JPH1033165A - 造血未分化細胞の選択的分離方法及び分離装置 - Google Patents

造血未分化細胞の選択的分離方法及び分離装置

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JPH1033165A
JPH1033165A JP8213262A JP21326296A JPH1033165A JP H1033165 A JPH1033165 A JP H1033165A JP 8213262 A JP8213262 A JP 8213262A JP 21326296 A JP21326296 A JP 21326296A JP H1033165 A JPH1033165 A JP H1033165A
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JP
Japan
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cells
antibody
hematopoietic
cell
hematopoietic undifferentiated
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JP8213262A
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English (en)
Inventor
Mitsuharu Ono
満春 大野
Reina Takano
令名 高野
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Asahi Chemical Industry Co Ltd
Asahi Kasei Medical Co Ltd
Original Assignee
Asahi Medical Co Ltd
Asahi Chemical Industry Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 体外において血液細胞懸濁液から、もしく
は、体外循環により血液から効率よく造血未分化細胞を
分離できる、抗体を利用した造血未分化細胞の選択的分
離方法及び分離装置を提供する。 【解決手段】 造血未分化細胞を含む溶液から造血未分
化細胞を分離する方法において、造血未分化細胞上の同
一の抗原分子種中のそれぞれ異なるエピトープを認識す
る2種類あるいはそれ以上のモノクローナル抗体、また
は該エピトープへの結合性を保持している限りにおいて
該抗体の断片を含む蛋白質又はペプチドと、造血未分化
細胞を結合させ、該結合物を回収することを特徴とす
る、造血未分化細胞の分離方法及び分離装置。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、抗体を利用した造血未
分化細胞の分離方法及び装置に関する。本発明の造血未
分化細胞の分離方法によれば、体外において血液細胞懸
濁液から、もしくは、体外循環により血液から効率よく
造血未分化細胞を分離でき、分離した細胞は種々の疾患
の治療に用いることが可能となる。
【0002】
【従来の技術】血液の様にさまざまな細胞種を含む溶液
から、必要とする造血未分化細胞を単離又は濃縮し、も
しくは必要としない細胞を除去することは、医療効果を
高める上で有効な手段である。骨髄移植とは、骨髄破壊
した白血病患者などの癌患者、再生不良性貧血など先天
性免疫疾患の患者に対し、正常な造血未分化細胞を移植
する方法であり、これらの患者に対する有効な治療法の
1つとして定着しつつある。最近では、造血未分化細胞
は骨髄からだけでなく、末梢血や臍帯血から得る方法が
用いられる。同種骨髄移植は、白血球型であるHLA型
がほぼ一致した健常人から回収した骨髄液を、抗癌剤又
は、放射線で骨髄破壊した患者へ輸注する方法である
が、その問題点として、拒絶反応であるGVHD(移植
片対宿主病)を引き起こすことである。そのため、近年
造血系の悪性腫瘍、癌の治療において行われる自家骨髄
移植療法、又は、同種骨髄移植法の結果引き起こされる
移植片対宿主病(GVHD)予防のために、造血未分化
細胞の分離の需要が高まってきている。現在、細胞の分
離方法として、抗体を利用して特異的に目的の細胞だけ
を分離する方法が開発されつつある。例えば、蛍光抗体
