JPH1045654A - フルオレン誘導体の精製方法 - Google Patents

フルオレン誘導体の精製方法

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JPH1045654A
JPH1045654A JP21800296A JP21800296A JPH1045654A JP H1045654 A JPH1045654 A JP H1045654A JP 21800296 A JP21800296 A JP 21800296A JP 21800296 A JP21800296 A JP 21800296A JP H1045654 A JPH1045654 A JP H1045654A
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JP
Japan
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fluorene
exchange resin
hydroxyethoxy
phenyl
bis
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JP21800296A
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English (en)
Inventor
Toshiharu Uesawa
俊治 上澤
Yoshinori Kawamura
芳範 河村
Takashi Mori
隆司 森
Koichi Ohashi
紘一 大橋
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Taoka Chemical Co Ltd
Original Assignee
Taoka Chemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】本発明の目的は、フルオレノンとフェノキシエ
タノールとを反応させて得られた9,9−ビス(4−
(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)フルオレンの精
製方法である。 【解決手段】9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエト
キシ)フェニル)フルオレンを精製する方法において、
イオン交換樹脂処理することを特徴とするフルオレン誘
導体の精製方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、フルオレン誘導体
の精製方法に係り、特にフルオレノンとフェノキシエタ
ノールとを反応させて得られた9,9−ビス(4−(2
−ヒドロキシエトキシ)フェニル)フルオレンの精製方
法に関する。
【0002】
【従来の技術】9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエ
トキシ)フェニル)フルオレンは、エポキシ樹脂、ポリ
エステル等の製造原料として有用な物質であり、従来技
術としては種々の方法が見出されているが、特開平7−
165657号には、硫酸とチオールを触媒として用いて、フ
ルオレノンとフェノキシエタノールとを反応させ、得ら
れた反応液を、低級脂肪族アルコールに溶解させた後、
水を添加して9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエト
キシ)フェニル)フルオレンを析出させて回収するフル
オレン誘導品の製造方法が記載され、工業的に優れた方
法として示されている。
【0003 】しかるに、この方法では、触媒に用いる硫
酸を目的とする9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエ
トキシ)フェニル)フルオレンから完全に除去すること
が困難であり、その改善が要請されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、フル
オレノンとフェノキシエタノールとを反応させて得られ
た9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェ
ニル)フルオレンの精製方法である。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は、9,9−ビス
