JPH10294015A - 高分子固体電解質及びその用途 - Google Patents

高分子固体電解質及びその用途

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JPH10294015A
JPH10294015A JP9101927A JP10192797A JPH10294015A JP H10294015 A JPH10294015 A JP H10294015A JP 9101927 A JP9101927 A JP 9101927A JP 10192797 A JP10192797 A JP 10192797A JP H10294015 A JPH10294015 A JP H10294015A
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polymer
electrolyte
compound
lithium
film
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JP9101927A
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Masataka Takeuchi
正隆 武内
Shiyuuichi Uchijiyou
秀一 内條
Koji Tokita
孝二 時田
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Resonac Holdings Corp
Original Assignee
Showa Denko KK
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 成型加工、強度が良好で、取扱いが容易で、
広い温度領域でイオン伝導度が高く、安定、低コスト
で、安全性、信頼性の優れた高分子固体電解質の提供。
安全性、信頼性に優れ、高性能、特に−10℃以下でも
容量低下の少ない、形状自由性のあるリチウム二次電池
の提供。 【解決手段】 エチレンカーボネートとエチルメチルカ
ーボネートとの混合溶媒を添加した高分子固体電解質。
該高分子固体電解質を用いたリチウム二次電池。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、エチレンカーボネ
ートとエチルメチルカーボネートの混合溶媒を使用し
た、広い温度領域でイオン伝導度が高く、電気化学的安
定性の良好な高分子固体電解質、特に、−10℃以下の
低温領域でも使用可能な高分子固体電解質に関する。ま
た、本発明は該高分子固体電解質を用いた、安全性、信
頼性にすぐれ、高性能で、特に低温特性の良好なリチウ
ム二次電池に関する。
【0002】
【従来の技術】電気化学素子として代表的なリチウム一
次電池やリチウム(イオン)二次電池はその高エネルギ
ー密度という特徴から最近急速に小型携帯機器に搭載さ
れ、急激な伸びを示している。例えば、LiCoO2
LiNiO2 、LiMnO2 、MoS2 等の金属酸化
物、金属硫化物を正極に用い、リチウム、リチウム合
金、リチウムイオンを吸蔵放出できる炭素材料や無機化
合物を負極に用い、有機溶媒とLi塩からなる非水電解
液を用いたリチウム(イオン)二次電池が多く研究され
ている。「ジャーナル・オブ・エレクトロケミカル・ソ
サイエティ (J. Electrochem. Soc.) 、第138巻(N
o.3)、665頁、1991年」には、MnO2 ある
いはNiO2を正極とする電池が報告されている。
【0003】非水電解液に使用されている有機溶媒とし
ては、高誘電率、高沸点の環状カーボネート類(プロピ
レンカーボネート、エチレンカーボネート、ブチレンカ
ーボネート等)やラクトン類(γ−ブチルラクトン等)
と低粘性の鎖状カーボネート(ジメチルカーボネート、
ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート)、
低粘性のエーテル化合物(グライム、ジグライム、TH
F、ジオキソラン等)との混合溶媒が主に検討され、電
解質塩の解離性を増し、低粘性とすることで高イオン伝
導度を達成している。この中でカーボネート類が電気化
学的安定範囲が広く、正負極材料との反応性も小さく、
好んで用いられている(例えば、特開平2−10666
号、特開平5−283104号)。さらに、この中でエ
チレンカーボネートは黒鉛負極等の炭素負極の可逆性向
上に効果的で、現在、市販されているリチウムイオン電
池には必須の溶媒とされている。
【0004】これらリチウム一次電池やリチウム(イオ
ン)二次電池の正負極、電解液以外の構成要素として重
要であるセパレータにはポリオレフィン不織布やポリオ
レフィン製マイクロポーラスフィルムという多孔性フィ
ルムが用いられている。セパレーターの機能としては正
極、負極を電子的に隔離し短絡させないことと、正、負
極間に介在する電解液中のイオン移動を妨げないことが
要求されている。また前述した機能を有していればでき
るだけ薄い方が、電池全体のエネルギー密度が大きくな
り好ましい。これら機能を持たせるため現在のセパレー
ターとしては多孔性の薄膜フィルムが用いられており、
フィルム製造費や加工費が高く、コスト高の要因になっ
ている。また電解液を担持する能力がなく、電池から部
品外部への液漏れあるいは電極物質の溶出などが発生し
やすいために、電池として長期信頼性、安全性に問題が
あった。
【0005】最近、ポリエチレンオキサイド系重合体と
アルカリ金属塩を複合したいわゆる高分子固体電解質が
注目されている。これら高分子固体電解質の例として、
「ブリティッシュ・ポリマー・ジャーナル(Br. Polym.
J. ),第319巻、137頁、1975年」には、ポ
リエチレンオキサイドと無機アルカリ金属塩との複合物
がイオン伝導性を示すことが記載されている。また、オ
リゴオキシエチレンを側鎖に導入した櫛型高分子が、イ
オン伝導性を担っているオキシエチレン鎖の熱運動性を
高め、イオン伝導性が改良されることも多数報告されて
いる。例えば、「ジャーナル・オブ・フィジカル・ケミ
ストリイ(J. Phys. Chem.)、第89巻、987頁、1
984年」には、ポリメタクリル酸の側鎖にオリゴオキ
シエチレンを付加したものにアルカリ金属塩を複合化し
た例が記載されている。さらに、「ジャーナル・オブ・
アメリカン・ケミカル・ソサエティ(J. Am. Chem. So
c.)、第106巻、6854頁、1984年」には、オ
リゴオキシエチレン側鎖を有するポリホスファゼンにア
ルカリ金属塩を複合化した例が記載されている。これら
は重合体自身が電解質であるLi塩と錯形成し、重合体
鎖の熱運動によりイオン伝導を発現できると言われてい
る。従って、現在のセパレータのような電解液を通す孔
は基本的には必要ない。しかしながらこれらは膜強度、
イオン伝導度の点で実用的に満足できるのものではな
い。
【0006】一般的に検討されている高分子固体電解質
のイオン伝導度は、室温における値で10-4〜10-5
/cm位まで改善されたものの、液体系イオン伝導性物
質に比較するとなお二桁以上低いレベルである。また、
0℃以下の低温になると、一層極端にイオン伝導性が低
下する。更にこれらの固体電解質を薄膜にして電池に組
み込む場合、電極との複合化や接触性確保等の加工技術
が難しく製造法でも問題点があった。J.Appl.E
lectrochem.,No.5,63〜69ページ
(1975年)に記載されているように、ポリアクリロ
ニトリルやポリフッ化ビニリデンゲル等の熱可塑性高分
子または架橋高分子に溶媒及び電解質を加えたいわゆる
高分子ゲル電解質は高イオン伝導度となることが報告さ
れている。また、特公昭58−36828号にはポリメ
タクリル酸アルキルエステルに溶媒及び電解質を加えた
同様の高分子ゲル電解質は高イオン伝導度となることが
報告されている。しかしながらこれら高分子ゲル電解質
