JPH1059754A - セメント補強用ポリプロピレン繊維およびセメント成型体 - Google Patents

セメント補強用ポリプロピレン繊維およびセメント成型体

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JPH1059754A
JPH1059754A JP23729396A JP23729396A JPH1059754A JP H1059754 A JPH1059754 A JP H1059754A JP 23729396 A JP23729396 A JP 23729396A JP 23729396 A JP23729396 A JP 23729396A JP H1059754 A JPH1059754 A JP H1059754A
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fiber
cement
polypropylene
weight
mfr
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JP23729396A
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Yosuke Takai
庸輔 高井
Kenji Yamashita
憲司 山下
Hidekazu Takeda
英和 竹田
Hiroshi Okaya
洋志 岡屋
Shiyuuon Murata
秀恩 村田
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Daiwa Boseki KK
Daiwabo Co Ltd
Original Assignee
Daiwa Boseki KK
Daiwabo Co Ltd
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    • C04BLIME, MAGNESIA; SLAG; CEMENTS; COMPOSITIONS THEREOF, e.g. MORTARS, CONCRETE OR LIKE BUILDING MATERIALS; ARTIFICIAL STONE; CERAMICS; REFRACTORIES; TREATMENT OF NATURAL STONE
    • C04B20/00Use of materials as fillers for mortars, concrete or artificial stone according to more than one of groups C04B14/00 - C04B18/00 and characterised by shape or grain distribution; Treatment of materials according to more than one of the groups C04B14/00 - C04B18/00 specially adapted to enhance their filling properties in mortars, concrete or artificial stone; Expanding or defibrillating materials
    • C04B20/10Coating or impregnating
    • C04B20/1018Coating or impregnating with organic materials
    • C04B20/1022Non-macromolecular compounds
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C04CEMENTS; CONCRETE; ARTIFICIAL STONE; CERAMICS; REFRACTORIES
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    • C04B16/06Macromolecular compounds fibrous
    • C04B16/0616Macromolecular compounds fibrous from polymers obtained by reactions only involving carbon-to-carbon unsaturated bonds
    • C04B16/0625Polyalkenes, e.g. polyethylene
    • C04B16/0633Polypropylene