(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)フルオレ
ンを精製する方法において、イオン交換樹脂処理するこ
とを特徴とするフルオレン誘導体の精製方法である。
【0005】また、本発明は、硫酸とチオールを触媒と
して用いてフルオレノンとフェノキシエタノールとを反
応させて得られた9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシ
エトキシ)フェニル)フルオレンを精製する方法におい
て、イオン交換樹脂処理することを特徴とするフルオレ
ン誘導体の精製方法である。
【0006】本発明において、イオン交換樹脂処理と
は、精製を必要とする粗結晶9,9−ビス(4−(2−
ヒドロキシエトキシ)フェニル)フルオレンの溶液(通
常は有機溶剤溶液)に、イオン交換樹脂を添加し、必要
により加温し、よく接触させた後、濾過し、イオン交換
樹脂を系外に除去することによって行われる。或いは、
イオン交換樹脂をカラムに充填し、前記フルオレンの有
機溶剤溶液を通液し、連続的にイオン交換する方式も採
用される。
【0007】本発明に用いられるイオン交換樹脂として
は、陰イオン交換樹脂単独又は陰イオン交換樹脂及び陽
イオン交換樹脂の併用使用が挙げられる。ここで、陰イ
オン交換樹脂としては、具体的には、例えば住友化学工
業株式会社製のデュオライト A-368、 A-378オルガノ株
式会社製のアンバーリスト A-21 、A-26、A-27三菱化学
株式会社製のダイヤイオン WA-10、WA-20 、WA-21J、WA
-30 、CR-20 、PA308 等が挙げられ、また陽イオン交換
樹脂としては、具体的には、例えば住友化学工業株式会
社製のデュオライト C-20HC(♯) 、オルガノ株式会社製
のアンバーライト IR-118(♯) 、アンバーリスト15、IR
C-50、IRC-84三菱化学株式会社製のダイヤイオン WK-1
0、WK-11 、WK-20 、SK104H、SK1BH 、PK208H、PK216H
等が挙げられ、その他、例えばダウケミカル社製のDo
wexシリーズ、ローム&ハース社製のAmberli
teシリーズで示される陰イオン交換樹脂及び陽イオン
交換樹脂等が挙げられる。
【0008】本発明において、イオン交換樹脂処理は、
目的とする9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキ
シ)フェニル)フルオレンを生成した任意の段階におい
て適用される。例えば、目的とする9,9−ビス(4−
(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)フルオレンを晶
析等の手段により一旦分離した粗結晶9,9−ビス(4
−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)フルオレンに
対して行うことが出来るし、また晶析等による分離前の
段階で、例えば目的物が有機溶剤溶液の状態で得られた
場合は、この状態でイオン交換樹脂処理する方式を採る
ことができる。
【0009】本発明のイオン交換樹脂処理は、従来公知
のイオン交換樹脂処理の方法が適用され、特に制限され
ないが、本発明の好ましい態様としては、9,9−ビス
(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)フルオレ
ンの有機溶剤溶液に、イオン交換樹脂を添加し、所定時
間、通常1〜数時間攪拌し、必要により加温(例えば室
温〜有機溶剤の沸点内)し、目的物とイオン交換樹脂と
をよく接触させた後、好ましくは加熱下、濾過処理する
ことにより行われる。
【0010】ここで、イオン交換樹脂の添加量は、陰イ
オン交換樹脂の場合は、粗結晶中に含まれる除去すべき
硫酸量とイオン交換樹脂のイオン交換容量の関係から求
められる。通常は1〜20倍、好ましくは1〜10倍の
交換容量を持つイオン交換樹脂の量である。また、必要
により併用する陽イオン交換樹脂の量は、特に制限的で
はないが、通常陰イオン交換樹脂量に対して0.01〜
10倍量である。本発明者らは、陰イオン交換樹脂を単
独で使用する場合に、初期の目的とする残存硫酸の軽減
された目的とするフルオレン誘導体が得られるが、更に
検討の結果、陰イオン交換樹脂及び陽イオン交換樹脂の
併用処理により、更に高品質の目的とするフルオレン誘
導体が得られることを見い出した。
【0011】以下、本発明のフルオレンの精製方法につ
いて更に詳細に説明する。本発明に適用される9,9−
ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)フル
オレンは種々の方法で製造されたものが適用できる。し
かし、本発明においては、触媒である硫酸及びチオール
の存在下で、フルオレノンとフェノキシエタノールとを
反応させて得られた目的とする9,9−ビス(4−(2
−ヒドロキシエトキシ)フェニル)フルオレンに好まし
く適用される。
【0012】ここで、触媒である硫酸及びチオールの存
在下で、フルオレノンとフェノキシエタノールとを反応
させる方式は、バッチ方式でも連続方式でもよく、反応
温度は、30〜150℃、好ましくは40〜70℃とす
るのがよく、バッチ方式で反応させる場合の反応時間は
1〜10時間、好ましくは1〜7時間とするのがよい。
反応温度を低くすると反応速度が低下して反応効率が悪
くなる傾向があり、高くすると副生物が増加し目的化合
物の収率が低下する傾向がある。反応時間を短くすると
未反応のフルオレノンが残留し、目的化合物の収率が低
下する傾向があり、反応時間を長くすると副生物が増加
し、目的化合物の収率が低下する傾向がある。
【0013】本発明において触媒として用いる硫酸につ
いては、濃度75%以上のもの、好ましくは95%以上
のものが用いられ、使用量はフルオレノン1モルに対し
10〜500ml、好ましくは80〜300mlであ
る。ここで濃度が低い硫酸を用いたり、又、使用量を少
なくすると、触媒としての作用が低下する傾向があり、
使用量を必要以上に多くすると、触媒としての作用は向
上し、反応時間を短くすることが出来るが、副生物が増
加し、目的化合物の収率が低下するので、工業的には好
ましいものではない。
【0014】反応系への硫酸の添加方法については特に
限定はなく、使用量、反応条件等にもよるが、バッチ式
で反応させる場合、一般に、反応系を反応温度とする前
に反応温度よりも低い温度で、全量を15分〜2時間か
けて滴下して添加するのが好ましい。また、本発明にお
いて触媒として用いるチオールは、主に、触媒として作
用する硫酸の助触媒として作用するものと考えられ、具
体的には、メルカプタン、特に炭素数1〜10、好まし
くは2〜4のメルカプタン、メルカプトカルボン酸、特
に炭素数2〜11、好ましくは2〜4のメルカプトカル
ボン酸等であり、例えば、エチルメルカプタン、n−ブ
チルメルカプタン、1−オクチルメルカプタン、t−ド
デシルメルカプタン、メルカプトエタノール、メルカプ
ト酢酸、β−メルカプトプロピオン酸等を挙げることが
できる。
【0015】その使用量は、フルオレノン1モルに対し
0.01〜100ml、好ましくは0.1〜10mlで
ある。ここで炭素数が大きいチオールを用いると多大な
反応時間を要する傾向があり、チオールの使用量を少な
くすると触媒としての作用が低下する傾向があり、使用
量を必要以上に多くしても触媒としての作用はそれほど
向上しない。
【0016】本発明において原料として用いるフルオレ
ノン及びフェノキシエタノールについては特に限定はな
いが、反応効率及び精製の点から、双方とも高純度のも
のを用いるのが好ましい。例えば、コールタールから得
られるフルオレン又は脱アルキル法ベンゼン製造プロセ
スにおいて副生するフルオレンを液相空気酸化して得ら
れるフルオレノンを原料フルオレノンとして用いること
ができ、この場合、不純物としてアセナフテン、ジベン
ゾフラン、ビフェニル、メチルビフェニル等を含有する
ものであっても問題はないが、フルオレノン含有量が7
0重量%以上のもの、好ましくは90重量%以上のもの
として用いることが好ましい。
【0017】フルオレノンとフェノキシエタノールとの
使用割合については、フルオレノン1モルに対し、フェ
ノキシエタノールを2〜10倍モル、好ましくは2.5
〜6倍モル使用するのが好ましい。ここでフェノキシエ
タノールの使用割合を少なくすると副生物が増加し、目
的化合物の収率が低下する傾向があり、多くすると触媒
が薄められ、触媒の作用が低下し、多大な反応時間を要
する傾向がある。
【0018】フルオレノンとフェノキシエタノールとの
反応終了後に、反応液から反応生成物である9,9−ビ
ス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)フルオ
レンを回収・分離する方法については、特に限定的では
ないが、本発明においては、従来公知の方法に従って、
反応後に低級脂肪族アルコールを添加し、必要に応じて
攪拌等することにより、均一な溶液とした後、水を添加
