JPH1054435A - ガススプリング - Google Patents

ガススプリング

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JPH1054435A
JPH1054435A JP22777096A JP22777096A JPH1054435A JP H1054435 A JPH1054435 A JP H1054435A JP 22777096 A JP22777096 A JP 22777096A JP 22777096 A JP22777096 A JP 22777096A JP H1054435 A JPH1054435 A JP H1054435A
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JP
Japan
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piston rod
cylinder
seal member
lip
oil
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JP22777096A
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English (en)
Inventor
Yuichi Kobayashi
裕一 小林
Masahiro Ashiba
正博 足羽
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Tokico Ltd
Original Assignee
Tokico Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 伸長行程でも縮小行程でもシール部材とピス
トンロッドとの摺動面間を常時潤滑状態に保持し、シー
ル部材の寿命等を大幅に延ばすようにする。 【解決手段】 シリンダ1とピストンロッド4との間に
シール部材6を配設し、シール部材6のリップ部6B,
6Cのうちリップ部6Bにより、シリンダ1内のガス室
A,Bからのガス圧を直接受圧させる。そして、シール
部材6のリップ部6B,6C間でピストンロッド4の外
周面側に環状の油溜り空間7を形成し、油溜り空間7内
に油液2を満たすようにする。また、リップ部6B,6
Cのうち、リップ部6Bの摺動面側を断面凸湾曲状の円
弧面として形成し、この摺接面とピストンロッド4との
間でガス室B側の油液の一部が油溜り空間7内へと微小
な量だけ滲み出る(漏洩する)のを許すようにする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えばワゴン車の
バックドア等を開閉するのに用いて好適なガススプリン
グに関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、内部に油液と共に加圧ガスが封
入された筒状のシリンダと、該シリンダ内に摺動可能に
嵌挿され、該シリンダ内を2つのガス室に画成したピス
トンと、一端側が該ピストンに連結され、他端側が前記
シリンダ外に突出したピストンロッドと、該ピストンロ
ッドと前記シリンダとの間に設けられ、前記シリンダ内
の油液が外部に漏洩するのを防止するシール部材とから
なるガススプリングは、例えば実開昭56−10803
6号公報(以下、第1の従来技術という)等によって知
られている。
【0003】この第1の従来技術によるガススプリング
は、例えばワゴン車のバックドア等に適用され、車体側
とバックドア側に取付けるようにし、バックドアの開,
閉扉に伴いピストンロッドをシリンダに対し伸,縮動作
させるようになっている。
【0004】そして、このようなピストンロッドの伸,
