiのatom%,即ち八面体構成金属原子の含ま
れる割合を,それぞれ表1と表2に示した。同表によれ
ば,粘土鉱物に,常圧下または加圧下の酸処理を施す
と,粘土鉱物中の八面体を構成する金属原子の割合が珪
素原子に対して5atom%以下に低減して,珪酸が得
られたことが分かった。しかし,得られた珪酸中に残留
した八面体構成金属原子の量だけで,結晶学的な規則性
の有無を判断することはできなかった。
【0113】
【表1】
【0114】
【表2】
【0115】実施形態例10 本例においては,原料として使用した粘土鉱物及びこれ
に対する酸処理で得られた層状珪酸についてX線回折
(XRD)パターンを観察した。各XRDパターンを粘
土鉱物の系列別にまとめて,図5〜図15に示し,この
XRDパターンから,各層状珪酸の結晶学的な規則性の
有無を調べた。
【0116】図5はクリソタイルのXRDパターン,図
6は実施形態例2において得られたNC−2aのXRD
パターン,図7は実施形態例3において得られたNC−
3pのXRDパターンである。そして,図6にかかるN
C−2aのXRDパターンには,クリソタイルのXRD
パターン(図5)と同様な層方向の規則性に基づく3つ
のピーク(7.25,3.63,2.35Å)が観測さ
れた。しかし,図7にかかるNC−3pのXRDパター
ンには,ブロードなハローピークしか見られず,結晶学
的な規則性に基づくピークは観測されなかった。
【0117】次に,図8はカオリナイトのXRDパター
ン,図9は実施形態例1において得られたNK−1pの
XRDパターン,図10は実施形態例4において得られ
たNK−4aのXRDパターンである。そして,図9に
かかるNK−1pのXRDパターンには,カオリナイト
のXRDパターン(図8)と同様な層方向の規則性に基
づく3つのピーク(7.13,3.57,2.38Å)
が観測された。しかし,図10にかかるNK−4aのX
RDパターンには,ブロードなハローピークしか見られ
ず,結晶学的な規則性に基づくピークは観察されなかっ
た。
【0118】次に,図11はヘクトライトのXRDパタ
ーン,図12は実施形態例5において得られたNH−5
aのXRDパターンである。そして,図12にかかるN
H−5aのXRDパターンには,ヘクトライトのXRD
パターン(図10)に見られたピークが見られず,ブロ
ードなハローピークのみが観測された。従って,NH−
5aは結晶学的な規則性をもたないことが分かった。
【0119】なお,図11に示したヘクトライトのXR
Dパターンには,その結晶構造に基づくピーク以外に,
混入物である炭酸カルシウムのピークが観測された。ま
た,図12に示したNH−5aのXRDパターンには
3.35Åのピーク及び数個の微細なピークが見られる
が,これは原料に含まれていたα−クオーツに基づくも
のである。
【0120】次に,図13はバーミキュライトのXRD
パターン,図14は実施形態例6において得られたNV
−6aのXRDパターン,図15は実施形態例7におい
て得られたNV−7pのXRDパターンである。そし
て,図14のNV−6a及び図15のNV−7pのXR
Dパターンには,バーミキュライトのXRDパターン
(図13)に見られたものと同様の層方向の規則性に基
づくピークは観測されず,ブロードなハローピークだけ
が観測された。よって,上記NV−6a,NV−6pは
結晶学的な規則性を持たないことが分かった。
【0121】実施形態例11 本例においては,実施形態例1,3,6,7で得られた
生成物について透過型電子顕微鏡写真観察を行なった。
図16は実施形態例1にかかるNK−1p,図17は実
施形態例3にかかるNC−3p,図18は実施形態例6
にかかるNV−6a,図19は実施形態例7にかかるN
V−7pである。
【0122】図16より,NK−1pはシート径が約1
0μmのシートが何枚か積み重なった層状構造であり,
シートの大きさが均一であることと,原料のカオリナイ
ト中の二酸化珪素シートの形骸を残留していることが分
かった。また,この写真にはモアレ・パターンが見られ
ることから,NK−1pの層状構造は規則性を有してい
ることが分かった。
【0123】なお,同図において,網の目模様の物体
と,これと重なるように灰色の薄いシート片が確認でき
るが,上記薄いシート片こそがNK−1pである。上記
網の目の物体(灰色の地に多数の円)は,透過型電子顕
微鏡における観察しようとする試料を載置するステージ
が共に拡大されて写ったものであり,透過型電子顕微鏡
観察において倍率を高めた場合に一般的に発生する現象
である。また,同図の薄いシート片は一見,一枚のシー
トのようにみえるが,実はこれは複数枚のシート片が重
なり合った状態が写っているのである。以上の記載は他
