JPH1064118A - 情報記録ディスク - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 記録されている情報信号の不正な複製を防止
することができる情報記録ディスクを提供すること。 【解決手段】 光を用いて情報が再生される情報記録デ
ィスク１に、前記光の反射率が低い低反射率部と、前記
光の反射率が高い高反射率部とを備える。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】この発明は、光を用いて情報
が再生される情報記録ディスクに関し、特に記録されて
いる情報信号の不正な複製を防止することができる情報
記録ディスクに関するものである。

【０００２】

【従来の技術】情報記録ディスクとしては、例えば光を
用いて情報が再生されるコンパクトディスク等の光ディ
スクがある。この光ディスクの情報を再生する光ディス
ク装置は、例えば以下のように動作する。即ち、光ディ
スク装置に内蔵されている光学ピックアップの発光素子
が、レーザー光等の光を回転駆動される光ディスクの信
号記録面に対して照射し、光学ピックアップの受光素子
が、この光ディスクの信号記録面からの戻り光を検出し
て情報信号に変換する。そして、光ディスク装置に内蔵
されている再生回路が、その情報信号を読み取ることに
より情報を再生する。

【０００３】このような光ディスクは、ポリカーボネイ
ト（ＰＣ）、ポリメチルメタクリレート（ＰＭＭＡ）等
の透明な合成樹脂材料によって形成されるディスク基板
を備えている。このディスク基板の主面上には、所定の
ピット等により情報信号が記録されている情報信号層が
設けられており、さらに、この情報信号層の表面には、
光を反射させるためのアルミニウム薄膜等の反射膜が成
膜されている。

【０００４】そして、情報信号層を機械的、化学的に保
護するために保護層が設けられている。この光ディスク
は単層構造であり、その透明なディスク基板は通常１．
２ｍｍの厚みを有している。発光素子からの光は、ディ
スク基板を透過して情報信号層に照射される。そして、
情報信号層に成膜されている反射膜で反射された戻り光
の位相変化等が、受光素子にて検出されるようになって
いる。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】上述した従来の情報記
録ディスクである光ディスクに記録されている情報信号
を不正に複製しようとする場合は、例えば以下の方法が
ある。先ず、光ディスクにおける保護層を剥がし、反射
膜を除去してディスク基板単体とする。そして、そのデ
ィスク基板を基にスタンパを作成し、このスタンパによ
り通常の製法で光ディスクを作成する。これにより、情
報信号を不正に複製した光ディスクを得ることができ
る。

【０００６】また、再生機を使って光ディスクからプロ
グラム信号をデジタル信号で取り出し、そのデジタル信
号により通常の製法で光ディスクを作成する。これによ
っても、情報信号を不正に複製した光ディスクを得るこ
とができる。このように、従来の情報記録ディスクで
は、比較的簡単に情報信号が不正複製されてしまうの
で、正規のメーカーにとって問題であった。

【０００７】この発明は、以上の点に鑑み、記録されて
いる情報信号の不正な複製を防止することができる情報
記録ディスクを提供することを目的としている。

【０００８】

【課題を解決するための手段】上記目的は、この発明に
よれば、光を用いて情報が再生される情報記録ディスク
において、前記光の反射率が低い低反射率部と、前記光
の反射率が高い高反射率部とを備えることにより達成さ
れる。

【０００９】上記構成によれば、例えば低反射率部に記
録されている信号の複製が困難なように低反射率部を形
成しておくと共に、低反射率部に記録されている信号を
読み取らないと高反射率部に記録されている信号を読み
取ることができないようにしておくことにより、たとえ
高反射率部に記録されている信号が不正に複製されて
も、その複製信号による正常な再生を不可能とすること
ができる。

【００１０】

【発明の実施の形態】以下、この発明の好適な実施形態
を添付図を参照しながら詳細に説明する。尚、以下に述
べる実施形態は、この発明の好適な具体例であるから、
技術的に好ましい種々の限定が付されているが、この発
明の範囲は、以下の説明において特にこの発明を限定す
る旨の記載がない限り、これらの形態に限られるもので
はない。

