JPH1071661A - 防水材および防水層の施工方法 - Google Patents

防水材および防水層の施工方法

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JPH1071661A
JPH1071661A JP10020897A JP10020897A JPH1071661A JP H1071661 A JPH1071661 A JP H1071661A JP 10020897 A JP10020897 A JP 10020897A JP 10020897 A JP10020897 A JP 10020897A JP H1071661 A JPH1071661 A JP H1071661A
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JP
Japan
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layer
resin
resin composition
waterproofing
waterproof
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JP10020897A
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English (en)
Inventor
Takashi Iiyama
高志 飯山
Hidekazu Yamazaki
英一 山崎
Taku Nakano
卓 中野
Yoshikazu Ishida
義和 石田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsui Petrochemical Industries Ltd
Original Assignee
Mitsui Petrochemical Industries Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 土木建築物の防水材および防水施工の分野に
おいて、耐水性、耐候性、下地密着性、強度、下地亀裂
追従性等の防水材本来の要求性能を充分に満たし、施工
性、歩行性、作業環境の改善、意匠性等の点でも優れた
防水材およびその施工方法を提供すること。 【解決手段】 本発明の熱硬化性樹脂、光重合開始剤お
よび増粘剤を含む樹脂組成物と繊維強化材からなる光硬
化型繊維強化熱硬化性樹脂組成物を多層シート化し、必
要により合成高分子を複層シート化してもよい防水材の
使用。 【効果】 本発明によれば作業環境を汚染せず、30分程
度の短時間、かつ少ない工数で土木建築物の表面に防水
層を形成することができる。また、該防水層は耐水性、
耐候性、耐食性および下地密着性はもちろん下地亀裂追
従性にも優れ、その上を歩行することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、土木建築物におけ
る新規な防水材および防水層の施工方法に関する。さら
に詳しくは、簡単な敷設作業と光照射により短時間で防
水層を形成させる方法および作業中に重合性モノマーの
臭気の発生、繊維強化材の切り屑の飛散等の環境汚染が
少ない防水材に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、マンション、アパート等のコンク
リート構造物の屋上やベランダ、戸建住宅等の木質構造
物のベランダまたは橋梁等の金属構造物では、漏水を防
ぐ目的でアスファルト系防水材、合成高分子系シート防
水材またはポリウレタン樹脂に代表される塗膜防水材
等、建築工事標準仕様書・同解説JASS8防水工事
(日本建築学会発行)に記載されている防水材を用いた
防水工事が行われている。ところで、上記の各種防水材
はそれぞれ優れた防水性能を有するが、防水材および防
水層においては、防水性のみならず歩行性、耐食性、断
熱性、遮音性、また施工性や意匠性、さらには経済性等
の様々な性能が要求されるため、目的や用途に応じて使
い分けられている。
【0003】アスファルト系防水材は、厚さからくる信
頼性や安価であることから最も広く使用されている。し
かしながら露出防水としては歩行用に適さず、押えモル
タル工法のように硬質の保護層を設ける必要があるた
め、多大な工期と費用を要し、かつ保護層として120kg/
m2近くの荷重がかかることから過大な躯体強度を必要と
する。合成高分子系シート防水材は、工期が短いことや
工場生産からくる厚さの信頼性の面で優れている。しか
しながら、施工時における下地の平滑性が要求されると
いう欠点があり、また表面硬度が小さいことや下地との
接着性が弱いことから、歩行用防水層を形成するために
は、アスファルト系防水材と同様に保護層の形成が必要
となる。
【0004】一方、塗膜防水材は意匠性や下地適応性に
優れ、また材料種の選択により露出防水でも歩行用の強
度、表面硬度、密着性が確保できる優れた防水材であ
る。該塗膜防水材としてはポリウレタン樹脂系防水材が
最も広く用いられているが、近年、歩行性能のさらに高
いFRP防水材として不飽和ポリエステル樹脂とガラス
繊維強化材からなるものも普及してきた。FRP防水材
は耐水性や耐食性に優れる上、大きな下地密着性や強
度、高い表面硬度を有することから歩行用防水層を形成
するのに適した防水材である(特開平4-142323号公報
等)。しかしながら、これらの塗膜防水材は現場反応型
であるため、気温等の影響により硬化反応の制御が難し
く、防水層の厚さの均一性が確保し難い。またFRP防
水材による防水施工では、大気中で樹脂と繊維強化材を
積層する工程が複数回繰り返され、樹脂の硬化を経て防
水層が形成される。このとき樹脂、プライマー等に含有
する揮発性の溶剤やモノマーの臭気の発生、繊維強化材
の切り屑の飛散等の環境汚染という問題が生じている。
さらに下地亀裂に対する追従性に乏しく、亀裂箇所に発
生するゼロスパンテンションにより防水層に破断を生
じ、漏水トラブルが発生する危険性が高い。これら塗膜
防水材に対して特開昭63-186744号公報には、光硬化性
樹脂強化プラスチックプリプレグシートが開示されてお
り防水用途への適用も記載されている。このプリプレグ
シートは、ガラス切屑飛散やモノマー臭気のような環境
問題も少なく迅速で簡便な施工性を満した優れた材料で
ある。しかしながら下地亀裂に対する追従性というFR
P防水材の欠点を有しており防水層に破断を生じる。
【0005】それに対して特開平1-219242号公報には、
FRP層とポリウレタン樹脂層との複合工法が開示され
ている。これは両方の防水材の長所を組み合わせた優れ
た防水工法であるが、従来の塗膜防水材がもつ硬化反応
制御の難しさや、防水層の厚さの不均一性は解消されて
いないこと、複層のため工期が長い等の欠点を有する。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、土木
建築物の防水材および防水施工の分野において、耐水
性、耐候性、下地密着性、強度、下地亀裂追従性等の防
水材本来の要求性能を充分に満たし、しかも施工性、歩
行性、作業環境の改善、意匠性等も兼ね備えた防水材お
よびその施工方法を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記の問題
点を解決するために鋭意検討した結果、光硬化型樹脂組
成物と繊維強化材からなる2層であり、硬化時において
異なる硬度を有する光硬化型シート状防水材が有効であ
ることを見出した。本発明者らはさらに検討を進めた結
果、硬質層からなる表面層と比較的軟質の層からなる裏
面層によって形成される防水材が、特に有効であること
を見いだした。すなわちこれらの防水材は、FRP防水
材の長所である高い強度、表面硬度、下地接着性および
意匠性等と合成高分子系シート防水材の長所である防水
層の厚み信頼性の長所を併せもち、かつ高い下地亀裂追
従性、さらには光硬化による短期間の施工を可能にする
複層の防水材が有効であるということを見出し本発明に
至った。
【0008】上記した本発明の光硬化型シート状防水材
において、硬質層からなる表面層と軟質層からなる裏面
層によって形成される防水材とは、概略次のような技術
思想によって形成されるものである。その第1は、粘度
が同じ程度かまたは異なる2種類の光硬化型熱硬化性樹
脂組成物A1およびA2からなる一方の層に繊維強化材
