JPH10506803A - 雌性尿失禁の処置用の外科的器具 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 本発明は雌性尿失禁を処置するための外科的器具及び方法に関する。この器具はその一端においてハンドル（11）を有し、且つ身体の中に移植することを意図するテープ（26）の一端にそれぞれの一方の先端において接続されている２本の湾曲針様要素（21Ａ，21Ｂ）を有するシャンクを含んで成る。これらの要素はその他端においてシャンクと同時に接続されてシャンクの湾曲先端を形成することができ、そして膣を介して身体に通されることを意図しており、各要素は膣壁の内側から恥骨の背後を通って腹壁の外に至るように通過できる寸法となっている。本方法を実施するとき、テープ（26）をまずその一端において膣（28）を介して身体に通し、次いで尿道（30）の一方の側、次いで他方の側のそれぞれにその他方の先端において通し、膣壁のまわりにループを形成する。このテープを恥骨（31）を超えさせ、そして腹壁（32）に通し、そして締める。次に、このテープ端を腹壁において切り、そしてそのテープを身体に残す。

Description

【発明の詳細な説明】 雌性尿失禁の処置用の外科的器具 本発明は雌性尿失禁、即ち排尿制御不能を処置するための外科的器具及び方法 に関する。 尿失禁は膣壁と骨盤筋及び恥骨とを接続せしめる組織又は靭帯の不全を原因と しうる。 米国出願第5,112,344号には開腹を必要とせずに雌性尿失禁を処置する方法が 記載され、それに必要とされる病院管理は４日ぐらいでありうる。この方法では 、テープを尿道の両側において身体に通し、そして膣壁と恥骨の上に広がる腹壁 との間に移植している。膣壁と尿道とが恥骨に対して適正な位置にくるようにテ ープを締め、そして線維組織がテープのまわりに発達するように身体に残したま まとする。その線維組織は軟質組織の支持靭帯として機能する。かかる線維組織 が発達したらテープを身体から取る。これには約２ケ月かかる。 この方法に利用するための特異構造の外科的器具も発案されており、これはそ の一端にハンドルを、そしてその他端に湾曲部を有するシャンクを含んで成り、 その湾曲部は膣を通じて身体に通されることを意図している。 かかる手術により得られる結果は、膣壁と腹壁との間の軟質組織が悪性な状態 にあるため、線維組織が十分に発達しないであろうという事実に基づき常に満足 たるものではない。 本発明の目的は尿失禁の回復に関する有意に改善された予後を伴う改良且つ簡 略された手術を供することにより、そしてこの目的のため、本発明は請求項１に 特定された特徴を有する上述の種類の外 科的器具を提供する。 本発明はまた請求項17記載の雌性尿失禁の処置のための方法を提供する。この 方法においてはまた、テープを膣壁と腹壁との間に通すが、テープは身体に永久 的に残され、人工靭帯としてそれ自身が尿失禁を回復するために必要とされる組 織の強化を供するように、又は線維組織の発達により前記強化を供する。 本発明を、本発明に係る外科的器具及びこの外科的器具を利用して本発明の方 法を実施するときの複数の外科工程を開示している添付図面を参照しながらより 詳しく説明する。 図面において、 図１は一態様における外科的器具の側面図であり、 図２は外科的器具の平面図であり、 図３は互換性のある部品を取付けるための器具の結合の拡大断片軸方向横断面 であり、 図４〜10は本発明に係る方法の複数の外科工程を模式的に示し、そして 図11は本方法の最終工程を同様にして示している。 この外科的器具は円筒管状シャンク10を含んで成り、そのシャンクはその一端 において２つの反対方向において同一平面で広がりウィング12及び開口部13を形 成しているハンドル11を有している。シャンクの他端にはソケット14があり、そ れはシャンクの一部の上にはめられ、そしてシャンクにはんだ付け又は溶接され ており、そのソケットの一部は前記の他端においてシャンクから突き出ている。 円筒状シャフト15がシャンクに回転式に装着され、そしてそれはシャンクの外面 に軸方向に突き出たノブ16によって手動式に回転できる。ノブ16はシャフトの一 端に取り付けられており、そして開口部13に収まっている。シャフトの他端はシ ャフトより小さい外径の円 筒部17（それは雄ねじをもつ部分18を接続せしめる）、ねじ部18を接続する更に 小さい直径の平滑端部19を形成している。端部19はこのシャフトの前述の他端に おいてガイドピンを形成している。