標識細胞分離法、水不溶性担体に目的細胞と親和性を有
するリガンドを固定化しこれに目的細胞を直接的又は間
接的に結合させる方法、免疫吸着カラムによる分離及び
免疫磁気ビーズによる分離法などがある。蛍光抗体標識
細胞分離法は、最初に細胞混合液を目的とする細胞に発
現されている膜抗原を認識する蛍光標識したモノクロナ
ール抗体とインキュベートした後、処理した細胞にセル
ソーターなどでレーザー光を照射することにより抗体が
結合した細胞のみが蛍光を発することを応用して、蛍光
抗体が結合した細胞を分離する方法である。
【0003】目的細胞の膜表面に存在する抗原に対する
モノクロナール抗体を直接分離装置表面に固定化して用
いる方法、及び最初に細胞混合液を目的細胞上の膜抗原
に結合するモノクロナール抗体とインキュベートして、
それから細胞表面上の抗体に結合する抗イムノグロブリ
ン抗体のようなリガンドを固定化した細胞分離装置で処
理される方法がWO87−04628に記載されてい
る。細胞分離は担体又は装置に固定化されたモノクロナ
ール抗体に対して、該抗原陽性細胞が直接もしくは、間
接的に結合することで行われる細胞分離方法である。こ
れらの方法は、抗体を固定化したプラスチックシャーレ
上で分離されるもので、細胞混合液は最初抗体を固定化
したプラスチックシャーレ上に注がれ、抗体と目的細胞
上の膜抗原とを結合させるためにインキュベートされ
る。インキュベート後プラスチックシャーレを洗浄して
結合していない細胞を除去して分離する。免疫吸着カラ
ム法は目的細胞上の膜抗原に対する抗体などのリガンド
をビーズ表面に固定化しこれをカラムに充填して細胞分
離を行うものである。目的細胞上の膜抗原に対する抗体
をビオチン標識したものを細胞混合液中に加えて、イン
キュベートすることにより細胞−抗体−ビオチン結合を
形成させた後、多孔質アクリルアミドゲルにアビジンを
固定化したビーズを充填したカラムを通過させビオチン
−アビジンの強力な結合を利用して目的細胞をカラム内
に結合させて分離する方法がWO91−16116に記
載されている。免疫磁気ビーズ法は最初に細胞混合液を
抗体の結合した磁気ビーズとインキュベートすることに
より目的細胞を磁気ビーズで標識する。標識後磁気装置
を用いて標識されていない細胞から標識細胞を分離す
る。
【0004】これらの方法は、造血未分化細胞の分離に
利用する検討がなされているが、まだ十分な成績が得ら
れていないのが現状である。即ち、目的の細胞膜上の抗
原の存在頻度の低い細胞である造血未分化細胞は、効率
よく分離することが困難であり、その理由として以下の
ことが考えられる。造血未分化細胞は通常その存在頻度
(純度)が低いため、細胞分離操作によって、造血未分
化細胞の純度及び、回収率を上げることが、必要とされ
る。造血未分化細胞の純度を上げるためには、細胞が結
合した担体を十分に洗浄し、非特異的に吸着している細
胞をできる限り除去することが必要である。その反面、
洗浄を行うことは、弱く結合していた造血未分化細胞を
少しずつはずしてしまい、造血未分化細胞の回収率を低
減させてしまう。特に、使用した抗体に対する表面抗原
の細胞膜上での頻度が低い程、その回収率の低減は顕著
である。この純度、及び回収率を共に上げることが望ま
れる。造血未分化細胞の中でも、特にCD34分子を利
用した分離方法は、Egeland(The Immu
nologist誌、2巻、65頁、1994年)に示
されている。CD34分子は、Civinらにより報告
(USP−4965204、及びJ.Immunolo
gy誌、133巻、157頁、1984年)され、血液
の未分化細胞上に特異的に発現する未分化細胞の抗原マ
ーカーとして知られている。この抗原マーカーを利用
し、未分化細胞を分離する試みが報告されてきている
(S.Saelandら、Blood誌、72巻、15
80頁、1988年など)。更に、抗CD34抗体と、
ビオチンやアビジン、又は磁気ビーズとの組み合わせな
どを利用し、未分化細胞を分化した細胞群及び癌細胞か
ら分離する医療機器の開発が行われつつある(Dreg
erら、Exphematol誌、23巻、147頁、
1995年)。ところで、Sutherlandらによ
りCD34分子中のエピトープが3種類に分離されてい
る(J.Hematotherapy誌、1巻、155
頁、1992年、The Immunologist、
2巻、65頁、1994年)。クラス1は、CD34分
