JPH10318277A - 動力伝達機構の調整方法 - Google Patents

動力伝達機構の調整方法

Info

Publication number
JPH10318277A
JPH10318277A JP12731797A JP12731797A JPH10318277A JP H10318277 A JPH10318277 A JP H10318277A JP 12731797 A JP12731797 A JP 12731797A JP 12731797 A JP12731797 A JP 12731797A JP H10318277 A JPH10318277 A JP H10318277A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
coil spring
interference
torsion coil
power transmission
rotating body
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP12731797A
Other languages
English (en)
Inventor
Masahiko Okada
昌彦 岡田
Takashi Ban
孝志 伴
Shigeru Suzuki
鈴木  茂
Hidefumi Mori
英文 森
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toyota Industries Corp
Original Assignee
Toyoda Automatic Loom Works Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toyoda Automatic Loom Works Ltd filed Critical Toyoda Automatic Loom Works Ltd
Priority to JP12731797A priority Critical patent/JPH10318277A/ja
Publication of JPH10318277A publication Critical patent/JPH10318277A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Compressors, Vaccum Pumps And Other Relevant Systems (AREA)
  • Transmission Devices (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 簡単な方法で、過大な負荷トルクの解放特性
を容易に安定化することができて、動力伝達機構の製作
コストの高騰を抑制可能で、しかも製品の歩留まりを向
上できる動力伝達機構の調整方法を提供する。 【解決手段】 動力伝達機構を組み上げた状態で、固定
ジグ79を用いて、緩衝ゴム76よりリミットバネ78
側に位置する結合筒77を回転不能に固定する。ロータ
65を通常の回転方向と同方向に極低速で回転させて、
リミットバネ78をロータ65の樹脂層65bに対して
滑らせながら相対回転させる。この状態で、前記固定ジ
グ79に作用するトルクを測定しながら、そのトルク値
が所定の範囲内に到達するまでロータ65の回転を継続
する。これにより、樹脂層65bを変形させて、リミッ
トバネ78と樹脂層65bとの間の締め代を調整する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、回転運動する動
力源側の第1回転体と被動機器側の第2回転体とを、常
には動力伝達可能に連結し、被動機器側における負荷ト
ルクが過大になったときには動力伝達を遮断する動力伝
達機構の調整方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】この種の動力伝達機構としては、例えば
次のような構成が知られている。すなわち、略円板状の
ロータが、被動機器のハウジングのボス部の外周面にア
ンギュラベアリングを介して支持されている。このロー
タは、ベルトを介して動力源に連結されている。ロータ
の側面には、断面逆L字状で円環状をなす支持板が多数
のボルトにより止着されている。一方、前記被動機器側
の回転軸には、その端部において略円板状の駆動力伝達
体がナットにより抜け止めされている。また、回転軸に
は、ねじりコイルバネが自らのねじりバネ力により、所
定の締め代をもって締め付け結合されている。このねじ
りコイルバネは、その大部分が前記ハウジングのボス部
内に収容された状態となっている。ねじりコイルバネの
一端は回転軸の接線方向に延出されており、この延出端
部が前記駆動力伝達体の被動機器側面に形成された掛止
凹部に掛止されている。そして、前記支持板と駆動力伝
達体との間には、環状の緩衝ゴムが接着固定されてい
る。
【0003】これにより、常には動力源の回転が、ベル
ト、ロータ、支持板、緩衝ゴム、駆動力伝達体及びねじ
りコイルバネを介して、被動機器側の回転軸に伝達され
るようになっている。一方、被動機器側における負荷ト
ルクが過大になったときには、ねじりコイルバネが負荷
トルクにより、その巻きが緩む方向にねじり変形する。
このねじり変形に伴ってねじりコイルバネはその内周面
が拡径し、ねじりコイルバネの回転軸に対する締め付け
結合が解除される。そして、ねじりコイルバネと回転軸
との間で滑りが生じて、動力源から被動機器への動力伝
達が遮断されて、過大な負荷トルクが解放されるように
なっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、この種の動
力伝達機構では、各部材の加工及び組み付け上の公差の
状況から、回転軸に対するねじりコイルバネの締め代に
ばらつきが生じることがある。このように、締め代にば
らつきが存在すると、各製品ごとの解放時の負荷トルク
の値(以下単に、「解放トルク」とする)にもばらつき
が生じる。
【0005】このため、従来は、例えば次のような方法
で、解放トルクの調整を行っていた。すなわち、まず、
製品全数について、一旦組み上げた状態でその解放トル
クを測定する。その後、分解して、微妙に寸法の異なる
各部材の中から所望の締め代が得られるような組み合わ
せを選択して、再度組み上げるといった選択嵌合に基づ
く調整方法によっていた。このような従来の調整方法
は、その調整作業に多くの工数を必要として、煩わしい
とともに、製作コストの高騰を招くという問題があっ
た。しかも、微妙に寸法の異なる各部材を多数用意する
必要があって、製作コストのさらなる高騰を招くという
問題もあった。
【0006】一方、このような各部材を選択して組み合
わせことによるばらつきの調整を回避するためには、各
部材を厳密に加工する必要があって、いずれにしても製
作コストの高騰は避けられないという問題があった。