は高イオン伝導度であるが、流動性を付与することとな
るため、完全な固体としては取り扱えず、膜強度や成膜
性に劣り、電池に応用すると短絡が起こり易いうえ、液
体系イオン伝導性物質同様に封止上の問題が発生する。
【0007】米国特許4357401号にはヘテロ原子
を含有する架橋ポリマーとイオン化可能な塩からなる高
分子固体電解質が高分子の結晶性が低下し、ガラス転移
点が低く、イオン伝導度が改善されることが記載されて
いるが、室温で10-5S/cm程度とまだ不十分であっ
た。さらに米国特許4792504号においては、ポリ
酸化エチレンの架橋ネットワーク中に金属塩及び非プロ
トン性溶剤からなる電解液が含浸された高分子固体電解
質が提案されている。これらはオキシエチレン鎖がLi
塩だけでなく、非プロトン性溶剤を含浸できることを示
しており、Li電池のセパレータとして使用可能な電解
液を含浸した孔のない均一な高分子固体電解質が提供で
きることを示している。しかしながら、この系でもイオ
ン伝導度は10-4S/cmとまだ不十分であった。また
溶剤が添加されたため膜強度が低下し、製造時や電池等
に使用する場合に取扱いにくいという問題が生じた。
【0008】特公平3−73081号、米国特許490
8283号にはポリエチレングリコールジアクリレート
等のアクリロイル変性ポリアルキレンオキシド/電解質
塩/有機溶媒からなる組成物に紫外線等の活性光線を照
射することにより、高分子固体電解質を形成する方法が
開示され、重合時間を短縮する試みがなされている。ま
た、米国特許4830939号、特開平5ー10931
0号にも架橋性のポリエチレン性不飽和化合物/電解質
塩/活性光線不活性溶媒からなる組成物を紫外線や電子
線等の放射線照射することにより、電解液を含んだ高分
子固体電解質を形成する同様の方法が開示されている。
これらの系では高分子固体電解質中の電解液を増量した
ため、イオン伝導度は向上したが、まだ不十分であり、
また膜強度は悪化する傾向にある。ソリッド ステート
アイオニクス 1982年 7号 75ページに高分
子固体電解質であるLiClO4 /ポリエチレンオキサ
イド複合体にさらにアルミナ粒子を複合させることによ
り、イオン伝導度が低下することなく高分子固体電解質
の強度改善が達成できることが報告されている。特開平
6−140052号には、ポリアルキレンオキサイド/
イソシアネート架橋体/無機酸化物複合体に非水電解液
を含浸させた固体電解質が提案されており、電解液含有
高分子固体電解質の強度アップが図られている。
【0009】これらの問題を解決するために、本発明者
らはウレタン結合を有するオキシアルキレン基を含有す
る(メタ)アクリレートプレポリマーから得られる重合
体及び電解質からなる複合体を用いたイオン伝導性の高
分子固体電解質(特開平6−187822号)を提案し
た。この高分子固体電解質のイオン伝導度は、溶媒未添
加で10-4S/cm(室温)であり高いレベルである
が、さらに溶媒を添加すると10-3S/cm以上とな
り、また膜質も良好で自立膜として得られる程度に改善
された。また、このプレポリマーは重合性が良好で、電
池に応用する場合、プレポリマー状態で電池に組込んだ
後に重合し、固体化できるという加工上のメリットもあ
った。しかしながら、溶媒として特に有効なエチレンカ
ーボネートを添加した高分子固体電解質では、エチレン
カーボネートが結晶化しやすいために、0℃以下での低
温でイオン伝導度や電流特性が極端に低下するという問
題があった。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、成型加工、
強度が良好で、取扱いが容易で、広い温度領域でイオン
伝導度が高く、安定、低コストで、安全性、信頼性の優
れた高分子固体電解質を提供することを目的とする。ま
た、安全性、信頼性に優れ、高性能、特に−10℃以下
でも容量低下の少ない、形状自由性のあるリチウム二次
電池を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記課題に
鑑み鋭意検討した結果、高分子固体電解質にエチレンカ
ーボネートとエチルメチルカーボネートとの混合溶媒を
添加することで、上記課題が改善されることを見出し
た。特に、エチレンカーボネートとエチルメチルカーボ
ネートの添加量を特定の範囲とすることにより、低温特
性が大幅に改善できることを見出した。さらに本発明者
らは上記高分子固体電解質を用いたリチウム二次電池
が、使用温度範囲が広く、電流特性、サイクル性が良好
で、安全性、信頼性に優れ、形状自由性のある高エネル
ギー密度電池となることを見出した。尚、本明細書の記
載において、『オキシアルキル』、『オキシアルキレ
ン』という表現にはオキシアルキレン基を少なくとも1
個以上含むオリゴオキシアルキレン及びポリオキシアル
キレンも含まれる。
【0012】即ち本発明は以下のものを開発することに
より上記目的を達成した。 [1] 高分子、電解質塩、及び有機溶媒を含む高分子
固体電解質において、有機溶媒としてエチレンカーボネ
ートとエチルメチルカーボネートが含まれていることを
特徴とする高分子固体電解質。 [2] 高分子、電解質塩、有機溶媒、及び無機微粒子
を含む高分子固体電解質において、有機溶媒としてエチ
レンカーボネートとエチルメチルカーボネートが含まれ
ていることを特徴とする高分子固体電解質。 [3] 高分子に対して、エチレンカーボネートとエチ
ルメチルカーボネートの総重量が100重量%以上であ
り、エチレンカーボネートとエチルメチルカーボネート
の重量比が2:1〜1:10であることを特徴とする前
記[1]または[2]記載の高分子固体電解質。 [4] 高分子がオキシアルキレン及び/またはウレタ
ン構造を含んでいることを特徴とする前記[1]〜
[3]のいずれか記載の高分子固体電解質。
【0013】[5] 高分子が一般式(1)または一般
式(2)
【化3】
【化4】 [式中、R1 、R2 は水素またはアルキル基を表し、R
3 は炭素数10以下の2価の基を表わす。該2価の基は
ヘテロ原子を含んでいてもよく、直鎖状、分岐状、環状
構造のいずれからなるものでもよい。xは0または1〜
10の数値を示す。但し、同一分子中の複数個の上記一
般式(1)または(2)で表される重合性官能基中のR
1 、R2 、R3 及びxの値は、それぞれ独立であり、同
じである必要はない。]で表わされる重合性官能基を有
する熱及び/または活性光線重合性化合物を重合するこ
とによって得られる少なくとも一種の高分子であること
を特徴とする前記[1]〜[4]のいずれか記載の高分
子固体電解質。
【0014】[6] 無機微粒子が結晶粒子径0.1μ
m 以下で、BET比表面積が50m2/gであるアルミ
ナ系微粒子であることを特徴とする前記[2]〜[5]
のいずれか記載の高分子固体電解質。 [7] 少なくとも一種の電解質塩がリチウム塩である
ことを特徴とする前記[1]〜[6]のいずれか記載の
高分子固体電解質。 [8] 少なくとも一種の電解質塩がLiPF6 、Li
BF4 及び/またはLiN(CF3 SO22 であるこ
とを特徴とする前記[7]記載の高分子固体電解質。 [9] 前記[7]または[8]記載の高分子固体電解
質を用い、負極活物質がリチウム、リチウム合金、リチ
ウムイオンを吸蔵放出できる炭素材料、リチウムイオン
を吸蔵放出できる無機酸化物、リチウムイオンを吸蔵放
出できる無機カルコゲナイド、リチウムイオンを吸蔵放
出できる高分子から選ばれる少なくとも一つの材料を用
いることを特徴とするリチウム二次電池。
【0015】以下に本発明を詳細に説明する。本発明の
高分子固体電解質はエチレンカーボネート(EC)とエ
チルメチルカーボネート(EMC)を含む有機溶媒が添
加されていることを特徴とする。これにより、広い温度
領域で高イオン伝導度となり、電池等の電気化学素子に
応用した場合の電流特性、温度特性が向上する。
【0016】ECとEMCの混合比(重量)は通常、E
