JPH10302711A - オメガ型エネルギーフィルタ - Google Patents

オメガ型エネルギーフィルタ

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JPH10302711A
JPH10302711A JP10041404A JP4140498A JPH10302711A JP H10302711 A JPH10302711 A JP H10302711A JP 10041404 A JP10041404 A JP 10041404A JP 4140498 A JP4140498 A JP 4140498A JP H10302711 A JPH10302711 A JP H10302711A
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JP
Japan
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magnetic field
field region
distance
omega
plane
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JP10041404A
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English (en)
Inventor
Katsushige Tsuno
勝重 津野
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Jeol Ltd
Original Assignee
Jeol Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ドリフト長を短くして小型にすると共にフィ
ルタの計算で求めた条件からのずれを少なくし、メリッ
トファンクションを大きくする。 【解決手段】 4つの磁場領域M1、M2、M3、M4によ
り入射窓面Iからスリット面Sまでの電子ビームの軌道
を順次Ω字状に偏向するオメガ型エネルギーフィルタに
おいて、M3 の出射側端面からM4 の入射側端面までの
距離L4 を50√U* /√U* (200)mm以下と
し、偏向角Φを120°±5°の範囲とした。また、M
2 とM3 との間の中心面からM3 の入射側端面までの距
離L3 は、20√U* /√U* (200)mm≧L3
≧10√U* /√U* (200)mmの範囲とし、M4
の出射側端面からスリット面までの距離L5は、30√
* /√U*(200)mm≦L5 ≦50mm√U*
√U*(200)の範囲とした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、4つの磁場領域に
より入射窓から出射窓(スリット面)までの電子ビーム
の軌道を順次Ω字状に偏向するオメガ型エネルギーフィ
ルタに関する。
【0002】
【従来の技術】図1は電子光学系にオメガ型エネルギー
フィルタを組み込んだ電子顕微鏡の構成例を示す図、図
2はAタイプのオメガ型エネルギーフィルタの構成を説
明するための図、図3はBタイプのオメガ型エネルギー
フィルタの構成を説明するための図、図4はAタイプの
オメガ型エネルギーフィルタの基本軌道を説明するため
の図、図5はBタイプのオメガ型エネルギーフィルタの
基本軌道を説明するための図、図6は物面(試料面)上
の図形、瞳面 上の像とスリット面上でのビームの形状
の関係等について説明する図である。
【0003】電子光学系にオメガ型エネルギーフィルタを組
み込んだ電子顕微鏡では、図1に示すように電子銃11
で発生した電子ビームをコンデンサレンズ12、対物レ
ンズ13を通して試料14に照射し、中間レンズ15、
入射窓16、オメガ型エネルギーフィルタ17、スリッ
ト(出射窓)18、投影レンズ19を通して蛍光板20
に試料の像を投影している。
【0004】このオメガ型エネルギーフィルタは、Ω字状の
軌道に配置した4つの磁場領域M 1、M 2、M 3、M 4
(ビームの曲率半径R1、R2、R3、R4、偏向角Φ)に
順次ビームを通すことによって入射ビームと出射ビーム
とが同一直線上に並ぶようにしたものであり、図2及び
図3にAタイプ、Bタイプそれぞれのその光軸を含むマ
グネットポールピースの形状と電子軌道の例を示してい
る。
【0005】この図2及び図3に示した2つの例は、それぞ
れ異なる光学設定条件の下で設計されたものである。こ