部18及び19はシャンクを突き出たソケット部 14の中に収まっており、そして更にシャンクから突き出たショルダー20がこの部 分の中に収まっている。 前述の外科的器具は複数回にわたって利用されることを意図しており、従って オートクレーブにより減菌されうる材料、例えばステンレススチールより成るべ きである。 この外科的器具は更にニードルと呼ぶ交換性、且つ使い捨て式の要素21を含む 。それはシャンクに、そのニードルの一端にあるまっすぐな部分において取り付 けられており、そして膣と腹壁との間の恥骨の外形を実質的に追従するようにそ の他方の自由端に至るまでほぼ１／４の同期の円を描いている。このニードルは 円形の断面を有し、そして滑らかであり、好ましくは外面が研磨仕上げされてい る。それはその自由末端に向かって若干テーパー仕上げとなっており、そこでニ ードルは切り子面が仕上げられた先端22を形成しているが、しかしそれは平滑末 端仕上げとなっており、且つ横方向に切られた末端を有していてもよい。この外 科的器具の実用性を好適な態様で示す。使い捨てニードルは組織適合性プラスチ ック、例えばポリカーボネート、又はスチールもしくは類似の材料のいづれかよ り成っていてもよい。 シャンク10へのニードル21の取り付けのため、ニードルはそれがソケット14の 中において収容される部分であるまっすぐな部分を形成しているその一端におい て先端面から広がる軸状ブラインドホールを有し、そのホールはねじ部23及びそ の内側方向に向かうより狭い円筒部24を有する。ガイドピン19は、ニードル21を 外科的器具の 残部に取り付けるためのねじ部18をこのブラインドホールのねじ部23の中にシャ フトをノブ16の手動式回転を介して回転させることによってねじ込み、シャンク の先端面とニードルの先端面とが互いに押し付けられるようになったときに前記 円筒部分24によりガイド式に収容されるような寸法となっている。このニードル はシャンクに対し所定の回転位置を向いているべきである。それはハンドル16の 面に対して直角方向に突き出ているべきであり、そしてかかる回転位置はニード ルの外面における対合くぼみの中に収容されているシャンクの上のショルダー20 により固定される。 ニードル21の部23は、ねじとなっている代わりに、シャフト15のねじ部18をプ ラスチック製ニードルの中にねじ込んだときにねじ穴が開けられるようにする寸 法であってよい。 この外科的器具の２つの部分を上記のような態様で互いにねじ締めすると、そ れらは本発明の方法を適用することにより手術に利用されたとき、ハンドル11に おいて大いなる精度をもってコントロールできうる精密ユニットを形成する。 本発明に係る方法を実施するとき、記載の態様の２本のニードル21Ａ及び21Ｂ がテープ26の各端において接続されるであろう（図４）。好適な態様において、 テープの先端はニードルに接着されているが、しかしその接続は、テープをニー ドルの中のシャンクに接続している先端の近くにある目27に通すことにより（図 ３）、又は超音波溶接によりテープ先端をニードルに接続することにより、もし くはプラスチック製のニードル材料を射出成形でベーキングすることにより施す ことができうる。 このテープは、テープを周囲組織の中に定着させるためにテープの中に至るよ うに線維芽細胞が成長できるよう、横糸と縦糸との間に0.1mm程度の開口部があ る織布テープであるべきである。テープ 用に適当な材料はポリプロピレンであり、これは線維芽細胞刺激物質、例えばエ ナメルマトリックス誘導体でコーティングされていてもよい。好ましくは、この テープは８〜10mmの幅及び約１mmの厚みを有する。 テープの移植のための手術を開始するとき、一方のニードル21Ａをシャンク10 に取り付け、他方のニードル21Ｂは図４に示すようにテープ26にぶら下げる。 図４〜11において、女性の下腹部の対応部分を模式的に開示し、膣は28、尿膀 胱は29、尿道は30、恥骨は31、そして腹壁は32で表示している。 テープ26を移植するための手術の第一工程を図４に開示し、そしてそれはニー ドル21Ａによる膣壁への貫入（この壁と最初に施す切り込み）、そして更には尿 道30の一面での軟質組織への貫入を含んで成り、次いでニードルを図５に従い恥 骨31の背部の近くに通し、そして恥骨の上の腹壁に通す。ニードルの通過のため に腹壁にわたって切断を施してよいが、もしニードルが鋭利なら、ニードルを腹 壁の内側から腹壁へと貫通させ、そして腹壁の外側に見当合わせ切断を施すのに それで十分でありうる。 