縮動作に応じてピストンロッドがシリンダ内に出入りす
ることにより、シリンダ内の各ガス室がそれぞれ拡,縮
し、これにより該各ガス室内で所定の反発力(ばね力)
を発生させる。また、このときに、各ガス室間で加圧ガ
スをピストンに設けられたオリフィス等を介して流通さ
せることにより所定の減衰力(緩衝効果)を発生させ
る。
【0005】ここで、シリンダとピストンロッドとの間
に設ける前記シール部材の下部側には、該ピストンロッ
ドの外周側との間で油液を溜めるための空所が形成され
ており、ピストンロッドが伸縮動作を行う際に、シリン
ダ内で該ピストンロッドに付着した油液(油膜)の一部
が前記シール部材により掻き落されると、この掻き落さ
れた油液が前記空所内で一時的に貯留(捕獲)されるよ
うになっている。
【0006】そして、この空所内に貯留された油液によ
って、シリンダ内の加圧ガスの漏洩を防止すると共に、
ピストンロッドの伸長行程では、前記空所内で油液を予
めピストンロッドに付着させて、該ピストンロッドとシ
ール部材との摺動面間に油液を含ませた状態、所謂「湿
り接触」の状態でピストンロッドをシール部材に対し摺
動させるようにし、これにより前記各摺動面間の摺動抵
抗等を小さくして良好な摺動特性を得るようにしてい
る。
【0007】また、第2の従来技術として実開昭56−
72945号公報に記載のガススプリングが知られてい
る。この第2の従来技術では、シリンダとピストンロッ
ドとの間に第1のシール部材を設け、該第1のシール部
材により加圧ガスからのガス圧を直接受圧させると共
に、前記シリンダとピストンロッドとの間には該第1の
シール部材を挟んでシリンダ内の各ガス室とは反対側と
なる大気側に第2のシール部材を配設し、該第1,第2
のシール部材間でピストンロッドの外周側に油液を充填
する油溜り空間を形成するようにしている。
【0008】この場合には、ピストンロッドの縮小行程
で、ピストンロッドが第1のシール部材に対して摺動す
るときに、前記油溜り空間内で油液を予めピストンロッ
ドに付着させることができ、これによっても前記第1の
従来技術と同様にピストンロッドをシール部材に対し
「湿り接触」の状態で摺動させることができ、良好な摺
動特性が得られるようになっている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上述した第
1の従来技術では、ピストンロッドをシリンダから伸長
させたままの状態で、該ピストンロッドを外気と長く接
触させた場合には、ピストンロッドの外周面に付着した
油液が大気中で蒸発してしまうことがあり、この状態で
次の縮小行程を行うと、ピストンロッドとシール部材と
の摺動面間に油液がほとんど含まれない状態、所謂「乾
き接触」の状態でピストンロッドをシリンダ内に縮小移
動させてしまう。
【0010】この結果、ピストンロッドとシール部材と
の間の摺動抵抗が非常に大きくなってしまい、該シール
部材が早期に摩耗、損傷等し、該シール部材の寿命を早
めてしまうという問題がある。
【0011】一方、第2の従来技術では、シリンダ内の
ガス圧を直接受圧する第1のシール部材よりも上側(大
気側)に第2のシール部材を設け、該各シール部材間で
油液が充填される油溜り空間を形成することにより、縮
小行程でもピストンロッドを前記油溜り空間内の油液に
より第1のシール部材に対し「湿り接触」の状態で摺動
させることができ、これにより前記第1の従来技術によ
る問題点を解決をすることができる。
【0012】しかし、このような従来技術にあっては、
前記第1のシール部材の他に第2のシール部材等を新た
に設ける必要があり、部品点数が増加してしまう上に、
全体の構造等が複雑化してしまうという問題がある。
【0013】また、ピストンロッドの表面に硬質クロム