こで、電子の光軸の方向をz、磁界の方向をy、これら
に直交する磁極面に平行な方向をxと表す。図2に示し
た磁極面に平行方向xにも磁界方向yにも3回の結像を
行うものがAタイプと呼ばれ、図3に示した磁極面に平
行方向xに3回、磁界方向yに2回の結像を行うものが
Bタイプと呼ばれている。その基本的光学系の違いは、
光軸を直線に直して描いた図4に示すAタイプの軌道図
及び図5に示すBタイプの軌道図において明らかであ
る。
【0006】さて、フィルタの直前に、中間レンズ15を用
いて、ビームを収束する面を入射窓面I、フィルタの直
後に、スリットを挿入する面をスリット面S(=出射窓
面)と呼ぶことにすると、フィルタは、入射窓面Iに始
まってスリット面Sで終わる。この両面において高さ零
となる様な軌道(この両面で光軸の中心を通るビームの
軌道)をxγ、yδとする。同じく、この両面において
高さが零でない様な軌道(この両面で光軸の中心を通ら
ないビームの軌道)をxα、yβとする。又、この両面
で、電子顕微鏡の回折図形が投影される様に電子顕微鏡
を調節した場合に、蛍光板20上に像が結ぶ様になる。
そしてスリットよりも手前(スリットよりもフィルタの
中心寄り)に虚像が形成され、スリットの後方に置かれ
たラウンドレンズ(投影レンズ19)を通して初めて蛍
光板20上に実像が形成される。上記の虚像が形成され
る面を(出射側のの)瞳面と呼ぶ。そして、この瞳面上
の虚像はアクロマティックな性質を有していて、ビーム
のエネルギによらない。一方、スリット面においてはビ
ームのエネルギに応じて分散を生じ、イソクロマティッ
クな性質を有している。
【0007】オメガ型エネルギーフィルタは、2次収差のい
くつかを零にし残りの収差も小さくするために(アイコ
ナル法で表現したとき、18個の2次収差のうち5個が
零になる。従って残りは13個)、第2の磁場領域M2
と第3の磁場領域M3の間の面を対称面(中心面)とし
て、その前後でのビーム軌道が対称となるように設計さ
れている。また、出射側の瞳面からスリット面までの距
離をLLとすると、入射ビーム側の瞳面は、入射窓面から
距離LLに位置するように中間レンズ15を用いて調整さ
れる。
【0008】この様な条件の下で、AタイプとBタイプの違
いは、y方向(磁界方向)の軌道において、Aタイプが
図4に示すように対称面でyβ=0、yδ′=0である
のに対して、Bタイプが図5に示すように対称面でy
β′=0、yδ=0である。ここで ′はz(zは、電
子の光軸の方向)に関する微分、すなわち軌道の傾きで
ある。x軌道は、両タイプとも同じであって、対称面で
xα=0、xγ′=0となる。
【0009】このような条件を選ぶと、Aタイプでは、図4
に示すようにxγ軌道は3回フォーカスするのに対し、
yδ軌道も3回フォーカスするが、Bタイプでは、図5
に示すようにxγは3回フォーカスするものの、yδは
2回のみのフォーカスとなる。即ち、これによって像は
裏返し(鏡に映った像)になる。このような2つのタイ
プのオメガ型エネルギーフィルタがあることは古くから
知られている。これまで開発された全てのエネルギーフ
ィルタ(本件の発明者が開発したものを除く)でAタイ
プが採用されてきた。その理由は、Lanio(”High reso
lution imaging magnetic energy filters with simple
structure”Optik 73(1986)99-107)によれば、Bタイ
プの2次収差が大きいことによる。
【0010】オメガ型エネルギーフィルタは、中心面対称を
持つことにより、出射側の瞳面上での2次収差を殆どキ
ャンセルすることができる。このことはオメガ型エネル
ギーフィルタを使うと、瞳面上において歪みのない像が
得やすく、また、オメガ型エネルギーフィルタを入れる
ことによって像がボケることがないという、イメージン
グフィルタにとって極めて大きな利点が得られる。
【0011】ここで、物面(試料面)上の図形、瞳面 上の
像とスリット面上でのビームの形状の関係等について図
6を用いて説明する。図(A)は、物面上に描いたいく
つかの同心円状の図形を表している。図(B)は、物面
上に描かれた図形の情報を持ったビームが対物後方焦点
面で焦点を結んでいることを表している。図(C)は、
中間レンズを用いて、対物後方焦点面での焦点をフィル
タの入射窓面上に投影したビームを表している。図
(E)は、上記の如く中間レンズを操作することによっ
て、物面上に描かれた図形が入射瞳面上に投影される像
を示している。このとき、像の同心円の最大のものの半
