JPH1052900A - 磁気記録媒体用二軸配向積層ポリエステルフィルム - Google Patents

磁気記録媒体用二軸配向積層ポリエステルフィルム

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JPH1052900A
JPH1052900A JP12234497A JP12234497A JPH1052900A JP H1052900 A JPH1052900 A JP H1052900A JP 12234497 A JP12234497 A JP 12234497A JP 12234497 A JP12234497 A JP 12234497A JP H1052900 A JPH1052900 A JP H1052900A
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magnetic recording
polyester film
film
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JP12234497A
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Katsuya Okamoto
克哉 岡本
Toru Miyake
徹 三宅
Yukari Nakamori
ゆか里 中森
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Original Assignee
Toray Industries Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 従来の積層ポリエステルフィルムでは、高密
度磁気記録テープに用いた場合に、優れた出力特性と磁
性面の走行耐久性、さらには凝集粒子や粒子の脱落に起
因するドロップアウトの低減を両立できなかった点を解
決する。 【解決手段】 A/B/Cの少なくとも3層以上の積層
ポリエステルフィルムであって、磁性層を設ける側を構
成するA層が結晶化パラメータ△Tcgが60℃未満の
高結晶性ポリエステルからなり、A層表面に存在する突
起について、平坦面からの高さが0.2μmを越える突
起個数が全突起個数の2%以下であり、反対面側を構成
するC層については結晶化パラメータ△Tcgが60℃
以上のポリエステルからなり、かつ平均粒径0.1〜
1.0μmの不活性粒子を0.05〜2.0重量%含有
し、さらに積層厚みが0.2〜2.0μmであることを
特徴とする磁気記録媒体用二軸配向積層ポリエステルフ
ィルム。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、磁気記録媒体用二
軸配向積層ポリエステルフィルムに関するものであり、
特に高出力が要求されるデジタル記録方式などの高密度
磁気記録媒体用のベースフィルムとして好適な積層ポリ
エステルフィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】高密度磁気記録媒体として代表的なもの
として、強磁性金属をバインダーに分散させてベースフ
ィルム表面に薄膜塗布あるいは重層塗布することによっ
て得られる塗布型磁気記録媒体および真空蒸着あるいは
スパッターによって得られる金属薄膜型磁気記録媒体が
ある。金属薄膜型磁気記録媒体としては、ポリエステル
フィルムにCo−NiやCo−Crなどからなる金属薄
膜型磁性層を設けてなる磁気記録媒体が知られている
(例えば、特開昭58−68225号公報)。磁気記録
のハード、ソフトの高性能化に伴い、磁気テープの磁性
体もより高い出力が求められるようになってきており、
家庭用、業務用の小型デジタルVTR用テープ、さらに
大容量のデータ保存用テープとして、上記のような高性
能磁気記録媒体の開発が進められている。このような、
磁気記録システムの変化に合わせて、磁気記録媒体のベ
ースフィルムにも様々な改良が加えられており、従来の
単層フィルムから表裏で表面性の異なる積層タイプのフ
ィルムが主流となりつつある。従来の2層積層の二軸配
向ポリエステルフィルムにおいて、片面について平滑性
(磁気テープにした時のC/N(キャリヤ/ノイズ比)
の高さに関与)と滑り性(磁気テープの走行性に関
与)、耐久性(耐摩耗性など)の3者を満足させたもの
がある(例えば特開平2−77431号公報)。さら
に、磁性面側の平滑性を著しく高めて磁気テープの出力
を向上させるために、3層構成とし、表裏の粗さに差を
与えたものも知られている(例えば特開平5−2127
88号公報)。また、これらの積層ポリエステルフィル
ムにおいて表面特性をコントロールするためには、ポリ
エステルに特定の粒径を有する無機物や有機物(架橋性
高分子など)に起因する不活性粒子を添加したり、重合
時の触媒に起因する内部析出粒子を用いる方法が一般的
であった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来の積層ポリエステルフィルムでは、磁性面側の高度な
平滑性と走行性を十分満足することができず、特に昨今
のデジタル記録方式の高密度記録テープ用においては磁
気ヘッドとテープ表面の相対速度が大きくなることから
高度な走行耐久性が要求されるため、表面が平滑すぎる
とヘッドとの摩擦が大きくなり、傷が付きやすくなると
いう問題が生じる。これらの問題を回避するためには、
ベースフィルムの磁性面側に微細な突起を高密度に形成
させる必要があり、そのためにポリエステル中に突起を
形成させるための粒径の極めて小さい不活性粒子を高濃
度に添加する手段がとられている。しかしながら、この
ような微細粒子をポリエステル中に高濃度で添加した場
合には、ペレット製造時あるいはフィルム製造工程にお
ける溶融押出工程において粒子同士の凝集が避けられ
ず、フィルム表面に凝集粒子に起因する粗大突起が発生
し、金属薄膜型磁気テープとした場合にドロップアウト
や磁気ヘッドの偏摩耗による出力低下を起こすという問
題があった。さらに、テープ製造工程内において粒子の
脱落による削れ物が発生し、ドロップアウトを悪化させ
るという問題もあった。
【0004】本発明は、かかる問題点を解決し、高性能
が特に要求されるデジタル記録方式のVTRテープや大
容量のデータ保存用テープに用いた場合にも、出力と走
行耐久性に優れ、さらにドロップアウトやヘッド偏摩耗
などの原因となる凝集粒子に起因する粗大突起が極めて
少なく、さらに巻特性やスリット性にも優れた磁気記録
媒体用二軸配向積層ポリエステルフィルムを提供するこ
とを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、A/B/Cの
少なくとも3層以上の積層ポリエステルフィルムであっ
て、磁性層を設ける側を構成するA層が結晶化パラメー
タ△Tcgが60℃未満の高結晶性ポリエステルからな
り、A層表面に存在する突起について、平坦面からの高
さが0.2μmを越える突起個数が全突起個数の2%以
下であり、反対面側を構成するC層については結晶化パ
ラメータ△Tcgが60℃以上のポリエステルからな
り、かつ平均粒径0.1〜1.0μmの不活性粒子を
0.05〜2.0重量%含有し、さらに積層厚みが0.