C:EMCが3:1〜1:15の範囲で用いることがで
きるが、EC量が多すぎると低温でのECの析出温度が
高くなり、特に、高分子固体電解質中では、析出温度が
さらに高くなる傾向にある。また少なすぎると、イオン
伝導度の低下や電池に用いた場合の寿命低下を招く。従
って、好ましいECとEMCの混合比(重量)は、E
C:EMCが2:1〜1:10であり、5:5〜1:1
0の範囲がさらに好ましく、4:6〜1:9が特に好ま
しい。高分子固体電解質中の該溶媒(EC+EMC)の
含有量が多いほど、電解質塩またはイオンの拡散が容易
で、またその場合のイオン伝導度は高くなるが、高分子
固体電解質の機械的強度が低下する。従って、好ましい
添加量としては、本発明のセパレータ中の高分子重量の
100重量%から1500重量%の範囲であって、20
0重量%から1200重量%がさらに好ましく、300
重量%から1000重量%が特に好ましい。
【0017】本発明の高分子固体電解質には上記好まし
い範囲で添加されたEC/EMC以外にさらに他の有機
溶媒が添加されていてもよい。使用できる有機溶媒とし
ては、本発明の高分子固体電解質に用いる高分子、E
C、EMCとの相溶性が良好で、沸点が高く、電解質塩
の溶解性が高く、使用する電気化学素子に悪影響を与え
ない安定なものが良い。即ち、誘電率が大きく、沸点が
60℃以上であり、電気化学的安定範囲が広い化合物が
適している。そのような溶媒としては、プロピレンカー
ボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネー
ト等のカーボネート類、1,2−ジメトキシエタン、ジ
オキソラン、2−メチルテトラヒドロフラン等のエーテ
ル類、トリエチレングリコールジメチルエーテル、テト
ラエチレングリコールジメチルエーテル等のオリゴエー
テル類、プロピオン酸メチル、メトキシプロピオン酸メ
チル等のエステル類、ベンゾニトリル、トルニトリル等
の芳香族ニトリル類、ジメチルホルムアミド、ジメチル
スルホキシド、N−メチルピロリドン、N−ビニルピロ
リドン、スルホラン等の硫黄化合物、リン酸エステル類
等が挙げられる。この中で、エーテル類、オリゴエーテ
ル類、エステル類及びカーボネート類が好ましく、エス
テル類、カーボネート類が特に好ましい。
【0018】本発明の高分子固体電解質の主要構成成分
である高分子は非電子伝導性で各種有機極性溶媒を吸
液、保持できるものでなければならない。そのような高
分子としては、ポリアルキレンオキシド、ポリアルキル
イミン、ポリアクリロニトリル、ポリ(メタ)アクリル
酸エステル、ポリフォスファゼン、ポリフッ化ビニリデ
ン、ポリウレタン、ポリアミド、ポリエステル、ポリシ
ロキサン等のヘテロ原子を有する極性の熱可塑性高分子
や架橋高分子が挙げられる。特に架橋高分子が溶媒吸液
後の強度が高く、溶媒の保持力も高く、さらに粘弾性体
であることから、本発明のセパレータ用高分子として適
している。ここで表す架橋には、架橋鎖が共有結合で形
成されている以外に、側鎖がイオン結合や水素結合等で
架橋されているもの、各種添加物を介して物理架橋され
ているものも含んでいる。上記高分子の中ではポリアル
キレンオキシド、ポリウレタン等のオキシアルキレンや
ウレタン構造を分子構造内に含むものが、各種極性溶媒
との相溶性が良好で,電気化学的安定性が良好であり好
ましい。また、安定性の面から、ポリフッ化ビニリデン
等のフルオロカーボン基を分子構造内に有するものも好
ましい。
【0019】また、上記高分子の中で一般式(1)また
は(2)で表わされる重合性官能基
【化5】
【化6】 [式中、R1 、R2 は水素またはアルキル基を表し、R
3 は炭素数10以下の2価の基を表わす。該2価の基は
ヘテロ原子を含んでいてもよく、直鎖状、分岐状、環状
構造のいずれからなるものでもよい。xは0または1〜
10の数値を示す。但し、同一分子中の複数個の上記一
般式(1)または(2)で表される重合性官能基中のR
1 、R2 、R3 及びxの値は、それぞれ独立であり、同
じである必要はない。]を有する少なくとも一種の重合
性化合物を加熱及び/または活性光線照射により硬化さ
せて得られる高分子が、溶媒を含んだ状態で成膜しやす
く、膜強度が良好であり好ましい。
【0020】その中でも、下記一般式(3)または
(4)
【化7】
【化8】 [式中R1 、R2 、R3 、xは一般式(1)または
(2)と同じ。R4 、R5 は、オキシアルキレン基及び
/またはフルオロカーボン、オキシフルオロカーボンを
含む2価の基である。]で表される重合性官能基を有す
る少なくとも一種の重合性化合物を加熱及び/または活
性光線照射により硬化させて得られる高分子が特に好ま
しい。
【0021】本発明の高分子固体電解質に用いられる一
般式(1)で表される官能基を有する化合物を合成する
方法に特に限定はないが、例えば、酸クロライドと末端
にヒドロキシル基を有する化合物、例えばオリゴオキシ
アルキレンオールとを反応させることにより容易に得ら
れる。例えば、一般式(1)で表される官能基を1つ有
する化合物は、酸クロライドとモノアルキルオリゴオキ
シアルキレングリコールとを以下の様な反応式で、1:
1のモル比で反応させることにより、容易に得られる。 CH2 =C(R1 )COCl + HO( CH2 CH(
6)O)m7→ CH2 =C(R1 )COO( CH2
H( R6)O)m7 [ただし、式中R1 は一般式(1)と同じ。R6 はH、
または炭素数10以下のアルキル基。R7 は炭素数10
以下のアルキル基。]
【0022】例えば、一般式(1)で表わされる官能基
を2つ有する化合物は、酸クロライドとオリゴオキシア
ルキレングリコールとを以下の様な反応式で、2:1の
モル比で反応させることにより、容易に得られる。 2CH2 =C(R1 )COCl + HO( CH2 CH
( R6)O)mH→CH2 =C(R1 )COO( CH2 CH
( R6)O)mCO(R1 )C=CH2 [ただし、式中R1 は一般式(1)と同じ。R6 はH、
または炭素数10以下のアルキル基。]
【0023】本発明の高分子固体電解質に用いられる一
般式(2)で表される重合性官能基を有する化合物を合
成する方法には特に限定はないが、例えば、CH2=C
(R2 )CO[OR3x NCOとオリゴアルキレング
リコールとの反応により得ることができる(ただし、式
中R2 、R3 、xはそれぞれ一般式(2)と同じ。)。
【0024】具体的方法として一つのエチレン性不飽和
基を有する化合物は、例えば、メタクリロイルイソシア
ナート系化合物(以下MI類と略記する。)あるいはア
クリロイルイソシアナート系化合物(以下AI類と略記
する。)とモノアルキルオリゴアルキレングリコールと
を、以下のような反応式で1:1のモル比で反応させる
ことにより、容易に得られる。 CH2 =C(R2 )CO[OR3x NCO+HO( C
2 CH( R6)O)m→CH =C(R2 )CO
[OR3x NHCOO( CH2 CH( R6)O)m7 [ただし、式中R2 、R3 、xは一般式(2)と同じ。
6 はH、または炭素数10以下のアルキル基、R7
炭素数10以下のアルキル基である。]
【0025】また二つのエチレン性不飽和基を有する化
合物は、例えば、MI類あるいはAI類とオリゴアルキ
レングリコールとを、2:1のモル比で反応させること
により、容易に得られる。また、三つのエチレン性不飽
和基を有する化合物は、例えばMI類及び/またはAI
類と、グリセリン等の3価アルコールにアルキレンオキ
サイドを付加重合させたトリオールとを、3:1のモル
比で反応させることにより、容易に得られる。また、四
つのエチレン性不飽和基を有する化合物は、例えばMI
類及び/またはAI類と、ペンタエリスリトール等の4
価アルコールにアルキレンオキサイドを付加重合させた
テトラオールとを4:1のモル比で反応させることによ
り、容易に得られる。
【0026】また、五つのエチレン性不飽和基を有する