(B)を分散させて、硬さの異なる2層を形成させて得
られるシート状防水材。第2は、硬質の光硬化型繊維強
化熱硬化性樹脂組成物層(C)と軟質の合成高分子系シ
ート層(D)とを複層一体化させて得られるシート状防
水材。第3は、1種の光硬化型熱硬化性樹脂組成物によ
って形成されるシートの厚み方向に繊維強化材(B)の
密度分布を生ぜしめて得られるシート状防水材。本発明
の光硬化型シート状防水材は、概略上記の方法によって
得られる防水材であり、これらの形成方法を組み合わせ
て得られる防水材も本発明に含まれる。
【0009】すなわち本発明により、熱硬化性樹脂、光
重合開始剤および増粘剤を含有する樹脂組成物(A)に
繊維強化材(B)を分散させ、表面層と裏面層で硬化時
の硬さが異なるように形成してなる光硬化型シート状防
水材が提供される。上記の光硬化型シート状防水材にお
いては、施工基体に密着硬化させる側の表面が軟質層で
あり、その反対側の裏面が硬質層であることが好まし
い。この場合において、軟質層の厚さ(T1)と硬質層
の厚さ(T2)の関係が、10%<(T2)/[(T1
+(T2)]<85%であることが好ましい。一般に熱
硬化性樹脂は、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステ
ル樹脂およびビニルウレタン樹脂からなる群から選ばれ
る。上記樹脂組成物(A)が、軟質層を形成する粘度
(η1)が102〜105Pa・s(25℃)である樹脂組成物(A1
と、硬質層を形成する粘度(η2)が103〜106Pa・s(25
℃)である樹脂組成物(A2)であることが好ましい。ま
た本発明により、熱硬化性樹脂、光重合開始剤および増
粘剤を含有する樹脂組成物(A)に繊維強化材(B)を
分散させて表面層を形成させ、合成高分子系シート
(D)を軟質層として複層一体化した光硬化型シート状
防水材が提供される。上記合成高分子系シート層(D)
が、加硫ゴム系、非加硫ゴム系、塩化ビニル樹脂系、エ
チレン酢酸ビニル樹脂系またはウレタンゴム系シートで
あることが好ましい。この合成高分子系シート層(D)
は有孔体であり、有孔面積が(D)の全体面積に対して
2〜80%の範囲であることが好ましい。また本発明に
より、熱硬化性樹脂、光重合開始剤および増粘剤を含有
する樹脂組成物(A)に繊維強化材(B)を、表面層に
密に分散させて硬質層を形成させ、裏面層には粗に分散
させて軟質層を形成させてなる光硬化型シート状防水材
が提供される。さらに本発明により、熱硬化性樹脂、光
重合開始剤および増粘剤を含有する樹脂組成物(A)に
繊維強化材(B)を分散させ、表面層と裏面層で硬化時
の硬さが異なるように形成してなる光硬化型シート状防
水材を、施工基体に密着硬化させる側が軟質面となるよ
うに敷設転圧し、密着状態で光硬化させることにより繊
維強化防水層として作用する硬質層と、緩衝層として作
用する軟質層を同時に形成することを特徴とする防水層
の施工方法が提供される。
【0010】本発明の防水材および防水施工方法によれ
ば、作業環境を汚染せずに30分程度の短時間、かつ少
ない工数で、土木建築物の表面に高い性能を有する防水
層を形成することができる。また該防水層はそれ自体に
本来要求される性能、すなわち耐水性、耐候性および下
地密着性、意匠性をもつことはもちろん、高い表面硬度
により施工時において該防水層上を歩行することがで
き、かつ高い下地亀裂追従性をもつ優れたものである。
【0011】
【発明の実施の形態】本明細書中、樹脂組成物(A)の
粘度(η)とは、調製された樹脂組成物を容量500mlの
丸缶にとり、40℃で24時間静置して熟成させた後常温ま
で冷却し、該組成物をブルックフィールド型粘度計(B
H型)により測定した値(Pa・s(25℃))をいう。また
(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリレート、(メタ)
アクリロニトリルとは、それぞれメタクリル酸、アクリ
ル酸;メタクリレート、アクリレート;メタクリロニト
リル、アクリロニトリルをいう。
【0012】以下に本発明を詳しく説明する。 I.まず第一に、本発明において用いられる各種材料に
ついて説明する。 1.樹脂組成物(A) 樹脂組成物(A)とは、熱硬化性樹脂(a)、光重合開始
剤(b)および増粘剤(c)を含有するものである。 (1)熱硬化性樹脂(a) 熱硬化性樹脂(a)としては、硬化速度や形成される防水
層の物性の点からラジカル重合型樹脂が好ましく、例え
ば不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂および
ビニルウレタン樹脂が挙げられる。 (i) 不飽和ポリエステル樹脂としては、α,β−不飽和
二塩基酸またはその酸無水物とグリコール類との重縮合
によって製造され、場合によっては酸成分として芳香
族、脂肪族もしくは脂環族飽和二塩基酸またはそれらの
酸無水物を併用して製造される不飽和ポリエステル30〜
80重量部に、重合性モノマー70〜20重量部を混合した液
からなる熱硬化性樹脂組成物であることが好ましい。
【0013】ここでα,β−不飽和二塩基酸またはその
酸無水物としては、マレイン酸、無水マレイン酸、フマ
ル酸、イタコン酸、シトラコン酸、クロロマレイン酸お
よびこれらのエステル等; 芳香族飽和二塩基酸または
その酸無水物としては、フタル酸、無水フタル酸、イソ
フタル酸、テレフタル酸、ニトロフタル酸、テトラヒド
ロ無水フタル酸、エンドメチレンテトラヒドロ無水フタ
ル酸、ハロゲン化無水フタル酸およびこれらのエステル
等; 脂肪族もしくは脂環族飽和二塩基酸またはそれら
の酸無水物としては、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、
アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、グルタル酸、
ヘキサヒドロ無水フタル酸およびこれらのエステル等が
挙げられる。これらは単独でまたは2種類以上混合して
用いてもよい。
【0014】グリコール類としては、エチレングリコー
ル、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジ
プロピレングリコール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタ
ンジオール、2-メチルプロパン-1,3-ブタンジオール、
ネオペンチルグリコール、トリエチレングリコール、テ
トラエチレングリコール、1,5-ペンタンジオール、1,6-
ヘキサンジオール、ビスフェノールAプロピレンオキシ
ド付加物、ビスフェノールAエチレンオキシド付加物、
水素化ビスフェノールA、エチレングリコールカーボネ
ート、2,2-ジ-(4-ヒドロキシプロポキシジフェニル)
プロパン等が挙げられる。これらは単独でまたは2種類
以上混合して用いてもよい。これらの他にエチレンオキ
シド(EO)、プロピレンオキシド(PO)等の酸化物
も同様に使用することができる。またグリコール類と酸
成分の一部として、ポリエチレンテレフタレート等の重
縮合物も使用できる。さらにグリコールと酸から合成さ
れる不飽和アルキッド樹脂の末端カルボキシル基と、グ
リシジル基を有する反応性モノマーとを反応させて得ら
れる樹脂も使用できる。グリシジル基を有する反応性モ
ノマーの代表的なものとして、グリシジル(メタ)アク
リレート等があげられる。
【0015】(ii)ビニルエステル樹脂としては、不飽和
ポリエステルの末端をビニル変性したエポキシビニルエ
ステルまたはエポキシ樹脂のエポキシ骨格の末端をビニ
ル変性したエポキシビニルエステル30〜80重量部に、重
合性モノマー70〜20重量部を混合した液からなる熱硬化
性樹脂組成物であることが好ましい。ここでいうビニル
エステルとは、さらに詳細にはビスフェノール型のエポ
キシ樹脂、ノボラック型のエポキシ樹脂の単独または混
合した樹脂であって、その平均エポキシ当量が150〜450
g/eqの範囲にあるエポキシ樹脂と不飽和一塩基酸とをエ
ステル化触媒の存在下で反応して得られるエポキシ系ビ
ニルエステルを指す。
【0016】ここでビスフェノール型のエポキシ樹脂と
しては、エピクロロヒドリンとビスフェノールAまたは
ビスフェノールFとの反応により得られ、実質的に1分
子中に2個以上のエポキシ基を有するグリシジルエーテ
ル型エポキシ樹脂; メチルエピクロロヒドリンとビス
