JPH10324627A - ガン治療用薬剤 - Google Patents

ガン治療用薬剤

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JPH10324627A
JPH10324627A JP9133463A JP13346397A JPH10324627A JP H10324627 A JPH10324627 A JP H10324627A JP 9133463 A JP9133463 A JP 9133463A JP 13346397 A JP13346397 A JP 13346397A JP H10324627 A JPH10324627 A JP H10324627A
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ascorbic acid
cancer
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phosphate
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JP9133463A
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Masahiro Suzuki
雅博 鈴木
Satoshi Tsuzuki
敏 続木
Toshiyuki Tsuchiya
敏行 土屋
Shinobu Ito
忍 伊東
Eiji Ogata
英二 小方
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Resonac Holdings Corp
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Showa Denko KK
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 酸化に対して安定であり、動物細胞に対して
吸収性に優れ、細胞内蓄積量を効率よく高くすることの
できるL−アスコルビン酸誘導体からなるガン治療用薬
剤の開発並びにそれを用いたガン治療方法の提供。 【解決手段】 動物細胞をアスコルビン酸誘導体を含む
培地で20時間培養したとき、培地中50μmのL−ア
スコルビン酸−2−リン酸マグネシウム塩を用いた場合
に比べ、5μm以下の培地中濃度で同等のアスコルビン
酸細胞内蓄積量の得られる、2位にエステル結合または
エーテル結合を有し、少なくとも5位または6位のいず
れかに疎水基を有するL−アスコルビン酸誘導体を有効
成分とするガン治療用薬剤、並びに該L−アスコルビン
酸誘導体と少なくとも一種の抗悪性腫瘍剤とからなるガ
ン治療用薬剤。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、L−アスコルビン
酸の活性安定型で細胞取り込み性能を向上させたL−ア
スコルビン酸誘導体または該誘導体を有効成分とする抗
ガン剤と、これらとこれまで用いられていた抗悪性腫瘍
剤との両者を有効成分とする抗ガン剤、抗ガン剤の副作
用軽減剤、ガンあるいはその治療による疼痛の緩和剤な
どのガン治療用薬剤(本発明においてはこれらの薬剤を
一括して「ガン治療用薬剤」という。)の作用を有する
ガン治療用薬剤および該ガン治療用薬剤を用いたガン治
療方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来数多くのガン治療用薬剤(特開昭5
4−44011号公報、特開平03−56417号公
報、特開平04−77435号公報、特開平04−31
2531号公報、特開平06−72871号公報、特開
平06−107693号公報、特開平06−11618
4号公報、特開平06−107548号公報、特開平0
6−87847号公報など)が提案されてきたが、その
効果が不十分であり、その副作用が強いという問題と、
患者に強い苦痛を与えるという問題があった。
【0003】この中にはL−アスコルビン酸誘導体は従
来より抗ガン作用があるとの報告があり、特開昭60
−139619号公報(O−ベンジリデン−アスコルビ
ン酸またはその塩よりなる抗腫瘍剤)、特開平2−0
96524号公報(抗ガン白金錯体と、L−アスコルビ
ン酸、5,6−O−ベンジリデン−アスコルビン酸、ベ
ンジリデン部のアルデヒド基の少なくとも1位を重水素
置換した5,6−(3―ニトロ)−ベンジリデン−アス
コルビン酸とからなる抗ガン活性を有する治療薬組成
物)または特開平5−004985号公報( 5,6−
O−ベンジリデン−L−アスコルビン酸またはその塩)
などが提案されている。
【0004】しかし、,およびのL−アスコルビ
ン酸誘導体は、酸化分解されやすく、安定性に欠けるた
め細胞内蓄積量が不十分になり問題がある。また、L−
アスコルビン酸−2−りん酸、L−アスコルビン酸−2
−グリコシド等の誘導体は、細胞に対する吸収速度が小
さく、必要濃度を得るためには大量投与が必要となり、
このため製剤化、あるいは投与方法に問題が残っている
(特願平8−143720号公報)。
【0005】一般に、L−アスコルビン酸は強い還元性
