JPH1072590A - (n−6)系ドコサペンタエン酸含有油脂ならびに該油脂の製造方法および用途 - Google Patents

(n−6)系ドコサペンタエン酸含有油脂ならびに該油脂の製造方法および用途

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JPH1072590A
JPH1072590A JP8242960A JP24296096A JPH1072590A JP H1072590 A JPH1072590 A JP H1072590A JP 8242960 A JP8242960 A JP 8242960A JP 24296096 A JP24296096 A JP 24296096A JP H1072590 A JPH1072590 A JP H1072590A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 (n-6)系ドコサペンタエン酸(DPA)の含
有量が高い油脂、該油脂および(n−6)系DPAの製造
方法、ならびに該油脂を添加した種々の食品、飼料およ
び餌料を提供する。 【解決手段】 (n-6)系DPAの生産能を有するシゾ
キトリウム属SR21株および該SR21株と同一の種
に属するかもしくは実質的に同一の菌学的性質を有する
微生物を培養することによって、(n-6)系DPAの含
有量が高い油脂を得ることができる。このようにして得
られた油脂は(n-3)系ドコサヘキサエン酸(DHA)を
も高い含有量で含むため、この油脂を種々の食品、飼料
または餌料に添加して、(n-6)系DPAおよび/また
は(n-3)系DHAを必要とする対象にこれら高度不飽
和脂肪酸を安定的かつ効率的に供給することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、(n-6)系ドコサ
ペンタエン酸(DPA)を含有する油脂、該油脂および
(n-6)系DPAの製造方法、該油脂を添加した種々の
食品、飼料および餌料に関する。
【0002】
【従来の技術】動物体内において、ドコサヘキサエン酸
(DHA)やドコサペンタエン酸(DPA)などの高度不飽
和脂肪酸は、種々の生理活性を有するものと考えられて
いる。これら高度不飽和脂肪酸は、その不飽和結合の位
置の相違により(n-3)系および(n-6)系に分けられる
ことが知られている。動物体内では(n-3)系と(n-6)
系の高度不飽和脂肪酸は別の代謝経路に属しており、動
物は両者を必須脂肪酸として要求する。
【0003】(n-3)系の高度不飽和脂肪酸には、例え
ばエイコサペンタエン酸[20:5(n-3)]やドコサヘキ
サエン酸[22:6(n-3)]などが含まれ、これらは抗
炎症活性、抗血栓活性などの生理活性を有することが知
られており、機能性食品や医薬品の素材として注目され
ている。一方、(n-6)系の高度不飽和脂肪酸には、例
えばγ-リノレン酸[18:3(n-6)]、ジホモ-γ-リノ
レン酸[20:3(n-6)]、アラキドン酸[20:4(n-
6)]などが含まれ、これらは局所ホルモンと呼ばれるプ
ロスタグランジン、ロイコトリエンなどのエイコサノイ
ドの1群あるいは2群への中間代謝物質として注目され
ている。
【0004】動物体内においては、組織により変わる
が、(n-3)系はドコサヘキサエン酸が、そして(n-6)
系はアラキドン酸が最終代謝産物となっている。例え
ば、ヒト赤血球のリン脂質の脂肪酸組成は、(n-3)系
はエイコサペンタエン酸0.70%、ドコサペンタエン
酸2.09%、ドコサヘキサエン酸4.37%であり、一
方、(n-6)系はリノール酸12.67%、ジホモ-γ-リ
ノレン酸0.62%、アラキドン酸16.93%、ドコサ
ペンタエン酸0.86%であり[Hardyら,Biochem.J., v
ol.274,p133 (1991)]、(n-6)系のドコサペンタエン
酸は極めて少ない。
【0005】(n-3)系の最終代謝産物である(n-3)系
ドコサヘキサエン酸(DHA)は、動物の脳や網膜に特異
的に存在し、これら器官において何らかの機能を果たし
ていると考えられている。この(n-3)系DHAは、青
魚に属する魚油に含まれ、特にイワシやマグロ由来の油
には20%前後含まれている。近年、マグロの眼窩脂肪
などのDHAを高濃度に含有する原料が発見され、また
脂肪酸の高度精製技術が発達したことなどから、DHA
の生理活性機能の解明や実用化の研究が活発に進められ
ている。DHAの生理活性機能としてコレステロール低
下作用、抗血液凝固作用、制癌作用、さらには脳代謝系
に関連して記憶学習能力の向上、老人性痴呆症の予防、
アルツハイマー疾病の治療薬、稚魚の成長必須脂肪酸な
どが明らかとなり、また健康食品やベビーミルク等の素
材として使用されている。
【0006】一方、動物体内で(n-6)系ドコサペンタ
エン酸(DPA)の組成が大きくなる場合は、(n-3)系
必須脂肪酸の欠乏に対する代償と考えられる。例えば、
(n-6)系が極めて多いサフラワー油を含む食餌を与え
続けた3世代目のラットの視神経脈絡膜叢の脂肪酸組成
は、(n-3)系DHAが1/3に減少するが、その一方
で、(n-6)系DPAが4倍になった[Homayounら,J.Ne
urochem., vol.51, p.45 (1988)]。さらに、ビタミンA
欠乏症ラットの肝臓ミクロソームにおいて(n-6)系D
PA組成が正常値の0.9%から10.5%へ急増するこ
と[Hammら,Biochem.J., vol.245, p907 (1987)]、お
よび、(n-3)系の少ないパーム油を与えたラットにお
いて(n-3)系DHAが減少し、(n-6)系DPAが増加
すること[Rebhungら,Biosci.Biotech.Biochem., vol.5
8, p314 (1994)]などが報告されている。
【0007】このように、動物の脳や網膜において何ら
かの機能を果たしていると考えられる(n-3)系DHA
の代償として(n-6)系DPAが生体内で作られること
は、(n-6)系DPAが何らかの生理的役割を有してい
ることを示唆し、また、アラキドン酸のアンタゴニスト
としても期待できる。
【0008】さらに、現在知られている(n-6)系DP
Aの利用法としては、精神安定剤を脳へ運びやすくする
基剤として使用すること(特開昭61−204136
号)、ならびに、(n-6)系の炭素数22の不飽和脂肪酸
が正常値よりも減少している疾患、例えば、ウイルス、
特にワート(wart)ウイルスによる感染;白血病、乳癌お
よび他の種の癌;月経前症候群および良性胸部疾患;高
血圧、高脂血症および肥満症、ドライ・アイ(dry eye)
症候群;強皮症、リューマチ性関節炎、クローン病、潰
瘍性大腸炎および他の形の自己免疫および炎症性疾患;
不妊症;糖尿病;および精神***病およびアルコール中
毒(過度および禁酒の両方の影響を含む)を含む精神病的
疾患などの治療に(n-6)系DPAを(n-6)系ドコサテ
トラエン酸と組み合せて使用すること(特開昭60−3
8324号)が挙げられる。
【0009】この(n-6)系DPAは、一般的に供給さ
れる油脂の中には全く存在せず、魚油の中に(n-3)系
DPAとともにわずかに含まれているにすぎない。魚油
から(n-6)系DPAを分離濃縮する方法が特許出願され
ているが[特開平1-180849]、魚油中の(n-6)系
DPAの含量が1%程度と微量であり、アラキドン酸、
エイコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸などの構造
の類似した高度不飽和脂肪酸を多く含み、さらに(n-
3)系DPAが(n-6)系DPAより数倍高い含量で含ま
れるため、多段のクロマト処理が必要であるなど効率の
良い分離・濃縮が困難である。
【0010】以上のように、魚油には注目すべき生理機
能を有する(n-3)系DHAおよび(n-6)系DPAが存
在するが、(n-3)系DHAおよび特に(n-6)系DPA
を多量に含んでいる油脂は未だ知られていない。さら
に、魚油の場合、魚類の回遊性等から安定な供給源とな
りにくいことや、魚油特有の異臭があるなどの欠点があ
る。また、魚油にはアラキドン酸(AA)やエイコサペン
タエン酸(EPA)などの高度不飽和脂肪酸も含まれるた
め、酸化され易く、安定した品質の油脂を得ることが困
難である。さらに、高純度の(n-3)系DHAまたは(n
-6)系DPAを得ようとする場合、その分離精製が困難
である。特に、乳児用ミルクに添加する場合、EPAの
含有割合が低いものが望ましいが、供給源が魚油の場合
にはEPAのみを効率的に除去することは極めて困難で
ある。
【0011】魚油以外の(n-3)系DHAまたは(n-6)
系DPAの供給源として、種々の微生物が候補に挙げら
れる。例えば、(n-3)系DHA生産能を有する微生物
として、深海から分離された細菌ビブリオ・マリナス(V
ibrio marinus)(ATCC 15381)や深海魚の腸内
から分離されたビブリオ属細菌、微細藻類であるシクロ
テラ・クリプティカ(Cyclotella cryptica)やクリプテ
コディニウム・コーニー(Crypthecodinium cohnii)(特
表平5−503425)、鞭毛菌類であるスラウストキ
トリウム・アウレウム(Thraustochytrium aureum)(AT
CC 34304)[Kendrick,Lipids,vol.27,p15 (19
92)]やジャポノキトリウム・エスピー(Japonochytrium
sp.)(ATCC 28207)(特開平1-199588)な
どが知られている。
【0012】これら微生物のうち、微細藻類の一部、な
らびに鞭毛菌類であるスラウストキトリウム・アウレウ
ム(ATCC 34304)やジャポノキトリウム・エス
ピー(ATCC 28207)などにドコサペンタエン酸
が含まれることが知られているが、上記文献においてこ
れらは(n-3)系であると報告されている。即ち、これ
ら微生物によって生産された油脂中に(n-6)系ドコサ
ペンタエン酸が十分量で存在することは知られていな
い。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは、上記の
ような(n-6)系ドコサペンタエン酸(DPA)の含有量
の高い油脂を高生産する微生物を広く海洋性微生物に求
めた。
【0014】
【課題を解決するための手段】この結果、本発明者ら
は、ある種の海洋性微生物(シゾキトリウム属に属する
新種)が(n−6)系DPAの含有量の高い油脂を高生産
することを見い出した。また、この微生物が、(n−6)
系DPAの含有量だけでなく、(n-3)系DHAの含有
量も高く、かつEPAの含有量の低い油脂、即ち、種々
の食品、飼料あるいは餌料への添加用に有用な脂肪酸組
成を有する油脂を高生産することを見い出した。
【0015】即ち、本発明は、(n-6)系ドコサペンタ
エン酸を生産する能力を有するシゾキトリウム属SR2
1株および該SR21株と同一の種に属するかもしくは
実質的に同一の菌学的性質を有する微生物を培地中で培
養し、その培養物から油脂を採取することを特徴とす
る、(n-6)系ドコサペンタエン酸含有油脂の製造方法
を提供する。また、本発明は、上記油脂から(n-6)系
ドコサペンタエン酸を単離する工程をさらに包含するこ
とを特徴とする、(n-6)系ドコサペンタエン酸の製造
方法を提供する。さらに本発明は、油脂中の全脂肪酸あ
たり、(n-6)系ドコサペンタエン酸を5重量%以上、
(n-3)系ドコサヘキサエン酸を20重量%以上、およ
びエイコサペンタエン酸を2重量%以下の量で含有する