さて、シャフト15をノブ16において回転させ、シャフトのねじ部18をニードル 21Ａの中のねじ部23から抜き取ることによって当位器具のシャンクをニードル21 Ａから外し（図６）、前記ニードルをピンセットにより腹壁から抜き取り、そし てテープ26を図７に示す通り組織の中に引っ張り込む（図７）。 他方のニードル21Ｂをシャンクに取り付け（図８）、そして膣壁に施された切 り込みを介して尿道30の他方の側にある軟質組織に通している。ニードル21Ｂを 腹壁に通し（図９）、次いでシャンクから外した後、腹壁から抜き取る（図10） 。これは全て先のニード ル21Ａの手順と同じようにする。 次にテープ26を図10に示すように尿道30の各側に配置し、そしてテープを膣壁 の内面に配置することによってループを形成することにより締める（図11）。腹 壁の外側にあるテープの余りを切り取る。次に、テープを身体に移植片として残 し、腹壁に付着した人工靭帯を形成せしめ、そして尿失禁を回復するのに必要な 支持力を尿道に授ける。 本発明に係る方法において使用できうるその他の種類のテープは上記のテープ より一層密な織布であってよく、そして短かれ長かれテープが完全に吸収されて しまうようにするかかる材料より成るものであってよい。テープにより刺激され る線維芽細胞増殖の発達により、尿失禁を回復するのに必要とされる組織の強化 が得られるであろう。

【手続補正書】特許法第１８４条の８ 【提出日】１９９６年８月１６日 【補正内容】 請求の範囲 １．雌性尿失禁を処置するための外科的器具であって、一端にハンドル（11） 、そして他端に膣を介して身体に通されることを意図する湾曲部（21）を有する シャンク（10）を含んで成り、 尿道のまわりにループとして身体に永久的に移植すべきテープ（26）の一端及 び他方のそれぞれに、一方の先端においてそれぞれ接続されている２本の湾曲し た針様要素（21Ａ，21Ｂ）が前記シャンク（10）に同時に接続されて前記湾曲部 を構成するように構築されており、各要素は膣壁の内面から恥骨の背後を通って 腹壁の外に至るような寸法となっていることを特徴とする、器具。 ２．前記シャンク（10）が、前記要素（21Ａ，21Ｂ）のシャンク（10）への装 着のためのねじ式結合部（18，23）を有することを特徴とする請求項１記載の器 具。 ３．前記ねじ式結合部が、前記シャンク（10）に回転式に装着され、且つその 一端において作動式ノブ（16）を有するシャフト（15）、ここで前記ノブは前記 シャンクのハンドル端にある；及び前記要素（21Ａ，21Ｂ）のねじ締めのための 前記シャフトの他端にあるねじ部、を含んで成ることを特徴とする請求項２記載 の器具。 ４．前記シャフト（10）が、前記針様要素（21Ａ，21Ｂ）の先端をその部分に おいて受容するためのスリーブ部（14）を前記他端において有することを特徴と する、請求項１〜３のいづれか１項記載の器具。 ５．前記ハンドル（11）が前記シャンク（10）から正反対方向に突き出た２つ のウィング（12）を含んで成ることを特徴とする、請求項１〜４のいづれか１項 記載の器具。 ６．前記シャンク（10）及び前記針様要素（21Ａ，21Ｂ）が、前 記シャンク（10）上の対応の要素を前記ウィングの面に対して直角方向に配置す るための相互作動性手段（20，25）を有することを特徴とする請求項５記載の器 具。 ７．前記シャンク（10）が複数回使用されることを意図しており、そしてオー トクレーブにかけることのできうる材料より成り、前記針様要素（21Ａ，21Ｂ） が一回の使用を意図しており、そしてプラスチック製材料、ステンレススチール 又は類似の材料より成ることを特徴とする、請求項１〜６のいづれか１項記載の 器具。 ８．前記テープ（26）が合体した要素（21Ａ，21Ｂ）に、前記テープの先端を 前記要素に接着もしくは溶接することにより、又は前記要素のプラスチック材料 へとベーキングすることにより取り付けられたものである、請求項７記載の器具 。 ９．前記テープの先端が合体した要素（21Ａ，21Ｂ）の中の図（27）に通され ている、請求項７記載の器具。 10．前記針様要素が実質的に１／４の同期の円を描いていることを特徴とする 、請求項１〜９のいづれか１項記載の器具。 11．前記要素（21Ａ，21Ｂ）がその他方の自由端に向かってテーパー仕上げと なっていることを特徴とする、請求項１〜10のいづれか１項記載の器具。 12．前記他方の先端が鋭利となっていることを特徴とする、請求項11記載の器 具。 13．前記他方の先端が平滑となっていることを特徴とする、請求項11記載の器 具。 14．前記テープ（26）が、その中に至る線維芽細胞の成長のために穴が開いて いることを特徴とする、請求項１〜13のいづれか１項記載の器具。 