【0007】この発明は、このような従来の技術に存在
する問題点に着目してなされたものである。その目的と
するところは、簡単な方法で、過大な負荷トルクの解放
特性を容易に安定化することができて、動力伝達機構の
製作コストの高騰を抑制可能で、しかも製品の歩留まり
を向上できる動力伝達機構の調整方法を提供することに
ある。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、請求項1に記載の発明では、動力源側の第1回転体
と、被動機器側の第2回転体と、動力伝達時に発生する
負荷トルクによってねじり変形可能なねじりコイルバネ
とを備え、前記ねじりコイルバネと、第1回転体または
第2回転体の一方の回転体とを、一体回転可能に連結
し、前記ねじりコイルバネと、第1回転体または第2回
転体の他方の回転体とを、締め代調整部材を介して所定
の締め代をもって締め付け接合して、常には動力伝達可
能に連結し、前記負荷トルクが過大になったときにはね
じりコイルバネと締め代調整部材との間に滑りを生じ
て、その滑りに伴って前記締め代調整部材を変形させ
て、前記締め代を減少させて動力伝達を遮断するように
した動力伝達機構において、前記第1回転体、第2回転
体、ねじりコイルバネ及び締め代調整部材を組み付けた
状態で、ねじりコイルバネにねじり荷重を作用させ、ね
じりコイルバネと締め代調整部材とを相対回転させて、
前記締め代調整部材を予め所定量だけ変形させて、前記
締め代を調整することにより、解放時の負荷トルクの値
を調整するものである。
【0009】請求項2に記載の発明では、動力源側の第
1回転体と、被動機器側の第2回転体と、動力伝達時に
発生する負荷トルクによってねじり変形可能なねじりコ
イルバネとを備え、前記第1回転体または第2回転体の
一方の回転体には、被動機器側で発生する負荷トルクの
変動を緩和するための弾性部材を内装し、前記ねじりコ
イルバネと前記一方の回転体とを一体回転可能に連結
し、前記ねじりコイルバネと前記第1回転体または第2
回転体の他方の回転体とを締め代調整部材を介して所定
の締め代をもって締め付け接合して、常には動力伝達可
能に連結し、前記負荷トルクが過大になったときにはね
じりコイルバネと締め代調整部材との間に滑りを生じ
て、その滑りに伴って前記締め代調整部材を変形させ
て、前記締め代を減少させて動力伝達を遮断するように
した動力伝達機構において、前記第1回転体、第2回転
体、ねじりコイルバネ及び締め代調整部材を組み付けた
状態で、前記弾性部材を内装した一方の回転体の同弾性
部材よりねじりコイルバネ側の部分と、前記他方の回転
体との間を相対回転させて、ねじりコイルバネにねじり
荷重を作用させ、ねじりコイルバネと締め代調整部材と
を相対回転させて、前記締め代調整部材を予め所定量だ
け変形させて、前記締め代を調整することにより、解放
時の負荷トルクの値を調整するものである。
【0010】請求項3に記載の発明では、請求項1また
は2に記載の動力伝達機構の調整方法において、前記締
め代を調整する際に、ねじりコイルバネに作用するねじ
り荷重の値を測定し、その測定値が所望の範囲内となっ
たときに、前記ねじり荷重を解除して、ねじりコイルバ
ネを前記他方の回転体に対して締め付け接合させるもの
である。
【0011】請求項4に記載の発明では、請求項3に記
載の動力伝達機構の調整方法において、前記ねじりコイ
ルバネを、締め代調整部材に対して、そのねじりコイル
バネが通常の運転時と同じ方向にねじり変形するように
相対回転させるものである。
【0012】請求項5に記載の発明では、請求項1また
は2のいずれかに記載の動力伝達機構の調整方法におい
て、前記ねじりコイルバネを、締め代調整部材に対し
て、そのねじりコイルバネが通常の運転時と逆方向にね
じり変形するように相対回転させて前記締め代調整部材
を変形させ、次に、同ねじりコイルバネが通常の運転時
と同じ方向にねじり変形するように相対回転させて、同
ねじりコイルバネに作用するねじり荷重の値を測定する
ものである。
【0013】よって、請求項1及び2に記載の動力伝達
機構の調整方法では、製品を組み上げた状態で、解放ト
ルクが所定の範囲を越えて大きい場合であっても、締め
代調整部材を所定量変形させることで、締め代が減少さ
れる。このため、製品を一旦組み上げた後に分解して、
煩わしい選択嵌合を行ったり、各部材を厳密に加工した
りすることなく、前記解放トルクを所定の範囲内に収ま
るように設定することができる。ここで、前記ねじりコ
イルバネと締め代調整部材との締め代が所定の範囲の上
限付近の値を持つように各部品の寸法を設定すること
で、最初に組み付けた状態で解放トルクが所定の範囲を
下回ることは容易に回避できる。このように、各製品の
解放トルクを容易に調整することができる。
【0014】さらに、請求項2に記載の動力伝達機構の
調整方法によっては、前記ねじりコイルバネと締め代調
整部材との締め代を調整するために、ねじりコイルバネ
にねじり荷重を作用させる際に、一方の回転体に内装さ
れた弾性部材にそのねじり荷重が作用するのが回避され
る。このため、前記弾性部材に余分なストレスがかかる
ことが抑制される。
【0015】請求項3に記載の動力伝達機構の調整方法
では、製品の検査作業において、その解放トルクを確実
に所定の範囲内に収めることができる。請求項4に記載
の動力伝達機構の調整方法では、解放トルクが所定の範
囲に達するまで連続的に、ねじりコイルバネと締め代調
整部材とを相対回転させて、それらの間の締め代の調整
を行うことができる。
【0016】請求項5に記載の動力伝達機構の調整方法
では、前記ねじりコイルバネと締め代調整部材との締め
代の調整の際において、ねじりコイルバネは締め代調整
部材を締め付ける方向にねじり変形されつつ、相対回転
される。このため、前記締め代調整部材を大きく変形さ
せることができる。そして、例えば解放トルクが所定の
範囲を大きく越えており、締め代調整部材を大きく変形
させる必要のあるような場合に特に有用である。
【0017】
【発明の実施の形態】
(第1の実施形態)以下に、この発明をクラッチレス可
変容量圧縮機の動力伝達機構の調整方法に具体化した第
1の実施形態について図1〜図3に基づいて説明する。
【0018】図1に示すように、被動機器としてのクラ
ッチレス可変容量圧縮機(以下、単に「圧縮機」とす
る)21は、シリンダブロック22と、その前端面に接
合されたフロントハウジング23と、その後端面にバル
ブプレート24を介して接合されたリヤハウジング25
とにより構成されている。なお、ここ、あるいは、以下
でいう前後は、圧縮機の後述する動力伝達機構側を前側
とし、その逆側を後側とする。
【0019】第2回転体としての回転軸26は、前記シ
リンダブロック22及びフロントハウジング23の中央
に、一対のラジアルベアリング27を介して回転可能に
支持されている。その回転軸26の前端外周とフロント
ハウジング23との間には、リップシール28が介装さ
れている。