子のシアル酸に関わるエピトープを認識する。クラス2
は、更にPasteurella由来glycopro
tease感受性である。クラス3は、これらの酵素に
よりエピトープの失活を起こさない(Egeland,
The Immunologist誌、2巻、65頁、
1994年)。例えば、クラス1に属するMY10抗体
は、クラス2に属するICH3、及び9C5抗体と結合
を阻害し合うことが報告されており2種類以上の抗体が
効率的に結合しないと考えられてきた(Uchansk
a−Zieglerら、In Leucocyte T
yping IV,Oxford Universit
yPress、818頁、1989年、及びLansd
orpら、In Leucocyte Typing
IV,Oxford University Pres
s、826頁、1989年)。更にCD34抗原は、特
に細胞表面上への発現量が少なく、抗体と細胞が強固に
結合することが難しく、分離の際の洗浄操作による回収
率の低下、又は、洗浄不十分による純度の低下が臨床上
大きな問題となっている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、これらの抗
体を利用した造血未分化細胞の分離方法に改良を加え
て、造血未分化細胞の分離をより効率化することを課題
とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は単離する細胞表
面に発現されている抗原分子種との結合性を有する2種
類以上のモノクローナル抗体又は結合性を保持している
それらの断片を含む蛋白質又はペプチドと、目的の細胞
を含んだ血液、血漿、血清、体液あるいは細胞懸濁液の
いずれかを反応させることにより造血未分化細胞を結合
させ、その抗体結合物を特異的に回収することにより、
目的の造血未分化細胞を回収することを特徴とする、細
胞の選択的分離方法を提供するものである。更に本発明
は、造血未分化細胞上の同一の抗原分子種中のそれぞれ
異なるエピトープを認識する2種類あるいはそれ以上の
モノクローナル抗体、または該エピトープへの結合性を
保持している限りにおいて該抗体の断片を含む蛋白質又
はペプチドと、それらが結合する担体からなる、造血未
分化細胞の分離装置を提供するものである。 本発明に
おける2種類以上のモノクローナル抗体とは、同一の抗
原分子種の細胞表面上に発現している異なるエピトープ
を認識する複数のモノクローナル抗体を示す。特にCD
34抗原を認識する2種類以上の抗体が異なるエピトー
プを認識しうるもので、同時に同一のCD34分子に結
合する可能性を有する。本発明で分離される造血未分化
細胞とは、特定の刺激により増殖可能な細胞であり、赤
血球、単球、顆粒球、リンパ球、マクロファージなどの
成熟した細胞群を1種類以上分化しうる細胞を示してい
る。特に、半固形培地にて適当な増殖因子存在下で培養
した場合、コロニーを形成する未分化な血液細胞及び、
全ての系列への分化能と自己増殖能を有する造血幹細胞
を含む。その細胞は、骨髄や臍帯血に豊富に含まれてい
る。又、その細胞は、末梢血中にも含まれるが、顆粒球
コロニー形成因子(G−CSF)などのサイトカインを
投与することで、末梢血中に誘導することもできる。
又、これらの細胞を培養することにより、造血未分化細
胞を体外で増殖させる技術も報告されつつある。これら
の造血未分化細胞を含む、細胞懸濁液は、本発明により
造血未分化細胞を分離する材料となりうる。エピトープ
とは、抗原分子上の構造で、抗原抗体反応の特異性を決
定している構造であり、抗体の抗原結合部位と反応する
抗原分子上の構造単位である。2種類以上の抗体による
同一抗原分子種に対する認識は、必ずしも同一分子種の
異なるエピトープを同時に認識するものでなく、同一分
子種の同一のエピトープを認識していてもかまわない。
【0007】本発明においては、造血未分化細胞の表面
上に発現するCD34分子を特異的に認識する抗体を利
用することが有効である。更に本発明に関する抗原分子
種としては、SCFのリセプターであるc−kit(Y
ardenら、EMBO J.、6巻、3341頁、1
987年)、リセプターFLK−2(Mathews
ら、Cell誌、65巻、1143頁、1991年)、
インターロイキン−3リセプターα鎖(Kitamur
aら、Cell誌、66巻、1165頁、1991年)
等が挙げられる。これらも非常に発現頻度が少なく細胞
