JPH1035666A - 通気式シートパレット - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 通気性を必要とする青果物、水産物およびそ
れらの加工品の輸送に使用することができるシートパレ
ットを提供する。 【解決手段】 荷物積載面２に複数個の開孔３、３ａを
有し、かつ各開孔のタブ対向辺と、シートパレットの縦
方向とのなす角が鋭角であることを特徴とする通気式シ
ートパレット１。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、段ボール箱、カー
トンボックスなどによる輸送において用いられるシート
パレットであって、青果物、水産物およびそれらの加工
品、通気性を必要とするその他の工業製品、あるいは鮮
度保持のために低温輸送や冷風循環を必要とする貨物な
どの輸送に用いられる通気式シートパレットに関するも
のである。

【０００２】

【従来の技術】近年、青果物、水産物およびそれらの加
工品はコンテナーによって多量に輸入されており、それ
らの品物のうち腐敗防止または鮮度維持を必要とする品
物の輸送には冷凍や冷風装置付きのコンテナーが使用さ
れている。このようなコンテナー輸送において、シート
パレットにカートンボックスなどを積載し、荷下ろしせ
ずに必要な期間保管したり輸送装置により輸送すること
が可能であれば、大量輸送における利点は大きい。青果
物、水産物およびそれらの加工品などのように通気性を
必要とする貨物を収納するカートンボックスには、通常
通気孔が設けられており、シートパレット上に積み付け
られてコンテナー内に静置される。コンテナー内におい
ては、通常最奥の壁面に設置されている冷凍および冷風
装置から吹き出された冷気が、コンテナーの少なくとも
床面に設置されている冷気循環溝を通って循環し、コン
テナー内には常に冷気が流通している。上記の冷気循環
溝は、コンテナーの床面においてはコンテナーの長手方
向に平行に床面全体にわたって設けられており、長手方
向に垂直な断面はＴ字型である。

【０００３】上記の場合において、従来のシートパレッ
トは、カートンボックスの通気孔を塞ぎ冷風循環の経路
を遮断するため、青果物、水産物およびそれらの加工品
の鮮度を維持することが困難であり、これらの輸送に利
用することができない。このため、通気性を必要とする
青果物、水産物およびそれらの加工品の輸送にも使用す
ることのできるシートパレットを開発して、コンテナー
による大量輸送を可能にすることが望まれており、シー
トパレットにも通気孔を設けた先発明がなされている。
このようにシートパレットに通気孔を設けることによ
り、コンテナー内に貨物を積載したシートパレットが置
かれた場合に、床から上昇した冷気はシートパレットに
設けられた通気孔を通り、カートンボックス内に流入
し、カートンボックスの内容物である青果物、水産物ま
たはそれらの加工品を冷却することができる。カートン
ボックスは通常多数段積み重ねられるが、カートンボッ
クスの通気孔は相互に重なり合うように設計されている
ため、重ねて積載しても冷気はカートンボックスの各段
を通過して冷凍および冷風装置に戻る。このようにして
コンテナー内および積載貨物の冷気循環が円滑に行わ
れ、カートンボックス内の青果物、水産物およびそれら
の加工品鮮度が保持される。

【０００４】前記先発明の一つとして、実開昭５４−１
２５０６４号公報には、数個〜十数個の通気孔を有する
シートパレットが開示されているが、このシートパレッ
トは通気孔の孔径がほぼ８０ｍｍφと大きく、荷役作業
においてプッシュプルフォークリフトのプラテンを挿入
する際に、プラテンの先端部が孔に当接し、作業性が劣
るばかりでなく荷崩れが生じ易く、かつシートパレット
が破損する懸念がある。

【０００５】前記の欠点を解決するものとして、実開昭
６０−１８８１３０号公報には、孔径３〜７０ｍｍの多
数の円形の通気孔を設け、かつ通気孔の合計面積を載荷
面の面積の４０％以下とするシートパレットが記載され
ている。しかし、このシートパレットにおける通気孔
は、孔径が小さく、冷風の通気性能は十分とはいえな
い。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】上記のように、低温輸
送や冷風循環を必要とするカートンボックスの輸送にお
いて、従来の通気孔を有するシートパレットでは通気性
が不十分であったり、荷役作業における作業性に劣るな
どの問題がある。そこで本発明は、シートパレットに、
冷気循環の経路を十分に確保し、しかも作業性において
支障を招くことのない形状の通気孔を設けることによ
り、通気性を必要とする青果物、水産物およびそれらの
加工品の輸送においてもシートパレットの活用を図るこ
とを目的とするものである。