【0020】複数のシリンダボア29は、前記回転軸2
6と平行に延びるように、シリンダブロック22に所定
間隔おきで貫通形成され、それらの内部には片頭型のピ
ストン30が往復動可能に嵌挿支持されている。クラン
ク室31はシリンダブロック22とフロントハウジング
23との間に区画形成されている。
【0021】回転支持体32は、前記クランク室31内
において回転軸26に一体回転可能に止着され、スラス
トベアリング33を介してフロントハウジング23の内
面に接合されている。支持アーム34は、回転支持体3
2の後面にシリンダブロック22側へ向かって突設さ
れ、その先端には一対のガイド孔35が形成されてい
る。
【0022】ほぼ円板状の斜板36は、前記回転軸26
に傾動可能に嵌挿され、その前面には一対の球状連結体
37が突設されている。そして、この球状連結体37が
支持アーム34のガイド孔35に回動及び摺動自在に係
入することによって、斜板36が回転支持体32に対し
て傾角の変更可能にヒンジ連結されている。
【0023】また、前記斜板36の外周部には、一対の
半球状のシュー38を介して各ピストン30が連結され
ている。そして、回転軸26が回転されたとき、回転支
持体32を介して斜板36が回転され、各ピストン30
がシリンダボア29内において往復動される。
【0024】収容室39は、前記回転軸26と同一軸線
上に位置するように、シリンダブロック22の中心に貫
通形成されている。吸入通路40は、回転軸26と同一
軸線上に延びるように、リヤハウジング25及びバルブ
プレート24の中心に形成されている。この吸入通路4
0の前端には、収容室39が連通されるとともに、後端
には外部冷媒回路41が接続されている。そして、この
外部冷媒回路41には、凝縮器42、膨張弁43及び蒸
発器44が接続されている。
【0025】吸入室45は、前記リヤハウジング25内
の中央部に環状に区画形成され、連通口46を介して収
容室39に連通されている。吐出室47は、リヤハウジ
ング25内の外周部に環状に区画形成され、吐出通路4
8を介して外部冷媒回路41に接続されている。
【0026】吸入弁機構49及び吐出弁機構50は、前
記各シリンダボア29に対応するように、バルブプレー
ト24に形成されている。そして、前記ピストン30の
上死点位置から下死点位置への復動動作により、吸入弁
機構49を介して吸入室45から各シリンダボア29内
に冷媒ガスが吸入される。さらに、シリンダボア29内
に吸入された冷媒ガスは、ピストン30の下死点位置か
ら上死点位置への往動動作により、所定の圧力に達する
まで圧縮された後、吐出弁機構50を介して吐出室47
に吐出される。
【0027】円筒状の遮断体51は、前記回転軸26と
同一軸線上に位置するように、シリンダブロック22の
収容室39内に移動可能に収容されている。吸入通路開
放バネ52は、遮断体51と収容室39の後端縁の近傍
の段差部39aとの間に介装され、この吸入通路開放バ
ネ52により遮断体51が斜板36側に向かって付勢さ
れている。そして、この遮断体51内には、前記ラジア
ルベアリング27を介して回転軸26の後端が摺動可能
に嵌挿支持されている。スラストベアリング53は、遮
断体51と斜板36との間において、回転軸26に摺動
可能に嵌挿されている。
【0028】また、前記斜板36が最小傾角状態に傾動
されたときには、遮断体51が吸入通路開放バネ52の
付勢力に抗して後方の閉位置に移動される。そして、こ
の遮断体51が吸入通路40の前端開口縁に接合され
る。それにより、吸入通路40が閉じられて、外部冷媒
回路41から吸入室45内への冷媒ガスの導入が停止さ
れる。なお、この斜板36の最小傾角は0度よりも僅か
に大きくなるように設定されるとともに、その最小傾角
は遮断体51が閉位置に配置されることによって規制さ
れる。
【0029】これにより、この圧縮機21は、車室内に
冷房要求の存在しない状態においても、最小傾角状態で
の運転が継続可能となっている。つまり、この圧縮機2
1は、回転軸26と動力源とをクラッチを介することな
く常時連結可能な、いわゆるクラッチレスタイプとなっ
ている。
【0030】一方、斜板36が最大傾角状態に傾動され
たときには、遮断体51が吸入通路開放バネ52の付勢
力により前方の開位置に移動される。そして、この遮断
体51が吸入通路40の前端開口縁から離間される。そ
れにより、吸入通路40が開かれて、外部冷媒回路41
から吸入通路40、収容室39、連通口46を介して吸
入室45内に冷媒ガスが導入され、斜板36の回転に伴
って最大吐出容量の圧縮運転が行われる。なお、この斜
板36の最大傾角は、斜板36の前面に形成された規制
突部54と回転支持体32との当接によって規制され
る。
【0031】傾角減少バネ55は、前記回転支持体32
と斜板36との間に介装され、この傾角減少バネ55に
より斜板36が最小傾角方向に付勢されている。放圧通
路56は、前記回転軸26の中心に形成され、その前端
がクランク室31内に開口されるとともに、後端が遮断
体51の内部に開口されている。放圧通口57は、遮断
体51の後端外周に形成され、この放圧通口57を介し
て遮断体51の内部が収容室39内に連通されている。
そして、クランク室31の圧力が、これらの放圧通路5
6、遮断体51の内部、放圧通口57、収容室39及び
連通口46を介して、吸入室45内へ放出されるように
なっている。
【0032】給気通路58は、前記リヤハウジング2
5、バルブプレート24及びシリンダブロック22に連
続して形成されている。この給気通路58により、吐出
室47とクランク室31とが接続されている。電磁開閉
弁59は、給気通路58の途中に位置するように、リヤ
ハウジング25に装着され、ソレノイド60の励磁また
は消磁に伴って閉止または開放される。そして、この電
磁開閉弁59が開放されたときには、吐出室47の圧力
が給気通路58を介して、クランク室31内へ供給され
て、クランク室31内の調圧が行われるようになってい
る。
【0033】次に、この第1の実施形態の動力伝達機構
について説明する。図1〜図3に示すように、前記フロ
ントハウジング23には、ボス部63が一体形成されて
おり、このボス部63にはアンギュラベアリング64が
嵌挿支持されている。アンギュラベアリング64の外輪
には、第1回転体としての断面チャンネル状で環状をな
すロータ65が止着されている。そして、ロータ65
は、その凹部66が、前端側、つまり前記フロントハウ
ジング23とは反対側に向かって開口するように配置さ
れている。
【0034】また、ロータ65の内筒部65aの外周面
には、締め代調整部材としての樹脂層65bが形成され
ている。この樹脂層65bは、例えばガラス繊維、炭素
繊維、タルク、クレー等の無機物等が充填された、例え
ばポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリエーテ
ルエーテルケトン(PEEK)、ポリアミド、ポリイミ
ド、エポキシ樹脂等の合成樹脂材料によりなっている。