化合物は、例えばMI類及び/またはAI類と、α−D
−グルコピラノースにアルキレンオキシドを付加重合さ
せたペンタオールとを、5:1のモル比で反応させるこ
とにより、容易に得られる。また、六つのエチレン性不
飽和基を有する化合物は、例えばMI類及び/またはA
I類と、マンニットにアルキレンオキシドを付加重合さ
せたヘキサオールとを6:1のモル比で反応させること
により、容易に得られる。
【0027】フルオロカーボン基及び/またはオキシフ
ルオロカーボン基を有する一般式(1)または(2)で
表される重合性官能基を有する化合物を合成する方法に
特に限定はないが、例えば、具体的方法として重合性官
能基を一つ有する化合物は、MI類あるいはAI類と2,
2,3,3,4,4,4-ヘプタフルオロ-1- ブタノールのようなモ
ノオールとを以下の様な反応式で1:1のモル比で反応
させることにより、容易に得られる。 CH2=C(R1 )COO( CH2)2 NCO + CF
3(CF2)2 CH2 OH→ CH2=C(R1 )COO( C
2)2 NHCOOCH2(CF2)2 CF3 また重合性官能基を2つ有する化合物は、例えば、MI
類あるいはAI類と2,2,3,3-テトラフルオロ-1,4- ブタ
ンジオールのようなジオールとを以下の様な反応式で、
2:1のモル比で反応させることにより、容易に得られ
る。 2CH2=C(R1 )COO( CH2)2 NCO+HOCH
2(CF2)2 CH2 OH→ {CH2=C(R1 )COO(
CH2)2 NHCOOCH2 CF2 −}2
【0028】一般式(1)あるいは(2)で表される重
合性官能基を1つしか有さない化合物を重合してできる
高分子は、架橋構造を有しておらず、膜強度不足のた
め、薄膜にすると短絡する危険が大きく、単独では用い
ない方がよい。従って、一般式(1)あるいは(2)で
表される重合性官能基を2つ以上有する化合物と共重合
し、架橋させる必要がある。高分子固体電解質の薄膜強
度を考慮すると、1分子中に含まれる一般式(1)ある
いは(2)で表される重合性官能基の数は、3つ以上が
より好ましい。また前記一般式(1)で表される重合性
官能基を有する化合物の中で、一般式(2)で表される
重合性官能基を有する化合物から得られる高分子がウレ
タン基を含んでおり、重合性が良好で、薄膜にしたとき
の膜強度も大きいので好ましい。
【0029】本発明の高分子固体電解質の構成成分とし
て好ましい高分子は、一般式(1)または一般式(2)
で表される重合性官能基を有する化合物の少なくとも一
種を重合し、あるいは該化合物を共重合成分として重合
することにより得られる。本発明の高分子固体電解質に
用いる高分子は、前記一般式(1)または一般式(2)
で表される重合性官能基を有する化合物の単独重合体で
あっても、該カテゴリーに属する2種以上の共重合体で
あっても、あるいは該化合物の少なくとも一種と他の重
合性化合物との共重合体であってもよい。前記一般式
(1)または一般式(2)で表される重合性官能基を有
する化合物と共重合可能な他の重合性化合物としては、
特に制限はない。例えば、アクリルアミド、メタクリル
アミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジ
メチルメタクリルアミド、アクリロイルモルホリン、メ
タクリロイルモルホリン、N,N−ジメチルアミノプロ
ピル(メタ)アクリルアミド等の(メタ)アクリルアミ
ド系化合物、スチレン、α−メチルスチレン等のスチレ
ン系化合物、N−ビニルアセトアミド、N−ビニルホル
ムアミド等のN−ビニルアミド系化合物、エチルビニル
エーテル等のアルキルビニルエーテルを挙げることがで
きる。
【0030】重合は、重合性化合物中のアクリロイル基
もしくはメタクリロイル基の重合性を利用した一般的な
方法を採用することができる。即ち、これらモノマー単
独、あるいはこれらモノマーと他の前記の共重合可能な
重合性化合物の混合物に、アゾビスイソブチロニトリ
ル、ベンゾイルパーオキサイド等のラジカル重合触媒、
CF3 COOH等のプロトン酸、BF3 、AlCl3
のルイス酸等のカチオン重合触媒、あるいはブチルリチ
ウム、ナトリウムナフタレン、リチウムアルコキシド等
のアニオン重合触媒を用いて、ラジカル重合、カチオン
重合あるいはアニオン重合させることができる。また、
重合性化合物によっては無酸素状態で、加熱のみでラジ
カル重合することもできる。本発明の高分子固体電解質
に用いられる高分子はオキシアルキレン構造を含んでい
るものが好ましいが、その場合のオキシアルキレン鎖
数、すなわち前記一般式(3)におけるR4 中、あるい
は前記一般式(4)におけるR5 中に含まれるオキシア
ルキレン基の繰返し数nは1〜1000の範囲が好まし
く、5〜100の範囲が特に好ましい。
【0031】本発明の高分子固体電解質に用いる高分子
は、前記のように、一般式(1)または(2)で表され
る官能基を有する化合物の単独重合体であっても、該カ
テゴリーに属する2種以上の共重合体であっても、ある
いは該化合物の少なくとも一種と他の重合性化合物との
共重合体であってもよい。また、本発明の高分子固体電
解質に用いる高分子は、前記一般式(1)または(2)
で表される官能基を有する化合物の少なくとも一種から
得られる重合体及び/または該化合物を共重合成分とす
る共重合体と他の高分子との混合物であってもよい。例
えば、前記一般式(1)または(2)で表される官能基
を有する化合物の少なくとも一種から得られる重合体及
び/または該化合物を共重合成分とする共重合体と、ポ
リエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポ
リアクリロニトリル、ポリブタジエン、ポリメタクリル
(またはアクリル)酸エステル類、ポリスチレン、ポリ
ホスファゼン類、ポリシロキサンあるいはポリシラン、
ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン等
のポリマーとの混合物を本発明の高分子固体電解質に用
いてもよい。
【0032】本発明の高分子固体電解質には各種無機微
粒子が添加された方が好ましい。これにより強度、膜厚
均一性が改善されるばかりでなく、無機微粒子と高分子
間に微細な空孔が生じることになり、電解液中に浸漬し
た場合には空孔を通じて高分子固体電解質内にフリーの
電解液が分散することになり、強度アップを損ねること
なく、逆にイオン伝導度、移動度を増加させることもで
きる。また、無機微粒子を添加することにより、重合性
組成物の粘度が上昇し、高分子と溶媒の相溶性が不十分
な場合にもその分離を抑える効果も現われる。使用する
無機微粒子としては非電子伝導性、電気化学的に安定な
ものが選ばれる。また、イオン伝導性であればさらに好
ましい。具体的にはα、β、γーアルミナ、シリカ、チ
タニア、マグネシア、及びこれら2種以上の複合酸化
物、ゼオライト等のイオン伝導性または非電導性セラミ
ックス微粒子が挙げられる。
【0033】高分子固体電解質の強度アップ、電解液保
液量増加の観点から、無機微粒子は一次粒子が凝集した
二次粒子構造をもつものが好ましく、このような構造を
持つ無機微粒子の具体例としてはエアロジル(日本エア
ロジル製)のようなシリカ超微粒子、アルミナ超微粒子
が挙げられ、安定性、複合効率からアルミナ超微粒子が
特に好ましい。セパレータ中の電解液の保有量を多く
し、イオン伝導性、移動度を増加させるという目的で
は、無機微粒子の比表面積はできるだけ大きいことが好
ましく、BET法で10m2/g以上が好ましく50m2/g以
上がさらに好ましい。このような無機微粒子の結晶粒子
径としては、重合性組成物と混合できれば特に限定はな
いが、大きさとしては0.001μm 〜10μm が好ま
しく、0.01μm 〜1μm が特に好ましい。また、形
状としては球形、卵形、立方体状、直方体状、円筒ない
し棒状等の種々の形状のものを用いることができる。無