ことを特徴とする(n-6)系ドコサペンタエン酸含有油
脂を提供する。また本発明は、該油脂を添加した種々の
食品、飼料および餌料、ならびに、該油脂を種々の食
品、飼料および餌料のための添加物として利用する方法
を提供する。
【0016】
【発明の実施の形態】以下において、本発明を詳しく説
明する。尚、本明細書中に記載した「油脂」、「脂
質」、および「オイル」なる用語は同じ意味で使用し
た。本発明において用いる海洋性微生物であるSR21
株は、ミクロネシア連邦のヤップ島沿岸の海水から分離
したものである。
【0017】当初、このSR21株は、スラウストキト
リウム(Thraustochytrium)属の微生物であると考えられ
た。しかし、その菌学的性質を詳しく調べた結果、この
菌株はシゾキトリウム(Schizochytrium)属の新種と認め
られる微生物であることがわかった。このシゾキトリウ
ム属SR21株の菌学的性質は下記の通りである。
【0018】SR21株の菌学的性質は、栄養培地およ
び海水中で培養することによって調べた。まず、人工海
水(トロピックマリン)1Lにグルコース2g、酵母エキ
ス0.2gおよびグルタミン酸ナトリウム0.5gを加えた
栄養培地を小シャーレに入れ、同じ培地によるSR21
株のフラスコ前培養液を1滴接種し、倒立顕微鏡により
細胞形態を追跡した。この場合、アメーバ状の不定形細
胞の放出が見られた。次に、同様の追跡をフィルター滅
菌した天然海水中で行った。この場合にはアメーバ状の
不定形細胞の放出が認められず、2***を繰り返した後
の栄養細胞塊のいくつかの細胞から、遊走子の放出が観
察された。また、2***をせずに1個の栄養細胞から直
接遊走子へと分化したものも観察された。
【0019】遊走子放出が多く認められたサンプルにグ
ルタルアルデヒドを10容量%加え、光学顕微鏡により
遊走子の観察を行った。図1は、SR21株の遊走子の
形態を示す光学顕微鏡写真であり、2本の長さの異なる
鞭毛を示している。さらに酢酸ウランを用いたネガティ
ブ染色法により、鞭毛の電子顕微鏡観察を行った。図2
は、SR21株の遊走子の鞭毛の構造を示す透過型電子
顕微鏡写真であり、鞭毛のマスチゴネマの基部、軸、お
よび頂毛からなる三部構造を示している。また、上記2
通りの倒立顕微鏡による細胞形態観察において、栄養細
胞が2***を繰り返し、細胞塊および原形質のネットワ
ークを形成するものが見られた。図3は、SR21株の
栄養細胞塊と原形質とのネットワークを示す光学顕微鏡
写真である。
【0020】SR21株が寒天平板培地上で形成するコ
ロニーは、酵母のコロニーと同様の滑らかな黄土色を呈
する。また、このSR21株を液体培地で増殖させる
と、その初期に2本の長さの異なる鞭毛を持つ遊走子が
観察され(図1)、2本の鞭毛のうちの長鞭毛にある毛状
構造(マスチゴネマ)が基部、軸、頂毛の三部構造をとる
(図2)。これらのことから、SR21株は、クロミスタ
界(Kingdom Chromista)、不等毛門(Phylum Heterokont
a)に属する。さらに原形質のネットワーク形成性、ゴル
ジ体由来の鱗片から、SR21株は、ラビリンチュラ綱
(Class Labyrinthulea)ラビリンチュラ目(Order Labyri
nthulida)に属する。そして、栄養細胞が球形または楕
円形であること、および原形質のネットワーク中の滑走
運動がないことから、SR21株がスラウストキトリウ
ム科(Family Thraustochytriidae)に属することは明ら
かである。
【0021】さらに、SR21株の栄養細胞は2***を
繰り返し、8〜32個の栄養細胞塊を形成する。その
後、いくつかの細胞からアメーバ状の不定形細胞が放出
され、細胞塊から徐々に離れ、1〜2時間後に球形細胞
になる。この球形細胞はその後遊走子嚢として8ないし
16個の遊走子へ分化する。その際、遊走子嚢の膜は観
察されない。さらに、2***をせずに1個の栄養細胞か
ら直接遊走子嚢へ分化したり、2***をして栄養細胞塊
となった後に不定形細胞を経ないで遊走子へ分化する細
胞もあり、複雑な生活環を有する。
【0022】スラウストキトリウム科は、ポーター[D.P
orter, “Handbook of Protoctista", Jones and Bartl
ett Publishers (1990)]によれば7属30種よりなる。
その後、コラロキトリウム(Corallochytrium)属[Raghuk
umar,S., Botanica Marina,30:83 (1987)]が加えら
れ、モス[Moss,S.T., “The Biology of Free-living H
eterotrophic Iagellates", Oxford University Press
(1991)]によれば8属33種とされる。
【0023】これらスラウストキトリウム科8属の特徴
は次の通りである。ラビリンチュロイデス(Labyrinthul
oides)属の栄養細胞は球状であるが、原形質ネットワー
ク上を不規則に滑走する。アプラノキトリウム(Aplanoc
hytrium)属は不動胞子、即ち鞭毛を持たない胞子によっ
て増殖する。アルソーニア(Althornia)属は原形質ネッ
トワークを形成せず、浮遊性である。ジャポノキトリウ
ム(Japonochytrium)属は細胞外に胞嚢(apophysis)を生
じる。ウルケニア(Ulkenia)属は遊走子嚢からアメーバ
状の不定形細胞が放出された後にそれが遊走子へ分化す
る。スラウストキトリウム(Thraustochytrium)属は1個
の遊走子から1個の栄養細胞となり、それが1個の遊走
子嚢を形成する。シゾキトリウム(Schizochytrium)属は
1個の遊走子が着生した後に2***を行い、複数個の栄
養細胞塊を形成し、それぞれが遊走子嚢となる。コラロ
キトリウム(Corallochytrium)属はコウラナメクジ状の
胞子を形成し、鞭毛を持った遊走子を形成しない。
【0024】尚、上記8属のうちウルケニア属について
は、ゲルトナー[Gaertner,A., Veroff.Inst.Meeresfors
ch.Bremerh., 16:139 (1977)]は、遊走子嚢から裸の原
形質塊(アメーバ状の不定形細胞)が放出された後に遊走
子へ分化する形質を属の分類基準に用い、それまでスラ
ウストキトリウム属に分類されていたスラウストキトリ
ウム・ヴィサージェンス(Thraustochytrium visurgens
e)[Ulken,A., Veroff.Inst.Meeresforsch.Bremerh.,
9:289 (1965)]およびスラウストキトリウム・アモエボ
イダム(Thraustochytrium amoeboidum)[Bahnweg,O.およ
びSparrow,F.K.,Jr.Am.J.Bot., 61:754 (1974)]の2種
をウルケニア属に移し、それらにラグクーマーによる新
種ウルケニア・ミヌータ(Ulkenia minuta)[Raghukumar,
S., Veroff.Inst.Meeresforsch.Bremerh., 16:158 (19
77)]とさらに3種の新種を併せてウルケニア属6種とし
て新属ウルケニア属を提唱した。
【0025】しかし、それ以後にウルケニア属の新しい
種について記載した論文はみられない。カーリング[Kar
ring,J.S., “Predominantly Holocarpic and Eucarpic
Simple Biflagellate Phycomycetes", J.Cramer (198
1)]は、ウルケニア属が独立した属として成立するかど
うかについては疑問としており、暫定的なものとして掲
げた。ただし、ポーターおよびモスの文献には前述の記
載がされている。
【0026】SR21株はアメーバ状の不定形細胞を形
成するので、その形質を重視するとウルケニア属に属す
るとも考えられる。しかし、ラグクーマーはスラウスト
キトリウム属のスラウストキトリウム・ストリアタム(T
hraustochytrium striatum)が、栄養培地ではバクテリ
アを捕食するアメーバ状の不定形細胞を形成することを
報告している[Raghukumar,S., Marine Biology, 113:1
65 (1992)]。さらに、ラグクーマーは、シゾキトリウム
属の新種としたシゾキトリウム・マングローヴァイ(Sch
izochytrium mangrovei)は栄養培地ではアメーバ状不定
形細胞を形成するが、海水に松花粉のみを添加した栄養
の希薄な培地で培養した場合はアメーバ状不定形細胞を
形成しないことを示した[Raghukumar,S., Trans.Br.Myc
ol.Soc.,80:627 (1988)]。
【0027】そこでラグクーマーは、アメーバ状の不定
形細胞を形成するという形質が培地組成や培養条件によ
って影響を受けることから、基準となる培地を使ってこ
の形質を調査する必要があるとした。その基準培地とし
ては、従来から伝統的によく用いられており、また、こ
れまでの属や種の原記載の中で形態形質を観察する際に
用いられることの多かった前述の海水/松花粉培地を挙
げている。ウルケニア属に分類されている6種は全て、
この海水/松花粉培地中でアメーバ状不定形細胞を形成
することが知られている。一方、スラウストキトリウム
・ストリアタムとシゾキトリウム・マングローヴァイ
は、栄養培地では前述のようにアメーバ状不定形細胞を
形成するが、海水/松花粉培地ではアメーバ状不定形細
胞を形成しないことから、ウルケニア属に分類されてい
ない。以上に基づくと、SR21株は栄養培地ではアメ
ーバ状不定形細胞を形成するが、海水のみの培地ではこ
れが観察されなかったので、ウルケニア属に分類するの
は適当ではないと思われる。
【0028】一方、1個の遊走子が着生した後の栄養細
胞が2***を繰り返し、複数個の栄養細胞塊を形成し、
それぞれが遊走子嚢となる形質は、培地組成によらず安
定であり、SR21株の生活環の中で常に観察される形
質である。この形質およびその他のSR21株で観察さ
れる性質は、ゴールドシュタインら[Goldstein,S.およ
びBelsky,M., Am.J.Bot., 51:72 (1964)]およびブーツ
ら[Booth,T.およびMiller,C.E., Can.J.Bot., 47:2051
(1969)]により報告されているシゾキトリウム属の記載
に矛盾することがない。よって、SR21株はシゾキト
リウム属に分類するのが妥当であると判断される。
【0029】現在、シゾキトリウム属微生物としては、
次の4種が文献に記載されている。シゾキトリウム・ア
グレガタム(Schizochytrium aggregatum)は、その栄養
細胞が、連続する***によって多数の細胞が互いに接着
した塊を形成する。その細胞塊のうち、3〜4個または
それ以上の細胞が遊走子嚢へ分化する。また、1個の遊
走子嚢は16〜64個の遊走子を形成する。さらに、2
個の細胞からは遊走子放出は見られないと記載されてい
る[Goldstein,S.およびBelsky,M., Am.J.Bot., 51:72
(1964)、Booth,T.およびMiller,C.B., Can.J.Bot., 4
7:2051 (1969)]。
【0030】シゾキトリウム・ミヌータム(Schizochytr
ium minutum)は、シゾキトリウム・アグレガタムと同様
に栄養細胞の***の結果、4〜8個または数百の細胞塊
を形成し、各遊走子嚢から2個の遊走子を放出する。遊
走子は豆型であり、2本の鞭毛の長さは8.5μmと3.
