JPH10307160A - 電磁波解析装置及び電磁波解析プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体 - Google Patents

電磁波解析装置及び電磁波解析プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体

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JPH10307160A
JPH10307160A JP4305098A JP4305098A JPH10307160A JP H10307160 A JPH10307160 A JP H10307160A JP 4305098 A JP4305098 A JP 4305098A JP 4305098 A JP4305098 A JP 4305098A JP H10307160 A JPH10307160 A JP H10307160A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 金属の導体損失を考慮した電磁波の過渡的な
挙動の計算を、金属の厚さ及び角周波数に依存せずに高
速に行えるようにする。 【解決手段】 初期設定手段1は、金属の厚さd、メッ
シュ数、メッシュサイズ、各セルの誘電率ε、透磁率
μ、電気伝導率σ等の初期設定を行う。解析手段2は、
初期設定に基づいて、表皮厚δが無限大(角周波数ωが
0)に近づくとき、金属領域の表面インピーダンスZ
(ω)が1/dσとなるような表面インピーダンス境界
条件を満たした方程式を有限差分時間領域法で解析する
ことにより、電磁波の過渡的な挙動を計算する。そし
て、解析手段2は、電界の挙動を示す式を解析結果3と
して出力する。これにより、金属の導体損失を考慮した
電磁波の過渡的な挙動の計算を、金属の厚さに依存せず
に高速に行うことができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は電磁波の過渡的な挙
動を数値解析する電磁波解析装置及び電磁波解析プログ
ラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体に
関し、特に金属領域を有限の電気伝導率を有する媒体と
して扱う電磁波解析装置及びそのような電磁波解析をコ
ンピュータに行わせるための電磁波解析プログラムを記
録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】電子計算機を使った数値計算によって電
磁波の過渡的な挙動を解析する手法の1つに有限差分時
間領域( FDTD:Finite Difference Time Domain )
法がある。この手法は、マックスウェル方程式を時間と
空間とについて差分法で解く手法である。FDTD法
は、適用範囲の広さ等から多くの場面で利用されてい
る。
【0003】FDTD法を用いて電磁波解析を行う際、
解析領域に金属が存在しているときの計算方法として
は、以下のような手法がある。第1の手法は、金属を完
全導体、すなわち電気伝導率が無限大であるものとみな
して計算を行う手法である(これを「第1の従来例」と
する)。この手法では、金属領域の表面に境界条件とし
て電気壁境界条件を設定し「Etan =0」とする。ここ
で、「Etan 」は、金属領域表面上の電界の接線成分を
表す。この手法は最も一般的な手法であり、金属内部の
電磁界を計算する必要がないため便利である。ただし、
この手法を用いた場合、導体損失を考慮できないため、
導体損失が無視できないような場合には対応できない。
【0004】そこで、金属を完全導体とみなせない場合
には、金属領域の電磁界を考慮して計算をする第2の手
法で解析できる。第2の手法は、金属領域に相当する格
子(メッシュ)を他の領域の格子と同様に扱い、その金
属の電気伝導率を設定する手法である(これを「第2の
従来例」とする)。この手法によれば、金属内部の電磁
界も計算されるため、導体損失を考慮した解析が可能で
ある。
【0005】なお、上記の第1の従来例と第2の従来例
との詳細は、「北村他、信学会論文誌 C-I Vol.J76-C-
I No5 pp173-180,1993年5月」に記載されている。
ところが、第2の従来例の手法を用いた場合、電磁界は
金属内部に行くにしたがって指数関数的に急激に変化す
るので、金属領域の空間離散間隔を非常に小さくしなけ