を有するため極めて酸化され易く不安定で、製剤中で酸
化分解されるため、医薬品製剤としての品質保持が困難
であり、また注射剤などにしてもオートクレーブ処理な
どの加熱滅菌処理ができないため生体内に静脈注射など
の方法で安定な状態で取り込ませることができないとい
う問題がある。また、L−アスコルビン酸を経口または
静注投与しても、生体内では活性が消失し易く、速やか
に体外に代謝され、L−アスコルビン酸の効果が十分に
発揮できないという問題がある。これらL−アスコルビ
ン酸のガン治療用薬剤としての問題点を解決するため、
本発明者らは特定のL−アスコルビン酸誘導体類をこれ
らの製剤の主成分とする製剤を提案した(特願平8−1
43720号公報)。
【0006】しかしこの発明の中、L−アスコルビン酸
−2−リン酸エステル類を主剤にしたものは、酸化分解
を阻害してL−アスコルビン酸の安定化することに成功
したが、このL−アスコルビン酸誘導体は親水性が大き
いため細胞吸収速度が低く細胞内L−アスコルビン酸濃
度を効率よく高めることが出来なかった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、酸化に対し
て安定であり、動物細胞に対して吸収性に優れ、L−ア
スコルビン酸の細胞内蓄積量を効率よく高めることが出
来るL−アスコルビン酸誘導体からなるガン治療用薬剤
の開発を目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、[1]動物細
胞をアスコルビン酸誘導体を含む培地で20時間培養し
たとき、培地中50μmのL−アスコルビン酸−2−リ
ン酸マグネシウム塩を用いた場合に比べ、5μm以下の
培地中濃度で同等のアスコルビン酸細胞内蓄積量の得ら
れるL−アスコルビン酸誘導体を有効成分とすることを
特徴とするガン治療用薬剤、[2]L−アスコルビン酸
誘導体が2位にエステル結合またはエーテル結合を有
し、少なくとも5位または6位に疎水基を有する一般式
(1)
【化2】 (ただし、R1 は、エステル結合またはエーテル結合に
よりL−アスコルビン酸の2位の炭素に結合し、生体内
で水酸基に変換可能な基、R2 は水酸基または生体内で
水酸基に変換可能な基、R3 およびR4 のうち少なくと
も一つは疎水基であり他は水酸基または疎水基である。
1 〜R4 は必ずしも別々の基でなくてもよく、アスコ
ルビン酸骨格に2カ所以上で結合する同一の基であって
もよい。)で示されるL−アスコルビン酸誘導体である
ガン治療用薬剤、
【0009】[3]一般式(1)において、R1 がリン
酸基、ピロリン酸基、トリリン酸基、ポリリン酸基、硫
酸基、グリコシル基の少なくとも一つであり、R2 が水
酸基、リン酸基、ポリリン酸基、硫酸基、グリコシル
基、アルコキシ基、アルケニルオキシ基、フェノキシ基
の少なくとも一つを含む基であり、少なくともR3 また
はR4 の一方がアシルオキシ基、アルコキシ基、アルケ
ニルオキシ基、フェノキシ基のいずれかである、前記
[2]記載のガン治療用薬剤、[4]一般式(1)にお
いてR4 が炭素数10〜22のアシルオキシ基のL−ア
スコルビン酸誘導体である、前記[2]または[3]記
載のガン治療用薬剤、[5]一般式(1)において、R
3 およびR4 が5,6−O−ベンジリデン基のL−アス
コルビン酸誘導体である、前記[2]または[3]記載
のガン治療用薬剤及び[6]動物細胞をアスコルビン酸
誘導体を含む培地で20時間培養したとき、培地中50
μmのL−アスコルビン酸−2−リン酸マグネシウム塩
を用いた場合に比べ、5μm以下の培地中濃度で同等の
アスコルビン酸細胞内蓄積量の得られるL−アスコルビ
ン酸誘導体を有効成分とする前記[1]〜[5]のいず
れかに記載の薬剤と少なくとも1種の抗悪性腫瘍剤とか
らなるガン治療用薬剤である。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明者らは上述の事情に鑑み鋭
意研究した結果、安定化され適度な脂溶性を持ち、生体
内でL−アスコルビン酸に変換されやすいL−アスコル
ビン酸誘導体が、低濃度でも良好な細胞吸収性を示し、
これらは極めて高い制ガン効果、抗ガン剤副作用軽減効
果、ガンあるいはその治療による疼痛の緩和効果のある
こと見いだした。
【0011】このようなアスコルビン酸誘導体として
は、例えば、牛大動脈内皮細胞BAE−2をアスコルビ
ン酸誘導体を含む培地で20時間培養したとき、培地中
50μmのL−アスコルビン酸−2−リン酸マグネシウ
ム塩を用いた場合に比べ、5μm以下の培地中濃度で同
等以上のL−アスコルビン酸細胞内蓄積量の得られるL
−アスコルビン酸誘導体である。該アスコルビン酸誘導
体の構造としては、例えば、安定化のため2位にエステ
ル結合またはエーテル結合を持ち、脂溶性を持たせ細胞
膜透過性を高めるため、少なくとも5位または6位に疎
水基を持つアスコルビン酸誘導体が挙げられる。
【0012】該アスコルビン酸誘導体の各置換基は、用
途や期待される効果により選定すればよく特に限定され
ないが、例えば、2位、3位の置換基は、速効性を期待
するならば血清中の酵素等で速やかに加水分解される置
換基(例えばヒトの場合、リン酸基など)が望ましく、