フェノールAもしくはビスフェノールFとの反応により
得られるジメチルグリシジルエーテル型エポキシ樹脂;
ビスフェノールAのアルキレンオキシド付加物とエピ
クロロヒドリンもしくはメチルエピクロロヒドリンから
得られるエポキシ樹脂等が挙げられる。ノボラック型の
エポキシ樹脂としては、フェノールノボラックまたはク
レゾールノボラックとエピクロロヒドリンまたはメチル
エピクロロヒドリンとの反応により得られるエポキシ樹
脂等が挙げられる。不飽和一塩基酸として代表的なもの
には、(メタ)アクリル酸、桂皮酸、クロトン酸、モノ
メチルマレート、モノプロピルマレート、モノブチルマ
レート、ソルビン酸、モノ(2-エチルヘキシル)マレー
ト等がある。これらは単独でまたは2種類以上混合して
用いてもよい。
【0017】(iii) ビニルウレタン樹脂としては、ポリ
エーテルポリオール類および/またはポリエステルポリ
オール類の末端水酸基にポリイソシアネート化合物を付
加反応させて得られる末端にイソシアネート基を有する
化合物と、1分子中に水酸基と二重結合を合わせもつ化
合物とを反応させて得られるビニルウレタン30〜80重量
部に、重合性モノマー70〜20重量部を混合した液からな
る熱硬化性樹脂組成物であることが好ましい。ここでポ
リエーテルポリオール類としては、数平均分子量400〜
4,000のポリプロピレングリコール、ポリエチレングリ
コール等; ポリエステルポリオール類としては、マレ
イン酸、フマル酸、アジピン酸、フタル酸等の二塩基酸
の単独または混合物と、エチレングリコール、プロピレ
ングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレング
リコール等のグリコール類の単独または混合物との反応
により得られる末端に水酸基を有するポリエステルポリ
オール; ポリイソシアネート化合物としては、2,4-ト
リレンジイソシアネート、2,6-トリレンジイソシアネー
ト、4,4'-ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサ
メチレンジイソシアネート等; 1分子中に水酸基と二
重結合を合わせもつ化合物としては、ヒドロキシエチル
アクリレート、ヒドロキシエチルメタアクリレート等が
挙げられる。
【0018】(iv)上に例示したラジカル重合性樹脂にお
ける重合性モノマーとしては、スチレン、ビニルトルエ
ン、α−メチルスチレン、クロロスチレン、ジクロロス
チレン、ビニルナフタレン、エチルビニルエーテル、メ
チルビニルケトン、メチル(メタ)アクリレート、エチ
ル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロニトリル等
のビニル化合物; ジアリルフタレート、ジアリルフマ
レート、ジアリルサクシネート、トリアリルシアヌレー
ト等のアリル化合物; 不飽和ポリエステル、ビニルエ
ステルまたはビニルウレタンと架橋可能なビニルオリゴ
マー等が挙げられる。これらの中、一般的にはスチレン
が用いられる。これらは単独でまたは2種類以上を混合
して用いてもよい。
【0019】(2)光重合開始剤(b) (i)光重合開始剤(b)としては、ベンゾフェノン系化合
物:ベンゾフェノン、4-クロロベンゾフェノン、4-ブロ
モベンゾフェノン、2-メチルベンゾフェノン、4-メチル
ベンゾフェノン、β-ナフチルフェニルケトン、2-ベン
ゾイルチオフェノン、メチルオルソベンゾイル安息香酸
メチル、2-ベンゾイルピリジン、2-ヒドロキシ-2-メチ
ル-1-フェニルプロパン-1-オン等、ベンジル化合物:ベ
ンジル、4-クロロベンジル、4-メチルベンジル等、キサ
ントン系化合物:キサントン、2-クロロキサントン、2-
イソプロピルキサントン等、チオキサントン系化合物:
チオキサントン、2-クロロチオキサントン、2-メチルチ
オキサントン、2-イソプロピルチオキサントン等、アン
トラキノン系化合物:アントラキノン、2-メチルアント
ラキノン、2-エチルアントラキノン、1-クロロアントラ
キノン、9-フルオレン等、アセトフェノン系化合物:ア
セトフェノン、4-メチルアセトフェノン、4-イソプロピ
ルアセトフェノン、4-クロロアセトフェノン、2,2-ジメ
トキシ-2-フェニルアセトフェノン、2,2-ジエトキシア
セトフェノン、2,2,2-トリクロロ-4'-tert-ブチルアセ
トフェノン、2,2-ジクロロ-4'-フェニルオキシアセトフ
ェノン等、オキシム系化合物:1-フェニル-1,2-プロパ
ンジオン-2-(o-ベンゾイル)オキシム、1-フェニル-
1,2-プロパンジオン-2-(o-エトキシカルボニル)オキ
シム等、アシルホスフィンオキシド化合物:2,6-ジメチ
ルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、2,4,6-ト
リメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、2,
4,6-トリメチルベンゾイル-フェニル-ホスフィン酸メチ
ルエステル、2,6-ジクロロベンゾイルジフェニルホスフ
ィンオキシド、ビスアシルホスフィンオキシド等および
それらの混合物が挙げられる。
【0020】(ii)光重合開始剤(b)の使用量としては、
熱硬化性樹脂(a)100重量部に対し0.1〜10重量部、好ま
しくは0.5〜3重量部の範囲で用いることができる。この
量が0.1重量部未満では樹脂組成物は充分な硬化に至ら
ず、またこれが10重量部を超えると硬化物の強度やゲル
分率(反応の目安)の低下をもたらし物性上好ましくな
い。
【0021】(3)増粘剤(c) (i)増粘剤(c)としては、酸化マグネシウム、水酸化マ
グネシウム、酸化カルシウム等の無機化合物; キシリ
レンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ジ
フェニルメタンジイソシアネート等のイソシアネート化
合物; エチルアセトアセテートアルミニウムジイソプ
ロピレート、アルミニウムトリス(エチルアセトアセテ
ート)、アルキルアセトアセテートアルミニウムジイソ
プロピレート、アルミニウムモノアセチルアセトネート
ビス(エチルアセトアセテート)、アルミニウムトリス
(アセチルアセトネート)等のアルミニウムキレート化
合物が挙げられる。 (ii)増粘剤(c)の量は、熱硬化性樹脂(a)100重量部に
対し0.5〜2重量部が一般的であるが、熱硬化性樹脂(a)
の種類により増粘特性が異なるので必ずしもこの量に限
られるわけではない。
【0022】2.繊維強化剤(B) 繊維強化材(B)としては、ガラス繊維; アミド、ア
ラミド、ビニロン、ポリエステル、フェノール等の有機
繊維; カーボン繊維、金属繊維、セラミック繊維また
はこれらを組み合わせたものが挙げられる。これらにつ
いて施工性や経済性を考慮すると、ガラス繊維または有
機繊維であることが好ましい。繊維強化材(B)の繊維
の形態は平織り、朱子織り、不織布、マット状等である
が、これらの中でも施工法、厚さの保持等の点からマッ
ト状が好ましい。またガラスロービングを20〜100mmの
長さに切断し、チョップドストランドとして使用しても
よい。さらにマットとチョップドストランドを併用する
こともできる。
【0023】3.重合希釈剤、充填剤等 本発明においては上述の樹脂組成物(A)と繊維強化材
(B)に加え、必要に応じて公知の重合希釈剤、充填剤
等を用いることができる。
【0024】(1)重合希釈剤としては、スチレン、ビ
ニルトルエン、ビニルピロリドン、ビニルカプロラクタ
ム、ジビニルベンゼン等のビニル化合物; ブチル(メ
タ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、シ
クロヘキシル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフル
フリル(メタ)アクリレート、イソボロニル(メタ)ア
クリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレー
ト、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキ
シEO変性(メタ)アクリレート、フェノキシPO変性
(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシEOまたはP
O変性(メタ)アクリレート等のモノ(メタ)アクリレ