0μm程度である[Gaertner,A., Veroff.Inst.Meerestor
sch.Bremer., 19:61 (1981)]。
【0031】また、シゾキトリウム・オクトスポラム(S
chizochytrium octosporum)は、1個の遊走子嚢から8
個の遊走子が放出される点でシゾキトリウム・ミヌータ
ムと異なっている[Raghukumar,S., Trans.Br.Mycol.So
c., 90:273 (1988)]。
【0032】さらに、1987年にラグクーマーがゴア(イ
ンド)のマングローブの腐朽葉より分離したスラウスト
キトリウム科の微生物は、栄養細胞が連続する***によ
って細胞塊を形成することからシゾキトリウム属に分類
された。しかし、それまでに記載されていた上記3種の
遊走子はいずれも遊走子嚢という袋の中で形成されるの
に対して、この微生物では栄養細胞の連続的な2***に
より、4、6、8または12個の細胞となり、それぞれ
の細胞が直接遊走子となる過程をとり、遊走子嚢の形態
をとらなかった。ラグクーマーはこの特徴に注目し、新
種シゾキトリウム・マングローヴァイ(Schizochytrium
mangrovei)を設けた[Raghukumar,S., Trans.Br.Mycol.S
oc., 90:627 (1988)]。
【0033】ラグクーマーは同じ文献において、それま
で知られていたシゾキトリウム属の検索表を提案した
(表1)。
【表1】 表1.シゾキトリウム属の4種の検索表(ラグクーマーによる) 1.着生した遊走子は繰り返し行われる2*** によって細胞塊を形成し、それぞれの細胞 は遊走子嚢に分化する ・・・・・・・ 2 1.着生した遊走子は繰り返し行われる2*** によって細胞塊を形成し、それぞれの細胞 は遊走子に分化する ・・・・・・・ S.mangro
vei 2.遊走子嚢の直径は15〜25μmで遊走 子嚢は16〜64個の遊走子を形成する ・・・ S.aggreg
atum 2.遊走子嚢の直径は14μm以下で遊走子 嚢は2または8個の遊走子を形成する ・・・・ 3 3.遊走子嚢は8個の遊走子を形成する ・・・・ S.octosporum 3.遊走子嚢は2個の遊走子を形成する ・・・・ S.minutum
【0034】表1に示した検索表および既知の4種を記
載した原報と、SR21株の菌学的性質を比較してみ
る。まず、シゾキトリウム属SR21株は、***した栄
養細胞が遊走子嚢の形態をとらずに、ひとつひとつの遊
走子になるシゾキトリウム・マングローヴァイとは異な
る。また、遊走子嚢の径が14μm以下であって、各遊
走子嚢から2個の遊走子が形成される場合は、シゾキト
リウム・ミヌータムに、同じく8個の遊走子が形成され
る場合は、シゾキトリウム・オクトスポラムにそれぞれ
帰属されるが、SR21株は8ないし16個の遊走子へ
分化することからこれらのどちらとも異なる。さらに、
遊走子嚢の径が15〜25μmであって遊走子嚢から1
6ないし64個の遊走子(ただし、記載のある原報には
多くのという表現のみ)が形成される場合は、シゾキト
リウム・アグレガタムとされるが、この種においてはア
メーバ状の不定形細胞は観察されていないため、SR2
1株はこれとも異なる。さらにSR21株では、2***
をしない栄養細胞または不定形細胞を経ないで遊走子へ
分化する細胞も見られる。以上のことから、SR21株
はシゾキトリウム属の既存の4種には該当せず、シゾキ
トリウム属の新種であると認められた。
【0035】尚、このシゾキトリウム属SR21株は、
工業技術院生命工学工業技術研究所に「海生菌SR21
菌株」の名称で平成7年3月6日付けで寄託され、受託
番号FERM BP−5034を取得している。さら
に、財団法人発酵研究所に平成7年3月17日付けで寄
託され、受入番号IFO 32693を取得している。
【0036】本発明のDPA含有油脂の製造方法に用い
る微生物は、前記FERM BP−5034またはIF
O 32693に限らず、上述したシゾキトリウム属S
R21株の菌学的性質に照らして該SR21株と同一の
種に属するか、もしくは実質的に同一の菌学的性質を有
する菌株、例えば亜種に属すると認められる菌株であれ
ばいずれの菌株も使用することができる。シゾキトリウ
ム属SR21株または該SR21株と同一の種に属する
と認められる菌株を用いるのが好ましい。
【0037】本発明において用いる微生物は、上述のよ
うに、(n-6)系ドコサペンタエン酸を高水準で産生
し、さらに(n-3)系ドコサヘキサエン酸をも高水準で
産生し、そしてエイコサペンタエン酸を低水準で産生す
る。本発明において用いる微生物は、このような高度不
飽和脂肪酸産生能を有するものであるならば、上述した
シゾキトリウム属SR21株または該SR21株と同一
の種に属するかもしくは実質的に同一の菌学的性質を有
する微生物(野性株)の変異株または組換え株であっても
よい。即ち、(n-6)系ドコサペンタエン酸および/ま
たは(n-3)系ドコサヘキサエン酸をさらに高水準で産
生するように設計された変異株および組換え株の使用は
全て本発明の範囲内にある。このような変異株または組
換え株には、同じ基質を用いて培養したときに、元の野
性株が産生する量と比べて、油脂中の(n-6)系ドコサ
ペンタエン酸および/または(n-3)系ドコサヘキサエ
ン酸の量が多くなるように、または総油脂量が多くなる
ように、あるいはその両方を意図して設計されたものが
含まれる。さらに、費用効果の優れた基質を効率よく用
いて、対応する野性型と同量の(n-6)系ドコサペンタ
エン酸および/または(n-3)系ドコサヘキサエン酸を
含有する油脂を産生するように設計された微生物も含ま
れる。
【0038】本発明において用いる(n-6)系ドコサペ
ンタエン酸および(n-3)系ドコサヘキサエン酸を含有
する油脂を生産することができる微生物は、例えば、次
のようなスクリーニング法に従って選択することができ
る。即ち、採取した海水を0.4μmの滅菌フィルターを
用いて濾過および集菌し、このフィルターを90%天然
海水、グルコース、酵母エキス、ペプトンよりなる寒天
培地上に張り付け、20〜30℃で培養する。この寒天
平板培地のフィルター上に形成したコロニーを、上記と
同じ組成の寒天培地上で培養し、得られた菌体をスパー
テルで採取し、常法に従って菌体から脂肪酸を直接メチ
ルエステル化し、その組成をガスクロマトグラフィーで
分析し、(n-6)系ドコサペンタエン酸および(n-3)系
ドコサヘキサエン酸を産生している菌株を選択する。さ
らに、菌体内に油脂を乾燥菌体あたり10重量%以上、
好ましくは20重量%以上の量で蓄積し、そして/また
は全脂肪酸中にエイコサペンタエン酸が2重量%以下、
好ましくは1重量%以下、より好ましくは0.5重量%
以下である菌株を選択することができる。
【0039】シゾキトリウム属SR21株は、乾燥菌体
あたり油脂を20重量%以上蓄積することができる。ま
た、油脂中の全脂肪酸あたり、(n-6)系ドコサペンタ
エン酸を6〜11重量%、および(n-3)系ドコサヘキ
サエン酸を25〜45重量%含有し、エイコサペンタエ
ン酸の含有割合は1重量%以下である。また、油脂中の
全(n-3)系脂肪酸あたり、(n-3)系ドコサヘキサエン
酸を98重量%以上含有している。
【0040】従って、本発明において用いるシゾキトリ
ウム属SR21株と同一の種に属するかもしくは実質的
に同一の菌学的性質を有する菌株は、乾燥菌体あたり油
脂を10重量%以上蓄積するのが好ましく、さらに好ま
しくは20重量%以上、最も好ましくは30重量%以上
蓄積する。また、油脂中の全脂肪酸あたりの(n-6)系
ドコサペンタエン酸の含有量は、5重量%以上、好まし
くは6重量%以上、より好ましくは6〜11重量%であ
る。また、油脂中の全脂肪酸あたりの(n-3)系ドコサ
ヘキサエン酸の含有量は、20重量%以上、好ましくは
25重量%以上、より好ましくは25〜45重量%であ
る。また、油脂中のエイコサペンタエン酸の含有割合
は、2重量%以下、好ましくは1重量%以下、より好ま
しくは0.5重量%以下である。さらに、本発明の油脂
は、(n-3)系脂肪酸中に(n-3)系ドコサヘキサエン酸
を90重量%以上、好ましくは95重量%以上含有して
いる。
【0041】本発明の油脂は、前述の微生物を、天然海
水または人工海水を用いて調製した適当な培地に接種
し、常法に従って培養を行うことにより得ることができ
る。培地に添加する炭素源としては、グルコース、フル
クトース、キシロース、サッカロース、マルトース、可
溶性デンプンなどの炭水化物の他、オレイン酸、大豆油
などの油脂類や、糖密、グリセロール、マンニトール、
酢酸ナトリウムなどが例示できるが、これらに限られる
ものではない。これらの炭素源を、例えば、培地1リッ
トル当たり20〜120gの濃度で使用することができ
る。
【0042】窒素源としてはペプトン、酵母エキス、麦
芽エキス、肉エキス、カザミノ酸、コーンスチープリカ
ーなどの天然窒素源の他に、グルタミン酸ナトリウム、
尿素などの有機窒素源、または酢酸アンモニウム、硫酸
アンモニウム、塩化アンモニウム、硝酸アンモニウム、
硫酸ナトリウムなどの無機窒素源などが例示できるが、
これらに限られるものではない。
【0043】この他、必要に応じてリン酸カリウム、リ
ン酸二水素カリウムなどのリン酸塩、硫酸アンモニウ
ム、硫酸ナトリウム、硫酸マグネシウム、硫酸鉄、硫酸
銅、塩化マグネシウム、塩化カルシウムなどの無機塩お
よびビタミン類も微量栄養源として使用できる。これら
の培地成分は微生物の成育を害しない濃度であれば特に
制限はない。
【0044】培地を調製した後、適当な酸または塩基を
用いてpHを4.0〜6.5の範囲に調整し、オートクレ
ーブにより殺菌する。菌の培養は、10〜35℃、好ま
しくは17〜30℃にて通常3〜7日間、通気撹拌培
養、振蘯培養あるいは静置培養などによって行う。
【0045】また、(n-6)系ドコサペンタエン酸およ
び/または(n-3)系ドコサヘキサエン酸の産生を促進
するため、(n-6)系ドコサペンタエン酸および/また
は(n-3)系ドコサヘキサエン酸の前駆体を培地に添加
することができる。前駆体としては、テトラデカン、ヘ
キサデカン、オクタデカンなどの炭化水素、テトラデカ
ン酸、ヘキサデカン酸、オクタデカン酸、オレイン酸な
どの脂肪酸、またはその塩(例えば、ナトリウム塩また
はカリウム塩)、脂肪酸エステル、または脂肪酸を構成
成分として含む油脂(例えば、オリーブ油、大豆油、綿
実油、ヤシ油)などを挙げることができるが、これらに
限られるものではない。
【0046】本発明の油脂を商品化が可能な収率で産生
するための条件として、次のような条件が挙げられる。
シゾキトリウム属SR21株の培養条件の検討により、
該SR21株およびこれと同一の種に属するかもしくは
