JPH1067804A - キトサン誘導体およびその製造法並びにその用途 - Google Patents

キトサン誘導体およびその製造法並びにその用途

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JPH1067804A
JPH1067804A JP8228817A JP22881796A JPH1067804A JP H1067804 A JPH1067804 A JP H1067804A JP 8228817 A JP8228817 A JP 8228817A JP 22881796 A JP22881796 A JP 22881796A JP H1067804 A JPH1067804 A JP H1067804A
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deacetylation
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Masanori Kakimoto
本 雅 範 柿
Mitsuho Ushijima
島 光 保 牛
Shigeo Kasuga
日 繁 男 春
Sumihiro Shiraishi
石 澄 廣 白
Yoichi Itakura
倉 洋 一 板
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Wakunaga Pharmaceutical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【解決手段】 キチンを部分脱アセチル化した後、還元
処理して得ることができる、キトサン誘導体。 【効果】 このキトサン誘導体は、還元処理される前の
部分脱アセチル化されたキトサン誘導体と比較して、同
等の水溶性を有し、さらにその味、臭いは殆どなく、ま
た安定性に優れ、加温保存下においても殆ど着色しな
い。また、このキトサン誘導体は従来知られているキト
サンと同等な活性を有する。さらにこのキトサン誘導体
は、は難消化性デキストリンと組み合わせることで優れ
た排便促進効果を有することから、医薬および食品とし
ても有用である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の背景】発明の分野 本発明は、新規キトサン誘導体およびその製造法並びに
これを含んでなる医薬または食品に関する。更に詳細に
は、本発明は、部分脱アセチル化したキトサンを還元処
理して得られるキトサン誘導体およびその製造法並びに
これと難消化性デキストリンとを含んでなる便秘改善作
用を有する医薬または食品に関する。
【0002】背景技術 近年、カニ、エビ等の甲殻類の殻の構成成分であるキチ
ンを脱アセチル化して得られるキトサンがコレステロー
ルや胆汁酸と相互作用して吸収を阻害すると報告され、
食品分野でその有効利用が注目されている[M.Sugano et
al:Lipid, 23,187(1988) 、Y.Maejima et al:Bios
ci.Biotech.Biochem. ,57,1439(1993)]。
【0003】現在、キトサンは粉末、錠剤、ソフトカプ
セルの形態で既に商品化されているが、これらの商品に
用いられているキトサンは殆ど水に溶解せず、ドリンク
等の液剤として製品化する場合、乳酸、酢酸等の有機酸
を使用しなければならない。また、キトサンは鉄、マグ
ネシウム、カルシウム等のミネラルと錯塩を形成するこ
とが知られており、多量に服用すると栄養素であるミネ
ラルの吸収を阻害する可能性がある。更に、キトサンは
収斂性の強烈なエグ味を有しており、ドリンク剤、粉
末、散剤等への配合は好ましくない。
【0004】この様な問題点を解決するために種々の検
討がなされている。例えば、キトサンの溶解性を上げる
ために、低分子キトサンが開発されている。しかし、低
分子化によってキトサンのコレステロール低下作用は著
しく低下し、更に、褐変反応を生じ易く、安定性にも問
題がある。
【0005】また、キトサンのエグ味を軽減するため、
種々の添加物を用いて味のマスキングが検討されている
(特開平2−283261号公報)。しかし、いまだ十
分な改善方法は見い出されていない。
【0006】一方、キチンを部分脱アセチル化すると、