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高温下でのオートクレーブ養生に特に適した
ポリプロピレン繊維、及びこの繊維を含むセメント成型
体を提供する。 【解決手段】 メルトフローレートの低いポリプロピレ
ン樹脂を溶融紡糸して、メルトフローレートが2〜10
であるセメント補強用ポリプロピレン繊維を得る。ポリ
プロピレン樹脂は、Q値(Q;重量平均分子量/数平均
分子量の比)が5未満、沸騰n−ヘプタン不溶分(H
I;重量%)が97<HI<100、アイソタクチック
ペンタッド分率(IPF;モル%)が94<IPF<1
00であることがより好ましい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はセメント成型体を補
強するためのポリプロピレン繊維に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、石綿に替わるセメント補強用
繊維として種々の無機繊維、合成繊維の使用が提案さ
れ、実用に供されている。その中の一つとしてポリプロ
ピレン繊維がある。ポリプロピレンは耐アルカリ性に優
れており、セメント成型体を高温下で養生させた場合で
も脆化しにくいことから、近年汎用されつつある。
【0003】例えば、特開昭60−59113号、特開
昭62−41331号、特公平3−20505号公報に
はポリプロピレン樹脂を溶融紡糸したセメント補強用繊
維が記載されている。特開平1−122943号公報に
は、ポリプロピレン樹脂フィルムを***開繊させた補強
用繊維が提案されている。
【0004】本出願人も、ポリプロピレンの優れた性質
に着目し、より高強力のポリプロピレン繊維を提供すべ
く、特定の分子量を持ち、低結晶性成分が少なく、立体
規則性の極めて高い高結晶性ポリプロピレンからなる繊
維を特願平4−123959号(特開平5−17049
7号)において提案した。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】さて、最近の傾向とし
て、セメント成型体をオートクレーブ養生させる際の加
熱温度の上昇が認められる。これは、養生時間を短くし
て生産効率の向上を図ろうとすることによる。
【0006】しかし、加熱温度の上昇により、セメント
補強用繊維の補強効果は低下することが多い。即ち、高
い温度で養生すると、繊維が溶融あるいは軟化して繊維
の形状を失い、セメント成型体中で補強繊維として作用
することができなくなる。例えば、前述したポリプロピ
レン繊維を含む成型体を、175℃以上でオートクレー
ブ養生することは困難である。
【0007】かかる不都合を回避するには、融点の高い
樹脂を用いて繊維を製造すれば良いが、たとえ融点が高
くても耐湿熱アルカリ性がなければ融点以下の温度でも
化学的作用により劣化してしまう。例えば、ビニロン繊
維の融点は約230℃であるが、110℃程度で加熱さ
れるとセメント中のアルカリ成分により劣化が著しく進
行し、その結果、補強効果が低下する。
【0008】このように、高温下でのオートクレーブ養
生に適したセメント補強用繊維はごく一部のものに限ら
れているのが実状である。本発明は、かかる実状に鑑み
てなされてものであり、高温下でのオートクレーブ養生
に特に適したポリプロピレン繊維を提供することを目的
とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明のセメント補強用
繊維は、ポリプロピレン樹脂が溶融紡糸されてなり、メ
ルトフローレート(MFR)が2〜10であることを特
徴とする。低MFRのポリプロピレン繊維は、高温下で
も流動しにくく、繊維の形状を保ちやすい。従って、養
生後も補強効果が著しく低下することはない。
【0010】上記補強用繊維を形成するポリプロピレン
樹脂は、Q値(Q;重量平均分子量/数平均分子量の
比)が5未満、沸騰n−ヘプタン不溶分(HI;重量
%)が97<HI<100、アイソタクチックペンタッ
ド分率(IPF;モル%)が94<IPF<100であ
ることが望ましい。かかる高結晶性ポリプロピレン樹脂
からなる繊維は、破断強力が高く、剛直性が大きいの
で、この繊維を用いればセメント成型体の強度をより向
上させることが可能である。
【0011】本発明のセメント補強用繊維は、平均直径
が1μm未満の炭酸カルシウム微粉末が2〜20重量%
含まれているポリプロピレン樹脂から構成されることが
望ましい。炭酸カルシウム微粉末の存在により樹脂の比
重が大きくなるため、このような樹脂を用いれば水中沈
降性のよい繊維を得ることができる。