2〜2.0μmである磁気記録媒体用二軸配向積層ポリ
エステルフィルム、およびこのフィルムを用いたテープ
である。
【0006】
【発明の実施の形態】本発明のフィルムを構成するポリ
マは、ポリエステルであれば特に限定されないが、特に
エチレンテレフタレート、エチレン−2,6−ナフタレ
ート単位から選ばれた少なくとも一種の構造単位を主要
構成成分とするのが望ましい。結晶性のポリエステルを
使用すると、機械的特性、表面の走行耐久性が一層良好
となるので望ましい。本発明のフィルムはポリエステル
を主要成分とするが、本発明の目的を阻害しない範囲内
であれば、他種ポリマをブレンドしてもよいし、酸化防
止剤、熱安定剤、滑剤、紫外線吸収剤、結晶核生成剤等
の無機または有機添加剤が添加されていてもよい。
【0007】本発明のフィルムは、A/B/Cの少なく
とも3層以上の積層フィルムであって、磁性層を設ける
側を構成するA層は、結晶化パラメータ△Tcgが60
℃未満の高結晶性ポリエステルから構成される。ここで
述べる結晶化パラメータとは、ポリエステルを常温から
加熱させていく過程における結晶化の起こりやすさを表
すものであり、そのポリエステルのガラス転移点(T
g)と冷結晶化温度(Tcc)の差、すなわちTcc−
Tg(℃)と定義されるものである。ここで、△Tcg
の値が小さいものほど結晶化しやすいポリエステルであ
り、高結晶性ポリエステルを用いることにより、A層に
結晶化を利用した表面突起を形成させることができる。
△Tcgが60℃以上であると、結晶化速度が小さくな
るためにフィルム製造工程中において、結晶化による表
面突起を形成できず表面が平滑過ぎて、走行耐久性に劣
ったフィルムとなる。
【0008】上記のようなA層を構成するポリエステル
の結晶化を利用した表面突起の形成は次のように行われ
る。すなわち、未延伸フィルムのA層側の面に熱処理を
施し、その後に該未延伸フィルムを二軸延伸することに
よって、所望の表面突起が形成される。未延伸フィルム
に先ず熱処理を施すことにより、未延伸フィルムの特に
A層部分の結晶化が進められ、多数の微細な結晶がA層
内に生成する。この未延伸フィルムが二軸に延伸され、
フィルムが二軸配向されて目標とするフィルム自身の強
度が達成されるとともに、結晶とそうでない部分の硬さ
の差によって上記微細結晶に起因する均一な微細表面突
起が形成される。ここで、表面突起がポリエステルの微
細結晶からなるものか否かについては、対象となる突起
の下を、フィルム厚さ方向に適切な溶媒でエッチングし
ていき、その突起を形成する起因物が不溶物として残存
する場合は外部から添加された粒子、あるいは内部析出
した粒子とする(P)。不溶物として残存するものが実
質的になかった場合には、その突起を形成する起因物は
微細結晶であると推定できる(Q)。上記の溶媒として
は、例えばフェノール/四塩化炭素(重量比:6/4)
の混合溶媒などが好ましく用いられる。この方法で視野
を1mm2とした時のP、Qの頻度を求め、Q/(P+
Q)の値が70%以上である場合が好ましいことにな
る。ただし、表面突起がポリエステルの微細結晶からな
るものか否かの判定法については、上記の方法に限定さ
れるものではなく、適切な方法を選択することができ
る。
【0009】また、上記手段によりA層表面に形成され
る突起の高さは、スペーシング損失の観点より、なるべ
く低くかつ均一であることが望ましい。本発明者らは、
ヘッドとテープの接触を均一に保ち、かつ良好な滑り性
を付与するために、突起高さを様々に変更して検討を重
ねた結果、全突起個数のうち、平坦面からの高さが0.