脱アセチル化度が約50%で可溶性のキトサンが得られ
ることが知られている[Sannan,S .et al : Macromo
l .Chem., 177, 3589 (1976) 、最後のバイオマス キ
チン、キトサン1988年刊)]。しかしながら、このキト
サン誘導体の物性、安定性、薬理作用、および大量生産
法等に関する詳細な検討は行われておらず、実用化に至
ってない。また、これらの部分的アセチル化体は、本発
明者等の行った実験によれば、褐変反応を生じ易く、安
定性に欠けるものである。
【0007】また、近年、食生活の向上および欧米化に
伴って澱粉などの複合多糖類を含む穀物食品の摂取が少
なくなり、高エネルギーの脂肪食品あるいは精製加工食
品の摂取が多くなってきた。それに伴い、便秘、糖尿
病、高脂血症、高血圧症等のいわゆる成人病が増加し、
大きな社会問題になりつつある。特に、長期の便秘症は
不快感だけでなく、大腸の腸管壁に蓄積する宿便の原因
となり、この宿便が大腸癌等の様々な疾病を引き起こす
と言われている[Burkitt,D.P.:Cancer,28,3(1971)、
Burkitt,D.P. et al:Lancet,30,1408(1972) ]。
【0008】便秘改善を目的とする薬物は主に寫下薬、
例えば、酸化マグネシウム等の塩類下剤、カルメロース
カルシウム等の膨潤性下剤、ビサコジル等の刺激性下
剤、ヒマシ油等の峻下剤が常用されている。しかし、い
づれの薬物も服用時に腹痛等の不快感を伴うという欠点
を有しており、また激しい下痢による脱水症状の危険性
を含んでいる。そこで、より緩和な作用を期待してポリ
デキストロース、セルロース等の食物繊維を含有する製
品が開発されているが、排便促進効果は食物繊維中の繊
維含量に大きく影響されること、また食物繊維の多量摂
取は、鉄、マグネシウム、カルシウム等のミネラルの吸
収阻害を引き起こす[ 野村 誠,他:臨床栄養誌,13,
141(1992)]等の問題を抱え、今だ十分な製品開発がなさ
れていない。
【0009】
【発明の概要】本発明者等は、今般、部分脱アセチル化
したキトサンを更に還元処理することにより、溶解性に
優れ、かつ収斂性のエグ味が殆ど無い極めて安定なキト
サン誘導体が得られるとの知見を得た。さらに、このキ
トサン誘導体が従来知られているキトサンと同等な活性
を有すること、さらには難消化性デキストリンと組み合
わせることで優れた排便促進効果を有することを見出し
た。本発明はかかる知見に基づくものである。
【0010】従って、本発明は、安定で、エグ味のない
効力的に有効なキトサン誘導体およびその製造法の提供
をその目的としている。
【0011】また本発明は、上記キトサン誘導体を含ん
だ医薬または食品、とりわけ便秘改善作用を有する医薬
または食品の提供をその目的としている。
【0012】そして、本発明によるキトサン誘導体は、
キチンを部分脱アセチル化した後、還元処理して得るこ
とができるものである。
【0013】また本発明による医薬または食品、とりわ
け便秘改善作用を有する医薬または食品は、上記本発明
によるキトサン誘導体と、場合によって食物繊維を含ん
でなるものである。
【0014】
【発明の具体的説明】キトサン誘導体およびその製造法 本発明によるキトサン誘導体は、キチンを部分脱アセチ
ル化した後、還元処理して得ることができる。より具体
的には、本発明によるキトサン誘導体は、精製キチンを
低温下でアルカリ処理して、部分脱アセチル化した後、
末端アルデヒドを還元処理することにより得られるもの
である。還元は、水素化ホウ素ナトリウムなどの水素化
ホウ素還元剤によるのが好ましい。また、この還元は他
の還元法によって行われてもよいが、その還元の程度は
水素化ホウ素ナトリウムによるものと同程度であるのが
好ましい。
【0015】本発明によるキトサン誘導体は、還元処理
される前の部分脱アセチル化されたキトサン誘導体と比
較して、同等の水溶性を有する。さらに、その味、臭い
は殆どなく、また安定性に優れ、加温保存下においても
殆ど着色しないとの利点を有する。
【0016】本発明の好ましい態様によれば、脱アセチ
ル化度は20〜80%程度が好ましく、より好ましくは
40〜60%である。また、本発明の好ましい態様によ
れば、キトサン誘導体の平均分子量は50, 000〜5
00, 000程度が好ましく、より好ましくは100,