の写真についても当てはまる。
【0124】また,図17より,NC−3pは直径が約
30nmの棒状又は管状に帯状シートが巻いた層状構造
であり,その直径が均一であることと,原料である粘土
鉱物のクリソタイル中の二酸化珪素シートの形骸を残留
していることが分かった。
【0125】更に,図18より,NV−6aはシート径
が約7〜11μmのシートが何枚か積み重なった層状構
造であり,シートの大きさが均一であることと,原料で
ある粘土鉱物のバーミキュライト中の二酸化珪素シート
の形骸を残留していることが分かった。なお,NV−6
aにおいては,NK−1pで見られた層方向の規則性に
基づくモアレ・パターンは観測されなかった。即ち,N
V−6aは結晶学的な規則性を有しないことが分かっ
た。
【0126】更に,図19より,NV−7pはシート径
が約7〜11μmのシートが何枚か積み重なった層状構
造であり,シートの大きさが均一であることと,原料で
ある粘土鉱物のバーミキュライト中の二酸化珪素シート
の形骸を残留していることがわかった。なお,NV−7
pにおいては,NK−2pで見られた層方向の規則性に
基づくモアレ・パターンは観測されなかった。即ち,N
V−7pは結晶学的な規則性を有しないことが分かっ
た。
【0127】実施形態例12 本例においては,実施形態例1〜7で得られた各生成物
について,窒素吸着によるBET法を利用した比表面積
の測定を行なった。上記結果を表3に示した。これによ
ると,結晶学的な規則性を有する層状珪酸であるNC−
2a,NK−1pの比表面積は,520〜70m2 /g
であった。一方,結晶学的な規則性の存在しない他の層
状珪酸の比表面積は440〜70m2 /gであった。こ
れにより,比表面積の値からは,層状珪酸の結晶学的な
規則性の有無を判別できないということが分かった。
【0128】
【表3】
【0129】
【発明の効果】上記のごとく,本発明によれば,反転の
ない二酸化珪素四面体シートよりなり,かつ均一な形状
と大きさを有する,層状珪酸及びその製造方法,層状珪
酸塩を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態例1における,(a)二酸化珪素四面
体の頂点が一方向に揃った,反転のない層状珪酸の構造
を説明する平面説明図,(b)上記層状珪酸の構造を説
明する側面説明図。
【図2】従来例における,(a)二酸化珪素四面体の頂
点が一方向に揃った,反転のある層状珪酸の構造を説明
する平面説明図,(b)上記層状珪酸の構造を説明する
側面説明図。
【図3】実施形態例1における,(a)反転がない二酸
化珪素四面体シートと他の金属(=アルミニウム)酸化
物の八面体シートとの1:1層構造を有する粘土鉱物
(=カオリナイト)の結晶構造図,(b)上記粘土鉱物
の層方向の積層構造の説明図。
【図4】実施形態例5における,(a)反転がない二酸
化珪素西面体シートと他の金属(=マグネシウム)酸化
物の八面体シートとの2:1層構造を有する粘土鉱物
(=ヘクトライト)の構造を説明する平面説明図,
(b)上記粘土鉱物の構造を説明する層方向の積層構造
の説明図。
【図5】実施形態例10における,クリソタイルのX線
回折(XRD)パターンを示す線図。
【図6】実施形態例10における,NC−2aのX線回
折(XRD)パターンを示す線図。
【図7】実施形態例10における,NC−3pのX線回
折(XRD)パターンを示す線図。
【図8】実施形態例10における,カオリナイトのX線
回折(XRD)パターンを示す線図。
【図9】実施形態例10における,NK−1pのX線回
折(XRD)パターンを示す線図。
【図10】実施形態例10における,NK−4aのX線
回折(XRD)パターンを示す線図。
【図11】実施形態例10における,ヘクトライトのX
線回折(XRD)パターンを示す線図。
【図12】実施形態例10における,NH−5aのX線
回折(XRD)パターンを示す線図。
【図13】実施形態例10における,バーミキュライト
のX線回折(XRD)パターンを示す線図。
【図14】実施形態例10における,NV−6aのX線
回折(XRD)パターンを示す線図。
【図15】実施形態例10における,NV−7pのX線
回折(XRD)パターンを示す線図。
【図16】実施形態例11における,NK−1pの図面
代用写真(倍率12000)。
【図17】実施形態例11における,NC−3pの図面
代用写真(倍率120000)。
【図18】実施形態例11における,NV−6aの図面
代用写真(倍率6000)。
【図19】実施形態例11における,NV−7pの図面
代用写真(倍率6000)。
【符号の説明】
1,9...層状珪酸, 19...二酸化珪素四面体シート, 2...金属酸化物の八面体シート, 3,4...粘土鉱物,