メッキ処理等を施することにより、該ピストンロッドの
耐食性や耐摩耗性等を高めることも検討されている。そ
して、該硬質クロムメッキ層の表面にはチャンネルクラ
ックと称される複数の微細な「割れ」が形成されるか
ら、前記シール部材側に滞留したシリンダ内の油液の一
部は、前記硬質クロムメッキの「割れ」を介してシール
部材とピストンロッドとの摺動面にガススプリングの寿
命を左右しない程度で滲み出すようになる。
【0014】これによりピストンロッドの伸長行程でも
縮小行程でも、シール部材とピストンロッドとの間の摺
動面間を常時潤滑状態に保持することが可能になるもの
である。そして、この場合には、前記第2の従来技術で
述べたような第2のシール部材等を特別に設ける必要を
なくすことができ、全体の構造を簡略化できるという利
点がある。
【0015】一方、最近の傾向としては、環境上の配慮
からピストンロッドの耐食性や耐摩耗性を高めるため
に、前記硬質クロムメッキ処理に替えて該ピストンロッ
ドの外周面にガス軟窒化処理と酸化処理とを施し、ピス
トンロッドの摺動(外周)面を保護する方法が検討され
ている。
【0016】しかし、前記ガス軟窒化処理と酸化処理と
を施したピストンロッドは、前記硬質クロムメッキ処理
を施した際に生じていた前記「割れ」が全く存在しなく
なるために、シリンダ内からシール部材とピストンロッ
ドとの摺動面間への油液の滲み出し量(供給量)が著し
く減少してしまう。この結果、前記摺動面間の摺動抵抗
が大きくなり、これによってもシール部材を早期に摩
耗、損傷させてしまうという問題がある。
【0017】本発明は上述した従来技術の問題点に鑑み
なされたもので、本発明は、ガス軟窒化処理と酸化処理
とを施したピストンロッドを用いた場合でも、シール部
材とピストンロッドとの摺動面間を常時潤滑状態に保持
して該摺動面間の摺動抵抗を大幅に小さくでき、該シー
ル部材の寿命等を大幅に延ばすことができるようにした
ガススプリングを提供することを目的としている。
【0018】
【課題を解決するための手段】上述した課題を解決する
ために、本発明は、内部に油液と共に加圧ガスが封入さ
れた筒状のシリンダと、該シリンダ内に摺動可能に嵌挿
され、該シリンダ内を摺動するピストンと、一端側が該
ピストンに連結され、他端側が前記シリンダ外に突出し
たピストンロッドと、該ピストンロッドと前記シリンダ
との間に設けられ、前記シリンダ内の油液および加圧ガ
スが外部に漏洩するのを防止するシール部材とからなる
ガススプリングに適用される。
【0019】そして、請求項1に記載の発明が採用する
構成の特徴は、前記シール部材に、前記ピストンロッド
の外周面にそれぞれ締代をもって摺接し該ピストンロッ
ドの軸方向に離間した複数のリップ部と、該各リップ部
間に位置して前記ピストンロッドの外周面との間に油溜
り空間を形成する凹部とを設け、前記各リップ部のうち
前記シリンダ内の圧力を受圧するリップ部は、前記ピス
トンロッドとの摺接面側を凸湾曲状の円弧面として形成
したことにある。
【0020】このように構成することにより、ピストン
ロッドとシリンダとの間に設けられたシール部材の各リ
ップ部のうち、シリンダ内の圧力を受圧するリップ部の
ピストンロッドに対する接触(摺接)面を、該リップ部
の摺接面側を凸湾曲状の円弧面として形成することによ
り全体的に滑らかにでき、該リップ部とピストンロッド
との摺動抵抗を小さくすることができる。
【0021】そして、ガススプリングを倒立状態で用い
た場合には、前記リップ部とピストンロッドとの間でシ
リンダ内の油液が前記油溜り空間内へと微小な量だけ滲
み出すのを許すことができ、前記油溜り空間内から油液
が外部に僅かに漏洩した場合でも、シリンダ内からの油
液を油溜り空間内に常時供給することができ、前記油溜