持続性を期待するならば徐々に加水分解される置換基
(例えばヒトの場合、グリコシル基など)が望ましい。
5位、6位の置換基は速やかに細胞内に取り込まれるよ
うに、適度な疎水性を持ち、細胞内で水酸基に置換され
る置換基(例えばヒトの場合、パルミチン酸、ラウリン
酸等のエステルなど)が望ましい。また、これら置換基
には抗ガン性を持つ官能基(例えば、ベンズアルデヒド
の残基)から選択することも可能である。
【0013】このようなL−アスコルビン酸誘導体は、
一般式(1)
【化3】 で示されるものである。
【0014】ここで、R1 は、エステル結合またはエー
テル結合によりL−アスコルビン酸の2位の炭素に結合
し、生体内で水酸基に変換可能な基であり、例えばリン
酸基、ピロリン酸基、トリリン酸基、ポリリン酸基、グ
リコシル基などを挙げることが出来る。好ましくはリン
酸基が製造の容易性、安定性などの点で優れている。R
2 は、水酸基または生体内で水酸基に変換可能な基であ
り、リン酸基、ポリリン酸基、硫酸基、グリコシル基、
アルコキシ基、アルケニルオキシ基、フェノキシ基など
を挙げることが出来る。通常は、製造に際してL−アス
コルビン酸から誘導するときは、これは水酸基のままで
残しておいて問題ない。
【0015】R3 およびR4 は、そのうちの少なくとも
一つは疎水基であって、他は水酸基又は疎水基であり、
3 及びR4 が環状の疎水基を形成していても良い。疎
水基としては、炭素数10〜22のアシルオキシ基、ア
ルコキシ基、アルケニルオキシ基、フェノキシ基を挙げ
ることができる。好ましい置換基として、アシルオキシ
基としてはラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、
ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレイン
酸、アラキドン酸などの残基を挙げることができ、また
3 とR4 が環状の置換基で置換されたものとしては、
5,6−O−ベンジリデン基、5,6−(3−ニトロ)
ベンジリデン基など、ベンズアルデヒドまたはその誘導
体残基を挙げることができる。
【0016】具体的に好ましいL−アスコルビン酸誘導
体としては、L−アスコルビン酸−2−リン酸(各種リ
ン酸を含む)−6−高級脂肪酸エステル誘導体(高級脂
肪酸としてはラウリン酸、パルミチン酸、アラキドン酸
など)、 L−アスコルビン酸−2−リン酸(各種リン
酸を含む)−5,6−O−ベンジリデン(3−ニトロ−
ベンジリデンなどベンジリデン誘導体を含む)誘導体、
およびそれらの塩(生理学的に受容される塩を形成して
いる)類を挙げることができる。
【0017】これら塩類を生成させる無機塩基として
は、アンモニウム、アルカリ金属(例えばナトリウム、
カリウムなど)、アルカリ土類金属(例えば、カルシウ
ム、マグネシウム、ストロンチウム、バリウムなど)、
アルミニウム、鉄、亜鉛、ビスマスなどが、有機塩基と
しては、例えば、トリメチルアミン、トリエチルアミ
ン、ピリジン、ピコリン、N,N−ジベンジルエチレン
ジアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、ト
リスヒドロキシメチルアミノメタン、ジシクロへキシル
アミンなどから選択される一種又は二種以上の混合物か
ら選択されればよいが、細胞毒性が少なく、かつ安価で
あり、安全性の高さ、経済性から、L−アスコルビン酸
−2−リン酸類の塩類がナトリウム、カリウム、マグネ
シウム、カルシウム、アルミニウム、亜鉛から選択され
る一種または二種以上の混合物から選択されるものが特
に適している。
【0018】L−アスコルビン酸−2−リン酸(各種リ
ン酸を含む)−6−高級脂肪酸エステルおよび/または
L−アスコルビン酸−2−リン酸(各種リン酸を含
む)−5,6−O−ベンジリデン(3−ニトロ−ベンジ
リデンなどベンジリデン誘導体を含む)に比較し、その
アルカリ金属塩などの塩類は安定性が高く、水に溶けや
すく、またpHがより中性に近いため生体適合性が高い
ので本発明に使用するのにより適している。これら一般
式(1)で示されるL−アスコルビン酸−2−リン酸−
6−高級脂肪酸エステル類の塩類およびL−アスコルビ
ン酸−2−リン酸−5,6−O−ベンジリデン類の塩類
は一般に、水に溶けやすく、一般的な抗悪性腫瘍剤に比
べ細胞毒性も低く、またpH調製が可能なため生体適合
性の高いものの選択が自由に出来るので本発明に使用す
るのにより適している。
【0019】本発明の一般式(1)で示されるL−アス
コルビン酸−2−リン酸−6−高級脂肪酸エステル類、
L−アスコルビン酸−2−リン酸−5,6−O−ベンジ
リデン類およびそれらの塩類の中の、L−アスコルビン
酸−2−ピロリン酸類、L−アスコルビン酸−2−トリ
リン酸類、L−アスコルビン酸−2−ポリリン酸類、お
よびそれらの塩類から選択される一種又は二種以上の混
合物を有効成分とするガン治療用薬剤は、その製造コス
トが安価なため、従来のガン治療用薬剤より安価なガン
治療用薬剤を製造するのに適している。
【0020】一般にガン治療用薬剤は注射薬や経口投与
剤として用いられるため、これら薬剤は水に対する溶解