分離に不向きであるが、これらの分子に対する2種以上
のモノクローナル抗体を組み合わせることにより、これ
らの発現細胞を単離しうる。本発明に用いられる抗体の
1つである抗CD34抗体としては、1984年Civ
in(USP−4965204、及びJ.Immuno
logy誌、133巻、157頁、1984年)により
取得されて以来いくつか報告されている。例えば抗HP
CA−2抗体(ベクトンデッキンソン社)、抗HPCA
−1抗体(ベクトンデッキンソン社)、4A1(ニチレ
イ社)、B1.3C5(Katzら、Leuk.Re
s.誌、9巻、191頁、1985年)、12.8、1
15.2(Andrewsら、Blood誌、67巻、
842頁、1986年)、ICH3(Wattら、Le
ukaemia誌、1巻、417頁、1987年)、T
uk3(Unchanska−Zieglerら、Ti
ssue Antigens、33巻、230頁、19
89年)、QBEND10(Finaら、Blood、
75巻、2417頁、1990年)、CD34(Ab−
1)(Oncogene Sciences社)、Im
mu−133(Barrandeら、Hybridom
a誌、12巻、203頁、1993年)などを用いるこ
とが出来る。
【0008】又本発明に用いられる抗体としては、抗体
分子をそのまま利用することも可能であるが、各種プロ
テアーゼ処理により得られる抗原結合部位を含む断片で
あるFab,F(ab’)2あるいはFdなども適用す
ることが出来る。更には可変領域を構成するペプチド又
はそのうちでも相補性決定領域を構成するアミノ酸配列
から成るペプチド及びその修飾ペプチドを用いることが
できる。その他にも本発明をヒト体内の血液を体外循環
に応用する場合には抗体が血液中に遊離した際の副作
用、抗原性などを考慮して可変領域以外の部分をヒト型
抗体にするようなキメラ抗体を用いることも有用であ
る。これらの中で細胞(マーカー抗原)との結合強度や
遊離した場合の副作用などを考慮するとFab,F(a
b’)2あるいは可変領域を構成するペプチドを用いる
ことが好ましい。これら抗体の作製方法は特に限定され
るものではないが、高純度に精製されたものを用いなけ
ればならない。モノクローナル抗体の生産方法は、通常
行われているハイブリドーマをマウスの腹くうで増殖さ
せ腹水を回収する方法、もしくは、無血清培地による培
養上清から得る方法でよい。断片ペプチドの場合には抗
体分子の酵素処理により得ることができるが、遺伝子工
学的な手法により細菌、酵母などに産生させることも可
能である。これらの方法により得たモノクローナル抗
体、モノクローナル抗体由来抗体断片、ペプチド等を組
み合わせることにより、より強固な結合性を生じ効率的
な分離を可能としうる。
【0009】これらの同じ抗原分子を認識する2種類又
は、2種類以上の抗体を直接固定化する抗体の1つとし
て、水不溶性の担体を利用できる。又、目的の造血未分
化細胞にCD34抗体を反応させておき、結合した抗C
D34抗体に対する抗体を利用して、水不溶性担体に間
接的に反応させることもできる。例えば、あらかじめ細
胞に固定化させる抗体にビオチンや、磁気ビーズを結合
させておき、次にそのビオチンや磁気ビーズと結合しや
すい物質、例えばアビジンや磁気物質を結合又は含む水
不溶性担体と反応させることにより、容易に細胞が結合
した水不溶性担体を回収することが出来る。又抗体の結
合した細胞と、抗イムノグロブリン抗体を結合した水不
溶性担体と反応させ、水不溶性担体を洗浄又は回収する
ことで選択的に目的の細胞だけを分離することが出来
る。水不溶性担体である磁気ビーズに固定化した抗体を
利用すれば、磁石等により分離を効率化することもでき
る。本発明に用いられる容器形状として、水不溶性担体
を充填したカラム、フラスコあるいは、フラスコ状ケー
スに水不溶性担体を充填したものが例示される。これら
の容器形状とこれらの抗体を直接又は、間接的に固定化
した水不溶性担体との組み合わせにより造血未分化細胞
の分離器を作製し得る。又、これらの分離器は、細胞懸
濁液や、生理食塩水などを流すポンプと組み合わせるこ
とにより、細胞分離システムとして利用性の高いものに
することが出来る。
【0010】本発明でいう水不溶性担体とは、常温の水
溶液中で固形状体にあるものをいい、いずれの形状であ
ってもよい。形状を例示すると球状、立方状、平面状、
チップ状、繊維状、平膜状、スポンジ状、中空糸状のも