実質的に同一の菌学的性質を有する菌株は、天然海水も
しくは人工海水または2分の1濃度の天然海水もしくは
人工海水を含む培地において、pH3.5〜6.0、望ま
しくはpH4.0〜4.5で良好に生育することがわかっ
た。
【0047】培地に添加する炭素源および窒素源は、上
記のような通常用いられるものであってよい。窒素源は
有機窒素または無機窒素のいずれであってもよく、窒素
濃度として一定になるようにすれば、菌体の生育量、脂
質含量、DHA、DPAの蓄積量に影響を与えずに有機
窒素と無機窒素の比率を変えることができる。これらを
通常の微生物培養に用いる濃度で添加して良好な生育が
得られる。リン酸塩を、通常の微生物培養に用いられる
濃度で用いて良好な生育を達成することができる。
【0048】培地中の炭素源濃度とともに窒素源濃度も
同じ割合で増加させることにより、高濃度培養が可能で
ある。炭素源、窒素源の増加割合に応じて乾燥菌体量、
脂質量も増加し、DHA、DPAの生産量も増加する。
【0049】高濃度培養の際には、培養開始時に、炭素
源、例えばグルコースの濃度のみを増加させておき、窒
素源、例えばコーンスチープリカー/硫酸アンモニウム
については通常の量を添加し、グルコース消費量に応じ
て後から不足する量を添加する方法を用いることもでき
る。また、高濃度培養の際には、培養開始時に、炭素
源、窒素源を低い濃度にしておき、グルコースの消費に
応じて、後から、炭素源、窒素源を増加することもでき
る。
【0050】上記条件での培養は通常の撹拌式発酵槽を
用いて実施できる。また、気泡塔型培養装置も用いるこ
ともできる。通気撹拌培養の条件としては通常の微生物
の培養条件を用いることができる。通気撹拌培養におい
ては、回転数を上昇させ、溶存酸素量を増加させるとフ
ラスコ培養に比べて、顕著な生育速度および菌体収量の
増加が観察される。培養初期においては、特に溶存酸素
量を高く維持することが生育速度の増加に重要である。
【0051】このようにして、培養物中に(n-6)系ド
コサペンタエン酸および(n-3)系ドコサヘキサエン酸
含有油脂を蓄積した菌体を、培地1Lあたり10g以
上、好ましくは20g以上、更に好ましくは40g以上の
高い濃度で生産させることができる。また、この油脂
は、培養中期以降、良好に菌体内に蓄積され、乾燥菌体
あたり30重量%以上、好ましくは50重量%以上、よ
り好ましくは60重量%以上とすることができる。
【0052】培養物から菌体を集める方法は、従来から
用いられている遠心分離法や濾過などの方法が使用でき
る。集められた菌体は、例えば、ダイノミルや超音波な
どにより破砕した後、クロロホルム、ヘキサン、メタノ
ール、エタノールなどによる溶媒抽出を行うことによ
り、(n-6)系ドコサペンタエン酸および(n-3)系ドコ
サヘキサエン酸含有油脂を得ることができる。乾燥菌体
1gあたり(n-6)系ドコサペンタエン酸および(n-3)
系ドコサヘキサエン酸含有油脂は約0.3g以上が好まし
く、0.6g以上がさらに好ましい。
【0053】本発明の油脂は、このようにしてシゾキト
リウム属SR21菌株またはこれと同一の種に属するか
もしくは実質的に同一の菌学的性質を有する菌株から得
られる油脂であってもよい。本発明の油脂は、油脂中の
脂肪酸あたり、(n-6)系ドコサペンタエン酸を5重量
%以上、好ましくは6重量%以上含有し、(n-3)系ド
コサヘキサエン酸を20重量%以上、好ましくは25重
量%以上含有し、エイコサペンタエン酸を2重量%以
下、好ましくは1重量%以下、より好ましくは0.5重
量%以下の量で含有する。さらに本発明の油脂の脂質特
性は、通常は次の通りである。中性脂質の割合が極めて
高く、全脂質中の90重量%以上を占める。中性脂質中
の脂肪酸組成は、パルミチン酸45〜55重量%、(n-
3)系ドコサヘキサエン酸33〜43重量%、(n-6)系
ドコサペンタエン酸7〜10重量%、(n-3)系エイコ
サペンタエン酸0〜1重量%、アラキドン酸0〜0.6
重量%、その他の脂肪酸10〜20重量%程度である。
【0054】また得られる中性脂質は、約85重量%以
上、好ましくは90重量%以上がトリグリセリドであ
り、ジグリセリド、モノグリセリドはほとんど含まれて
いない。また、遊離ステロール、ステロールエステルが
2〜3%含まれている。また、上記脂肪酸組成を有する
油脂中のトリグリセリドの分子種は、主に14:0−1
6:0−16:0、16:0−16:0−16:0、14:0
−16:0−22:6、16:0−16:0−22:5、1
6:0−16:0−22:6、16:0−22:5−22:
6、16:0−22:6−22:6である(脂肪酸残基の結
合位置は限定されない)。上記の「14:0」なる記載
は、14が脂肪酸の炭素数を、0が脂肪酸の持つ二重結
合の数を表すものであり、例えば、「16:0」は炭素
数16で二重結合を持たない脂肪酸を表す。
【0055】また、該トリグリセリドには、(n-3)系
DHAがグリセリンの2位のみに結合しているもの、ま
たは、(n-3)系DHAがグリセリンの1および2位、
または1および3位に結合しているものが含まれてい
る。
【0056】極性脂質としては、フォスファチジルコリ
ンが60〜80重量%で大部分を占め、他にフォスファ
チジルエタノールアミン5〜20重量%、フォスファチ
ジルイノシトール2〜8重量%などを含む。また、上記
フォスファチジルコリンの分子種は、16:0−22:
6、16:0−22:5、22:5−22:6、22:
6−22:6など特徴的である。
【0057】(n-6)系ドコサペンタエン酸含有油脂か
ら(n-6)系ドコサペンタエン酸を分離するには、混合
脂肪酸あるいは脂肪酸エステルの状態で、常法により、
例えば、尿素付加法、冷却分離法、カラムクロマトグラ
フィー法などにより濃縮採取することにより行う。ま
た、培養菌体などから採取した油脂からの(n-6)系ド
コサペンタエン酸含有トリグリセリドの分離は、常法に
より、例えば冷却分離法、カラムクロマトグラフィー法
などにより行う。本発明のシゾキトリウム属SR21株
を用いた場合、不飽和脂肪酸としてアラキドン酸、EP
Aがほとんど含まれていないため、(n-6)系ドコサペ
ンタエン酸の濃縮採取が容易に行え、高濃度生産には好
都合である。
【0058】本発明の油脂は、種々の飼料、餌料または
食品などの製品において、(n-6)系DPAおよび(n-
3)系DHAの供給源として利用することができる。本
発明の油脂を製品に利用するにあたっては、培養菌体か
ら採取した油脂またはそれを精製して得られる油脂を使
用することもできるが、例えば、該油脂を菌体培養によ
って製造する途中の培養液もしくはその殺菌した培養
液、または培養終了時の培養液もしくはその殺菌した培
養液、またはそれぞれから集菌した培養菌体もしくはそ
の乾燥物、または培養液もしくは菌体から該油脂を採取
した後の該油脂を含有する残渣も使用することができ
る。
【0059】本発明は、本発明の油脂を配合した動物用
飼料に関する。本発明の動物用飼料としては、ドッグフ
ードやキャットフードなどのペットフード、鶏などの家
禽のための飼料、豚や牛などの家畜のための飼料、養魚
用飼料などが挙げられる。(n-6)系DPAおよび(n-
3)系DHAを含有する油脂を産生、蓄積した微生物の
菌体または培養細胞は、油脂が菌体内に保護されている
ことによって酸化が防止され、また加熱殺菌にも安定で
あるため好ましい。また、微生物の培養菌体から(n-
6)系DPAおよび(n-3)系DHAを含有する油脂を抽
出した後の抽出残渣も本発明の動物飼料に使用すること
ができる。この抽出残渣は、(n-6)系DPAや(n-3)
系DHAの他に、蛋白質、灰分、炭水化物なども含んで
いるため好ましい。さらに本発明には、本発明の油脂を
配合した動物用飼料添加物も含まれる。
【0060】さらに本発明は、本発明の油脂を産生、蓄
積した培養菌体または培養液を含んでなる微小餌料生物
用餌料に関する。従来、魚貝類や甲殻類の養殖におい
て、種苗(稚仔魚)生産には、微小餌料生物(シオミズツ
ボワムシ、ブラインシュリンプなどの動物プランクト
ン)が用いられており、稚仔魚の養殖には先ずこれらの
微小生物を養殖する必要がある。これらの微小生物を培
養する場合には、後にそれを餌料として摂取する稚仔魚
の栄養要求性を考えて微小餌料生物に与える餌料が決め
られる。本発明の油脂を含有する培養菌体または培養液
を微小餌料生物に与えることにより、(n-6)系DPA
および(n-3)系DHAを含有し、稚仔魚の栄養要求性
を満足できる微小餌料生物が得られる。さらに本発明に
は、上記の微小餌料生物を含有する魚貝類用餌料も含ま
れる。
【0061】さらに本発明は、本発明の油脂を、(n-
6)系DPAおよび(n-3)系DHAを強化した家禽卵の
生産に利用すること、ならびに(n-6)系DPAおよび
(n-3)系DHAを強化した卵黄油の製造に利用するこ
とに関する。本発明の(n-6)系DPAおよび(n-3)系
DHAを強化した家禽卵は、上述の動物用飼料を採卵用
家禽、特に鶏に与えて飼育することによって生産され
る。また、このような家禽卵、特に卵黄から常法に従っ
て油脂を抽出することによって、本発明の(n-6)系D
PAおよび(n-3)系DHAを強化した卵黄油が得られ
る。また、この卵黄油を乳児用調製乳、未熟児用調製
乳、幼児用食品、妊産婦用食品に添加することも本発明
に含まれる。
【0062】さらに本発明は、本発明の油脂を含有する
乳児用調製乳、未熟児用調製乳、幼児用食品、妊産婦用
食品に関する。特に育児用粉乳に関しては、その成分を
できるだけ人乳に近似させようとする試みが古くから行
われており、人乳中の主要成分である蛋白質、脂肪、糖
質などのそれぞれに関して人乳に類似化することが重要
課題となっている。特に脂肪に関しては本来母乳に含ま
れている高度不飽和脂肪酸が、従来の育児用粉乳に欠乏
していることが問題となっている。なお、母乳中の不飽
和脂肪酸の組成については、種々の報告があり、例え
ば、「INFORM」[Vol.6,No.8, pp.940-946 (1995年8
月)]にはアメリカ人、ヨーロッパ人およびアフリカ人の
母乳中の高度不飽和脂肪酸組成が、「JJPEN」[Vol.13,
No.9,pp.765-772 (1991)]には日本人の母乳の高度不飽
和脂肪酸組成が記載されている。
【0063】最近ではアラキドン酸およびDHAは同じ
く人乳中に含まれており、乳児の発育に役立つとの報告
がある[「Advances in Polyunsaturated Fatty Acid Re
search」, Elsevier Science Publishers,pp.261-264,
(1993)]。さらに、胎児の身長や脳の発育における重要
性が報告されている[Proc.Natl.Acad.Sci.USA, 90, 107