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 反転がない二酸化珪素四面体シートと他
    の金属酸化物の八面体シートとの1:1層構造または
    2:1層構造を有する粘土鉱物の形骸が残留し,かつ二
    酸化珪素による層状六員環骨格を有する層状二酸化珪素
    からなり,更に,結晶学的な規則性を有することを特徴
    とする層状珪酸。
  2. 【請求項2】 請求項1において,上記層状珪酸は,四
    角形または多角形のシート片であり,かつ上記層状珪酸
    のシート径は10nm〜50mmの範囲内にあり,更
    に,全層状珪酸の50%以上のシート径は,全層状珪酸
    の中で最多分布を示すシート径の−40〜+40%の範
    囲内にあることを特徴とする層状珪酸。
  3. 【請求項3】 反転がない二酸化珪素四面体シートと他
    の金属酸化物の八面体シートとの1:1層構造または
    2:1層構造を有する粘土鉱物の形骸が残留し,かつ二
    酸化珪素による層状六員環骨格を有する層状二酸化珪素
    からなり,更に,結晶学的な規則性を有する層状珪酸を
    製造するに当たり,上記粘土鉱物に酸を作用させること
    を特徴とする層状珪酸の製造方法。
  4. 【請求項4】 請求項3において,上記粘土鉱物を選択
    することにより,上記層状珪酸の形状及び大きさを選択
    することを特徴とする層状珪酸の製造方法。
  5. 【請求項5】 反転がない二酸化珪素四面体シートと他
    の金属酸化物の八面体シートとの1:1層構造または
    2:1層構造を有する粘土鉱物の形骸が残留し,かつ二
    酸化珪素による層状六員環骨格を有する層状二酸化珪素
    からなり,更に,結晶学的な規則性を有しないことを特
    徴とする層状珪酸。
  6. 【請求項6】 請求項5において,上記層状珪酸は,四
    角形または多角形のシート片であり,かつ上記層状珪酸
    のシート径は10nm〜50mmの範囲内にあり,更
    に,全層状珪酸の50%以上のシート径は,全層状珪酸
    の中で最多分布を示すシート径の−40〜+40%の範
    囲内にあることを特徴とする層状珪酸。。
  7. 【請求項7】 反転がない二酸化珪素四面体シートと他
    の金属酸化物の八面体シートとの1:1層構造または
    2:1層構造を有する粘土鉱物の形骸が残留し,かつ二
    酸化珪素による層状六員環骨格を有する層状二酸化珪素
    からなり,更に,結晶学的な規則性を有しない層状珪酸
    を製造するに当たり,上記粘土鉱物に酸を作用させるこ
    とを特徴とする層状珪酸の製造方法。
  8. 【請求項8】 請求項7において,上記粘土鉱物を選択
    することにより,上記層状珪酸の形状及び大きさを選択
    することを特徴とする層状珪酸の製造方法。
  9. 【請求項9】 反転がない二酸化珪素四面体シートと他
    の金属酸化物の八面体シートとの1:1層構造または
    2:1層構造を有する粘土鉱物の形骸が残留し,かつ二
    酸化珪素による層状六員環骨格を有する層状二酸化珪素
    からなり,更に,結晶学的な規則性を有することを特徴
    とする層状珪酸塩。
  10. 【請求項10】 請求項9において,上記層状珪酸塩
    は,四角形または多角形のシート片であり,かつ上記層
    状珪酸塩のシート径は10nm〜50mmの範囲内にあ
    り,更に,全層状珪酸塩の50%以上のシート径は,全
    層状珪酸塩の中で最多分布を示すシート径の−40〜+
    40%の範囲内にあることを特徴とする層状珪酸塩。
  11. 【請求項11】 反転がない二酸化珪素四面体シートと
    他の金属酸化物の八面体シートとの1:1層構造または
    2:1層構造を有する粘土鉱物の形骸が残留し, かつ
    二酸化珪素による層状六員環骨格を有する層状二酸化珪
    素からなり,更に,結晶学的な規則性を有しないことを
    特徴とする層状珪酸塩。
  12. 【請求項12】 請求項11において,上記層状珪酸塩
    は,四角形または多角形のシート片であり,かつ上記層
    状珪酸塩のシート径は10nm〜50mmの範囲内にあ
    り,更に,全層状珪酸塩の50%以上のシート径は,全
    層状珪酸塩の中で最多分布を示すシート径の−40〜+
    40%の範囲内にあることを特徴とする層状珪酸塩。
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