ート化合物; 1,6-ヘキサンジオールジアクリレート、
トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリ
スリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトール
ヘキサアクリレート等の多価(メタ)アクリレート化合
物; そのエチレンオキシドやプロピレンオキシド変性
の(メタ)アクリレート; ポリエチレングリコールや
ポリプロピレングリコールの(メタ)アクリレートが挙
げられる。使用量としては、熱硬化性樹脂(a)100重量
部に対し0〜30重量部が好ましく、30重量部を超えると
粘度調整が困難になる。
【0025】(2)充填剤としては、水酸化アルミニウ
ム、炭酸カルシウム、水酸化カルシウム、ガラス粉末、
ガラスビーズ等が挙げられる。光硬化反応を円滑に進め
るためには、これらの中でも透明性の高いものが好まし
く、使用量は熱硬化性樹脂(a)100重量部に対し0〜150
重量部が好ましい。150重量部を超えると繊維強化材と
の複合一体化が困難になるため引張強度が大きく低下す
る。
【0026】II.第二に、本発明における防水材、その
製造方法およびそれを用いる防水施工方法について説明
する。
【0027】II−1.防水材(X) (1)本発明における1つの代表的防水材として、樹脂組
成物(A)および繊維強化材(B)とからなる光硬化型
シート状防水材について説明する。詳しくは熱硬化性樹
脂(a)、光重合開始剤(b)および増粘剤(c)を含有する
樹脂組成物(A)50〜97重量部ならびに繊維強化材
(B)50〜3重量部を配合した光硬化型繊維強化熱硬化
性樹脂組成物(C)(以下、樹脂組成物(C)と略記す
ることもある)をシート化したもので全体の厚さが0.5
〜5.0mm、好ましくは1.0〜5.0mmのものである。
【0028】樹脂組成物(A)と繊維強化材(B)の配
合については、熱硬化性樹脂(a)100重量部に対し、繊
維強化材(B)が3重量部未満では得られる防水材の硬
化収縮が大きく、防水層にクラックが発生する危険性が
あり、これが50重量部を超えると防水層表面にガラス目
が発生し外観上好ましくない。一方、シート全体の厚さ
が0.5mm未満では目的とする歩行に耐える強度が得られ
にくく、5.0mmを超えると光照射による硬化が不十分に
なるためシート内部まで完全に硬化しなくなることや、
硬化収縮によりシート自体に反りが発生するという不都
合が生じ、好ましくない。
【0029】ところで本発明における防水材は、特に施
工作業を考慮すると、防水下地、すなわち基体との密着
性および上乗り作業性にそれぞれ直接つながる軟らかさ
および硬さという相反する二つの性質を併せもつ必要が
ある。ここで上乗り作業性とは、基体上に防水材を敷設
し転圧する際に、作業者は未硬化状態の防水材の上に直
接乗ることになるが、そのとき防水材表面に足跡がつい
たり、ローラー等の転圧治具の形状が転写される等の外
観上の欠陥を生じない防水材の性能をいう。
【0030】そこで本発明における1つの代表的防水材
は、次のように粘度が同じ程度または異なる2種類の樹
脂組成物(A1)と樹脂組成物(A2)に由来する2層か
ら構成される。すなわち、基体側と接する軟質層を構成
する樹脂組成物(A1)の粘度(η1)は102〜105Pa・s
(25℃)であり、大気側に来る硬質層を構成する樹脂組成
物(A2)の粘度(η2)は103〜106Pa・s(25℃)の範囲
であることが好ましい。ここで、樹脂組成物(A1)の
粘度(η1)と、樹脂組成物(A2)の粘度(η2)は、
好ましくは両方とも103〜105Pa・s(25℃) の範囲(但し
η1≦η2)である。この防水材中で硬質層の占める厚さ
は、10%<硬質層/(軟質層+硬質層)<85%の範囲
であることが好ましい。
【0031】本発明において、樹脂組成物(A1)の粘
度(η1)が102Pa・s未満では遮光フィルムの剥離性が著
しく悪くなり、105Pa・sを超えると防水材と基体側との
密着性が著しく低下する。一方、樹脂組成物(A2)の
粘度(η2)が103Pa・s未満では防水施工時の上乗り作業
性が悪くなり、106Pa・sを超えると転圧作業時における
転圧力が防水材と基体側の間にまで到達し難いため接着
不足になりやすい。またそれに加えて基体の施工面の平
滑性が乏しい場合、防水材は基体の形状に追従できなく
なり、防水材と基体の間に未接着部が生じやすくなる。
さらにη1およびη2が103〜105Pa・sの範囲にあって
も、η1>η2の場合には樹脂組成物の硬化後に表面にし
わが発生しやすく外観上好ましくない。
【0032】(2)防水材の製造方法 本発明における防水材の代表的な製造方法は、シートモ
ールディングコンパウンド(以下、SMCと略記)含浸
機を用いるものであり、その方法の例を図1および図2
に従って説明する。上記のように、所定の粘度をもつ2
種類の樹脂組成物(A1)1と樹脂組成物(A2)2を予
め調製する。これらの樹脂組成物(A1)1と樹脂組成
物(A2)2および繊維強化材(B)としてガラスロー
ビング3をチョッパー4で切断したチョップドストラン
ド5を所定の割合で、連続的に巻き取られる下部の遮光
フィルム6と上部の遮光フィルム7の間に供給する。次
いで圧縮ローラー8にて樹脂組成物(A1)1と樹脂組
成物(A2)2をチョップドストランド5に含浸させ、
所定の厚さをもつシート状で2層の構造をもつ防水材9
を得る。なお、防水材9の全体の厚さ、すなわち軟質層
(樹脂組成物(A1)に由来するもの)と硬質層(樹脂組
成物(A2)に由来するもの)の厚さは、それぞれドクタ
ーブレード10とドクターブレード11により調整される。
上記のようにして得られる本発明の防水材は2層のシー
ト状であり、その外側の両面を遮光フィルム6、7で保
護することが好ましい。
【0033】(3)防水施工方法 該防水材を用いて防水施工する方法について図2および
図3に従って説明する。すなわち、該防水材の軟質層
(基体側と接するもの)の遮光フィルム6だけを剥離
し、この面を基体15上に直接またはプライマー層14
を介して敷設し、ローラー等にて転圧する。次いで該防
水材のもう一つの硬質層(大気側に来るもの)の遮光フ
ィルムを剥離し、太陽光等にて硬化、基体上に防水層を
形成させる。ここでプライマー層14としては、一液湿
気硬化型ウレタン樹脂、二液性ウレタン樹脂、エポキシ
樹脂、不飽和ポリエステル樹脂等の公知のプライマーを
用いることができる。施工後に形成される構造体は、基
体15の上にプライマー層がある場合はプライマー層1
4を介して、軟質層に由来する緩衝層13が形成され、
その上に硬質層に由来する防水層12が形成された構造
となる。
【0034】本発明の防水材は光硬化型なので、該樹脂
組成物(C)のシート層は、施工時には公知の光照射、
例えば太陽光、200〜800nmの紫外光線または可視光線等
を用いて硬化させることができる。太陽光の場合30分程
度の短時間で硬化し、防水層を形成することができる。
硬化の際、気温や天候(日射量)には殆ど影響されず、
例えば気温10〜30℃程度、日射量10watt/m2程度(曇天
時)の太陽光でも、同じ位の時間で防水材の内部まで完
全に硬化させることができる。因みに従来のFRP防水
材は熱硬化型なので硬化時間は気温の影響を大きく受
け、例えば気温10℃と30℃の場合では、硬化速度は10倍
近く変わる。なお本発明の防水材では、その外側の両面
を遮光フィルムで保護し、防水施工時まで光重合反応が
開始しないようにすることが好ましい。
【0035】本発明の防水施工において、防水材の敷設
・転圧では、残される大気側の遮光フィルムにより該防
水材中の溶剤や重合性モノマーの揮発が大幅に抑制さ
れ、該遮光フィルムを剥した後も該防水材の表面層から
の硬化が速いので、重合性モノマーの揮発が非常に少な
くなる。重合性モノマーの揮発をさらに抑制するために
は、防水材と大気側の遮光フィルムの間に太陽光等を透
過できる別のフィルムを一層設け、太陽光等による硬化
時には該光透過性フィルムを残しておき、硬化後に該フ
ィルムを剥離するという方法を採用してもよい。また本
発明の防水材には繊維強化材が予め含有されているの
で、繊維強化材を裁断しながら樹脂層の上に重層してい
くという一般的な工法と異なり、該防水施工においてそ
の切り屑の飛散という問題が生じないのはもちろんであ
る。さらに通常の合成高分子系シートでは施工時、シー
トのジョイント部に明らかに段差が生じるのに対し、本