り空間内を油液で満たしておくことができる。
【0022】これにより、前記ピストンロッドを高圧側
となるシリンダ内のガス室内と大気圧側となる油溜り空
間内との両方で油液に接触させることができる。そし
て、ピストンロッドが伸長行程でシリンダとの間に設け
られたシール部材の各リップ部を介してシリンダ外へと
伸長するときには、シリンダ内で該ピストンロッドの外
周面に予め油液を付着させることができ、この付着した
油液により該ピストンロッドと前記シール部材のリップ
部との摺接面同士を互いに「湿り接触」の状態で摺接さ
せることができる。
【0023】また、ピストンロッドが縮小行程で前記シ
ール部材の各リップ部を介してシリンダ内へと縮小する
ときにも、前記伸長行程の場合と同様に、該油溜り空間
内でピストンロッドの外周面に予め油液を付着させるこ
とができ、この付着した油液により該ピストンロッドと
前記シール部材のリップ部との摺接面同士を互いに「湿
り接触」の状態で摺接させることができる。
【0024】また、請求項2に記載の発明では、前記リ
ップ部の円弧面を、0.1〜1.0mmの円弧半径をも
って形成したことにある。この結果、前記リップ部の円
弧面とピストンロッドとの接触面積を小さくでき、これ
によりシリンダ内の油液がピストンロッドと前記リップ
部の円弧面との間を介して油溜り空間内へと良好に滲み
出すようになり、前記リップ部とピストンロッドとの間
の摺動抵抗を確実に低減することができる。
【0025】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態による
ガススプリングを倒立(シリンダのロッド突出端を下に
向けた)状態で取付けた場合を例に挙げて説明する。
【0026】ここで、本発明の実施例を図1ないし図4
に基づいて説明する。
【0027】図において、1は有蓋筒状のシリンダで、
該シリンダ1内には後述のシール部材6等を介して加圧
ガスと一定量の油液2とが封入され、該油液2をシール
部材6側で封止させるようになっている。3は該シリン
ダ1内に摺動可能に設けられたピストンで、該ピストン
3はシリンダ1内を上,下で2つのガス室A,Bに画成
している。そして、該ピストン3にはガス室A,B間を
互いに連通するオリフィス通路3Aが形成されている。
【0028】4はピストンロッドで、該ピストンロッド
4は一端側となる上端側がピストン3に一体に設けら
れ、他端側となる下端側は後述のロッドガイド5を介し
てシリンダ1外へと突出している。ここで、該ピストン
ロッド4の外周面には、ガス軟窒化処理と酸化処理とが
施され、該ピストンロッド4全体の耐摩耗性および耐食
性を高めると共に、環境面での配慮を図るようにしてい
る。そして、該ピストンロッド4の外周面は、後述する
シール部材6の各リップ部6B,6Cに対する摺動面と
して形成されている。
【0029】5はシリンダ1の開口端側(下端側)に設
けられたロッドガイドで、該ロッドガイド5は短軸の筒
状体として形成され、その外周側はシリンダ1の開口端
側内周に嵌着されている。そして、ロッドガイド5はそ
の内周側に微小な隙間を介してピストンロッド4を挿通
させ、該ピストンロッド4をシリンダ1の軸方向(上,
下方向)に移動可能に案内している。また、ロッドガイ
ド5の上端面にはシール部材6を取付けるための凸部5
Aが図3に示す如く突設されている。
【0030】6はシリンダ1の下端側に位置して該シリ
ンダ1とピストンロッド4との間に設けられたシール部
材を示し、該シール部材6は図2ないし図4に示す如
く、シリンダ1の内面に当接する基部6A1 と該基部6
A1 から径方向内向きに延びる架橋部6A2 とによって
断面略L字形状をなした環状の取付部6Aと、該取付部
6Aの架橋部6A2 から径方向内向きに斜め上方へと延