機微粒子の添加量は多すぎると逆に高分子固体電解質の
強度やイオン伝導性を低下させたり、成膜がしづらくな
るという問題を生じる。従って好ましい添加量として
は、高分子固体電解質に対して50wt%以下が好まし
く、0.1から30wt%の範囲が特に好ましい。
【0034】本発明の高分子固体電解質を製造する場合
には、一般式(1)または(2)で表される重合性官能
基を有する(メタ)アクリロイル系化合物の少なくとも
一種、少なくとも一種の電解質塩、ECとEMCを含む
溶媒からなる重合性組成物、またはこれに少なくとも一
種の無機微粒子を添加した重合性組成物を、あるいはさ
らに少なくとも一種の重合開始剤を添加した重合性組成
物を各種基材上に成膜、塗布後、かかる(メタ)アクリ
ロイル系化合物を、加熱及び/または活性光線照射によ
り重合し、硬化する方法が、均一に成膜でき、膜厚制御
が簡便であり、推奨できる。
【0035】重合させる温度としては、前記一般式
(1)または(2)で表される重合性官能基を有する重
合性化合物の種類、開始剤の種類によるが、重合が起こ
る温度であれば良く、通常は、0℃から200℃の範囲
で行えばよい。活性光線照射により重合させる場合に
は、前記一般式(1)または(2)で表される重合性官
能基を有する重合性化合物の種類によるが、例えば、ベ
ンジルメチルケタール、ベンゾフェノン等の活性光線開
始剤を使用して、数mW以上の紫外光または電子線、γ
線等を照射して重合させることができる。
【0036】本発明の高分子固体電解質は他の多孔性高
分子フィルムと複合して使用することにより強度改善等
を行うことも可能である。但し、使用する高分子の種
類、フィルム形状、複合割合によっては電解液吸液後の
セパレータとしてのイオン伝導度の低下や安定性の悪化
を招くので、適したものを選ぶ必要がある。使用する多
孔性フィルムとしてはポリプロピレン製不織布やポリエ
チレン製ネットのような網状ポリオレフィンシート等の
多孔性ポリオレフィンフィルム、セルガード(商品名)
等のポリオレフィン製マイクロポーラスフィルム、ナイ
ロン不織布、ポリエステル製ネット等が挙げられるが、
ポリオレフィン製多孔性フィルムが安定性の面で好まし
い。また、その空孔率としては、10〜90%程度あれ
ばよいが、強度の許す限りできるだけ空孔率の大きいも
のが良いので、好ましい空孔率の範囲としては40〜9
0%の範囲である。複合方法としては特に制限がない
が、例えば、一般式(1)または(2)で表される重合
性官能基を有する(メタ)アクリロイル系化合物の少な
くとも一種、少なくとも一種の電解質塩、ECとEMC
を含む溶媒からなる重合性組成物、またはこれに少なく
とも一種の無機微粒子を添加した重合性組成物を、ある
いはさらに少なくとも一種の重合開始剤を添加した重合
性組成物を、多孔性ポリマーフィルムに含浸後、かかる
(メタ)アクリロイル系化合物を重合する方法が、均一
に複合でき、膜厚制御が簡便であり、推奨できる。
【0037】本発明の高分子固体電解質を電池に応用し
た場合、本高分子固体電解質の電解液保持性が高く、ま
た孔が無い為、液もれ、短絡が起りにくく、使用温度範
囲が広く、取り出し電流が大きく、サイクル寿命が長
く、安全性及び信頼性が高い非水電池が得られる。ま
た、液もれや短絡が起りにくいことから、薄型にでき、
パッケージの簡単な電池が得られる。このようにして製
造される非水電池として、薄膜電池の一例の概略断面図
を図1に示す。図中、1は正極、2は本発明の高分子固
体電解質、3は負極、4は集電体、5は絶縁性樹脂封止
剤である。
【0038】本発明の非水電池に用いる負極活物質とし
て、アルカリ金属、アルカリ金属合金、炭素材料、金属
酸化物や金属カルコゲナイドのようなアルカリ金属イオ
ンをキャリアーとする低酸化還元電位のものを用いるこ
とにより、高電圧、高容量の電池が得られるので好まし
い。このような負極活物質の中では、リチウム金属ある
いはリチウム/アルミニウム合金、リチウム/鉛合金、
リチウム/アンチモン合金等のリチウム合金類が最も低
酸化還元電位であるため特に好ましい。また、炭素材料
もLiイオンを吸蔵した場合低酸化還元電位となり、し
かも安定、安全であるという点で特に好ましい。Liイ
オンを吸蔵放出できる炭素材料としては、天然黒鉛、人
造黒鉛、気相法黒鉛、石油コークス、石炭コークス、ピ
ッチ系炭素、ポリアセン、C60、C70等のフラーレン類
等が挙げられる。
【0039】従って、かかる負極を用い、アルカリ金属
イオンをキャリアーとする電池に用いる場合の電解質と
してはアルカリ金属塩が必要となる。このアルカリ金属
塩の種類としては、例えば、LiCF3 SO3 、LiP
6 、LiClO4 、LiBF4 、LiSCN、LiA
sF6 、LiN(CF3 SO22 、NaCF3 SO
3 、LiI、NaPF6 、NaClO4 、NaI、Na
BF4 、NaAsF6 、KCF3 SO3 、KPF6 、K
I等を挙げることができる。また、炭素材負極の場合に
は、アルカリ金属イオンだけでなく、4級アンモニウム
塩、4級ホスホニウム塩、遷移金属塩、各種プロトン酸
も使用できる。このような電解質としては、(CH3
4 NBF4 、(CH3 CH24 ClO4 等の4級アン
モニウム塩、AgClO4 等の遷移金属塩、(CH3
4 PBF4 等の4級ホスホニウム塩、パラトルエンスル
ホン酸等の有機酸及びその塩、塩酸、硫酸等の無機酸等
が挙げられる。この中で、出力電圧が高く取れ、解離定
数が大きいという点から、4級アンモニウム塩、4級ホ
スホニウム塩、アルカリ金属塩が好ましい。4級アンモ
ニウム塩の中では、(CH3 CH2 )(CH3 CH2
2 CH23 NBF4 のような、アンモニウムイオン
の窒素上の置換基が異なっているものが溶解性あるいは
解離定数が大きいという点で好ましい。
【0040】本発明の非水電池の構成において、正極に
金属酸化物、金属硫化物、導電性高分子あるいは炭素材
料のような高酸化還元電位の電極活物質(正極活物質)
を用いることにより、高電圧、高容量の電池が得られる
ので好ましい。このような電極活物質の中では、充填密
度が高くなり、体積容量密度が高くなるという点では、
酸化コバルト、酸化マンガン、酸化バナジウム、酸化ニ
ッケル、酸化モリブデン等の金属酸化物、硫化モリブデ
ン、硫化チタン、硫化バナジウム等の金属硫化物が好ま
しく、特に酸化マンガン、酸化ニッケル、酸化コバルト
等が高容量、高電圧という点から好ましい。この場合の
金属酸化物や金属硫化物を製造する方法は特に限定され
ず、例えば、「電気化学、第22巻、574頁、195
4年」に記載されているような、一般的な電解法や加熱
法によって製造される。また、これらを電極活物質とし
てリチウム電池に使用する場合、電池の製造時に、例え
ば、Lix CoO2 やLixMnO2 等の形でLi元素
を金属酸化物あるいは金属硫化物に挿入(複合)した状
態で用いるのが好ましい。このようにLi元素を挿入す
る方法は特に限定されず、例えば、電気化学的にLiイ
オンを挿入する方法や、米国特許第4357215号に
記載されているように、Li2 CO3 等の塩と金属酸化
物を混合、加熱処理することによって実施できる。
【0041】また柔軟で、薄膜にし易いという点では、
導電性高分子が好ましい。導電性高分子の例としては、
ポリアニリン、ポリアセチレン及びその誘導体、ポリパ
ラフェニレン及びその誘導体、ポリピロール及びその誘
導体、ポリチエニレン及びその誘導体、ポリピリジンジ
イル及びその誘導体、ポリイソチアナフテニレン及びそ
の誘導体、ポリフリレン及びその誘導体、ポリセレノフ
ェン及びその誘導体、ポリパラフェニレンビニレン、ポ
リチエニレンビニレン、ポリフリレンビニレン、ポリナ
フテニレンビニレン、ポリセレノフェンビニレン、ポリ
ピリジンジイルビニレン等のポリアリーレンビニレン及
びそれらの誘導体等が挙げられる。中でも有機溶媒に可
溶性のアニリン誘導体の重合体が特に好ましい。また、
