JPH1057494A - バルーンカテーテル - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 血管内への挿入時等にバルーンがたるまず、
しかも、カテーテルの柔軟性を損なうことのないバルー
ンカテーテルを提供すること。 【解決手段】 バルーンカテーテル１は、外側チューブ
４の遠位端部に、外側チューブ４の一部をバルーン２内
へ延出してなる張り出し部２０を備え、この張り出し部
２０に内側チューブが接着剤で固着されている。バルー
ンカテーテル１を血管内へ挿入する際には、先端チップ
８等に抵抗力がかかっても、内側チューブ６が外側チュ
ーブ４内で押し戻されず、バルーン２はたるまない。ま
た、張り出し部２０は、内側チューブ６と共に柔軟に弾
性変形して湾曲可能な可撓性を有するので、張り出し部
２０付近で外側チューブ４及び内側チューブ６が湾曲さ
せられた場合には、張り出し部２０が撓むことで、内側
チューブ６の急激な折れ曲がりが防止される。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、バルーンカテーテ
ルに関する。

【０００２】

【従来の技術】従来より、ＩＡＢＰ（大動脈内バルーン
パンピング）において用いられるバルーンカテーテルと
して、内部に給排されるヘリウムガスにより拡張／収縮
可能なバルーンと、このバルーンの後端部に遠位端側が
接合され、バルーンの内部に連通する内腔を介してヘリ
ウムガスを給排可能な外側チューブと、この外側チュー
ブの近位端側から前記バルーンの先端部まで、外側チュ
ーブ及びバルーンの内部を貫通する内側チューブとを備
えた、いわゆるダブルルーメンタイプのものが知られて
いる。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】ところで、上記従来の
バルーンカテーテルを血管内へ挿入する際には、バルー
ンの先端側にある程度の抵抗力がかかるが、この様な抵
抗力がかかると、内側チューブが、外側チューブ内で湾
曲しつつ近位端側へ若干押し戻されることがあった。こ
の様な状態になると、内側チューブの周りに折りたたま
れたバルーンの先端側と外側チューブの遠位端が接近す
る分だけ、バルーンが軸方向に押しつぶされるため、バ
ルーンの一部がたるんで、外径寸法が太くなり、血管内
への挿入や血管内での誘導が困難になるという問題があ
った。

【０００４】ここで、単に外側チューブと内側チューブ
の相対的なずれを防止するだけであれば、例えば特開平
５−１２３４０３号公報に記載のバルーンカテーテルの
如く、内側チューブ全体が、接着、融着ないしは一体成
形などの手段で、外側チューブの内壁に固着してあって
もよい。しかし、同公報記載のものの様な構造にした場
合は、外側チューブと内側チューブとが全く相対的に動
けないため、チューブの柔軟性がどうしても損なわれ、
特に、二重管となっている部分の断面形状が回転対称な
形状ではなくなるため、チューブの柔軟性に方向性が生
じ、例えば特定方向へは比較的柔軟に湾曲させることが
できるのに、別の特定方向へは湾曲させ難いといった事
態を招き、不規則に蛇行する血管内での操作性が悪くな
るという問題があった。

【０００５】本発明は、上記問題を解決するためになさ
れたものであり、その目的は、血管内への挿入時等にバ
ルーンがたるまず、しかも、カテーテルの柔軟性を損な
うことのないバルーンカテーテルを提供することにあ
る。

【０００６】

【課題を解決するための手段、および発明の効果】上述
の目的を達成するため、本発明は、請求項１記載の通
り、内部に給排される流体により拡張／収縮可能なバル
ーンと、遠位端側が前記バルーンの後端部に接合され、
該バルーンの内部に連通する内腔を介して前記流体を給
排可能な外側チューブと、該外側チューブの近位端側か
ら前記バルーンの先端部まで、外側チューブ及びバルー
ンの内部を貫通する内側チューブとを備えたバルーンカ
テーテルにおいて、前記外側チューブの遠位端部で、該
外側チューブに前記内側チューブを固着したことを特徴
とする。

【０００７】本発明のバルーンカテーテルによれば、外
側チューブの遠位端部において、外側チューブに対し内
側チューブを固着してあるので、このバルーンカテーテ
ルを血管内へ挿入する際には、バルーンの先端側に抵抗
力がかかっても、内側チューブが外側チューブ内で押し
戻されることはない。そのため、バルーンが軸方向に押
しつぶされてたるむようなことはなく、血管内への挿入
や血管内での誘導が従来よりもスムーズなものとなる。