びた環状の第1のリップ部6Bと、前記取付部6Aの架
橋部6A2 から径方向内向きに突出した環状の第2のリ
ップ部6Cとから構成され、該リップ部6B,6C間に
は周方向に沿って断面略V字状をなした環状凹部6Dが
形成されている。また、前記取付部6Aの下端面には取
付凹溝6Eが形成されている。そして、前記取付部6A
は、その外周面がシリンダ1の内周面に嵌着され、下側
面は凹溝6Eを凸部5Aに嵌合させた状態でロッドガイ
ド5の上端面に一体に取付けられている。
【0031】また、前記リップ部6B,6Cは、その内
周端側がそれぞれ摺接面6B1 ,6C1 となってピスト
ンロッド4の外周面に締代をもって摺接している。そし
て、前記環状凹部6Dは、リップ部6B,6Cとピスト
ンロッド4の外周面との間で断面略三角形状をなした環
状の油溜り空間7を形成し、該油溜り空間7内には油液
2が充填されている。
【0032】そして、前記リップ部6B,6Cのうちリ
ップ部6Bは、ガス室A,Bからのガス圧を直接受圧
し、該リップ部6Bよりも上側となるガス室A,Bを例
えば70気圧程度の高圧状態に保持すると共に、リップ
部6Bよりも下側となる油溜り空間7およびリップ部6
C側を大気圧状態に保持している。
【0033】ここで、前記リップ部6Bの摺接面6B1
は図3ないし図4に示す如く、縦断面が凸湾曲状をなし
た円弧面として形成され、ピストンロッド4に対する摺
接面6B1 の接触面を全体的に滑らかにし、リップ部6
Bとピストンロッド4との間の摺動抵抗を下げるように
丸くしている。そして、リップ部6Bはピストンロッド
4との間でガス室B側の油液2の一部が油溜り空間7内
へと微小な量だけ滲み出る(漏洩する)のを許す構成に
なっている。
【0034】この摺動面6B1 の円弧面は、円弧半径が
0.5mmとなっており、この半径が0.1mmより小
さくなるとガス室Bから油溜り空間7内への油液の滲み
出しが悪くなり摺動抵抗が増加し、また、1mmより大
きくなると、ピストンロッド4との接触面積が大きくな
り、摺動抵抗が増加してしまうことが実験により得れ
た。よって、この半径は0.5mm〜1.0mm程度の
大きさであることが望ましい。
【0035】また、リップ部6Cの摺接面6C1 は縦断
面が略三角形状をなし、リップ部6Bとほぼ同一の内径
をもって形成されている。そして、該リップ部6Cはピ
ストンロッド4の外周面との間を液密に保持し、油液2
が油溜り空間7からロッドガイド5とピストンロッド4
との間の隙間を介して外部に漏洩するのを最小限に抑え
る構成になっている。
【0036】ここで、油溜り空間7内の油液2がリップ
部6Cとピストンロッド4との間から外部に僅かに漏洩
した場合でも、前述したようにガス室B側の油液の一部
が、リップ部6Bの摺接面6B1 とピストンロッド4と
の間から油溜り空間7内へと供給されるようになる。
【0037】本実施例によるガススプリングは、上述の
如き構成を有するもので、当該ガススプリングを例えば
ワゴン車のバックドア等に装着する場合には、シリンダ
1の上端側に設けられた取付ブラケット8をワゴン車の
ボデー側に取付け、ピストンロッド4の下端側に設けら
れた取付ブラケット9をバックドア側に取付けるように
し、バックドアの開,閉扉に伴いガススプリング本体は
回転し、さらにピストンロッド4をシリンダ1に対し
伸,縮動作させる。この場合、バックドアを閉じた状態
ではピストンロッド4の突出端側が下向きに倒立した状
態となるが、バックドアを開いたときにはピストンロッ
ド4の突出端側が上向きに正立した状態となる。
【0038】そして、バックドアの開,閉扉時にピスト
ンロッド4の伸,縮動作に応じてピストン3がシリンダ
1内を移動(摺動)すると、シリンダ1内の各ガス室