000〜300,000程度である。
【0017】本発明によるキトサン誘導体の構造は複数
種の構造を有するキトサン誘導体の混合物であると考え
られ、また一方で部分脱アセチル化後、還元処理に付さ
れて得られたキトサン誘導体であれば上記の利点を有す
ることから、その構造の特定は本発明の実施にあたり必
須ではない、と理解されてよい。しかしながら、本発明
の予想される一つの態様として、本発明によるキトサン
誘導体は、下記の式(I)で表される化合物であると考
えられる。
【0018】
【化3】 (式中、nは20〜1400の整数を表し、Rは水素原
子または基COCH3 を表し、但し分子中のすべてのR
のうち20〜80%は基COCH3 を表す)。
【0019】さらに、場合によって上記式(I)で表さ
れる化合物は、上記還元処理によってさらに還元され、
下記の式(II)で表されるキトサン誘導体の構造となる
ことがある。
【0020】
【化4】 (式中、nは20〜1400の整数を表し、Rは水素原
子または基COCH3 を表し、但し分子中のすべてのR
のうち20〜80%は基COCH3 を表す)。
【0021】よって、本発明によるキトサン誘導体と
は、場合によって上記式(I)で表される化合物と、上
記式(II)で表されるキトサン誘導体との混合物である
ことがある。
【0022】本発明によるキトサン誘導体の製造法は、
キチンを部分脱アセチル化する工程と、部分脱アセチル
化体を還元処理する工程からなる。還元処理工程は、具
体的には部分脱アセチル化体の末端アルデヒドを還元す
る工程である。部分脱アセチル化工程および還元処理工
程は、それぞれ公知の反応に準じて実施されてよい。す
なわち、キチンの部分脱アセチル化は、公知の脱N−ア
セチル化の方法によってよく、好ましくはアルカリまた
は酸と加熱して加水分解することによって実施すること
ができる。また、還元処理は前記のとおり、水素化ホウ
素ナトリウムなどの水素化ホウ素還元剤によるのが好ま
しい。また、本発明によるキトサン誘導体の製造法にお
いて、部分脱アセチル化と還元処理は同時に行われても
よい。
【0023】キトサン誘導体の用途/便秘改善作用を有
する医薬または食品 本発明によるキトサン誘導体は、その水溶性が改善さ
れ、さらにその味、臭いが殆どなく、また安定性に優
れ、加温保存下においても殆ど着色しないとの性質を有
する一方で、その生物学的な活性において、従来知られ
たキトサンと同等である。よって、本発明によるキトサ
ン誘導体は、基本的に従来知られたキトサンおよびその
誘導体の用途に用いることができる。具体的には、本発
明によるキトサン誘導体をそのまま、または担体および
場合によって他の生物学的に活性な化合物と混合された
組成物として、次のような用途に利用されてよい。すな
わち、食品保存剤(キトサンの抗菌性を利用)、健康食
品(例えばキトサンのコレステロール低下作用を利
用)、Drug Delivery System(DDS)担体、マイクロ
カプセル、人工皮膚、手術用縫合糸、凝集剤(キトサン
の微生物を凝集させる作用を利用)、クロマトグラフィ
ー用担体(イオン交換、アフィニティークロマト)、分
離機能膜などの用途に用いることができる。
【0024】さらに、本発明者らは、本発明によるキト
サン誘導体が便秘改善作用を有するとの知見を得た。こ
の便秘改善作用は、食物繊維、好ましくは難消化性デキ
ストリン、と併用されることでより向上させることが可
能となった。
【0025】従って、本発明によれば、本発明によるキ
トサン誘導体を含んでなる医薬組成物または食品、具体
的には便秘改善作用を有する医薬組成物または食品が提
供される。
【0026】本発明において用いられる難消化性デキス
トリンはそれ自身公知であり、例えば、澱粉科学、3
7、107(1990)に従って合成するか、市販され
ているものを使用することができる。キトサン誘導体と
難消化性デキストリンとの配合品は、その便秘改善作用
が得られる範囲で適宜決定されてよいが、例えば重量比
で1:1〜1:1000程度が好ましく、より好ましく
は1:2〜1:500程度である。
【0027】キトサン誘導体と難消化性デキストリンは
いずれも水溶性であるため、液剤または飲料として利用
できる。また、常法にしたがって通常の医薬、食品の形
態、例えば錠剤、カプセル剤、顆粒剤および散剤等にす
