JPH1071296A - 電気洗濯機に於ける制動装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 充分な制動機能を備えながら電気洗濯機のコ
スト低減を図ることのできる電気洗濯機に於ける制動装
置を提供すること。 【解決手段】 洗濯槽１内の撹拌体２を正逆回転駆動
し、撹拌体駆動系３と、前記洗濯槽１を脱水回転させ、
スプリングクラッチ機構５と前記洗濯槽１の正又は逆回
転を制動するバンドブレーキ機構６とを設け、前記スプ
リングクラッチ機構５と前記バンドブレーキ機構６を背
反的に連動連結させ、前記スプリングクラッチ機構５の
入り状態においては前記撹拌体２と前記洗濯槽１とを一
体的に回転駆動するよう構成した電気洗濯機。 前記バ
ンドブレーキ機構６の効き方向と反対方向に効くように
設けた第２のバンドブレーキ機構７を設け、これらのバ
ンドブレーキ機構６・７を同時作動するように互いに連
動連結し、前記撹拌体２のみの正逆回転（洗濯時）の何
れに際しても前記洗濯槽１の回転を制動停止させるよう
に構成した。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する分野】本発明は、電気洗濯機に於ける制
動装置に関し、詳しくは、洗濯の為の撹拌体の正逆回転
と、脱水の為の洗濯槽の一方向回転を行う電気洗濯機に
於いて、撹拌体の正逆回転時に洗濯槽を制動停止させる
と共に脱水時に洗濯槽の一方向回転を許容する制動装置
の改良に関する。

【０００２】

【従来の技術】上述した電気洗濯機としては、一基の電
動モータによって撹拌体及び洗濯槽を駆動する二系統の
駆動系を採用するのが一般的であり、例えば、特開平３
ー１９１９９２号公報において開示されている。これを
引用して、図４に示すと、電動モーターからの駆動によ
って洗濯槽ａ内の撹拌体ｂを正逆回転駆動する撹拌体駆
動系と、前記洗濯槽を正又は逆回転によって脱水回転さ
せる洗濯槽駆動系とを備え、該洗濯槽駆動系に、バンド
（摩擦）ブレーキ機構を設けると共に前記撹拌体駆動系
と該洗濯槽駆動系とを入り切りするスプリングクラッチ
機構ｃを設け、前記スプリングクラッチ機構ｃと前記バ
ンドブレーキ機構ｄを背反的に連動連結して前記スプリ
ングクラッチ機構ｃを常時切り状態に付勢している。

【０００３】この駆動系の採用は、１基の電動モーター
からの入力によって洗濯機を作動させる場合、洗濯に際
しては、洗濯槽を制動停止させた状態で撹拌体を正逆回
転させ、脱水に際しては洗濯槽と撹拌体を正又は逆方向
（脱水は一方向の回転でよい）に一体的に回転させるよ
うにするために必要なものである。 ここに言うスプリ
ングクラッチ機構とは、コイルスプリングの軸への巻回
方向によって、駆動方向によって締まる方向（伝達）と
緩む方向（解除）とを自動的に決定されるそれ自体機械
要素として公知の構造のものである。

【０００４】前記バンドブレーキ機構は、洗濯槽の回転
許容、その緊急停止（脱水中断等）のための制動（静止
状態の維持）に必要な構成要素であるが、洗濯槽に繋が
るドラムに巻回したバンドは、ドラムの回転がバンドの
緊張（引っ張り）方向に沿っている場合には巻き込み現
象によって有効に作用するが、反対方向の回転に対して
は、概ね１／５程度（バンドがブレーキドラムに対して
３００°の巻回で、摩擦係数が０．３として）に低下す
るというように効き方向がある。洗濯槽の回転は、脱水
を行うためのものであるので、一方向回転のみであり、
従って、現実には洗濯槽の回転方向に沿った緊張方向を
持つようにバンドをドラムに巻回して有効な制動機能を
発揮するようにしてある。