径をriと表す。
【0012】図(D)は、入射窓面上でのビームの大きさ
と、入射瞳面上の像の大きさ(半径ri)と、両者間の
距離LLとの幾何学的な関係を示す図である。
【0013】図(F)は、入射瞳面上の像がそのままフィル
タを経て出射瞳面上に投影さる像を表している。なお、
上記の図(A)〜(F)での像やビームは、判りやすく
するため、倍率や大きさを揃えて表示した。そして、こ
こまでにおいては、像やビームは歪みは生じていない
し、また、ボケに関してもほとんど観測されない。
【0014】図(G)は、出射瞳面を経たビームがスリット
面上に達したときのビームの形状を表している。ビーム
は三角形状に歪んでいることが判る。図(H)は、これ
を拡大表示し、瞳面上の同心円状の像に対応させて示し
た図である。これを見ると、図(F)の円形の像(正確
には、円の周縁部を表す像)は、外側になる程、図
(H)では図の左側にずれていることが判る。
【0015】この様に、スリット面上ではコマ状収差のため
視野の外側のビームは視野の中心付近のビームに対し
て、ビームの分散方向即ち図の左側方向にズレている。
このためスリット幅を大きく取らないと、広い視野の顕
微鏡像が取れないという問題が生ずる。しかしながら、
スリット幅を大きくとると同一視野において、中心付近
と周辺とでエネルギーの値が異なるという不都合を生ず
る。これは、中心面対称にしたことによる収差補償がス
リット面ではほとんど効果がないためである。そこで、
オメガ型エネルギーフィルタの形状の最適化のために
は、スリット面での収差を小さくするように選ぶことが
大切になってくる。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】図7はオメガ型エネル
ギーフィルタの設計パラメータを説明するための図、図
8は偏向角Φによる依存性を説明するための図、図9は
偏向角Φとフィルタ形状との関係を説明するための図で
ある。
【0017】出射側瞳面(exit pupil plane)における収差
ΔXP、ΔYPと、スリット面(slit plane)における収
差ΔXS、ΔYSの大きさは、収差係数(Aααα、…
…、Bαββ、……、Cαα、……)と、出射側瞳面上
からスリット面上の(収差を含まない)ビームの大きさ
を見込む角α、βと、スリット面上から出射側瞳面上の
像の大きさを見込む角γ、δに依存する。ただし、上記
の出射側瞳面上から見込むスリット面上のビームの大き
さは、収差を含まないとしたときのビームの大きさであ
って、収差を含んでいる実際のビームではない(図6
(D)参照)。なお、α、γはx軸方向の、β、δはy
軸方向の角度である。物面におけるビームの大きさは対
物絞りによって制限される。そして、更に入射窓面に達
するビームは、中間レンズの倍率によっても制限され
る。このため、そのビームの大きさは、中間レンズの倍
率が低倍の場合は高々5μm程度であり、中間レンズを
高倍率で使用した場合にはこれよりずっと小さな値とな
る。従って、入射瞳面からこのビームを見込む角は十分
小さい。そして、このビームがそのままフィルタを経て
出射瞳面に達する。しかしスリット面上では、このビー
ムはスリット面の収差によってかなり広がってしまう。
そこで入射窓面でのビームの径を5μm程度と見積も
り、これをスリット面上の収差を含まないビームの大き
さと見なし、LLを100mmとすれば、このスリットを
通り抜ける収差を含まないビームを出射瞳面から見込む
角α、βは、0.005/100=5×10-5radと
なる。これに対して、スリット面から瞳面上の像を見込
む角γ、δは、10-2rad程度なので、両者の間に
は、200倍の開きがある。
【0018】収差の大きさは、収差係数と角度の積である。
上記の如く、角α、βと角γ、δではその大きさに大き
な開きがあるため、収差の大きさは、角度の大きい特定
の角γ、δに関係する係数だけが支配的となる。その結
果、スリット面上では収差ΔXSのみが大きく現れるこ
とになり、ΔXS=(ri 2/LL2 )(Aγγγ+Bγδ
δ/2)と近似することができる。ここで、ri はフィ
ルタの瞳面上の像の高さ、LLは出射側瞳面からスリット
面までの距離、Aγγγ、Bγδδはそれぞれ収差係数
である。
【0019】スリット面上において、収差によるビームの拡
がりが大きくても、分散Dが大きければ、エネルギーの
選択に支障はない。そこで、フィルタの性能を表す指標