A,Bが拡,縮し、これにより該各ガス室A,B内で所
定の反発力(ばね力)を発生させる。また、このときに
は、各ガス室A,B間を加圧ガスがピストン3のオリフ
ィス通路3A等を介して流通することにより所定の減衰
力を発生させる。
【0039】ここで、シリンダ1とピストンロッド4と
の間にはシール部材6を配設し、該シール部材6のリッ
プ部6B,6Cのうちリップ部6Bにより、シリンダ1
内のガス室A,Bからのガス圧を直接受圧させているか
ら、該リップ部6Bの摺接面6B1 は図3に示すよう
に、ピストンロッド4の外周面に強く押付けられた状態
で摺接するようになる。このため、前記リップ部6Bの
摺接面6B1 とピストンロッド4の外周面との間を油液
2により潤滑状態に保持し、両者間に生じる摺動抵抗を
低減する必要がある。
【0040】ところで、本実施例ではピストンロッド4
の外周面にガス軟窒化処理と酸化処理等とを施すことに
より、該ピストンロッド4全体の耐摩耗性および耐食性
を高め、さらに環境面への配慮を図るようにしている。
これによりピストンロッド4の外周面は従来技術で述べ
たような硬質クロムメッキ層のような微細な「割れ」は
形成されなくなる。
【0041】然るに本実施例では、バックドアの閉扉時
にガススプリングが倒立した状態となるように取付ける
ことによって、ガス室B内の油液2をシール部材6のリ
ップ部6B側に滞留させ、シール部材6のリップ部6
B,6C間にはピストンロッド4の外周面側に環状の油
溜り空間7を形成しているから、バックドアの開扉時に
ガススプリング本体が回転し、正立(シリンダロッド4
の突出端が上向き)状態となっても、該油溜り空間7内
を油液2で満たすことができる。
【0042】また、前記リップ部6B,6Cのうち、リ
ップ部6Bの摺動面6B1 側を断面凸湾曲状の丸みをも
った円弧面として形成したから、ピストンロッド4に対
する摺接面6B1 を滑らかな形状にすることができ、リ
ップ部6Bとピストンロッド4との間の摺動抵抗を小さ
くすることができる。
【0043】そして、リップ部6Bの摺動面6B1 とピ
ストンロッド4との間でガス室B側の油液の一部が油溜
り空間7内へと微小な量だけ滲み出る(漏洩する)のを
許すことができ、油溜り空間7内の油液2がリップ部6
Cとピストンロッド4との間から外部に僅かに漏洩した
場合でも、ガス室B側から油液2を油溜り空間7内に常
時供給することができ、該油溜り空間7内の油液2がな
くなるのを確実に防止することができる。
【0044】これによりピストンロッド4の外周面を高
圧側となるガス室B側と大気圧側となる油溜り空間7側
との両方で油液2に接触させることができる。そして、
ピストンロッド4が伸長行程でシール部材6の各リップ
部6B,6Cを介してシリンダ1外へと伸長するときに
は、シリンダ1のガス室B内でピストンロッド4の外周
面に予め油液2を付着させることができ、この付着した
油液2によりピストンロッド4の外周面とリップ部6
B,6Cの摺接面6B1 ,6C1 同士を互いに「湿り接
触」の状態で摺接させることができる。
【0045】また、縮小行程でも、前記伸長行程と同様
にして、油溜り空間7内でピストンロッド4の外周面に
予め油液を付着させることができ、この付着した油液に
より、該ピストンロッド4の外周面とリップ部6B,6
Cの摺接面6B1 ,6C1 同士を互いに「湿り接触」の
状態で摺接させることができる。
【0046】ここで、前記リップ部6Bの摺動面6B1
形状および油溜り空間7の有,無がピストンロッド4と
シール部材6との間の摺動特性、およびシール部材6の
耐久性等に与える影響について調査するための実験を、
以下に示す第1〜第3の比較例に基づいて行い、表1に
示す実験結果を得ることができた。
【0047】なお、本実験ではピストンロッド4を0.