炭素材料としては、天然黒鉛、人造黒鉛、気相法黒鉛、
石油コークス、石炭コークス、フッ化黒鉛、ピッチ系炭
素、ポリアセン等が挙げられる。
【0042】
【実施例】以下に本発明について代表的な例を示しさら
に具体的に説明する。なお、これらは説明のための単な
る例示であって、本発明はこれらに何等制限されるもの
ではない。
【0043】[実施例1] <化合物の合成>
【化9】 化合物(KOH価 34.0mg /g 、m/n=7/3)5
0.0g 及び化合物 4.6g を窒素雰囲気中でよく精製し
たTHF100ml に溶解した後、0.44g のジブチルチンジ
ラウレートを添加する。その後、25℃で約15時間反
応させることにより、無色の粘稠液体を得た。その1H-N
MR、IR及び元素分析の結果から、化合物と化合物は
1対3で反応し、さらに、化合物のイソシアナート基
が消失し、ウレタン結合が生成しており、化合物が生
成していることがわかった。
【0044】[実施例2]化合物 1.0g 、エチレンカ
ーボネート(EC)1.8g、エチルメチルカーボネート
(EMC)4.2g、LiPF6 (橋本化成製電池グレー
ド) 0.60g、及び2,4,6−トリメチルベンゾイルジ
フェニルホスフィンオキサイド(商品名ルシリンTP
O、BASF社製)0.005gをアルゴン雰囲気中でよく混
合し、光重合性組成物を得た。この組成物の含水量(カ
ールフィッシャー)は30ppm であった。この光重合性
組成物をアルゴン雰囲気下、PET フィルム上に塗布後、
ケミカル蛍光ランプ(三共電気社製 FL20S.BL)を10
分照射したところ、EC/EMC系電解液を含浸した化
合物重合体フィルムが約30μm の自立フィルムとし
て得られた。このフィルムの25℃、−20℃でのイオ
ン伝導度をインピーダンス法にて測定したところ、それ
ぞれ、5.0 ×10-3、0.8×10-3S/cmであった。
【0045】[実施例3]化合物 1.0g 、1000℃
で熱処理した高純度γアルミナ(昭和電工製;UA58
05;結晶粒子径0.03μm 、平均二次粒子径1.8
μm 、BET比表面積80m2 /g)0.33g 、EC 1.8
g 、EMC 4.2g 、LiPF6 (橋本化成製電池グレー
ド) 0.60g、及びルシリンTPO(BASF社製)0.00
5gをアルゴン雰囲気中でよく混合し、光重合性組成物を
得た。この組成物の含水量(カールフィッシャー法)は
30ppm であった。この光重合性組成物をアルゴン雰囲
気下、PET フィルム上に塗布後、ケミカル蛍光ランプ
(三共電気社製 FL20S.BL)を10分照射したところ、
EC/EMC電解液を含浸した化合物重合体/UA5
805複合フィルムが約30μm の自立フィルムとして
得られた。このフィルムの25℃、−20℃でのイオン
伝導度をインピーダンス法にて測定したところ、それぞ
れ、5.0 ×10-3、0.8×10-3S/cmであった。
【0046】[実施例4]アルミナ系微粒子としてUA
5805の代りに1000℃で熱処理したアルミニウム
オキサイドC(日本エアロジル製;結晶粒子径0.01
3μm 、平均二次粒子径約0.1μm(SEM観察)、
BET比表面積100m2/g)を0.33g 添加した以外は実
施例3と同様にして、光重合性組成物を得た。この組成
物の含水量(カールフィッシャー法)は35ppm であっ
た。この光重合性組成物を実施例3と同様に塗布、光照
射することにより、EC/EMC電解液を含浸した化合
物重合体/アルミニウムオキサイドC複合フィルムが
約30μm の自立フィルムとして得られた。このフィル
ムの25℃、−20℃でのイオン伝導度をインピーダン
ス法にて測定したところ、それぞれ、5.5 ×10-3、1.0×
10-3S/cmであった。
【0047】[実施例5]開始剤としてルシリンTPO
0.005gの代りに、ベンゾイルパーオキサイド(BPO)
0.04g を添加した以外は実施例4と同様にして、熱重合
性組成物を得た。この組成物の含水量(カールフィッシ
ャー法)は35ppm であった。この熱重合性組成物をア
ルゴン雰囲気下、PET フィルム上に塗布後、PPフィル
ムを被覆して、ホットプレート上で80℃、1時間加熱
したところ、EC/EMC電解液を含浸した化合物重
合体/アルミニウムオキサイドC複合フィルムが約30
μm の自立フィルムとして得られた。このフィルムの2
5℃、−20℃でのイオン伝導度をインピーダンス法に
て測定したところ、それぞれ、5.3 ×10-3、0.8×10-3S/
cmであった。
【0048】[実施例6]LiPF6 に代えて橋本化成
製電池グレードLiBF4 を0.50g 用いた以外は実施例
4と同様にして、光重合性組成物を得た。この組成物の
含水量(カールフィッシャー法)は50ppm であった。
この光重合性組成物を実施例4と同様に塗布、光照射す
ることにより、電解液を含浸した化合物重合体/アル
ミニウムオキサイドC複合フィルムを約30μm の自立
フィルムとして得た。この固体電解質の25℃、−20
℃でのイオン伝導度をインピーダンス法にて測定したと
ころ、4.0 ×10-3、0.3×10-3S/cmであった。
【0049】[実施例7]化合物 1.0g 、プロピレン
カーボネート(PC)0.4g、EC 1.4g 、EMC4.2g、
LiPF6 (橋本化成製電池グレード) 0.60g、100
0℃で熱処理したアルミニウムオキサイドC 0.33g、及
びルシリンTPO0.005gをアルゴン雰囲気中でよく混合
し、光重合性組成物を得た。この組成物の含水量(カー
ルフィッシャー法)は35ppm であった。この光重合性
組成物をアルゴン雰囲気下、PETフィルム上に塗布後、
ケミカル蛍光ランプを10分照射したところ、PC/E
C/EMC系電解液を含浸した化合物重合体/アルミ
ニウムオキサイドC複合フィルムが約30μm の自立フ
ィルムとして得られた。このフィルムの25℃、−20
℃でのイオン伝導度をインピーダンス法にて測定したと
ころ、それぞれ、6.0 ×10-3、1.0×10-3S/cmであった。
【0050】[実施例8]化合物 1.0g 、EC 1.5g
、EMC 3.0g 、ジエチルカーボネート(DEC)1.5
g、LiPF6 (橋本化成製電池グレード) 0.60g、1
000℃で熱処理したアルミニウムオキサイドC 0.33
g、及びルシリンTPO0.005gをアルゴン雰囲気中でよ
く混合し、光重合性組成物を得た。この組成物の含水量
(カールフィッシャー法)は35ppm であった。この光
重合性組成物をアルゴン雰囲気下、PETフィルム上に塗
布後、ケミカル蛍光ランプを10分照射したところ、E
C/EMC/DEC系電解液を含浸した化合物重合体
/アルミニウムオキサイドC複合フィルムが約30μm
の自立フィルムとして得られた。このフィルムの25
℃、−20℃でのイオン伝導度をインピーダンス法にて
測定したところ、それぞれ、5.0 ×10-3、0.7×10-3S/cm
であった。
【0051】[実施例9] <化合物の合成> 化合物(平均分子量Mn=550)55g 、化合物 15.5gを
窒素雰囲気中でよく精製したTHF100ml に溶解した
後、0.66g のジブチルチンジラウレートを添加した。そ
の後、25℃で約15時間反応させることにより、無色
の粘稠液体を得た。その1H-NMR、IR及び元素分析の結果
から、化合物と化合物は1対1で反応し、さらに、
化合物のイソシアナート基が消失し、ウレタン結合が
生成しており、化合物が生成していることがわかっ
た。
【0052】[実施例10]化合物 0.5g 、実施例1
で合成した化合物 0.5g 、1000℃で熱処理したU
A5805 0.66g、EC 1.8g 、EMC 4.2g、LiP
6 (橋本化成製電池グレード)0.60g 及びルシリンT
PO0.005gをアルゴン雰囲気中でよく混合し、光重合性
組成物を得た。この組成物の含水量(カールフィッシャ
ー法)は30ppm であった。この光重合性組成物をアル