【０００５】しかし、撹拌体のみを回転させて洗濯を行
う場合に、前述の洗濯槽の回転（脱水時）と同じ方向
（例えば右回転）に撹拌体を回転させる時には問題はな
いものの、所謂反転撹拌させる場合、即ち、逆の方向
（例えば左回転）に回転させる場合には、前記バンドブ
レーキ機構の機能が約１／５に低下してしまう。その結
果、撹拌体、水、洗濯物を介して洗濯槽に伝達される駆
動力によって洗濯槽も逆回転しようとする力が作用し、
前述の弱いブレーキ作用に打ち勝って洗濯槽が共回りし
てしまう事態が時々発生した。 この洗濯槽が逆回転す
ると上記スプリングクラッチ機構を受動側（電動モータ
ーからの入力プーリー側を駆動側として）から駆動して
しまうことになってクラッチのトラブルを来す。

【０００６】こうした問題解決の方法としては、前記バ
ンドブレーキ機構のバンドの締めつけ力を高めるか、例
えば、特開昭６３ー２１４２８９号において提案されて
いるように、前記洗濯槽駆動系に、前記スプリングクラ
ッチ機構ｃと前記洗濯槽との間で正又は逆回転を不能に
する一方向伝達機構（ワンウェイクラッチ）を介装し、
洗濯時（撹拌体のみ逆転）に洗濯物、洗濯液を介しての
洗濯槽の共回りが逆に駆動入力側に伝達されることがな
いようにする方法がある。

【０００７】

【発明が解決しようとする課題】上述した一方向伝達機
構（ワンウェイクラッチ）として、スプリングクラッチ
機構を用いるのが一般的であるが、ラチェット機構を用
いたり、その他に適宜の公知の構造のワンウェイクラッ
チ機構を用いる等、何れの場合にも製作コストが高くつ
くという問題がある。また、前記バンドブレーキ機構の
バンドの締めつけ力を高める方法を採る場合には、これ
に用いるスプリングを強くし、各パーツの強度も高めね
ばならないと共に軽い操作力を引き出すための工夫も必
要であって、自ずと限界があった。本発明者は、このワ
ンウェイクラッチを省き、且つ同じ機能を発揮させるこ
とが出来ないものかと考えた。

【０００８】そこで、前記バンドブレーキ機構の存在意
義について再検討してみるに、上述したようにドラムの
右回転の制動に対して左回転（反転）の制動が１／５程
度に低下してしまうが故に単一のバンドブレーキ機構だ
けでは洗濯時の洗濯槽の共回りを阻止できないのである
が、この洗濯時は、洗濯槽が停止している状態で制動静
止を維持すれば良いので、脱水時の緊急停止のように回
転中の大きな慣性力のある洗濯槽を停止させるのに較べ
れば、従来の１／５の制動力では小さすぎると言える
が、逆に其ほどブレーキ力を必要としないことも分かっ
た。

【０００９】本発明は、充分な制動機能を備えながら電
気洗濯機のコスト低減を図ることのできる電気洗濯機に
於ける制動装置を提供することを目的とする。

【００１０】

【課題を解決するための手段】本発明にかかる電気洗濯
機に於ける制動装置は、上記目的を達成するために、電
動モーターからの駆動によって洗濯槽１内の撹拌体２を
正逆回転駆動する撹拌体駆動系３と、前記洗濯槽１を正
又は逆回転によって脱水回転させる洗濯槽駆動系４とを
備え、該洗濯槽駆動系４に、前記撹拌体駆動系３と該洗
濯槽駆動系４とを入り切りするスプリングクラッチ機構
５と前記洗濯槽１の正又は逆回転を制動するバンドブレ
ーキ機構６とを設け、前記スプリングクラッチ機構５と
前記バンドブレーキ機構６を背反的に連動連結させて常
時前記スプリングクラッチ機構５を常時切り状態に付勢
し、前記スプリングクラッチ機構５の入り状態において
は前記撹拌体２と前記洗濯槽１とを一体的に回転駆動す
るよう構成した電気洗濯機に於ける制動装置であって、
前記バンドブレーキ機構６の効き方向と反対方向に効く
ように設けた第２のバンドブレーキ機構７を設け、且
つ、これらのバンドブレーキ機構６・７を同時作動する
ように互いに連動連結し、前記撹拌体２のみの正逆回転
（洗濯時）の何れに際しても前記洗濯槽１の回転を制動
停止させるように構成した、という手段を講じたのであ
る。