17Hz(100mm/s)の周期で、50000回ま
で伸,縮動作させた。また、表1に示す摺動抵抗はピス
トンロッド4の最大伸長時と最小縮小時とで、ガス室A
内のガス圧をそれぞれ測定することにより、両者のガス
圧の差として摺動抵抗を算出している。また、表1に示
す「───」は未測定の場合を示している。
【0048】
【表1】
【0049】まず、図5に示す第1の比較例では、シー
ル部材6に替えてシール部材11を用いている。ここ
で、該シール部材11は前記実施例で述べたシール部材
6とほぼ同様に形成され、第1,2のリップ部11A,
11Bを有しているものの、該リップ部11Aは、リッ
プ部11Bと同様に断面略三角形状に形成され、ピスト
ンロッド4に対する摺動面11A1 が平坦な傾斜面とし
て形成されている。そして、シール部材11はリップ部
11A,11B間がピストンロッド4との間で環状の油
溜り空間(図示せず)を形成する環状凹部11Cとなっ
ている。
【0050】そして、第1の比較例によるシール部材1
1を用いた場合には、表1に示すようにピストンロッド
4を最初の数回から10回まで伸,縮動作させる間に、
摺動抵抗値はそれぞれ90N,80Nとなり、シール部
材6とほぼ同様の摺動特性が得られることが分かった。
【0051】しかし、第1の比較例の場合には、リップ
部11Aの摺接面11A1 が平坦面として形成されてい
るために、ピストンロッド4の伸,縮動作をさらに続け
るうちに該摺接面11A1 とピストンロッド4との間の
摺動抵抗が高くなり、50000回の耐久試験後にはシ
ール部材11にむしれ等が発生し、油洩れが起きてい
る。そして、ガス室B側から摺接面11A1 を介した前
記油溜り空間内への油液2の供給量が少なくなり、該摺
接面11A1 がピストンロッド4に対し「乾き接触」の
状態で摺動したと考えられる。
【0052】次に、第2の比較例では、シール部材6に
替えて図6に示すシール部材21を用いている。ここ
で、該シール部材21は単一のリップ部21A(摺接面
21A1 )を有しているものである。そして、シール部
材21を用いた場合には、ピストンロッド4の初期の
伸,縮動作時に表1に示すように摺動抵抗が160Nと
なり、本実施例の場合(90N)に比較して約80%程
度大きくなって不合格と判定された。
【0053】これは、リップ部21Aを挟んでガス室B
と反対側となる大気側でピストンロッド4の外周面を油
液2に接触させることが不可能となり、ピストンロッド
4の縮小行程で該摺接面21A1 がピストンロッド4に
対し「乾き接触」の状態で摺動させてしまうことによ
り、摺動抵抗が過大になると考えられる。
【0054】次に、第3の比較例では、シール部材6に
替えて図7に示すシール部材31を用いている。ここ
で、該シール部材31は前記比較例2で述べたシール部
材21とほぼ同様に、第1のリップ部31A(摺接面3
1A1 )を有しているものの、該リップ部31Aの摺動
面31A1 は凸湾曲状をなした円弧面として形成されて
いる。
【0055】そして、シール部材31を用いた場合に
は、前記第1の比較例と同様にピストンロッド4を最初
の数回から10回までの間で伸,縮動作させた時に、シ
ール部材6と同様の摺動特性が得られることが分かっ
た。しかし、この場合には、リップ部31Aとピストン
ロッド4との間から油液2が漏洩してしまい、不合格と
判定された。
【0056】従って本実施例では、ピストンロッド4の
伸長行程でも縮小行程でも、ガス室B内および油溜り空
間7内の油液2により、ピストンロッド4の外周面とシ
ール部材6のリップ部6C,6B間を常時潤滑状態に保
持することができ、該シール部材6の耐久性、耐摩耗性
等を高めることができると共に、寿命等を大幅に延ばす
ことができる。また、前記第2の従来技術で述べたよう
な第2のシール部材等を追加して設ける必要がなくな
り、全体の構造等を簡略化することができる。さらに、
ガス軟窒化処理と酸化処理等とを施したピストンロッド
4を当該ガススプリングに容易に適用することができ
る。
【0057】なお、前記実施例では、シール部材6に2
個のリップ部6B,6Cを設けるものとして述べたが、
本発明はこれに限らず、例えば、該リップ部6B,6C
と同様のリップ部をリップ部6B,6C間にさらに複数
個設け、これらのリップ部間に複数個の油溜り空間を設
けるようにしてもよい。
【0058】また、前記実施例では、当該ガススプリン
グを倒立状態で適用するものとして述べたが、これに替
えて、正立状態に適用してもよい。