として、メリットファンクション(merit function)M M=Dri 2/ΔXS 即ち、 M=(DLL2)/(Aγγγ+Bγδδ/2) が採用できる。このMが大きいほどスリット面上での収
差による影響が小さい。図7において、対称面寄りの磁
場領域M3のビーム回転半径をR3、その入射側端面角度
をθ1、出射側端面角度をθ2とし、スリット寄りの磁場
領域M4 のビーム回転半径をR4、その入射側端面角度
をθ3、出射側端面角度をθ4、それぞれの偏向角をΦと
する。また、対称面(中心面)から対称面寄りの磁場領
域M3の入射側端面までの距離(ドリフト長)をL3、磁
場領域M3の出射側端面から磁場領域M4の入射側端面ま
での距離をL4、スリット寄りの磁場領域M4の出射側端
面からスリット面Sまでの距離をL5とし、出射側瞳面
からスリット面までの距離をLLする。
【0020】この場合、一般にフィルタの形状を規定するパ
ラメータには、距離L3 、L4、L5 、磁場領域の回転
半径R3 、R4 、偏向角Φ及び距離LLの7つがある。磁
場領域は4つあるが、中心面対称の要請から、自由度は
2つの磁場領域に対してしかない。また、各磁場領域の
端面角度θ1、θ2、θ3 、θ4 は、フォーカスを得るた
めに自動的に値が決まるので、選択の余地がない。これ
らのパラメータのうち、距離LLは外部条件によって設定
されるので、ここでの最適化には使用しない。
【0021】これらのうち、回転半径R4 を一定の50mm
として、偏向角Φに対するメリットファンクションMの
値を種々の回転半径R3 に対して求めると、図8(A)
に示すようになった。すなわち、Φ=110°でMは最
大となり、またその時、回転半径R3 が大きいほどよ
い。ただ、ここで示した範囲を外れると、フォーカスで
きなかったり、分散Dが小さすぎたりする。従来から、
偏向角Φの最適範囲は95〜115°程度といわれてお
り、図8(A)はそれを裏付ける結果となった。
【0022】図8(B)は、図8(A)の場合の偏向角Φに
対するL4 の変化を示したものであるが、偏向角Φが大
きくなるほどL4 の値が小さくなっていることが分か
る。なお、図8の偏向角による依存性は、次のような拘
束条件の下に求めたものである。 (1)0≦θ1、θ2、θ3、θ4 ≦45°(負の値は含
まない) (2)分散D≧√U*/√U*(200)μm/eV (U* は相対論補正を行った加速電圧;U* (200)
は200kVでの値、以下同じ) (3)20√U* /√U* (200)mm≦2×L3
4 、L5≦200√U*/√U*(200)mm 条件(1)、(3)は実際的な要求で、形状のシミュレ
ーション上は、これらの条件を外しても、より大きなM
の値が求められる可能性がある。
【0023】図9(A)、(B)、(C)は、図8の中から
3つの場合を選んでそのフィルタ形状と中心ビーム軌道
を示したものである。図から明らかに偏向角Φが小さい
場合には図9(A)に示すように入出射ビームと直角方
向へのフィルタの幅が長くなっていることが分かる。逆
に、偏向角Φが大きいほどこの幅は図9(C)に示すよ
うに短い。
【0024】電子顕微鏡の装置の高さは、その鏡筒の途中に
フィルタを入れることによってその分だけ更に高くな
る。この装置の高さがあまり高くなると、通常の研究室
に入らなくなったり、あるいは床振動の影響を受けやす
くなったりして好ましくない。この意味での高さ(ビー
ム進行方向のフィルタの長さ)が一番小さくなるのは偏
向角Φが110°の場合である。上記は高さについて述
べたが、横方向についてもフィルタが大きくなれば鏡筒
の重量的なバランス悪くなり、床振動の影響を受けやす
くなる。従って、高さだけではなく横方向の大きさも重
要となる。
【0025】以上エネルギフィルタの理論的乃至数値シミュ
レーション的検討を行ってきた。しかし、実は実際の装
置製作上の観点から深く考察してみると、上記(3)の
条件「20√U* /√U*(200)mm≦2×L3、L
4、L5≦200√U* /√U*(200)mm」は、あ
まり適切でないことが分かった。即ち、下記の如き実際
の装置製作に係わる問題が内在するのである。
【0026】L3、L4、L5は、フィルタのない空間の長さ
で、ドリフトと呼ばれるが、その中でビームは直進す
る。いま、フリンジでのビームの偏向作用などの見積も
りにわずかなずれがあった場合を考えてみよう。フィル
タの形状は、フィルタが作る磁界分布の計算値に基づい
て決められるので、この見積もりに狂いがあると、磁場
領域からのビームの出射角度が設定からずれる。このず
れは、フィルタに入射するビームの位置を若干ずらすこ