【０００８】また、外側チューブと内側チューブは、外
側チューブの遠位端部で固着されているだけなので、そ
れ以外の箇所では、内側チューブが外側チューブ内で取
り得る位置にある程度の自由度があり、例えばカテーテ
ルを湾曲させれば、最もストレスが緩和されるような位
置へ内側チューブが自由に逃げるので、カテーテルの柔
軟性が損なわれない。特に、内側チューブ全体を外側チ
ューブの内壁に固着したものとは異なり、特定方向への
み湾曲させにくいといった方向性が現れないので、不規
則に蛇行する血管内での操作性を損なうこともない。

【０００９】ところで、本発明のバルーンカテーテルに
おいて、内側チューブを固着する位置は、外側チューブ
の最も遠位端側はもちろんのこと、固着位置よりも遠位
端側になる部分で内側チューブが湾曲してもバルーンに
たるみが生じない範囲であれば、最も遠位端側となる端
部から多少近位端側寄りとなる位置であっても構わな
い。但し、外側チューブの内腔にあまり深く入り込んだ
位置に内側チューブを固着すると、固着させるのに手間
がかかる。これに対し、請求項２記載の如く、前記外側
チューブの遠位端部に、該外側チューブの一部を前記バ
ルーン内へ延出してなる張り出し部を形成し、該張り出
し部に前記内側チューブを固着した構造にすると、外側
チューブの内腔内の壁面に内側チューブを固着しなくて
も、外部に露出した張り出し部に内側チューブを固着す
ればよくなるので、例えば、接着剤の塗布などが容易と
なり、また、内側チューブの外周で固着部分の裏側とな
る部分が外部に露出するので、内側チューブを固着部分
に向かって押し付けて、接着や融着を促すといったこと
も容易に実施できる。

【００１０】特に、上記のような張り出し部を設ける場
合には、請求項３記載の如く、前記張り出し部が、前記
内側チューブと共に柔軟に弾性変形して湾曲可能な可撓
性を有するものであると、固着部分（張り出し部）付近
においてチューブが湾曲させられた場合に、張り出し部
が撓むことで、内側チューブが外側チューブの遠位端側
開口外へ出る部分で折り曲げられず、しなやかに弧を描
くように湾曲させられるので、内側チューブの内腔が潰
れず、血管内での誘導もスムーズなものとなる。

【００１１】

【発明の実施の形態】次に、本発明の実施形態を図面に
基づいて説明する。なお、以下に説明するバルーンカテ
ーテルは、本発明の実施形態の一例に過ぎず、本発明の
構成手段は何ら下記の一例に限定されない。

【００１２】ＩＡＢＰ用のバルーンカテーテル１は、周
知のダブルルーメンタイプのもので、図１に示す通り、
バルーン２、外側チューブ４、内側チューブ６、先端チ
ップ８、およびＹコネクタ１０などから構成されてい
る。外側チューブ４の内周面と内側チューブ６の外周面
の間隙は、近位端側でＹコネクタ１０のインデフレーシ
ョンポート１２に連通すると共に、遠位端側でバルーン
２内へ連通し、インデフレーションポート１２から供給
されるヘリウムガスをバルーン２へ供給可能な給排路を
形成している。一方、内側チューブ６の内腔は、近位端
側でＹコネクタ１０のガイドワイヤポート１４に連通す
ると共に、遠位端側で先端チップ８の最先端部にある開
口１６に連通し、事前に血管内に挿入・留置されるガイ
ドワイヤを挿通可能な通路を形成している。なお、外側
チューブ４および内側チューブ６は、一部を破断して図
示を省略してあるが、実際は同形状の部分が連続する長
尺なものである。

【００１３】また、本バルーンカテーテル１における特
徴的な構成として、外側チューブ４の遠位端部には、外
側チューブ４の一部をバルーン２内へ延出して張り出し
部２０が形成され、この張り出し部２０に内側チューブ
が固着されている。この張り出し部２０は、図２に示す
様に、外側チューブ４と一体に成形された舌片状の突設
物で、内側チューブ６と張り出し部２０は、両者の間に
介在する接着剤２２によって固着されている。また、張
り出し部２０は、内側チューブ６と共に柔軟に弾性変形
して湾曲可能な可撓性を有し、張り出し部２０付近で外
側チューブ４及び内側チューブ６が湾曲させられた場合
に、張り出し部２０が撓むことで、内側チューブ６の急
激な折れ曲がりを防止している。