ゴン雰囲気下、PET フィルム上に塗布後、ケミカル蛍光
ランプを10分照射したところ、EC/EMC系電解液
を含浸した化合物+共重合体/UA5805複合フ
ィルムが約30μm の自立フィルムとして得られた。こ
のフィルムの25℃、−20℃でのイオン伝導度をイン
ピーダンス法にて測定したところ、それぞれ、6.0 ×10
-3、0.8×10-3S/cmであった。
【0053】[実施例11]化合物:CH3(OCH2CH2)mO
COC(CH3)=CH2(日本油脂、ブレンマーAE−400,M
w400)0.3g、実施例1で合成した化合物 0.5g 、
1000℃で熱処理したUA58050.66g 、EC 1.8
g 、EMC 4.2g、LiPF6 (橋本化成製電池グレー
ド)0.60g 及びルシリンTPO0.005gをアルゴン雰囲気
中でよく混合し、光重合性組成物を得た。この組成物の
含水量(カールフィッシャー法)は30ppm であった。
この光重合性組成物をアルゴン雰囲気下、PET フィルム
上に塗布後、ケミカル蛍光ランプを10分照射したとこ
ろ、EC/EMC系電解液を含浸した化合物+共重
合体/UA5805複合フィルムが約30μm の自立フ
ィルムとして得られた。このフィルムの25℃、−20
℃でのイオン伝導度をインピーダンス法にて測定したと
ころ、それぞれ、4.5 ×10-3、0.6×10-3S/cmであった。
【0054】[実施例12] <化合物の合成> 化合物(2,2,3,3,4,4,4-ヘプタフルオロ−1−ブタノ
ール、アルドリッチ製)20g 、化合物 15.5gを窒素雰
囲気中でよく精製したTHF100ml に混合した後、0.66
g のジブチルチンジラウレートを添加する。その後、2
5℃で約15時間反応させることにより、無色の粘稠液
体として化合物を得た。その1H-NMR、IR及び元素分析
の結果から、化合物と化合物は1対1で反応し、さ
らに、化合物のイソシアナート基が消失し、ウレタン
結合が生成してしていることがわかった。
【0055】[実施例13] <化合物(10)の合成>
【化10】 化合物(日本アオジムント製、Zdol平均分子量2
000)100g、化合物 15.5gを窒素雰囲気中でよく精
製したTHF100ml に混合した後、0.66g のジブチルチ
ンジラウレートを添加する。その後、25℃で約15時
間反応させることにより、無色の粘稠液体として化合物
(10)を得た。その1H-NMR、IR及び元素分析の結果から、
化合物と化合物は1対2で反応し、さらに、化合物
のイソシアナート基が消失し、ウレタン結合が生成し
ていることがわかった。
【0056】[実施例14]化合物 0.7g 、化合物(1
0) 0.3g 、1000℃で熱処理したシリカ(日本アエロ
ジル製 アエロジル200、結晶粒子径 0.012μ
m 、平均二次粒子径約0.1μm(SEM観察)、BE
T比表面積200m2/g) 0.33g、EC 1.0g 、EMC
2.0g 、DEC 1.0g 、LiPF6 (橋本化成製電池グ
レード) 0.60g、及びルシリンTPO0.005gをアルゴン
雰囲気中でよく混合し、光重合性組成物を得た。この組
成物の含水量(カールフィッシャー法)は60ppm であ
った。この光重合性組成物をアルゴン雰囲気下、PET フ
ィルム上に塗布後、ケミカル蛍光ランプを10分照射し
たところ、EC/EMC/DEC系電解液を含浸した化
合物+(10)共重合体/アエロジル200複合フィルム
が約30μm の自立フィルムとして得られた。このフィ
ルムの25℃、−20℃でのイオン伝導度をインピーダ
ンス法にて測定したところ、それぞれ、2.0 ×10-3、0.4
×10-3S/cmであった。
【0057】[実施例15]無機微粒子としてUA58
05の代りに1000℃で熱処理した酸化マグネシウム
(ミクロマグ3−150 協和化学製)を0.33g 添加し
た以外は実施例3と同様にして、光重合性組成物を得
た。この組成物の含水量(カールフィッシャー法)は3
5ppm であった。この光重合性組成物を実施例3と同様
に塗布、光照射することにより、EC/EMC電解液を
含浸した化合物重合体/ミクロマグ3−150複合フ
ィルムが約30μm の自立フィルムとして得られた。こ
のフィルムの25℃、−20℃でのイオン伝導度をイン
ピーダンス法にて測定したところ、それぞれ、4.3 ×10
-3、0.5×10-3S/cmであった。
【0058】[実施例16]無機微粒子としてUA58
05の代りに1000℃で熱処理した酸化チタン(スー
パータイタニア F−4 昭和電工製、結晶粒子径0.
028μm 、BET比表面積56m2/g)を0.33g 添加し
た以外は実施例3と同様にして、光重合性組成物を得
た。この組成物の含水量(カールフィッシャー法)は6
0ppm であった。この光重合性組成物を実施例3と同様
に塗布、光照射することにより、EC/EMC電解液を
含浸した化合物重合体/スーパータイタニア F−4
複合フィルムが約30μm の自立フィルムとして得られ
た。このフィルムの25℃、−20℃でのイオン伝導度
をインピーダンス法にて測定したところ、それぞれ、4.
5×10-3、0.7×10-3S/cmであった。
【0059】[実施例17] <コバルト酸リチウム正極の製造>11g のLi2 CO3
と24g のCo34 を良く混合し、酸素雰囲気下、80
0℃で24時間加熱後、粉砕することによりLiCoO
2 粉末を得た。このLiCoO2 粉末とアセチレンブラ
ック、ポリフッ化ビニリデンを重量比8:1:1で混合
し、さらに過剰のN−メチルピロリドン溶液を加え、ゲ
ル状組成物を得た。この組成物を約25μmのアルミ箔
上に1cm×1cm、約180μmの厚さに塗布成型した。
さらに、約100℃で24時間加熱真空乾燥することに
より、コバルト酸リチウム正極(75mg)を得た。
【0060】[実施例18] <黒鉛負極の製造>MCMB黒鉛(大阪ガス製)、気相
法黒鉛繊維(昭和電工(株)製:平均繊維径、0.3 μm
、平均繊維長、2.0 μm 、2700℃熱処理品)、ポ
リフッ化ビニリデンの重量比 8.6 : 0.4 : 1.0の混合物
に過剰のN−メチルピロリドン溶液を加え、ゲル状組成
物を得た。この組成物を約15μmの銅箔上に10mm×
10mm、約250μmの厚さに塗布成型した。さらに、
約100℃で24時間加熱真空乾燥することにより、黒
鉛負極(35mg)を得た。
【0061】[実施例19] <Liイオン二次電池の製造>アルゴン雰囲気グローブ
ボックス内で、実施例17で製造した黒鉛負極(10m
m×10mm)に電解液(1M LiPF6 /EC+E
MC(3:7))を含浸させたものに、実施例4で調製
した高分子固体電解質/アルミニウムオキサイドC複合
フィルム(12mm×12mm)を黒鉛負極上に貼り合
わせ、さらに実施例17で製造したコバルト酸リチウム
正極(10mm×10mm)に電解液(1M LiPF
6 /EC+EMC(3:7))を含浸させたものを貼り
合わせ、電池端部をエポキシ樹脂で封印し、黒鉛/酸化
コバルト系Liイオン二次電池を得た。得られた電池の
断面図を図1に示す。この電池を、60℃、25℃、−
20℃で作動電圧2.75〜4.1V、電流0.5mA で充放電を行
ったところ、最大放電容量は各々7.2mAh、7.2mAh、6.5m
Ahであった。また、25℃、作動電圧2.75〜4.1V、充電
0.5mA 、放電2.5mA で充放電を繰返したところ、最大放
電容量は6.8mAhで、容量が50%に減少するまでのサイ
クル寿命は560回であった。
【0062】[実施例20] <Liイオン二次電池の製造>化合物系高分子固体電
解質/アルミニウムオキサイドC複合フィルムの代り
に、実施例10で製造した化合物+系高分子固体電
解質/UA5805フィルムを用いた以外は実施例19
と同様にして図1に示す断面図のLiイオン二次電池を
製造した。この電池を、60℃、25℃、−20℃で作
動電圧2.75〜4.1V、電流0.5mA で充放電を行ったとこ