発明の防水材の場合には転圧作業によりラップが消え、
塗膜防水のような平坦な仕上がりとなる。すなわち本発
明は意匠性の点でも優れたものである。
【0036】II−2.防水材(Y) 次に本発明におけるもう1つの代表的防水材として、光
硬化型繊維強化熱硬化性樹脂組成物(C)および合成高
分子系シート層(D)とを複層一体化した防水材、その
製造方法およびそれを用いる防水施工方法について説明
する。上記樹脂組成物(C)は、前記防水材における樹
脂組成物(A2)とほぼ同質のものが一般的に採用さ
れ、前記図1に基づいて説明した防水材の説明におい
て、例えば樹脂組成物(A1)を欠いた方法により形成
された樹脂組成物(A)と繊維強化材(B)とからなる
光硬化型シート状防水材の硬質層に相当するものであ
る。
【0037】(1)防水材 本発明の合成高分子系シート層(D)の材質は、JIS
−A−6008(合成高分子系ルーフィングシート)に適合
する均質シートおよび複合シートが好ましいが、シート
の厚みはその限りではない。この規格の中、加硫ゴム系
では、ブチルゴム、エチレンプロピレンゴム、クロロス
ルホン化ポリエチレン等; 塩化ビニル樹脂系では、塩
化ビニル樹脂、塩化ビニル共重合体等; エチレン酢酸
ビニル樹脂系では、エチレン酢酸ビニル共重合体等のシ
ートが使用できる。上記以外のシートとしては、ウレタ
ンゴム系シートが好適で、引張り伸び率が100%以上の
ものであれば使用できる。
【0038】合成高分子系シート層(D)は有孔であ
る。有孔面積は合成高分子系シート層(D)の全体面積
に対して通常2〜80%、好ましくは10〜50%である。有
孔面積が2%未満では下地との密着力が不足するため、
風圧等により防水層が剥離する危険性があり、80%を超
えると下地亀裂追従性が不足する傾向にある。また孔形
状は特に規制はないが、シート単位面積内に1個当たり
が有孔部全体の10-4〜10-1の面積を有する孔が規則
的に空いていることが好ましい。これが10-4より小さ
い場合は転圧力が下地との界面まで伝わりにくく、合成
高分子系シート層と下地との密着力が不足するため剥離
する危険性があり、10 -1より大きい場合は下地亀裂に
対して局部的に防水層が破断する危険性がある。ここで
孔の配置が規則的であれば通気効果に優れ好ましいが、
不規則的であってもその効果が失われることはない。
【0039】合成高分子系シート層(D)の厚さは0.1
〜5.0mm、好ましくは0.5 〜2.5mmである。この厚さが0.
1mm未満では施工時の引張り負荷や下地突起物による切
傷により破断する危険性があり、5.0mmを超えると下地
形状に追従できず防水層にしわがよるという不具合が生
じる。
【0040】(2)上記防水材の製造方法 この防水材の代表的な製造方法は、SMC含浸機を用い
るものであり、その方法の例を図4および図5に従って
説明する。予め調製した樹脂組成物(A2)16および
繊維強化材としてガラスロービング17をチョッパー1
8で切断したチョツプドストランド19を所定の割合
で、連続的に巻き取られる下部の遮光フィルム20と合
成高分子系シート22および上部の遮光フィルム21の
間に供給する。次いで圧縮ローラー23にて樹脂組成物
(A2)をチョツプドストランドに含浸させ、所定の厚
さをもつシート状で2層の構造をもつ防水材24を得
る。なお防水材の全体の厚さは、合成高分子系シートの
厚さおよびドクターブレード25により調整される。こ
のようにして得られる本発明の防水材は2層のシート状
であり、その外側の両面を遮光フィルムで保護されたも
のである。
【0041】また、予め製造された光硬化型繊維強化熱
硬化性樹脂組成物(C)のシート層と合成高分系シート
層(D)とを貼合わせ、複層一体化させることにより製
造することもできる。このとき得られる防水材の両面は
遮光フィルムまたは遮光ケースで保護し、防水施工時ま
で光硬化反応が開始しないようにすることが必要であ
る。
【0042】(3)防水施工方法 以上のようにして製造した本発明の防水材を用いて防水
施工する方法について図5および図6に従って説明す
る。合成高分子系シート層(D)側の遮光フィルム21
を剥離し、防水下地(基体)30上に直接またはプライ
マー層を介して、合成高分子系シート層(D)面を下に
するように敷設転圧した後、遮光フィルム20を剥離し
光重合反応を開始させるという一連の工程により、短時
間で防水層を形成することができる。プライマー層とし
ては、一液湿気硬化型ウレタン樹脂、二液性ウレタン樹
脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂等の公知の
ものを用いることができる。施工後に形成される構造体
は、基体30の上に、プライマー層がある場合はプライ
マー層29を介して、通気層28および合成高分子系シ
ート層(D)に由来する緩衝層27が形成され、その上
に硬質層に由来する防水層26が形成された構造とな
る。
【0043】形成された防水層は、耐水性、耐食性、耐
候性、下地密着性、下地亀裂追従性等の防水層本来の性
能を備えている他、高い表面硬度を有していることから
その上を歩行することも可能である。さらに、合成高分
子系シート層(D)と下地面との間の未接着部分を通気
層として利用し、防水層の一部箇所に脱気塔を設置する
ことにより、基体から発生してくる水蒸気を除去すると
いう脱気機能を付加することもできる。その他、通常の
合成高分子系シートでは施工時シートのジョイント部に
明らかに段差が生じるのに対し、本発明の防水材の場合
には転圧作業によりラップが消え、塗膜防水のような平
坦な仕上がりが得られ、意匠性の点でも優れたものであ
る。
【0044】II−3.防水材(Z) (1)また、本発明におけるもう1つの代表的防水材とし
て、熱硬化性樹脂(a)、光重合開始剤(b)および増粘剤
(c)を含有する樹脂組成物(A)に、繊維強化材(B)
を表面層では密に分散させて硬質層を形成させ、裏面層
では粗に分散させて軟質層を形成させてなる光硬化型シ
ート状防水材が提供される。繊維強化材(B)を表面層
を密に、裏面層を粗に分散させる具体的方法としては手
段を問わないが、容易に具体化しうる1つの手段として
は、繊維強化材(B)の含有率の異なる光硬化型繊維強
化熱可塑性樹脂シートを作製し、繊維強化材(B)を密
に分散させたシートを表面層に、粗に分散させたシート
を裏面層になるように、それぞれ適宜の層数に積層一体
化することにより、得ることができる。この方法におい
て、繊維強化材(B)はどのような形態でも差し支えな
いが、不織布またはマット状であることが好ましい。
【0045】ここで、繊維強化材(B)の含有率の異な
る光硬化型繊維強化熱硬化性樹脂組成物層(C)が積層
された少なくとも2層以上からなるシート状防水材は、
硬質層と軟質層の物性の差が小さくなりやすく、防水施
工後の防水層の下地ひびわれに対する追従性が一定にな
りにくい。このため好ましくは、(1)粘度が同じ程度
または異なる2種類の光硬化型熱硬化性樹脂組成物(A
1およびA2)と繊維強化材(B)に由来する2層から構
成されるシート状防水材および(2)光硬化型繊維強化
熱硬化性樹脂組成物層(C)と合成高分子系シート層
(D)とを複層一体化したシート状防水材である。
【0046】
【実施例】以下、製造例、実施例、参考例および比較例
により本発明を詳細に説明するが、これらは本発明を制
限するものではない。以下において特に指定しない限
り、「部」は重量基準である。
【0047】〔試験法〕実施例および比較例にて得た防
水材または試験体は、次の諸試験法により評価した。そ
れらの結果を[表2]〜[表6]に示す。 (1) 接着力:JIS-A-5304(舗装用コンクリート平
板)に規定された寸法(300mm×300mm×60mm)のコンク
リート平板上に防水層を設けた試験体を作製し、20℃で
相対湿度65%の雰囲気下に1週間放置、切込みを入れて
ステンレス製治具(40mm×40mm)をエポキシ系接着剤に
て接着させた。その後、建築研究所式接着試験機を用い
て20℃で載荷速度約1kgf/cm2/secで試験し、接着力
(kgf/cm2)を測定した。
【0048】(2) 疲労試験:試験体を用い、建築工事標
準仕様書・同解説JASS8防水工事(以下、JASS
8と略記)の疲労試験条件に準拠して測定した。試験体
はA形試験体、試験機は油圧サーボ建築仕上げ材疲労試
験機(鷺宮製作所製)を用い、工程1(ムーブメント0.