して9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フ
ェニル)フルオレンを析出させ、析出した目的化合物を
必要に応じて濾過、乾燥等して回収・分離する方法が挙
げられる。
【0019】しかしながら、本発明の好ましい実施態様
は、次のような方法によって製造された粗結晶9,9−
ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)フル
オレンに本発明の精製方法を適用することである。すな
わち、硫酸とチオールを触媒として用いてフルオレノン
とフェノキシエタノールとを反応させて9,9−ビス
(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)フルオレ
ンを製造する方法において、得られた反応液に目的とす
る9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェ
ニル)フルオレンに相溶し易いが水と相溶し難い有機溶
剤(以下、単に水と相溶し難い有機溶剤という)及び水
を加えて溶解し、水洗した後、水層と油層に分離し、油
層から目的とする粗結晶9,9−ビス(4−(2−ヒド
ロキシエトキシ)フェニル)フルオレンを回収・分離す
る。
【0020】ここで、本発明に用いられる水と相溶し難
い有機溶剤としては、トルエン、キシレン等の芳香族炭
化水素系溶剤、メチルイソブチルケトン、メチルエチル
ケトン等のケトン系溶剤、その他イソブチルアセテート
等が挙げられる。水と相溶し難い有機溶剤の添加量は、
反応液中に含まれるフルオレノン骨格1モルに対して5
00〜5000ml、好ましくは1000〜2500m
lである。
【0021】本発明において、フルオレノンとフェノキ
シエタノールとの反応終了後の反応液に水と相溶し難い
有機溶剤及び水を加えて溶解、洗浄する工程は、次の様
な方法で行われる。すなわち、前記反応液に水と相溶し
難い有機溶剤及び水を添加し、必要に応じて攪拌下に、
好ましくは高められた温度、具体的には油層が均一にな
る温度に加温し、攪拌することにより油層を洗浄する。
【0022】水と相溶し難い有機溶剤及び水の添加は、
同時でもよいし、何れか一方を後から添加してもよい。
通常は水の後添加が好ましい。ここで、添加する水の量
については、油層に対し1/10〜2倍量、好ましくは
1/8〜1倍量である。かくして洗浄操作が完了する。
次に該反応混合液を静置し、油層と水層に分離させ、油
層から目的とする9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシ
エトキシ)フェニル)フルオレンを回収する。
【0023】この回収方法については、例えば油層を冷
却し、目的とする9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシ
エトキシ)フェニル)フルオレンを晶析させて回収する
ことができる。更に、本発明者らは、油層より有機溶剤
を留去し、低級脂肪族アルコール又は低級脂肪族アルコ
ールと水を添加して溶解させた後、冷却して目的とする
9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニ
ル)フルオレンを晶析させて回収することにより、本発
明の目的とする高品質、高収率が容易に達成されること
を見出した。なお、析出した目的化合物は、必要に応じ
て濾過・乾燥等して製品とすることができる。
【0024】ここで用いる低級脂肪族アルコールとして
は、炭素数1〜5、好ましくは1〜3の脂肪族アルコー
ルであり、例えば、メタノール、エタノール、プロパノ
ール等を挙げることができ、大規模な実施にあたっては
工業的に安価に供給されるメタノールが好ましい。また
低級脂肪族アルコールの使用量は、反応液中に含まれる
フルオレン骨格1モルに対して500〜5000ml、
好ましくは1000〜3000mlである。低級脂肪族
アルコールの使用量が少ないと溶液が均一とならない傾
向があり、多いと容積効率が低くなり、工業的に好まし
くない傾向がある。目的化合物を析出させるために用い
る水の使用量については、反応液中に含まれるフルオレ
ン骨格1モルに対して0〜2000ml、好ましくは1
00〜1000mlである。
【0025】なお、回収した反応生成物〔9,9−ビス
(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)フルオレ