ろ、最大放電容量は各々7.2mAh、7.2mAh、6.8mAhであっ
た。また、25℃、作動電圧2.75〜4.1V、充電0.5mA 、
放電2.5mA で充放電を繰返したところ、最大放電容量は
7.0mAhで、容量が50%に減少するまでのサイクル寿命
は480回であった。
【0063】[実施例21] <Liイオン二次電池の製造>化合物系高分子固体電
解質/アルミニウムオキサイドCフィルムの代りに、実
施例5で製造した化合物系熱重合高分子固体電解質/
アルミニウムオキサイドCフィルムを用いた以外は実施
例19と同様にして図1に示す断面図のLiイオン二次
電池を製造した。この電池を、60℃、25℃、−20
℃で作動電圧2.75〜4.1V、電流0.5mA で充放電を行った
ところ、最大放電容量は各々7.2mAh、7.2mAh、6.4mAhで
あった。また、25℃、作動電圧2.75〜4.1V、充電0.5m
A 、放電2.5mA で充放電を繰返したところ、最大放電容
量は6.6mAhで、容量が50%に減少するまでのサイクル
寿命は510回であった。
【0064】[実施例22] <Liイオン二次電池の製造>アルゴン雰囲気グローブ
ボックス内で、実施例18で製造した黒鉛負極(10m
m×10mm)に電解液(1M LiPF6 /EC+E
MC(3:7))を含浸させた上に、実施例4で調製し
た化合物/アルミニウムオキサイドC系光重合性組成
物を厚み30μmとなるように塗布し、アルゴン雰囲気
下、ケミカル蛍光ランプを10分照射したところ、電解
液を含浸した化合物重合体/アルミニウムオキサイド
C複合フィルムを黒鉛負極上に直接形成した。さらに実
施例17で製造したコバルト酸リチウム正極(10mm
×10mm)に電解液(1M LiPF6 /EC+EM
C(3:7))を含浸させたものを貼り合わせ、電池端
部をエポキシ樹脂で封印し、図1に示す黒鉛/酸化コバ
ルト系Liイオン二次電池を得た。この電池を、60
℃、25℃、−20℃で作動電圧2.75〜4.1V、電流0.5m
A で充放電を行ったところ、最大放電容量は各々7.2mA
h、7.2mAh、6.6mAhであった。また、25℃、作動電圧
2.75〜4.1V、充電0.5mA 、放電2.5mA で充放電を繰返し
たところ、最大放電容量は7.2mAhで、容量が50%に減
少するまでのサイクル寿命は680回であった。
【0065】
【発明の効果】本発明の高分子固体電解質は可塑剤とし
てECとECの結晶化温度低下に有効なEMCを含む有
機溶媒が添加されているため、広い温度領域でイオン伝
導度が高く、電気化学的安定性に優れており、電池等の
電気化学素子に応用した場合の電流特性、温度特性、寿
命が向上させることができる。特に−20℃以下の低温
でも問題なく使用することができる。本発明では上記高
分子固体電解質に無機微粒子を添加することにより、強
度が向上し、取扱いやすくなり、また、電解質塩の拡散
が容易になり、電気化学素子の電流特性やサイクル特性
を向上することができる。
【0066】さらに本発明では、(メタ)アクリル基及
び/またはウレタン(メタ)アクリル基を有する重合性
化合物が硬化特性に優れていることを利用し、これら化
合物と電解質塩、EC/EMC系有機溶媒または/さら
に無機微粒子を混合した重合性組成物を基材上に配置
後、加熱や紫外線等の活性光線照射により、EC/EM
C系溶媒を含んだ高分子固体電解質を基材上に容易に製
造することが可能となった。本発明では上記高分子固体
電解質とLiイオン吸蔵、放出可能な負極を用いること
により、高エネルギー密度で、取り出し電流が大きく、
使用温度範囲が広く、サイクル寿命が長く、液もれ、短
絡が起りにくく、安全性及び長期信頼性、加工性に優れ
たリチウム(イオン)二次電池が得られる。また、液も
れや短絡が起りにくいことから、薄型にでき、パッケー
ジの簡単なリチウム(イオン)二次電池が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の電池の一例として示す、薄型の固体電
池の実施例の概略断面図である。
【符号の説明】
1 正極 2 高分子固体電解質 3 負極 4 集電体 5 絶縁性樹脂封止剤
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C08L 75/04 C08L 75/04 H01M 4/58 H01M 4/58 4/60 4/60 6/16 6/16 A 6/18 6/18 E 6/22 6/22 C 10/40 10/40 B A // C08F 290/06 C08F 290/06

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 高分子、電解質塩、及び有機溶媒を含む
    高分子固体電解質において、有機溶媒としてエチレンカ
    ーボネートとエチルメチルカーボネートが含まれている
    ことを特徴とする高分子固体電解質。
  2. 【請求項2】 高分子、電解質塩、有機溶媒、及び無機
    微粒子を含む高分子固体電解質において、有機溶媒とし
    てエチレンカーボネートとエチルメチルカーボネートが
    含まれていることを特徴とする高分子固体電解質。
  3. 【請求項3】 高分子に対して、エチレンカーボネート
    とエチルメチルカーボネートの総重量が100重量%以
    上であり、エチレンカーボネートとエチルメチルカーボ
    ネートの重量比が2:1〜1:10であることを特徴と
    する請求項1または2記載の高分子固体電解質。
  4. 【請求項4】 高分子がオキシアルキレン及び/または
    ウレタン構造を含んでいることを特徴とする請求項1〜
    3のいずれか記載の高分子固体電解質。
  5. 【請求項5】 高分子が一般式(1)または一般式
    (2) 【化1】 【化2】 [式中、R1 、R2 は水素またはアルキル基を表し、R
    3 は炭素数10以下の2価の基を表わす。該2価の基は
    ヘテロ原子を含んでいてもよく、直鎖状、分岐状、環状
    構造のいずれからなるものでもよい。xは0または1〜
    10の数値を示す。但し、同一分子中の複数個の上記一
    般式(1)または(2)で表される重合性官能基中のR
    1 、R2 、R3 及びxの値は、それぞれ独立であり、同
    じである必要はない。]で表わされる重合性官能基を有
    する熱及び/または活性光線重合性化合物を重合するこ
    とによって得られる少なくとも一種の高分子であること
    を特徴とする請求項1〜4のいずれか記載の高分子固体
    電解質。
  6. 【請求項6】 無機微粒子が結晶粒子径0.1μm 以下
    で、BET比表面積が50m2 /gであるアルミナ系微
    粒子であることを特徴とする請求項2〜5のいずれか記
    載の高分子固体電解質。
  7. 【請求項7】 少なくとも一種の電解質塩がリチウム塩
    であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか記載の
    高分子固体電解質。
  8. 【請求項8】 少なくとも一種の電解質塩がLiPF
    6 、LiBF4 及び/またはLiN(CF3 SO22
    であることを特徴とする請求項7記載の高分子固体電解
    質。
  9. 【請求項9】 請求項7または8記載の高分子固体電解
    質を用い、負極活物質がリチウム、リチウム合金、リチ
    ウムイオンを吸蔵放出できる炭素材料、リチウムイオン
    を吸蔵放出できる無機酸化物、リチウムイオンを吸蔵放
    出できる無機カルコゲナイド、リチウムイオンを吸蔵放
    出できる高分子から選ばれる少なくとも一つの材料を用
    いることを特徴とするリチウム二次電池。
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