JPH1048372A - 燃料集合体とそれに用いる燃料チャンネルボックス及びその製造方法 - Google Patents

燃料集合体とそれに用いる燃料チャンネルボックス及びその製造方法

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JPH1048372A
JPH1048372A JP8209582A JP20958296A JPH1048372A JP H1048372 A JPH1048372 A JP H1048372A JP 8209582 A JP8209582 A JP 8209582A JP 20958296 A JP20958296 A JP 20958296A JP H1048372 A JPH1048372 A JP H1048372A
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正寿 稲垣
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Abstract

(57)【要約】 【課題】本発明の目的は、プルトニウムを混入した燃料
集合体において、燃料棒内部に中性子吸収材又は可燃性
毒物を混入することなく、余剰反応度を適切に抑制する
ことができ、かつ照射成長に起因する曲がり,膨れ変形
の少ない原子炉燃料集合体とそのチャンネルボックス及
び製造方法を提供する。 【解決手段】可燃性毒物を含有した部材をチャンネルボ
ックス内部に配置するとともに可燃性毒物が、直接炉水
に接しないようにし、またジルコニウム基合金板材の六
方晶ジルコニウムの<0001>方位の長手方向の配向
率(Fl値)が0.20〜0.35であり、チャンネルボ
ックスの対向する面のFl値の差が0.025以下であ
る原子炉燃料集合体とそのチャンネルボックス及び熱処
理を行うその製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は原子力プラントの燃
料集合体に関し、特に出力ピーキングを抑制し核熱的制
約を軽減し核燃料の経済性を向上させ、さらに新規なジ
ルコニウム基合金を用いることにより、照射による曲が
り及び膨れ変形を低減した燃料集合体とそれに用いる燃
料チャンネルボックス及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、原子炉では、ウラン235に代表
される核***性物質を燃料棒内に封入して燃焼させるこ
とによって、その燃焼エネルギーを取り出して利用して
いる。前記燃料棒中に封入される核燃料物質は、一般
に、天然ウランを濃縮して得られる濃縮ウランが用いら
れている。該濃縮ウランは、二酸化ウラン焼結の状態で
燃料ペレットに成型・焼結され、正方格子形状に配列さ
れた燃料被覆管の中に収めて利用される。
【0003】一方、近年、ウラン資源の有効利用という
観点から、軽水炉から取り出された使用済みウラン燃料
中のプルトニウムを、再び、軽水炉へリサイクルするプ
ルサーマル計画が進められている。これは、ウラン燃料
集合体中のウラン燃料棒の一部あるいは大部分をプルト
ニウムを富化した混合酸化物(Mixed Oxide)燃料棒で置
き換えたMOX燃料集合体を燃料として軽水炉に装荷し
て使用するものである。
【0004】この時、前記MOX燃料体の特性は、ウラ
ン燃料に近い方が望ましい。また、ウラン燃料の設計
は、高燃焼度化の方向にあり、これに伴いMOX燃料設
計も高富化度化、即ち、1体当たりのプルトニウム装荷
量をできるだけ大きくすることが望ましい。しかし、M
OX燃料集合体において、プルトニウムの装荷割合を増
加させた場合、ウランとプルトニウムの核特性の違いに
より、炉心特性上、ウラン炉心との差異を生じる。即
ち、核***性物質であるPu−239,Pu−241の
熱中性子吸収断面積が、U−235より大きいことや、
Pu−240による中性子共鳴吸収が大きいことなどに
よって、MOX燃料の中性子束スペクトルがウラン燃料
の中性子スペクトルよりも硬くなり、中性子減速効果が
低下してしまう。
【0005】原子炉においては、一定の運転期間の運転
が可能になるようにあらかじめ炉心は余剰反応度を有す
る設計としている。この余剰反応度を抑制するために
は、通常、燃料棒内部に、ガドリニアに代表される可燃
性毒物(BP)を混入する設計としている。MOXを用
いた原子炉炉心においても、燃料自身に可燃性毒物を混
入した燃料棒を複数本利用することによって、余剰反応
度の抑制に供している。一般に、中性子吸収断面積は、
中性子エネルギーに対して1/v依存性を有しており、
エネルギーの低い中性子ほどよく吸収される傾向があ
る。そのために可燃性毒物の中性子吸収量は、中性子エ
ネルギースペクトルが柔らかい、つまり、熱中性子の多
い体系ほど多くなる。従って、可燃性毒物の反応度抑制
効果は、MOXを用いた原子炉炉心においては小さくな
り、ウラン炉心と同等の反応度抑制効果を得ようとすれ
ば、可燃性毒物を混入した燃料棒の使用本数を増加させ
ねばならない。このことに対する対応としては、特開昭
60−146185号に示される技術の採用が考えられてい
る。これは、燃料集合体内部において、水ギャップに近
い燃料集合体外周部分が熱中性子量が多く、中性子スペ
クトルが柔らかいことに着目し、この領域にガドリニア
入り燃料棒を配置することで、ガドリニアの反応度価値
を高めて、使用するガドリニア本数を減少し、燃料集合
体のプルトニウムインベントリの増加、及び、使用ペレ
ット種類の低減を図るものである。
【0006】しかしながら、この方法では、燃料集合体
内部の燃料内に存在する可燃性毒物を全くなくすること
はできず、プルトニウムインベントリを減少するという
観点からは、不十分であるとの問題があった。
【0007】前記問題に対しては、特開昭59−72087 号
に示される技術による対応が考えられている。該技術
は、燃料集合体の燃料チャンネルボックス外周に反応度
制御部材を着脱自在に取付けることにより、燃料ペレッ
トに可燃性毒物を添加したり、ウラン濃縮度の調節を不
要にすることができるというものである。この場合の反
応度制御部材は、不錆鋼,ジルコニウム合金などの中性
子吸収材,ガドリニウム,銀,インジウム,ホウ素,カ
ドミウム,ハフニウム等の可燃性毒物を単体または化合
物の形で不錆鋼中に分散もしくはそのまま不錆鋼で被覆
したもの、ベリリウム等の反射材を不錆鋼で被覆したも
の等の他、前途の中性子毒物,反射材,天然・劣化ウラ
ンなどを不錆鋼でサンドイッチ状に挟み圧延するCo-ext
rusion加工を施したものが使用される。
【0008】また、前記問題に対して、特開平6−34209
1 号に示された技術が提案されている。該技術は、チャ
ンネルボックスの中央に配置される減速材棒を外管と内
管の二重管とし、該内外管の間に可燃性毒物を充填した
ものである。
【0009】一方、ジルコニウム合金は優れた耐食性と
小さい中性子吸収断面積を有する材料であるため原子炉
燃料集合体部材に使用されている。前記用途にはジルカ
ロイ−2,ジルカロイ−4とよばれるZr−Sn−Fe
−Cr−Ni合金が主に使用されている。これら合金の
原子炉内で長期間使用すると、(0001)面が板厚方
向に配向しているので、特定方向への伸び及び曲がり変
形及び照射,熱クリープによる膨らみ変形が生じる。燃
料チャンネルボックスに曲がり変形や膨らみ変形が発生
すると、制御棒が駆動するための間隙をふさぐため原子
炉の運転に支障をきたす。また、曲がり変形が生じる
と、燃料被覆管との間隔が変化し局部的に水対ウランの
比率が増減する為、核***反応度が変化する。この結
果、異常発熱による燃料被覆管の腐食加速、さらには燃
料破損の原因にも成りうる。このような中性子照射量の
不均一に起因する燃料チャンネルボックスに曲がり変形
を防止する為、炉心における燃料集合体装荷位置の入れ
替えによる中性子照射量の均一化が検討されているが、
曲がり変形を防止するには至らず、この曲がり変形によ
る制御棒駆動間隙の減少,核***反応度の変化が燃料チ
ャンネルボックスの寿命を制限する主因子となってい
る。
【0010】燃料チャンネルボックスの曲りを防ぐ方法
として特開昭59−229475号,特開昭62−200286号,特開
平5−17837号,特開平5−80170号公報には結晶粒の方位
をランダムにすることが開示されている。しかし、その
場合、クリープ変形に起因する膨らみ変形量が増大する
などの欠点もあり、完全な曲がり変形抑制技術とはなり
得ていない。
【0011】また、特に下部タイプレート近傍領域でチ
ャンネルボックスに膨らみ変形が発生すると、下部タイ
プレートとチャンネルボックスとの間隙から燃料集合体
の外側に流出する冷却水(バイパス流量)が増加し、そ
の分、燃料棒の冷却に寄与する冷却水の流量(チャンネ
ル内流量)が減少するため、燃料棒の熱的裕度が減少す
ることになる。逆に、バイパス流量が少ない場合はバイ
パス領域に蒸気ボイド(気泡)が過度に発生し、制御棒
と炉心計測装置を適切に冷却することができなくなる可
能性が生じる。バイパス流量は下部タイプレートとチャ
ンネルボックスとの間隙の大きさに依存するため、チャ