性の高いものが望まれる。本発明の一般式(1)で示さ
れるL−アスコルビン酸−2−リン酸−6−高級脂肪酸
エステル類、L−アスコルビン酸−2−リン酸−5,6
−O−ベンジリデン類およびそれらの塩類は、水分付加
物または結晶水付加物を有効成分とするものの方が水に
対する溶解性が高いこと、また一価の塩類が二価の塩類
よりも水に対する溶解性が高いこと、水分付加物または
結晶水付加物の水分又は結晶水の含有量は特に限定され
ないが、より良好な溶解性を保持するためには本発明の
有効成分が固体の場合は水分含量が1%から50%(w
t/wt)、結晶水の場合は1から20水塩の範囲の水
分子を保持するものが望ましい。中でもこのようなL−
アスコルビン酸誘導体のナトリウム塩とカリウム塩は細
胞毒性が低いので生体適合性が高く、本発明のガン治療
薬剤として適している。
【0021】本発明のガン治療薬剤は低毒性であり人を
含む哺乳類に経口又は非経口的に投与することができ
る。本発明のガン治療薬剤の剤形は特に限定されず、経
口投与剤、錠剤、粉剤、液剤、坐薬、外用剤、軟膏、貼
布剤、点眼剤、静脈注射液、散剤、顆粒剤、錠剤、糖衣
錠、カプセル剤、縣濁剤、アンプル、注射液、等張液な
どが挙げられ、あらゆる医薬品の製剤が可能である。ま
た医薬上許容される不活性な担体または希釈剤および/
または他の薬理作用物質との混合物として組成すること
もできるし、また投薬量単位に組成しても良い。また公
知の製剤学的製造法に準じ、複合体として製剤化された
ものでも良い。例えば、水に対する溶解度を高めて吸収
を促進し、薬理活性を高める目的で発明のガン治療用薬
剤の主成分をEP−A−461,427号公報に記載の
方法でシクロデキストリンあるいはマルトシクロデキス
トリンとの複合体として使用しても良い。
【0022】本発明のガン治療用薬剤は、通常これらの
有効成分を薬理学的に許容される担体もしくは賦形剤と
混合してなる医薬組成物として経口または非経口的に用
いられる。例えば、有効成分をあらかじめ水溶液とした
もの、有効成分を凍結乾燥することによって固形状の混
合物としたもの、有効成分の水溶液を凍結乾燥すること
によってそれぞれ固形状としたもの、各有効成分を別個
に製剤としたキットなどの形状が挙げられる。本発明
は、これら有効成分を、公知の製剤学的製造法に準じ、
所望により製剤学的に許容され得る第十二改正日本薬局
方平成三年(廣川書店)に収載された希釈剤、賦形剤な
どを用い、混合して一剤として投与できる。
【0023】また、有効成分を別途、所望により製剤学
的に許容され得る希釈剤、賦形剤などを用い、製剤化し
て投与することができる。本発明の製剤が溶液である場
合は、水溶性剤(例えば蒸留水)、水溶性製剤(例えば
生理食塩水、リンゲル液等)、油性溶剤(例えば、ゴマ
油、トウモロコシ油、オリーブ油等)等の溶剤を用いて
常套手段により調製される。
【0024】この際、所望により溶解補助剤(例えばサ
ルチル酸ナトリウム、酢酸ナトリウム等)、緩衝剤(例
えば、クエン酸ナトリウム等)、等張化剤(例えばブド
ウ糖等)、安定化剤(例えば、ヒト血清アルブミン、ポ
リエチレングリコール等)、保存剤(例えばベンジルア
ルコール、フェノール等)、無痛化剤(例えば塩化ベン
ザルコニウム、酢酸プロカイン等)等の添加剤を用いる
こともできる。所望により薬理学的、製剤学的に許容さ
れ得る添加剤(例えば、希釈剤、賦形剤、結合剤、崩壊
剤、着色剤、安定剤、増量剤、湿潤化剤、界面活性剤、
滑沢剤、分散剤、緩衝剤、矯味剤、矯臭剤、香料、保存
剤、溶解補助剤、溶剤、被覆剤、糖衣剤など)を混合ま
たはこれらを用いて製剤化したものを使用することもで
きる。
【0025】本発明のガン治療用薬剤は、製薬上許容で
きるものであるが、本発明化合物以外の素材を意味し、
固体、半固体、液体あるいは摂取しうるカプセルであっ
てもよく、種々のものがあげられる。例えば本発明によ
って得られるガン治療用薬剤は、既知のいかなる方法で
製造してもよく、例えば活性成分を希釈剤と混合して、
例えば顆粒とし、次いでその組成物を成形して、例えば
錠剤とすることもできる。非経口投与剤は無菌とすべき
であり、又必要により、血液と等張とすべきである。非
経口的投与としては、注射(例えば、筋肉静脈注射点滴
を含む)、経肛門(坐剤)による投与を包含する。一般
式(1)で示されるL−アスコルビン酸誘導体はそれ自
体ガン治療用薬剤となりうるので、製剤及び組成物中の
活性成分であるL−アスコルビン酸誘導体は一般に0.
01〜100重量%含まれる。
【0026】経口投与のための組成物としてはさらに、
錠剤、丸剤、顆粒剤、散剤、カプセル剤、シロップ剤、
乳剤、縣濁剤、噴霧剤などが挙げられる。かかる組成物
は公知の方法によって製造され、担体もしくは賦形剤と
して、乳糖、でんぷん、ショ糖、ステアリン酸マグネシ
ウムなどが用いられる。非経口投与のためには、例えば
注射剤、坐薬、貼布剤、点眼剤、外用剤などとして用い
られる。注射剤は通常適当なアンプルに充填される。剤
形型としては例えば、直腸坐薬、膣坐薬等が挙げられ、
外用剤としては例えば軟膏、経鼻投与剤、経皮製剤等が
挙げられる。
【0027】たとえば外用剤とするには、公知の方法に
従い、本発明の組成物を固状、半固状または液状の外用