3-1077 (1993)、 Lancet, 344, 1319-1322 (1994)]。
【0064】そこで、人乳と調製粉乳の脂肪酸組成の大
きな違いであるアラキドン酸およびDHAを調製粉乳に
添加しようとする動きがある。このようにDHAを添加
する目的で、魚油添加の調製粉乳が上市されてきている
が、本来、母乳中には魚油に含まれるEPAはほとんど
含まれていない。最近の研究によりEPAは未熟児の成
育には不都合であることが明らかとなり[「Advances in
Polyunsaturated Fatty Acid Research」,Elsevier S
cience Publishers, pp.261-264,(1993)]、米国特許第
5374657号には、EPAが少ないDHA含有細胞
食用油とアラキドン酸含有細胞食用油を組み合わせた幼
児用調製乳添加用の油脂が開示されている。しかし、従
来知られている調製乳や調製乳添加用油脂において、本
来母乳に含まれている(n-6)系DPAおよび(n-3)系
DHAを含有する油脂を使用することは全く知られてい
なかった。
【0065】本発明の油脂、例えばシゾキトリウム属S
R21株またはこれと同一の種に属するかもしくは実質
的に同一の菌学的性質を有する菌株由来の油脂は、(n-
6)系DPA1重量部に対して(n-3)系DHAを3〜
6重量部含有しており、EPAをほとんど含有していな
いため、さらに85%以上がトリグリセリドであるた
め、母乳に類似した育児用調製乳を製造するのに適して
いる。
【0066】さらに本発明は、本発明の油脂を配合した
栄養補助食品、老人用食品、健康食品などの食品に関す
る。本発明の食品は、(n-6)系DPAおよび(n-3)系
DHAを補うことを目的とし、健康維持などに用いられ
る。その形態は、固形または液状の食品または嗜好品の
いずれであってもよい。油脂を含む食品として、例え
ば、肉、魚、ナッツ等の天然食品、中華料理、ラーメ
ン、スープ等の調理時に油脂を加える食品、天ぷら、フ
ライ、油揚げ、チャーハン、ドーナッツ、かりん糖等の
熱媒体として油脂を用いた食品、バター、マーガリン、
マヨネーズ、ドレッシング、チョコレート、即席ラーメ
ン、キャラメル、ビスケット、クッキー、ケーキ、アイ
スクリーム等の油脂食品または加工時に油脂を加えた加
工食品、おかき、ハードビスケット、あんパン等の加工
仕上げ時に油脂を噴霧または塗布した食品等を挙げるこ
とができる。しかし、本発明の食品は油脂を含む食品に
限定されるわけではなく、例えば、パン、めん類、ごは
ん、菓子類(キャンデー、チューインガム、グミ、錠
菓、和菓子)、豆腐およびその加工品などの農産食品、
清酒、薬用酒、みりん、食酢、醤油、味噌などの発酵食
品、ヨーグルト、ハム、ベーコン、ソーセージなどの畜
産食品、かまぼこ、揚げ天、はんぺんなどの水産食品、
果汁飲料、清涼飲料、スポーツ飲料、アルコール飲料、
茶などの飲料等も挙げることができる。
【0067】本発明の食品は、所定量の本発明の油脂
を、食品原料とともに配合し、一般の製造法により加工
製造することができる。その配合量は剤形、食品の形態
性状により異なり、特に限定されるものではないが、一
般には食品全量に対して0.001〜50重量%が好ま
しい。
【0068】さらに本発明は、本発明の油脂を配合した
機能性食品(特定保健用食品を含む)に関する。本発明の
機能性食品は、(n-6)系DPAおよび(n-3)系DHA
の有する生理活性機能を発揮することを目的とし、機能
低下した状態を健康な状態に戻し、維持するための、ま
たは機能低下を予防するための食品である。形態として
は医薬製剤の形態であってもよいし、また、例えば蛋白
質(蛋白質源としてはアミノ酸バランスのとれた栄養価
の高い乳蛋白質、大豆蛋白質、卵アルブミン等の蛋白質
が最も広く使用されるが、これらの分解物、卵白のオリ
ゴペプチド、大豆加水分解物等の他、アミノ酸単体の混
合物も使用される)、糖類、脂肪、微量元素、ビタミン
類、乳化剤、香料等に本発明の油脂が配合された自然流
動食、半消化態栄養食および成分栄養食や、ドリンク
剤、経腸栄養剤等の加工形態を挙げることができるが、
前記の飲食品の形態であってもよい。
【0069】本発明の機能性食品、栄養補助食品は、本
発明の油脂を用いて、散剤、顆粒剤、錠剤、カプセル
剤、トローチ、内用液剤、懸濁剤、乳剤、シロップ剤、
ドリンク剤、自然流動食、半消化態栄養食、成分栄養
食、経腸栄養剤等の形態を有する飲食品として製造する
ことができる。この際、本発明の油脂とともにいずれの
栄養成分あるいは機能性成分を配合してもよい。また、
医師の指示に基づく栄養士の管理下に、病院給食の調理
の際に任意の食品に本発明の油脂を加え、その場で調整
した食事を、(n-6)系DPAおよび(n-3)系DHAが
低下している患者に与えることもできる。
【0070】さらに本発明は、本発明の油脂を、医薬品
単体の製造に利用することに関する。即ち、本発明の油
脂を出発原料として、(n-6)系DPAもしくは(n-3)
系DHAまたはこれらの誘導体を製造することに関す
る。(n-6)系DPAもしくは(n-3)系DHAまたはそ
れらの混合物は、遊離の形であっても、また薬剤として
許容されうる塩、例えばナトリウム塩、カリウム塩、リ
チウム塩、または他のアルカリ金属塩、亜鉛塩、カルシ
ウム塩、マグネシウム塩のような他の金属の塩の形態
や、モノグリセリド、ジグリセリド、トリグリセリド、
低級アルコールのエステル、リン脂質、糖脂質、アミド
等の種々の形態であってもよい。ここで低級アルコール
とは炭素数6以下の一価アルコールを指し、メタノー
ル、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブ
タノール、ペンタノール、ヘキサノールなどを例示する
ことができる。
【0071】さらに本発明は、本発明の油脂を含有する
化粧品に関する。本発明の化粧品は、常法に従い本発明
の油脂を、通常の化粧料として知られる種々の形態の基
剤に配合して調製することができる。化粧料の形態の例
としては、特に限定されないが、例えば、乳液、クリー
ム、化粧水、パック、分散液、洗浄料等の化粧品とする
ことができる。化粧料の基剤としては、化粧料の形態に
応じた基剤、例えば、精製水、低級アルコール類、多価
アルコール類、油脂類、界面活性剤、各種美容成分、紫
外線吸収剤、増粘剤、色素、防腐剤、香料等を用いるこ
とができる。
【0072】さらに本発明は、本発明の油脂を含有する
洗浄剤に関する。本発明の洗浄剤としては、薬用あるい
は非薬用にかかわらず、身体を清浄に保つために一般に
用いられる石鹸、シャンプー、フェイシアルクリーム、
リンスなどが含まれ、さらに入浴剤なども含まれる。ま
た、食器などの日常の家庭で用いる器具などの洗剤であ
ってもよい。
【0073】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明をさらに詳しく
説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるもので
はない。実施例1 シゾキトリウム属SR21株による油脂の生
産(1) グルコース60g、ポリペプトン20g、酵母エキス10
gおよび50%濃度の人工海水1Lからなる培地(A)、
またはグルコース90g、ポリペプトン10g、コーンス
チープリカー10gおよび50%濃度の人工海水1Lか
らなる培地(B)を用いて、ジャーファーメンター(培養
槽容量5L、培地量3L)での培養を行った。培養は、
培養温度25℃、通気量0.5vvM、および撹拌速度20
0rpmで行った。培養後、遠心分離法により菌体を集め
て凍結乾燥し、重量法により培地1L当たりの菌体量を
求めた。次いで、この乾燥菌体にクロロホルム/メタノ
ール(2:1、v/v)混合液を加え、ガラスビーズの存在
下でホモジナイズすることにより、菌体の破砕と油脂の
抽出を行った。抽出液をFolch法により洗浄した後、溶
媒を留去して精製油脂を得、その重量を求めた。得られ
た精製油脂の脂肪酸組成を評価するため、油脂の一部に
ついて、油脂を10%HClを含むメタノール溶液とジ
クロロメタンの等量混合液に溶解し、60℃で2時間熱
処理することにより脂肪酸メチルエステルを調製し、油
脂の脂肪酸組成をガスクロマトグラフ法により分析し
た。ガスクロマトグラフィーの分離条件は次のようであ
る。分離条件 1)カラム:キャピラリーカラム、TC−70 GLサイエンス社(GL Science Co.,Ltd.)製 内径0.25mm×長さ30m 2)流 速:0.8ml/分、100kPa(カラム頭部圧
力) 3)キャリアーガス:窒素ガス(純度99.999%) 4)カラム温度:昇温モード、170〜220℃(4℃
/分) 5)検 出:FID
【0074】これらの結果を表2および表3に示す。
【表2】 表 2 実験No. 培地 培養日数 菌体量 全油脂量 油脂含有割合 (日) (g) (g) (重量%) *1) *1) *2) 301 (A) 7 35.0 8.7 24.8 302 (B) 14 39.6 21.2 53.5 *1) 培地1L当たりの量 *2) 乾燥菌体当たりの含有割合
【表3】 表3.脂肪酸組成(重量%) 実験 14:0 15:0 16:0 17:0 18:0 20:4 20:5 22:5 22:6 No. (AA) (EPA) (DPA) (DHA) 301 1.6 10.1 25.0 1.8 1.0 − 0.4 11.1 43.7 302 2.8 6.7 44.6 1.6 1.3 − 0.4 8.5 34.0
【0075】以上の結果から、シゾキトリウム属SR2
1株は、実用的な培養法である通気撹拌培養でも良好な
増殖を示すとともに、油脂を効率よく蓄積することが示
された。また、高度不飽和脂肪酸としては、ドコサヘキ
サエン酸(DHA)が極めて高い濃度で含有され、さらに
ドコサペンタエン酸(DPA)も含有されているが、アラ
キドン酸(AA)およびエイコサペンタエン酸(EPA)を
ほとんど含まないことが示された。この結果は、それら
脂肪酸を10重量%前後含んでいる魚油とは大きく異な
っている。
【0076】実施例2 実施例1により得られた油脂に含まれるドコサヘキサエ
ン酸(DHA)、エイコサペンタエン酸(EPA)などの
(n-3)系脂肪酸それぞれの含有割合と、全(n-3)系脂
肪酸に対するDHAの割合を表4に示す。
【表4】 表4.(n-3)系脂肪酸組成(重量%) 実験 EPA DPA DHA 全(n-3)系脂肪酸に No. 対するDHAの割合 301 0.4 0.2 43.7 98.6 302 0.4 0.1 34.0 98.6
【0077】表からわかるように、シゾキトリウム属S
R21株より得られる油脂は魚油に多く含まれるEPA
の含有割合が1.0重量%以下であり、また、全(n-3)