ンネルボックスのクリープ変形量が運転サイクル期間中
に過度に増加するのは好ましくない。バイパス流量の時
間変化を低減する方法として、チャンネルボックス長手
方向の端部のうち、下部タイプレートが装着される側の
チャンネルボックスの肉厚を厚くする方法や、下部タイ
プレート近傍領域のみα+β焼入れをし、結晶方位の配
向度を大きくする方法などが提案されている。
【0012】しかし、チャンネルボックスの曲がり変形
とクリープ変形を同時に低減する方法は提案されていな
い。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】特開昭59−72087 号の
技術では、チャンネルボックスと反応度制御部材との間
に隙間が生じ、隙間腐食やガルバニック腐食が生じやす
くなる。さらに、反応度制御部材が直接炉水に接してし
まうために、反応度制御部材自体の腐食も問題になる。
【0014】また、前述したように、原子炉燃料には、
初期の余剰反応度を抑制するために可燃性毒物が混入し
ている。ウランとプルトニウムの吸収断面積の中性子エ
ネルギーに対する依存性を比較すると、プルトニウムの
方が中性子吸収が多い。このためにプルトニウムを軽水
炉で用いる場合には、制御棒材質や可燃性毒物といった
反応度抑制物質が吸収する熱中性子量が減少し、MOX
燃料集合体を装荷した炉心では、制御棒価値,可燃性毒
物の反応度価値が低下し、そのためにMOX燃料集合体
を装荷した炉心では、使用する可燃性毒物を含んだ燃料
棒の本数を多くする必要が生じていた。
【0015】このことは、燃料集合体の1体当たりのプ
ルトニウムインベントリが減少する事を意味し、同量の
プルトニウムを消費するために製造する燃料集合体数が
増加する結果となる。これは、燃料製造費,燃料輸送費
の上昇を招く。
【0016】また、原子炉燃料は、その健全性を維持す
るために、局所ピーキング係数を燃料寿命中にわたって
適切な値を保ち、熱的な運転制限値を守るように設計し
なければならない。一般に、沸騰水型原子炉燃料では、
燃料集合体の外周部、つまり水ギャップに近いところで
は、熱中性子束が相対的に高くなり、外周部の燃料棒の
出力が高くなる傾向がある。そのために燃料集合体外周
部に配置された燃料棒の局所ピーキング係数を低く抑え
るべく、ペレットの濃縮度・富化度種類を増やして設計
する必要が生じている。特開平6−342091 号に示された
技術では、チャンネルボックスの中央に可燃性毒物が配
置されていることから、前記問題の対処としては十分で
ないと云える。
【0017】MOX燃料の製造に当たっては、燃料ペレ
ットの成形加工を完全密封容器内で行うために、プルト
ニウム富化度を変える際のグローブボックスの洗浄は、
ウランの場合に比べると時間がかかり、製造時の稼働率
低下が大きい。そのため、富化度種類が増えれば、クリ
ーンアップ回数が増加し、燃料成形加工費の上昇につな
がるという問題点があった。
【0018】また、燃料チャンネルボックスの曲がり変
形抑制の従来技術は、ジルコニウム合金部材の結晶方位
をランダムにするものであるが、チャンネルボックスは
四角の筒状であり、特に特開平5−17837号及び同5−801
70号公報には結晶方位のランダム化をβ温度領域での加
熱急冷する熱処理によって行うものであるが、全体を均
一な温度に加熱保持することは困難である。従って、全
体を均一な温度で加熱保持しないと中性子照射による変
形に差が生じる。この変形の差によって曲りが生じてし
まう。また、照射,熱クリープ変形による膨らみ変形を
抑制することはできない。
【0019】本発明は、このような問題に鑑みてなされ
たものであって、その目的とするところは、プルトニウ
ムを混入した燃料集合体(MOX燃料集合体)における燃
料棒内部に中性子吸収材、又は、可燃性毒物を混入する
ことなく、余剰反応度を適切に抑制することができ、同
時に、前述した照射成長に起因する曲がり変形を極めて
小さくすると伴に、照射,熱クリープによる膨らみ変形
を低減した原子力炉用チャンネルボックス及びその製造
方法を提供することである。
【0020】
【課題を解決するための手段】本発明に係る余剰反応度
を適切に抑制することができる燃料集合体は、ウラン又
はプルトニウムを含有する原子燃料棒を複数本配列した
燃料棒束と、該燃料棒束を囲むチャンネルボックス及び
ウオータロツドとを備え、それらの少なくとも一方が可
燃性毒物を配備し、該可燃性毒物が直接炉水に接するこ
とのないように埋設されるか、もしくは、前記可燃性毒
物が直接炉水に接することのないようにジルカロイ等の
耐食性金属でコーテングされるのが好ましい。
【0021】本発明の具体的態様としては、前記チャン
ネルボックスとウォーターロッドの前記可燃性毒物が、
金属,合金,金属間化合物もしくはセラミックスであ
り、該金属,合金,金属間化合物もしくはセラミックス
が、カドミウム,サマリウム,ホウ素,ガドリニウム,
銀,インジウム,ハフニウムのうち少なくても一つを含
有するのが好ましい。
【0022】また、前記可燃性毒物は、カドミウム,サ
マリウム,ホウ素,ガドリニウム,銀,インジウム,ハ
フニウムのうち少なくても一つを、ジルコニウム又はジ
ルコニウム基合金に、合金元素として添加,金属,金属
間化合物,酸化物,水素化物,窒化物のうちの少なくと
も一つとして分散、又は、過飽和状態に固溶せしめた金
属,合金,金属間化合物もしくはセラミックスからなる
ものが好ましい。
【0023】更に、本発明の燃料集合体のチャンネルボ
ックスへの可燃性毒物の配備の形態は、該可燃性毒物
が、長手方向から見たチャンネルボックスの断面で、不
均一に配置され、コーナー近傍に多く配備され、かつ、
対称に配置されると共に、前記可燃性毒物が、チャンネ
ルボックスの長手方向に不均一に配置され、かつ、長手
方向の下部に多く上部に少なく配置させるのが好まし
い。
【0024】前述の本発明に係わる燃料集合体用チャン
ネルボックスは、大型ジルコニウム合金板材の六方晶Z
r金属の〈0001〉結晶方位がランダム化されている
とともに、合金板のどの位置で同じランダム化が達成さ
れており、かつβ相Zrの粒内の亜粒界が除去されてい
ることを特徴とし、Sn5重量%以下及び/又はNb5
重量%以下を含有し、90重量%以上のZrを有し、幅
100mm以上及び長尺のジルコニウム基合金板におい
て、該合金の六方晶Zrの〈0001〉結晶方位の長手
方向の配向率(Fl値)が0.20〜0.35であり、好
ましくは中央部と端部とのFlの差(ΔFl)を0.0
25 以下とするものである。特に、合金の六方晶Zr
の〈0001〉結晶方位の筒状部材表面に対する垂直方
向への配向率(Fr値),筒状部材の長手方向への配向
率(Fl)及び板幅方向への配向率(Ft)がいずれも
0.20〜0.35であり、対向する面のFlの差が0.02
5 以下であるものが好ましい。また、合金はβ相を有
し、結晶粒径が50〜500μmであり、板幅の中央部
と端部での結晶方位の配向率が実質的に同一であること
が好ましい。更に、合金の六方晶Zrの〈0001〉結
晶方位が実質的にランダムであり、取出し燃焼度35G
Wd/tの中性子照射による前記部材の曲がり量が2.
16mm 以下であるのが好ましい。
【0025】本発明は、2個のコの字型ジルコニウム基
合金部材を用いて溶接接続された角形筒状部材からなる
燃料チャンネルボックスからなり、全表面にオートクレ
ーブ処理による酸化皮膜が形成されていることが好まし
い。
【0026】本発明は、燃料ペレットを燃料被覆管内に
内蔵した燃料棒,該燃料棒を複数本収納するチャンネル
ボックス,該チャンネルボックス内の前記燃料棒の間を
仕切るスペーサ,前記チャンネルボックスの上部及び下
部に設けられた上部格子板及び下部格子板を備えた燃料
集合体において、前記チャンネルボックスは前述の可燃
性毒物を有するジルコニウム基合金板からなり、該合金
の六方晶Zrの〈0001〉結晶方位の長手方向の配向
率(Fl値)が0.20〜0.35であり、好ましくは対
向面での前記Flの差が0.025 以下であることを特
徴とする。
【0027】ジルコニウム合金部材の変形は六方晶Zr
の〈0001〉結晶方位が部材表面に対しほぼ垂直に配
向するために起こる。六方晶格子が中性子照射を受ける
と〈0001〉方向に収縮し、〈0001〉方向と垂直
な方向に膨張する。より厳密に述べると、中性子照射に
より〈0001〉方向に転位面が導入され、上記特定方
向への収縮膨張が起こる。炉心中央に近いほど中性子照
射量は高く、炉心周辺部で低い。中性子照射量が急激に
変化する炉心周辺部に配置されたチャンネルボックス
は、炉心中央側の面とその面に対向する面との間に照射
成長差(伸び差)が生じ、曲がる。この曲がり量は、Kは
定数、L1,L2をそれぞれ従来材の炉心中央側の面と
その面に対向する面の照射成長に起因する伸び量、Fl
をチャンネルボックス長手方向の結晶方位の配向確率、
ΔFlを対向面間のFl値の差とすると、 δ(曲がり量)=K・{(1−3Fl)(L1−L2)+3
LlΔFl} で算出することができる。これよりL1,L2は燃焼度
に依存するため、燃焼度を一定にすると、チャンネルボ
ックスの曲がり量は、Fl値及びΔFlに依存すること
がわかる。燃焼度35の場合のチャンネルボックスの曲