15．前記テープ（26）が織布テープを含んで成ることを特徴とす る、請求項14記載の器具。 16．前記テープが線維芽細胞剌激物質でコーティングされていることを特徴と する、請求項14又は15記載の器具。 17．雌性尿失禁を処置するためにテープ（26）を身体に通し、そして膣壁と恥 骨の上に広がる腹壁との間の尿道の両側に移植する方法であって、前記テープを その一端においてまず膣を介して身体に通し、次いでその他方の端において、尿 道の片側、次いで他方の側のそれぞれに通し、尿道のまわりにループを形成し、 そしてそのテープを締めることを特徴とする方法。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １．雌性尿失禁を処置するための外科的器具であって、一端にハンドル（11） 、そして他端に膣を介して身体に通されることを意図する湾曲部（21）を有する シャンク（10）を含んで成り、 身体に移植すべきテープ（26）の一端にそれぞれ一方の先端において接続され ている２本の湾曲した針様要素（21Ａ，21Ｂ）が前記シャンク（10）に同時に接 続されて前記湾曲部を構成するように構築されており、各要素は膣壁の内面から 恥骨の背後を通って腹壁の外に至るような寸法となっていることを特徴とする、 器具。 ２．前記シャンク（10）が、前記要素（21Ａ，21Ｂ）のシャンク（10）への装 着のためのねじ式結合部（18，23）を有することを特徴とする請求項１記載の器 具。 ３．前記ねじ式結合部が、前記シャンク（10）に回転式に装着され、且つその 一端において作動式ノブ（16）を有するシャフト（15）、ここで前記ノブは前記 シャンクのハンドル端にある；及び前記要素（21Ａ，21Ｂ）のねじ締めのための 前記シャフトの他端にあるねじ部、を含んで成ることを特徴とする請求項２記載 の器具。 ４．前記シャフト（10）が、前記針様要素（21Ａ，21Ｂ）の先端をその部分に おいて受容するためのスリーブ部（14）を前記他端において有することを特徴と する、請求項１〜３のいづれか１項記載の器具。 ５．前記ハンドル（11）が前記シャンク（10）から正反対方向に突き出た２つ のウィング（12）を含んで成ることを特徴とする、請求項１〜４のいづれか１項 記載の器具。 ６．前記シャンク（10）及び前記針様要素（21Ａ，21Ｂ）が、前記シャンク（ 10）上の対応の要素を前記ウィングの面に対して直角 方向に配置するための相互作動性手段（20，25）を有することを特徴とする請求 項５記載の器具。 ７．前記シャンク（10）が複数回使用されることを意図しており、そしてオー トクレーブにかけることのできうる材料より成り、前記針様要素（21Ａ，21Ｂ） が一回の使用を意図しており、そしてプラスチック製材料、ステンレススチール 又は類似の材料より成ることを特徴とする、請求項１〜６のいづれか１項記載の 器具。 ８．前記テープ（26）が合体した要素（21Ａ，21Ｂ）に、前記テープの先端を 前記要素に接着もしくは溶接することにより、又は前記要素のプラスチック材料 へとベーキングすることにより取り付けられたものである、請求項７記載の器具 。 ９．前記テープの先端が合体した要素（21Ａ，21Ｂ）の中の図（27）に通され ている、請求項７記載の器具。 10．前記針様要素が実質的に１／４の同期の円を描いていることを特徴とする 、請求項１〜９のいづれか１項記載の器具。 11．前記要素（21Ａ，21Ｂ）がその他方の自由端に向かってテーパー仕上げと なっていることを特徴とする、請求項１〜10のいづれか１項記載の器具。 12．前記他方の先端が鋭利となっていることを特徴とする、請求項11記載の器 具。 13．前記他方の先端が平滑となっていることを特徴とする、請求項11記載の器 具。 14．前記テープ（26）が、その中に至る線維芽細胞の成長のために穴が開いて いることを特徴とする、請求項１〜13のいづれか１項記載の器具。 15．前記テープ（26）が織布テープを含んで成ることを特徴とする、請求項14 記載の器具。 16．前記テープが線維芽細胞剌激物質でコーティングされていることを特徴と する、請求項14又は15記載の器具。 17．雌性尿失禁を処置するためにテープ（26）を身体に通し、そして膣壁と恥 骨の上に広がる腹壁との間の尿道の両側に移植する方法であって、前記テープを その一端においてまず膣を介して身体に通し、次いでその他方の端において、尿 道の片側、次いで他方の側のそれぞれに通し、膣壁のまわりにループを形成し、 そしてそのテープを締めることを特徴とする方法。