【０００７】

【課題を解決するための手段】本発明者は、上記の目的
に沿って鋭意研究を重ねた結果、シートパレットの荷物
積載面の特定の位置に、特定の形状の開孔を設けること
により上記の課題を解決し得ることを見出して本発明を
完成した。なお以下において、開孔の「タブ対向辺」と
は、開孔を形成する辺の内で、タブと垂直でなく、かつ
タブ側から最も遠い辺をいう。また、「シートパレット
の縦方向」とは、シートパレットの長さ方向、すなわ
ち、フォークリフトによりシートパレットを扱う際のプ
ラテンの摺動方向をいう。本発明の第１は、荷物積載面
に複数個の開孔を有し、かつ大部分の開孔において各開
孔のタブ対向辺と、シートパレットの縦方向とのなす角
が鋭角であることを特徴とする通気式シートパレットに
関するものである。本発明の第２は、上記第１の発明に
おいて、シートパレットの開孔が、シートパレットの縦
方向に平行な長辺を有する長孔からなり、かつ長孔はタ
ブ対向辺の少なくとも一方の隅を、縦方向に対して斜め
に切り落とした形状であることを特徴とする通気式シー
トパレットに関する。本発明の第３は、第１の発明にお
いて、シートパレットの荷物積載面の幅を２〜６等分し
て、縦方向に長い複数の開孔域を形成し、かつ開孔域内
にシートパレットの縦方向に対して傾斜した多数の長孔
状の開孔を形成したことを特徴とする通気式シートパレ
ットに関する。

【０００８】シートパレットの開孔の形状が従来のよう
に円形であると、孔径が大きい場合には、プッシュプル
フォークリフトのプラテンを挿入する際に、プラテンの
先端部が孔に当接したり、あるいはシートパレットを木
製パレットの上に引き込む際に、木製パレットに開孔が
引掛かるなどの問題があった。しかし、これを避けるた
めに孔径を小さくすると、通気性が不足する。そこで、
本発明の通気性シートパレットにおいては、プラテンの
先端部や木製パレット等が孔に引掛かることを防ぎ、荷
役作業が円滑に行われるようにするために、大部分の開
孔において、各タブ対向辺とシートパレットの縦方向と
のなす角が鋭角となるように開孔を形成する。また、十
分に通気を行うために必要な面積を確保し、かつ強度の
低下を防止するために、開孔を長孔状とする。

【０００９】上記において、開孔がシートパレットの縦
方向に平行な長辺を有する長孔からなる場合には、上記
長孔のタブ対向辺の少なくとも一方の隅を、シートパレ
ットの縦方向に対して斜めに切り落とした形状とする。
切り落とす角度は、荷役作業に影響を及ぼさない限り特
に限定されないが、３０〜６０度の範囲が好ましい。な
お、この場合に両隅を切り落としてもよいが、先端部に
タブと平行な直線部分を残さないように片側のみを切り
落とした形状でもよい。いずれの場合も、タブ対向辺を
先端ほど漸次幅狭にした形状とする。

【００１０】上記の場合に、開孔が長方形の長孔である
と、シートパレットは可撓性を有するため撓みを生ずる
ので、シートパレットの下側にプラテンを挿入する際
に、プラテンの先端部がタブと平行なタブ対向辺の下側
に当接してプラテンの進行が妨害され、作業性に支障を
招く。開孔の形状が、幅の狭い長方形であれば、上記の
障害は起こり難いが、このような開孔では通気性が減少
する。そこで、本発明のように、長孔のタブ対向辺に傾
斜を設けることにより、タブ対向辺のうちタブと平行な
部分、すなわちプラテンの先端部に当接する部分が著し
く減少するため、プラテンは進行を妨げられることなく
シートパレットの下側に円滑に挿入される。木製パレッ
ト上にシートパレットを引き込む際にも、上記と同様で
ある。なお、長孔状の開孔の幅は、冷凍および冷風装置
付きコンテナーの冷気循環溝の溝ピッチ等も考慮して５
０〜１２０ｍｍ程度が好ましい。

【００１１】一般に、通気式シートパレットに設ける開
孔の形状および寸法は、冷風がカートンボックスの通気
孔を十分に通過することができるように定めなければな
らない。また、シートパレットに設ける開孔の個数およ
び配置は、シートパレットに積み付けられるカートンボ
ックスの配列に応じて、両者の孔が重なり合うようにす
ることが冷却効果および通風効果の上から最も効率がよ
い。