がり量のFl値,ΔFl依存性について式を用いて計算
すると後述する図29に示すように曲がり量は、Fl=
0.33〜0.35で最小となり、ΔFlが小さいほど減
少することがわかる。ここで、実用上、チャンネルボッ
クスの曲がり変形量の許容量をクリープによる膨らみ変
形量を考慮して考えると、燃焼度35GWd/tでは、
それぞれδ<2.16mm でなければならない。よってこ
の場合、ΔFl,Fl値をそれぞれΔFl≦0.02
5,Fl=0.20〜0.35 に制御しなければならな
い。また、チャンネルボックス内外面に差圧が生じ、外
側に膨れる変形が発生すると、照射中にクリープして膨
れ量が増加する。
【0028】β焼入れ材は、粒内に多数の亜粒界が存在
し、粒界すべりが生じやすいと考えられる。そこで、冷
間圧延後、焼鈍して再結晶化させることにより粒内の亜
粒界を除去することによって改善でき、これらにより、
照射成長に基づくチャンネルボックスの曲がりを低減
し、かつ漏れ流量を低減したチャンネルボックス,燃料
集合体が得られる。
【0029】前述した曲がり変形は、六方晶Zr金属の
〈0001〉結晶方位がジルコニウム合金表面に垂直に
配向するために起こる。照射成長の抑制には〈000
1〉結晶方位のランダム化が有効である。照射成長は、
体積変化を伴わない変形である為、多結晶体の個々の結
晶粒が特定方向へ変形しても、その方向はランダムであ
るので全体的には変形しないのに等しい。
【0030】結晶方位の配向の定量評価には、通常、反
射及び透過X線回折法の組合わせにより特定結晶面のX
線回折強度を測定し、測定されたX線回折強度から数1
によりF値を算出する方法が一般的である。
【0031】
【数1】
【0032】数1において、φは、特定方向(例えば、
板表面と垂直方向)と特定結晶方位(例えば、〈000
2〉結晶方位)とのなす角度であり、V(φ)は、φ方向
に配向した結晶の体積率である。r方向,t方向,l方
向を、それぞれ互いに直角な板(管)表面の法線方向(F
r),板(管)の長手方向(Fl),板幅(管円周)方向
(Ft)と定義すると、次式 Fr+Ft+Fl=1.0 の関係にあり、完全に結晶方位がランダム化すると、 Fr=Ft=Fl=1/3 となる。
【0033】Fr,Ft及びFlのいずれも0.20〜
0.50となるようにすること、Fr0.25〜0.5
0,Fl0.20〜0.35,Ft0.25〜0.36とす
ることが好ましく、特にいずれも0.31〜0.35が最
も好ましい。
【0034】通常の冷間加工及び焼鈍のくり返しによる
製造プロセスに従って製造された板及び管の(000
2)結晶面((0001)面と等価)のFr値は0.7 前
後となり、〈0001〉結晶方位は、主に板(管)の表面
法線方向に配向している。このように、表面法線方向に
〈0001〉結晶方位が配向した状態を集合組織と言
う。後述の図26に示すように、中性子照射量と照射伸
びとの関係から分るように、Fl値が0.23以上好ま
しくは0.25以上になると照射伸びは著しく減少し、
Fl値を0.30〜0.35とすることにより中性子照射
量≧1022(n/cm2)高照射域においても伸びが実質的
に0(ゼロ)となることが分かる。
【0035】Fl値を0.20〜0.35とする集合組織
を得る一手段として、ジルコニウム合金部材をβ相温度
範囲(ジルカロイ合金では980℃を越える温度)まで
加熱し、かつβZr結晶粒を十分成長させた後、冷却特
に水噴霧によって急冷する方法であるが、部材全体を均
一な温度に加熱する必要がある。この処理を行うことに
より六方晶αZr結晶は立方晶βZr結晶へと変態し、
冷却過程で再び六方晶αZr結晶へと再変態する。この
熱処理において、Fl値0.20〜0.35となる集合組
織を得るにはβZr結晶粒が少なくとも100μm以上
に成長するのが良く、Fl値を0.20 以上となる集合
組織を得るにはβZr結晶粒が少なくとも50μm以上
500μm以下、好ましくは150μm以上300μm
以下である。β相温度での加熱時間はβ相温度範囲の高
温域ほど(好ましくは1100〜1350℃より好まし
くは1100〜1200℃)短時間で加熱することがで
きる。最高加熱温度での保持時間はほんの短い時間で行
うことができ、例えば1.5秒〜100秒、好ましくは5
〜60秒である。特に、後述する図30で●印の範囲で
行うのが好ましい。
【0036】部材全体を均一に加熱するには板材を用い
ること、加熱体の幅を3cm以上、好ましくは4.5cm以
上より好ましくは4.5〜10cm(高周波誘導加熱コイ
ルとして2ターンとすること、被加熱体と加熱体とのギ
ャップを常に一定に保つようにローラで保持して加熱す
ること、複数回の焼入れ処理すること、被加熱部の温度
を測定すること等によって行うことができる。ギャップ
は1〜5mm、特に2〜3mmが好ましい。
【0037】β相温度範囲で加熱してもその加熱温度が
不十分又はその保持時間が不十分であると、部材全体が
目標の集合組織は得られない。ランダムな結晶方位の配
向の集合組織を得るには、種々の結晶方位を有するβZ
r結晶粒が十分に成長することが必要であり、そのため
には、βZr結晶粒が少なくとも50μm以上に成長す
るに十分な温度あるいは保持時間(P値で0.8以上)
にするのがよい。
【0038】上述の如く、熱処理によってFl値は変わ
るが、その温度と保持時間は重要な要因である。従っ
て、β相温度領域でFl値が0.50 以下になるように
するには前述の式によって求められるパラメータPが
1.5 以上(βZr結晶粒60μm以上)となるように
することが好ましい。特に、パラメータPは2.5 〜5
(βZr結晶粒70〜500μm)が好ましく、より
3.2 〜5(βZr結晶粒100〜500μm)が好ま
しい。
【0039】そして、本発明の前記燃料集合体のチャン
ネルボックスの製造方法としては、チャンネルボックス
の一枚のジルコニウム基合金素材板にへこみを設けると
共に、該へこみ内に可燃性毒物の板を係合配置し、チャ
ンネルボックスの他の一枚のジルコニウム基合金素材板
を該二枚の素材板内に前記可燃性毒物が埋め込まれるよ
うに接合し、該接合部を電子ビーム溶接もしくは溶接を
せずに、熱間圧延もしくはホットプレスし、その後、冷
間圧延とアニールとを適宜回数繰り返すことを特徴と
し、製造方法の他の態様としては、チャンネルボックス
の二枚の素材板の間に可燃性毒物の板を介在させ、該三
枚の板を熱間圧延して圧着し、端部を真空中で電子ビー
ム溶接もしくは溶接せずに、冷間圧延とアニールとを適
宜回数繰り返す。その後、可燃性毒物を係合配置した長
尺のジルコニウム基合金板を連続的に移動させながらβ
相単相温度領域に加熱し、冷却する。その際、該合金の
六方晶Zrの〈0001〉結晶方位の板長手方向に対す
る配向率(Fl値)が0.20〜0.35 となるように前
記β相単相温度領域にて加熱保持し、板幅方向での中央
部と端部での加熱温度差を小さくする。この際、β相温
度領域での加熱を次式によって求められるパラメータP
の値が0.8 以上になるように短時間保持後急冷するこ
とが好ましい。
【0040】 P=(3.55+logt)×log(T−980) (t:加熱時間(秒),T:加熱温度(℃)) さらに、β相温度領域での加熱は板材を移動させながら
誘導コイルによって連続的に所望の保持時間加熱すると
同時に加熱後に強制的に冷却するもので、このβ相への
加熱によって〈0001〉方位がランダムになるととも
に、高温高圧純水に対して耐食性の高いものが得られ
る。冷却は噴水(好ましくは温水の噴射)によって行う
のが好ましく、50〜300℃/秒、好ましくは100
〜250℃/秒以上の冷却速度とするのがよい。加熱手
段として他に赤外線,電気炉が用いることができる。
【0041】特に、冷却に用いる冷媒は室温以上の温度
を有する温水を用いることによって冷却による冷却速度
を小さくして冷却による変形を防止することが好まし
い。その温度として40〜80℃が好ましい。
【0042】前記β焼き入れ処理後、冷間圧延を施して
アニールすることにより再結晶化させ、β相結晶粒内の
亜粒界を除去することにより粒界すべりを生じさせなく
し、チャンネルボックスの内外面に生じる差圧によるク
リープ変形による膨れ変形を抑制することができる。
【0043】その後、可燃性毒物を係合配置したジルカ
ロイ板材を曲げ加工し、溶接して角筒にする。次いで全
体を均一に加熱する焼鈍が行われる。焼鈍は500〜6
50℃(好ましくは550〜640℃)で行われる。こ
の焼鈍に際して、Zr基合金よりも熱膨張係数の大きい
オーステナイト系ステンレス鋼などの拘束部材によって
拘束して行うのが好ましく、それによって管状部材の整
形を行うことができる。これらの熱処理は非酸化性範囲
気中で行われ、特にAr中で行うのが好ましい。
【0044】最終熱処理後は、サンドブラスト及び酸洗
によって表面の酸化皮膜が除去される。酸化皮膜が除去
された後、オートクレーブによって表面が酸化処理さ
れ、表面に安定な酸化皮膜が形成され、最終製品とされ
る。また、前述の両端部で固定するためのネジ穴等の端
部は除去されて使用される。
【0045】前述の如く構成された本発明の燃料集合体
は、沸騰水型原子炉に用いられる燃料集合体の燃料チャ