5←1.0mm)から工程3(ムーブメント2.5←5.0mm)まで
行った。試験結果は次の区分で表示する。
【0049】(3) 表面硬度:ショアー硬度計を用いて最
高値を示す試験体の表面硬度を求めた。
【0050】(4) へこみ抵抗性:JASS8のへこみ試
験に準拠し、雰囲気温度40℃にて30kgの荷重をかけ、試
験体の防水層が破断するか否かを調べた。
【0051】(5) 耐衝撃性:JASS8の耐衝撃試験に
準拠し、雰囲気温度40℃にて1.5mの高さから5kgの鋼
球を落下させ、試験体の防水層が破断するか否かを調べ
た。
【0052】(6) 施工時間:防水材による防水施工を開
始する時点から、得られる試験体の表面硬度が最高値に
達するまでの時間を測定し施工時間とした。なお実施例
1〜6および比較例1〜7において、この施工時間はい
わゆる硬化時間にほぼ相当する。
【0053】(7) 上乗り作業性:防水材から試験体まで
の操作中、太陽光による硬化前に防水層の表面に金属錐
(重量5kg,底面積20cm2)を30秒間静置した。それを取
り除いた後の表面へこみ深さ(mm)を測定し、次の3段
階で評価した。 ○:0.05mm未満, △:0.05〜0.10mm, ×:0.10mm超
【0054】(8) スチレン揮散濃度:防水材から試験体
を作製するまでの間、北川式ガス検知管を用いて、基体
上の高さ10cmの位置で最高値を示すスチレン濃度(ppm)
を求め、スチレン揮散濃度とした。
【0055】(9) 表面外観:得られた試験体の表面外観
を目視観察した。
【0056】(10)下地ひびわれ抵抗性:塗膜防水材の試
験方法(KMK法:住宅都市整備公団)に準拠して石綿
スレート板に防水層を設けた試験体を作製し、島津オー
トグラフ(AG−10TD、島津製作所製)を用いて、伸
び率、強度および剥離幅を測定した。
【0057】(11)膨れ抵抗性:JASS8の膨れ試験に
準拠し、上記JIS規定の歩道用コンクリート平板上に
防水層を設けた試験体を用いて測定した。試験結果は次
の区分で表示する。 区分 膨れ1: 10.0kPa(0.102kgf/cm2) の圧力で10分までに異常発生 膨れ2: 20.0kPa(0.204kgf/cm2) の圧力で10分までに異常発生 膨れ3: 50.0kPa(0.510kgf/cm2) の圧力で10分までに異常発生 膨れ4: 50.0kPa(0.510kgf/cm2) の圧力で異常発生なし
【0058】(12)ビヤーバム引っかき硬さ 防水材を所定の方法(太陽光に30分間露出)にて硬化さ
せ(その両面を測定することにより)、軟質層に由来す
る表面の硬さHS1と、硬質層に由来する層の表面の硬さ
H1をビヤーバム引っかき硬さ試験法により測定した。
さらに各層が2分の1になるように両面から削り出し、
(その両面を測定することにより)軟質層に由来する層
の硬さHS2と硬質層に由来する硬さHH2を測定した。
【0059】製造例1 樹脂組成物(A−1)の調製 不飽和ポリエステル樹脂(エスターWP260:商品名、
三井東圧化学社製)100部、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-
フェニルプロパン-1-オンとビスアシルホスフィンオキ
シドの混合物(光重合開始剤イルガキュア1700:商品
名、日本チバガイギー社製)1.0部および増粘剤(酸化
マグネシウム)0.5部を均一になるようにディスパーで
撹拌し、樹脂組成物(A−1)を調製した。各成分の組
成と測定した該樹脂組成物の粘度(Pa・s(25℃))を[表
1]に示す。
【0060】製造例2〜6 樹脂組成物(A−2)〜(A−6)の調製 [表1]に示すように増粘剤(酸化マグネシウム)と充填
剤(水酸化アルミニウム)の量を変える以外は、製造例
1の場合と同様に操作し、5種類の樹脂組成物(A−
2)〜(A−6)を調製した。測定した該樹脂組成物の
粘度(Pa・s(25℃))を[表1]に示す。
【0061】
【表1】
【0062】実施例1 防水材の製造 SMC含浸機(厚さ調整用ドクターブレード付き、月島
機械社製)を用いて、上記製造例で得た樹脂組成物(A
−3)28部、樹脂組成物(A−4)57部および繊維強化
材(ガラスロービング:切断長さ50mm、旭ファイバーグ
ラス社製)15部を、2枚の遮光フィルム(ポリエステル
ラミネートアルミニウム箔、細川洋行社製)の間に供給
し、シート状で2層の防水材を製造した。該防水材の厚
さは(A−3)に由来する軟質層が0.5mm、(A−4)
に由来する硬質層が1.0mm、全体で1.5mmである。また該
防水材の両側は遮光フィルムで保護されている。その
後、該防水材を恒温室(40℃)に24時間静置、熟成させ
た。次に該防水材の軟質層側の遮光フィルムを剥離し、
この面を基体(コンクリート平板または石綿スレート
板)上に敷設、ローラーにて転圧した。その後硬質層側
の遮光フィルムを剥離し、太陽光にて硬化させ、基体上
に防水層を設けた試験体を得た。
【0063】実施例2〜6 防水材の製造 [表2]に記すように上記の製造例で得た樹脂組成物の
軟質層、硬質層の粘度と厚さおよび繊維強化材の量を所
定の範囲内で変える以外は実施例1の場合と同様に操作
し、防水材および試験体を得、試験に供した。その結果
[表2]に示すように接着力が良好で、表面硬度も高
く、施工時間が短かく、上塗り作業性が良好であり、ス
チレン拡散濃度が小さい値であることから臭いが少な
く、表面外観の良好な防水層が得られた。
【0064】参考例1 硬質層の厚さを7.0mmと好ましい所定の厚みよりも厚く
した場合 [表3]に記すように、上記の製造例で得た樹脂組成物
の軟質層と硬質層は所定通りの粘度とし、軟質層の厚さ
は所定通りとし、硬質層の厚さを7.0mmと所定より厚く
して、実施例1の場合と同様に操作し、防水材および試
験体を得、試験に供した。その結果、硬質層の厚さが7.