【００１４】以上の如く構成されたバルーンカテーテル
１によれば、外側チューブ４の遠位端部において、外側
チューブ４の一部である張り出し部２０に内側チューブ
６を固着してあるので、このバルーンカテーテル１を血
管内へ挿入する際には、先端チップ８等に抵抗力がかか
っても、内側チューブ６が外側チューブ４内で押し戻さ
れるようなことはない。そのため、バルーン２が軸方向
に押しつぶされてたるむようなことはなく、血管内への
挿入や血管内での誘導が従来品よりもスムーズなものと
なる。

【００１５】また、外側チューブ４と内側チューブ６
は、外側チューブ４の遠位端部で固着されているだけな
ので、それ以外の箇所では、内側チューブ６が外側チュ
ーブ４内で自由に相対的な位置を変えることができる。
したがって、外側チューブ４及び内側チューブ６からな
る二重管部分を湾曲させれば、ストレスが最も緩和され
るような位置へ内側チューブ６が自由に逃げるので、バ
ルーンカテーテル１の柔軟性は損なわれない。特に、内
側チューブ６全体を外側チューブ４の内壁に固着したも
のとは異なり、特定方向へのみ湾曲させにくいといった
方向性が現れないので、不規則に蛇行する血管内での操
作性を損なうこともない。

【００１６】以上、本発明の実施形態について説明した
が、本発明の構成手段については上記バルーンカテーテ
ル１以外にも種々考えられる。例えば、上記バルーンカ
テーテル１では、張り出し部２０を設けて、内側チュー
ブ６を固着していたが、バルーン２のたるみを防止する
だけであれば、張り出し部２０を設けずに、外側チュー
ブ４の内腔内の壁面に内側チューブ６を固着する構成に
してもよい。但し、上述の通り、張り出し部２０を設け
れば、内側チューブ６の接着作業は容易となるし、特
に、張り出し部２０が可撓性を有するものであれば、内
側チューブ６の折れ曲がりを防止することもできるとい
う利点があるので、これらの方がより望ましい実施態様
となる。

【００１７】また、上記バルーンカテーテル１では、図
２に示した様な形状の張り出し部２０を設けてあった
が、張り出し部の形状や寸法は、何ら上記一例に限定さ
れず、例えば、バルーンの長手方向略中央部付近に到達
するような長さ寸法の張り出し部や、外側チューブの肉
厚とは厚さ寸法が異なる張り出し部、先端が角張った形
状あるいは先端に丸みをつけた形状の張り出し部など、
種々の設計変更が可能である。

【００１８】加えて、上記バルーンカテーテル１は、Ｉ
ＡＢＰ用として説明したが、類似した構造のバルーンカ
テーテルは、他の治療（例えばＰＴＣＡ等）でも使われ
ており、こうしたバルーンカテーテルにおいても、本発
明の特徴的な構造を採用することで、柔軟性を損なうこ
となく、バルーンのたるみを防止することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本発明の一例としてのバルーンカテーテルを
示す断面図である。

【図２】 張り出し部付近の構造を示す斜視図である。

【符号の説明】

１・・・バルーンカテーテル、２・・・バルーン、４・
・・外側チューブ、６・・・内側チューブ、８・・・先
端チップ、１０・・・Ｙコネクタ、１２・・・インデフ
レーションポート、１４・・・ガイドワイヤポート、１
６・・・開口、２０・・・張り出し部、２２・・・接着
剤。

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 内部に給排される流体により拡張／収縮
   可能なバルーンと、遠位端側が前記バルーンの後端部に
   接合され、該バルーンの内部に連通する内腔を介して前
   記流体を給排可能な外側チューブと、該外側チューブの
   近位端側から前記バルーンの先端部まで、外側チューブ
   及びバルーンの内部を貫通する内側チューブとを備えた
   バルーンカテーテルにおいて、 前記外側チューブの遠位端部で、該外側チューブに前記
   内側チューブを固着したことを特徴とするバルーンカテ
   ーテル。
2. 【請求項２】 請求項１記載のバルーンカテーテルにお
   いて、 前記外側チューブの遠位端部に、該外側チューブの一部
   を前記バルーン内へ延出してなる張り出し部を形成し、
   該張り出し部に前記内側チューブを固着したことを特徴
   とするバルーンカテーテル。
3. 【請求項３】 請求項２記載のバルーンカテーテルにお
   いて、 前記張り出し部が、前記内側チューブと共に柔軟に弾性
   変形して湾曲可能な可撓性を有することを特徴とするバ
   ルーンカテーテル。