ることができる。さらに、日常の食品または食品原料に
混入させた形態のものであってもよい。
【0028】必要に応じて、通常の賦形剤、結合剤、保
存剤、甘味剤、ビタミン、香料、ミネラルおよびその他
の補助成分等を配合してもよい。例えば、鉄、ヘム鉄、
乳酸鉄、クエン酸鉄、ピロリン酸第一鉄、カルシウム、
グルコン酸カルシウム、乳酸カルシウム、炭酸カルシウ
ム等、マグネシウム、塩化マグネシウム、硫酸マグネシ
ウム等から選ばれた一種または数種のミネラルを配合す
ることができる。
【0029】摂取量は1日あたりキトサン誘導体と難消
化性デキストリンの合計で、通常1〜20g/60kg
体重が好ましい。
【0030】上記の難消化性デキストリンおよびキトサ
ンは食品添加物としてすでに使用実績があり、それらの
安全性は確かめられている。また、還元処理して得られ
る本発明キトサン誘導体も安全性に何等問題はない。
【0031】
【実施例】本発明を以下の実施例によって詳細に説明す
るが、本発明はこれら実施例に限定されるものではな
い。
【0032】例1:キトサン誘導体の製造法(その1) 粉末キチン(80メッシュ篩過品)30gを40%水酸
化ナトリウム溶液700gに懸濁し、減圧下、25℃で
3時間放置した。この懸濁液を撹拌しながら、これに粉
砕した氷2.3kgを加え、25℃で77時間放置し
た。この溶液を約5℃に冷却し、更に氷2kgを加え、
塩酸および希塩酸でpH8.5に調整した。続いて、こ
の反応溶液を、0℃に冷却したアセトン・水混液(アセ
トン:水=7:1)20リットル中に滴下し、生成した
沈殿物を濾過し、アセトン・水混液で洗浄した後、減圧
乾燥して、白色繊維状の部分脱アセチル化キトサン21
gを得た。
【0033】得られた部分脱アセチル化キトサン20g
を水2リットルに溶解し、水素化ホウ素ナトリウム2g
を加え、室温で12時間撹拌した後、反応液をアセトン
・水混液10リットルに滴下した。生成した沈殿物を濾
過し、アセトン・水混液で洗浄した後、減圧乾燥して、
キトサン誘導体を得た(脱アセチル化度:49.5
%)。
【0034】例2:キトサン誘導体の製造法(その2) 粉末キチン(80メッシュ篩過品)30gを40%水酸
化ナトリウム溶液700gに懸濁し、減圧下、25℃で
3時間放置した。この懸濁液を撹拌しながら、これに粉
砕した氷2.3kgを加え、水素化ホウ素ナトリウム2
gを加え、25℃で77時間放置した。この溶液を約5
℃に冷却し、更に氷2kgを加え、塩酸および希塩酸で
pH8.5に調整した。続いて、この反応溶液を、0℃
に冷却したアセトン・水混液(アセトン:水=7:1)
20リットル中に滴下し、生成した沈殿物を濾過し、ア
セトン・水混液で洗浄した後、減圧乾燥して、キトサン
誘導体を得た(脱アセチル化度:50.5%)。
【0035】例3:キトサン誘導体の安定性 本発明によるキトサン誘導体(脱アセチル化度:50.
2%)の水溶液(1%溶液)を50℃および60℃で1
4日間保存し、溶液の色差の変化を指標に、その安定性
を調べた。なお、色差は色差計(日本電色工業製)を用
いて4℃保存試料を対照として測定した。
【0036】また、比較のため非還元部分脱アセチル化
キトサン溶液(平均分子量20500、脱アセチル化度
47%;甲陽ケミカル製)および低分子キトサン溶液
(平均分子量4000、脱アセチル化度:69.7%;
共和テクノス製)(いずれも1%溶液)、更に各溶液に
グルコースおよび乳酸第一鉄をそれぞれ12%、0.0
12%添加した溶液についても同様に評価した。
【0037】その結果は、次の第1表に示される通りで
あった。
【0038】更に本発明によるキトサン誘導体は鉄イオ
ンとの錯塩形成による沈殿を全く生じず、安定性に優れ
ていた。 第1表 キトサンの安定性 色差(ΔE値) 50℃保存 60℃保存 本発明キトサン誘導体 単独 0.22 0.15(変化なし) グルコース+鉄 0.12 0.25(変化なし) 低分子キトサン 単独 2.80 6.16(黄変) グルコース+鉄 2.89 12.81(褐変) 非還元キトサン 単独 1.56 2.05(少し黄変) グルコース+鉄 2.71 3.52(少し黄変)
【0039】例4:味に関する官能試験 健常人(男性5名、女性3名)を対象に本発明によるキ
トサン誘導体(脱アセチル化度:50.2%)、低分子
キトサン(前記例3と同様のもの)および市販キトサン