2μmを越えるものの個数が2.0%以下である場合に
高出力が安定して得られるとともに、走行耐久性も良好
であることを確認した。好ましくは、1.5%以下、さ
らに好ましくは1.0%以下である場合に、より出力が
安定するために望ましい。平坦面からの高さが0.2μ
mを越える突起の個数が全突起個数の2.0%よりも多
くなると、平均的なスペーシングが大きくなって高出力
が得られないばかりでなく、ヘッドの偏摩耗による出力
低下が発生しやすくなる。
【0010】さらに、本発明のフィルムを特に金属薄膜
型の磁気記録媒体に用いる場合には、0.035μmを
越えるものの個数が3.0%以下である場合に、高出力
が安定して得られるとともに走行耐久性も良好であるこ
とが確認された。好ましくは、2.5%以下、さらに好
ましくは2. 0%以下、最も好ましくは1.5%以下で
ある場合に、金属薄膜型の磁気記録媒体としての出力が
より安定するために望ましい。
【0011】本発明フィルムのA層表面に形成される突
起数が100万個/mm2よりも少ないと、磁性面の走
行摩擦が大きくなり、テープが磁気ヘッドに貼り付くな
どのトラブルの原因となるので好ましくない。表面突起
数は、好ましくは200万個/mm2以上、さらに好ま
しくは300万個/mm2以上の場合に磁性面の繰り返
し走行耐久性が良好となる。突起数が多いほど走行耐久
性は良好となるが、本発明の突起形成法により達成しう
る上限は2000万個/mm2程度である。
【0012】A層には不活性粒子は実質的に含有しない
ことが好ましいが、本発明に影響を及ぼさない範囲内で
あれば微細な不活性粒子を、少量含有させてもよい。含
有量としては、A層表面に存在する突起個数(X)とA
層に含有される不活性粒子の個数(Y)との比X/Yが
5以上を満足する範囲であることが好ましい。含有量が
本範囲よりも大きくなると、不活性粒子に起因する突起
数が多くなるために、粒子による凝集や、脱落などの問
題が発生するために好ましくない。
【0013】A層に不活性粒子を含有させる場合、種類
は特に限定されないが、出力特性、走行耐久性の点から
コロイダルシリカもしくは有機粒子、中でも架橋型有機
粒子、特にジビニルベンゼン粒子が好ましい。その他の
粒子として、アルミナ、ジルコニア、シリカ、酸化チタ
ンなどの凝集粒子、または単分散した炭酸カルシウム、
酸化チタン、珪酸アルミナなども適切なポリマ中での粒
子分散により用いることが可能である。これらの粒子を
複数併用してもよい。
【0014】含有される不活性粒子の平均粒径は0.0
05〜0.20μmの範囲が好ましく、さらに好ましく
は0.01〜0.06μmであることが望ましい。平均
粒径が上記範囲より小さいと突起高さが低くなりすぎる
ために滑り性と走行耐久性が悪化し、逆にこの範囲より
大きいと、磁性面に形成される突起の高さが大きくなり
すぎるため、スペーシング損失が大きくなり出力が低下
するので好ましくない。本発明の熱可塑性樹脂A中の粒
子は、粒径比(粒子の長径/短径)が1.0〜1.3の
粒子、特に球形状の粒子の場合に滑り性、走行耐久性が
より一層良好となるので望ましい。
【0015】本発明のフィルムにおいては、A層表面側
に磁性層を設けて使用することが本発明の目的を達成す
るために望ましい。
【0016】さらにA層表面の粗大突起を抑制するとと
もに、前述の突起高さ範囲を達成させるために、A層に
隣接する層(B層とする)には、不活性粒子を実質的に
含有していないか、もしくは極少量含有していることが
望ましい。
【0017】さらにB層を構成するポリエステル中に
は、重合時の触媒残査などに起因するポリマに不溶性の
粒子などができる限り少ないことが望ましい。そのため
に、重縮合反応触媒として不溶性粒子が生成しにくいゲ
ルマニウム化合物を用いることが特に望ましい。
【0018】また、本発明では、上記のB層のA層側と
は反対側にC層を設けて、少なくともA/B/Cの3層
構成の積層フィルムとする。このような3層以上の構成
とすることにより、ハンドリング性、走行耐久性がより
向上する。ここで、C層厚みは0.2〜2μm、より好
ましくは0.4〜1.5μmの場合に走行耐久性がより
一層向上するので望ましい。
【0019】C層には、A層の如き高結晶性ポリエステ
ルではなく、△Tcgが60℃以上の比較的結晶化速度
の遅いポリエステルを用いる。C層は前述のA層と異な
り、磁気記録媒体の反磁性面側となるために、バックコ
ート層を設けるが、C層を高結晶性ポリエステルとする
とバックコートとの接着性が低下し、テープをデッキ内
で繰り返し走行させた時の耐久性が低下するという問題
が生じる。
【0020】さらにC層には、平均粒径0.1〜1.0
μmの不活性粒子を含有させる。含有量は0.05〜
2.0重量%、好ましくは0.2〜1.5重量%とする
ことが走行耐久性を向上させるためにのぞましい。不活
性粒子の種類としては、前述の架橋型有機粒子、または
シリカ、炭酸カルシウム、珪酸アルミナ、アルミナ、チ