【0012】また、本発明のセメント補強用繊維は、芯
成分と鞘成分とからなり、芯成分が炭酸カルシウムを含
まない低MFRのポリプロピレン樹脂で形成され、鞘成
分が炭酸カルシウムを含む低MFRのポリプロピレン樹
脂で形成された芯鞘型複合繊維であってもよい。この構
造によれば、炭酸カルシウムを含まない芯成分が繊維の
強力を確保するので、炭酸カルシウム微粉末を含む単一
繊維よりも高強力のものを得ることができる。
【0013】本発明のセメント補強用繊維の繊維表面に
は、炭素数8〜18のノルマルアルキルホスフェートア
ルカリ金属塩が0.05〜10重量%付着していること
が望ましい。かかる繊維処理剤は、セメントスラリー中
に存在するカルシウムイオン、もしくは炭酸カルシウム
を含む繊維から浸出したカルシウムイオンとイオン交換
して繊維表面にノルマルアルキルホスフェートカルシウ
ム塩を形成し、繊維の親水性およびセメント組成物との
親和性を向上させる。
【0014】上述したような繊維を混合してセメント成
型体を製造すれば、高温下でオートクレーブ養生した場
合であっても、高強度の成型体を得ることが可能とな
る。以下、本発明の実施の形態を説明する。
【0015】
【発明の実施の形態】本発明のセメント補強用繊維はM
FRが2〜10であることを特徴とする。MFRが2未
満の繊維を得ることは難しく、MFRが10を超えると
オートクレーブ後の補強効果の低下度合が通常のポリプ
ロピレン繊維程度となり、好ましくない。本発明の繊維
のMFRは2〜6であることがより好ましく、2〜4で
あることがさらに好ましい。かかる繊維は、比較的重合
度の高いポリプロピレン樹脂を溶融紡糸することにより
得られる。具体的には、溶融紡糸の際の樹脂の重合度の
低下を考慮して、MFRが1〜8のポリプロピレン樹脂
を用いる。MFRが1未満では、低温で溶融紡糸するこ
とができない。勿論、紡糸温度を上げれば紡糸は可能で
あるが、高温の溶融紡糸は樹脂の重合度の低下を招く。
その結果、紡糸後のポリプロピレン樹脂のMFRが高く
なるため、MFRの大きな繊維しか得られず、低MFR
の樹脂を用いる意味がなくなる。MFRが8を超える樹
脂では、MFRが前述した範囲内にある繊維を得ること
が困難である。
【0016】本発明で用いるポリプロピレン樹脂は、メ
ルトフローレートが低く、かつQ値(Q;重量平均分子
量/数平均分子量の比)が5未満、沸騰n−ヘプタン不
溶分(HI;重量%)が97<HI<100、アイソタ
クチックペンタッド分率(IPF;モル%)が94<I
PF<100であることが好ましい。
【0017】ここで、重量平均分子量は、例えば光散乱
法、粘度法、超延遠心等を用いて、Mw=[ΣNiMi
2 ]/[ΣNiMi]の式によって求められる。また数
平均分子量は、例えば末端基定量法、氷点降下法、沸点
上昇法、浸透圧法を用いて、Mn=[ΣNiMi]/
[ΣNi]の式によって求められる。一般に重量平均分
子量/数平均分子量は、多分散度の尺度として用いら
れ、この値が1(単分散)より大きくなるほど分子量分
布曲線が幅広く(ブロード)になることを意味する。ま
た枝分かれが多いポリマーも高い数値になる。
【0018】かかる樹脂は、沸騰n−ヘプタン不溶分が
大きく低結晶性成分が少ないので、延伸されても結晶配
向が阻害されず、アイソタクチックペンタッド分率が大
きく立体規則性に優れているので、延伸による結晶配向
が助長されやすく、またQ値が低いので、延伸性が良く
高倍率の延伸が可能であるという利点を有する。
【0019】この樹脂は、通常のポリプロピレンに比し
て分子量が高く、高度に配向結晶しやすいことを特徴と
する。従って、繊維化に際しては、通常のポリプロピレ
ンと同様に分子の絡まりと切断を回避するよう、できる
だけ低い温度で溶融紡糸し、できるだけ高い温度で高延
伸倍率で延伸して高度に結晶配向した繊維とすることが
望ましい。
【0020】本発明のセメント補強用ポリプロピレン繊
維には、炭酸カルシウム微粉末が含まれていてもよい。
炭酸カルシウム微粉末の存在により、ポリプロピレン樹
脂の比重が大きくなり、セメントスラリー中における繊
維の沈降性が良好となる。
【0021】炭酸カルシウム微粉末の含有量は、繊維
中、2〜20重量%であることが望ましい。より好まし
くは6〜12重量%である。2重量%未満では、ポリプ
ロピレンの比重が殆ど変わらず、前述の効果が得られな
い。また、後述するような特定の繊維処理剤とのイオン
交換による親水性の向上という効果も得られない。20
重量%を超えると、紡糸性が低下し、安定して繊維を得
ることができない。炭酸カルシウム微粉末の含有量が多
くなるにつれ、繊維の強力が低下することにも留意する