(脱アセチル化度:88.3%)の粉末と溶液について
それぞれ官能試験を実施した。それぞれの溶液のエグ味
を次のような基準で評価しし、各人の評価の平均点を評
価値として得た。 その結果は、次の第2表に示される通りであった。 *市販キトサン溶液は0. 1%乳酸溶液で調製した。
【0040】例5:排便促進効果 3種類の水溶性食物繊維、難消化性デキストリン、コー
ンファイバー、またはポリデキストロースをそれぞれ1
20gと、部分脱アセチル化キトサン(脱アセチル化
度:50.2%)10gとを精製水に溶解し、下記の第
3表に示されるような組成の被験溶液を調製した。なお
各被験溶液は、塩化ナトリウム、塩化カリウム、クエン
酸およびクエン酸ナトリウムを用いてほぼ等張溶液(2
85〜295mOsm)になるように調製した。 第3表 被験溶液の組成 実験例1 実験例2 実験例3 難消化性デキストリン 12% − − コーンファイバー − 12% − ポリデキストロース − − 12% 本発明キトサン誘導体 1% 1% 1% 塩化ナトリウム 0. 117% 0. 117% 0. 117% 塩化カリウム 0. 037% 0. 037% 0. 037% クエン酸ナトリウム 適量 適量 適量クエン酸 0. 168% 0. 168% 0. 168% 市販精製飼料(日本クレア製)に酸化第二クロムを5%
添加し、均一に攪袢して標準飼料を調製した。この標準
飼料1gを12時間絶食したマウスに与え、2時間後に
上で調製した被験溶液および生理食塩水(対照溶液)を
30ml/kg(0.9ml/匹)経口投与した。投与
後、繁殖ゲージに1匹づつ収容し、給餌と給水を行っ
た。被験溶液投与後、30分毎に***糞を観察し、緑色
の糞(酸化第二クロムで着色された糞)が***されるま
で時間を測定し、これを排便時間とした。
【0041】その結果は次の第4表に示されるとおりで
あった。表から明らかなように、食物繊維と本発明によ
るキトサン誘導体とを含有する被験溶液は排便促進効果
が認められ、特に難消化性デキストリンを配合した実験
例1は顕著に排便が促進された。 *:p<0.05
【0042】例5:コレステロール低下効果 SD系雄性ラット(3.5週齢)に粉末CE- 2飼料
(日本クレア製)で6日間飼育し、血中総コレステロー
ル、トリグリセライド、および体重を指標にして1群8
匹に群分けした。各群に下記の第5表に示される実験飼
料を20日間与えた。表中の数値はすべて重量%であ
る。 第5表 実験飼料の組成 実施例4 実施例5 対照飼料A 対照飼料B ショ糖 60.17 49.17 60.17 60.17 カゼイン 20 20 20 20 ラード 10 10 10 10 ビタミン 1 1 1 1 ミネラル 4 5 4 5 重酒石酸コリン 0.2 0.2 0.2 0.2 コレステロール 0.5 0.5 0.5 0.5 コール酸 ナトリウム 0.13 0.13 0.13 0.13 結晶セルロース − − 4 − 市販キトサン*1 − − − 4 本発明による キトサン誘導体*2 4 4 − − 難消化性 デキストリン − 10 − − *1:脱アセチル化度:88.3% *2:脱アセチル化度:50.2% その後、尾静脈より採血して血漿中コレステロール、ト
リグリセライド、および総脂質を測定した。また、各ラ
ットの肝重量および精巣上体付着脂肪量を測定した。な
お、飼料は自由給餌とした。
【0043】以上の結果は、下記の第6表に示されると
おりであった。 第6表 体重増加量および血液生化学パラメータ 体重増加量 血清総コレステロール 血清総脂質 血清リン脂質 (g) (mg/ dl) (mg/ dl) (mg/ dl) 実施例4群 158.7±9.5 198.6±26.1* 515.9±31.8* 132.5±6.4 * 実施例5群 158.4±4.4 192.5±21.1* 501.0±29.7* 129.7±5.3 * 対照飼料A群 156.6±7.6 450.5±53.0 821.5 ±72.5 176.1±12.2対照飼料B群 161.3±4.7 190.9±12.3* 496.0±36.5* 133.9±5.4 * *:P<0.05 第7表 臓器重量 肝臓重量 精巣付着脂肪重量 (g/100g体重) (g/100g体重) 対照飼料群 4. 57±0. 12 1. 17±0. 13 A飼料群 4. 28±0. 15 1. 11±0. 09 B飼料群 4. 04±0. 10* 1. 05±0. 09 C飼料群 4. 01±0. 06* 0. 94±0. 10 *:P<0.05 表から明らかなように、本発明によるキトサン誘導体を