【００１１】図１は、この発明の情報記録ディスクの実
施形態である光ディスクを示す概略断面側面図である。
この光ディスク１は、ポリカーボネイト（ＰＣ）、ポリ
メチルメタクリレート（ＰＭＭＡ）等の透明な合成樹脂
材料によって円盤状に形成されたディスク基板２を備え
ている。このディスク基板２の主面上には、所定のピッ
ト等により情報信号等が記録されている信号層３が設け
られている。そして、ディスク基板２の信号層３側に
は、屈折率が約２となる色素含有層４が設けられてい
る。尚、図示していないが、色素含有層４のみでは信号
層３の機械的、化学的な保護に問題があるときは、フッ
素系樹脂やシリコン樹脂等で成る保護層が設けられる。

【００１２】図２は、このような光ディスク１の詳細を
示す要部断面側面図である。ディスク基板２の主面上に
形成されている信号層３は、情報信号が記録されている
情報信号層３ａ及びこの情報の再生を許可する信号、例
えば所定のＩＤ（Ｉｄｅｎｔｉｆｉｃａｔｉｏｎ ｎｕ
ｍｂｅｒ）信号が記録されているＩＤ信号層３ｂに分類
される。情報信号層３ａは、通常の光ディスクと同様の
領域内に設けられており、情報信号に対応した凹凸パタ
ーンが形成されている。ＩＤ信号層３ｂは、リードイン
の内側及びリードアウトの外側の領域、あるいはいずれ
か一方の領域内に設けられており、ＩＤ信号に対応した
凹凸パターンが形成されている。

【００１３】情報信号層３ａの表面には、光を反射させ
るためのアルミニウム薄膜等の反射膜５が例えば５００
オングストロ−ム程度成膜されているが、ＩＤ信号層３
ｂの表面には、光を反射させるためのアルミニウム薄膜
等の反射膜は成膜されていない。そして、ディスク基板
２の情報信号層３ａ及びＩＤ信号層３ｂの側には、光を
多少反射させるための色素含有層４が設けられている。

【００１４】従って、ディスク基板２を透過してくる光
は反射膜５あるいは色素含有層４で反射されるので、情
報信号層３ａが形成されている領域は、光に対する反射
率が例えば７０パ−セント以上の高反射率部となり、Ｉ
Ｄ信号層３ｂが形成されている領域は、光に対する反射
率が例えば１５パ−セントから２５パ−セントの低反射
率部となる。さらに、色素含有層４の表面には印刷層６
が設けられている。この印刷層６には、情報信号層３ａ
に記録された情報信号により再生される情報の内容や図
柄等がインク等により印刷されている。

【００１５】このような構成の光ディスク１を作成する
場合は、ＩＤ信号層３ｂがリードインの内側及びリード
アウトの外側の領域、あるいはいずれか一方の領域内と
なるようにフォーマット上で定めておくと共に、ＩＤの
番号や番号の組み合わせをハード側と予め取り決めてお
き、スタンパのカッティング時にＩＤを入れる。そし
て、このスタンパを用いて従来の光ディスクと同様の製
法により作成する。

【００１６】ここで、色素含有層４としては、その厚さ
や光学定数等を調整することにより、光に対する反射率
が１５パ−セントから２５パ−セントの低反射率部を構
成することができるものが使用される。特に、色素含有
層４の複素屈折率の実数部が１．８４以上であると、厚
さの調整のみで光に対する反射率を１５パ−セントから
２５パ−セントとすることができるので有利である。色
素含有層４として例えば色素と高分子材料の混合物を用
いる場合は、それらの混合比を制御することにより、複
素屈折率の実数部を所望の値に調整することができる。

【００１７】色素としては、色素含有層４の複素屈折率
の実数部が１．８４以上となり得るものであれば有機色
素、無機色素のいずれでも良い。有機色素としては、例
えば化１や化２に示すシアニン色素等が挙げられる。化
１に示すシアニン色素としては、ＮＫ５２９、ＮＫ３７
５０、ＮＫ２６７０、ＮＫ３７５１（以上、日本感光色
素社製、商品名）、化２に示すシアニン色素としては、
ＳＲＣ−８（ソニ−社製、商品名）等がある。尚、シア
ニン色素を使用する場合には、保存安定性に優れること
からイオン半径が０．２９４ｎｍ以上のカウンターイオ
ンを有するものが好ましい。