【００１２】そこで前記形状のシートパレットにおい
て、載置される被運搬物が、少なくとも底面の少なくと
も四隅に通気孔を有する複数個のカートンボックスであ
る場合には、それらの通気孔の位置に重なるように開孔
を設けることが好ましい。すなわち、シートパレットの
縦方向に隣接する２個のカートンボックスにおいて、接
触面の両側の最も近い位置にある２個の通気孔が、シー
トパレット上の１個の開孔に重なるように、シートパレ
ットの荷物積載面に複数個の開孔を形成する。ここで、
上記カートンボックスの２個の通気孔に対してそれぞれ
単独に２個の孔を設けると、両孔の中間は非常に狭くな
りその部分の強度が低下する懸念がある。また、通気孔
との重なり易さの点からも、２個の通気孔に対して１個
の開孔を設ける方が好ましい。更に、冷凍および冷風装
置付きコンテナーの床面に設けられた冷気循環溝の溝幅
および通気溝のピッチ等も考慮して孔の形状、寸法、個
数および配置を決めることが望ましく、これにより冷却
効果および通風効果が一層向上する。

【００１３】また本発明は、シートパレットに積載され
る多種類のカートンボックスおよびコンテナーの冷気循
環溝の多様な溝幅および溝ピッチ等に適用可能な通気式
シートパレットを目的とするものであり、この場合に
は、シートパレット自体の開口比を極力大きくすると共
に、コンテナー内にシートパレットを置く位置に制限を
受けない形状にすることが必要である。開口比を大きく
するためには、開孔を多数設ける必要があるが、通気面
積を確保し、かつ強度の低下を防ぐために、長孔状の開
孔を多数設けることが好ましい。また、プッシュプルフ
ォークリフトのプラテンの先端部や木製パレットにシー
トパレットの開孔が当接して荷役作業の円滑な進行を妨
害しないようにするために幅の狭い長孔状の開孔が好ま
しい。これらの理由から、開孔の幅は３０〜８０ｍｍと
する。好ましくは５０〜７０ｍｍである。

【００１４】上記の場合に、開孔を縦方向のみに限定す
ると適用性が狭くなるため、開孔の配列を縦方向に対し
３０〜６０度傾斜させる。開孔を傾斜させることによ
り、カートンボックスの通気孔のみならず、コンテナー
の冷気循環溝に対しても適用範囲が拡大される。すなわ
ち、開孔が傾斜を有さず冷気循環溝に対して平行な場合
には、開孔が冷風の吹き出されない部分に置かれて塞が
れ、全く通気効果を発揮しない状態になる可能性もあ
る。これに対し、開孔が傾斜しているときは、開孔全体
が塞がれて無効になる可能性は低下し、むしろ開孔が２
つ以上の冷気循環溝にわたる結果となり、効率がより向
上する。６０度より大きく傾斜させるとプラテンの先端
部や木製パレット等が当接し易くなり、３０度未満であ
るとカートンボックスの通気孔や前記コンテナーの冷気
循環溝に対する適用範囲が狭くなる。

【００１５】また、上記形状の場合においては、開孔を
設けることにより強度の低下が懸念されるが、強度を確
保するためには、荷物積載面において、開孔を有する開
孔域の間に開孔を含まない境界部を適宜設けることが適
当である。開孔を含まない部分を設けることにより、荷
物積載面の全面にわたる傾斜した長孔状の開孔を設けた
り、不規則に多数の開孔を設ける場合に比べ強度が向上
する。例えば、シートパレットの幅を２〜６等分し、開
孔域を境界部により縦方向に分割する。この場合には、
強度および作業性の点から４等分することが好ましい。
また、開孔の傾斜方向は全て同一とせず、隣接する開孔
域においては相互に逆向きとすることが望ましい。

【００１６】

【発明の実施の形態】以下、本発明を図面によりさらに
詳細に説明する。図１は、本発明の通気式シートパレッ
トの例を示す平面図である。図１に示す通気式シートパ
レットの開孔の形状は、プッシュプルフォークリフトの
プラテンを挿入する際にプラテンの先端が開孔に当接し
たり、シートパレットを木製パレットの上に引き込む際
に木製パレットに開孔が引掛かったりすることがないよ
うに、タブ対向辺の両隅を縦方向に対し４５度の角度で
切り落とした形状とした。またシートパレット１は、荷
物積載面２（１１００×１１００ｍｍ）に、現在広く用
いられているカートンボックスに適応する開孔３を有し
ている。上下両面の４隅に通気孔を有するカートンボッ
クスをシートパレット上に一段当たり６個積載した場合
において（図２参照）、前後に隣接する２個のカートン
ボックスの接触面の両側の最も近い位置にある２個の通
気孔が、シートパレット上の１個の開孔に重なるよう
に、シートパレットには長孔状の開孔３（１００×２３
０ｍｍ）が設けられている。タブに最も近い開孔３ａ
は、位置および寸法がカートンボックスの１個の通気孔
に対応するものである。しかし、シートパレットの先端
においては、通気孔がカートンボックスの端にあるの
で、カートンボックスの通気孔の位置に合わせて開孔を
設けようとすると、開孔の位置はシートパレットの先端
に接近して先端部の強度が低下する。このため開孔とせ
ず、切欠き４とした。