含む飼料を与えられた群では、いずれの血液生化学パラ
メータも対照飼料群に比べて有意に低下し、本発明によ
るキトサン誘導体も市販キトサンと同等の強いコレステ
ロール低下作用および脂質の吸収阻害作用を有すること
が判った。
【0044】また、市販キトサン配合飼料群の肝臓重量
は対照飼料群に比べて減少する傾向を示した。一方、本
発明によるキトサン誘導体配合飼料では、明らかに肝臓
重量が低下した。更に対照飼料群で脂肪肝の所見が観察
されたが、本発明によるキトサン誘導体配合飼料群では
殆ど観察されなかった。また内臓脂肪の指標である精巣
付着脂肪重量は本発明によるキトサン誘導体配合飼料群
で減少傾向を示した。これらの結果より、本発明による
キトサン誘導体がコレステロール低下および脂質の吸収
阻害作用を有する素材であることは明らかである。
【0045】例6:製剤例/顆粒剤 次の第8表に示される組成物を混合機(PM−5W、菊
水製作所製)で混合した後、水を加えて練合し、押し出
し造粒機(DOME GRAN 、不二パウダル製)で径0.8m
mの柱状造粒物とし、更に整粒、乾燥後、篩過して顆粒
を得た。本顆粒は胃内崩壊性に優れ、分包等の包装形態
で提供することができる。
【0046】例7:製剤例/錠剤 次の第9表に示される組成で各成分を混合し、打錠機
(コレクト19K、菊水製作所製)を用いて径8mm、
重量150mgの錠剤を製した。本錠剤は打錠性、硬度
および胃内崩壊性に優れていた。
【0047】例8:製剤例/ドリンク剤 次の第10表に示される組成のドリンク剤を試作した。
本ドリンク剤は溶解性、安定性に優れていた。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 白 石 澄 廣 広島県高田郡甲田町下甲立1624 湧永製薬 株式会社内 (72)発明者 板 倉 洋 一 広島県高田郡甲田町下甲立1624 湧永製薬 株式会社内

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】キチンを部分脱アセチル化した後、還元処
    理して得ることができる、キトサン誘導体。
  2. 【請求項2】脱アセチル化度が20〜80%である、請
    求項1に記載のキトサン誘導体。
  3. 【請求項3】平均分子量が50, 000〜500, 00
    0である、請求項1または2に記載のキトサン誘導体。
  4. 【請求項4】下記の式(I)で表される化合物である、
    請求項3に記載のキトサン誘導体。 【化1】 (式中、nは20〜1400の整数を表し、Rは水素原
    子または基COCH3 を表し、但し分子中のすべてのR
    のうち20〜80%は基COCH3 を表す)。
  5. 【請求項5】キチンを部分脱アセチル化した後、還元処
    理することを含んでなる、キトサン誘導体の製造法。
  6. 【請求項6】脱アセチル化度が40〜60%である、請
    求項5に記載の製造法。
  7. 【請求項7】請求項1〜4のいずれか一項記載のキトサ
    ン誘導体を含んでなる、組成物。
  8. 【請求項8】式(II)で表されるキトサン誘導体を更に
    含んでなる、請求項7に記載の組成物。 【化2】 (式中、nは20〜1400の整数を表し、Rは水素原
    子または基COCH3 を表し、但し分子中のすべてのR
    のうち20〜80%は基COCH3 を表す)。
  9. 【請求項9】医薬組成物または食品である、請求項7ま
    たは8に記載の組成物。
  10. 【請求項10】請求項1〜4のいずれか一項記載のキト
    サン誘導体または請求項7または8に記載の組成物と、
    食物繊維とを含んでなる、医薬組成物または食品。
  11. 【請求項11】食物繊維が難消化性デキストリンであ
    る、請求項10に記載の医薬組成物または食品。
  12. 【請求項12】便秘改善作用を有する、請求項10また
    は11に記載の医薬組成物または食品。
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