タニアなどから選ばれる粒子を含有することが好まし
い。これらの粒子は単独で用いてもよいし、複数種類を
併用してもよい。さらにC層側の表面には、平坦面から
の高さが0.3μm以上の突起が500個/mm2以上
あることが、本発明のフィルムのハンドリング性を高
め、製造時の巻き取り性やスリット性を高める上で極め
て望ましい。
【0021】本発明フィルムは上記組成物を二軸配向せ
しめたフィルムである。一軸あるいは無配向フィルムで
は機械強度が不足するので好ましくない。本発明の積層
フィルムは総厚みが3μm〜9μmのフィルムとして用い
ることが特に好ましい。さらに好ましくは4.5〜7μ
mとすることが望ましい。
【0022】本発明においては、共押出法によって積層
フィルムとすることが好ましい。インラインあるいはオ
フラインでのコーティング法を用いることも可能である
が、フィルム表面の全反射ラマン結晶化指数を本発明の
範囲内とするためには共押出法が望ましい。さらに、フ
ィルム表面の耐摩耗性を高め、さらに保存特性(特に高
湿度下での安定性)を高めるためにも共押出法が望まし
い。
【0023】また、本発明のフィルムは、フィルムの厚
さ方向の一部分、例えば、表層付近のポリマー分子の配
向が、無配向、あるいは一軸配向になっていない、すな
わち、厚さ方向の全部分の分子配向が二軸配向である場
合に出力特性がより良好となる。特にアッベ屈折計、レ
ーザーを用いた屈折率計、全反射レーザーラマン法など
によって測定される分子配向が、表面、裏面ともに二軸
配向である場合に出力特性がより一層良好となるので望
ましい。
【0024】本発明のフィルムは磁気記録媒体用途に供
され、特に高出力および低いエラーレートが要求され
る、民生用および業務用、放送局用デジタル記録方式V
TR用磁気記録媒体のベースフィルムとして好ましく用
いられる。また、大容量のデータ保存用テープとしても
好ましく用いられ、特にリニア記録方式のデータ保存用
テープ(例えば、デジタルリニアテープなど)用に用い
ることが望ましい。
【0025】次に本発明フィルムの好ましい製造方法に
ついて説明するが、これに限定されるものではない。本
発明フィルムのA層を構成するポリエステルの重合は、
重合触媒として三酸化アンチモンまたは二酸化ゲルマニ
ウム、また、△Tcgを低下させ、結晶核剤効果を高め
るために、エステル交換触媒としての金属化合物は酢酸
塩を用いることが好ましい。酢酸塩としては、特に限定
されないが、マグネシウム化合物を用いることが、本発
明の目的を達成するためには特に好ましい。また、重合
時に添加されるリン化合物としてはホスホン酸塩を用い
ることが好ましい。但し、A層を構成するポリエステル
の製造方法としては上記に何等限定されるものではな
い。
【0026】また、A層以外の層を構成するポリエステ
ルの重合は公知の方法をとることができる。また、A層
以外の層を構成するポリエステルに粒子を含有せしめる
方法としては、ジオール成分であるエチレングリコール
のスラリーの形で分散せしめ、このエチレングリコール
を所定のジカルボン酸成分と重合せしめるのが好まし
い。また、粒子のエチレングリコールのスラリーを14
0〜200℃、特に180〜200℃の温度で30分〜
5時間、特に1〜3時間熱処理する方法は本発明の効果
をより一層高めるために有効である。また、粒子をエチ
レングリコール中で熱処理した後、溶媒を水に置換した
スラリーの形でポリエステルと混合し、ベント方式の二
軸押出機を用いて混練してポリエステルに練り込む方法
も本発明の目的を達成するためにはきわめて有効であ
る。
【0027】粒子の含有量を調節する方法としては、上
記方法で高濃度マスターを作っておき、それを製膜時に
粒子を実質的に含有しないポリマで希釈して粒子の含有
量を調節する方法が有効である。
【0028】かくして、粒子を実質的に含有せず結晶性
の高いポリエステルA(A層用)、粒子を含有せずポリ
エステルAよりも結晶性の低いポリエステルB(B層
用)、粒子を所定量含有しさらにポリエステルBと同様
の結晶性を有するポリエステルC(C層用)のペレット
を必要に応じて乾燥する。次にポリエステルBよりなる
フィルム(B層)の両面にポリエステルAよりなるフィ
ルム(A層)およびポリエステルCよりなるフィルム
(C層)を積層する方法としては次の方法が有効であ
る。
【0029】ポリエステルA、B、Cを3台の押出機に
供給し、3層のマニホールドまたは、合流ブロックを用
いて積層する。各層の厚みは、押出機もしくはポリマー
流路内に設けられたギヤポンプの回転数を調節してポリ
マー押出量を制御することにより行う。かくして積層さ
れたシートを口金より押出し、キャスティングロールで
冷却して未延伸フィルムを作る。また、この場合C層側
表面が、キャスティングロールと接触するようにキャス
トすることが、出力特性、ドロップアウトの点から好ま
しい。
【0030】本発明においては、未延伸フィルムの少な
くとも片面に熱処理を施し、その後に二軸延伸する。熱