【0035】そして、このロータ65は、前記回転軸2
6と同心円上に配置され、ベルト67を介して動力源と
しての車両エンジン68に連結されている。前記回転軸
26の前端部には、小径部69が形成されており、この
小径部69がスプライン軸70となっている。回転軸2
6の小径部69には、円筒状をなすブッシュ71が挿嵌
され、ボルト72及び座金73により抜け止め固定され
ている。このブッシュ71の内周面には、前記スプライ
ン軸70と係合可能なスプライン溝74が形成されてい
る。そして、このスプライン軸70とスプライン溝74
との係合により、ブッシュ71が回転軸26と一体回転
される。
【0036】また、ブッシュ71の前端外周には、支持
筒75が嵌挿固定されている。その支持筒75の前端に
は、外方に向かって膨出するフランジ部75aが形成さ
れている。そのフランジ部75aの後方面には、円環状
の弾性部材としての緩衝ゴム76が接着固定されてい
る。緩衝ゴム76の後側面には、ほぼ有底円筒状をなす
結合筒77がその底部77aにおいて接着固定されてい
る。そして、この緩衝ゴム76の弾性変形により、圧縮
機21側で発生する負荷トルクの変動が緩和されるよう
になっている。
【0037】そして、これらブッシュ71、支持筒7
5、緩衝ゴム76及び結合筒77は、前記回転軸26と
一体回転可能な第2回転体の一部を構成するようになっ
ている。
【0038】リミットバネ78は、例えばバネ鋼製の素
線よりなるねじりコイルバネとなっている。このリミッ
トバネ78は、圧縮機21に何らかの原因で過大な負荷
トルクが発生した場合に、ねじり変形されてその巻きが
緩む方向に巻回された緩みバネとなっている。このリミ
ットバネ78は、前記ロータ65の内筒部65aと前記
結合筒77の結合筒部77bとの間にわたって配置され
ている。
【0039】リミットバネ78の前端外周には、前記結
合筒77の結合筒部77bが所定の締め代をもって圧入
嵌合されている。つまり、このリミットバネ78の外径
は、ねじり荷重が作用していない無荷重状態において、
前記結合筒部77bの内径よりもわずかに大きくなるよ
うに形成されている。
【0040】このリミットバネ78を結合筒77の結合
筒部77b内に組み付ける際には、まず一旦リミットバ
ネ78を、その巻きが締まる方向にねじり荷重を付与し
て外周が縮径するようにねじり変形させる。そして、こ
の状態で、リミットバネ78を結合筒77の結合筒部7
7b内に挿入した後、前記ねじり荷重を解除することに
よって、リミットバネ78の外周が前記結合筒部77b
の内周に締め付け固定される。そして、この締め付け固
定により、リミットバネ78が、結合筒77、緩衝ゴム
76、支持筒75及びブッシュ71を介して回転軸26
と一体回転可能に連結される。
【0041】また、このリミットバネ78の後端側部分
は、前記ロータ65の凹部66内にに嵌入され、そのロ
ータ65の樹脂層65bに対して所定の締め代をもって
嵌合されている。つまり、このリミットバネ78の内径
は、ねじり荷重が作用していない無荷重状態において、
前記樹脂層65bの外径よりもわずかに小さくなるよう
に形成されている。また、リミットバネ78の内径及び
樹脂層65bの外径は、最初に組み付けた状態で解放ト
ルクが所定の範囲を下回ることがないように、所定の範
囲の上限付近の締め代を持つような寸法関係に設定され
ている。
【0042】このリミットバネ78を、ロータ65の内
筒部65aに対して組み付ける際には、まず一旦リミッ
トバネ78を、その巻きが緩む方向にねじり荷重を付与
して内周が拡径するようにねじり変形させる。この状態
で、リミットバネ78をロータ65の凹部66内に挿入
する。そして、前記ねじり荷重を解除することによっ
て、リミットバネ78を、前記樹脂層65bに対して所
定の初期締め付け力をもって締め付け接合させる。
【0043】ところで、前記リミットバネ78は、その
素線の巻き方向がロータ65及び回転軸26の回転方向
と一致するようになっている。このため、リミットバネ
78は、圧縮機21の回転軸26から、ブッシュ71、
支持筒75、緩衝ゴム76及び結合筒77を介して、前
記回転方向と逆方向の負荷トルクが作用すると、巻きが
緩む方向にねじり変形する。この緩み方向へのねじり変
形により、リミットバネ78はその内周が拡径して、前
記樹脂層65bに対する締め付け力が減少するようにな
っている。
【0044】そして、図1〜図3に示すように、通常の
運転状態においては、車両エンジン68からの動力は、
ベルト67、ロータ65、リミットバネ78、結合筒7
7、緩衝ゴム76、支持筒75及びブッシュ71を介し
て圧縮機21の回転軸26に伝達されるようになってい
る。
【0045】次に、前記のように構成された動力伝達機
構の調整方法について説明する。まず、図2に示すよう
に、動力伝達機構を組み上げた状態で、固定ジグ79を
用いて、緩衝ゴム76よりリミットバネ78側に位置す
る結合筒77を回転不能に固定する。この固定により、
その結合筒77の結合筒部77a内に圧入固定されたリ
ミットバネ78も、回転不能に固定される。この状態
で、ロータ65を、通常の回転方向と同方向に、いつで
もすぐに停止できるような極低速で回転させる。この回
転により、リミットバネ78は、巻きが緩む方向にねじ
り変形され、その内周が拡径される。そして、ロータ6
5の樹脂層65bは、リミットバネ78に対して滑りな
がら相対回転される。この相対回転状態で、前記固定ジ
グ79に作用するトルクを測定することによって、リミ
ットバネ78に作用するねじり荷重の大きさを測定す
る。このねじり荷重の大きさは、リミットバネ78がト
ルク伝達を遮断する負荷トルクの値、つまり解放トルク
の値に相当する。
【0046】このねじり荷重の大きさが所定の範囲内で
あるときには、直ちにロータ65の回転を停止させると
ともに、固定ジグ79による結合筒77の固定を解除し
て、締め代調整のためのねじり荷重を解除する。これに
より、リミットバネ78は、その内周が縮径し、所定の
初期締め付け力をもってロータ65の樹脂層65bに対
して締め付け接合される。
【0047】一方、前記ねじり荷重の大きさが所定の範
囲を超えて大きいときには、固定ジグ79に作用するト
ルク値を観察しながら、ロータ65の回転を継続させ
る。このとき、リミットバネ78の内周と、ロータ65
の樹脂層65bとが、滑りながら相対回転する。この相
対回転に伴って、樹脂層65bはその表面が徐々に削ら
れて、予め所定量だけ変形された状態となる。言い換え
ると、リミットバネ78と樹脂層65bとの締め代が徐
々に減少するように調整される。これにより、固定ジグ
79に作用するトルク値も低下してくる。そして、ねじ
り荷重の大きさが所定の範囲内に到達したところで、前
記と同様に直ちにロータ65の回転を停止させるととも
に、固定ジグ79による結合筒77の固定を解除して、
リミットバネ78を樹脂層65b上に締め付け接合させ
る。
【0048】次に、前記のように構成された圧縮機21