ればならない。しかも、空間離散間隔を小さくした場合
には同時に時間離散間隔をも小さくする必要が生ずる。
その結果、計算に必要なメモリ容量と計算時間の著しい
増加を招くという問題点がある。
【0006】したがって、限られたハードウェア資源を
用いた電磁波解析を短時間で行うには、上記第2の従来
例に代わる別の計算手法が必要となる。そこで、次のよ
うな第3の手法が考えられている。
【0007】第3の手法は、金属領域表面にBeggs
らの示した表面インピーダンス境界条件を設定する手法
である(これを「第3の従来例」とする)。金属の厚さ
方向をx軸とした場合、x軸に垂直な方向の電磁波Ey
の定常解析(周波数領域)の式は、次のように表され
る。
【0008】
【数2】
【0009】ここで、ωは角周波数、μは金属の透磁
率、σは電気伝導率、jは虚数単位である。この式
(2)に基づいてFDTD法による過渡解析(時間領
域)を行えば、電磁波の過渡的な挙動が解析できる。こ
の手法によれば、金属内部の電磁界を計算する必要がな
く、かつ導体損失を考慮することができる。この手法の
詳細は、「J.H.Beggs et al.,IEEE Trans. Antennas &
Propag.,AP40,No.1,pp.49-118,jpn. 1992 」に記載され
ている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかし、第3の従来例
の手法を用いた場合、Beggsらの表面インピーダン
ス境界条件は金属の厚さが表皮厚δ(δ=(2/μσ
ω)1/2 )よりも十分に厚いことが前提である。そのた
め、金属の厚さが表皮厚に比べて十分でない場合、例え
ば低周波数の電磁界成分に対しては適用できないという
問題点がある。
【0011】本発明はこのような点に鑑みてなされたも
のであり、金属の導体損失を考慮した電磁波の過渡的な
挙動の計算を、金属の厚さ及び角周波数に依存せずに高
速に行うことができる電磁波解析装置を提供することを
目的とする。
【0012】また、本発明の他の目的は、金属の導体損
失を考慮した電磁波の過渡的な挙動のコンピュータによ
る計算を、金属の厚さ及び角周波数に依存せずに高速に
行わせることができる電磁波解析プログラムを記録した
コンピュータ読み取り可能な記録媒体を提供することで
ある。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明では上記課題を解
決するために、金属内部の電磁界を計算せずに電磁波の
過渡的な挙動を数値解析する電磁波解析装置において、
金属の厚さをd、電気伝導率をσとした場合に、角周波
数が0に近づくとき金属領域の表面インピーダンスが1
/δσに近づくような表面インピーダンス境界条件に基
づいて、有限差分時間領域法により電磁波の過渡的な挙
動を計算する解析手段、を有することを特徴とする電磁
波解析装置が提供される。
【0014】この電磁波解析装置によれば、角周波数が
0に近づくとき金属領域の表面インピーダンスが1/d
σに近づくような表面インピーダンス境界条件が定めら
れているため、表皮厚δ(δ=(2/(μσ
ω))1/2 )が金属の厚さdよりも大きな値であって
も、電磁波の過渡的な挙動を解析できるとともに、金属
内部の電磁界を計算しないため、空間離散間隔や空間離
散間隔を特別小さくする必要がない。
【0015】また、上記課題を解決するために、金属内
部の電磁界を計算せずに電磁波の過渡的な挙動を数値解
析する電磁波解析プログラムを記録したコンピュータ読
み取り可能な記録媒体において、金属の厚さをd、電気
伝導率をσとした場合に、角周波数が0に近づくとき金
属領域の表面インピーダンスが1/dσに近づくような
表面インピーダンス境界条件に基づいて、有限差分時間
領域法により電磁波の過渡的な挙動を計算する解析手
段、としてコンピュータを機能させることを特徴とする
電磁波解析プログラムを記録したコンピュータ読み取り
可能な記録媒体が提供される。
【0016】このような記録媒体に記録された電磁波解
析プログラムをコンピュータに実行させれば、上記本発
明に係る電磁波解析装置に必要な機能がコンピュータに
より実現される。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
を参照して説明する。図1は、本発明の原理図である。
初期設定手段1は、金属の厚さd、メッシュ数、メッシ
ュサイズ、各セルの誘電率ε、透磁率μ、電気伝導率σ
等の初期設定を行う。また、初期設定手段1は、表面イ