とによって補正することは可能である。従って、磁場領
域M1の入射側と磁場領域M4の出射側につながるドリフ
トについては、ビーム入射位置の調整によってその狂い
をカバーすることができる。しかしながら、磁場領域M
1、M2間、磁場領域M2 、M3間、及び磁場領域M3
4間については、各磁場領域を独立に調整できない限
り、そのビーム出射位置の狂いをカバーする方法がな
い。勿論、各磁場領域の間に偏向コイルを入れたり、独
立に各磁場領域の機械的位置を調節できる機構を入れる
ことは原理的に可能であるが、このような調整機構を入
れることは、フィルタをいたずらに複雑にするばかり
で、最終の性能を向上させるために有効であることはむ
しろ少ない。
【0027】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記の課題を
解決するものであって、ドリフト長を短くして小型にす
ると共にフィルタの計算で求めた条件からのずれを少な
くし、メリットファンションを大きくするものである。
【0028】そのために本発明は、4つの磁場領域M1
2、M3、M4により入射窓面から出射窓(スリット
面)までの電子ビームの軌道を順次Ω字状に偏向するオ
メガ型エネルギーフィルタにおいて、第3の磁場領域M
3の出射側端面から第4の磁場領域M4の入射側端面まで
の距離L4を50√U*/√U* (200)mm以下と
し、偏向角Φを120°±5°の範囲としたことを特徴
とするものである。
【0029】更に、第2の磁場領域M2と第3の磁場領域M3
との間の対称面(中心面)から第3の磁場領域M3の入
射側端面までの距離L3は、20√U* /√U*(20
0)mm≧L3 ≧10√U* /√U*(200)mmの
範囲としたことを特徴とするものである。
【0030】更にまた、第4の磁場領域M4の出射側端面か
ら出射窓(スリット面)までの距離L5は、30√U*
/√U*(200)mm≦L5≦50√U* /√U*(2
00)mmの範囲としたことを特徴とするものである。
【0031】或いは、4つの磁場領域M1、M2、M3、M4
より入射窓から出射窓(スリット面)までの電子ビーム
の軌道を順次Ω字状に偏向するオメガ型エネルギーフィ
ルタにおいて、第3の磁場領域M3の出射側端面から第
4の磁場領域M4 の入射側端面までの距離L4を、第4
の磁場領域M4 のビームの曲率半径R4以下とし、偏向
角Φを120°±5°の範囲としたことを特徴とするも
のである。
【0032】更に、第2の磁場領域M2 と第3の磁場領域M
3 との間の対称面(中心面)から第3の磁場領域M3
入射側端面までの距離L3 は、2R4/5≧L3 ≧R4
/5の範囲としたことを特徴とするものである。
【0033】更にまた、第4の磁場領域M4 の出射側端面か
ら出射窓(スリット面)までの距離L5 は、3R4/5
≦L5≦R4の範囲としたことを特徴とするものである。
【0034】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
を参照しつつ説明する。
【0035】図10は本発明に係るオメガ型エネルギーフィ
ルタの実施の形態を説明するための図、図11は第4の
磁場領域の出射側端面からスリット面までの距離L5
メリットファンクションMと分散Dとの関係を示す図で
ある。
【0036】オメガ型エネルギーフィルタは、先に述べたよ
うに構成される。すなわち、オメガ型エネルギーフィル
タは、4つの磁場領域M1、M2、M3、M4により入射窓
面Iからスリット面Sまでの電子ビームの軌道を順次Ω
字状に偏向するものであり、第2の磁場領域M2 と第3
の磁場領域M3 との間に対称面(中心面)を有する。そ
して、図7に示すように対称面寄りの磁場領域M3 のビ
ーム回転半径をR3 、その入射側端面角度をθ1、出射
側端面角度をθ2 とし、スリット寄りの磁場領域M4
ビーム回転半径をR4 、その入射側端面角度をθ3 、出
射側端面角度をθ4 、それぞれの偏向角をΦとする。ま
た、対称面(中心面)から対称面寄りの磁場領域M3
入射側端面までの距離(ドリフト長)をL3 、磁場領域
3 の出射側端面から磁場領域M4の入射側端面までの
距離をL4 、スリット寄りの磁場領域M4 の出射側端面
からスリット面Sまでの距離をL5 とし、出射側瞳面か
らスリット面までの距離をLLする。
【0037】まず、計算と実際の僅かな狂い、或いは装置の
組み立て上における精度の狂いが生じても、その影響を
できるだけ受け難くするにはどのような装置設計が望ま