0mmと所定の値よりも厚いために、太陽光による硬化が
不十分になりシート内部まで完全に硬化せず、硬化収縮
を起こしシート表面にしわが発生、さらに反りも発生し
た。またそのために疲労試験の工程1(ムーブメント0.
5←1.0mm)で防水層が破断、防水層としての性能が得ら
れなかった。
【0065】参考例2 軟質層に好ましい粘度より低い粘度の材料を使用した場
合 [表3]に記すように、上記の製造例で得た樹脂組成物
の軟質層に所定より低い粘度の材料を使用し、硬質層は
所定通りの粘度とし、厚さと繊維強化材の量は所定の範
囲内とした以外は実施例1の場合と同様に操作し、防水
材および試験体を得、試験に供した。その結果、樹脂組
成物の軟質層に所定より低粘度の材料を使用したため
に、遮光フィルムの剥離性が悪く使用できなかった。
【0066】参考例3 硬質層の厚さを0.1mmと好ましい厚みよりも薄くした場
合 [表3]に記すように、上記の製造例で得た樹脂組成物
の軟質層と硬質層は所定通りの粘度にし、軟質層は所定
通りの厚さ、硬質層の厚さを0.1mmと所定より薄くして
実施例1の場合と同様に操作し、防水材および試験体を
得、試験に供した。その結果、硬質層の厚さが薄いため
に表面外観で足跡がついて凹凸となり、防水層として見
映えが悪かった。
【0067】参考例4 硬質層に好ましい粘度より高い粘度の材料を使用した場
合 [表3]に記すように、上記の製造例で得た樹脂組成物
の軟質層は所定通りの粘度の材料を使用し、硬質層は所
定より高い粘度の材料とした。厚さと繊維強化材の量は
所定の範囲内とした以外は、実施例1の場合と同様に操
作し、防水材および試験体を得、試験に供した。その結
果、樹脂組成物の硬質層に所定より高い粘度の材料を使
用したために、転圧作業時における転圧力が防水材と基
体側の間にまで到達し難く、接着力が15kgf/cm2と低下
し、防水材と基体の間で未接着部分が生じた。
【0068】参考例5 硬質層に好ましい粘度より低い粘度の材料を使用した場
合 [表3]に記すように、上記の製造例で得た樹脂組成物
の軟質層は所定通りの粘度とし、硬質層は所定より低い
粘度の材料を使用した。厚さと繊維強化材の量を所定の
範囲内とした以外は、実施例1の場合と同様に操作し、
防水材および試験体を得、試験に供した。その結果、樹
脂組成物の硬質層に所定より低い粘度の材料を使用した
ために防水施工時の上乗り作業性が悪くなり、シート表
面に人が乗るとへこみが生じ凹凸となり表面外観が悪か
った。
【0069】参考例6 樹脂組成物/繊維強化材(重量比)を好ましい範囲より
大きくした場合 [表4]に記すように、上記の製造例で得た樹脂組成物
の軟質層と硬質層は所定通りの粘度と厚さにし、樹脂組
成物/繊維強化材(重量比)を所定範囲外の98/2に
して、実施例1の場合と同様に操作し、防水材および試
験体を得、試験に供した。その結果、樹脂組成物/繊維
強化材(重量比)=98/2と繊維強化材の量が所定値
の3重量部より少ないために防水材の硬化収縮が起こ
り、表面外観にしわが発生した。
【0070】参考例7 樹脂組成物/繊維強化材(重量比)を好ましい範囲より
小さくした場合 [表4]に記すように、上記の製造例で得た樹脂組成物
の軟質層と硬質層は所定の粘度と厚さにし、樹脂組成物
/繊維強化材(重量比)を所定範囲外の45/55にし
て、実施例1の場合と同様に操作し、防水材および試験
体を得、試験に供した。その結果、樹脂組成物/繊維強
化材(重量比)=45/55と繊維強化材の量が所定値
の50重量部を超えたために、防水層の表面にガラス目が
見えて外観上好ましくなかった。
【0071】比較例1 FRP塗り防水材の場合 リマスターRB−1工法(三井東圧化学社製)によりF
RP防水材を有する試験体を作製し、試験に供した。そ
の結果、現場施工の塗り防水のため施工時間が4時間と
長くなり、スチレン臭が強く、また疲労試験でも工程1
で防水層が破断し、性能としてはなお改良の余地がある
ものであった。
【0072】比較例2 塩化ビニルシート防水材の場合 塩化ビニルシート防水材を有する試験体を作製し、試験
に供した。その結果、実施例1〜5と比較して基体との
接着力が10kgf/cm2と大幅に低く、また表面硬度が15
(ショア−D)と低いために非歩行用としては良いが、
歩行用としては使用できなかった。
【0073】
【表2】
【0074】
【表3】
【0075】
【表4】
【0076】実施例7 防水材(複合一体化)の製造 不飽和ポリエステル樹脂(エスターWP260)100部、光
重合開始剤(イルガキュア1700)1.0部および増粘剤
(酸化マグネシウム)1.0部を均一になるようにディス
パーで撹拌し、樹脂組成物を調製した。次に、塩化ビニ
ル樹脂シート(筒中シート防水社製、サンロイドDNシ
ートを加工、有孔面積20%、厚み1.0mm)を予め取り付け
たSMC含浸機(月島機械社製)を使用して、長さ50mm
に切断したガラスロービング(旭ファイバーグラス社
製)(15重量部)および上記の樹脂組成物(85重量部)
を用いて防水シートを製造した。該防水シートにおいて
樹脂組成物(C)のシート厚みは1.5mm、防水シート全
体の厚みは2.5mmである。また、該防水シートの両側は
遮光フィルム(ポリエステルラミネートアルミニウム
箔、細川洋行社製)にて包装した。さらに該防水シート
の塩化ビニル樹脂シート(D)側の遮光フィルムを剥離
し、この面が基体(コンクリート平板または石綿スレー
ト板)に接するように敷設し、ローラーにて転圧した。
その後残された上部の遮光フィルムを剥離し、太陽光に
て硬化させ、基体上に防水層を設けた試験体を得、試験
に供した。その結果、短時間で施工ができ表面硬度が高
く、下地との接着力、膨れ抵抗性、疲労試験、下地ひび
われ抵抗性、表面外観が良好な防水層が得られた。
【0077】実施例8 塩化ビニル樹脂シートを加硫ゴム系シートにした場合 実施例7の中半において、塩化ビニル樹脂シートを加硫
ゴム系シート(田島ルーフィング社製、三星プラスシー
トPS−15を加工、有孔面積20%、厚み1.5mm)に変え
る以外は、実施例1と同様に操作して試験体を得、試験
に供した。その結果、短時間で施工ができ、表面硬度が
高く、下地との接着力、膨れ抵抗性、疲労試験、下地ひ
びわれ抵抗性、表面外観が良好な防水層が得られた。
【0078】実施例9 樹脂組成物(C)のシート層厚み1.5mmを3.0mmにした場
合 実施例7の中半において、樹脂組成物(C)のシート層
の厚み1.5mmを3.0mmに変える以外は、実施例1と同様に
操作して試験体を得、試験に供した。その結果、短時間
で施工ができ表面硬度が高く、下地との接着力、膨れ抵
抗性、疲労試験、下地ひびわれ抵抗性、表面外観が良好
な防水層が得られた。
【0079】実施例10 塩化ビニル樹脂シートの有孔面積20%を50%にした場合 実施例7の中半において、塩化ビニル樹脂シートの有孔
面積20%を50%に変える以外は実施例1と同様に操作し
て試験体を得、試験に供した。その結果、短時間で施工
ができ表面硬度が高く、下地との接着力、膨れ抵抗性、
疲労試験、下地ひびわれ抵抗性、表面外観が良好な防水
層が得られた。
【0080】実施例11 プライマーを塗布した場合 実施例7の後半において、基体上に予めプライマー(サ
ンPC−F:商品名、一液湿気硬化型ウレタン樹脂、三
井東圧化学社製)を0.3kg/m2で塗布し、硬化させる以外
は実施例1と同様に操作して試験体を得、試験に供し