の動作について説明する。さて、図1に示す状態では、
ソレノイド60の励磁により電磁開閉弁59が閉止され
て、給気通路58が閉じられている。つまり、吐出室4
7内の高圧の圧縮冷媒ガスは、給気通路58を介してク
ランク室31内に供給されない状態となっている。この
ため、クランク室31の冷媒ガスは、もっぱら放圧通路
56、遮断体51の内部、放圧通口57、収容室39及
び連通口46を介して吸入室45内に流入する。従っ
て、クランク室31内の圧力が吸入室45内の低圧力、
すなわち吸入圧力に近付いていき、斜板36が最大傾角
状態に保持されて、最大吐出容量の圧縮運転が行われ
る。
【0049】このような最大吐出容量で圧縮運転が行わ
れて車室内の冷房要求が小さくなると、外部冷媒回路4
1における蒸発器44の温度が次第に低下する。そし
て、蒸発器44の温度がフロストを発生し始める設定温
度以下になると、ソレノイド60が消磁されて、電磁開
閉弁59が開放される。これにより、吐出室47内の高
圧の圧縮冷媒ガスが給気通路58を介してクランク室3
1内に供給されるようになる。そして、クランク室31
内の圧力が高くなって、斜板36が最大傾角状態から最
小傾角状態へ迅速に移行される。
【0050】このように斜板36の傾角が減少される
と、その傾動に伴いスラストベアリング53を介して遮
断体51に後方への移動力が付与される。これにより、
遮断体51が吸入通路開放バネ52の付勢力に抗して、
前方の開位置から後方の閉位置に向かって移動される。
そして、斜板36が最小傾角状態になると、遮断体51
が閉位置に配置されて、その後端面が吸入通路40の前
端開口縁に接合する。これにより、吸入通路40が閉じ
られて、外部冷媒回路41から吸入室45内への冷媒ガ
スの導入が阻止される。
【0051】この斜板36の最小傾角は、0度よりも僅
かに大きくなるように設定されている。このため、斜板
36の最小傾角状態においても、シリンダボア29から
吐出室47内に、圧縮冷媒ガスが吐出され続けて、最小
吐出容量での圧縮運転が行われる。そして、この吐出室
47内に吐出された圧縮冷媒ガスは、給気通路58を通
ってクランク室31内に流入する。さらに、クランク室
31内の冷媒ガスは、放圧通路56、遮断体51の内
部、放圧通口57、収容室39及び連通口46を介して
吸入室45内に流入して、再びシリンダボア29内に吸
入される。つまり、この斜板36の最小傾角状態では、
圧縮機21の内部において、冷媒ガスの循環通路が形成
されている。
【0052】前記のように斜板36の最小傾角状態で圧
縮運転が行われて、車室内の冷房要求が増大すると、外
部冷媒回路41における蒸発器44の温度が次第に上昇
する。やがて、蒸発器44の温度が設定温度を越える
と、ソレノイド60が励磁され、電磁開閉弁59が閉止
される。これにより、吐出室47内の高圧の圧縮冷媒ガ
スが給気通路58を介してクランク室31内に供給され
なくなる。そして、クランク室31の圧力のみが、放圧
通路56、遮断体51の内部、放圧通口57、収容室3
9及び連通口46を介して吸入室45内に放出される。
従って、クランク室31内の圧力が次第に減少され、斜
板36が最小傾角状態から最大傾角状態に移行される。
【0053】このように、斜板36の傾角が増大される
と、その傾動に従って遮断体51が吸入通路開放バネ5
2の付勢力により、後方の閉位置から前方の開位置に向
かって移動される。そして、図1に示すように、遮断体
51の後端面が、吸入通路40の前端開口縁から離間す
る。これにより、吸入通路40が開かれて、外部冷媒回
路41から吸入室45内への冷媒ガスの導入が再開さ
れ、斜板36が最大傾角に配置された状態にて、最大吐
出容量の圧縮運転が行われる。
【0054】一方、車両エンジン68が停止された場合
には、圧縮機21の運転も停止されて、電磁開閉弁59
が開放されて、斜板36は前記と同様に最小傾角状態に
配置される。
【0055】次に、この第1の実施形態の動力伝達機構
の動作について説明する。通常の運転状態においては、
前記のように車両エンジン68からの動力は、ベルト6
7、ロータ65、リミットバネ78、結合筒77、緩衝
ゴム76、支持筒75及びブッシュ71を介して圧縮機
21の回転軸26に伝達される。
【0056】この動力伝達に際して、圧縮機21側の運
転状況に応じて、回転軸26にはロータ65の回転方向
と逆向きの負荷トルクが発生する。この負荷トルクによ
って、リミットバネ78が緩む方向にねじり変形する。
ところが、このように負荷トルクが発生しても、リミッ
トバネ78のねじり変形が所定の初期締め付け力を越え
ない範囲である場合には、リミットバネ78とロータ6
5の樹脂層65bとの密着が保たれている。このため、
ロータ65から回転軸26への動力伝達が継続される。
【0057】一方、圧縮機21側において何らかの原因
で過大な負荷トルクが発生して、その負荷トルクが所定
値を越えると、リミットバネ78の締め付け力が減少
し、リミットバネ78とロータ65の樹脂層65bとの
摩擦がトルクに耐えられなくなりリミットバネ78が開
放する。このため、リミットバネ78とロータ65の樹
脂層65bとの間で滑りが生じて、ロータ65から回転
軸26への動力伝達が遮断される。そして、リミットバ
ネ78が前記樹脂層65bの外周面上を滑りながら回転
すると、樹脂層65bが徐々に変形されるとともに摩擦
熱が発生する。このため、樹脂層65bがさらに変形し
やすくなって、リミットバネ78とロータ65の内筒部
65aとの締め代が消失される。これにより、ロータ6
5が、リミットバネ78に対してほとんど抵抗なく相対
回転されるようになる。
【0058】以上のように構成されたこの第1の実施形
態によれば、以下の効果が期待される。 ・ この第1の実施形態の動力伝達機構の調整方法で
は、製品を組み上げた状態で、ロータ65の樹脂層65
bを変形させることにより、リミットバネ78と樹脂層
65bとの締め代が調整される。このため、製品を組み
上げた状態で、解放トルクが所定の範囲を越えて大きい
場合であっても、製品を分解して煩わしい選択嵌合を行
うことなく、前記解放トルクを所定の範囲内に収まるよ
うに設定することができる。このように、各製品の解放
トルクを容易に調整することができる。従って、解放ト
ルクの調整作業に多くの工数を要したり、微妙に寸法の
異なるロータ65及びリミットバネ78を多数用意する
必要がない。また、ロータ65の内筒部65a及び樹脂
層65b、リミットバネ78を厳密に加工したりする必
要もない。従って、簡単な方法で、各製品の過大な負荷
トルクの解放特性を容易に安定化することができて、製
作コストの高騰を抑制することができる。
【0059】・ この第1の実施形態の動力伝達機構の
調整方法では、リミットバネ78とロータ65の樹脂層
65bとの締め代の調整に際して、リミットバネ78を
ねじり変形させるためのねじり荷重が、緩衝ゴム76に
作用するのを回避ことができる。このため、前記緩衝ゴ
ム78に余分なストレスがかかることがなく、緩衝ゴム