【００１１】本発明に於いて、洗濯槽１及び撹拌体２の
回転方向については、左右回転の何れを正、逆回転と呼
ぶかは相対的な問題であり、何れを正、逆としても本発
明の技術的範囲に影響はない。そして、洗濯槽１、撹拌
体２、撹拌体駆動系３、洗濯槽駆動系４、プリングクラ
ッチ機構５、バンドブレーキ機構６・７については、そ
れ自体公知の構造のものを用いることが出来、これらの
構造に本発明の特徴が存するものではない。また、バン
ドブレキーの素材等についても、公知のものを適宜用い
て良いものであり、その操作手段についても、手動（倍
力機構、リンク機構等）は勿論のこと、必要に応じて電
磁操作、サーボ機構を用いて良い。

【００１２】

【発明の実施の形態】本発明によれば、従来用いていた
ワンウェイクラッチ（一方向伝達機構）を省き、既存の
バンドブレーキ機構６とは別の効き方向（巻回方向）を
持つ第２のバンドブレーキ機構７を設け、これらを連動
連結することによって正逆方向において制動に充分なブ
レーキ力を得るようにしたたのである。即ち、図３に基
づいて説明すると、本発明は、２つのバンドブーキ機構
６・７を１の力で均等操作したときに、夫々に０．５の
力が伝達される。例えば、右回転時（脱水及び正転撹
拌）において、一方のバンドブーキ機構６は、０．５の
操作力のブレーキ力が発揮されるのに対し、他方の第２
のバンドブーキ機構７には約１／５の０．１のブレーキ
力（バンドがブレーキドラムに対して３００°の巻回
で、摩擦係数が０．３として）しか発揮できないが、両
者を合わせると０．６のブレーキ力を得ることが出来
る。尚、図３において、両バンドブーキ機構６・７を同
心上に配置して描いているのは模式的であって、実際に
は同じ位相にある。

【００１３】従って、従来のように一方向のみに作用さ
せる一本のバンドブレーキ機構では、その効き方向に１
の操作力で１のブレーキ力を発揮させることができると
いう効果があるものの、この反対方向の回転でばブレー
キ力が１／５（０．２）に低下するのに対し、本発明で
は、同じ１の操作力によっても、正逆回転に対して常に
０．６のブレーキ力を得ることが出来るので、従来のよ
うな１／５（０．２）では撹拌体２の逆転（反転）に際
しての洗濯槽１のと共回りを静止状態で制動維持させる
のには充分と言えなかったブレーキを制動に充分なブレ
ーキ力にまで高めることができる。 仮に、摩擦係数
０．３のライニングでは、摩擦力に不足が生じる場合に
は、一層摩擦係数の高いライニングを使用することで対
応できる。その結果、従来に用いていたワンウェイクラ
ッチ（一方向伝達機構）を設けなくとも、或いは、各パ
ーツの強度を高める等の方法を採らなくても実質的に同
じ制動機能を発揮出来るのである。

【００１４】

【実施例】以下、本発明の電気洗濯機に於ける制動装置
の好適実施例について、図面を参照して詳述する。図１
は、本発明が適用される基本的な電気洗濯機における駆
動系、制動装置を示す縦断側面図である。８は、電動モ
ーター（図外）からベルトによって駆動伝達されるプー
リーであり、電動モーターからの駆動によって洗濯槽１
内の撹拌体２を正逆回転駆動する撹拌体駆動系３と、前
記洗濯槽１を正転（ここでは正転だが撹拌体２との相対
回転方向をいうから逆転でもよい）によって脱水回転さ
せる洗濯槽駆動系４とに動力を伝達する構成となってい
る。

【００１５】そして、前記洗濯槽駆動系４に、前記撹拌
体駆動系３と該洗濯槽駆動系４とを入り切りするスプリ
ングクラッチ機構５と前記洗濯槽１の正又は逆回転を制
動するバンドブレーキ機構６とを設け、前記スプリング
クラッチ機構５と前記バンドブレーキ機構６を背反的に
連動連結させて常時前記スプリングクラッチ機構５を常
時切り状態に付勢し、且つ、前記洗濯槽駆動系４に、前
記スプリングクラッチ機構５と前記洗濯槽１との間で正
又は逆回転を不能にする一方向伝達機構を介装し、前記
スプリングクラッチ機構５の入り状態においては前記撹
拌体２と前記洗濯槽１とを一体的に回転駆動するよう構
成してある。 尚、前記スプリングクラッチ機構５は、
コイルスプリングの巻回方向によって、巻き込み方向と
緩み方向で駆動伝達を係脱するそれ自体公知のものであ
るので、ここでの詳細な説明を省く。