のなどが挙げられる。これらの内、細密充填のしやす
さ、抗体を比較的均質に表面に保持しやすい点、実有効
面積を比較的多く確保できる点、及び細胞懸濁液の流通
面から、球状及び粒状のものが望ましい。水不溶性担体
の材質は、表面に抗体を保持できるものであれば、無機
化合物、有機化合物を問わないが、細胞懸濁液との接触
時に溶出物が少ないこと、形状の制御がより容易なこと
から有機高分子化合物が望ましい。このような例とし
て、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリメタクリレー
トエステル、ポリアクリレートエステル、ポリアクリル
酸、ポリビニルアルコール等のビニル系化合物の重合体
及び共重合体、ナイロン6あるいは66等のポリアミド
系化合物、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステ
ル系化合物、セルロース等の植物由来の多糖類系化合物
等が挙げられる。又、これらと磁石を組み合わせて、こ
れらの水不溶性担体の回収を容易にすることもできる。
水不溶性担体表面には、化学的あるいは放射線や電子線
を用いてのグラフト法によって水不溶性担体表面に抗体
を共有結合する方法、あるいは、化学的方法により水不
溶性担体表面の官能基を介して共有結合する方法などが
ある。この中で官能基を介しての共重合結合方法が使用
時の抗体の溶出の危険性が無く好ましい。水不溶性担体
が被覆層を有する場合は、その被覆層表面に不溶化する
こともできる。水不溶性担体、あるいはその被覆層表面
に官能基を得る方法の1例としてハロゲン化シアン法、
エピクロヒドリン法、ビスエポキシド法、ブロモアセチ
ルブロミド法、ハロゲン化アセトアミド法等がある。具
体的には、アミノ基、カルボキシル基、ヒドロキシル
基、チオール基、酸無水化物、サクシニルイミド基、置
換性ハロゲン基、アルデヒド基、エポキシ基、トレシル
基などが挙げられる。抗体固定化のしやすさとして、ブ
ロムシアン法、N−ヒドロサクシンイミド基法が特に望
ましい。本発明に用いられる容器形状として、水不溶性
担体を充填したカラム、フラスコ或いは、フラスコ状ケ
ースに水不溶性担体を充填したものが例示される。
【0011】
【発明の実施態様】以下に実施例を示すが、これらに限
定されるものではない。
【実施例1】臍帯血27mlをハンクスバランスド生理
食塩水(ギブコ社)で48mlとし、フィコールパック
(ファルマシア社)を3mlずつ分注した円心管4本に
12mlずつ分注し、800回転/分、20分の条件に
て分離し、単核細胞層の細胞を回収した。回収した細胞
をハンクス液で洗浄した。その細胞7.0x106 個ず
つに対し、4A1抗体(ニチレイ)5マイクログラム又
は、ICH3抗体(AIS社より分与)5マイクログラ
ム又は、その両者の組み合わせ(2.5マイクログラム
ずつ)で入れ、それぞれ1μl/mlで、氷上で30分
反応させた。それらをハンクス液で洗浄後、ダイナビー
ズ(ダイナル社)抗マウスIg羊ビーズ3x106 個を
加え、氷上で1時間反応させた。更にビーズを入れた。
このダイナビーズの分離操作は、付属のマニュアルに従
った。得られたビーズに結合した細胞を、14時間ダル
ベッコMEM培地に10%牛胎児血清で37度5%炭酸
ガス雰囲気下で培養した。培養後、ピペッティングする
ことで細胞とビーズを完全に分離させ、ビーズは、ダイ
ナビーズ付属のマニュアルに従い磁石により除去した。
回収した細胞は、一部を使い細胞数を測定して回収細胞
数とした。残りの細胞は、抗HPCA−2抗体(ベクト
ン)で30分氷上で反応させ、冷えた2%牛胎児血清を
含む生理食塩水で洗浄し、遠心機で回収した。その細胞
を、コールター社のフローサイトメーターでCD34陽
性率を測定した。CD34陽性率をCD34細胞の純度
とし、CD34陽性率と、回収細胞数をかけた細胞数を
回収CD34陽性細胞数とした。その結果、4A1抗体
では純度29.9%、回収率66.4%、ICH3抗体
では、純度20.9%、回収率41.2%、両抗体の組
み合わせでは、純度40.9%、回収率90.8%であ
った。2種類の抗体ICH3抗体と4A1抗体との組み
合わせにより純度、回収率を向上させることができた。
【0012】
【実施例2】実施例1と同様に臍帯血をハンクスバラン
スド生理食塩水(ギブコ社)で希釈し、フィコールパッ
ク(ファルマシア社)を3mlずつ分注した円心管に1