78の圧縮機21側における負荷トルクの変動の減衰効
果が損なわれるおそれを低減することができる。
【0060】・ この第1の実施形態の動力伝達機構の
調整方法では、リミットバネ78に作用するねじり荷重
の大きさを測定しながら、リミットバネ78とロータ6
5の樹脂層65bとの締め代の調整を行うようになって
いる。このねじり荷重の大きさは、リミットバネ78と
樹脂層65bとが滑りを生じ始める負荷トルクと等価で
ある。このため、前記締め代の調整作業は、解放トルク
を測定しながら、その解放トルクを調整しているという
ことに他ならない。従って、製品の検査作業において、
その解放トルクを確実に所定の範囲内に収めることがで
きて、製品の歩留まりを向上させることができる。ま
た、解放トルクの調整作業を製品の検査作業と同時に行
うことができて、作業点数の増大を招くことがなく、製
作上有利である。
【0061】・ この第1の実施形態の動力伝達機構の
調整方法では、リミットバネ78とロータ65の樹脂層
65bとの締め代の調整に際して、リミットバネ78が
通常の運転時と同じ巻きが緩む方向にねじり変形するよ
うに相対回転される。このため、解放トルクが所定の範
囲に達するまで連続的に、リミットバネ78とロータ6
5とを相対回転させて、前記締め代の調整を行うことが
できる。従って、解放トルクの調整作業が一層簡単なも
のとなる。
【0062】(第2の実施形態)以下に、この発明を、
第1回転体と第2回転体とがほぼ同一軸線上に連続して
配置された動力伝達機構の調整方法に具体化した第2の
実施形態について図4及び図5に基づいて説明する。
【0063】すなわち、この第2の実施形態の動力伝達
機構においては、図4及び図5に示すように、略有底円
筒状をなす第1回転体としての第1回転軸81は、図示
しない動力源に接続されている。同じく略有底円筒状を
なす第2回転体としての第2回転軸82は、図示しない
被動機器に接続されている。そして、第1回転軸81と
第2回転軸82とは、ほぼ同一軸線上に連続するととも
に、その底面81a、82aが対向するように配置され
ている。
【0064】第1回転軸81の底面81aの中心には、
透孔81bが透設されている。第2回転軸82の底面8
2aには、その中心に透孔82bが透設されている。ま
た、底面82aには、その透孔82bの周縁から第1回
転軸81に向かって延びる中空円筒状の筒部82cが突
設されている。接続ボルト83は、第2回転軸82の透
孔82bから筒部82cの内部を通して、第1回転軸8
1の透孔81bに挿通され、ナット84により第1回転
軸81に固定されている。接続ボルト83と第2回転軸
82との間には、ベアリング85、86が介装されてお
り、第2回転軸82が接続ボルト83の軸線回りに回転
可能になっている。ベアリング86は、第1回転軸81
の底面81aと第2回転軸82の筒部82cの先端との
間のスラスト荷重も受承するようになっている。
【0065】第2回転軸82の筒部82cの外周面上に
は、前記第1の実施形態の樹脂層65bと同様の樹脂層
82dが形成されている。この樹脂層82dの外周面上
には、リミットバネ78が巻回されている。このリミッ
トバネ78の内径は、ねじり荷重が作用していない無荷
重状態において、前記樹脂層82dの外径よりもわずか
に小さくなるように形成されている。また、リミットバ
ネ78の内径及び樹脂層82dの外径は、最初に組み付
けた状態で解放トルクが所定の範囲を下回ることがない
ように、所定の範囲の上限付近の解放トルクを持つよう
な寸法関係に設定されている。
【0066】前記第1回転軸81の底面81a上には、
第2回転軸82側に向かって延びる係止突起87が設け
られている。この係止突起87には、前記リミットバネ
78の一端が係合されている。この係合により、リミッ
トバネ78が第1回転軸81と一体回転可能に連結され
ている。
【0067】次に、前記のように構成された動力伝達機
構の調整方法について説明する。まず、図4に示すよう
に、動力伝達機構を組み上げた状態で、第1回転軸81
を回転不能に固定する。この固定により、その底面81
a上に係止突起87を介してリミットバネ78も、回転
不能に固定される。
【0068】まず、この状態で、第2回転軸82を、通
常の回転方向と同じ方向に、いつでもすぐに停止できる
ような極低速で回転させる。この回転により、リミット
バネ78は、巻きが緩む方向にねじり変形され、その内
周が拡径される。この相対回転状態で、前記第2回転軸
82に作用するトルクを測定することによって、リミッ
トバネ78に作用するねじり荷重の大きさ、つまり解放
トルクを測定する。
【0069】この解放トルクが所定の範囲内であるとき
には、直ちに第2回転軸82の回転を停止させるととも
に、第1回転軸81の固定を解除して、解放トルク測定
のためのねじり荷重を解除する。これにより、リミット
バネ78は、その内周が縮径し、所定の初期締め付け力
をもって第2回転軸82の樹脂層82dに対して締め付
け接合される。
【0070】一方、前記解放トルクが所定の範囲を超え
て大きいときには、第2回転体82を、通常の回転方向
と逆方向に、わずかに極低速で回転させる。この回転に
より、リミットバネ78は、巻きが締まる方向にねじり
変形され、その内周が縮径される。そして、リミットバ
ネ78が第2回転軸82の樹脂層82dを締め付けた状
態で、リミットバネ78と樹脂層82dとが相対回転さ
れる。この相対回転に伴って、樹脂層82dはその表面
が徐々に削られるように変形され、リミットバネ78と
樹脂層82dとの締め代が減少する方向に調整される。
そして、第2回転軸82の回転方向を反転させて、つま
り通常の回転方向に対して逆方向から同じ方向へ切り換
えて、前記のように解放トルクの測定を行う。
【0071】ここで、解放トルクが所定の範囲内に到達
していれば、前記と同様に、解放トルク測定のためのね
じり荷重を解除するとともに、第1回転軸81の固定を
解除する。一方、なお解放トルクが所定の範囲を越えて
大きい場合には、解放トルクが所定の範囲内に到達する
まで、解放トルクの調整と解放トルクの測定を繰り返し
て、前記樹脂層82dを予め所定量だけ変形させる。
【0072】以上のように構成されたこの第2の実施形
態によれば、前記第1の実施形態に記載の効果とほぼ同
様の効果の他に、以下に記載の効果が期待される。 ・ この第2の実施形態の動力伝達機構の調整方法で
は、リミットバネ78と第2回転軸82上の樹脂層82
dとの締め代の調整に際して、リミットバネ78は樹脂
層82dを締め付けた状態で、リミットバネ78と樹脂
層82dとが相対回転される。このため、前記樹脂層8
2dを大きく変形させることができる。そして、例えば
解放トルクが所定の範囲を大きく越えており、樹脂層8
2dを大きく変形させる必要のあるような場合におい
て、前記締め代を効率よく調整することができて、特に
有用である。
【0073】(別例)なお、前記各実施形態は、以下の