ンピーダンス境界条件を考慮した電磁波解析を行うべき
領域も指定する。解析手段2は、初期設定手段1で指定
された領域の電磁波解析を、初期設定に基づいて行う。
すなわち、表皮厚δが無限大(角周波数ωが0)に近づ
くとき、金属領域の表面インピーダンスZ(ω)が1/
dσとなるような表面インピーダンス境界条件を満たし
た方程式を有限差分時間領域法で解析することにより、
電磁波の過渡的な挙動を計算する。そして、解析手段2
は、電界の挙動を示す式を解析結果3として出力する。
【0018】これにより、金属の導体損失を考慮した電
磁波の過渡的な挙動の計算を、金属の厚さに依存せずに
高速に行うことができる。以下に、解析手段2が計算す
べき方程式の導出方法について説明する。
【0019】図2は、格子状に分割された領域内に置か
れた金属10を示す図である。ここでは、金属10の厚
さ方向にx軸をとり、x軸に垂直な方向にy軸とz軸と
をとっている。そして、この金属10が置かれている3
次元空間は、メッシュで区切られている。また、金属1
0は厚さがdであり、十分に広い金属膜であるものとす
る。金属10に接した領域(セル)11が、表面インピ
ーダンス境界条件を考慮して解析を行うべき領域であ
る。
【0020】まず、金属10の断面を流れる電流の総和
Iは次式で与えられる。
【0021】
【数3】
【0022】ここで、I0 は金属表面の電流密度、jは
虚数単位、δは表皮厚、μは金属の透磁率、σは金属1
0の電気伝導率、ωは角周波数である。すると、表面イ
ンピーダンスZs (ω)は、次式のようになる。
【0023】
【数4】
【0024】ここで、Rs0は金属の直流でのシート抵抗
で、RS0=1/dσである。この式(4)は、膜厚が表
皮厚程度あるいはそれ以下の金属膜に対しても適用可能
な表面インピーダンス境界条件を示している。
【0025】式(4)をFDTD法に適用するには、表
面インピーダンスZs (ω)を次のように変形する。
【0026】
【数5】
【0027】ここで、a=d(μσ)1/2 である。とこ
ろで、金属10を流れる電流は磁界で表すことができ
る。したがって、電磁波のy軸方向の成分Ey は、表面
インピーダンスZs (ω)と磁界のz軸方向成分H
z (ω)との積で表すことができ、次の式で表される。
【0028】
【数6】
【0029】この式(6)により、電磁波の定常解析
(周波数領域の解析)を行うことができる。電磁波の過
渡解析(時間領域の解析)を行うには、式(5)におけ
るZs ’(ω)に対してフーリエ逆変換を施す。する
と、Zs ’(t)が以下のように決定される。
【0030】
【数7】
【0031】ここで、F-1はフーリエ逆変換演算を、Θ
3 は楕円テータ関数を表す。時間領域における表面イン
ピーダンスと電磁界との関係は、
【0032】
【数8】
【0033】であるから、FDTD法においては、式
(7)を用いて以下のように定式化できる。
【0034】
【数9】
【0035】ここで、τ=Δtαである。このようにし
て次の式
【0036】
【数10】
【0037】が求められる。この式(10)が、解析手
段2による電磁波の過渡的な挙動の計算に用いられる方
程式である。なお、式(10)のままでは計算開始時刻
から毎時刻の磁界成分を全て記憶しておく必要が生じ、
計算をする上で不便である。そこで、式(10)中の積
分を、
【0038】
【数11】
【0039】とし、式(11)を以下のようにPron
y展開する。
【0040】
【数12】
【0041】すると、式(10)は、
【0042】
【数13】
【0043】となる。この式(13)を
【0044】
【数14】
【0045】とおくと、次の式が得られる。
【0046】
【数15】
【0047】これにより逐次的な計算が可能となる。す
なわち、式(15)によれば、現在より1ステップおよ
び2ステップ前の時刻の磁界成分を記憶しておけばよ
く、計算開始時刻から毎時刻の磁界成分を全て記憶して
おく必要がなくなる。したがって、逐次的に計算をする
ことができ、コンピュータで計算する際のメモリ容量を
低減することができる。
【0048】次に、本発明の電磁波解析装置における電
磁波解析の処理手順を説明する。図3は、電磁波解析の
処理手順を示すフローチャートである。なお、以下の処
理の中で、ステップS1のみが図1に示した初期設定手
段1が行う処理であり、他の処理は解析手段2が行う。 〔S1〕初期設定を行う。初期設定の内容は、メッシュ
数、メッシュサイズ、各セルの誘電率ε、透磁率μ、電