処理の方法としては、加熱ロールに巻き付けて熱処理す
る方法、ロールに巻き付けた状態でロールと接触する面
と反対の面から熱風処理する方法、ロール/ロール間で
赤外線ヒータで熱処理する方法、ステンタを用いて加熱
する方法などがあるが、特にこれらの方法に限定される
ものではない。
【0031】冷却固化した未延伸フィルムを熱処理する
ための好ましい方法としては、A層側の表面温度がポリ
エステルAの冷結晶化温度Tccより20℃低い温度
(Tcc−20℃)以上、かつ降温結晶化温度Tmcよ
り40℃高い温度(Tmc+40℃)以下で0.5〜3
0秒間保たれるように熱処理することが好ましい。
【0032】次にこの未延伸フィルムを二軸延伸し、二
軸配向させる。延伸方法としては、逐次二軸延伸法また
は同時二軸延伸法を用いることができるが、最初に長手
方向、次に幅方向の延伸を行う逐次二軸延伸法が好まし
く、長手方向の延伸を3段階以上に分けて、総縦延伸倍
率を3.0〜6.5倍で行う方法が好ましい。長手方向
延伸温度は熱可塑性樹脂の種類によって異なり一概には
言えないが、通常その1段目を50〜160℃とし、2
段目以降はそれより高くすることが本発明フィルムの目
的を達成するために有効である。長手方向延伸速度は
5,000〜50,000%/minの範囲が好適であ
る。幅方向の延伸方法としてはステンタを用いる方法が
一般的であり、延伸倍率は3.0〜7.0倍の範囲が適
当である。延伸速度は1,000〜20,000%/m
in、温度は80〜160℃の範囲が好適である。次に
この延伸フィルムを熱処理する。この場合の熱処理温度
は150〜240℃、特に170〜210℃、時間は
0.5〜60秒の範囲が好適である。
【0033】
【物性の測定方法ならびに効果の評価方法】本発明の特
性値の測定方法ならびに効果の評価方法は次の通りであ
る。
【0034】(1)粒子の平均粒径 フィルムを厚さ方向に1000〜8000オングストロ
ーム程度の超薄切片とし、透過型電子顕微鏡(日本電子
製JEM−1200EX)を用いて3万〜20万倍程度
の倍率で場所を変えて粒子を観察し、次式により求め
た。数平均径Dを平均粒径とした。
【0035】D=ΣDi/N ここで、Diは粒子の円相当径、Nは個数である。
【0036】(2)粒子の含有量 熱可塑性樹脂を溶解し、粒子を溶解しない溶媒を選択
し、粒子を熱可塑性樹脂から遠心分離し、粒子の全体重
量に対する比率(重量%)をもって粒子含有量とする。
場合によっては、赤外分光法の併用も可能である。
【0037】(3)積層厚さ 2次イオン質量分析装置(SIMS)を用いて、表層か
ら深さ3000nmの範囲のフィルム中の粒子の内、最
も高濃度の粒子に起因する元素とポリエステルの炭素元
素の濃度比(M+/C+)を粒子濃度とし、表面から深さ
3000nmまで厚さ方向の分析を行う。表層では表面
という界面のために粒子濃度は低く、表面から遠ざかる
につれて粒子濃度は高くなる。本発明フィルムの場合は
いったん極大値となった粒子濃度がまた減少し始める。
この濃度分布曲線をもとに表層粒子濃度が極大値の1/
2となる深さ(この深さは極大値となる深さよりも深
い)を求め、これを積層厚さとした。条件は次の通りと
した。
【0038】1)測定装置 2次イオン質量分析装置(SIMS) ***、ATOMIKA社製 A-DIDA3000 2)測定条件 1次イオン種 :O2 + 1次イオン加速電圧:12kV 1次イオン電流 :200nA ラスター領域 :400μm□ 分析領域 :ゲート30% 測定真空度 :5.0×10-9Torr E−GUN :0.5kV−3.0A なお、表層から深さ3000nmの範囲に最も多く含有
される粒子が有機高分子粒子の場合はSIMSでは測定
が難しいので、表面からエッチングしながらXPS(X
線光電子分光法)、IR(赤外分光法)などで上記同様
のデプスプロファイルを測定し、積層厚さを求めても良
いし、また電子顕微鏡などによる断面観察で粒子濃度の
変化状態やポリマの違いによるコントラストの差から界
面を認識し、積層厚さを求めることもできる。さらに
は、積層ポリマを剥離後、薄膜段差測定機を用いて積層
厚さを求めることもできる。
【0039】(4)表面突起個数、高さ 4検出方式のフィールドエミッション電子線三次元粗さ
解析装置(エリオニクス社製ERA-8000FE)を用い
て、フィルム表面の平坦面の高さを0としたときの突起
高さを測定した。ここで、走査型電子顕微鏡の倍率は50
00〜30000倍の間を選択し、測定を100視野について行
い、高さ0.005μm以上の高さを有する突起につい
て個数を求め、1mm2あたりの総突起個数に換算し
た。これらの内、0.035μm以上の高さを有する突
起の個数を求め、総突起個数に対する比率を求めた。な
お、場合によっては、原子間力顕微鏡(Digital Instru
ments社製 Nanoscope IIIa)を用いて、5μm四方の視
野を走査速度0.69Hzで走査することによって得られる情