必要がある。
【0022】炭酸カルシウム微粉末の平均直径は、紡糸
性の点から1μm未満であることが望ましい。より好ま
しくは、0.6μm未満である。また、使用する微粉末
中に直径2μm以上の粒子が含まれていないことが望ま
しい。大きな粒子の存在は、紡糸性の低下を招くためで
ある。
【0023】炭酸カルシウムの微粉末は、樹脂原料の段
階で混合しておく。このとき、微粉末に金属石鹸等の界
面活性剤を予め付着させておくと、樹脂への分散性が良
くなる。
【0024】炭酸カルシウム微粉末は繊維の表面近傍の
みに含まれていてもよい。そのような繊維は、炭酸カル
シウム微粉末を含む低MFRのポリプロピレン樹脂を鞘
成分とし、炭酸カルシウム微粉末を含まない低MFRの
ポリプロピレン樹脂を芯成分とする芯鞘型複合繊維とす
ることにより得られる。かかる構造によれば、炭酸カル
シウム微粉末を含まない芯部において繊維の強力が確保
されるので、炭酸カルシウムを含むポリプロピレン樹脂
からなる単一繊維よりも高強力の繊維を得ることができ
る。
【0025】芯鞘型複合繊維の複合比は、容積比で芯/
鞘=2/8〜8/2となることが望ましい。芯成分の占
める割合が小さいと繊維の強力が低くなる。また、鞘成
分の占める割合が小さいと炭酸カルシウム微粉末の含有
量が少なくなり、目的とする効果を得ることができな
い。
【0026】鞘成分に含まれる炭酸カルシウム微粉末の
割合は、繊維全体の比重をどの程度増加させるかによっ
て決定される。前述したとおり、繊維全体に占める炭酸
カルシウム微粉末の割合が2重量%以上でなければ比重
増加による効果は認められない。従って、そうなるよう
に、芯/鞘の複合比から計算して鞘成分中の炭酸カルシ
ウム微粉末の含有量を決定する必要がある。但し、鞘成
分中の炭酸カルシウムの割合が20重量%を超えると安
定して繊維を得ることができない。また、鞘成分に2重
量%程度の炭酸カルシウム微粉末が含まれていれば、比
重増加による効果は得られないものの、後述する特定の
繊維処理剤とのイオン交換による親水性の向上という効
果は得られる。従って、鞘成分に占める炭酸カルシウム
の割合は2〜20重量%であることが望ましい。
【0027】本発明のセメント補強用繊維の繊度は、単
一型もしくは複合型繊維いずれの場合においても、2デ
ニール以上50デニール未満であることが望ましい。繊
度が小さいほどセメント成型体の表面平滑性は良好とな
るが、低MFRのポリプロピレン樹脂を使用する場合
は、溶融粘度が低いために紡糸押出機への付加が大き
く、細デニールの繊維を得ることが難しい。一方、繊度
が大きい程、繊維の生産効率は良くなる。しかし繊維が
太くなる程、セメント成型体の表面平滑性は損なわれ
る。よって、繊度は上記範囲内にすることが望ましい。
【0028】本発明のセメント補強用繊維は、セメント
スラリー中における分散性を良くし、セメント組成物と
の親和性を高めるために、その繊維表面を繊維処理剤で
処理することが望ましい。繊維処理剤としては、炭素数
8〜18のノルマルアルキル基を有するモノアルキルエ
ステルまたはジアルキルエステルのホスフェート塩が好
ましい。さらに、このノルマルアルキルホスフェート塩
は、ナトリウム塩、もしくはカリウム塩等のアルカリ金
属塩であることが望ましい。この繊維処理剤を付着させ
た繊維をスラリー中に投入すると、スラリー中のカルシ
ウムイオンとのイオン交換が生じてノルマルアルキルホ
スフェートカルシウム塩が繊維表面に固着し、繊維の親
水性が向上する。
【0029】ノルマルアルキルホスフェート塩は、繊維
重量に対して0.05〜10重量%付着させることが望
ましい。0.05重量%未満では、所期の効果が充分に
得られず、10重量%を超えても効果は変わらず不経済
である。
【0030】なお、前述した炭酸カルシウム微粉末を含
む繊維をノルマルアルキルホスフェート塩で処理した場
合には、水の存在下で、繊維中より浸出したカルシウム
イオンとノルマルアルキルホスフェート塩のイオン交換
が繊維表面において生じる。そのため、真水に分散させ
た場合でも繊維の分散性が良好であり、繊維の浮上現象
も少なくなる。また、繊維中のカルシウムイオンが交換
されるので、スラリー中のカルシウムイオンが交換され
た場合に比べ、アルキルホスフェートカルシウム塩の繊
維表面への固着がしっかりとしたものになり、繊維の親
水性及びセメント組成物との親和性がより向上されるこ
ととなる。
【0031】ノルマルアルキルホスフェートアルカリ金
属塩を付着させた繊維には、さらに燐酸系塩を付着させ
てもよい。燐酸系塩を付着させることにより、前述のイ
オン交換がより促進される。