ン〕を更に精製する場合の精製方法としては、溶媒とし
て低級脂肪族アルコール、芳香族化合物、ケトン化合
物、エステル化合物及びこれらの2種以上の混合物を用
いて再結晶する方法が挙げられる。これらの溶媒の具体
例としては、メタノール、エタノール、プロパノール等
の低級脂肪族アルコール、トルエン、キシレン等の芳香
族化合物、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソ
ブチルケトン等のケトン化合物、メチルアセテート、エ
チルアセテート、ブチルアセテート等のエステル化合物
等が挙げられる。この再結晶溶媒の使用量については、
回収した反応生成物に含まれるフルオレン骨格1モルに
対して、1000〜8000ml、好ましくは2000
〜6000mlとなる量を用いるとよい。
【0026】この再結晶精製方法の具体的な操作方法・
条件については特に限定はないが、得られた粗製品に溶
媒を加え、攪拌下加温して溶解させた後、熱濾過する。
これらの濾過工程において、通常の精製方法において用
いられる活性炭、活性白土、酸性白土、活性アルミナ、
ゼオライト等による処理を併用することができる。目的
物の取り出しは、得られた濾液を撹拌しながら室温もし
くは冷水で徐々に冷却しながら固体を析出させ、次い
で、得られた固形物を濾過し、乾燥させるのがよい。
【0027】本発明のイオン交換樹脂処理は、通常は上
記の方法で得られた9,9−ビス(4−(2−ヒドロキ
シエトキシ)フェニル)フルオレンに対して行われる訳
であるが、前記したように、上記取り出し、回収・分離
の適宜の段階において本発明の目的に照らしてイオン交
換樹脂処理を行うことができる。
【0028】例えば、前記の方法で一旦回収・分離した
9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニ
ル)フルオレンの有機溶剤溶液に、イオン交換樹脂を添
加し、必要により加温し、よく接触させた後、濾過しイ
オン交換樹脂を系外に除去することによって行われる。
用いられる有機溶剤としては、トルエン、キシレン等の
芳香族炭化水素系溶剤、メチルイソブチルケトン、メチ
ルエチルケトン等のケトン系溶剤、その他イソブチルア
セテート等、例えば、メタノール、エタノール、プロパ
ノール等の低級脂肪族アルコール等があげられる。
【0029】本発明の他のイオン交換樹脂処理は、前記
晶析等による回収・分離前の段階で、例えば目的物が有
機溶剤溶液の状態で得られた場合は、この状態で本発明
のイオン交換樹脂処理を行う方式を採ることができる。
この場合の有機溶剤としては、水と相溶し難い有機溶剤
を使用することから、具体的には、トルエン、キシレン
等の芳香族炭化水素系溶剤、メチルイソブチルケトン、
メチルエチルケトン等のケトン系溶剤、その他イソブチ
ルアセテート等が挙げられる。
【0030】ここで、イオン交換樹脂処理の条件は、特
に制限的ではない。例えば有機溶剤の使用量は、特に制
限的ではなく、目的とするフルオレン誘導体が溶解され
ていればよく、通常フルオレン誘導体に対して当量〜5
0倍、好ましくは3〜10倍、温度は室温乃至溶媒の沸
点以下の温度又は耐熱温度以下で、1乃至数時間であ
る。
【0031】本発明のイオン交換樹脂処理に際して、通
常の精製方法において用いられる活性炭、活性白土、酸
性白土、活性アルミナ、ゼオライト等による処理を併用
することができる。本発明によれば、純度99.4%以
上、残量硫酸量60ppm 以下の200℃加温後も着色度
が低く、熱安定性に優れた目的とする〔9,9−ビス
(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)フルオレ
ン〕を得ることができる。
【0032】
【発明の効果】本発明によれば、工業的な実施に好適で
あり且つ経済的に有利な方法で、フルオレノンから9,
9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)
フルオレンを高品質、高収率で製造することができる。
特に目的製品中の残存硫酸を著しく低減させ、かつ不純
物等に伴う着色度の低い製品とすることができるという
特有の効果を奏する。
【0033】
【実施例】
実施例1 攪拌機、冷却管及び滴下ロートを備えた内容積1000
mlの4つ口フラスコに純度99.5重量%のフルオレ
ノン(フルオレンを液相空気酸化して得たもの)45g
(0.25mol)とフェノキシエタノール(四日市合
成株式会社製、PHE−G)138g(1.00mo