系脂肪酸に対するDHA含有割合が98重量%以上であ
る。これらのことは、魚油がEPAを10重量%前後含
んでいることに比べると、該菌株がDHAの濃縮、分離
および精製の操作を容易にする利点を持っていることを
示すものである。
【0078】参考例 既知微生物との比較 既知の微生物とシゾキトリウム属SR21株とのDHA
およびEPA生産能の比較を行った。表5に、微生物と
してスラウストキトリウム・アウレウム(ATCC34
304)を用いて培養を行ってDHAの生産を行った場
合[P.Bajapai, P.K.BajapaiおよびO.P.Ward, Appl.Micr
obiol.Biotechnol. 35:706 (1991)、A.Kendricおよび
C.Ratledge, Lipids 27:15 (1992)、およびP.K.Bajapa
i,P.BajapaiおよびO.P.Ward, J.Am.Oil Chem.Soc., 6
8:509 (1991)を引用]、微生物としてジャポノキトリウ
ム sp.(ATCC28207)を用いて培養を行ってDH
Aの生産を行った場合(特開平1−199588号公報
を引用)、および微生物としてシゾキトリウム・アグレ
ガタム(ATCC28209)を用いて培養を行ってDH
Aの生産を行った場合[A.KendricおよびC.Ratledge, Li
pids 27:15 (1992)を引用]、ならびに、シゾキトリウ
ム属SR21株を用いて培養を行ってDHAの生産を行
った上記の実験No.301および302の、培地1L当
たりの菌体量、乾燥菌体当たりの油脂または脂肪酸含有
割合、全脂肪酸中のDHA含有割合、EPA含有割合お
よび培地1L当たりのDHA量を示す。
【0079】
【表5】 表5.既知微生物とのDHA生産能の比較 微生物 引用文献 菌体量 油脂また DHA EPA DHA または は脂肪酸 含有 含有 量 実験No. 含有割合 割合 割合 (g) (重量%) (重量%) (重量%) (mg) *1) *2) *3) *3) *1) シ゛ャホ゜ノキトリウム sp.(ATCC28207) (a) 1.7 8.2 30.0 6.4 42 スラウストキトリウム・アウレウム (ATCC34304) (b) 5.0 20.2 51.0 記載なし 511スラウストキトリウム・アウレウム (ATCC34304) (c) 3.8 16.5 48.5 3.6 270スラウストキトリウム・アウレウム(ATCC34304) (d) 4.0 10.0 24.1 9.3 96 シソ゛キトリウム・アク゛レカ゛タム(ATCC28209) (d) 1.4 1.7 6.0 6.1 1 シソ゛キトリウム 属SR21株 No.301 35.0 24.8 43.7 0.4 3800 シソ゛キトリウム属SR21株 No.302 39.6 53.5 34.0 0.4 7200 *1) 培地1L当たりの量 *2) 乾燥菌体当たりの含有割合 (SR21株:脂肪酸含有割合;他の菌株:油脂含有割合) *3) 全脂肪酸中の含有割合 (a) 特開平1-199588号公報 (b) P.K.Bajapai, P.BajapaiおよびO.P.Ward, J.Am.Oil Chem.Soc., 68:509 (1991) (c) P.Bajapai, P.K.BajapaiおよびO.P.Ward, Appl.Microbiol. Biotechnol. 35:706 (1991) (d) A.KendricおよびC.Ratledge, Lipids 27:15 (1992)
【0080】表5に示したように、シゾキトリウムSR
21株を用いて培養を行うと既知の微生物と比較して培
地当たりの菌体量が非常に多く、SR21株は増殖性が
優れるということがわかる。また、シゾキトリウムSR
21株は既知の微生物と比較して油脂の含有割合も非常
に高い。また、全脂肪酸中のDHA含有割合も30重量
%と高いことから、培地1L当たりのDHA量は、従来
公知の微生物を用いた場合と比較して10〜100倍程
度と高い値となり、SR21株はきわめて高いDHA生
産能を有することが明らかである。さらに、既知の微生
物によれば、EPA含有割合が数重量%の油脂が得られ
るのに対し、シゾキトリウム属SR21株によれば、E
PA含有割合が0.5重量%以下と極めて低い油脂が得
られることがわかる。
【0081】実施例3 シゾキトリウム属SR21株に
よる油脂の生産(2) グルコース60g/L、コーンスチープリカー0.5g/
L、リン酸カリウム3g/L、硫酸アンモニウム2g/L
および50%人工海水からなる培地を用いて、ジャーフ
ァーメンター(5L容量、培地量3L)により約60時間
培養を行った。培養条件は、培養温度28℃、通気量
1.0v.v.m.、撹拌速度300rpm、10%水酸化ナトリ
ウムによりpH4にコントロールして行った。培養終了
後、遠心分離により集菌し、凍結乾燥後に秤量すること
により、培地1Lあたり約20gの乾燥菌体を得た。油
脂の抽出は、常法に従い、乾燥菌体にクロロホルム/メ
タノール(2:1、v/v)を混合し、ガラスビーズの存在
下でホモジナイズすることにより行った。60gの乾燥
菌体より得られた粗抽出油脂は36gであった。この粗
抽出油脂を、常法に従い、メチルエステル化し、ガスク
ロマトグラフィーにより脂肪酸組成を調べたところ表6
に示す組成であった。
【0082】
【表6】 表6.粗抽出油脂中の脂肪酸組成 脂肪酸 14:0 15:0 16:0 17:0 18:0 20:4 20:5 22:5 22:6 n-6 n-3 AA EPA DPA DHA 含有割合(%) 2.3 5.8 44.6 2.0 1.4 0.6 0.8 8.4 34.0
【0083】実施例4 ドコサペンタエン酸の単離およ
び同定 粗抽出脂肪酸の高度不飽和脂肪酸の濃度を上昇させるた
め、常法に従い、尿素付加を行って飽和脂肪酸を除去し
た。即ち、実施例3に示した方法で調製した粗抽出脂肪
酸約9gに尿素20g、メタノール200mlを加え、60
℃で3時間加熱した後、10℃まで徐冷した。析出した
尿素結晶を濾過後、非結晶溶液分を濃縮し、尿素非付加
物約4gを得た。この尿素非付加物の脂肪酸組成は、ド
コサペンタエン酸17.7%、ドコサヘキサエン酸77.
9%であり、その他の脂肪酸の混入率は5%以下であっ
た。上記処理によって得た尿素非付加物につき、液体ク
ロマトグラフィー(ODSカラム、移動相 アセトニトリ
ル:水=97.5:2.5、検出 UV)を行ってドコサペ
ンタエン酸を分取した。これにより、純度99%以上の
ドコサペンタエン酸を約3.2g得た。
【0084】また、ドコサペンタエン酸の二重結合位置
を決定するため、常法に従い、脂肪酸をピコニルエステ
ル誘導体にした後、GC/MSで解析した。即ち、上記
で得られた尿素非付加脂肪酸20μgにチオニルクロラ
イド100μlを加え、1分間室温に放置した後、窒素
気流下で乾燥させた。これに10%3-ピリジルカルボ
ニル10μlを加え、1分間室温に放置した後、GC/
MSで分析を行った。この結果、図4に示したように、
SR21株が生産するドコサペンタエン酸(22:5)
は、不飽和結合を△4,7,10,13,16の位置に持つ
(n-6)系不飽和脂肪酸であると同定された。
【0085】実施例5 シゾキトリウム属SR21株の
脂肪酸分析 粗抽出油脂は、実施例3により得られたものを用いた。
この粗抽出油脂を、常法に従い、ヘキサンと90%メタ
ノールによる液/液分配により、中性脂質と極性脂質を
分離した。得られた脂質量はそれぞれ極性脂質1.8g、
中性脂質32.9gであった。この脂質を加水分解後、メ
チルエステル化し、ガスクロマトグラフィーにより脂肪
酸組成を分析した。
【0086】分析結果は下記の通りである。
【表7】 表7.粗抽出油脂中の極性/中性脂質組成 極性脂質(%) 中性脂質(%) 14:0 1.3 3.2 15:0 0.6 1.0 16:0 32.4 49.2 20:4(n-6) 0.2 0.6 20:5(n-3) 0.6 0.8 22:5(n-6) 10.6 7.9 22:6(n-3) 52.1 33.7
【0087】実施例6 フォスファチジルコリンの脂肪
酸残基の分析 実施例5で得られた極性脂質中のフォスファチジルコリ
ンを、液体クロマトグラフィーにより分離および分取し
た。分離条件は次のようであった。 1)カラム:シリカゲルラム、タイプ;TSKゲル シ
リカ-60、メーカー;東ソー株式会社、形状;直径2
0mm×長さ250mm 2)流 速:10ml/分 3)移動相(体積比):アセトニトリル/メタノール/リ
ン酸=95.0/5.0/0.5 4)カラム温度:25℃ 5)検 出:示差屈折、25℃
【0088】分取したフォスファチジルコリンを液体ク
ロマトグラフィーにより分子種に分離し、それらを分取
した後、加水分解メチルエステル化してガスクロマトグ
ラフィー法で脂肪酸残基を決定した。液体クロマトグラ
フィーの分離条件は次のようであった。 1)カラム:ODSゲルカラム、タイプ;イナートジル
(Inertsil)ODSII、 メーカー;GLサイエンス社(GL Science Co., Ltd.) 形状;直径4.6mm×長さ250mm 2)流 速:1ml/分 3)移動相(体積比):メタノール/H2O=95.0/
5.0 4)カラム温度:25℃ 5)検 出:示差屈折、25℃ また、ガスクロマトグラフィーの分離条件は次のようで
あった。 1)カラム:タイプ;キャピラリーカラム、TC-7
0、メーカー;GLサイエンス社、形状;直径0.25m
m×長さ30m 2)流 速:0.8ml/分、100kPa(カラム頭部圧力) 3)キャリアーガス:窒素ガス 4)カラム温度:昇温モード、170〜220℃(4℃
/分) 5)検 出:FID この結果、SR21株のフォスファチジルコリンの分子
種は、主に16:0−22:6、16:0−22:5、
22:5−22:6、22:6−22:6であることが
わかった。
【0089】実施例7 シゾキトリウム属SR21株の
脂質分析 実施例5で得られた中性脂質と極性脂質を、常法に従
い、薄層クロマトグラフィーにより分析を行った。発色
は硫酸を用いて行い、得られるスポットの同定は各標準
脂質とのRf値により決定した。中性脂質は90%以上
がトリグリセリドであった。また、極性脂質は、大部分
がフォスファチジルコリン(60〜80重量%)であり、
次いでフォスファチジルエタノールアミン(5〜20重
量%)、フォスファチジルイノシトール(2〜8重量%)
であった。 また中性脂質中のトリグリセリドを、常法に従い、液体
クロマトグラフィー(ODSカラム、移動相アセトン:ア
セトニトリル=3:2、示差屈折検出計)により分子種を
分離し(図5)、分取後、加水分解メチルエステル化し、
ガスクロマトグラフィーにより脂肪酸残基を決定した。
【0090】結果は下記の通りである。