剤とすることができる。たとえば、上記固状のものとし
ては、本発明の組成をそのままあるいは賦形剤(例、グ
リコール、マンニトール、デンプン、微結晶、セルロー
スなど)、増粘剤(例、天然ガム類、セルロース誘導
体、アクリル重合体など)などを添加混合して粉状の組
成物とする。上記液状のものとしては、注射剤の場合と
ほとんど同様で、油性あるいは水性縣濁剤とする。半固
状の場合は、水性または油性のゲル剤、あるいは軟膏状
のものがよい。
【0028】また、これらはいずれも、pH調節剤(例、
炭酸、リン酸、クエン酸、塩酸、水酸化ナトリウムな
ど)、防腐剤(例、パラオキシ安息香酸エステル類、ク
ロロブタノール、塩化ベンザルコニウムなど)などを加
えてもよい。坐剤とするには、公知の方法に従い、本発
明の組成物を油性または水性の固状、半固状あるいは液
状の坐剤とすることができる。
【0029】本発明の一般式(1)で示されるL−アス
コルビン酸誘導体またはその塩類の投与量は症状、年
齢、性別、体重、剤形、投与形態により異なるが経口的
投与、坐剤投与、外用剤等の場合、通常成人1日当たり
体重1kg当たり0.001〜8500mg,好ましく
は1〜100mgの範囲である。また静脈注射、点滴の
場合、通常成人1日当たり体重1kg当たり0.025
〜200mg、好ましくは0.25〜100mgを1回
または数回に分けて投与することができる。本発明のガ
ン治療薬剤は腫瘍を保持するほ乳動物(例えば、マウ
ス、ラット、ブタ、タヌキ、キツネ、ネコ、家兎、イ
ヌ、ウシ、ウマ、ヤギ、サル、ヒト)の治療に有用であ
り、これら担ガン動物のガン治療、延命、抗ガン剤の副
作用軽減、およびガンあるいはその治療による疼痛の緩
和に著効を有する。
【0030】本発明のガン治療薬剤の調製に用いられる
希釈剤は、ガン治療用としてだけでなく、抗ガン剤の副
作用軽減用さらにはガンおよびその治療による疼痛の緩
和用の薬剤としても有効であり、各種の悪性および良性
腫瘍、例えば、悪性黒色腫、悪性リンバ腫、消化器ガ
ン、肺ガン、食道ガン、胃ガン、大腸ガン、直腸ガン、
結腸ガン、尿管腫瘍、胆嚢ガン、胆管ガン、胆道ガン、
乳ガン、肝臓ガン、膵臓ガン、睾丸腫瘍、上顎ガン、舌
ガン、***ガン、口腔ガン、咽頭ガン、喉頭ガン、卵巣
ガン、子宮ガン、前立腺ガン、甲状腺ガン、脳腫瘍、カ
ポジ肉腫、血管腫、白血病、真性多血症、神経芽腫、網
膜芽腫、骨髄腫、膀胱腫、肉腫、骨肉腫、筋肉腫、皮膚
ガン、基底細胞ガン、皮膚付属器ガン、皮膚転移ガン、
皮膚黒色腫などが挙げられる。
【0031】特に本発明のガン治療薬剤を病巣部に比較
的容易に直接接触させることが可能な悪性黒色腫、消化
器ガン、肺ガン、食道ガン、胃ガン、大腸ガン、直腸ガ
ン、結腸ガン、乳ガン、上顎ガン、舌ガン、***ガン、
口腔ガン、咽頭ガン、喉頭ガン、子宮ガン、カポジ肉
腫、血管腫、網膜芽腫、筋肉腫、皮膚ガン、基底細胞ガ
ン、皮膚付属器ガン、皮膚転移ガン、皮膚黒色腫に有用
である。さらに本発明のガン治療薬剤の有効成分である
L−アスコルビン酸誘導体及びその塩類は、特定の既知
の抗腫瘍剤と併用することによりガンの治療、既知の抗
ガン剤の副作用軽減作用、ガン及びその治療による疼痛
の緩和作用、それぞれの効果に相乗効果を示すことが確
認された。
【0032】これらの相乗効果を示す既知の抗悪性腫瘍
剤としては、ナイトロミン(R)、シクロホスファミ
ド、メルファラン、チオテパ、カルボコン、プロテクト
ン(R)、ブスルファン、塩酸ニムスチン、ミトプルニ
トール、イホスファミド、メルカプトプリン、チオイノ
シン、シタラビン、ダカルバジン、フルオロウラシル、
テガフール、塩酸アンシタビン、メトトレキサート、カ
ルモフール、UFT(R)、エノシタビン、硫酸ビンプ
ラスチン、硫酸ビンクリスチン、硫酸ビンデシン、アク
チノマイシン(D)、マイトマイシンC、クロモマイシ
ンA3、塩酸プレオマイシン、硫酸プレオマイシン、塩
酸ダウノルビシン、塩酸ドキソルビシン、ネオカルチノ
スタチン、硫酸ペブロマイシン、塩酸アクラルビシン、
メピチオスタン、エピチオスタノール、クエン酸タモキ
シフェン、ホンパン、ビシパンニール(R)、クレスチ
ン、レンチナン、L−アスパラギナーゼ、アセグラト
ン、塩酸プロカルバジン、プロクスウリジン、MDSコ
ーワ3000(R)、シスブラチン、エストラサイト
(R)、シゾフィラン、アドリアマイシン、マイトマイ
シン、シスプラチン、カルボプラチン、ビンデシン、ビ
ンクリスチン、サイクロフォスファミド、イフォマファ
ミド、プレオマイシン、ペプレオマイシン、エトポシ
ド、フルツロンから選択される一種又は二種以上の混合
物から選択される抗悪性腫瘍剤が挙げられる。
【0033】また上記の既存の抗ガン剤を生体に投与す
ると、ヒトの場合白血球減少、血小板減少、出血、貧
血、食欲不振、悪心、嘔吐、口内炎、下痢、発疹、脱
毛、皮膚の色素沈着、発熱、倦怠感、頭痛、肝機能障
害、蛋白尿、浮腫、過敏症等の副作用が見られることが
あるが本発明の有効成分である、L−アスコルビン酸誘
導体を併用するとこれらの副作用の軽減に効果がある。
それらに伴いガン及びその治療による疼痛の緩和作用も
得られる。本発明のガン治療用薬剤の有効成分であるL