た。その結果、短時間で施工ができ表面硬度が高く、下
地との接着力、膨れ抵抗性、疲労試験、下地ひびわれ抵
抗性、表面外観が良好な防水層が得られた。
【0081】参考例8 樹脂組成物(C)のシート層厚みを好ましい厚みより厚
くした場合 実施例7の中半において、樹脂組成物(C)のシート層
の厚み1.5mmを、5.5mmに変える以外は実施例1と同様に
操作して試験体を得、試験に供した。その結果、短時間
で施工ができ表面硬度が高く、下地との接着力、膨れ抵
抗性、疲労試験、下地ひびわれ抵抗性は良好であるが、
表面外観にしわが生じ防水層としては不適なものが得ら
れた。
【0082】参考例9 塩化ビニル樹脂シートの有孔面積を好ましい面積より大
きくした場合 実施例7の中半において、塩化ビニル樹脂シートの有孔
面積20%を、90%に変える以外は実施例1と同様に操作
して試験体を得、試験に供した。その結果、短時間で施
工ができ表面硬度が高く、下地との接着力、膨れ抵抗性
は良好であるが、疲労試験がA2と悪くなり、下地ひび
われ抵抗性において破断し、防水層として不適なものが
得られた。
【0083】比較例3 ウレタン塗り防水材の場合 サンシラールB−1工法(三井東圧化学社製)によりウ
レタン防水材を有する試験体を作製し、試験に供した。
その結果、施工時間が長く、膨れは2と悪く、さらにへ
こみ抵抗性と耐衝撃性で破断ありと、防水層としてはな
お改良の余地のあるものが得られた。
【0084】比較例4 FRP塗り防水材の場合 リマスターRB−1工法(三井東圧化学社製)によりF
RP防水材を有する試験体を作製し、試験に供した。そ
の結果、表面硬度が高く、下地との接着力、膨れ抵抗性
は良好であるが、施工時間が4時間と長くなり、疲労試
験はA1と悪く、下地ひびわれ抵抗性試験において破断
し、防水層としてはなお改良の余地のあるものが得られ
た。
【0085】比較例5 塩化ビニルシート防水材の場合 塩化ビニルシート防水材を有する試験体を作製し、試験
に供した。その結果、表面硬度が低く、下地との接着力
は低く、膨れ抵抗性は3、疲労試験もA3となり、防水
層として不適なものが得られた。
【0086】
【表5】
【0087】
【表6】
【0088】
【発明の効果】本発明の防水材及び防水施工方法によれ
ば、作業環境を汚染せずに30分程度の短時間、かつ少な
い工数で、土木建築物の表面に高い性能を有する防水層
を形成することができる。また該防水層はそれ自体に本
来要求される性能、すなわち耐水性、耐候性および下地
密着性、意匠性をもつことはもちろん、高い表面硬度に
より該防水層の上を歩行することができ、かつ高い下地
亀裂追従性をもつ優れたものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の代表的な防水材の製造方法(SMC
含浸機の使用)を示す概略工程図である。
【図2】 図1の製造方法による本発明の防水材を示す
斜視図である。
【図3】 本発明の防水材施工後の構造体の一例を示す
断面図である。
【図4】 本発明のもう一つの代表的な防水材の製造方
法(SMC含浸機の使用)を示す概略工程図である。
【図5】 図4の製造方法による本発明の防水材を示す
斜視図である。
【図6】 本発明の防水材施工後の構造体の一例を示す
断面図である。
【符号の説明】
1: 樹脂組成物(A1) 2: 樹脂組成物(A2) 3: ガラスロービング 4: チョッパー 5: チョップドストランド 6 ,7:遮光フィルム 8: 圧縮ローラー 9: 防水材 10 ,11:ドクターブレード 12: 硬質層{樹脂組成物(A2)に由来するもの} 13: 軟質層{樹脂組成物(A1)に由来するもの} 14: プライマー層 15: 基体 16: 樹脂組成物(A2) 17: ガラスロービング 18: チョッパー 19: チョップドストランド 20 ,21:遮光フィルム 22: 合成高分子系シート(D) 23: 圧縮ローラー 24: 防水材 25: ドクターブレード 26: 硬質層からなる防水層 27: 合成高分子系シートからなる緩衝層 28: 通気層 29: プライマー層 30: 基体
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 E04D 5/10 E04D 5/10 D (72)発明者 石田 義和 東京都千代田区霞が関三丁目2番5号 三 井東圧化学株式会社内

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 熱硬化性樹脂、光重合開始剤および増粘
    剤を含有する樹脂組成物(A)に繊維強化材(B)を分
    散させ、表面層と裏面層で硬化時の硬さが異なるように
    形成してなる光硬化型シート状防水材。
  2. 【請求項2】 施工基体に密着硬化させる側の表面が軟
    質層で反対側の表面が硬質層であり、軟質層および硬質
    層の表面に遮光フィルムを積層してなる請求項1記載の
    防水材。
  3. 【請求項3】 軟質層の厚さ(T1)と硬質層の厚さ
    (T2)の関係が、10%<(T2)/[(T1)+
    (T2)]<85%である請求項2記載の防水材。
  4. 【請求項4】 熱硬化性樹脂が、不飽和ポリエステル樹
    脂、ビニルエステル樹脂およびビニルウレタン樹脂から
    なる群から選ばれた1種である請求項1記載の防水材。
  5. 【請求項5】 樹脂組成物(A)が、軟質層を形成する
    粘度(η1)が102〜105Pa・s(25℃)である樹脂組成物
    (A1)と、硬質層を形成する粘度(η2)が103〜106Pa
    ・s(25℃)である樹脂組成物(A2)からなるものである
    請求項2記載の防水材。
  6. 【請求項6】 熱硬化性樹脂、光重合開始剤および増粘
    剤を含有する樹脂組成物(A)に繊維強化材(B)を分
    散させて表面層を形成させ、合成高分子系シート(D)
    を軟質層として複層一体化した請求項2記載の防水材。
  7. 【請求項7】 合成高分子系シート層(D)が、加硫ゴ
    ム系、非加硫ゴム系、塩化ビニル樹脂系、エチレン酢酸
    ビニル樹脂系またはウレタンゴム系シートである請求項
    6記載の防水材。
  8. 【請求項8】 合成高分子系シート層(D)が有孔体で
    あり、有孔面積が全体面積に対して2〜80%の範囲で
    ある請求項6記載の防水材。
  9. 【請求項9】 熱硬化性樹脂、光重合開始剤および増粘
    剤を含有する樹脂組成物(A)に繊維強化材(B)を、
    表面層には密に分散させて硬質層を形成させ、裏面層に
    は粗に分散させて軟質層を形成させてなる光硬化型シー
    ト状防水材。
  10. 【請求項10】 熱硬化性樹脂、光重合開始剤および増
    粘剤を含有する樹脂組成物(A)に繊維強化材(B)を
    分散させ、表面層と裏面層で硬化時の硬さが異なるよう
    に形成してなる光硬化型シート状防水材を、施工基体に
    密着硬化させる側が軟質面となるように敷設転圧し、密
    着状態で光硬化させることにより繊維強化防水層として
    作用する硬質層と、緩衝層として作用する軟質層を同時
    に形成することを特徴とする防水層の施工方法。
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