気伝導率σ、及び解析時間Tmax 等である。また、時間
Tの初期値としてT=0としている。
【0049】このとき、各セルが境界条件に依存するか
否か、及び境界条件に依存する場合には表面インピーダ
ンス境界条件に依存するのか否かを設定する。すなわ
ち、金属の周囲のセルは表面インピーダンス境界条件に
依存するものとし、解析領域の端部のセルなどは吸収境
界条件や周期境界条件などに依存するものとする。それ
以外のセルは、境界条件に依存しないものとする。 〔S2〕表面インピーダンス境界条件のための初期設定
を行う。具体的には、以下の処理を行う。
【0050】まず、表面インピーダンス境界条件を適用
する面を設定し、面ごとに電気伝導率σと金属の厚さd
とを設定する。次に、予め与えられているNの値を設定
し、面ごとに、
【0051】
【数16】
【0052】の近似式を十分に満たす係数pk 、qk
算出する。そして、算出したpk 、q k をp(k)、q
(k)(k=1〜N)のように配列として記憶する。 〔S3〕境界条件に依存しないセルの電界の計算を行
う。 〔S4〕表面インピーダンス境界条件以外の境界条件に
依存したセルの電界の計算を行う。 〔S5〕表面インピーダンス境界条件に依存したセルの
電界の計算を行う。具体的には、次の式
【0053】
【数17】
【0054】の計算をする。ここで、k=1〜Nであ
り、Hyは表面インピーダンス境界条件に依存する電界
Eとねじれの位置にある磁界である。そして、
【0055】
【数18】
【0056】により表面インピーダンス境界条件に依存
する電界Eを計算する。 〔S6〕時間TにΔT/2を加算して、磁界の計算を行
う。 〔S7〕境界条件に依存した磁界の計算を行う。 〔S8〕時間Tが解析時間Tmax より大きいか否かを判
断する。時間Tが解析時間Tmax を超えていれば、ステ
ップS9に進み、超えていなければ時間TにΔT/2を
加算してステップS3に進む。これにより、時間Tが解
析時間Tmax に達するまで、電磁波の過渡解析が繰り返
し行われる。 〔S9〕解析時間Tmax における電磁波の解析が終了し
たら、計算結果として得られた電界成分(3軸方向)と
磁界成分(3軸方向)の時系列データを出力する。
【0057】なお、上記フローチャートのステップS
3,S4,S6,S7で行われる計算は、表面インピー
ダンス境界条件を用いずにFDTD法による電磁波解析
を行う従来の手法でも行われていた計算であるため、計
算内容の詳細については省略する。
【0058】以上のようにして、金属の導体損失を考慮
した電磁波の過渡的な挙動の計算を、金属の厚さに依存
せずに高速に行うことができる。すなわち、第2の従来
例で説明した手法のようにメッシュを細かくする必要が
無いため、第2の従来例に比べて計算に必要なデータ量
が少なくですむ。その結果、少ないメモリで高速に演算
可能である。また、第3の従来例と異なり、表皮厚に比
べて金属の厚さが薄い場合においても電磁波の過渡的解
析が可能である。すなわち、低周波の場合においても解
析できる。
【0059】
【実施例】以下に、マイクロストリップ線路を伝播する
電磁波を、本発明の電磁波解析装置により解析した場合
の実施例を説明する。
【0060】図4は、マイクロストリップ線路を示す図
である。このマイクロストリップ線路は、SiONから
なる基板21の両面に、Auからなる薄膜の導体板22
と導体板23とが形成されている。これらの周囲の領域
31,32は、空気で満たされている。また、図中の外
側の枠が吸収境界41を示している。
【0061】基板21の厚さは3.0μm、導体板22
の厚さは1.0μm、導体板23の厚さは1.0μmで
ある。導体板22の上の面から吸収境界41までの距離
は3.0μmであり、導体板22の幅は5.0μmであ
る。導体板23の下面から吸収境界41までの距離は
2.0μmである。また、Auの電気伝導率σは、σ=
4.167×107 (S/m)であり、SiONの比誘
電率εr は、εr =5.0である。
【0062】ところで、周波数fが24GHzの場合の
表皮厚δは、δ≒0.5μm(δ=1/(πfμσ)
1/2 )である。従って、24GHzよりも低周波の電磁
波の解析を行う場合には、導体板22,23の厚さが表
皮厚に比べて十分に厚いとはいえなくなる。そこで、図
示したマイクロストリップ線路の導体損失と周波数との
関係を、本発明の電磁波解析装置によって行った場合
と、従来の手法を用いて行った場合とを比較した。以下
の実施例では、直流から20GHzまでの間の周波数帯