ンネルボックスに中性子吸収材または可燃性毒物を配備
することで、燃料に含まれるガドリニア量を減少、また
はなくするとともに、燃料集合体の局所ピーキング係数
を低減させることのできるものである。
【0046】チャンネルボックスに、中性子吸収材また
は可燃性毒物であるBP部材を配備し、特に、該BP部
材としてGd23を使用することによる反応度抑制、及
び、局所ピーキング係数の低減は、以下に述べるように
なる。
【0047】中性子照射量に伴う制御価値の変化は、図
33に示すようになるので、初期の余剰反応度を抑制す
ること、即ち、1サイクル目(照射量:〜1.0×1022
nvt)の反応度を制御するには、その材料としてGd23
が最適であることがわかる。また、燃料集合体において
は、集合体の内部よりも、水ギャップ部分の方が熱中性
子量が多く、中性子スペクトルは柔らかくなっている。
これは、集合体の内部よりも外周部の方が相対的に水の
量が多いことと、燃料集合体の内部の核***製物質によ
る熱中性子の吸収との2つのことに起因している。
【0048】一方、可燃性毒物,中性子吸収材は、図3
4に示す1/vの依存性の中性子吸収断面積を有し、熱
中性子が多いほど反応度抑制効果が大きい。MOX燃料
では、プルトニウムによる中性子の吸収がウランのそれ
よりも大きいために、燃料集合体内部の中性子スペクト
ルはいっそう硬くなっており、可燃性毒物の反応度抑制
効果は小さくなってしまう。そのために、可燃性毒物を
燃料に混入するよりも、水ギャップ部分、即ち、チャン
ネルボックスの内部に配備した方が、反応度抑制効果を
大きくすることができる。
【0049】更に、燃料集合体での熱中性子束分布を見
ると、図35のように、相対的に水の多い燃料集合体の
外周部で熱中性子が盛り上がっており、逆に、燃料集合
体の中心部では、熱中性子束は低くなっている。そのた
め、局所ピーキング係数も、燃料集合体の外周部で高く
なる傾向がある。この局所ピーキング係数の高くなる領
域に近い、燃料チャンネルボックス部分に可燃性毒物や
中性子吸収材を混入することで、効果的に燃料集合体外
周部の局所ピーキング係数を抑制することが可能とな
る。
【0050】更にまた、チャンネルボックスの長手方向
に、可燃性毒物や中性子吸収材を分布させることの機能
は次のとおりである。
【0051】沸騰水型原子炉では、原子炉炉心内部でそ
の冷却水が沸騰しながら原子炉炉心下部から上部に向か
って流れているために、原子炉炉心軸方向に水蒸気泡
(ボイド)が分布しており、しかも、このボイドの量
は、炉心上部に向かうにつれて増加する傾向にある。軽
水減速型原子炉では、減速材(水)の密度が核***反応
を制御しており、減速材密度が大きいほど核***反応が
促進するように設計されている。したがって、炉心軸方
向の出力分布を考えた場合、ボイドの少ない炉心下部の
方が、ボイドの多い炉心上部よりも出力が大きくなる傾
向がある。これに対しては、チャネルボックス内に存在
する中性子吸収材や可燃性毒物の量を、軸方向で反応度
の大きい下部領域で多く、上部領域に行くに従って少な
くなるように分布させることで、効果的に対応できるよ
うになる。
【0052】更に、軸方向上部領域は、ボイド率が高い
ために中性子スペクトルも硬くなっているために、可燃
性毒物や中性子吸収材の減損も下部領域に比べて遅くな
る傾向があり、可燃性毒物,中性子吸収材を軸方向に分
布させることで、軸方向での減損が均等に進行する。
【0053】更にまた、本発明においては、可燃性毒物
をチャンネルボックス内に埋設、もしくは、可燃性毒物
をジルカロイ等の金属でコーテングしたことによって、
該可燃性毒物が直接炉水に接することがなくなったこと
で、可燃性毒物自体腐食及びチャンネルボックスと可燃
性毒物との間の隙間腐食やガルバニック腐食が生じなく
なる。
【0054】更にまた、本発明は、チャンネルボックス
を形成する前段の製造行程の素材板の状態で、該素材板
の内部に可燃性毒物を埋設させたので、外部に可燃性毒
物が露出しないすっきりとしたチャンネルボックスを構
成できると共に、本発明のチャンネルボックスの製造方
法を採用することによって、可燃性毒物を埋設した低照
射変形チャンネルボックスが容易に製造でき、かつ、チ
ャンネルボックスの素材板間の剥離等の現象をなくする
ことができる。
【0055】
【発明の実施の形態】 (実施例1)図1は、本発明の燃料集合体Aの第1の実
施形態を示したものであり、図1(a),(b)の上部の
図はチャンネルボックス長手方向から見た断面図、下部
の図はチャンネルボックス長手方向から見た側面図であ
る。該燃料集合体Aは、チャンネルボックス1,多数の
燃料棒2の束,ウォータロッド3、及び、前記チャンネ
ルボックス1の四囲の部材内に配置された可燃性中性子
吸収毒物(BP)を含有するBP部材4等から形成され
ている。BP部材4は、チャンネルボックス1の四囲側
面のコーナー近傍に長手方向に埋め込まれて配置されて
いる。図1(a)はウォータロッド3が二つであり、図
1(b)は、ウォータロッド3が一つである、その他は
図(a)(b)はその実施形態を同じくしている。図2
は、第2の実施形態であり、BP部材4がチャンネルボ
ックス1の側面のコーナー部の長手方向に埋め込まれて
配置されている。
【0056】このようにBP部材4をチャンネルボック
ス1内に埋め込んで配置することにより、BP部材4が
直接炉水に接することがないため、隙間腐食やガルバニ
ック腐食等を防止することができる。
【0057】更に、BP部材4をチャンネルボックス1
のコーナー部及びコーナー近傍部に配置したことによ
り、燃料集合体Aのコーナー部の局所ピーキング係数を
効果的に抑制することが可能となる。
【0058】図3〜図5は、前記第1の実施形態の燃料
集合体Aのチャンネルボックス1の製造方法を示してい
る。まず、図3に示されているようにチャンネルボック
ス1となるジルカロイ素材板に深さ0.2mm〜1.5mm程
度のへこみを板の長手方向に形成する。なお、へこみの
深さは、BP金属の含有量及びBP部材の幅により決定
される。次に該へこみに、そのへこみと同じ大きさのB
P部材4をはめ込み、他の薄いジルカロイ素材板を貼り
合わせ、合わせ目を真空中で必要に応じて電子ビーム溶
接する。その後、600〜700度で熱間圧延,冷間圧
延,焼鈍(アニール)を数回行い、完全な一枚板にす
る。前記熱間圧延するのに代えて、前記素材を最高12
20度まで加熱してホットプレスで圧延して一枚板にす
る方法もある。また、素材板間の剥離等がないならば、
電子ビーム溶接を省くこともでき、特に、ホットプレス
で圧延した場合には、該電子ビーム溶接を省略する可能
性が高い。前記一枚板にした後、該ジルコニウム基合金
の六方晶ジルコニウムの結晶方位をランダム化するとい
う目的で、β相温度範囲に加熱保持し、その後急冷す
る。該β焼入れの具体的方法は、高周波誘導コイルによ
る加熱とその下部に設けた水冷ノズルによる冷却によっ
て行われる。コイル及び水冷ノズルは固定で、板材を下
方に連続移動させながら行われる。加熱温度の測定は板
材の加熱直後の水冷ノズルの直前の空間で板材を直接光
高温計によって行った。加熱保持時間は板材の移動速度
を調整することにより行われる。本実施例における板材
の端部と中央部との温度差は10℃以下であり、加熱温
度は1050〜1150℃,保持時間3〜20秒のいく
つかの組合せにて行った。冷却水には40〜80℃の温
水を用い、一つの冷却にはほぼ一定の温度の温水を用い
て行った。図6は、本発明に基づく可燃性毒物を係合配
置したジルコニウム基合金板材の焼入れ装置の斜視図で
ある。可燃性毒物を係合配置したジルコニウム基合金の
板材41は高周波誘導加熱コイル44の上部と冷却用水
吹き付けノズル46の下部に板材41が前後左右に移動
しないようにローラが設けられ、高周波誘導加熱コイル
44と板材41との間隙が加熱冷却時に常に一定になる
ようにして矢印のように連続移動するものである。板材
41が一定の速度で上方から下方へコイル内を通過する
ことにより、全体の熱処理が完了する。加熱温度は11
00℃で保持時間10秒となるように板材41の送り速
度及び高周波電源5の出力を調整した。
【0059】βZr結晶粒内には層状あるいは針状の亜
粒界が多数存在し、粒界すべりが生じやすくなっている
ため、照射中にチャンネルボックス内外面に生じる差圧
により、クリ−プして膨れ変形が増大する。そこで、再
結晶化させることにより粒内の亜粒界を除去するため
に、β焼入れ後、冷間圧延し600℃〜700℃で約2
時間焼鈍(アニール)を行う。
【0060】さらにその後、チャンネルボックス1の形
状にするために、図4に示すようにコの字状に冷間曲げ
を行い、プラズマ溶接による四角の筒体の形成と溶接ビ
ードのつぶしと切削による平坦化、SUS304製十字型マン
ドレルを筒体に挿入して600℃×2h加熱による焼鈍と
ストレート化の整形、前述の焼入れによって形成された
酸化スケールのサンドブラスト,酸洗による内表面,外
表面の除去,脱脂等の表面仕上げ、及び水蒸気によるオ
ートクレーブ処理が施され、最終製品となる。図7は上
述のように製作された角筒を使用したBWR燃料集合体
の部分断面図である。