【００１８】

【化１】

【化２】

【００１９】また、色素を２種類以上とすると、特に再
生光波長付近において、照射光波長に依存した反射率変
動が抑えられ、再生信号が安定する。即ち、照射光の波
長は変動するが、色素含有層４は照射光波長によって反
射率が変動する性質がある。このため、色素含有層４の
照射光波長に依存した反射率変動量が大きい場合には、
再生に際して反射率が変動し、再生信号が不安定にな
る。そこで、色素含有層４に２種類以上の色素を含有さ
せると、照射光波長に依存した反射率変動を小さくする
ことができる。

【００２０】高分子材料としては、色素との相溶性を考
慮して選択することが望ましく、例えば色素として上記
有機色素を使用する場合には、ポリビニルブチラ−ル等
が用いられる。尚、色素含有層４には、色素の光退色を
防止する目的で添加剤を添加するようにしても良い。添
加剤としては、アミン類等の電子供与性のある材料、ニ
ッケル錯体等の色素の励起状態のエネルギ準位より低い
エネルギ準位を有する材料等が使用される。

【００２１】上述した光ディスク１の光ディスク装置の
構成としては、光学ピックアップがＩＤ信号層３ｂまで
移動してＩＤ信号を読み取ることができるようにしてお
くと共に、読み取ったＩＤ信号は再生回路内でのみ使用
し、再生回路外に取り出せないようにしておく。そし
て、光ディスク１が光ディスク装置にセットされたら、
最初にＩＤ信号を読み取りにいくようにする。

【００２２】読み取ったＩＤ信号が正規のものであれ
ば、情報の再生が許可できるとして情報信号層３ａの情
報信号を通常の方法により読み取ってその情報を再生す
るようにする。一方、読み取ったＩＤ信号が不正のもの
であったり、ＩＤ信号が読み取れないときは、情報の再
生は許可できないとしてその光ディスクを例えば光ディ
スク装置外へ排出するようにする。

【００２３】以上のような光ディスク１に記録されてい
る情報信号を不正に複製するためにディスク基板単体に
しようとしても、従来の光ディスクはディスク基板と保
護層の間に金属の反射膜が介在していたのでディスク基
板単体にすることが容易であったが、この光ディスク１
はディスク基板２のＩＤ信号層３ｂと色素含有層４の間
に金属の反射膜が介在せず、樹脂同士が直接密着してい
るので、ディスク基板単体にすることは困難である。

【００２４】従って、情報信号層３ａのみの情報信号し
か不正に複製することができないので、光ディスクとし
ても上述した理油により結果的に光ディスク装置で情報
を再生することができない。また、ＩＤ信号を光ディス
ク装置から取り出すことができないので、光ディスクと
しても上述した理油により結果的に光ディスク装置で情
報を再生することができない。

【００２５】尚、上述した実施形態では、コンパクトデ
ィスクのような単盤の光ディスクについて説明したが、
例えばＤＶＤのような接着剤としてホットメルトやＵＶ
樹脂により２枚のディスクを信号記録面同士で張り合わ
せた光ディスクにも適用可能である。

【００２６】

【発明の効果】以上述べたように、この発明によれば、
記録されている情報信号の不正な複製を防止することが
できるので、情報記録ディスクの正常な流通形態を維持
することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】この発明による情報記録ディスクの実施形態で
ある光ディスクを示す概略断面側面図。

【図２】図１の光ディスクの詳細を示す要部断面側面
図。

【符号の説明】

１・・・光ディスク、２・・・ディスク基板、３・・・
信号層、３ａ・・・情報信号層、３ｂ・・・ＩＤ信号
層、４・・・色素含有層、５・・・反射膜、６・・・印
刷層

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 光を用いて情報が再生される情報記録デ
   ィスクにおいて、 前記光の反射率が低い低反射率部と、 前記光の反射率が高い高反射率部とを備えたことを特徴
   とする情報記録ディスク。
2. 【請求項２】 前記低反射率部には、前記情報の再生を
   許可する信号が記録され、前記高反射率部には、前記情
   報の信号が記録される請求項１に記載の情報記録ディス
   ク。
3. 【請求項３】 前記低反射率部は、前記情報再生許可信
   号が記録されるディスク基板と、前記ディスク基板の屈
   折率と異なる屈折率を有する層とから構成されている請
   求項１に記載の情報記録ディスク。