−アスコルビン酸誘導体またはその塩類は、L−アスコ
ルビン酸の2位に導入したリン酸エステル結合またはエ
ーテル結合(例えば、リン酸エステル基)によりアスコ
ルビン酸の酸化分解を阻害し安定化するため、製剤の製
造時及び保存期間中における経時的分解がほとんどな
い。
【0034】また、通常のアスコルビン酸は生体内に取
り込まれると、標的細胞に到達する前に、特に消化管中
の食物等に含有されるラジカルにより分解されやすい
が、本発明のL−スコルビン酸誘導体は生体中で安定で
あること並びに脂溶性としているため栄養吸収細胞など
により細胞内に急速に吸収される。本発明者らの研究に
よると、本発明のL−アスコルビン酸誘導体はL−アス
コルビン酸−2−リン酸類またはその塩類に比較して、
極めて高い細胞吸収性を示す。このためL−アスコルビ
ン酸−2−リン酸塩類に比較して細胞内のL−アスコル
ビン酸のより高い濃度を、1/10以下の投与量で実現
できることが確認できた。
【0035】これにより本発明の一般式(1)で示され
るL−アスコルビン酸誘導体は、アスコルビン酸−2−
リン酸またはその塩類では実現できない極めて少ない投
与量で、抗ガン治療作用、ガン転移阻害作用、抗ガン剤
の副作用軽減作用、ガン及びその治療による疼痛の緩和
作用を発揮できるものと推定される。一般にガン細胞は
移動性能を保持しているためガン細胞は病巣から血管に
侵入し移動することができ、広範囲の臓器へ転移し増殖
する。このため延命期間を著しく短くする。
【0036】本発明のガン治療薬剤の抗腫瘍作用は、特
にガン細胞の病巣から血管内皮への移動性能を阻害し結
果的にガンの転移を阻害することにより抗腫瘍作用を発
揮することが本発明者らにより明らかにされた。本発明
のL−アスコルビン酸誘導体を投与した時ガン細胞は、
血管内皮に対する極めて低い浸潤率を示すことが見いだ
された。またこの作用は通常のL−アスコルビン酸では
見られない作用であり、本発明のL−アスコルビン酸誘
導体独自の作用であることが確認された。
【0037】本発明のガン治療薬剤の有効成分であるL
−アスコルビン酸誘導体は、L−アスコルビン酸の炭素
の2位にエーテル結合またはエステル結合により結合し
た置換基によりアスコルビン酸の酸化分解を阻害し安定
化する。また該L−アスコルビン酸誘導体は少なくとも
5位または6位に疎水基を導入することにより親油性を
高め、細胞吸収を改善し、細胞内のL−アスコルビン酸
の濃度を効率よく高めることができたため、少量の投与
でもL−アスコルビン酸の抗腫瘍作用を最大限に発揮で
きるものとなった。L−アスコルビン酸の抗腫瘍作用は
特に腫瘍細胞の血管内皮への浸潤を阻害し、結果的にガ
ンの転移を阻害することにより抗ガン作用を発揮したも
のと考えられる。
【0038】
【実施例】以下、実施例、比較例を挙げて本発明を説明
するが、これらにより何等限定されるものではない。な
お、実施例記載のL−アスコルビン酸−2−リン酸−6
−カルボン酸エステル及びその塩は、特開昭53−46
959号公報、特開昭59−170085号公報または
特開平8−9987号公報に記載のエステル化法を用
い、公知のL−アスコルビン酸−2−リン酸またはその
塩に、カルボン酸、そのエステルまたはその塩を脱水触
媒の存在下に反応させてL−アスコルビン酸−2−リン
酸−6−カルボン酸エステルまたはその塩を得る。例え
ば、脱水触媒として濃硫酸を用い、反応温度は5〜70
℃で行う。
【0039】具体例としてL−アスコルビン酸−2−リ
ン酸−6−パルミチン酸エステルの合成法を詳しく説明
する。L−アスコルビン酸−2−リン酸マグネシウム塩
10mmolを室温で濃硫酸60mlに溶解し、この溶
液にパルミチン酸15mmolを添加し、十分に攪拌し
た。室温で24時間放置後、反応混合物を氷水約300
mlに注入し、沈殿物をジエチルエーテル200mLで
2回抽出した。抽出液を30%イソプロパノールを含む
2N塩酸300mlで洗浄し、ジエチルエーテルを減圧
下で留去した。析出物をn−ヘキサンで2回洗浄後、減
圧乾燥し、目的のL−アスコルビン酸−2−リン酸−6
−パルミチン酸エステルを3.2g得た。
【0040】なお、6−O−ピバロイル−L−アスコル
ビン酸−3−リン酸は特公平3−55470号公報の方
法で調製した。またL−アスコルビン酸−5,6−O−
ベンジリデン誘導体類は特開平8−269074号公
報、特開平01−313476号公報、特開平5−49
85号公報の方法で調製した。L−アスコルビン酸−
5,6−O−ベンジリデン誘導体類を特開平6−345
785号公報、特開平8−269074号公報の方法で
リン酸化し、L−アスコルビン酸−2−リン酸−5,6
−O−ベンジリデン誘導体類を調製した。L−アスコル
ビン酸−2−グルコシドはUVホワイト(資生堂, 商品
名)より抽出した。その他の試薬は市販品を使用した。
【0041】(実施例1)正常ヒト成人***表皮角化細
胞(倉敷紡績(株))約6×105 個を60mmφの平
板にまき、無血清表皮角化細胞増殖用培地で2時間培養
し、その後、アスコルビン酸またはその誘導体2〜50
μmを添加した同培地に置換し、20時間培養した。ト
リプシン処理にてその細胞を集め、コールターカウンタ