【００１６】そして、前記バンドブレーキ機構６の効き
方向と反対方向に効くように設けた第２のバンドブレー
キ機構７を設けてある。 この第２のバンドブレーキ機
構７は、先のバンドブレーキ機構６と実質的に同じ構成
であり、そのバンドの巻回方向が逆になっているだけで
ある。 また、図２に示すように、これらのバンドブレ
ーキ機構６・７を同時作動するように、一つの操作アー
ム１０の二叉部１０ａ・１０ｂに夫々バンドの一端６ａ
・７ａを連結して互いに連動連結し、前記撹拌体２のみ
の正逆回転（洗濯時）の何れに際しても前記洗濯槽１の
回転を制動停止させるように構成してあり、これらのバ
ンドブレーキ機構６・７の夫々のバンドは、共通の一個
のドラム９に対して作用するように併置状態に配置され
ている。尚、１０ｃは、操作用スプリングである。

【００１７】上記スプリングクラッチ機構５とバンドブ
レーキ機構６・７の連動機構としては、それ自体公知の
構成のもの（例えば、特開平３ー１９１９９２号公報参
照）を用いれば良いので、ここでの詳細な説明を省く。

【００１８】上記バンドブレーキ機構６・７の作動原理
図として図３を示し、上述の発明の実施の態様において
言及しているが、そのバンドの配置、巻回方向について
は、何れを前後（プーリー８に対し）とするかは任意に
選択して良い。

【００１９】

【発明の効果】本発明によれば、従来のバンドブレーキ
機構とは逆巻きの第２のバンドブレーキ機構を設けるこ
とで、洗濯時の撹拌体の反転時に生じる洗濯槽の共回り
を、従来と同じ操作力を用いながら、充分に阻止するこ
とができるブレーキ力を発揮させることができ、以て、
高価なスプリングクラッチ機構等のワンウェイクラッチ
機構を省くことが出来ながら、或いは一基のバンドブレ
ーキ機構の操作力（バネ）を高めことのできる高強度の
パーツを準備したり、強いブレーキ操作力を生み出すた
めの操作機構を設けたりする必要もなく、優れた制動機
能を発揮する電気洗濯機のコストダウンを図ることが出
来るという顕著な効果を奏するに至ったのである。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明にかかる電気洗濯機に於ける制動装置の
全体の一部切り欠き断面図である。

【図２】本発明にかかる電気洗濯機に於ける制動装置の
要部の縦断面である。

【図３】本発明にかかる電気洗濯機に於ける制動装置の
原理図である。

【図４】従来技術を示す電気洗濯機に於ける制動装置の
全体の縦断側面図である。

【符号の説明】

１ 洗濯槽 ２ 撹拌体 ３ 撹拌体駆動系 ４ 洗濯槽駆動系 ５ スプリングクラッチ機構 ６ バンドブレーキ機構 ７ 第２のバンドブレーキ機構

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】電動モーターからの駆動によって洗濯槽１
   内の撹拌体２を正逆回転駆動する撹拌体駆動系３と、前
   記洗濯槽１を正又は逆回転によって脱水回転させる洗濯
   槽駆動系４とを備え、該洗濯槽駆動系４に、前記撹拌体
   駆動系３と該洗濯槽駆動系４とを入り切りするスプリン
   グクラッチ機構５と前記洗濯槽１の正又は逆回転を制動
   するバンドブレーキ機構６とを設け、前記スプリングク
   ラッチ機構５と前記バンドブレーキ機構６を背反的に連
   動連結させて常時前記スプリングクラッチ機構５を常時
   切り状態に付勢し、前記スプリングクラッチ機構５の入
   り状態においては前記撹拌体２と前記洗濯槽１とを一体
   的に回転駆動するよう構成した電気洗濯機に於ける制動
   装置であって、 前記バンドブレーキ機構６の効き方向と反対方向に効く
   ように設けた第２のバンドブレーキ機構７によって構成
   し、且つ、これらのバンドブレーキ機構６・７を同時作
   動するように互いに連動連結し、前記撹拌体２のみの正
   逆回転（洗濯時）の何れに際しても前記洗濯槽１の回転
   を制動停止させるように構成した、電気洗濯機に於ける
   制動装置。