【0061】BWR燃料集合体は、図7に示すように、
多数の燃料棒11とそれらを相互の所定の間隔で保持す
るスペーサ12、更に、それらを収納する角筒のチャン
ネルボックス1,燃料被覆管内に燃料ペレットが入った
燃料棒11の両端を保持する上部タイプレート14、及
び、下部タイプレート15、並びに、全体を搬送するた
めのハンドル13から構成される。
【0062】(実施例2)図5に示されるように、BP
板材4をジルカロイの素材板41で挟んだものを600
〜700℃で熱間圧延を施して圧着し、両端部を真空中
で電子ビーム溶接した後、冷間圧延,焼鈍を繰り返して
一枚板にする方法がある。この場合も、素材板41の剥
離等の問題がなければ、真空中での電子ビーム溶接を省
くことができる。そして、BP部材4は、図で示される
ように完全にジルカロイ素材41で覆われており、外部
に接しないものとする。その後の製造工程は、図3,図
4に示されるのと同様な工程を経てチャンネルボックス
を製造する。
【0063】(実施例3)図8は、第3の実施形態であ
り、BP部材4をチャンネルボックス1のくぼみにはめ
込んで、外側をジルカロイ素材(Zry)の薄板5で被覆
した場合であり、実施例1と同様にβ焼入れを行うもの
である。チャンネルボックス1の外側のコーナー部及び
コーナー部近傍にへこみを作っておき、そこにBP部材
4をはめ込んだ後、チャンネルボックス1の側面の一部
あるいは側面全体をZry製の薄板5で覆い、溶接して直
接BP部材4を炉水に直接触れさせないようにした場合
である。
【0064】図8(a)は、BP部材4をチャンネルボ
ックス1のコーナー部に配置した場合で、該BP部材の
外側のみを薄板5で覆ったものであり、図8(b)は、
チャンネルボックス1の四囲全体を薄板5で覆った場合
である。
【0065】図9(a),(b)は、第4の実施形態であ
り、BP部材4をコーナー近傍部に配置した場合であ
り、それ以外は図8の実施形態と同じである。
【0066】また、後述するような他の金属でコーテン
グされたBP部材4を使用する場合には、Zry製薄板で
被覆する必要はない。
【0067】(実施例4)図10は、BP部材4の形状
を示しており、図10(a)は、チャンネルボックス長
手方向の下部におけるBP部材4の幅を上部に比べて不
連続的に広くした場合であり、図10(b)は、チャン
ネルボックス1の長手方向の下部におけるBP部材4の
幅を上部に比べて連続的に広くした場合であり、前述と
同様にβ焼入れが行われる。
【0068】図11は、BP部材4をチャンネルボック
ス1の長手方向で分割した場合である。この場合、等し
い長さのBP部材4を等間隔に配置した場合と、図で示
されるようにチャンネルボックス1の下部ほど長いBP
部材4を間隔を狭めて配置した場合とがある。ここで、
炉心軸方向の出力分布を考えてみると、原子炉の炉芯軸
方向に水蒸気泡(ボイド)が存在し、炉心上部にいくほ
ど増加するため、炉心軸方向の出力分布は、図12の曲
線aのようにボイドの少ない炉心下部の方が、ボイドの
多い炉心上部よりも大きくなる。そこで前記のように、
BP部材4の量を上部に少なく、下部に多く配置するこ
とにより、炉心軸方向の出力分布を曲線bのように平坦
化させることができる。
【0069】図13は、チャンネルボックス1の長手方
向のBP部材4の幅を均一にした場合である。該図13
は、チャンネルボックス1の長手方向のBP部材4の長
さを燃料棒2の有効長さの80〜100%の長さにした
場合である。
【0070】(実施例5)図14〜図16は、BP部材
4の製造方法を示し、図示していないが、同様にβ焼入
れを行うものである。前記BP部材4には、カドミウム
(Cd),サマリウム(Sm),ホウ素(B),ガドリニ
ウム(Gd),銀(Ag),インジウム(In),ハフ
ニウム(Hf)のうち少なくとも一つが含有されてお
り、それらは金属,合金,金属間化合物またはセラミッ
クスのいずれかの形態と成っている。BP部材の中のB
P金属の含有量は、例えば、ガドリニウムの場合、初期
反応度を制御するためのは、チャンネルボックスの総重
量に対して2〜8wt%必要である。また、Gd/Zry
−4合金をBP部材として使用する場合の合金成分の一
例として、錫:1.20−1.70,鉄:0.18−0.2
4 ,クロム:00.7−0.13 ,酸素:0.10−0.
16,ガドリニウム:5−80,ジルコニウム:残り
(wt%)が挙げられる。この場合、BP部材の大き
さ、個数によりガドリニウムの割合は変化する。
【0071】図14の(1)(a)は、Zryよりも融点の
低いBP金属(Gd,Cdなど)の上にZry粉末を置
き、BP金属の融点まで真空中で加熱し、BP金属をZ
ry粉末の空隙に含侵させて、BP部材4を形成する方法
である。図14の(1)(b)は、逆に、Zry板あるいス
ポンジジルコニウムの上に、Zryよりも融点の高いBP
金属あるいはBP酸化物の粉末を配置してZrの融点以
上の温度(1860℃)まで真空中で加熱し、ZryをBP
粉末の空隙に含侵させて、BP部材4を形成する方法で
ある。
【0072】図14の(2)(a)は、BP板材4をメッ
キ、あるいは、蒸着などによりZryでコーテングする方
法であり、図14の(2)(b)は、これとは逆にZry板
材をBP金属でコーテングする方法である。
【0073】図15は、ジルカロイでコーテングされた
BP部材4の製造工程示したものであって、図示される
ように、BP粉末とZry粉末をMA(Mecanical Alloin
g)法によって強加工を加え、BP(金属,酸化物)を過
飽和に固溶したMA合金粉末とする。MA方法として
は、Fritsch 製遊星型ボールミルP−5/4を使用し、
ディスクの回転数を200rpm に一定にし、Arガス雰
囲気中、室温において100〜150時間にわたって加
工を行う。その後、作製したMA合金粉末を1,000
℃ 以上でHIP(等方静水圧加工)により焼結し、図
15に(A)として示されているような焼結体のBP部
材4を完成させる。該焼結体のBP部材4を、更に、ジ
ルカロイでコーテングする場合には、Zry製容器6内に
該焼結体を入れ、真空封入した後、HIPにより押し固
めることによって、図15に(B)として示されているよ
うなジルカロイでコーテングされたBPブロック材4を
製造することができる。このメカニカルアローイング法
を用いることにより、室温での固溶量以上のBP金属、
および、BP酸化物をジルカロイ中に過飽和に固溶させ
ることが可能となる。
【0074】図16は、Zry粉末,BP金属粉末あるい
はBP酸化物粉末を混合した粉体を押し固め、ブロック
状にした後、適当な低融点金属の液体に浸して、コーテ
ングされたBPブロック材7を製造する方法である。
【0075】前記記載のBP部材4の製造方法以外に、
次のような方法もある。例えば、ジルカロイとBP金属
をアーク溶解法などで溶解させて合金化する方法であ
る。またこの際、現用ジルカロイと比べ、機械的特性が
劣ることが考えられるため、強化するための添加元素を
添加する方が好ましい。
【0076】また、金属間化合物としてBP金属をジル
カロイ中に析出させて、析出型合金を作る方法もある。
ジルコニウムと金属間化合物を作るBP金属としては、
カドミウム,ホウ素,銀,インジウムなどが挙げられ
る。
【0077】以上、本発明のいくつかの実施形態につい
て詳説したが、本発明は、前記実施形態に限定されるも
のではなく、特許請求の範囲に記載された発明の精神を
逸脱しない範囲で、設計において種々の変更ができるも
のである。
【0078】(実施例6)第5の実施形態として、前述
と同様にβ焼入れを行うとともに前記した如きBP部材
4をチャンネルボックス1に埋め込む手段以外に、次の
方法がある。即ち、図17に示されるように、他の金属
でコーテングされたBP部材4を使用する場合には、該
BP部材4をチャンネルボックス1に埋め込まずに、そ
の側面に取付ける手段が考えられる。図17(a)(b)
は、前記コーテングされたBP部材4がチャンネルボッ
クス1の外側面のコーナー近傍に長手方向に配置された
場合であり、図18(b)は、前記コーテングされたB
P部材4がチャンネルボックス1の外側面のコーナー部
に長手方向に配置された場合である。図18(a)は、
コーテングされたBP部材4がチャンネルボックス1の
内側面のコーナー近傍に長手方向に配置された場合であ
り、図19は、BP部材4がチャンネルボックス1の内
側面のコーナー部に長手方向に配置された場合である。
【0079】この場合のチャンネルボックス1へのBP
部材4の取付け方法が図20に示されている。該図20
(a)は、BP部材4をジルカロイ製あるいはステンレ
ス製のリベット8を用いて取付ける方法である。この場
合、リベット8によって、BP部材4をチャンネルボッ
クス1の内外側のどちらに取付けてもよい。図20
(b)は、コーテングされたBP部材4をチャンネルボ
ックス1の側面に直接溶接して取付ける方法である。
【0080】更に、図21は、ジルカロイ製あるいはス
テンレス製の固定具9によって、コーテングされたBP
部材4を取付ける方法である。
【0081】(実施例7)図22は、第6の実施形態と
して、前述と同様にβ焼入れを行うとともに、ウォータ