【表8】 表8.中性脂質中のトリグリセリドの分析 ピーク 分子種 量比(%) No. 1 14:0−16:0−16:0 3.4 2 16:0−16:0−16:0 8.0 3 14:0−16:0−22:6 4.0 4 16:0−16:0−22:5 7.8 5 16:0−16:0−22:6 27.4 6 16:0−22:5−22:6 8.4 7 16:0−22:6−22:6 16.9 この7種類のトリグリセリドが、全トリグリセリド中の
70重量%以上を占めた。このトリグリセリドの最大分
子種は、16:0−16:0−22:6であり、全トリグ
リセリドの約27重量%を占めていた。
【0091】実施例8 トリグリセリドの脂肪酸残基結
合位置決定 実施例7で分画したトリグリセリド(分子種16:0−1
6:0−22:6)を、乾燥後、1,3位に特異的なリパー
ゼで処理し、得られる2−モノグリセリドをトリメチル
シリル化した後にGC/MSにより脂肪酸残基を決定し
た。リパーゼ処理は、50mM酢酸緩衝液(pH5.5)2m
l、リパーゼ1000単位、35℃、30分間行った。
反応終了後、エーテルにより抽出し、市販のトリメチル
シリル化剤を用いて、2−モノグリセリドをトリメチル
シリル化した。結果は図6に示したように、22:6が
結合したモノグリセリドの分子量に相当するフラグメン
トピークが得られ、本トリグリセリドは22:6の脂肪
酸残基がグリセロール骨格の2位に結合している、1
6:0−22:6−16:0であった。
【0092】実施例9 窒素濃度の影響 培地1L当たり、60gのグルコース、3gのリン酸二水
素カリウム、0.5gのコーンスチープリカーを加えた2
分の1濃度の人工海水培地に表9に示す濃度で硫酸アン
モニウムを添加し、この培地3Lを5L容積のジャーフ
ァーメンターに入れた。この培地に、実施例3と同様に
調製した前培養液60mlを添加し、培養を行った。培養
は28℃、1v.v.m.、300rpm、pH4.0の条件で行
った。グルコースの消費後に、培養液100mlを採取し
て遠心分離法で菌体を集めた。この菌体を洗浄し、凍結
乾燥装置によって乾燥菌体を得た。この乾燥菌体の重量
を測定して、培地1L当たりの菌体量を求めた。次い
で、実施例3と同様の方法で培地1L当たりの菌体量、
培地1L当たり全脂肪酸含有割合、および培地1L当た
りのDHA量、DPA量を求めた。その結果を表9に示
す。
【0093】
【表9】 表9.分析結果 実験 (NH4)2SO4 菌体量 全脂肪 脂肪酸 DHA含有 DHA量 DPA含有 DPA量 No. 酸量 含有割合 割合 割合 (g) (g) (重量%) (重量%) (g) (重量%) (g) 401 0.5 6.5 4.8 74.5 31.4 1.5 7.9 0.38 402 1.0 8.6 6.0 69.8 32.0 1.9 8.0 0.48 403 2.0 15.3 9.1 59.6 35.0 3.2 8.8 0.81 404 3.0 20.5 10.7 52.2 35.8 3.8 8.9 0.90 硫酸アンモニウム濃度を2.0〜3.0g/Lとした場合
に良好な生育を示した。また、硫酸アンモニウム濃度を
0.5〜1.0g/Lとすると脂肪酸含有割合が70%以
上に増加していた。
【0094】実施例10 有機窒素源と無機窒素源の影
響 培地1L当たり、60gのグルコース、3gのリン酸二水
素カリウム、0.5gのコーンスチープリカーを加えた2
分の1濃度の人工海水培地に、表10に示す濃度で窒素
源の濃度を一定にして、有機窒素源としてコーンスチー
プリカー(CSL)と無機窒素源として硫酸アンモニウム
の2つの割合を変えて添加した。この培地3Lを5L容
積のジャーファーメンターに入れ、実施例3と同様に調
製した前培養液60mlを添加し、実施例3と同一の条件
で培養を行った。グルコースの消費後に、培養液100
mlを採取して遠心分離法で菌体を集めた。この菌体を洗
浄し、凍結乾燥装置によって乾燥菌体を得た。この乾燥
菌体の重量を測定して、培地1L当たりの菌体量を求め
た結果を表10に示す。次いで、実施例3と同様の方法
で培地1L当たりの菌体量、培地1L当たりの全脂肪酸
含有割合、および培地1L当たりのDHA量、DPA量
を求めた。その結果を表10に示す。
【0095】
【表10】 表10.分析結果 実験 CSL 硫酸 菌体 全脂肪 脂肪酸 DHA含有 DHA DPA含有 DPA No. アンモニ 量 酸量 含有割 割合 量 割合 量 (g) ウム(g) (g) (g) 合(%) (重量%) (g) (重量%) (g) 501 0.7 2.0 21.0 14.8 70.5 31.8 4.7 8.1 1.2 502 2.0 1.7 20.0 13.7 68.5 31.7 4.3 7.3 1.0 503 3.3 1.3 23.2 14.5 62.4 30.7 4.5 6.9 1.0 504 5.3 0.7 21.0 13.7 68.5 29.9 4.3 8.0 1.1505 8.0 0 20.6 13.4 65.2 27.9 3.8 6.7 0.9 いずれの組成比においても良好な生育を示し、本菌は有
機窒素、無機窒素の区別なく消費して生育する。また、
DHA、DPAの生産性にもあまり変化は見られない。
【0096】実施例11 高濃度培養 培地1L当たり、3gのリン酸二水素カリウムを加えた
2分の1濃度の人工海水培地に、表11に示す濃度でグ
ルコース、コーンスチープリカー、硫酸アンモニウムを
添加した。この培地3Lを5L容ジャーファーメンター
に入れ、実施例3に示す培養条件で培養を行った。グル
コースの消費後に、培養液100mlを採取して遠心分離
法で菌体を集めた。この菌体を洗浄し、凍結乾燥装置に
よって乾燥菌体を得た。この乾燥菌体の重量を測定し
て、培地1L当たりの菌体量を求め、次いで、実施例3
と同様の方法で培地1L当たりの菌体量、培地1L当た
りの全脂肪酸量、乾燥菌体当たりの脂肪酸含有割合、全
脂肪酸中のDHA、DPA含有割合、および培地1L当
たりのDHA、DPA量を求めた。その結果を表11に
示す。
【0097】
【表11】 表11.分析結果 実験 グル CSL 硫酸 培養 乾燥 全脂 脂肪酸 DHA DHA DPA DPA No. コース 量 アンモニ 時間 菌体 肪酸 含有 含有 量 含有 量 量 ウム量 量 量 割合 割合 (g) 割合 (g) (g) (g) (時間) (g) (g) (重量%) (重量%) (重量%) 601 60 0.7 2.0 60 21.9 14.8 67.6 34.5 5.11 6.8 1.01 602 80 0.93 2.7 84 32.0 21.9 68.6 34.7 7.62 7.1 1.55 603 100 1.17 3.3 92 37.7 31.15 82.6 33.3 10.37 6.3 2.03 604 120 1.4 4.0 108 48.1 37.3 77.5 35.6 13.26 7.4 2.76605 150 1.75 5 120 59.2 41.6 70.3 37.3 15.52 8.2 3.43 これらの結果から、本菌は炭素源と窒素源濃度を増加さ
せることにより、グルコース濃度の増加に応じて、DH
A、DPAの生産量も増加することが明らかとなった。
【0098】実施例12 撹拌数の影響 実施例3と同一の培地組成および培養条件で、培養槽の
撹拌数を100rpmおよび300rpmにして培養を行っ
た。グルコース消費時間が、100rpmでは100時間
程度かかっていたのが、300rpmでは約半分の50〜
60時間となった。一方、培地1L当たりの脂肪酸量、
DHA量、DPA量については300rpmの方がわず
かに多かった(表12)。
【表12】 表12.分析結果 回転数 菌体量 全脂肪 脂肪酸 DHA含 DHA量 DPA含 DPA量 酸量 含有割 有割合 有割合 (rpm) (g) (g) 合(%) (%) (g) (%) (g) 100 15.3 9.1 59.6 35.0 3.2 8.4 0.76 300 20.5 10.7 52.2 35.8 3.9 8.5 0.91
【0099】実施例13 実施例11に従って製造した培養液を集め、フィルター
プレスにて液を除去し乾燥させ、水分10%含有の菌体
10kgを得た。この菌体を常法に従いヘキサン抽出し、
ヘキサンを除去した後、5.9kgの油脂を得た。またヘ
キサン抽出後の菌体を乾燥させヘキサンを除去した後、
3.9kgの油抽出残菌体を得た。この油脂は、35%の
DHAと8%のDPAを含有していた。また油抽出残菌
体には、1.2%のDHAと0.3%のDPAを含有して
いた。
【0100】実施例14 イザブラウン種200食日の採卵鶏1群5羽として2群
にわけた。1群は対照群として通常の飼料で25日間飼
育した。残りの群は実験群として、実施例13により得
られた油脂を毎日5gの量で通常の飼料に加え25日間
飼育した。25日目の卵3個分の卵の重量、卵黄重量、
DHA濃度、DPA濃度、卵黄の照り、卵黄の味を測定
した。結果を表13に示す。油脂を加えて飼育すること
により、明らかに卵黄中のDHA、DPA含有率は増加
した。また、照りがよく、とろける感じの卵黄を得るこ
とができた。
【表13】 表13 実験群 対照群 卵の重量(3個分)g 213 211 卵黄重量 g 55 52 DHA(%) 3.5 1.5 DPA(%) 0.8 痕跡量 卵黄の照 照りが良い ざらざらした感じ 卵黄の味 とろける感じ 水っぽい
【0101】実施例15 イザブラウン種200食日の採卵鶏を2群にわけた。1
群は対照群として5羽を通常の飼料で25日間飼育し
た。残りの群は実験群として3羽を、通常の飼料を対照
群より50g減じ、その分を補うために実施例13によ
り得られた油抽出残菌体50gを加え25日間飼育し
た。25日目の卵3個分の卵の重量、卵黄重量、DHA
濃度、DPA濃度、卵黄の照り、卵黄の味を測定した。
結果を表14に示す。油抽出残菌体を加えて飼育するこ
とにより、明らかに卵黄中のDHA、DPA含有率は増
加した。また、照りがよく、とろける感じの卵黄を得る
ことができた。
【表14】 表14 実験群 対照群 卵の重量(3個分)g 212 211 卵黄重量 g 53 52 DHA(%) 2.1 1.5 DPA(%) 0.2 痕跡量 卵黄の照 照りが良い ざらざらした感じ 卵黄の味 とろける感じ 水っぽい
【0102】実施例16 (n-6)系ドコサペンタエン酸
およびDHA含有ミルクの調製 粉末ミルク用原料100gに、実施例14で得られた卵
黄から常法に従って抽出した(n-6)系ドコサペンタエン
酸およびDHA含有卵黄油[(n-6)系ドコサペンタエン
酸0.8、DHA3.5%含有]6gを混合することにより
(n-6)系ドコサペンタエン酸およびDHA含有ミルクを
調製した。このミルクの全脂肪酸に対する(n-6)系ドコ
サペンタエン酸の割合は0.19%、DHAの割合は0.