2mlずつ分注し、800回転/分、20分の条件にて
分離し、単核細胞層の細胞を回収した。回収した細胞を
ハンクス液で洗浄した。その2.9x107 個ずつに4
A1抗体(ニチレイ)5マイクログラム又は、MY10
抗体(ベクトンディッキンソン社)5マイクログラム又
は、その両者の組み合わせ(2.5マイクログラムず
つ)で入れ、それぞれ1μl/mlで、氷上で30分反
応させた。それらをハンクス液で洗浄後、ダイナビーズ
(ダイナル社)抗マウスIg羊ビーズ5x106 個を加
え、氷上で1時間反応させた。このダイナビーズの分離
操作は、付属のマニュアルに従った。得られたビーズに
結合した細胞を、14時間ダルベッコMEM培地に10
%牛胎児血清で37度5%炭酸ガス雰囲気下で培養し
た。培養後、ピペッティングすることで細胞とビーズを
完全に分離させ、ビーズは、ダイナビーズ付属のマニュ
アルに従い磁石により除去した。回収した細胞は、一部
を使い細胞数を測定して回収細胞数とした。残りの細胞
は、抗HPCA−2抗体(ベクトンディッキンソン社)
で30分氷上で反応させ、冷えた2%牛胎児血清を含む
生理食塩水で洗浄し、遠心機で回収した。その細胞を、
コールター社のフローサイトメーターでCD34陽性率
を測定した。CD34陽性率をCD34細胞の純度と
し、CD34陽性率と、回収細胞数をかけた細胞数を回
収CD34陽性細胞数とした。その結果、4A1抗体で
は純度64.8%、回収率54.1%、MY10抗体で
は、純度63.7%、回収率52.0%、その組み合わ
せでは、純度91.7%、回収率74.9%であった。
2種類の抗体MY10抗体と4A1抗体との組み合わせ
により純度、回収率を向上させることができた。
【0013】
【実施例3】ヘパリンを加えた骨髄液を100×gで5
分間遠心分離を行ない、沈澱層を上部にあるバフィ−コ
ート細胞層(有核細胞層)を採取する。更にPSB溶液
で同条件での遠心分離による洗浄を2回行った。洗浄し
たバフィーコート細胞を1%BSA含有PBS溶液に懸
濁して細胞数が5×107 個/ml程度になるように分
散させた。この細胞懸濁液をSBAレクチン固定化フラ
スコ(マイクロセレクターSBA:AIS社)に入れ、
1時間静置し、その後細胞懸濁液を回収した。この細胞
懸濁液に1mmu−133抗体及びICH3抗体を反応
させた。抗マウスIg抗体を固定化した培養用フラスコ
(マイクロセレタター:AIS社)に入れ、室温で1時
間静置した。マイクロセレタターの使用方法は、付属の
マニュアルに従った。マイクロセレクターの中を洗浄
後、フラスコに手で衝撃を与えることにより、抗体によ
り固定化された細胞を剥離させ、その細胞液を回収し
た。CD34陽性細胞の回収率は蛍光標識フローサイト
メトリーによる定量結果から算出した。その結果、回収
率52%のCD34陽性細胞を得た。これにより、2種
類の抗体Immu−133抗体及びICH3抗体とを反
応させることにより、固定化担体を利用した分離も可能
であることを認識した。
【0014】
【実施例4】4Al抗体及びMY10抗体を結合させた
抗体カラムをCNBr活性化Sepharose4B
(ファルマシア社)を利用して作製した。抗体のSep
harose4Bビーズへの結合方法は、添付の取り扱
い説明書に従った。4.1mlのゲルに4Al抗体及び
MY10抗体を等量混ぜた抗体液を反応させ、カップリ
ング効率99.5%の効率でアフィニティーゲルを作製
した。少量のガラスウールをカラム内下部に固定したガ
ラスカラム(2cm2 x3cm)をシリコナイズし、こ
のカラムに先に調製した1mlのゲルを詰めた細胞分離
用ゲルカラムを作製した。臍帯血30mlにシリカ液
(株式会社免疫生物研究所)を3ml加え、1時間37
度でインキュベートした。この細胞懸濁液をハンクスバ
ランスド整理食塩水(ギブコ社)で48mlとし、フィ
コールパック(ファルマシア社)を3mlずつ分注した
円心管4本にこの懸濁液を12mlずつ分注し、800
回転/分、20分の条件にて分離し、単核細胞層の細胞
を回収した。回収した細胞をハンクス液で洗浄した。そ
の細胞2.2x107 個を含む1ml細胞懸濁液を上記
抗体カラムに入れ、1時間4度で弱い攪拌をしつつ反応
させた。カラムに、10%牛胎児血清、100ユニット
/mlのペニシリン、100マイクログラム/mlのス
トレプトマイシンを含むハンクスバランスド生理食塩水
を流し洗浄した。このカラムに、10%牛胎児血清、1