【0032】燐酸系塩としては、例えば燐酸水素二カリ
ウム、燐酸水素二ナトリウム、燐酸二水素カリウム、燐
酸二水素ナトリウム、燐酸二水素カルシウム、ピロ燐酸
カリウム、ピロ燐酸ナトリウム、ピロ燐酸カルシウム、
ピロ燐酸二水素カリウム、ピロ燐酸二水素ナトリウム、
メタ燐酸カリウム、メタ燐酸ナトリウム、トリポリ燐酸
カリウム、トリポリ燐酸ナトリウム等が挙げられる。使
用に際しては、一種類のみを用いてもよいし、二種以上
混合して用いてもよい。
【0033】燐酸系塩は、繊維重量に対して1.5〜2
5重量%付着させることが望ましい。1.5重量%未満
では、所期の効果を得ることができず、25重量%を超
えても効果は変わらず不経済である。
【0034】本発明のセメント補強用繊維の繊維長は、
セメント成型体中への分散性を考慮すると3〜15mmで
あることが好ましい。本発明の繊維は、普通ポルトラン
ドセメント、高炉セメント、シリカセメント、アルミナ
セメント等の補強に適用することができる。半水石膏、
2水石膏とスラグあるいはこれらを上記セメントと混合
して使用する際にも適用可能である。また、押出成型
法、湿式抄造法、流込方法等、成型法の如何にかかわら
ず用いることができる。前述した通り、本発明の繊維
は、セメント成型体をオートクレーブ養生させる場合に
最も適しているが、自然養生や蒸気養生させる場合でも
優れた補強効果を発揮する。
【0035】
【実施例】以下、本発明を実施例により説明する。
【0036】実施例中、ポリプロピレン樹脂の物性、お
よびセメント成型体の物性は以下の方法により評価し
た。
【0037】(メルトフローレート(MFR)) 温度
230℃でノズル通過量(単位:g/10分、JISK
7210に準ず、荷加重2.169kg)で測定した。
【0038】(Q値)ゲルパーミエーション・クロマト
グラフィー(GPC)を用いて下記の条件で測定した。 (a)測定装置名:ウォーターズ社製(ALC/GPC
150C型) (b)充填カラム:TSK−GER GMH6−HT
(高温タイプ) (c)溶媒:オルソジクロルベンゼン(ODCB) (d)温度:135℃ (e)検出器:示差熱屈折計、流量:1ml/min
【0039】(n−ヘプタン不溶分) 5gのポリプロ
ピレン試料を500mlの沸騰キシレン中に全溶解さ
せ、これらを5lのメタノール中に投入して析出させた
ものを回収して乾燥した後、沸騰n−ヘプタンで6時
間、ソックスレー抽出した抽出残部の割合を重量%で表
した。
【0040】(アイソタクチックペンタッド分率) ア
イソタクチックペンタッド分率(IPF)は、n−ヘプ
タン不溶分について、「マクロモレキュラーズ」(Ma
cromolecules,6,925(1973)及
び8,687(1975))に準じ測定した。
【0041】(曲げ比例限界強度、曲げ強度) JIS
A 1408に従って各試料に荷重を加え、荷重−た
わみ線図を得た。そして、ほぼ直線的に上昇した初期の
荷重−たわみ線が降下しはじめるときの荷重(W1 k
g)、および降下した荷重−たわみ線が再度上昇した後
の最大荷重(W2 kg)を線図から読みとり、W1
2 、スパン(Lcm)、試料の巾(bcm)、試料の厚み
(dcm)より次式に従って曲げ比例限界強度および曲げ
強度を算出した。 曲げ比例限界強度(kg/cm2 )=3W1 L/2bd2 曲げ強度(kg/cm2 )=3W2 L/2bd2
【0042】(シャルピー衝撃強度) JIS B 7
722に従って評価した。
【0043】[実施例1] MFR5、Q値3.5、H
I98%、IPF97%のポリプロピレン樹脂を用いて
265℃で溶融紡糸した後、150℃で乾式延伸後、ラ
ウリルホスフェートカリウム塩を0.3重量%付着させ
て、切断し、MFR6.9、繊度20デニール、繊維長
6mmの繊維を得た。次に普通ポルトランドセメント12
00g、珪砂800g、メチルセルロース20g、繊維
10gをヘンシェルミキサーにて乾式混合した後、水4
00mlを添加し、湿式混合して得られた原料を押出成
型機に投入してセメント成型体を得た。そして、この成
型体を175℃で16時間オートクレーブ養生させた。
得られた成型体の性能を表1に示す。
【0044】[実施例2] MFR3とした樹脂を用い
て270℃で溶融紡糸した以外は実施例1と同様にし、
MFR4.5、繊度20デニール、繊維長6mmの繊維を
得た。次に実施例1と同じ方法で、セメント成型体を作
成した。得られた成型体の性能を表1に示す。
【0045】[実施例3] MFRを1.8とした樹脂
を用いて280℃で溶融紡糸した以外は実施例1と同様
にし、MFR3.2、繊度20デニール、繊維長6mmの