l)、β−メルカプトプロピオン酸0.2mlを仕込
み、均一に溶解させてから95%硫酸45mlを30分
かけて滴下した後、反応温度を65℃で4時間保温し、
反応を続けて完結させた。
【0034】次いで、反応液に水90g、トルエン45
0mlを加え、80〜85℃で30分間攪拌、水洗後、
30分間静置して、下層の水層を分離した。更に2回同
量の水を加えて水洗を繰り返し、硫酸を除去した。反応
液を室温まで冷却して結晶を析出させ、濾過後、70℃
で1日間減圧乾燥した。得られた粗結晶(9,9−ビス
(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)フルオレ
ンの純度は98.5%、収量は81.8g、収率74%
であった。また、結晶中の残存硫酸は600ppm であっ
た。
【0035】得られた上記粗結晶50gをメタノール4
50mlに攪拌、加熱下に溶解させた後、ダイヤイオン
WA−10(三菱化学株式会社製陰イオン交換樹脂)5
gを添加し、更に1時間攪拌を続けた後、熱濾過して活
性炭及びイオン交換樹脂を除去した。
【0036】得られた濾液を室温まで徐々に冷却して結
晶を析出させ、濾過後70℃で1日間減圧乾燥した。得
られた結晶(9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエト
キシ)フェニル)フルオレンの純度は99.7%、収量
は43.4g、収率65%であった。また、結晶中の残
存硫酸は50ppm であった。
【0037】実施例2 実施例1と同様にして製造した粗結晶(9,9−ビス
(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)フルオレ
ン50gをトルエン400mlに攪拌、加熱下に溶解さ
せた後、太閤活性炭(二村化学工業株式会社製)1g及
びデュオライトA−378(住友化学工業株式会社製陰
イオン交換樹脂)2.5gを添加し、更に1時間攪拌を
続けた後、熱濾過してイオン交換樹脂を除去した。
【0038】得られた濾液を室温まで徐々に冷却して結
晶を析出させ、濾過後70℃で1日間減圧乾燥した。得
られた結晶(9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエト
キシ)フェニル)フルオレンの純度は99.5%、収量
は43.8g、収率65.5%であった。また、結晶中
の残存硫酸は55ppm であった。
【0039】実施例3 実施例2のデュオライトA−378の代わりにアンバー
リストA−21(オルガノ株式会社製陰イオン交換樹
脂)2.5gを使用し、実施例2と同様にして精製し
た。得られた濾液を室温まで徐々に冷却して結晶を析出
させ、濾過後70℃で1日間減圧乾燥した。
【0040】得られた結晶(9,9−ビス(4−(2−
ヒドロキシエトキシ)フェニル)フルオレンの純度は9
9.7%、収量は43.9g、収率65.8%であっ
た。また、結晶中の残存硫酸は50ppm であった。
【0041】実施例4 攪拌機、冷却管及び滴下ロートを備えた内容積1000
mlの4つ口フラスコに純度99.5重量%のフルオレ
ノン(フルオレンを液相空気酸化して得たもの)45g
(0.25mol)とフェノキシエタノール(四日市合
成株式会社製、PHE−G)138g(1.00mo
l)、β−メルカプトプロピオン酸0.2mlを仕込
み、均一に溶解させてから95%硫酸45mlを1時間
かけて滴下した後、反応温度を65℃で4時間保温し、
反応を続けて完結させた。
【0042】次いで、反応液に水90g、キシレン45
0mlを加え、80〜85℃で30分間攪拌、水洗後、
30分間静置して、下層の水層を分離した。更に2回同
量の水を加えて水洗を繰り返し、硫酸を除去した。
【0043】油層を加温下に、太閤活性炭(二村化学工
業株式会社製)2g及びダイヤイオンWA−10(三菱
化学株式会社製陰イオン交換樹脂)8gを添加し、更に
1時間攪拌を続けた後、熱時濾過して活性炭及びイオン
交換樹脂を除去した。
【0044】得られた濾液を室温まで徐々に冷却して結
晶を析出させ、濾過後70℃で1日間減圧乾燥した。得
られた結晶(9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエト
キシ)フェニル)フルオレンの純度は99.7%、収量
は80.2g、収率73%であった。また、結晶中の残
存硫酸は50ppm であった。
【0045】実施例5 実施例3と同様にして、アンバーリストA−21 2.