84%となり、従来の調製乳に不足していた(n-6)系ド
コサペンタエン酸およびDHAを母乳に近づけることが
できた。
【0103】実施例17 (n-6)系ドコサペンタエン
酸およびDHA含有ミルクの調製 実施例5で得られた粗抽出油脂を、常法に従い、ヘキサ
ンと90%メタノールによる液/液分配により、中性脂
質と極性脂質とに分離し、(n-6)系ドコサペンタエン
酸およびDHAを含有する中性脂質[(n-6)系ドコサペ
ンタエン酸7.9、DHA33.7%含有]を得た。この
油0.6gを、粉末ミルク用原料100gに混合すること
により(n-6)系ドコサペンタエン酸およびDHA含有
ミルクを調製した。このミルクの全脂肪酸に対する(n-
6)系ドコサペンタエン酸の割合は0.19%、DHAの
割合は0.80%となり、従来の調製乳に不足していた
(n-6)系ドコサペンタエン酸およびDHAを母乳に近
づけることができた。
【0104】実施例18 (n-6)系ドコサペンタエン
酸およびDHA含有セプセルの調製
【表15】 表15.カプセル ゼラチン 70.0% グリセリン 22.9% パラオキシ安息香酸メチル 0.15% パラオキシ安息香酸プロピル 0.51%水 適量 計 100% 上記成分からなるソフトカプセル剤皮の中に、実施例1
1で得られた(n-6)系ドコサペンタエン酸およびDH
A含有微生物オイル300mgを常法により充填し、ソ
フトカプセル剤を得た。
【0105】実施例19 (n-6)系ドコサペンタエン
酸およびDHA含有飲料の調製 容器中に市販のプレーンヨーグルト50gと実施例11
で得られた(n-6)系ドコサペンタエン酸およびDHA
含有微生物オイル50%とβ−シクロデキストリン1g
を入れ、これを約3分間撹拌して乳化させ、W/O/
W、O/W/O型などが混在するエマルジョンを得た。
【0106】実施例20 DHAとDPAを含有する微
小餌料生物用餌料の製造 実施例3に従って製造した培養液を集め、フィルタープ
レスにて液を除去し菌体を得た。得られた菌体を105
℃で3時間、加熱乾燥し、コーヒーミルにより、パウダ
ー化した。得られたパウダーまたはコントロールとして
パン酵母を用いて、ワムシ、およびブラインシュリンプ
の培養を行った。培養方法は、海水200Lを300L
の水槽に入れ、通気条件下、23℃で、ワムシは1mlあ
たり100個体、ブラインシュリンプは1mlあたり20
個体放養し、餌料として、それぞれ1g/106個ワムシ
1日、1g/105個ブラインシュリンプ1日になるよう
に上記の菌体パウダーまたはパン酵母を与えた。ワムシ
またはブラインシュリンプにこれらを摂取して生育し、
3日目にサンプリングして構成脂肪酸組成を調べた結
果、表16および表17のようになった。
【0107】結果が示す通り、ワムシにおいてもブライ
ンシュリンプにおいても、DHA、DPAの蓄積がパン
酵母より好成績であった。
【表16】 表16.ワムシ 脂肪酸組成(%) DHA DPA コントロール(パン酵母) 0 0 試 験 (SR21株) 26 5
【表17】 表17.ブラインシュリンプ 脂肪酸組成(%) DHA DPA コントロール(パン酵母) 0 0 試 験 (SR21株) 23 4
【0108】
【発明の効果】本発明において用いる海洋性微生物は、
増殖性および油脂蓄積性に優れ、(n-3)系DHAおよ
び(n-6)系DPAの生産能が高く、かつEPAの生産
が極めて少ない。従って、この微生物を用いて、(n-
3)系DHAおよび(n-6)系DPAの含有量が高く、か
つEPAの含有量が低い油脂を高収率で製造することが
できる。また、この油脂から純度の高い(n-3)系DH
Aまたは(n-6)系DPAを分離することもできる。ま
た、本発明の油脂は、種々の生理活性を有する(n-3)
系DHAとともに(n-6)系DPAを高濃度で含有する
ため、該油脂を種々の食品、飼料および餌料に添加し
て、(n-3)系DHAおよび(n-6)系DPAを必要とす
る対象にこれら高度不飽和脂肪酸を安定的かつ効率的に
供給することができる。特に、動物用飼料または動物用
飼料添加物、微小餌料生物用餌料では、DHAおよびD
PAを含有する培養菌体の抽出残渣なども使用できるた
め、非常に経済的である。また、上記の動物用飼料を家
禽に与えることによって、今までになかったDHAおよ
びDPAを強化した家禽卵または卵黄油を得ることがで
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 シゾキトリウム属SR21株の遊走子の形態
を示す光学顕微鏡写真である。
【図2】 シゾキトリウム属SR21株の遊走子の鞭毛
の形態を示す透過型電子顕微鏡写真である。
【図3】 シゾキトリウム属SR21株の栄養細胞塊と
原形質のネットワークの形態を示す光学顕微鏡写真であ
る。
【図4】 シゾキトリウム属SR21株由来の(n-6)
系ドコサペンタエン酸のGC/MSスペクトルを測定し
た結果を示すチャートである。
【図5】 シゾキトリウム属SR21株由来の中性油脂
中のトリグリセリドを液体クロマトグラフィーにより分
離した結果を示すチャートである。
【図6】 シゾキトリウム属SR21株由来のトリグリ
セリド(分子種16:0−16:0−22:6)をリパー
ゼ処理し、次いでトリメチルシリル化した後にGC/M
Sで測定した結果を示すチャートである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 A23L 1/30 A23L 1/30 Z 2/52 A61K 31/23 ADD A61K 31/23 ADD 35/74 G 35/74 C11B 15/00 C11B 15/00 C12P 7/64 C12P 7/64 2115−4H C07C 57/12 // C07C 57/12 A23L 2/00 F (C12P 7/64 C12R 1:90) (72)発明者 横地 俊弘 茨城県つくば市東1丁目1番3 工業技術 院生命工学工業技術研究所内 (72)発明者 中原 東郎 茨城県つくば市東1丁目1番3 工業技術 院生命工学工業技術研究所内 (72)発明者 東原 孝規 茨城県つくば市東1丁目1番3 工業技術 院生命工学工業技術研究所内 (72)発明者 田中 悟広 兵庫県宍粟郡一宮町公文400 (72)発明者 矢口 敏昭 茨城県つくば市稲荷前23番6号 パークヒ ル105号

Claims (26)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 油脂中の全脂肪酸あたり、(n-6)系ド
    コサペンタエン酸を5重量%以上、(n-3)系ドコサヘ
    キサエン酸を20重量%以上、およびエイコサペンタエ
    ン酸を2重量%以下の量で含有することを特徴とする
    (n-6)系ドコサペンタエン酸含有油脂。
  2. 【請求項2】 油脂中の全脂肪酸あたり、(n-6)系ド
    コサペンタエン酸を6重量%以上、(n-3)系ドコサヘ
    キサエン酸を25重量%以上、およびエイコサペンタエ
    ン酸を1重量%以下の量で含有することを特徴とする請
    求項1に記載の油脂。
  3. 【請求項3】 油脂中の中性脂質の割合が90重量%以
    上であることを特徴とする請求項1または2に記載の油
    脂。
  4. 【請求項4】 中性脂質の85重量%以上がトリグリセ
    リドであることを特徴とする請求項3に記載の油脂。
  5. 【請求項5】 油脂が、(n-6)系ドコサペンタエン酸
    の生産能を有するシゾキトリウム属SR21株(FER
    M BP−5034)または該SR21株と同一の種に属
    するかもしくは実質的に同一の菌学的性質を有する微生
    物を培地中で培養し、その培養物から採取することによ
    って得られる油脂である請求項1〜4のいずれかに記載
    の油脂。
  6. 【請求項6】 培養する微生物がシゾキトリウム属SR
    21株または該SR21株と同一の種に属すると認めら
    れる微生物である請求項5に記載の油脂。
  7. 【請求項7】 培養する微生物がシゾキトリウム属SR
    21株である請求項6に記載の油脂。
  8. 【請求項8】 油脂が、微生物の培養物から採取するこ
    とによって得られる油脂を精製して得られる油脂である
    請求項5〜7のいずれかに記載の油脂。
  9. 【請求項9】 油脂が、菌体培養によって油脂を製造す
    る途中の培養液もしくはその殺菌した培養液、または培
    養終了時の培養液もしくはその殺菌した培養液、または
    それぞれから集菌した培養菌体もしくはその乾燥物、ま
    たは培養液もしくは菌体から該油脂を採取した後の残渣
    に含まれるものであることを特徴とする請求項5〜7の
    いずれかに記載の油脂。
  10. 【請求項10】 請求項1〜9のいずれかに記載の油脂
    を含有することを特徴とする栄養補助食品。
  11. 【請求項11】 油脂をゼラチンカプセルに封入して成
    ることを特徴とする請求項10に記載の栄養補助食品。
  12. 【請求項12】 栄養補助食品が、ドリンク剤または顆
    粒剤もしくは錠剤の形態を有する飲食品であることを特
    徴とする請求項10に記載の栄養補助食品。
  13. 【請求項13】 請求項1〜9のいずれかに記載の油脂
    を含有する乳児用調製乳。
  14. 【請求項14】 請求項1〜9のいずれかに記載の油脂
    を含有する未熟児用調製乳。
  15. 【請求項15】 請求項1〜9のいずれかに記載の油脂
    を含有する幼児用食品。
  16. 【請求項16】 請求項1〜9のいずれかに記載の油脂
    を含有する妊産婦用食品。
  17. 【請求項17】 請求項1〜9のいずれかに記載の油脂
    を含有する老人用食品。
  18. 【請求項18】 請求項1〜9のいずれかに記載の油脂
    を含有する経腸栄養剤。
  19. 【請求項19】 請求項1〜9のいずれかに記載の油脂
    を含有する動物用飼料。
  20. 【請求項20】 請求項1〜9のいずれかに記載の油脂
    を含有する動物用飼料添加物。
  21. 【請求項21】 請求項1〜9のいずれかに記載の油脂
    を含有する微小餌料生物用餌料。
  22. 【請求項22】 請求項1〜9のいずれかに記載の油脂
    を与えて飼育することにより得られる家禽卵。
  23. 【請求項23】 (n-6)系ドコサペンタエン酸の生産
    能を有するシゾキトリウム属SR21株(FERM BP
    −5034)または該SR21株と同一の種に属するか
    もしくは実質的に同一の菌学的性質を有する微生物を培
    地中で培養し、培養物から油脂を採取することを特徴と
    する、(n-6)系ドコサペンタエン酸含有油脂の製造方
    法。
  24. 【請求項24】 培養する微生物がシゾキトリウム属S
    R21株または該SR21株と同一の種に属すると認め
    られる微生物である請求項23に記載の製造方法。
  25. 【請求項25】 培養する微生物がシゾキトリウム属S
    R21株である請求項24に記載の製造方法。
  26. 【請求項26】 請求項23〜25のいずれかに記載の
    方法によって得た(n-6)系ドコサペンタエン酸含有油
    脂から(n-6)系ドコサペンタエン酸を単離することを
    特徴とする、(n-6)系ドコサペンタエン酸の製造方法。
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