00ユニット/mlのペニシリン、100マイクログラ
ム/mlのストレプトマイシンを含むMEM培地(ギブ
コ社)を2ml加え37度炭酸ガス培養器内で13時間
培養した。このカラムを上下させることにより、ゲルを
多少強めに攪拌し、カラムから培地を回収した。更に、
カラムに5mlの10%牛胎児血清、100ユニット/
mlのペニシリン、100マイクログラム/mlのスト
レプトマイシンを含むハンクスバランスド生理食塩水を
流し、その液も回収した。これらの回収した液中の細胞
を遠心により回収した。これらの細胞数をカウントし
た。残りの細胞は、抗HPCA−2抗体(ベクトン)で
30分氷上で反応させ、冷えた2%牛胎児血清を含む生
理食塩水で洗浄し、遠心機で回収した。その細胞を、コ
ールター社のフローサイトメーターでCD34陽性率を
測定した。CD34陽性率をCD34細胞の純度とし、
CD34陽性率と、回収細胞数をかけた細胞数を回収C
D34陽性細胞数とした。その結果、純度32.4%、
回収率66.4%の結果を得た。このことから、ゲルを
詰めたカラム装置を利用して造血未分化細胞を分離する
ことができた。
【0015】
【発明の効果】本発明により、造血未分化細胞の分離を
特異的かつ効率よく行うことが可能となった。本発明
は、白血病などの医療を目的とした造血未分化細胞の補
集、骨髄移植用細胞からのリンパ球除去などの分野にお
いて有効である。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 造血未分化細胞を含む溶液から造血未分
    化細胞を分離する方法において、造血未分化細胞上の同
    一の抗原分子種中のそれぞれ異なるエピトープを認識す
    る2種類あるいはそれ以上のモノクローナル抗体、また
    は該エピトープへの結合性を保持している限りにおいて
    該抗体の断片を含む蛋白質又はペプチドと、造血未分化
    細胞を結合させ、該結合物を回収することを特徴とす
    る、造血未分化細胞の分離方法。
  2. 【請求項2】 造血未分化細胞上の抗原分子種がCD3
    4分子、抗体が抗CD34抗体である、請求項1記載の
    造血未分化細胞の分離方法。
  3. 【請求項3】 造血未分化細胞上の同一の抗原分子種中
    のそれぞれ異なるエピトープを認識する2種類あるいは
    それ以上のモノクローナル抗体、又は該エピトープへの
    結合性を保持している限りにおいて該抗体の断片を含む
    蛋白質又はペプチドと、それらが結合する担体からなる
    ことを特徴とする、造血未分化細胞の分離装置。
  4. 【請求項4】 造血未分化細胞上の抗原分子種がCD3
    4分子、抗体が抗CD34抗体である請求項3記載の造
    血未分化細胞の分離装置。
JP8213262A 1996-07-25 1996-07-25 造血未分化細胞の選択的分離方法及び分離装置 Withdrawn JPH1033165A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2001077182A1 (fr) * 2000-04-07 2001-10-18 Matsushita Electric Industrial Co., Ltd. Complexe anticorps-porteur, procede de production, methode de controle de la reaction antigene-anticorps par ledit complexe et procede de dosage immunologique

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2001077182A1 (fr) * 2000-04-07 2001-10-18 Matsushita Electric Industrial Co., Ltd. Complexe anticorps-porteur, procede de production, methode de controle de la reaction antigene-anticorps par ledit complexe et procede de dosage immunologique

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