しいかを考えてみることにする。例えば磁場領域M1
ら出たビームが設計値に対して1°だけ多く偏向されて
出てきたとしよう。すると、磁場領域M2に入る時点
で、この狂いは、L4 ×tan 1°だけの入射位置のずれ
となる。すると、磁場領域M2では、磁路長が長くなる
ため、ますます多く偏向を受けることになり、中心ビー
ムは、磁場領域M2 、M3間で入射ビームに対して平行
に進むことができない、この平行性が崩れると、中心面
対称が維持できなくなり、歪み収差発生のもとともるば
かりでなく、その他の条件も設計時から大きくずれるこ
とになるため好ましくない。この影響をできる限り減ら
すためには、距離L4を短くすることである。
【0038】そこで、上記従来の技術で説明したこれまでの
条件 (1)0≦θ1 、θ2、θ3、θ4≦45°(負の値は含
まない) (2)分散D≧√U* /√U*(200)μm/eV (3)20√U* /√U*(200)mm≦2×L3、L
4、L5≦200√U* /√U*(200)mm に対して、上記理由により、 (4)L4≦50√U* /√U*(200)mm の条件を加えた。これによって、入出射ビームと直角方
向へのフィルタの幅を短く、即ちフィルタの横方向の大
きさは小さくなる。なお、L4 /R4 ≦1である。
【0039】このような条件により最適化した場合のMと偏
向角Φの関係を示したものが図10である。図10に示
す関係から明らかなようにこれまで予想されていた条件
とは異なり、偏向角Φは120°で最高のメリットファ
ンクションMを示した。しかし、126°以上では、上
記(1)〜(4)の条件を満足する解は得られなかっ
た。なお、この最適化の過程において、他の寸法の最適
条件は次の通りであった。
【0040】距離L3 はできる限り短い方がよい。これは、
次のように考える。従来実用化されているフィルタで
は、この距離L3 の位置に6極補正子などを挿入してい
ることが多く、距離L3 は大きく取られていた。そこで
この6極補正子などを挿入しなくともよければ、即ち設
計・製造の誤差が無視できる程度になれば挿入不要とな
る。ただ、M2、M3の磁極端面の4極子場成分を用い、
磁界と平行な方向のフォーカスを得ているので、そのフ
リンジ磁界を確保するため、2L3 ≧20√U* /√U
*(200)mmの条件は残した。その結果、補正子な
どを入れるゆとりのない20√U* /√U* (200)
mm≧L3≧10√U* /√U* (200)mmの範囲
が最適条件となった。
【0041】また、距離L5はできるだけ大きくした方が図
11(B)に示すように分散Dが大きくなる。しかし、
逆に距離L5 が小さいほど、図11(A)に示すように
メリットファンクションMは大きくなる傾向がある。そ
こで、条件(2)を満たす範囲で、できるだけ短い距離
5 を設定すると、分散D≧√U* /√U* (200)
μm/eV以上となる距離L5 の最低値は、30√U*
/√U*(200)mmであり、M≧15以上となる距
離L5 は、L5 ≦50√U* /√U* (200)mmで
ある。したがって、30√U* /√U* (200)mm
≦L5 ≦50√U* /√U* (200)mmの範囲であ
ればよい。
【0042】更にまた、L4等の寸法をR4を基準にして規定
することも考えられる。上記シミュレーションは、装置
のコンパクト化を目標に、R4 を一定の50mmとして
行ったものであるが、仮にR4 を2倍の100mmにす
れば、装置全体の大きさが2倍になり、メリットファン
クションMもまた2倍の値になる。何故なら、分散D、
瞳面上の像の高さriは2倍、収差ΔXSは2の2乗倍と
なるから、メリットファンクションMの式 M=Dri 2/ΔXS から、Mも2倍となる。この様に考えると、メリットフ
ァンクションMの値はR4に比例して変化するが、R4
他のR3やL4等の寸法との相対的な関係や、これらの寸
法を決める評価の結論は変わらないはずである。例え
ば、図10において縦軸の値が2倍になるだけで、横軸
及びグラフの形は変わらない。従って、L4等の寸法を
4を基準にして規定することができる。
【0043】逆に言えば、R4 を50mmとすれば、実用
上、装置のコンパクトさと性能を満たしており、R4
50mm以下とすれば、装置はよりコンパクトにはなる
が、性能に不満を来すかも知れないし、R4 を50mm
以上とすれば、性能はより満足できるようになるが、装
置の大きさに不満を来すかも知れないと言うこともでき
る。