【００１７】図２は、図１に示した通気式シートパレッ
ト上に通気孔を有するカートンボックスを積載した状態
を示す斜視図である。シートパレット１の開孔３、３ａ
および切欠き４は積載されたカートンボックス６の通気
孔７のすべてに重なるように形成されているので、床か
ら吹き出された冷風はカートンボックス内に効率よく流
入し、循環される。

【００１８】図３は、本発明の通気式シートパレットの
他の例を示す平面図である。シートパレット１ａは、荷
物積載面２（１１００×１１００ｍｍ）に、多種類のカ
ートンボックスに適応するように、また冷凍および冷風
装置付きコンテナーによりシートパレットを輸送する場
合に、コンテナーの冷気循環溝をなるべく遮らないよう
に考慮して、開孔３ｂ、３ｃおよび３ｄを設けたもので
ある。例えば、図３においては、シートパレットの荷物
積載面２を縦に４等分して、各領域の間に開孔のない境
界部８（幅５０ｍｍ）を設け、境界部を挟む両側の開孔
域９に、互いに反対方向の４５度の傾斜を有する開孔３
ｂ〜３ｄ（幅５０ｍｍ）を多数設けた。ここで開孔３ｂ
は、シートパレットの縦方向に平行な二辺および縦方向
に対し４５度の傾斜を有する二辺からなる平行四辺形で
ある。各開孔域９の縦方向の両末端部の開孔は平行四辺
形ではなく、開孔３ｃは台形であり、開孔３ｄは三角形
である。開孔３ｃおよび３ｄにおいては、開孔のタブ対
向辺がタブに対し平行となるが、開孔の幅は５０ｍｍと
狭いので荷役作業においてあまり影響はない。シートパ
レットの寸法およびシートパレットに設ける開孔の形
状、寸法、個数および配置は、カートンボックスの通気
孔ならびに冷凍および冷風装置付きコンテナーの冷風循
環溝のピッチ等に応じてそれぞれ最適に選定することが
できる。

【００１９】

【発明の効果】本発明の通気式シートパレットを用いる
ことにより、青果物、水産物およびそれらの加工品のコ
ンテナー輸送にシートパレットを利用することが可能と
なり、従来の木製パレットの場合に占められていた空間
が不要となるため、商品の積載量が増大し、コンテナー
への積載効率が向上すると共に、コスト面においても木
製パレットに比較し低価格なシートパレットの利用によ
って輸送コストを低減することができる。このようなシ
ートパレット輸送に用いられる通気式シートパレットに
おいて、本発明の特定形状の開孔を形成することによ
り、通気性を十分に確保しながら荷役作業における作業
効率が向上し、実用上優れた効果を奏するものである。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の通気式シートパレットの例の平面図で
ある。

【図２】図１に示す通気性シートパレットにカートンボ
ックスを積載した状態を示す斜視図である。

【図３】本発明の通気式シートパレットの他の例の平面
図である。

【符号の説明】

１、１ａ 通気式シートパレット ２ 荷物積載面 ３、３ａ、３ｂ、３ｃ、３ｄ 開孔 ４ 切欠き ５ タブ ６ カートンボックス ７ 通気孔 ８ 境界部 ９ 開孔域

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 荷物積載面に複数個の開孔を有し、かつ
   大部分の開孔において各開孔のタブ対向辺と、シートパ
   レットの縦方向とのなす角が鋭角であることを特徴とす
   る通気式シートパレット。
2. 【請求項２】 前記シートパレットの開孔が、シートパ
   レットの縦方向に平行な長辺を有する長孔からなり、か
   つ該長孔はタブ対向辺の少なくとも一方の隅を、縦方向
   に対して斜めに切り落とした形状であることを特徴とす
   る請求項１記載の通気式シートパレット。
3. 【請求項３】 前記シートパレットの荷物積載面の幅を
   ２〜６等分して、縦方向に長い複数の開孔域を形成し、
   かつ該開孔域内にシートパレットの縦方向に対し傾斜し
   た複数個の長孔状の開孔を形成したことを特徴とする請
   求項１記載の通気式シートパレット。