報を、100視野について行い、上記粗さ解析装置の値
に読み替えてもよい。
【0040】(5)表面の分子配向(屈折率)、表面の
全反射ラマン結晶化指数 ナトリウムD線(589nm)を光源として、アッベ屈折率
計を用いて測定した。マウント液にはヨウ化メチレンを
用い、25℃、65%RHにて測定した。ポリマの二軸
配向性は長手方向、幅方向、厚さ方向の屈折率をN1、
N2、N3とした時、(N1−N2)の絶対値が0.07以
下、かつ、N3/[(N1+N2)/2]が0.95以下で
あることをひとつの基準とできる。また、レーザー型屈
折率計を用いて屈折率を測定しても良い。さらに、この
方法では測定が難しい場合は全反射レーザーラマン法を
用いることもできる。レーザー全反射ラマンの測定は、
Jobin-Yvon社製Ramanor U-1000ラマンシステムにより、
全反射ラマンスペクトルを測定し、例えばPETの場合
では、1615cm-1(ベンゼン環の骨格振動)と1730cm
-1(カルボニル基の伸縮振動)のバンド強度比の偏光測
定比(YY/XX比など。ここでYY:レーザーの偏光
方向をYにしてYに対して平行なラマン光検出、XX:
レーザーの偏光方向をXにしてXに対して平行なラマン
光検出)が分子配向と対応することを利用できる。ポリ
マの二軸配向性はラマン測定から得られたパラメータを
長手方向、幅方向の屈折率に換算して、その絶対値、差
などから判定できる。また、カルボニル基の伸縮振動で
ある1730cm-1の半価幅をもって表面の全反射ラマン結晶
化指数とした。この場合の測定条件は次の通りである。 光源 アルゴンイオンレーザー(5145オンク゛ストローム) 試料のセッティング フィルム表面を全反射プリズムに圧着させ、レーザーの
プリズムへの入射角(フィルム厚さ方向との角度)は6
0度とした。
【0041】検出器 PM:RCA31034/Photon Counting System(Hamamatsu C1
230) (supply 1600V) 測定条件 SLIT 1000μm LASER 100mW GATE TIME 1.0sec SCAN SPEED 12cm-1/min SAMPLING INTERVAL 0.2cm-1 REPEAT TIME 6 (6)A層に含有される粒子個数(Y) フィルム断面を透過電子顕微鏡(TEM)により300
0〜100000倍にて観察し、A層中に存在する粒子
個数をカウントする。A層は隣接するB層よりも結晶性
の高いポリエステルよりなるためにA/B層の界面はT
EMにより確認でき、A層部分のみの観察を100視野
について行い、1mm2あたりの個数に換算して求めた。
【0042】(7)結晶化パラメータ△Tcg パーキンエルマー社製のDSC(示差走査熱量計)II型
を用いて測定した。DSCの測定条件は次の通りであ
る。すなわち、試料10mgをDSC装置にセットし、
300℃の温度で5分間溶融した後、液体窒素中で急冷
する。この急冷試料を10℃/分で昇温し、ガラス転移
点Tgを検知する。さらに昇温を続け、ガラス状態から
の結晶化発熱ピーク温度をもって冷結晶化温度Tcc、
結晶融解に基づく吸熱ピーク温度を融解温度Tm、同様
に降温時の結晶化発熱ピーク温度を降温結晶化温度Tm
cとした。TccとTgの差(Tcc−Tg)を結晶化
パラメータ△Tcgと定義する。
【0043】(8)出力特性
【0044】
【メタル塗布型テープの場合】本発明のフィルムのA層
表面に下記組成物をボールミルで48時間混合分散した
後、硬化剤6部を添加して得られた混練物をフィルター
で濾過し、磁性塗料を得た。この磁性塗料をグラビアロ
ールにより塗布し、磁気配向させた後、110℃で乾燥
させた。さらに小型テストカレンダー装置でカレンダー
処理を施し、さらに温度70℃で48時間キュアリング
処理を行った。上記テープ原反を1/2インチにスリッ
トし、パンケーキとした。次いで、このパンケーキから
長さ200m分をカセットに組み込み、カセットテープ
とした。
【0045】 (磁性塗料の組成) ・Fe :100部 平均粒子サイズ 長さ:0.3μm 針状比 :10/1 抗磁力 :2000Oe ・ポリウレタン樹脂 : 15部 ・塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体 : 5部 ・ニトロセルロース樹脂 : 5部 ・酸化アルミ粉末 : 3部 ・カーボンブラック : 1部 ・レシチン : 2部 ・メチルエチルケトン :100部 ・メチルイソブチルケトン :100部 ・トルエン :100部 ・ステアリン酸 : 2部 このテープについて、ドラムテスターを用いて、記録密
度100kBPIにおける出力レベルを測定した。この
出力レベルを市販のHi8用ビデオテープ(メタル塗布
型)と比較して、 +3dB以上 :優 +1〜+3dB :良 +1dB未満 :不良 と判定した。
【0046】
【金属薄膜型磁気テープの場合】本発明のフィルムのA
層表面に、連続真空蒸着装置を用いて、微量の酸素の存