ーDN型(コールターエレクトロニクス社、商品名)で
細胞数を計数した。その細胞をハンクス平衡塩溶液で洗
浄し、超音波ホモジナイザーで破砕した。これをモルカ
ットII(UFP1LCC) (日本ミリポア(株)、商品名)でろ
過後、Shodex ODSpak F411A(昭和
電工(株)、商品名)カラムによるHPLCで分析し、
アスコルビン酸及びその誘導体を定量し、細胞内蓄積量
を求めた。また、コントロールとしてアスコルビン酸ま
たはその誘導体を添加せずに同様に培養しアスコルビン
酸を定量した。表1にアスコルビン酸またはその誘導体
を添加した場合としない場合の細胞内アスコルビン酸蓄
積量の差を示した。
【0042】
【表1】
【0043】(実施例2)牛大動脈内皮細胞BAE−2
(広島県立大)約6×105 個を60mmφの平板にま
き、透析した牛胎児血清(Moregate社)を20%含む最
小必須培地で2時間培養し、その後、L−アスコルビン
酸またはその誘導体5μm(ただし、L−アスコルビン
酸−2−リン酸マグネシウム塩の場合は50μm)を含
む同培地に置換し、20時間培養した。以下、実施例1
と同様に、細胞を処理しアスコルビン酸を分析し、表2
に示した。
【0044】
【表2】
【0045】(実施例3) HelaS3 細胞成育阻害試験 96穴マイクロタイタープレートの各ウェルに10%牛
胎児血清および2mMグルタミン酸を含むMEM培地で
3×104 個/mlに調製したHelaS3 細胞を0.
1mlずつ分注した。炭酸ガスインキュベーター内で細
胞を1時間培養後、培養上清を除去し、リン酸緩衝液生
理食塩水(PBS(−))で1回洗浄後、新鮮な培地を
0.1mlずつ各ウェルに加え、炭酸ガスインキュベー
ター内で37℃で、72時間培養した。培養上清を除去
後、0.02%ニュートラルレッドを含む培養液を0.
1mlずつ各ウェルに加え、炭酸ガスインキュベーター
内で37℃で、1時間培養し細胞を染色した。培養上清
を除去後、生理食塩水で1回洗浄し、0.001N塩酸
30%エタノールで色素を抽出後、マイクロプレートリ
ーダーにより、550nmの吸光度を測定した。無処理
細胞と試験化合物(各種濃度)で処理した細胞の吸光度
より、次式に従って、細胞の増殖阻止率を算出した。
【数1】 得られた増殖阻止率から、細胞の増殖を50%阻害する
試験化合物濃度を算出し、IC50値とした。結果を表
3に示す。
【0046】
【表3】
【0047】(実施例4) サルコーマ180固形腫瘍に対する試験化合物の抗腫瘍
活性 5×104 個のサルコーマ180細胞をddYマウスの
腹腔内に移植し、移植後7日目の腹水から細胞を採取
し、滅菌生理食塩水で一回洗浄後、滅菌生理食塩水で5
×107 個/mlの該細胞浮遊液を作成した。該細胞浮
遊液0.1mlを体重20.2gのddYマウスの背部
皮下に移植した。試験化合物は、生理食塩水に溶解し、
腫瘍移植後24時間目に1群5匹のマウス静脈内に0.
1〜0.2mlを投与した。試験化合物の抗腫瘍活性
は、移植後7日目に腫瘍の長径(a)と短径(b)から
腫瘍体積に相当するa×bの値を求め、薬物非投与の対
照群の体積(c)に対する試験化合物投与群の体積
(t)の比(t/c)値を求めて表した。結果を表4に
示す。
【0048】
【表4】
【0049】(実施例5)ICRマウスの背部皮下にエ
ールリッヒガン細胞(2×106 cells )を移植し、移
植7日後から移植後14日目まで該アスコルビン酸誘導
体50μg/1日/マウスを腹腔内に注射し、抗ガン剤
シスプラチン(日本化薬株式会社)は移植8日後に一回
皮下投与した。移植21日後に屠殺し、皮下腫瘍重量及
び血清中尿素性窒素(BUN)を化合物投与群と比較し
た。ただし、移植7日後にノギスを用いてマウス皮下の
ガンの大きさ(長径×短径)を計測し、各群のマウスの
ガンの大きさがほぼ同様になるように群分けを行った
(各群5匹)。アスコルビン酸誘導体としてL−アスコ
ルビン酸−2−リン酸−6−パルミチン酸、L−アスコ
ルビン酸−2−リン酸−5,6−O−ベンジリデン、L
−アスコルビン酸−6−パルミチン酸およびL−アスコ
ルビン酸−2−リン酸マグネシウム塩を使用した。結果
を表5に示した。本結果よりアスコルビン酸誘導体は抗
ガン剤シスプラチンの抗ガン作用に影響を与えることな
く、主要な副作用である腎毒性を抑制することが示唆さ
れた。
【0050】
【表5】
【0051】(実施例6)CDF1マウスの背部皮下に
Meth A繊維芽肉腫細胞(2×106 cells )を移植し、
移植7日後から移植後14日目まで該アスコルビン酸誘
導体50μg/1日/マウスを腹腔内に注射し、抗ガン
剤アドリアマイシン(協和発酵工業株式会社)は移植8
日後に一回皮下投与した。移植21日後に屠殺し、皮下
腫瘍重量及び末梢血白血球数を化合物投与群と比較し
た。ただし、移植7日後にノギスを用いてマウス皮下の
ガンの大きさ(長径×短径)を計測し、各群のマウスの
ガンの大きさがほぼ同様になるように群分けを行った
(各群5匹)。アスコルビン酸誘導体としてL−アスコ
ルビン酸−2−リン酸−6−パルミチン酸、L−アスコ
ルビン酸−2−リン酸−5,6−O−ベンジリデン、L
−アスコルビン酸−6−パルミチン酸およびL−アスコ