ロッド3内にコーテングされたBP部材4を配備した場
合である。図22に示されるようにウォータロッド3の
中に、コーテングされたBP金属製の管10を配置して
二重構造にした場合と、該BP金属管10のさらに内側
にZry製管11を配置して三重構造にした場合がある。
【0082】(実施例8)前述の実施例1〜7ではチャ
ンネルボックスの板厚は全体が同じ厚さからなるもので
ある。第7の実施形態として、前述の実施例と同様に可
燃性毒物を有し、更にβ焼入れを行うもので、図23及
び図24に示すように角部が辺部に対して、厚肉にした
ものである。図23及び図24に示すチャンネルボック
スは前述のようにSUS304製マンドレルを挿入して熱処理
を行った後、マスキングして弗化水素と硝酸の混酸水溶
液による化学エッチング又は機械切削加工によって所定
の形状に成形加工され、角部20に対して辺部21が薄
肉となるようにしており、図23に示すように筒体の外
側(b)又は内側(c)で凹にするものである。図23
では薄肉部分は四辺形の四辺に対して同じ厚さとしてい
る。図24では辺部の上下で異なった厚さとし、上部2
2で下部23より薄肉としたものである。
【0083】また、この製造過程中のβ焼入れ後の冷間
圧延及び焼鈍(アニール)を省略することも可能であ
る。
【0084】本実施例における構造については、長時間
の使用によるクリープ変形によって生じるふくれを防止
しようとするものである。また、本構造に対しても実施
例1〜3に記載の可燃性毒物を係合配置したジルコニウ
ム基合金がいずれも使用でき、同様に焼入れ処理を行う
ことによって照射成長による曲がりを防止される。
【0085】(実施例9)図25は、第8の実施形態で
あり、前述と同様にβ焼入れを行うとともにBP含有の
Zry合金で作成したチャンネルボックス1である。チャ
ンネルボックスの形状は、図25の(a)(b)で示され
るように、コーナー部の肉厚を厚くすることにより、燃
料集合体Aのコーナー部の局所ピーキング係数を効果的
に抑制し、更に、中性子照射下で生じるクリープ変形に
起因するチャンネルボックス1のコーナー部の膨れ変形
も同時に抑制することが可能となり、目的は実施例8と
同じである。また、表面をジルカロイなどの高耐食性合
金でコーテングすることにより、可燃性毒物が直接炉水
に接することがなく、耐食性を高めることができる。チ
ャンネルボックスの全体をGd/Zry−4合金で作製す
る場合の合金成分の一例として、錫:1.20−1.7
0,鉄:0.18−0.24,クロム:00.7−0.13
,酸素:0.10−0.16,ガドリニウム:2.0−
8.0,ジルコニウム:残り(wt%)が挙げられる。
【0086】(実施例10)ジルコニウム合金板材とし
て、表1に示す合金組成を有する3種類のジルカロイを
使用し、表2に示す熱処理を施した。中性子照射を受け
て変形を受けるのはジルコニウムであり、可燃性毒物を
有しないジルコニウム基合金での中性子照射を行ったも
のである。
【0087】いずれの合金も厚さ2.5mm の板材であ
り、受け入れ前に冷間圧延と650℃,2時間の焼鈍と
を繰り返し施されている。表2に示した熱処理No.2〜
4は、幅:280mm,長さ:4mの板材を高周波誘導コ
イルにて加熱するとともに、その下部に高周波誘導コイ
ルと同様に冷却用のノズルをコイル状に巻回して全周で
均一に水冷することにより行ったものである。パラメー
タPは前述の式によって求めたものである。板幅の全体
を均一な温度に加熱するために板とコイルとの間隙が変
化しないようにコイルの上下部をローラによって左右,
前後で動ないようにするとともに、コイルを3ターンと
し、1ターンの加熱幅を1cm以上、好ましくは1.5 〜
2cmとして加熱帯の幅を4cm以上となるように加熱温度
の均一化を図れるようにした。また、冷却には40℃以
上の温水を用いて冷却による変形をなくし、均一な加熱
ができるようにした。本実施例における板材の変形は目
視では見られなかった。
【0088】
【表1】
【0089】
【表2】
【0090】表3はNo.1〜6熱処理材の(0002)
面((0001)面と平行)のF値測定結果を示す。F
値測定方法は前述した反射及び透過X線回折法の組合わ
せによって測定される。Frは管状部材において表面に
対する垂直方向への配向率、Flは長手方向への配向
率、Ftは円周方向への配向率である。
【0091】α+β相温度範囲への加熱・冷却板材(熱
処理No.2)のF値は受け入れ材(熱処理No.1)とほ
ぼ等しいことから、α+β相温度範囲への加熱・冷却で
は集合組織は変化しないことが分かる。β相温度範囲
(1000℃)に1分間及び5秒保持後冷却した場合
(熱処理No.3,6)は受け入れ材に比べて、(0002)
面のFr値の減少、Fl,Ft値の増加が認められ、結
晶方位がランダム化する。しかし、中性子照射量≧10
22(n/cm2)の高照射域においても使用可能となる為の
目標値であるFr値≦0.35 を満足しない。1000
℃で10分間保持した場合(熱処理No.4)及び120
0℃まで加熱温度を高めた場合(熱処理No.5),(0
002)面のF値は約0.33 となり、結晶方位はほぼ
完全にランダム化することが分かる。前述したように、
No.4,5熱処理材は高照射域で、かつ部材内に中性子
照射量の不均一があっても、曲がり変形,伸び変形が生
じない。
【0092】
【表3】
【0093】図26は高速中性子照射量と照射成長量と
の関係を示す線図である。図に示す如く、Fl値が0.
3 以下では中性子照射量の増加とともに急激にひずみ
が増加するが、0.3以上では照射を受けてもひずみは
飽和し、増加しないことが分る。特に、Fl=0.33
のものは〈0001〉結晶方位が実質的にランダムに配
向しているので、法線方向,長手方向及び板厚方向にお
けるひずみが各結晶間で互いに相殺されるため燃焼度6
0GWd/tで、4mの長さにおいて1mm以下と全く生
じない。Fl=0.3のものは照射量1022n/cm2まで
は照射成長量は2mm以下と小さいが、それ以上のFlの
ものでは中性子照射量では徐々に成長が多くなる。
【0094】図27はFl値と、燃焼度36,45及び
60GWd/tに相当する照射による照射成長量との関
係を示す線図である。Fl値の低下とともにひずみが急
激に増加する。特に、Fl=0.33の照射成長量はゼ
ロで、Fl=0.3の約7分の1以下と著しく少ない。
また、Fl=0.3はFl=0.23の約3分の1以下と
著しく少ない。しかし、Fl=0.23はFl=0.16
の約半分、Fl=0.16はFl=0.09の約半分であ
る。
【0095】図28は、βZr結晶粒径と(0002)
面のFl値との関係を示す。結晶粒径200μm以上に
βZr結晶粒が成長することによって、Fl値0.33
以下の集合組織が形成されることが分かる。
【0096】結晶粒を成長させることによって(000
2)面の結晶方位をランダム化することができるが、そ
の方位のランダム化の度合としてFl値0.30 で約7
5%であり、そのときの粒径は約100μmである。1
50μm以上の大きさの結晶粒径とすることにより約8
0%以上にランダム化され、Fl値で0.310 とな
る。更にFl値0.33 でのランダム率は約90%以上
となり、そのときの結晶粒径は約250μm以上とな
る。
【0097】図29はβZr結晶粒径と燃焼度60GW
d/tに相当する高速中性子照射による照射成長量との
関係を示す線図である。図より、粒径90μm以上で成
長量がゼロで著しく低い。50μmで成長量が2mm以下
で、特に、35μm以下では急激に成長量が大きくな
る。60μm以上で1mm以下の成長量で、優れた特性が
得られる。
【0098】表中のパラメータP=(3.55+logt)
×log(T−980)と照射成長ひずみとの関係から、
特に1000℃での熱処理ではPが0.5 以上で照射成
長ひずみが急激に小さくなり、更に0.5〜3.5までは
徐々に小さくなり、3.5 以上ではほぼ一定となり零に
近い。Pが3.5 未満では照射成長が起こるが、それ以
上ではほとんど起こらない。特に、1.5以上で効果が
大きく、3.2〜5が好ましい。
【0099】図30は、各温度と保持時間における表1
及び表4に示す合金のFl値の関係を示す線図である。
図に示すように980℃未満ではFl値が0.20 以下
となり〈0002〉方向の結晶方位がランダムなものが
得られにくい。しかし、980℃で、11秒(1000℃
で10.5 秒)以上加熱又は1240℃以上で1.1秒
以上でこれらの点を結ぶ線上以上で加熱すればFl値と
して0.25 を越えるものが得られ、よりランダム度の
高いものが得られる。また、980℃以上で6秒以上及
び1240℃以上で6秒以上で、これらの点を結ぶ線上
以上で加熱すればFl値が0.20より大きく0.25以
下のものが得られる。この線上より低いものはFl値が
0.20 以下となりランダム度が低く伸び量に対する効
果が小さい。
【0100】
【表4】
【0101】以上のように、結晶方位を完全にランダム
に出来れば中性子照射による照射成長ひずみは生じない
が、実際のチャンネルボックスは四角の筒体であり、一
辺が140mmとなっており、特に対向面でのF値が完全