に関して解析を行った。
【0063】なお、導体損失は以下のようにして求める
ことができる。図5は、図4のマイクロストリップ線路
の側面を示す図である。導体損失loss( ω,L)は、所
定の距離Lだけ離れた位置における2つの導体板間の電
位差V(Z=0)、V(Z=L)から以下のようにして
導き出せる。
【0064】
【数19】
【0065】
【数20】
【0066】ここで、Fはフーリエ変換、Re は複素数
の実部をとることを意味する。図6は、導体損失の解析
結果を示す図である。この図は、横軸に周波数(GH
z)を、縦軸に導体損失(dB)をとっている。
【0067】図中、実線51で示しているのが測定値で
ある。点線52で示しているのが本発明による解析結果
である。一点破線53で示しているのが第2の従来例
(金属領域に相当する格子を他の領域の格子と同様に扱
う手法)による解析結果である。破線54で示している
のが第3の従来例(金属領域表面にBeggsらの示し
た表面インピーダンス境界条件を設定する手法)であ
る。
【0068】なお、第1の従来例では、金属を完全導体
とみなすことが前提となっているため、導体損失を求め
ても常に「0」の値しか得られない。この図から分かる
ように本発明により解析した場合と、第2の従来例によ
り解析した場合には、実際の測定値に非常に近い値が得
られた。ところが、第3の従来例により解析した場合に
は、周波数が低くなるほど誤差が大きくなる。
【0069】ここで、本発明による解析と第2の従来例
による解析との間の、必要となるメモリ容量と計算の所
用時間とを比較してみた。ここで、必要なメモリ容量や
計算の所用時間には、メッシュの数が大きく影響する。
【0070】図7は、本発明と第2の従来例との間のメ
ッシュの違いを比較する図である。(A)は本発明のメ
ッシュを示す図であり、(B)は第2の従来例のメッシ
ュを示す図である。
【0071】本発明を用いた場合には、x軸方向のメッ
シュ間隔の最小値xmin は0.5μm、y軸方向のメッ
シュ間隔の最小値ymin は1.0μm、z軸方向のメッ
シュ間隔の最小値zmin は4.0μmである。
【0072】ここで、メッシュ間隔と時間離散間隔と
は、以下のような条件を満たしていることが必要であ
る。
【0073】
【数21】
【0074】ここでcは真空中の光速である。したがっ
て、本発明を用いた場合の時間離散間隔dtは、
【0075】
【数22】
【0076】である。また、メッシュの数は「nx×n
y×nz=12×13×nz」となる。一方、第2の従
来例を用いた場合には、金属22,23内部の表面に近
い部分ではメッシュ間隔を小さくしなければならない。
そのため、x軸方向のメッシュ間隔の最小値xmin とy
軸方向のメッシュ間隔の最小値ymin とは、δ/4であ
る。すると、xmin は0.125μm、ymin は0.1
25μm、zmin は4.0μmとなる。このときの時間
離散間隔は、
【0077】
【数23】
【0078】である。また、メッシュの数は「nx×n
y×nz=24×36×nz」となる。したがって、第
2の従来例を用いた場合には、本発明を用いた場合と比
べて約5.5倍の主記憶容量と約27.7倍の計算時間
が必要となる。
【0079】以上の実施例から、本発明の電磁波解析装
置を用いれば、金属の膜厚に関係なく、低周波の電磁界
の解析を少ないメモリ容量で高速に実行できることがわ
かる。
【0080】なお、上記の処理機能は、コンピュータに
よって実現することができる。その場合、電磁波解析装
置が有すべき機能の処理内容は、コンピュータで読み取
り可能な記録媒体に記録されたプログラムに記述されて
おり、このプログラムをコンピュータで実行することに
より、上記処理がコンピュータで実現される。コンピュ
ータで読み取り可能な記録媒体としては、磁気記録装置
や半導体メモリ等がある。市場を流通させる場合には、
CD−ROM(Compact Disk Read Only Memory) やフロ
ッピーディスク等の可搬型記録媒体にプログラムを格納
して流通させたり、ネットワークを介して接続されたコ
ンピュータの記憶装置に格納しておき、ネットワークを
通じて他のコンピュータに転送することもできる。コン
ピュータで実行する際には、コンピュータ内のハードデ
ィスク装置等にプログラムを格納しておき、メインメモ
リにロードして実行する。
【0081】
【発明の効果】以上説明したように本発明では、角周波
数が0に近づくとき金属領域の表面インピーダンスが1