【0044】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
によれば、第3の磁場領域M3 の出射側端面から第4の
磁場領域M4 の入射側端面までの距離L4 を50√U*
/√U*(200)mm以下あるいはR4以下とし、偏向
角Φを120°±5°の範囲としたので、入出射ビーム
と直角方向へのフィルタの幅を短くすることができ、ド
リフト長を短くして小型にすることができる。しかも、
フィルタの計算で求めた条件からのずれを少なくし、メ
リットファンクションを大きくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 電子光学系にオメガ型エネルギーフィルタを
組み込んだ電子顕微鏡の構成例を示す図である。
【図2】 Aタイプのオメガ型エネルギーフィルタの構
成を説明するための図である。
【図3】 Bタイプのオメガ型エネルギーフィルタの構
成を説明するための図である。
【図4】 Aタイプのオメガ型エネルギーフィルタの基
本軌道を説明するための図である。
【図5】 Bタイプのオメガ型エネルギーフィルタの基
本軌道を説明するための図である。
【図6】 物面上の図形、瞳面上の像とスリット面上で
のビーム形状の関係
【図7】 オメガ型エネルギーフィルタの設計パラメー
タを説明するための図である。
【図8】 偏向角による依存性を説明するための図であ
る。
【図9】 偏向角とフィルタ形状との関係を説明するた
めの図である。
【図10】 本発明に係るオメガ型エネルギーフィルタの
実施の形態を説明するための図である。
【図11】 第4の磁場領域の出射側端面からスリット面
までの距離L5とメリットファンクションMと分散Dと
の関係を示す図である。
【符号の説明】
1…第1の磁場領域、M2…第2の磁場領域、M3…第
3の磁場領域、M4…第4の磁場領域、I…入射窓面、
S…スリット面

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 4つの磁場領域M1、M2 、M3 、M4
    より入射窓から出射窓(スリット面)までの電子ビーム
    の軌道を順次Ω字状に偏向するオメガ型エネルギーフィ
    ルタにおいて、第3の磁場領域M3 の出射側端面から第
    4の磁場領域M4 の入射側端面までの距離L4 を50√
    * /√U* (200)mm(ここでU* は相対論補正
    を行った加速電圧;U* (200)は200kVでの
    値)以下とし、偏向角Φを120°±5°の範囲とした
    ことを特徴とするオメガ型エネルギーフィルタ。
  2. 【請求項2】 第2の磁場領域M2 と第3の磁場領域M3
    との間の対称面(中心面)から第3の磁場領域M3 の入
    射側端面までの距離L3は、20√U* /√U* (20
    0)mm≧L3 ≧10√U* /√U* (200)mmの
    範囲としたことを特徴とする請求項1記載のオメガ型エ
    ネルギーフィルタ。
  3. 【請求項3】 第4の磁場領域M4 の出射側端面から出
    射窓(スリット面)までの距離L5は、30√U* /√
    * (200)mm≦L5 ≦50√U* /√U* (20
    0)mmの範囲としたことを特徴とする請求項1記載の
    オメガ型エネルギーフィルタ。
  4. 【請求項4】 4つの磁場領域M1、M2、M3、M4によ
    り入射窓から出射窓(スリット面)までの電子ビームの
    軌道を順次Ω字状に偏向するオメガ型エネルギーフィル
    タにおいて、第3の磁場領域M3の出射側端面から第4
    の磁場領域M4の入射側端面までの距離L4 を、第4の
    磁場領域M4 のビームの曲率半径R4以下とし、偏向角
    Φを120°±5°の範囲としたことを特徴とするオメ
    ガ型エネルギーフィルタ。
  5. 【請求項5】 第2の磁場領域M2 と第3の磁場領域M3
    との間の対称面(中心面)から第3の磁場領域M3
    入射側端面までの距離L3 は、2R4/5≧L3≧R4
    5の範囲としたことを特徴とする請求項4記載のオメガ
    型エネルギーフィルタ。
  6. 【請求項6】 第4の磁場領域M4 の出射側端面から出
    射窓(スリット面)までの距離L5 は、3R4/5≦L5
    ≦R4の範囲としたことを特徴とする請求項4記載のオ
    メガ型エネルギーフィルタ。
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