繊維を得た。次に実施例1と同じ方法でセメント成型体
を作成し、これを180℃で5時間オートクレーブ養生
させた。得られた成型体の性能を表1に示す。
【0046】[比較例1] MFR15とした樹脂を用
いた以外は実施例1と同様にし、MFR18.7、繊度
20デニール、繊維長6mmの繊維を得た。次に実施例1
と同じ方法で、セメント成型体を作成した。得られた成
型体の性能を表1に示す。
【0047】
【表1】
【0048】
【発明の効果】本発明のセメント補強用ポリプロピレン
繊維は、メルトフローレートが小さいため、高温下に曝
された場合でも流動しにくく繊維形態が保持されやすい
という特徴を有する。これは、耐熱性の向上に繋がり、
オートクレーブ養生する場合にあっては加熱温度を高く
することができる。その結果、養生時間が短縮され、効
率良くセメント成型体を生産することができる。
【0049】また、特定の高結晶性ポリプロピレン樹脂
の使用により、セメント成型体の物性を向上させること
が可能となる。
【0050】さらに繊維中に炭酸カルシウム微粉末を含
有させたり、繊維表面を特定の繊維処理剤で処理するこ
とにより、セメントスラリー中における分散性やセメン
ト組成物との親和性が向上するので、補強効果をより高
めることができる。
【0051】本発明の繊維は、溶融紡糸法によって得ら
れる比較的繊度の小さな繊維である。従って、これを含
む成型体の表面をサンダーで処理した場合、例えばフィ
ルムを開裂分繊させて得られるような太い繊維を含む成
型体で見られる「繊維のささくれだち」が少なく、美麗
に仕上げることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 D01F 6/06 D01F 6/06 A 8/06 8/06 (72)発明者 岡屋 洋志 兵庫県加古郡播磨町古宮877番地 ダイワ ボウポリテック株式会社播磨研究所内 (72)発明者 村田 秀恩 兵庫県加古郡播磨町古宮877番地 ダイワ ボウポリテック株式会社播磨研究所内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリプロピレン樹脂が溶融紡糸されてな
    り、メルトフローレート(MFR)が2〜10であるこ
    とを特徴とするセメント補強用ポリプロピレン繊維。
  2. 【請求項2】 Q値(Q;重量平均分子量/数平均分子
    量の比)が5未満、沸騰n−ヘプタン不溶分(HI;重
    量%)が97<HI<100、アイソタクチックペンタ
    ッド分率(IPF;モル%)が94<IPF<100で
    あるポリプロピレン樹脂が溶融紡糸されてなり、メルト
    フローレート(MFR)が2〜10であることを特徴と
    するセメント補強用ポリプロピレン繊維。
  3. 【請求項3】 平均直径が1μm未満の炭酸カルシウム
    微粉末が2〜20重量%含まれていることを特徴とする
    請求項1もしくは請求項2記載のセメント補強用ポリプ
    ロピレン繊維。
  4. 【請求項4】 芯成分が請求項1もしくは請求項2に記
    載のポリプロピレン樹脂で形成され、鞘成分が平均直径
    が1μm未満の炭酸カルシウム微粉末を2〜20重量%
    含む請求項1もしくは請求項2に記載のポリプロピレン
    樹脂で形成されてなる芯鞘型複合繊維であって、MFR
    が2〜10であることを特徴とするセメント補強用ポリ
    プロピレン繊維。
  5. 【請求項5】 繊維表面に炭素数8〜18のノルマルア
    ルキルホスフェートアルカリ金属塩が0.05〜10重
    量%付着している請求項1〜4いずれか一項に記載のセ
    メント補強用ポリプロピレン繊維。
  6. 【請求項6】 請求項1〜5いずれか一項に記載のセメ
    ント補強用ポリプロピレン繊維が一あるいは二以上混合
    されてなるセメント成型体。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2000144523A (ja) * 1998-11-09 2000-05-26 Japan Polychem Corp 高耐熱性ポリプロピレン繊維
JP2009534549A (ja) * 2006-04-28 2009-09-24 ファイバーウェブ コロビン ゲーエムベーハー ポリマー繊維および不織布
JP2017105669A (ja) * 2015-12-09 2017-06-15 株式会社クラレ セメント補強用耐アルカリ性有機繊維

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