在下にコバルト・ニッケル合金(Ni20重量%)の厚み
200nmの蒸着層を設けた。次いで、蒸着層表面にカーボ
ン保護膜、反対面にバックコート層を公知の手段で形成
させた後、8mm幅にスリットし、パンケーキを作成し
た。次いで、このパンケーキから長さ200m分をカセット
に組み込み、カセットテープとした。
【0047】このテープについて、ドラムテスターを用
いて、記録密度100kBPIにおける出力レベルを測
定した。この出力レベルを市販のHi8用ビデオテープ
(金属薄膜型)と比較して、 +3dB以上 :優 +1〜+3dB :良 +1dB未満 :不良 と判定した。
【0048】(9)磁性面走行耐久性 上記のテープをテープ走行試験機を用いて、20℃、5
0%RH下で、メタルガイドピン(材質:SUS、表面
粗度:0.1S)に磁性面が接触するように走行させた
(走行速度3.3cm/秒、走行張力20g、巻き付け
角度60度)。100回繰り返し走行後の摩擦係数を測
定し、初期摩擦係数からの上昇が、 0.03未満 :優 0.03以上0.08未満:良 0.08以上 :不良 と判定した。
【0049】(10)バックコートとの接着性 本発明フィルムのA層側と反対側の表面にバックコート
層(ポリウレタン樹脂40重量部、ニトロセルロース5
0重量部、ポリイソシアネート20重量部、カーボンブ
ラック50重量部からなる組成物をボールミルで24時
間分散処理したもの)をグラビアコーターを用いて塗布
し、100℃にて乾燥した。この塗布面に市販のセロハ
ンテープを張りつけ、20Paの圧力で押さえた後、一
気に剥し、剥がれた部分の面積の比率をもって接着性を
判定した。すなわち、剥がれた部分の面積のセロハンテ
ープを張りつけた面積に対する比率が、 0%以上5%未満 :優 5%以上15%未満 :良 15%以上 :不良 と判定した。
【0050】(11)ドロップアウト 前述のテープをHi8用VTR(SONY社製 EV−
BS3000)を用いて評価を行った。TV試験信号発
生器から4.4MHzの信号を供給し、ドロップアウト
カウンターを用いて、再生信号の減衰が−16dB以
上、長さが15μsec以上のドロップアウトの個数を
求めた。25℃、65%RH下で3分間再生/巻き戻し
を100回繰り返した後のドロップアウトの個数を1分
間あたりの個数に換算し、以下のように判定した。
【0051】 0〜15個/分 :優 16〜30個/分 :良 31〜 個/分 :不良 (12)フィルムの巻取り性 幅300mmのフィルムを巻取り速度200m/分で、
張力一定で巻取り、長さ6000mのロールとした。こ
のロールの24時間後(室温で放置)の外観を目視によ
り観察し、シワが2カ所以上、または1mm以上の端面
ずれが認められるものを不良、シワが2カ所未満、また
は端面ずれが1mm未満のものを良、シワまたは端面ず
れが全くみられないものを優と判定した。
【0052】
【実施例】本発明を実施例、比較例に基づいて説明す
る。
【0053】実施例1 まずA層に用いる原料(ポリエステルA)を以下の触媒
組成として公知の方法により重合を行った(酢酸マグネ
シウム:0.20重量%、三酸化アンチモン:0.03
重量%、ジメチルフェニルホスホネート:0.35重量
%)。次に、ポリエステルBとして粒子を含有しないポ
リエチレンテレフタレートを、重合触媒を、二酸化ゲル
マニウム0.012重量%およびトリメチルホスフェー
ト0.013重量%のみとしたものを用いて作成した。
さらに、C層に用いる原料として、平均粒径0.3μm
のジビニルベンゼン粒子(ジビニルベンゼン成分81
%)を含有するポリエチレンテレフタレート(重合触
媒:酢酸マグネシウム0.60重量%、三酸化アンチモ
ン0.05重量%、トリメチルホスフェート0.25重
量%)を作成した。
【0054】これらの原料(ポリエステルA、B、C)
をそれぞれ180℃で6時間減圧乾燥(3Torr)し
た後、押出機1、押出機2、押出機3にそれぞれ供給
し、280℃で溶融した。これらのポリマを公知の方法
で濾過した後、3層用の矩形の合流ブロック(フィード
ブロック)にてA/B/Cの3層積層とした。なお、合
流ブロックにおけるポリマ流路断面積の比率がA:B:
C=1:45:35のものを用いた。また、各層の厚さ
はそれぞれのラインに設置されたギヤポンプの回転数を
調節し、押出量を制御することによって調節した。
【0055】これを静電印加キャスト法を用いて、表面
温度25℃のキャスティングドラムに、ドラムと接触す
る面がC層側となるように巻き付けて冷却固化し、未延
伸フィルムを作った。
【0056】この未延伸フィルムを、180℃に加熱し
た表層にシリコーンゴム(厚さ3mm)を巻いたロール
に巻き付けた状態で5秒間接触させて、A層側の結晶化
を進行させたのち、温度96℃にて長手方向に3.6倍
延伸した。延伸は2組ずつのロールの周速差で、4段階
で行った。得られた一軸延伸フィルムをステンタを用い
て延伸速度2000%/minで95℃で幅方向に3.