【0059】さらに、前記実施例では、バックドア用の
開扉装置に適用するものとして述べたが、本発明はこれ
に限らず、自動車のボンネット、リヤウインド、または
自動車以外の開扉装置等に適用してもよい。
【0060】
【発明の効果】以上詳述した通り本発明によれば、請求
項1に記載の如く、シール部材の各リップ部をピストン
ロッドの外周面にそれぞれ締代をもって摺接させ、該各
リップ部と前記ピストンロッドの外周面との間に油溜り
空間を形成すると共に、前記各リップ部のうちシリンダ
内の圧力を受圧するリップ部は、前記ピストンロッドと
の摺接面側を凸湾曲状の円弧面として形成したから、該
リップ部の摺動面とピストンロッドとの間でガス室側の
油液の一部が前記油溜り空間内へと微小な量だけ滲み出
る(漏洩する)のを許すことができ、前記油溜り空間内
の油液が外部に漏洩した場合でも、前記ガス室内から油
溜り空間内へと常時油液を補給することができる。
【0061】従って、ピストンロッドの外周面を高圧側
となるガス室側と大気圧側となる油溜り空間側とで油液
に接触させることができ、ピストンロッドの伸長行程で
も縮小行程でも、ピストンロッドの外周面とシール部材
の各リップ部との間を潤滑状態に保持することができ、
該シール部材の耐久性、耐摩耗性等を高めることができ
ると共に、寿命等を大幅に延ばすことができる。また、
前記第2の従来技術で述べたような第2のシール部材を
追加して設ける必要がなくなり、全体の構造等を簡略化
することができる。さらに、ガス軟窒化処理と酸化処理
等とを施したピストンロッドを当該ガススプリングに容
易に適用することができる。
【0062】また、請求項2に記載の発明では、前記リ
ップ部の円弧面を、0.1〜1.0mmの円弧半径をも
って形成したから、シリンダ内の油液がピストンロッド
と前記リップ部の円弧面との間を介して油溜り空間内へ
と良好に滲み出すようになり、前記リップ部とピストン
ロッドとの間の摺動抵抗を確実に低減することができ、
シール部材の耐久性、耐摩耗性等を一層高めることがで
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例によるガススプリングを示す縦
断面図である。
【図2】図1中のロッドガイドやシール部材等を拡大し
て示す部分断面図である。
【図3】シール部材の各リップ部および油溜り空間等を
示す図2中の要部拡大図である。
【図4】図3中のシール部材をガススプリングから取外
した状態で示す部分断面図である。
【図5】第1の比較例に用いるシール部材を示す図4と
同様の断面図である。
【図6】第2の比較例に用いるシール部材を示す図4と
同様の断面図である。
【図7】第3の比較例に用いるシール部材を示す図4と
同様の断面図である。
【符号の説明】
1 シリンダ 2 油液 3 ピストン 4 ピストンロッド 6 シール部材 6B,6C リップ部 6B1 摺動面 6D 環状凹部(凹部) 7 油溜り空間 A,B ガス室

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 内部に油液と共に加圧ガスが封入された
    筒状のシリンダと、該シリンダ内に摺動可能に嵌挿さ
    れ、該シリンダ内を摺動するピストンと、一端側が該ピ
    ストンに連結され、他端側が前記シリンダ外に突出した
    ピストンロッドと、該ピストンロッドと前記シリンダと
    の間に設けられ、前記シリンダ内の油液および加圧ガス
    が外部に漏洩するのを防止するシール部材とからなるガ
    ススプリングにおいて、 前記シール部材には、前記ピストンロッドの外周面にそ
    れぞれ締代をもって摺接し該ピストンロッドの軸方向に
    離間した複数のリップ部と、該各リップ部間に位置して
    前記ピストンロッドの外周面との間に油溜り空間を形成
    する凹部とを設け、前記各リップ部のうち前記シリンダ
    内の圧力を受圧するリップ部は、前記ピストンロッドと
    の摺接面側を凸湾曲状の円弧面として形成したことを特
    徴とするガススプリング。
  2. 【請求項2】 前記リップ部の円弧面は、0.1〜1.
    0mmの円弧半径をもって形成してなる請求項1に記載
    のガススプリング。
JP22777096A 1996-08-09 1996-08-09 ガススプリング Pending JPH1054435A (ja)

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