ルビン酸−2−リン酸マグネシウム塩を使用した。結果
を表6に示した。本結果よりアスコルビン酸誘導体は抗
ガン剤アドリアマイシンの抗ガン作用に影響を与えるこ
となく、主要な副作用である骨髄毒性を抑制することが
示唆された。
【0052】
【表6】
【0053】
【発明の効果】本発明は、酸化分解を防ぐため2位にエ
ステル結合またはエーテル結合を有し、少なくとも5位
または6位のいずれかに適度な疎水性を有する基により
置換されたL−アスコルビン酸誘導体であり、生体内に
おいても活性の安定性に優れ、かつ他のL−アスコルビ
ン酸誘導体に比して細胞取り込み性能が向上したL−ア
スコルビン酸誘導体をガン治療用薬剤とするものであ
る。本発明のガン治療用薬剤は安価であり、細胞毒性が
少なく、経済性に富み、かつ広範な悪性腫瘍剤と併用す
ることにより抗ガン作用に相乗効果が認められるので、
各種のガン、悪性腫瘍などのガン治療用薬剤として有用
なものであり、制ガン剤としてだけでなく、他の抗ガン
剤の副作用軽減剤、ガンあるいはその治療による疼痛の
緩和剤としてきわめて効果の高い薬剤である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 伊東 忍 東京都港区芝大門1丁目13番9号 昭和電 工株式会社内 (72)発明者 小方 英二 東京都港区芝大門1丁目13番9号 昭和電 工株式会社内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 動物細胞をアスコルビン酸誘導体を含む
    培地で20時間培養したとき、培地中50μmのL−ア
    スコルビン酸−2−リン酸マグネシウム塩を用いた場合
    に比べ、5μm以下の培地中濃度で同等のアスコルビン
    酸細胞内蓄積量の得られるL−アスコルビン酸誘導体を
    有効成分とすることを特徴とするガン治療用薬剤。
  2. 【請求項2】 L−アスコルビン酸誘導体が2位にエス
    テル結合またはエーテル結合を有し、少なくとも5位ま
    たは6位に疎水基を有する一般式(1) 【化1】 (ただし、R1 は、エステル結合またはエーテル結合に
    よりL−アスコルビン酸の2位の炭素に結合し、生体内
    で水酸基に変換可能な基、R2 は水酸基または生体内で
    水酸基に変換可能な基、R3 およびR4 のうち少なくと
    も一つは疎水基であり他は水酸基または疎水基である。
    1 〜R4 は必ずしも別々の基でなくてもよく、アスコ
    ルビン酸骨格に2カ所以上で結合する同一の基であって
    もよい。)で示されるL−アスコルビン酸誘導体である
    ガン治療用薬剤。
  3. 【請求項3】 一般式(1)において、R1 がリン酸
    基、ピロリン酸基、トリリン酸基、ポリリン酸基、硫酸
    基、グリコシル基の少なくとも一つであり、R2 が水酸
    基、リン酸基、ポリリン酸基、硫酸基、グリコシル基、
    アルコキシ基、アルケニルオキシ基、フェノキシ基の少
    なくとも一つを含む基であり、少なくともR3 またはR
    4 の一方がアシルオキシ基、アルコキシ基、アルケニル
    オキシ基、フェノキシ基のいずれかである、請求項2記
    載のガン治療用薬剤。
  4. 【請求項4】 一般式(1)においてR4 が炭素数10
    〜22のアシルオキシ基のL−アスコルビン酸誘導体で
    ある、請求項2または3記載のガン治療用薬剤。
  5. 【請求項5】 一般式(1)において、R3 およびR4
    が5,6−O−ベンジリデン基のL−アスコルビン酸誘
    導体である、請求項2または3記載のガン治療用薬剤。
  6. 【請求項6】 動物細胞をアスコルビン酸誘導体を含む
    培地で20時間培養したとき、培地中50μmのL−ア
    スコルビン酸−2−リン酸マグネシウム塩を用いた場合
    に比べ、5μm以下の培地中濃度で同等のアスコルビン
    酸細胞内蓄積量の得られるL−アスコルビン酸誘導体を
    有効成分とする請求項1〜5のいずれかに記載の薬剤と
    少なくとも1種の抗悪性腫瘍剤とからなるガン治療用薬
    剤。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP3092220A4 (en) * 2013-09-25 2017-08-30 University of Florida Research Foundation, Inc. Vitamin c prodrugs and uses thereof

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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EP3092220A4 (en) * 2013-09-25 2017-08-30 University of Florida Research Foundation, Inc. Vitamin c prodrugs and uses thereof

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