7倍延伸し、定長下で、220℃にて3秒間熱処理し、
総厚さ7μmの積層ポリエステルフィルムを得た。
【0057】このフィルムのA層側の表面に、前述の方
法によって、磁性層を設け、メタル塗布型磁気記録媒体
を得た。
【0058】フィルムおよびテープの特性は第1、2表
に示した通りである。出力特性と走行耐久性が共に優れ
ており、さらに凝集粒子などによる粗大突起に起因する
ドロップアウトも極めて少なく、高密度磁気記録媒体用
ベースフィルムとして優れた性能を有していた。
【0059】実施例2〜5 積層構成、A層のポリエステルおよび粒子処方、さらに
B、C層のポリエステルおよび粒子処方および結晶化条
件を表1、2のごとく変更して、実施例1と同様の延伸
プロセスにて二軸配向積層フィルムを得た。なお、A層
ではコロイダルシリカを、B、C層については架橋ポリ
スチレンを粒子として使用した(B層は実施例3のみ含
有、平均粒径0.1μm)。実施例2、3はメタル塗布
型磁気記録媒体、実施例4、5は金属薄膜型磁気記録媒
体として評価を行った。
【0060】比較例1 A/B2層構成とし、積層構成、A層のポリエステルお
よび粒子処方、さらにB層のポリエステルおよび粒子処
方を表3の通りとして、実施例1と同様の製造条件によ
り二軸配向積層フィルムを得た(B層の粒子は実施例3
と同様)。このフィルムのA層側の表面に、前述の方法
によって、磁性層を設け、メタル塗布型磁気記録媒体を
得た。A層ポリマーが高結晶性ポリエステルでないた
め、結晶化による突起が十分に形成されず、磁性面耐久
性が特に不良であった。
【0061】比較例2〜5 A/B/Cの3層構成の積層フィルムとした。A層のポ
リエステルおよび粒子処方、さらにB、C層のポリエス
テルおよび粒子処方および結晶化条件を表2のごとく変
更して、実施例1と同様の延伸プロセスにて二軸配向積
層フィルムを得た。なお、A層ではコロイダルシリカ
を、B、C層については架橋ポリスチレンを粒子として
使用した。なお、比較例3〜5ではA層中には粒子を含
有させず、B層または/およびC層に粒子を含有させ
た。表3、4に示した通り、本発明範囲を満足しておら
ず特性的に劣ったものしか得られなかった。
【0062】
【表1】
【表2】
【表3】
【表4】
【0063】
【発明の効果】本発明のフィルムは、A/B/Cの少な
くとも3層以上の積層構成とし、磁性面側の層を構成す
るA層と反磁性面側を構成するC層に用いられるポリエ
ステルの結晶性を特定のものとし、さらにA層表面の突
起高さおよび突起数を規定し、さらにC層に含有される
粒子量および平均粒径を特定範囲としたので、特に高性
能が要求されるデジタル記録方式の磁気記録媒体用途に
おいて、優れた出力特性と、磁性面側の走行耐久性を両
立でき、さらに凝集粒子や粒子脱落による削れ物に起因
するドロップアウト抑制にも効果がある。

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】A/B/Cの少なくとも3層以上の積層ポ
    リエステルフィルムであって、磁性層を設ける側を構成
    するA層が結晶化パラメータ△Tcgが60℃未満の高
    結晶性ポリエステルからなり、A層表面に存在する突起
    について、平坦面からの高さが0.2μmを越える突起
    個数が全突起個数の2%以下であり、反対面側を構成す
    るC層については結晶化パラメータ△Tcgが60℃以
    上のポリエステルからなり、かつ平均粒径0.1〜1.
    0μmの不活性粒子を0.05〜2.0重量%含有し、
    さらに積層厚みが0.2〜2.0μmであることを特徴
    とする磁気記録媒体用二軸配向積層ポリエステルフィル
    ム。
  2. 【請求項2】A層表面に存在する突起個数(X)とA層
    に含有される不活性粒子の個数(Y)との比X/Yが5
    以上であることを特徴とする請求項1に記載の磁気記録
    媒体用二軸配向積層ポリエステルフィルム。
  3. 【請求項3】A層表面に存在する突起について、平坦面
    からの高さが0.035μmを越える突起個数が全突起
    個数の3%以下であることを特徴とする請求項1、2の
    いずれかに記載の磁気記録媒体用二軸配向積層ポリエス
    テルフィルム。
  4. 【請求項4】C層表面に平坦面からの高さが0.3μm
    以上の突起が500個/mm2以上あることを特徴とす
    る請求項1〜3のいずれかに記載の磁気記録媒体用二軸
    配向積層ポリエステルフィルム。
  5. 【請求項5】内層部は実質的に不活性粒子を含有してい
    ないことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の
    磁気記録媒体用二軸配向積層ポリエステルフィルム。
  6. 【請求項6】磁気記録媒体がメタル塗布型磁気記録媒体
    である請求項1〜5のいずれかに記載の磁気記録媒体用
    二軸配向積層ポリエステルフィルム。
  7. 【請求項7】請求項1〜5のいずれかに記載の磁気記録
    媒体用二軸配向積層ポリエステルフィルムを用いてなる
    デジタル記録方式のVTRテープ。
  8. 【請求項8】請求項1〜5のいずれかに記載の磁気記録
    媒体用二軸配向積層ポリエステルフィルムを用いてなる
    リニア記録方式のデータ保存用テープ。
  9. 【請求項9】磁気記録媒体がメタル塗布型磁気記録媒体
    である請求項7または8に記載のテープ。
JP12234497A 1996-05-13 1997-05-13 磁気記録媒体用二軸配向積層ポリエステルフィルム Pending JPH1052900A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003062901A (ja) * 2001-08-27 2003-03-05 Teijin Dupont Films Japan Ltd 磁気記録媒体用二軸配向ポリエステルフィルム

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