ように変更して具体化することもできる。 ・ 前記第1の実施形態の調整方法において、ロータ6
5を回転不能に固定し、結合筒77に一体回転可能に固
定ジグ79を止着して、固定ジグ79とリミットバネ7
8とを一体回転可能に連結し、固定ジグ79をいつでも
すぐに停止できるような極低速で回転させて、解放トル
クの調整を行うこと。
【0074】・ 前記第2の実施形態の調整方法におい
て、第2回転軸82を回転不能に固定し、第1回転軸8
1をいつでもすぐに停止できるような極低速で回転させ
て、解放トルクの調整を行うこと。
【0075】・ 前記各実施形態の調整方法を、リミッ
トバネ78が、過大な負荷トルクが作用した場合に、そ
の巻きが締まる方向に巻回された締まりバネとなってお
り、そのリミットバネ78が結合筒77の結合筒部77
bの内周面に形成された樹脂層に対して初期締め付け力
をもって締め付け接合された動力伝達機構において適用
すること。なお、この別例の動力伝達機構では、圧縮機
21において過大な負荷トルクが発生すると、リミット
バネ78の外周が縮径されて、リミットバネ78の締め
付け力が減少する。このため、リミットバネ78と前記
結合筒部77b上の樹脂層との間で滑りを生じて、ロー
タ65から回転軸26への動力伝達が遮断されるように
なっている。
【0076】・ 前記第1の実施形態の調整方法を、回
転軸26に動力源を連結し、ロータ65にベルト67等
を介して被動機器を連結した動力伝達機構において適用
すること。
【0077】・ 前記第2の実施形態の調整方法を、第
2回転軸82に動力源を連結し、第1回転軸81に被動
機器を連結した動力伝達機構において適用すること。 ・ 前記各実施形態の調整方法を、被動機器が、前記第
1の実施形態に記載以外の圧縮機、例えばワブル式圧縮
機、ウェーブカムプレート式圧縮機、ベーン式圧縮機、
スクロール式圧縮機、さらには動力源の回転により駆動
される回転軸を有する圧縮機以外の機械であるような動
力伝達機構において適用すること。
【0078】・ 前記各実施形態の調整方法を、動力源
が車両エンジン以外のもの、例えば電動モータであるよ
うな動力伝達機構において適用すること。 これらのように構成した場合でも、前記各実施形態とほ
ぼ同様の効果が期待される。
【0079】
【発明の効果】以上詳述したように、この発明によれば
以下の優れた効果を奏する。請求項1及び2に記載の発
明によれば、動力伝達機構を一旦組み上げた後に分解し
て、煩わしい選択嵌合を行ったり、各部材を厳密に加工
したりすることなく、解放トルクを所定の範囲内に収ま
るように設定することができる。従って、簡単な方法
で、各製品の過大な負荷トルクの解放特性を容易に安定
化することができて、製作コストの高騰を抑制すること
ができる。
【0080】さらに請求項2に記載の発明によれば、解
放トルクの調整作業において、一方の回転体に内装され
た弾性部材に余分なストレスがかかることが回避され
る。従って、弾性部材の被動機器側における負荷トルク
の変動の減衰効果が損なわれるおそれを低減することが
できる。
【0081】請求項3に記載の発明によれば、製品の検
査作業において、その解放トルクを確実に所定の範囲内
に収めることができて、製品の歩留まりを向上すること
ができる。また、解放トルクの調整作業を製品の検査作
業と同時に行うことができて、作業点数の増大を招くこ
とがなく、製作上有利である。
【0082】請求項4に記載の発明によれば、解放トル
クが所定の範囲に達するまで連続的に、ねじりコイルバ
ネと締め代調整部材とを相対回転させて、それらの間の
締め代の調整を行うことができる。従って、解放トルク
の調整作業が一層簡単なものとなる。
【0083】請求項5に記載の発明によれば、締め代調
整部材を大きく変形させることができる。従って、例え
ば解放トルクが所定の範囲を大きく越えているような場
合に、締め代を効率よく調整することができて、特に有
用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 第1の実施形態の動力伝達機構を備えたクラ
ッチレス可変容量圧縮機を示す断面図。
【図2】 図1の動力伝達機構を拡大して示す断面図。
【図3】 図2の3−3線において一部を断面にして示
す側面図。
【図4】 第2の実施形態の動力伝達機構を示す断面
図。
【図5】 図4の5−5線における断面図。
【符号の説明】
21…被動機器としてのクラッチレス可変容量圧縮機、
26…第2回転体の一部を構成する回転軸、65…第1
回転体としてのロータ、65b、82d…締め代調整部
材としての樹脂層、68…動力源としての車両エンジ
ン、71…第2回転体の一部を構成するブッシュ、75
…第2回転体の一部を構成する支持筒、76…第2回転
体の一部を構成するとともに弾性部材をなす緩衝ゴム、
77…第2回転体の一部を構成する結合筒、78…ねじ
りコイルバネとしてのリミットバネ、81…第1回転体
としての第1回転軸、82…第2回転体としての第2回
転軸。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 森 英文 愛知県刈谷市豊田町2丁目1番地 株式会 社豊田自動織機製作所内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 動力源側の第1回転体と、被動機器側の
    第2回転体と、動力伝達時に発生する負荷トルクによっ
    てねじり変形可能なねじりコイルバネとを備え、 前記ねじりコイルバネと、第1回転体または第2回転体
    の一方の回転体とを、一体回転可能に連結し、 前記ねじりコイルバネと、第1回転体または第2回転体
    の他方の回転体とを、締め代調整部材を介して所定の締
    め代をもって締め付け接合して、常には動力伝達可能に
    連結し、前記負荷トルクが過大になったときにはねじり
    コイルバネと締め代調整部材との間に滑りを生じて、そ
    の滑りに伴って前記締め代調整部材を変形させて、前記
    締め代を減少させて動力伝達を遮断するようにした動力
    伝達機構において、 前記第1回転体、第2回転体、ねじりコイルバネ及び締
    め代調整部材を組み付けた状態で、ねじりコイルバネに
    ねじり荷重を作用させ、ねじりコイルバネと締め代調整
    部材とを相対回転させて、前記締め代調整部材を予め所
    定量だけ変形させて、前記締め代を調整することによ
    り、解放時の負荷トルクの値を調整する動力伝達機構の
    調整方法。
  2. 【請求項2】 動力源側の第1回転体と、被動機器側の
    第2回転体と、動力伝達時に発生する負荷トルクによっ
    てねじり変形可能なねじりコイルバネとを備え、 前記第1回転体または第2回転体の一方の回転体には、
    被動機器側で発生する負荷トルクの変動を緩和するため
    の弾性部材を内装し、 前記ねじりコイルバネと前記一方の回転体とを一体回転
    可能に連結し、 前記ねじりコイルバネと前記第1回転体または第2回転