5gを用い、さらにダイヤイオンSK−104H(三菱
化学株式会社製 陽イオン交換樹脂)0.8gを併用
し、実験例3と同様にして精製した。得られた濾液を室
温まで徐々に冷却して結晶を析出させ、濾過後70℃で
1日間減圧乾燥した。得られた結晶(9,9−ビス(4
−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)フルオレンの
純度は99.7%、収量は43.8g、収率65.6%
であった。また、結晶中の残存硫酸は50ppm であっ
た。
【0046】比較例1 実施例1と同様にして製造した粗結晶(9,9−ビス
(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)フルオレ
ン50gをメタノール450mlに攪拌、加熱下に溶解
させた後、熱濾過した。
【0047】得られた濾液を室温まで徐々に冷却して結
晶を析出させ、濾過後70℃で1日間減圧乾燥した。得
られた結晶(9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエト
キシ)フェニル)フルオレンの純度は99.4%、収量
は43.7g、収率65.3%であった。また、結晶中
の残存硫酸は145ppm であった。
【0048】着色度の評価試験 実施例1〜5の精製方法によって得られた(9,9−ビ
ス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)フルオ
レンについて、それぞれサンプル管に約10g採り、窒
素雰囲気下、200℃で4時間加温後、溶融状態で着色
度を目視判定した。その結果を下記表−1に示す。
【0049】
【表−1】
【0050】以上の結果から、イオン交換樹脂として、
陰イオン交換樹脂及び陽イオン交換樹脂を併用して用い
るときは、殆ど着色せず、熱安定性に優れる。
【0051】なお、本明細書中において、収率は以下の
式により表される値である。 収率(%)=〔9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエ
トキシ)フェニル)フルオレンのモル数〕÷〔原料中の
フルオレノンのモル数〕×100 また、残存硫酸量については、資料中のS分を電量滴定
法によって求め、硫酸として換算した。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 大橋 紘一 大阪市淀川区西三国4丁目2番11号 田岡 化学工業株式会社内

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエ
    トキシ)フェニル)フルオレンを精製する方法におい
    て、イオン交換樹脂処理することを特徴とするフルオレ
    ン誘導体の精製方法。
  2. 【請求項2】 9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエ
    トキシ)フェニル)フルオレンが、硫酸とチオールを触
    媒として用いてフルオレノンとフェノキシエタノールと
    を反応させて得られた9,9−ビス(4−(2−ヒドロ
    キシエトキシ)フェニル)フルオレンである請求項1に
    記載のフルオレン誘導体の精製方法。
  3. 【請求項3】 9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエ
    トキシ)フェニル)フルオレンが、硫酸とチオールを触
    媒として用いて、フルオレノンとフェノキシエタノール
    とを反応させて得られた9,9−ビス(4−(2−ヒド
    ロキシエトキシ)フェニル)フルオレンを含む反応液
    に、水と相溶し難い有機溶剤及び水を加えて溶解、水洗
    し、水層と油層に分液し、油層から分離された9,9−
    ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)フル
    オレンである請求項1又は請求項2のいずれかに記載の
    フルオレン誘導体の精製方法。
  4. 【請求項4】 9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエ
    トキシ)フェニル)フルオレンが、硫酸とチオールを触
    媒として用いて、フルオレノンとフェノキシエタノール
    とを反応させて得られた9,9−ビス(4−(2−ヒド
    ロキシエトキシ)フェニル)フルオレンを含む反応液
    に、水と相溶し難い有機溶剤及び水を加えて溶解、水洗
    し、水層と油層に分液し、油層に含まれる9,9−ビス
    (4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)フルオレ
    ンである請求項1又は請求項2のいずれかに記載のフル
    オレン誘導体の精製方法。
  5. 【請求項5】 イオン交換樹脂処理が、陰イオン交換樹
    脂を用いるイオン交換樹脂処理である請求項1〜請求項
    4のいずれかに記載のフルオレン誘導体の精製方法。
  6. 【請求項6】 イオン交換樹脂処理が、陰イオン交換樹
    脂及び陽イオン交換樹脂を用いるイオン交換樹脂処理で
    ある請求項1〜請求項4のいずれかに記載のフルオレン
    誘導体の精製方法。
  7. 【請求項7】 イオン交換樹脂処理が、9,9−ビス
    (4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)フルオレ
    ンの有機溶剤溶液に、イオン交換樹脂を添加し、よく接
    触させた後、濾過する請求項1〜請求項6のいずれかに
    記載のフルオレン誘導体の精製方法。
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