に同じに成形するのがむずかしい。前述の照射成長ひず
みはF値の違いによるものであるが、チャンネルボック
スでの問題は曲がりである。その曲がりは特に対向面同
志のF値の違いによって生じる。前述の熱処理条件を変
えて対向面でのF値にほんのわずかの違いを形成して曲
がりの量を測定した。
【0102】図31は4mの長さの長手方向のF値(F
l)と対向面でのFl値の差のΔFlの違いによる曲が
りの量を示す線図である。曲がり量は燃焼度として35
GWd/tでのものであり、曲がりの限界値の2.16m
m はチャンネルボックスと制御棒との間隙での許容値を
示すものである。図に示すように、各Fl値に応じて
2.16mm の曲がりに達する対向面でのΔFl値は結晶
方位をランダム化するに従って大きくできることが分
る。特に、ΔFlとして、対向面のFl値を複数個所、
特に好ましくは4個所以上を均等に分割してその部分の
平均のFl値を求めて、その平均Fl値の差を測定する
のが好ましい。
【0103】図32はFl値と35GWd/tの燃焼度
での曲がりの限界値に対する周方向の対向面でのFl値
の差(ΔFl)との関係を示す線図である。Fl値に対
して許容されるΔFl値は比例しており、縦軸ΔFlを
yとし、横軸Flをxとすると、線図はy=0.093
5x−0.00585で表わされ、線図より下にする均
一な熱処理を施すことによって曲がりの限界内にするこ
とができる。そして、本実施例で示すチャンネルボック
スに必要な板厚,板幅及び長さに対して全体で均一な温
度で加熱するには前述のように誘導加熱コイルのターン
数と加熱帯の幅,冷却速度の適正化及び板とコイルとの
間隙の均一化が必要である。
【0104】また、チャンネルボックスは水圧によって
クリープ変形を起こし、膨れ変形を生じる。膨れ変形は
燃料度が更に大きくなるときに生じ、特に、60GWd
/tでは曲がり量と膨れ量とを考慮しなければならな
い。
【0105】表5及び表6は60GWd/tでのチャン
ネルの曲がり量(mm)のFl及びΔFl依存性を示すも
のである。尚、膨れ量を考慮すると曲がり量を1.17m
m以下にすることが好ましく、Flを0.30〜0.3
5,ΔFlを0.006 以下がよい。
【0106】
【表5】
【0107】
【表6】
【0108】
【発明の効果】以上の説明から理解できるように、本発
明のプルトニウムを混入した燃料集合体(MOX燃料集
合体)は、燃料棒内部に中性子吸収材又は可燃性毒物を
混入することなく、余剰反応度を適切に抑制することが
でき、かつ燃料集合体ジルカロイ部材の結晶方位をラン
ダム化出来るので中性子照射量が1022(n/cm2 )を
超える高照射環境下で使用しても、照射成長に起因する
曲がり変形が生ぜず、シヤフリングのミニマム化を図る
ことができる。その結果、燃料集合体ジルコニウム部材
の長期間使用の高燃焼度原子炉への対応可能となり、使
用済み燃料廃棄物低減に寄与できる。また、耐食性も向
上し、熱クリープ変形による膨らみの変形を押え漏れ流
量を低減でき、燃料集合体ジルコニウム部材の信頼性向
上に寄与できる。
【0109】また、可燃性毒物を燃料に混入しないの
で、燃料集合体当たりのプルトニウム装荷量を減少させ
ることなく、プルトニウムの軽水炉利用が実現できる。
【0110】更に、ペレット富化度種類を増加すること
なく、燃料集合体の外周部分の局所ピーキングを効果的
に低減することが可能になり、これにより、燃料集合体
を構成するペレットの富化度種類を減少させることがで
きる。
【0111】更にまた、可燃性毒物をチャンネルボック
ス内に埋設、もしくは、可燃性毒物をジルカロイ等の金
属でコーテングしたことによって、可燃性毒物自体腐食
及びチャンネルボックスと可燃性毒物との間の隙間腐食
やガルバニック腐食が生じなくなると共に、該可燃性毒
物自体が直接炉水に接することがないので、該可燃性毒
物の炉水内への溶出を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態のBP部材埋め込み型
(コーナー近傍)のチャンネルボックスの断面図と側面
図。
【図2】本発明の第2の実施形態のBP部材埋め込み型
(コーナー部)のチャンネルボックスの断面図と側面
図。
【図3】図1,図2の実施形態のチャンネルボックスの
製造工程(前段行程)を示す構成図。
【図4】図1,図2の実施形態のチャンネルボックスの
製造工程(後段行程)を示す構成図。
【図5】図1,図2の実施形態のチャンネルボックスの
他の製造工程を示す構成図。
【図6】ジルコニウム基合金板の焼入れ装置の斜視図。
【図7】焼料集合体の断面図。
【図8】本発明の第3の実施形態のBP部材埋め込み型
(コーナー部)のチャンネルボックスの断面図と斜視
図。
【図9】本発明の第4の実施形態のBP部材埋め込み型
(コーナー近傍)のチャンネルボックスの断面図と斜視
図。
【図10】本発明の他の実施形態のBP部材のチャンネ
ルボックスへの配置構造を示す側面図。
【図11】本発明の更に他の実施形態のBP部材のチャ
ンネルボックスへの配置構造を示す側面図。
【図12】炉心軸方向の出力分布図。
【図13】本発明の更に他の実施形態のBP部材のチャ
ンネルボックスへの配置構造を示す側面図。
【図14】本発明のBP部材の構造を示す図。
【図15】本発明のBP部材の製造工程を示す構成図。
【図16】本発明のBP部材の他の製造工程を示す構成
図。
【図17】本発明の他の実施形態のBP部材(コーナー
近傍)のチャンネルボックスの断面図と側面図。
【図18】本発明の更に他の実施形態のBP部材のチャ
ンネルボックスの断面図と側面図。
【図19】本発明の更に他の実施形態のBP部材のチャ
ンネルボックスの断面図と側面図。
【図20】本発明のBP部材のチャンネルボックスへの
取付構造を示す断面図と側面図。
【図21】本発明のBP部材のチャンネルボックスへの
他の取付構造を示す断面図と側面図。
【図22】本発明のBP部材のウオータロッドへの取付
構造を示す斜視図。
【図23】本発明の更に他の実施形態のBP部材のチャ
ンネルボックスの断面図と斜視図。
【図24】本発明の更に他の実施形態のBP部材のチャ
ンネルボックスの斜視図。
【図25】本発明のBP含有のジルコニウム合金製のチ
ャンネルボックスの斜視図。
【図26】照射成長ひずみに及ぼす高速中性子照射量、
並びにFl値の影響を示す線図。
【図27】照射成長ひずみとFl値との関係を示す線
図。
【図28】Fl値とβZr結晶粒との関係を示す線図。
【図29】照射成長ひずみとZr結晶粒径との関係を示
す線図。
【図30】照射成長ひずみと焼入温度と保持時間との関
係を示す線図。
【図31】ΔFl値と曲がり量との関係を示す線図。
【図32】Fl値とΔFlとの関係を示す線図。
【図33】中性子照射量の伴う制御価値の変化を示す
図。
【図34】可燃性毒物,中性子吸収材の中性子吸収断面
積と中性子エネルギーとの関係を示す線図。
【図35】燃料集合体での熱中性子束分布図。
【符号の説明】
1…チャンネルボックス、2,11…燃料棒、3…ウォ
ータロッド、4…BP部材、12…スペーサ。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 中島 潤二郎 茨城県日立市幸町三丁目1番1号 株式会 社日立製作所日立工場内

Claims (24)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ウラン又はプルトニウムを含有する原子燃
    料棒を複数本配列した燃料棒束と該燃料棒束を囲むSn
    5重量%以下及び/又はNb5重量%以下を含有し、9
    0重量%以上のZrを有するジルコニウム基合金からな
    るチャンネルボックスを備えた燃料集合体において、該
    合金の六方晶Zrの〈0001〉結晶方位の板長さ方向
    の配向率(Fl値)が0.20〜0.35である低照射成長
    ジルコニウム基合金からなるチャンネルボックスに可燃
    性毒物を有することを特徴とする燃料集合体。
  2. 【請求項2】ウラン又はプルトニウムを含有する原子燃
    料棒を複数本配列した燃料棒束と該燃料棒束を囲むSn
    5重量%以下及び/又はNb5重量%以下を含有し、9
    0重量%以上のZrを有するジルコニウム基合金からな
    るチャンネルボックスとを備えた燃料集合体において、
    該合金の結晶粒径が50〜500μmであり、板幅方向
    で中央部と端部での前記合金の結晶方位の配向率が実質
    的に同一である低照射成長ジルコニウム基合金からなる
    チャンネルボックスに可燃性毒物を有することを特徴と
    する燃料集合体。
  3. 【請求項3】ウラン又はプルトニウムを含有する原子燃
    料棒を複数本配列した燃料棒束と該燃料棒束を囲むSn
    5重量%以下及び/又はNb5重量%以下を含有し、9
    0重量%以上のZrを有するジルコニウム基合金からな
    る長さ4m以上のチャンネルボックスとを備えた燃料集
    合体において、該合金の六方晶Zrの〈0001〉結晶
    方位が実質的にランダムであり、取出し燃焼度35GW
    d/tの中性子照射による長さ4mでの曲がり量が2.