    体の他方の回転体とを締め代調整部材を介して所定の締
    め代をもって締め付け接合して、常には動力伝達可能に
    連結し、前記負荷トルクが過大になったときにはねじり
    コイルバネと締め代調整部材との間に滑りを生じて、そ
    の滑りに伴って前記締め代調整部材を変形させて、前記
    締め代を減少させて動力伝達を遮断するようにした動力
    伝達機構において、 前記第1回転体、第2回転体、ねじりコイルバネ及び締
    め代調整部材を組み付けた状態で、前記弾性部材を内装
    した一方の回転体の同弾性部材よりねじりコイルバネ側
    の部分と、前記他方の回転体との間を相対回転させて、
    ねじりコイルバネにねじり荷重を作用させ、ねじりコイ
    ルバネと締め代調整部材とを相対回転させて、前記締め
    代調整部材を予め所定量だけ変形させて、前記締め代を
    調整することにより、解放時の負荷トルクの値を調整す
    る動力伝達機構の調整方法。
  3. 【請求項3】 前記締め代を調整する際に、ねじりコイ
    ルバネに作用するねじり荷重の値を測定し、その測定値
    が所定の範囲内となったときに、前記負荷ねじり荷重を
    解除して、ねじりコイルバネを前記他方の回転体に対し
    て締め付け接合させる請求項1または2に記載の動力伝
    達機構の調整方法。
  4. 【請求項4】 前記ねじりコイルバネを、締め代調整部
    材に対して、そのねじりコイルバネが通常の運転時と同
    じ方向にねじり変形するように相対回転させる請求項3
    に記載の動力伝達機構の調整方法。
  5. 【請求項5】 前記ねじりコイルバネを、締め代調整部
    材に対して、そのねじりコイルバネが通常の運転時と逆
    方向にねじり変形するように相対回転させて前記締め代
    調整部材を変形させ、次に、同ねじりコイルバネが通常
    の運転時と同じ方向にねじり変形するように相対回転さ
    せて、同ねじりコイルバネに作用するねじり荷重の値を
    測定する請求項1または2に記載の動力伝達機構の調整
    方法。
JP12731797A 1997-05-16 1997-05-16 動力伝達機構の調整方法 Pending JPH10318277A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP12731797A JPH10318277A (ja) 1997-05-16 1997-05-16 動力伝達機構の調整方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP12731797A JPH10318277A (ja) 1997-05-16 1997-05-16 動力伝達機構の調整方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH10318277A true JPH10318277A (ja) 1998-12-02

Family

ID=14956952

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP12731797A Pending JPH10318277A (ja) 1997-05-16 1997-05-16 動力伝達機構の調整方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH10318277A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2012102868A (ja) * 2010-10-11 2012-05-31 Nsk Ltd 伸縮軸の製造方法、及び、この製造方法によって製造した伸縮軸

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2012102868A (ja) * 2010-10-11 2012-05-31 Nsk Ltd 伸縮軸の製造方法、及び、この製造方法によって製造した伸縮軸

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP0869281B1 (en) Fluid displacement apparatus with variable displacement mechanism
US6547533B2 (en) Axial movement restriction means for swash plate compressor and compressor assembly method
US5975860A (en) Vibration torsion system damper for a shaft of a compressor
US20020162720A1 (en) Power transmission mechanism
EP0919725B1 (en) Compressor
US6364774B1 (en) Power transmission mechanism
US5984643A (en) Variable capacity swash-plate-type refrigerant compressor
US20030098216A1 (en) One-way clutch assembly and one-way power transmission clutch unit with the same
US20010027133A1 (en) Torque limiting mechanism
KR20070052190A (ko) 차량용 냉동회로의 제어장치, 용량가변형 압축기 및용량가변형 압축기용 제어 밸브
JPH10318277A (ja) 動力伝達機構の調整方法
JPH10318283A (ja) 動力伝達機構及び動力伝達機構を用いた圧縮機
JP2003166465A (ja) 車両用回転機械
US6074301A (en) Power transmission mechanism
JPH10318278A (ja) 動力伝達機構の調整方法
US6368070B1 (en) Variable displacement compressor
JP2001304108A (ja) 圧縮機
US6247391B1 (en) Compressor and spring positioning structure
JPH1110463A (ja) 動力伝達機構の組付装置及び組付方法
JP2001263228A (ja) ピストン式圧縮機及びその組立方法
JPH10318276A (ja) 動力伝達機構
JPH10318279A (ja) 動力伝達機構
JP4505976B2 (ja) ピストン式圧縮機
JP2003214336A (ja) 冷媒圧縮機
US20020182085A1 (en) Power transmitting mechanism