/dσに近づくような表面インピーダンス境界条件が定
められているため、表皮厚δが金属の厚さdよりも大き
な値であっても、電磁波の過渡的な挙動を解析できると
ともに、金属内部の電磁界を計算しないため、空間離散
間隔や空間離散間隔を特別小さくする必要がない。その
結果、金属の導体損失を考慮した電磁波の過渡的な挙動
の計算を、金属の厚さに依存せずに高速に行うことが可
能となる。
【0082】また、本発明の電磁波解析プログラムを記
録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体では、記録
された電磁波解析プログラムをコンピュータに実行させ
れば、角周波数が0に近づくとき金属領域の表面インピ
ーダンスが1/dσに近づくような表面インピーダンス
境界条件を定めた電磁波解析処理をコンピュータに行わ
せることができる。その結果、金属の導体損失を考慮し
た電磁波の過渡的な挙動の、金属の厚さに依存しない高
速計算をコンピュータに行わせることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の原理図である。
【図2】格子状に分割された領域内に置かれた金属を示
す図である。
【図3】電磁波解析の処理手順を示すフローチャートで
ある。
【図4】マイクロストリップ線路を示す図である。
【図5】図4のマイクロストリップ線路の側面図であ
る。
【図6】導体損失の解析結果を示す図である。
【図7】本発明と第2の従来例との間のメッシュの違い
を比較する図である。(A)は本発明のメッシュを示す
図であり、(B)は第2の従来例のメッシュを示す図で
ある。
【符号の説明】
1 初期設定手段 2 解析手段 3 解析結果 10 金属 11 セル

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 金属内部の電磁界を計算せずに電磁波の
    過渡的な挙動を数値解析する電磁波解析装置において、 金属の厚さをd、電気伝導率をσとした場合に、角周波
    数が0に近づくとき金属領域の表面インピーダンスが1
    /dσに近づくような表面インピーダンス境界条件に基
    づいて、有限差分時間領域法により電磁波の過渡的な挙
    動を計算する解析手段、 を有することを特徴とする電磁波解析装置。
  2. 【請求項2】 前記解析手段は、虚数単位をj、金属の
    透磁率をμ、金属の電気伝導率をσ、金属の厚さをd、
    角周波数をωとした場合に、表面インピーダンスZ
    (ω)が、 【数1】 で定義された表面インピーダンス境界条件に基づいて、
    有限差分時間領域法により電磁波の過渡的な挙動を計算
    することを特徴とする請求項1記載の電磁波解析装置。
  3. 【請求項3】 表面インピーダンス境界条件を考慮した
    電磁波解析を行うべき領域を指定する初期設定手段をさ
    らに有し、 前記解析手段は、前記初期設定手段で指定された領域の
    電磁波の過渡的な挙動を計算することを特徴とする請求
    項1記載の電磁波解析装置。
  4. 【請求項4】 金属内部の電磁界を計算せずに電磁波の
    過渡的な挙動を数値解析する電磁波解析プログラムを記
    録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体において、 金属の厚さをd、電気伝導率をσとした場合に、角周波
    数が0に近づくとき金属領域の表面インピーダンスが1
    /dσに近づくような表面インピーダンス境界条件に基
    づいて、有限差分時間領域法により電磁波の過渡的な挙
    動を計算する解析手段、 としてコンピュータを機能させることを特徴とする電磁
    波解析プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能
    な記録媒体。
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JP5158072B2 (ja) * 2007-02-28 2013-03-06 富士通株式会社 金属含有塗料塗布物の電気特性解析装置
CN112180177A (zh) * 2020-09-27 2021-01-05 武汉第二船舶设计研究所(中国船舶重工集团公司第七一九研究所) 一种融合实测数据的工频电磁场评估方法及***

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