    16mm 以下である低照射成長ジルコニウム基合金から
    なるチャンネルボックスに可燃性毒物を有することを特
    徴とする燃料集合体。
  4. 【請求項4】ウラン又はプルトニウムを含有する原子燃
    料棒を複数本配列した燃料棒束と該燃料棒束を囲むSn
    5重量%以下及び/又はNb5重量%以下を含有し、9
    0重量%以上のZrを有するジルコニウム基合金からな
    るチャンネルボックスとを備えた燃料集合体において、
    該合金の六方晶Zrの〈0001〉結晶方位の板長さ方
    向の配向率(Fl値)が0.20〜0.35であり、対向
    面間のFl値の差(ΔFl)が0.025 以下であり、
    β相Zr粒内を無亜粒界とした低照射成長ジルコニウム
    基合金からなるチャンネルボックスに可燃性毒物を有す
    ることを特徴とする燃料集合体。
  5. 【請求項5】前記可燃性毒物は、直接炉水に接すること
    のないように埋没されていることを特徴とする請求項1
    乃至4のいずれか一項に記載の燃料集合体。
  6. 【請求項6】前記可燃性毒物は、直接炉水に接すること
    のないようにジルカロイなどの高耐食性合金又は金属で
    コーテングされていることを特徴とする請求項1乃至4
    のいずれか一項に記載の燃料集合体。
  7. 【請求項7】チャンネルボックス内に配置されているウ
    オーターロッド内に、前記可燃性毒物を配置し、該可燃
    性毒物は直接炉水に接することのないようにジルカロイ
    などの高耐食性合金又は金属でコーテングされているこ
    とを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の
    燃料集合体。
  8. 【請求項8】該チャンネルボックスの角部が辺部に対し
    て厚肉にしたことを特徴とする請求項1乃至7のいずれ
    か一項に記載の燃料集合体。
  9. 【請求項9】前記可燃性毒物は、金属,合金,金属間化
    合物もしくはセラミックスであることを特徴とする請求
    項1乃至8のいずれか一項に記載の燃料集合体。
  10. 【請求項10】前記可燃性毒物は、カドミウム,サマリ
    ウム,ホウ素,ガドリニウム,銀,インジウム,ハフニ
    ウムのうち少なくても一つを含有する金属,合金,金属
    間化合物またはセラミックスであることを特徴とする請
    求項1乃至8のいずれか一項に記載の燃料集合体。
  11. 【請求項11】前記可燃性毒物は、カドミウム,サマリ
    ウム,ホウ素,ガドリニウム,銀,インジウム,ハフニ
    ウムのうち少なくても一つを、ジルコニウム又はジルコ
    ニウム基合金に、合金元素として添加,金属,金属間化
    合物,酸化物,水素化物,窒化物のうちの少なくとも一
    つとして分散、又は過飽和状態に固溶せしめたことを特
    徴とする請求項1乃至8のいずれか一項に記載の燃料集
    合体。
  12. 【請求項12】チャンネルボックスの一枚のジルコニウ
    ム基合金素材板にへこみを設けると共に、該へこみ内に
    可燃性毒物の板を係合配置し、前記可燃性毒物が埋め込
    まれるように他の一枚のジルコニウム基合金素材板で覆
    い、熱間圧延もしくはホットプレスして接合後、冷間圧
    延とアニールとを適宜繰り返した後、前記素材板を連続
    的に移動させながらβ相単相温度領域に加熱し、冷却す
    ることを特徴とする可燃性毒物含有ジルコニウム基合金
    板の製造法。
  13. 【請求項13】チャンネルボックスの一枚のジルコニウ
    ム基合金素材板にへこみを設けると共に、該へこみ内に
    可燃性毒物の板を係合配置し、前記可燃性毒物が埋め込
    まれるように他の一枚のジルコニウム基合金素材板で覆
    い、熱間圧延もしくはホットプレスして接合後、冷間圧
    延とアニールとを適宜繰り返した後、前記素材板を該合
    金の六方晶Zrの〈0001〉結晶方位の長手方向の配
    向率(Fl値)が0.20〜0.35 となるように前記β
    相単相温度領域にて短時間加熱保持後急冷する工程を有
    し、かつ板幅方向での中央部と端部での前記加熱温度差
    を小さくする手法を有する請求項12に記載の可燃性毒
    物含有ジルコニウム基合金板の製造法。
  14. 【請求項14】チャンネルボックスの一枚のジルコニウ
    ム基合金素材板にへこみを設けると共に、該へこみ内に
    可燃性毒物の板を係合配置し、前記可燃性毒物が埋め込
    まれるように他の一枚のジルコニウム基合金素材板で覆
    い、熱間圧延もしくはホットプレスして接合後、冷間圧
    延とアニールとを適宜繰り返した後、前記素材板をβ相
    単相温度領域に加熱し、冷却するジルコニウム基合金板
    の製造法にあって、前記合金板を複数回巻回した高周波
    誘導加熱コイル内に連続的に通過させて加熱するととも
    に前記コイル後方に設けた冷却用ノズルより冷媒を噴射
    させて冷却する工程を有することを特徴とする可燃性毒
    物含有ジルコニウム基合金板の製造法。
  15. 【請求項15】チャンネルボックスの一枚のジルコニウ
    ム基合金素材板にへこみを設けると共に、該へこみ内に
    可燃性毒物の板を係合配置し、前記可燃性毒物が埋め込
    まれるように他の一枚のジルコニウム基合金素材板で覆
    い、熱間圧延もしくはホットプレスして接合後、冷間圧
    延とアニールとを適宜繰り返した後、前記素材板を局部
    的にβ相単相温度領域に誘導加熱によって連続的に加熱
    するとともに該加熱された部分を冷媒によって強制的に
    冷却する可燃性毒物含有ジルコニウム基合金板の製造法
    にあって、前記合金の六方晶Zrの〈0001〉結晶方
    位の板長手方向の配向率(Fl値)が0.20〜0.35
    となるように前記β相単相温度領域にて短時間加熱保持
    後急冷する工程を有し、該加熱工程は前記ジルコニウム
    基合金板長手方向の配向率(Fl値)のばらつきを小さ
    くする手法を有することを特徴とする低照射成長可燃性
    毒物含有ジルコニウム基合金筒状部材の製造法。
  16. 【請求項16】チャンネルボックスの一枚のジルコニウ
    ム基合金素材板にへこみを設けると共に、該へこみ内に
    可燃性毒物の板を係合配置し、前記可燃性毒物が埋め込
    まれるように他の一枚のジルコニウム基合金素材板で覆
    い、熱間圧延もしくはホットプレスして接合後、冷間圧
    延とアニールとを適宜繰り返した板をβ相温度領域に局
    部的に誘導加熱によって相対的に移動させながら連続的
    に加熱するとともに該加熱された部分を冷媒によって強
    制的に冷却する焼入れ処理を施す可燃性毒物含有ジルコ
    ニウム基合金板の製造法であって、前記焼入れ処理を複
    数回施すことを特徴とする可燃性毒物含有ジルコニウム
    基合金部材の製造法。
  17. 【請求項17】2個のコの字型可燃性毒物含有ジルコニ
    ウム基合金部材を用いて、溶接接合された角形筒状部材
    からなる燃料チャンネルボックスにおいて、前記合金の
    六方晶Zrの〈0001〉結晶方位の筒状部材長手方向
    の配向率(Fl値)が0.20〜0.35 であることを
    特徴とする燃料チャンネルボックス。
  18. 【請求項18】燃料ペレットを燃料被覆管内に内蔵した
    燃料棒,該燃料棒を複数本収納するチャンネルボック
    ス,該チャンネルボックス内の前記燃料棒の間を仕切る
    スペーサ,前記チャンネルボックスの上部及び下部に設
    けられた上部格子板及び下部格子板を備えた燃料集合体
    において、前記チャンネルボックスは該可燃性毒物を係
    合配合したSn5重量%以下及び/又はNb5重量%以
    下、残部90重量%以上のZrを有するジルコニウム基
    合金板からなり、該合金の六方晶Zrの〈0001〉結晶方
    位の長手方向の配向率(Fl値)が0.20〜0.35で
    あり、対向面での前記Flの差が0.025 以下である
    ことを特徴とする燃料集合体。
  19. 【請求項19】可燃性毒物を係合配合したジルコニウム
    基合金素材板にβ相温度領域より急冷される焼入れ処理
    をした後、冷間加工及び焼鈍を施し、次いでコの字曲げ
    加工及び焼鈍後、突合わせ部を溶接して角筒管とする燃
    料チャンネルボックスの製造方法。
  20. 【請求項20】二枚のジルコニウム基合金素材板の間に
    可燃性毒物の板を介在させ、該三枚の板を熱間圧延して
    圧着し、その後、冷間圧延とアニールとを適宜回数繰り
    返した板を連続的に移動させながらβ相単相温度領域に
    加熱し、冷却することを特徴とする可燃性毒物含有ジル
    コニウム基合金板の製造方法。
  21. 【請求項21】二枚のジルコニウム基合金素材板の間に
    可燃性毒物の板を介在させ、該三枚の板を熱間圧延して
    圧着し、その後、冷間圧延とアニールとを適宜回数繰り
    返した板を該合金の六方晶Zrの〈0001〉結晶方位
    の長手方向の配向率(Fl値)が0.20〜0.35とな
    るように前記β相単相温度領域にて短時間加熱保持後急
    冷する工程を有し、前記β相単相温度領域での加熱を板
    幅方向での中央部と端部での前記加熱温度差を小さくす
    る手法を有する請求項20に記載の可燃性毒物含有ジル
    コニウム基合金板の製造法。
  22. 【請求項22】二枚のジルコニウム基合金素材板の間に
    可燃性毒物の板を介在させ、該三枚の板を熱間圧延して
    圧着し、その後、冷間圧延とアニールとを適宜回数繰り
    返した板をβ相単相温度領域に加熱し、冷却するジルコ
    ニウム基合金板の製造法にあって、前記合金板を複数回
    巻回した高周波誘導加熱コイル内に連続的に通過させて
    加熱するとともに前記コイル後方に設けた冷却用ノズル
    より冷媒を噴射させて冷却する工程を有することを特徴
    とする可燃性毒物含有ジルコニウム基合金板の製造法。
  23. 【請求項23】二枚のジルコニウム基合金素材板の間に
    可燃性毒物の板を介在させ、該三枚の板を熱間圧延して
    圧着し、その後、冷間圧延とアニールとを適宜回数繰り
    返した板を局部的にβ相単相温度領域に誘導加熱によっ
    て連続的に加熱するとともに該加熱された部分を冷媒に
    よって強制的に冷却する可燃性毒物含有ジルコニウム基
    合金板の製造法にあって、前記合金の六方晶Zrの〈0
    001〉結晶方位の板長手方向の配向率(Fl値)が
    0.20〜0.35となるように前記β相単相温度領域に
    て短時間加熱保持後急冷する工程を有し、かつ前記可燃
    性毒物含有ジルコニウム基合金板長手方向の配向率(F
    l値)のばらつきを小さくするために、前記加熱温度の
    ばらつきを小さくする手法を有することを特徴とする低
    照射成長可燃性毒物含有ジルコニウム基合金筒状部材の
    製造法。
  24. 【請求項24】二枚のジルコニウム基合金素材板の間に
    可燃性毒物の板を介在させ、該三枚の板を熱間圧延して
    圧着し、その後、冷間圧延とアニールとを適宜回数繰り
    返した板をβ相温度領域に局部的に誘導加熱によって相
    対的に移動させながら連続的に加熱するとともに該加熱
    された部分を冷媒によって強制的に冷却する焼入れ処理
    を施す可燃性毒物含有ジルコニウム基合金板の製造法に
    あって、前記焼入れ処理を複数回施すことを特徴とする
    可燃性毒物含有ジルコニウム基合金部材の製造法。
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